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ドローン測量でGNSSが不安定なときの対処法5つ

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

ドローン測量でGNSSが不安定になると何が起こるのか

ドローン測量でGNSSが不安定になる主な原因

対処法1 離着陸地点と上空視界を見直す

対処法2 電波環境と周辺構造物の影響を切り分ける

対処法3 観測開始前の初期化と固定状況の確認を徹底する

対処法4 飛行計画と撮影条件をGNSS前提で組み直す

対処法5 補完手段を用意して再測を防ぐ

GNSSが不安定な現場で実務担当者が押さえる判断基準

まとめ


ドローン測量でGNSSが不安定になると何が起こるのか

ドローン測量の現場では、機体性能やカメラ性能、飛行計画ばかりに意識が向きやすい一方で、実務上の品質を大きく左右するのが位置情報の安定性です。とくにGNSSが不安定になると、飛行そのものは一見問題なく終わっていても、後工程で成果の信頼性に疑問が生じることがあります。現場担当者にとって厄介なのは、GNSSの不安定さがその場で派手な異常として現れるとは限らない点です。撮影は完了したのに、処理後にオルソ画像の位置がずれる、点群の整合が甘い、既設図や既知点と比較すると合わない、繰り返し計測で差が大きいといった形で、あとから問題化することが少なくありません。


ドローン測量におけるGNSSの役割は、単に機体のおおよその現在地を知るためだけではありません。飛行の安定性、撮影位置の再現性、撮影データの位置付け、後処理時の初期値の信頼性など、複数の工程に関わっています。そのため、GNSSが不安定な状態を放置したまま作業を進めると、現場では何となく撮れたように見えても、成果作成の段階で余計な確認作業や再測が発生しやすくなります。測量実務では、この再測の発生こそが大きな損失です。人員、移動、天候待ち、関係者調整、現場立ち会いなど、目に見えない負担が一気に増えるからです。


また、GNSSの不安定さは必ずしも山間部や市街地だけの問題ではありません。開けた造成地や仮設が多い工事現場でも、周囲の金属資材、法面、盛土、仮囲い、重機、送電設備、通信状態、離着陸位置の選び方などによって観測品質がぶれることがあります。つまり、特定の難しい現場だけに起きる特殊な問題ではなく、どの現場でも起こりうる一般的なリスクとして扱う必要があります。


だからこそ重要なのは、GNSSが不安定になったときに慌てて場当たり的に対応するのではなく、原因を切り分けながら、飛行前、飛行中、飛行後のそれぞれで対処できるようにしておくことです。本記事では、ドローン測量でGNSSが不安定なときに現場で実践しやすい対処法を5つに整理して解説します。単なる機能説明ではなく、実務担当者が現場でどのように判断し、どこを見直し、どうすれば再撮影や手戻りを減らせるかという観点でまとめます。


ドローン測量でGNSSが不安定になる主な原因

対処法を理解する前に、まずはなぜGNSSが不安定になるのかを整理しておくことが大切です。原因を曖昧なままにすると、現場で起きている問題が機体由来なのか、周辺環境由来なのか、運用手順由来なのかを見誤りやすくなります。すると、本来は離着陸位置を変えるだけで済んだのに設定だけを何度も見直したり、逆に設定の見直しが必要なのに場所を変えることばかり試したりして、時間を浪費してしまいます。


GNSSが不安定になる典型的な原因の一つは、衛星からの信号を受けにくい空間条件です。上空が十分に開けていない場所では、受信できる衛星数が減ったり、方位の偏りが大きくなったりしやすくなります。周囲に高い建物、法面、樹木、橋梁、仮設構造物などがあると、見かけ上は空が見えていても、実際には受信条件が良くないことがあります。とくに低い仰角方向が遮られると、測位の安定性に影響が出やすくなります。


二つ目は反射の影響です。GNSS信号は非常に微弱であるため、周囲の金属面、水面、ガラス面、大型重機、鋼材、フェンスなどで反射した信号を拾うと、誤差が増えやすくなります。これは上空が開けていても起こり得るため、単純に開放空間だから安全とは言い切れません。造成現場や資材置き場のように金属物が多い場所では、見落としやすい要因です。


三つ目は通信環境や補正情報の取得状態です。高精度な位置決めを行う運用では、補正情報の受信状態や初期化状況が安定していることが前提になります。通信が弱い、遮蔽物が多い、基地局やネットワークへの接続が安定しないといった状況では、固定解に入るまで時間がかかったり、途中で精度状態が変化したりすることがあります。現場担当者が見逃しやすいのは、通信が一時的につながっているだけで安心してしまうことです。瞬間的につながることと、測量品質に耐える状態が続くことは別です。


