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電子納品要領と受注者が押さえる納品責任のポイント4つ

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

電子納品要領は、公共工事や設計業務などで作成した成果品を、紙ではなく電子データとして納めるための基本ルールです。国土交通省の説明では、電子納品は「調査、設計、工事などの各業務段階の最終成果を電子成果品として納品すること」とされ、電子成果品は共通仕様書等で規定される資料のうち、各電子納品に関する要領に基づいて作成した電子データを指します。([国土交通省][6]) 実務担当者にとって重要なのは、要領を「最後に形式だけ整えるための資料」と捉えないことです。電子納品は、契約、施工管理、図面、写真、出来形、品質、協議記録、検査、保管までつながる業務であり、受注者には成果品を発注者が受け取れる状態に整える責任があります。国土交通省関連の電子納品要領やガイドラインは改定が行われており、2026年4月1日には電子納品要領・ガイドラインおよび電子納品チェックシステムの改定が公表され、同年5月7日には電子納品要領・ガイドラインの訂正も告知されています。([国土交通省][1]) 実務では、契約時点で適用される要領、発注者独自の運用、事前協議の内容を確認したうえで、施工中から納品データを積み上げる姿勢が欠かせません。


目次

電子納品要領とは何か

電子納品で受注者が負う納品責任の基本

ポイント1:適用要領と事前協議を着手時に確定する

ポイント2:施工中から電子成果品を作り込む

ポイント3:完成検査前に要領準拠と説明可能性を確認する

ポイント4:納品後を見据えてデータの再利用性を高める

電子納品要領への対応を現場力に変える


電子納品要領とは何か

電子納品要領とは、工事や業務の成果品を電子データで納品する際に、どのようなフォルダ構成にするか、どのファイル形式を使うか、ファイル名や管理情報をどう整理するか、どのように確認して納めるかを定めたルールです。公共工事でいえば、完成図書、図面、写真、打合せ記録、測量成果、地質関連資料、出来形や品質に関する資料など、発注者が将来の維持管理や再利用で参照する情報を、一定の形式で保管できるようにすることが目的です。紙であればファイルに綴じて目次を付ける作業が中心でしたが、電子納品ではデータそのものの階層、名称、属性、関連性が成果品の品質を左右します。


電子納品要領を理解するうえで、まず押さえたいのは「電子化」と「電子納品」は同じではないという点です。紙資料を読み取って電子ファイルにしただけでは、電子納品として十分とはいえません。要領で求められる形式に従って、必要なデータを必要な場所に格納し、管理情報を整え、検査時に内容を追える状態にして、初めて電子成果品として扱えるようになります。つまり電子納品は、単なるファイル提出ではなく、成果品をデータとして長期的に扱うための整理、確認、説明のプロセスです。


また、電子納品要領は一つの文書だけで完結するものではありません。工事完成図書の電子納品に関する要領、設計業務等の電子納品に関する要領、写真管理に関する基準、図面作成に関する基準、測量や地質に関する要領、さらに運用ガイドラインや発注者ごとの手引きが関係します。国土交通省の一般土木分野では、工事完成図書の電子納品等要領と土木設計業務等の電子納品要領について、令和8年4月1日以降に契約を締結する工事・業務から適用される版が掲載されています。([国土交通省][2])


実務担当者が混乱しやすいのは、案件によって参照すべき要領が異なる点です。同じ「電子納品要領」という言葉でも、工事なのか業務なのか、一般土木なのか電気通信設備なのか機械設備なのか、発注機関が国なのか自治体なのかで、確認すべき文書が変わります。さらに、契約日によって適用版が異なる場合があります。最新の要領が公開されていても、すでに契約済みの案件では契約時に指定された版を適用することがあります。だからこそ、受注者は「いま公開されている最新版」だけではなく、「この案件で適用される版」を確認しなければなりません。


電子納品要領を読む目的は、形式を暗記することではありません。要領が求めているのは、発注者が成果品を確実に確認でき、保管でき、将来利用できる状態にすることです。フォルダ名やファイル形式はそのための手段です。受注者が納品責任を果たすには、要領の細部に従うだけでなく、後から第三者がデータを見たときに、何の資料で、どの工事・業務に関係し、いつ作成され、どの協議や出来形に対応しているのかが分かるように整える必要があります。