四つ目は、観測開始のタイミングや手順の問題です。現場に着いてすぐ離陸したり、初期化が十分でないまま作業を始めたりすると、その後の飛行全体に不安定さを引きずることがあります。飛行時間を優先するあまり、準備段階を短縮してしまう現場では起こりやすい問題です。GNSSは目に見えて動く部品ではないため、つい確認を省きがちですが、ここを省くと取り返しのつかない手戻りにつながります。


五つ目は、飛行計画自体が現場条件と合っていないことです。長距離飛行、地形起伏の大きいルート、低高度での連続飛行、障害物際の飛行、複数バッテリーをまたぐ運用などは、GNSSが少し不安定になっただけでも品質リスクを増幅させます。本来であれば、現場の受信状況に応じて飛行範囲や高度、コース取り、重複率、基準点の取り方を変えるべきなのに、いつもと同じテンプレートで飛ばしてしまうことで問題が大きくなります。


このように、GNSSの不安定さは単一の原因で起きるとは限りません。場所、環境、通信、手順、計画の複合要因で起きることがほとんどです。したがって対処も、一つの設定変更だけで解決しようとするのではなく、現場条件を順に切り分けながら整えていく発想が必要です。


対処法1 離着陸地点と上空視界を見直す

もっとも基本的で、かつ効果が大きい対処法が、離着陸地点の見直しです。GNSSが不安定なとき、多くの現場で最初に疑うべきなのは機体ではなく場所です。同じ現場内でも数十メートル移動するだけで受信状況が改善することは珍しくありません。それにもかかわらず、機材搬入がしやすい場所、車を止めやすい場所、作業者が集まりやすい場所をそのまま離着陸地点にしてしまい、結果として受信条件の悪い位置から作業を始めてしまうケースがあります。


離着陸地点を選ぶ際に重要なのは、単に平らで安全に機体を置けるかだけではありません。上空の開け方、周辺の遮蔽物、反射源の有無、通信の通りやすさまで含めて判断する必要があります。たとえば、法面の近く、樹木の際、仮設ハウスの脇、鋼材や重機の近く、ガードレール沿い、橋の下流側の空間などは、一見すると作業しやすくても、GNSS的には好条件とは言えない場合があります。特に金属物や大型構造物に近接した位置は、受信そのものよりも反射の影響を受けやすいため注意が必要です。


現場では、まず候補地点を複数持つ意識が大切です。最初の場所で状態が安定しないなら、すぐに別地点に移る判断ができるようにしておくべきです。離着陸地点の変更は、現場では面倒に見えるかもしれません。しかし、そこで5分から10分の見直しを行うほうが、飛行後に位置ずれを疑って何時間も確認するよりはるかに効率的です。測量では、飛ばすこと自体が目的ではなく、信頼できる成果を得ることが目的です。したがって、離陸の早さよりも開始条件の良さを優先するべきです。


また、上空視界を見るときは真上だけを見るのでは不十分です。低い角度まで広く空が開けているか、特定の方向だけ大きく遮られていないか、周囲に反射しそうな面がないかを確認します。現場で立った位置から感覚的に判断するだけでも差はありますが、慣れていない場合は、周囲を一周して見上げ、どの方向が閉じているかを確認する習慣を持つと判断しやすくなります。市街地や山間部だけでなく、資材置き場や仮設が多い土木現場でもこの確認は有効です。


離着陸地点を見直す際は、飛行ルートとの関係も確認します。開始地点だけ受信条件が良くても、すぐに遮蔽の強いエリアへ入る飛行では意味がありません。離陸地点から最初の旋回、上昇、撮影開始位置まで含めて、機体が安定しやすい導線を確保することが大切です。とくに自動飛行を使う場合は、開始直後の挙動が安定していることが、その後のデータ品質にも影響します。


現場でGNSSが不安定なとき、機材の設定や再起動に意識が向きがちですが、まずは場所を疑うという順番を持つだけで、トラブルの初動はかなり改善します。離着陸地点の選定は地味ですが、ドローン測量の品質を左右する土台です。