電子納品で受注者が負う納品責任の基本

電子納品における受注者の責任は、成果品を期限までに提出することだけではありません。契約で求められた成果品を、適用要領に沿った電子データとして作成し、発注者が検査・保管・再利用できる状態にして納めることまで含まれます。これは、紙の成果品であればページの抜けや押印漏れ、綴じ間違いが問題になるのと同じように、電子成果品ではファイルの欠落、階層の誤り、管理情報の不整合、写真と帳票の対応不明、図面の版管理不備などが納品品質の問題になるということです。


受注者が特に注意すべきなのは、電子納品の不備が完成間際に発覚しやすい点です。施工中は日々の現場対応が優先され、写真や帳票はそれぞれの担当者が個別に保管していることがあります。ところが、完成検査前にまとめて電子納品データを作ろうとすると、ファイル名が統一されていない、古い版の図面が混在している、写真の撮影位置や施工段階が説明できない、協議で不要とした資料が整理されていない、といった問題が出てきます。電子納品は完成時の作業に見えて、実際には着手時から始まっている業務です。


納品責任には、発注者との合意内容を守る責任も含まれます。電子納品要領は基本ルールですが、すべての現場条件を個別に書き切るものではありません。そのため、実務では着手時に事前協議を行い、対象とする成果品、紙と電子の扱い、写真の整理方法、図面の版管理、電子媒体またはオンラインによる提出方法、検査時の確認方法などを決めます。国土交通省の電子納品等運用ガイドラインでも、土木工事編について令和8年4月1日以降に契約を締結する工事から適用される版が掲載され、事前協議チェックシートも関連資料として示されています。([国土交通省][3])


受注者の責任は、発注者から指摘された不備を修正する受け身の対応だけでは足りません。要領に合っているかを自社内で確認し、現場代理人、主任技術者、監理技術者、担当技術者、事務担当者、協力会社が同じ整理方針で動けるようにすることが必要です。特に写真、出来形、品質、段階確認、材料承諾、打合せ簿は、複数の担当者が関わるため、最初に命名ルールや保存場所を決めておかないと、後から整合性を取るのに大きな負担がかかります。


電子納品の責任を考えるときは、「発注者が開けるか」「検査で説明できるか」「将来の維持管理で使えるか」という三つの視点を持つと実務に落とし込みやすくなります。発注者が開けるかとは、指定された形式、階層、媒体、確認手順に適合しているかという視点です。検査で説明できるかとは、成果品の内容と現場実態、協議経緯、出来形や品質の根拠がつながっているかという視点です。将来の維持管理で使えるかとは、完成後に発注者が必要な図面や写真を探し出し、施設管理や補修計画に利用できるかという視点です。この三つが満たされている状態が、受注者にとって実務上の納品責任を果たした状態に近いといえます。


ポイント1:適用要領と事前協議を着手時に確定する

受注者が最初に押さえるべきポイントは、適用要領と事前協議を着手時に確定することです。電子納品の失敗は、完成直前の作業ミスだけで起きるわけではありません。むしろ、着手時に適用版、対象範囲、提出方法、例外処理をあいまいにしたまま進めた結果、完成時に手戻りが発生するケースが多くあります。電子納品要領は細かいルールが多いため、後からまとめて合わせようとすると、写真の撮り直しができない、協議記録が残っていない、図面の更新履歴が追えないという問題に発展します。


適用要領の確認では、まず契約図書、特記仕様書、発注者の手引き、監督員からの指示を確認します。国の要領を準用する案件でも、発注者独自の運用が追加されることがあります。自治体や公的機関の案件では、国の要領を基本としながら、提出媒体、部数、対象書類、ファイル形式、検査時の閲覧方法などに独自の指定がある場合があります。受注者は「国の要領に合わせたから問題ない」と判断するのではなく、発注機関の指定と案件ごとの特記を優先して確認する必要があります。


契約日と適用版の関係も重要です。電子納品要領やガイドラインは改定されるため、同じ年度内でも契約日によって適用版が変わることがあります。国土交通省の要領・基準一覧では、分野ごとに適用開始時期と版が示されており、一般土木、電気通信設備、機械設備で掲載内容が分かれています。([国土交通省][2]) 受注者は、発注者に「本案件ではどの版を適用するのか」を確認し、社内の電子納品担当者にも共有することが大切です。過去案件のフォルダ構成を流用する場合でも、版が変わっていればそのまま使えない可能性があります。


事前協議では、電子納品の対象と対象外を明確にします。すべての書類を機械的に電子納品に入れればよいわけではありません。契約上必要な成果品、検査で確認する資料、発注者が保管する資料、紙で提出する資料、電子で提出する資料を整理し、どこまでを電子成果品に含めるかを合意します。特に、施工中に紙で受け渡しした資料、現場で補足的に作成した説明資料、協力会社から受け取った試験成績資料などは、電子納品に含めるかどうかを事前に決めておくと混乱を防げます。


さらに、写真管理の方針は早い段階で決める必要があります。写真は後から同じ条件で撮り直すことが難しいため、撮影段階で整理項目や撮影対象を意識しておくことが重要です。工種、種別、細別、測点、撮影位置、施工状況、出来形寸法、材料確認、不可視部分など、どの情報を写真と一緒に残すかが納品時の説明力を左右します。現場では撮影枚数が多くなるほど整理負担が増えるため、撮るべき写真を逃さず、不要な重複を増やさず、後から検索しやすい形で残す運用が求められます。


着手時の事前協議では、例外処理も決めておくと安心です。要領に明確に当てはまらない資料、容量が大きいデータ、発注者が指定する形式に変換しにくい資料、紙原本を別途扱う資料、個人情報や機密情報を含む可能性がある資料などは、完成時に初めて相談すると対応に時間がかかります。受注者は「通常の納品ルール」だけでなく、「通常どおりに処理できない場合の判断方法」を確認し、協議記録として残しておくべきです。


このポイントで大切なのは、電子納品担当者だけに任せないことです。適用要領と事前協議の内容は、現場全体の情報管理ルールになります。現場代理人が理解していなければ、協力会社への指示が曖昧になります。写真担当者が理解していなければ、必要な情報が撮影時に残りません。図面担当者が理解していなければ、最終図面の版管理が崩れます。着手時に決めた内容を、現場の実務に落とし込むことが、受注者の納品責任を果たす第一歩です。


ポイント2:施工中から電子成果品を作り込む

二つ目のポイントは、施工中から電子成果品を作り込むことです。電子納品は完成時に行う提出作業ですが、電子成果品の中身は施工中の情報管理によって決まります。完成間際にファイルを集めて要領に合わせるだけでは、現場で発生した判断、協議、変更、確認、是正の流れを正しく表現できないことがあります。受注者は、日々の施工管理をそのまま納品品質につなげる意識を持つ必要があります。


施工中の情報管理でまず重要なのは、保存場所を一本化することです。担当者ごとの端末、現場事務所の共有領域、記録媒体、メール添付、個別の外部保管場所に資料が散らばると、完成時に最新版を判別できなくなります。電子納品の対象になる可能性がある資料は、最初から案件単位の共通ルールで保存し、図面、写真、帳票、協議資料、確認資料、完成書類がどこにあるかを誰でも分かる状態にしておくことが大切です。


次に、ファイル名と版管理を軽視しないことです。電子納品要領では最終的なファイル名や格納場所にルールが定められますが、施工中の作業ファイルにも一定の命名ルールが必要です。たとえば、日付、工種、資料種別、内容、版番号などを整理しておけば、どのファイルが最終版なのか、どの協議に使ったものなのか、どの変更に対応したものなのかを追いやすくなります。逆に、「最新版」「最終」「最終修正」などの曖昧な名前が重なると、検査前に混乱し、誤った資料を納品する危険があります。


写真管理では、撮影後すぐに整理する運用が重要です。現場写真は枚数が増えやすく、時間がたつほど撮影意図を思い出しにくくなります。不可視部分の写真、材料確認の写真、出来形測定の写真、安全対策の写真、施工状況の写真は、それぞれ説明すべき内容が異なります。撮影直後に分類し、必要な情報を付与し、不鮮明な写真や不足写真を早期に発見できれば、再撮影や補足説明の機会を確保できます。完成前にまとめて写真を整理する運用では、撮影位置や寸法の根拠が曖昧になりやすく、発注者への説明に時間がかかります。