対処法2 電波環境と周辺構造物の影響を切り分ける

GNSSが不安定な現場では、単に衛星の見え方だけでなく、周辺環境から受ける影響を切り分けることが重要です。ここでいう切り分けとは、何となく悪そうだと感じるものを全部避けようとするのではなく、どの要因がどの程度効いていそうかを整理し、改善の優先順位をつけることです。これができると、現場での判断が速くなり、無駄な試行錯誤が減ります。


まず確認したいのは、金属物や大型構造物の近接です。重機、鋼材、仮囲い、フェンス、資材コンテナ、鉄骨、橋梁、金属屋根の近くでは、反射による影響を受けやすくなります。こうした環境では、受信状態の表示が完全に悪化していなくても、位置のばらつきが増えることがあります。現場担当者としては、表示上の正常だけで安心しないことが大切です。少しでも条件が怪しい場合は、離着陸地点を数メートルから数十メートルずらし、周辺の反射源との距離を取るだけで改善する可能性があります。


次に確認したいのが、水面や濡れた地表の存在です。河川沿い、調整池周辺、水たまりの多い造成地、雨上がりの舗装面などでは、反射条件が変わることがあります。水面そのものが直ちに使えない条件を意味するわけではありませんが、周囲の構造物と重なることで影響が大きくなる場合があります。とくに低高度での飛行や、水辺に近い離着陸位置では慎重な判断が必要です。


さらに、通信状態も同時に確認すべきポイントです。GNSSの不安定さと通信の不安定さは別の問題ですが、高精度な位置決めの運用では両者が現場感覚として一体化して見えることがあります。つまり、衛星受信は悪くないのに補正情報の取得が安定せず結果として精度状態が安定しない、あるいは逆に通信は通っているのに周辺反射の影響で位置が落ち着かないということが起こります。ここを混同すると対処を誤ります。通信が弱い場所なら通信環境の良い地点へ移る、反射が疑わしいなら反射源から離れる、といった具合に原因ごとに動き方を分ける必要があります。


現場で簡単にできる切り分けの考え方は、場所を変えて状態を見ることです。少し移動して改善するなら、周辺環境の影響が強い可能性があります。時間を置いて改善するなら、初期化や補正情報の取得状態が原因かもしれません。特定方向に飛ばすと不安定になるなら、飛行ルート上の遮蔽や構造物の影響が考えられます。こうした観察を積み重ねると、単に機体の不調と片づけずに済みます。


また、現場では作業者同士の認識共有も重要です。GNSSが不安定と一言で言っても、操縦担当、測量担当、成果処理担当では見ている現象が異なることがあります。操縦側は機体の落ち着きの悪さとして感じ、測量側は固定状態の維持しづらさとして感じ、処理側は位置合わせのしにくさとして感じるかもしれません。これらを別々の問題として扱うのではなく、周辺環境の影響という一つの軸で共有できると、現場判断の質が上がります。


電波環境や周辺構造物の影響は、目に見えにくい分だけ過小評価されがちです。しかし、ドローン測量ではこの見えにくい条件が成果の安定性を大きく左右します。見た目の作業しやすさだけで場所を決めず、周辺環境がGNSSに与える影響を常に疑うことが、再撮影防止の第一歩です。


対処法3 観測開始前の初期化と固定状況の確認を徹底する

GNSSが不安定なときに見落とされやすいのが、観測開始前の初期化と状態確認です。現場では、準備が整ったら早く飛ばしたいという心理が働きます。とくに天候の変化が気になる日や、関係者の立ち会い時間が限られている現場では、その傾向が強くなります。しかし、ここで数分を惜しんで開始条件を甘くすると、後で何倍もの時間を失うことになります。


高精度な位置決めを前提とするドローン測量では、単に衛星を捕捉していることと、測量品質に耐える観測状態に入っていることは同じではありません。受信衛星数、測位状態、補正情報の受信状況、固定の安定性、時間経過による収束の様子などを、開始前にきちんと見ておく必要があります。ここで大切なのは、画面上の表示を一瞬見て判断しないことです。開始時点で一度良さそうに見えても、しばらくすると状態が揺れる場合があります。短時間でも安定して維持できているかを見ることが重要です。


実務では、現場到着後すぐ離陸するのではなく、機体や受信機器を設置してから少し状態を見る時間を確保するだけでも違いが出ます。この時間は待ち時間ではなく、品質確認の時間です。測量では、撮影枚数や飛行時間が予定通りであること以上に、開始条件が妥当だったかどうかが成果品質を左右します。特にGNSS不安定が疑われる現場では、初期化を急がないことが有効です。