図面については、発注図、協議図、変更図、完成図の関係を明確にしておく必要があります。工事中には設計変更、現場条件による修正、施工承諾に伴う変更が発生することがあります。そのたびに図面データが増えるため、どの図面がどの時点で有効だったのか、最終的に完成図へ反映されたのかを管理しなければなりません。電子納品では最終成果品としての図面だけでなく、必要に応じて変更経緯を説明できることが重要です。図面の版管理ができていれば、完成検査時の説明もスムーズになります。


打合せ記録や協議資料も、電子納品の品質に直結します。施工中の判断は、口頭だけで進めると後から根拠を確認できません。電子納品では、なぜその施工方法になったのか、どの範囲が変更されたのか、どの資料が承諾されたのかを、記録と成果品の関係で説明する場面があります。受注者は、発注者との協議結果を適切に残し、関連する図面、写真、帳票と結び付けて整理する必要があります。これは単に検査対応のためではなく、完成後に発注者が維持管理を行う際にも役立ちます。


施工中から電子成果品を作り込むには、定期的な中間確認が効果的です。月次や主要工種の完了時など、一定のタイミングで電子納品対象資料を見直し、不足、重複、命名の乱れ、保存場所の誤りを確認します。案件で使用する電子納品チェックシステム等で形式的なエラーを確認するだけでなく、資料の中身が施工実態を説明できるか、人が見て分かるかという観点でも確認します。形式チェックは重要ですが、形式が整っていても内容が不足していれば、納品責任を十分に果たしたとはいえません。


この段階での受注者の役割は、現場で発生する情報を「後で使えるデータ」に変えることです。電子納品は、発注者の保管のためだけでなく、受注者自身の業務防衛にもなります。協議経緯や施工根拠が整理されていれば、検査時の質問、完成後の問い合わせ、瑕疵や不具合の確認、維持管理に関する照会にも対応しやすくなります。施工中から電子成果品を作ることは、現場の負担を増やすだけの作業ではなく、後工程の手戻りを減らし、説明責任を果たしやすくする取り組みです。


ポイント3:完成検査前に要領準拠と説明可能性を確認する

三つ目のポイントは、完成検査前に要領準拠と説明可能性を確認することです。電子納品では、最終段階で形式的な確認を行うだけでなく、成果品としての内容が検査に耐えるかを確認する必要があります。フォルダ構成が正しく、ファイル形式が指定どおりで、管理情報にエラーがないとしても、資料の中身が不足していたり、写真と出来形帳票の対応が分からなかったり、完成図と現場実態に差があったりすれば、検査時に指摘を受ける可能性があります。


完成検査前の確認は、まず適用要領と事前協議内容を基準に行います。着手時に決めた対象書類、提出形式、紙資料の扱い、図面や写真の整理方針、オンラインまたは媒体による提出方法を再確認し、電子成果品が合意内容と一致しているかを見ます。途中で協議内容が変わっている場合は、その変更が記録として残っているか、成果品にも反映されているかを確認します。事前協議の内容と実際の納品データがずれていると、要領以前の問題として説明が難しくなります。


形式確認では、フォルダ階層、ファイル名、管理情報、文字の扱い、不要ファイルの混入、重複ファイル、開けないファイル、容量、媒体情報などを確認します。電子納品チェックシステムが用意されている場合は、それを用いてエラーや警告を確認します。2026年4月1日には、電子納品チェックシステムが土木、電通、機械の各分野で改定され、工事完成図書の電子納品等要領や土木設計業務等の電子納品要領の新しい版への対応が告知されています。([国土交通省][4]) 受注者は、案件で適用される要領と確認環境が合っているかを見極める必要があります。


ただし、電子納品チェックシステムでエラーが出ないことは、納品内容が完全であることを意味しません。システムが確認できるのは、主に形式、階層、管理情報、ファイルの整合性などです。写真が現場状況を適切に説明しているか、図面が最終変更を反映しているか、帳票と根拠資料が対応しているか、協議内容が成果品に反映されているかは、人が内容を見て確認する必要があります。受注者は、機械的なチェックと技術的なレビューを分けて考えるべきです。


説明可能性の確認では、検査官や監督員から質問されたときに、どの資料を見れば答えられるかを想定します。出来形について聞かれたら、出来形管理資料、写真、測定位置、図面がつながる必要があります。品質について聞かれたら、試験成績、材料資料、施工記録、写真が対応している必要があります。設計変更について聞かれたら、協議記録、変更図、数量、完成図がつながる必要があります。このように、電子成果品の中で情報が孤立していないかを確認することが重要です。


検査前には、第三者目線での確認も有効です。作成担当者は自分の整理方法を理解しているため、不足や分かりにくさに気づきにくいことがあります。現場の別担当者、社内の品質管理担当者、電子納品に詳しい担当者が見ることで、ファイルの探しにくさ、命名の違和感、説明不足、不要データの混入を発見しやすくなります。発注者が初めて見ることを前提に、「資料を開けば意味が分かるか」「関連資料にたどり着けるか」を確認することが、完成検査前の品質向上につながります。


また、修正履歴を残すことも大切です。完成検査前に電子成果品を修正した場合、何を、なぜ、いつ修正したのかを社内で把握できるようにしておくと、誤って古いデータに戻すリスクを減らせます。特に複数人で納品データを作成している場合、最終版の管理を徹底しなければ、確認済みファイルを上書きしたり、未確認ファイルを納品対象に入れたりする恐れがあります。納品直前ほど作業が集中するため、最終版の確定手順を明確にしておくことが重要です。


完成検査前の確認は、受注者の信用にも関わります。電子納品データが整っていれば、検査時の資料提示が早くなり、発注者とのやり取りも円滑になります。逆に、どこに何があるか分からない状態では、現場の施工品質とは別に、書類管理や納品管理への不安を与えてしまいます。電子納品要領に準拠することは最低限であり、そのうえで説明しやすい成果品に仕上げることが、受注者の納品責任を実務上の信頼につなげます。


ポイント4:納品後を見据えてデータの再利用性を高める

四つ目のポイントは、納品後を見据えてデータの再利用性を高めることです。電子納品は、完成検査に対応するためだけの作業ではありません。発注者は納品されたデータを保管し、将来の維持管理、改修、災害対応、更新計画、類似工事の参考資料として利用する可能性があります。そのため、受注者は「提出できるデータ」ではなく「使えるデータ」を納める意識を持つ必要があります。


再利用性を高めるためには、データの意味が分かることが重要です。ファイルを開けば内容は見えるとしても、どの場所の写真なのか、どの図面が最終版なのか、どの帳票がどの施工範囲に対応しているのかが分からなければ、将来の利用価値は下がります。電子納品要領で求められる管理情報は、こうした情報を整理するための基盤です。受注者は、管理情報を単なる入力項目として扱うのではなく、成果品を検索し、理解し、再利用するための案内情報として整えるべきです。


位置情報や時系列の整理も再利用性に関係します。工事写真や出来形記録が、どの測点、どの構造物、どの施工段階に対応するのかが明確であれば、完成後の確認が容易になります。特に、地下埋設物、不可視部分、補修箇所、出来形確認箇所、材料使用箇所などは、完成後に現地で目視できない場合があります。施工中に得た情報を位置や時期と結び付けて残しておくことは、発注者の維持管理だけでなく、受注者が後から説明を求められた場合の根拠にもなります。


再利用性を損なう典型的な問題は、データが属人的に整理されていることです。担当者だけが意味を理解している略称、現場内だけで通じるフォルダ名、作成日や版が分からないファイル、似た名前の重複データは、納品後に第三者が扱うときの障害になります。電子納品では要領に従った最終構成に整えることが前提ですが、その前段階でも、できるだけ客観的で分かりやすい名前と整理方法を使うことが望まれます。


また、不要なデータを入れすぎないことも再利用性の一部です。電子データは紙よりも多く保存できるため、念のために何でも入れたくなります。しかし、重複した写真、途中版の資料、関係の薄い参考ファイル、個人情報を含む不要資料が混在すると、発注者が必要な成果品を探しにくくなります。納品対象として必要なものを適切に選び、対象外のものを混ぜない判断も、受注者の責任です。多ければよいのではなく、必要な情報が過不足なく整理されていることが重要です。


オンラインでの提出が関係する案件では、納品後の受領確認や登録状況にも注意が必要です。国土交通省関連では、オンライン電子納品実施要領【工事編】・【業務編】(令和7年3月)が2025年3月28日に掲載されています。([国土交通省][5]) ただし、実際の提出方法や対象範囲は案件ごとの指定に従う必要があります。受注者は、データを送信した時点で終わりと考えるのではなく、発注者が受領できたか、必要な確認が完了したか、差し戻しや再提出の有無はないかまで確認することが大切です。