また、固定状況が一度取れたからといって安心しないことも大切です。安定して維持できるかどうか、離陸前後で状態が変わらないか、補正受信が途切れないか、飛行計画の開始位置で問題がないかを確認します。ここで少しでも不安が残るなら、離陸を先送りしてでも原因を切り分けるべきです。測量の現場で最も避けたいのは、問題を認識しながら見切り発車してしまうことです。経験上うまくいくこともありますが、品質管理の観点では再現性が低く、組織的な運用には向きません。


さらに、現場ごとに確認項目を言語化しておくと効果的です。たとえば、上空視界の確認、周辺反射源の確認、通信状態の確認、補正取得の確認、固定状態の安定確認、離着陸地点の妥当性確認といった流れを、担当者が共通手順として持っておくと判断がぶれにくくなります。GNSSの不安定さは感覚的に扱うほど再発しやすいため、確認作業を個人の勘に依存させないことが重要です。


観測開始前の確認を徹底すると、結果として飛行そのものも落ち着きやすくなります。操縦担当者は不要な不安を抱えずに済み、測量担当者は成果の前提条件に自信を持てます。GNSSが不安定な現場ほど、開始前の数分が最も価値のある時間になります。


対処法4 飛行計画と撮影条件をGNSS前提で組み直す

GNSSが不安定な現場でありがちな失敗は、普段の成功パターンをそのまま当てはめてしまうことです。いつも同じ飛行高度、同じ重複率、同じコース設定、同じ範囲分割で問題なかったとしても、GNSS条件が悪い現場ではそのままでは通用しないことがあります。重要なのは、現場条件に応じて飛行計画そのものを調整することです。


まず見直したいのは、一度に飛ばす範囲です。GNSSが不安定な現場で広範囲を一気に取ろうとすると、途中で観測状態が揺れた際の影響が大きくなります。範囲が広いほど、どこで問題が起きたかの切り分けも難しくなります。そのため、状況が怪しいときは範囲を分割し、短い単位で確実に取得するほうが安全です。処理の手間は多少増えても、再測のリスクを下げられるなら実務上のメリットは大きいです。


次に、飛行ルートの取り方を見直します。周辺に遮蔽物が多い、特定方向で受信条件が悪い、地形起伏が大きいといった場合には、問題の出やすい方向を避ける、開始位置を変える、余裕のあるルートにするなどの工夫が必要です。測量対象を効率よく覆うことだけでなく、機体が安定しやすい導線を作ることが重要です。特に自動飛行では、最初のコース取りが後の品質に影響しやすいため、単純な最短経路よりも安定性を優先した設計が有効です。


撮影条件の面では、重複率にも注意が必要です。GNSSが不安定な場合、後処理での整合性を高めるために、画像間のつながりを十分に確保しておくことが有効です。ただし、闇雲に重複率を上げればよいわけではなく、飛行時間やバッテリー消費、処理負荷とのバランスが必要です。大切なのは、現場条件が悪いほど後工程に頼れる余地を増やすという考え方です。GNSS条件が万全でないなら、撮影のつながりや補完情報で品質を支える設計が必要になります。


また、低高度すぎる飛行や障害物際の飛行は、GNSSが少し不安定なだけでも影響を受けやすくなります。対象物に寄せすぎた計画は、一見すると高精細な成果につながりそうですが、安定した位置情報が得にくい環境では逆効果になることがあります。必要な精度と安全性、安定性のバランスを取りながら、無理のない条件へ寄せることが重要です。


地形変化の大きい現場では、高低差の取り扱いも見直すべきです。尾根、谷、法面、盛土、切土が混在する場所では、同じ高度設定でも実際の対地条件が大きく変わります。こうした場所でGNSSが不安定だと、撮影品質のばらつきや後処理時の難しさが増します。そのため、現場全体を一律に扱うのではなく、地形ごとに計画を分ける発想が有効です。


飛行計画の見直しは、単なる効率調整ではありません。GNSSが不安定な環境で成果品質を守るための品質設計です。測量の目的が平面図作成なのか、土量確認なのか、出来形把握なのかによっても許容できるリスクは異なります。だからこそ、現場条件が悪いときほど、いつも通り飛ばすのではなく、目的に対して必要十分な計画へ組み直すことが求められます。


対処法5 補完手段を用意して再測を防ぐ

GNSSが不安定な現場では、最も重要な考え方の一つが、GNSSだけに全てを預けないことです。もちろん位置情報は測量品質の核ですが、実務では何か一つの条件が崩れたときに全体が破綻しないよう、補完手段を持っておくことが大切です。現場で本当に困るのは、飛行後に問題へ気づいたにもかかわらず、その場で品質を支える材料が何も残っていない状態です。