納品後を見据えるという意味では、自社側の保管も軽視できません。発注者へ成果品を納めた後も、一定期間は問い合わせや確認が発生する可能性があります。受注者側で最終納品データ、確認結果、協議記録、修正履歴を整理して保管しておけば、後日の照会に迅速に対応できます。特に、複数の現場を並行して担当する会社では、担当者の異動や退職があっても内容を追えるように、社内標準の保管ルールを整えることが望まれます。


電子納品の再利用性は、建設業務全体の生産性にも関わります。過去の成果品が使いやすければ、次の設計や工事で現地条件を把握しやすくなり、調査の重複を減らし、維持管理の判断も早くなります。受注者にとっても、過去案件の情報を活用できれば、類似工事の準備、施工計画、品質管理、リスク把握に役立ちます。電子納品要領への対応を単なる義務として終わらせず、現場情報を資産化する取り組みとして捉えることが大切です。


電子納品要領への対応を現場力に変える

電子納品要領への対応は、実務担当者にとって負担に感じられることがあります。フォルダ構成、ファイル形式、管理情報、写真整理、図面管理、確認作業など、守るべき項目が多く、完成前の忙しい時期には大きな作業になります。しかし、電子納品を「最後に整える書類作業」と考えるほど負担は増えます。反対に、着手時から情報管理のルールとして組み込み、施工中に少しずつ成果品を作り込めば、完成時の手戻りを大きく減らせます。


受注者が押さえるべき納品責任の要点は、四つに整理できます。第一に、適用要領と事前協議を着手時に確定し、案件ごとのルールを明確にすることです。第二に、施工中から電子成果品を作り込み、写真、図面、帳票、協議記録を後から説明できる状態で蓄積することです。第三に、完成検査前に要領準拠と説明可能性の両面から確認し、形式だけでなく内容のつながりを点検することです。第四に、納品後の保管や維持管理で使えるデータとして、再利用性を意識して整えることです。


この四つを実行するうえで重要なのは、電子納品を専門担当者だけの作業にしないことです。現場代理人、主任技術者、監理技術者、施工担当者、写真担当者、事務担当者、協力会社が同じ方針で動かなければ、最終的な電子成果品の整合性は保てません。電子納品要領は成果品の形式を定めるものですが、その品質は日々の現場運営によって決まります。現場で情報をどう集め、どう確認し、どう残すかが、納品時の品質に直結します。


特にこれからの電子納品では、現場で取得するデータの正確性と即時性が重要になります。写真や記録に位置や時刻の情報を適切に結び付け、施工状況を客観的に残せれば、電子成果品の説明力は高まります。測量、写真、出来形、点検、維持管理の情報がばらばらに存在するのではなく、現場の事実としてつながっていくことで、納品データは単なる提出物から、次の業務に活用できる情報資産へ変わります。


電子納品要領に対応することは、発注者のためだけではありません。受注者にとっても、検査対応の効率化、手戻りの削減、社内標準化、若手担当者への引き継ぎ、完成後の問い合わせ対応に役立ちます。要領を守ることを目的にするのではなく、要領を使って現場情報を整理し、説明責任を果たし、将来使える成果品を納めることが本質です。現場で取得した情報を正確に記録し、電子納品に活かす体制を整えたい場合は、日々の測位・写真記録・現場情報管理を一体で進める社内ルールやツールの整備へつなげることができます。


[2](https://www.cals-ed.go.jp/ [2)]: [https://www.cals-ed.go.jp/cri_point/ [3](https://www.cals-ed.go.jp/cri_point/ [3)]: [https://www.cals-ed.go.jp/cri_guideline/ [4](https://www.cals-ed.go.jp/cri_guideline/ [4)]: [https://www.cals-ed.go.jp/checksys-release-20260401/ [5](https://www.cals-ed.go.jp/checksys-release-20260401/ [5)]: [https://www.cals-ed.go.jp/online-ed-20250328/ [6](https://www.cals-ed.go.jp/online-ed-20250328/ [6)]: [https://www.cals-ed.go.jp/ed_description/ ](https://www.cals-ed.go.jp/ed_description/ )


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