補完手段としてまず考えたいのは、基準となる情報を現場で押さえておくことです。たとえば、既知点や現地で確認できる基準の扱いを丁寧にするだけでも、後工程で位置の妥当性を確認しやすくなります。GNSSが完全に安定していなくても、比較対象があれば成果を評価できます。逆に、比較対象がなければ、問題が起きたときにどこまで信用してよいか判断できません。


また、現場写真や記録を残しておくことも見逃せません。離着陸地点の状況、周辺の遮蔽物、通信状態が悪かった場所、飛行中に気になった挙動などを記録しておけば、後で処理担当者が状況を推測しやすくなります。GNSS不安定時の問題は、現場にいた人しか分からない情報が多いものです。記録を残さずにデータだけ渡すと、後工程で原因不明の位置ずれとして扱われ、余計な確認が増えます。


さらに、必要に応じて現場取得の方法を複線化する発想も大切です。たとえば、重要箇所だけは別条件で取り直せるようにしておく、確認用の観測を追加する、後工程で照合しやすい材料を確保しておくなど、全面再測を避けるための工夫が有効です。すべてを完璧に二重化する必要はありませんが、重要な対象や境界となる部分だけでも品質確認の逃げ道を作っておくと、万一の際に助かります。


補完手段を持つという考え方は、GNSSを信用しないという意味ではありません。むしろ、高精度な位置情報を現場で確実に生かすために、他の情報で支えられる状態を作るということです。測量実務では、単一条件への依存が強いほどトラブル時の損失が大きくなります。反対に、複数の確認材料を持っていれば、多少の不安定さがあっても全体として品質を守りやすくなります。


特に工事現場では、日々状況が変わります。昨日は問題なかった場所でも、今日は重機配置や仮設物の追加で条件が変わっているかもしれません。そのため、過去の成功体験だけに頼らず、毎回補完手段を意識した準備をすることが大切です。GNSSが不安定な現場で本当に強い運用とは、問題をゼロにする運用ではなく、問題が起きても再測せずに立て直せる運用です。


GNSSが不安定な現場で実務担当者が押さえる判断基準

ここまで5つの対処法を紹介してきましたが、現場では常に時間制約があるため、すべてを丁寧に検討しきれないこともあります。そこで実務担当者にとって重要なのが、続行するか、条件変更するか、中断するかの判断基準を持つことです。GNSSが不安定だから即中止という単純な話ではありませんが、不安定さを許容できる作業と、絶対に許容してはいけない作業を分けて考える必要があります。


まず、成果物の用途を基準に考えることが大切です。概況把握や進捗確認のように、相対的な変化を大まかに捉えることが主目的の作業と、位置の信頼性が強く求められる測量成果では、求められる条件が異なります。GNSSが少し怪しい状態でも進められる業務と、開始条件が少しでも不安なら見直すべき業務を区別しなければなりません。これを曖昧にすると、後で関係者との認識齟齬が生じます。


次に、改善傾向があるかどうかを見ることです。場所を変えたら安定してきた、時間を置いたら状態が落ち着いた、飛行範囲を分けたら問題が出にくくなったというように、改善が確認できるなら、条件付きで続行できる可能性があります。一方で、何をしても状態が揺れる、原因が絞れない、飛行ごとに挙動が大きく異なるといった場合は、無理に進めない判断も必要です。現場では、少し良くなったから大丈夫だろうと期待して続けた結果、後工程で全面的に疑義が出ることがあります。改善の有無は、感覚ではなく変化として捉えることが重要です。


また、その場で説明できる状態かどうかも判断基準になります。測量成果は、後でなぜその条件で実施したのかを説明できることが重要です。離着陸地点を変更した理由、飛行範囲を分割した理由、確認用情報を追加した理由が明確なら、運用として筋が通っています。逆に、何となくうまくいきそうだから続けたという判断は、品質管理上弱いです。実務では、成功したかどうかだけでなく、判断が合理的だったかどうかが問われます。


さらに、再訪コストも現実的な判断材料です。再訪が極めて困難な現場では、その場で取れる補完情報を最大限確保する方向で動くべきです。反対に、再訪可能性が比較的高い現場なら、無理に低品質なデータを取りにいくより、条件が整うタイミングへ寄せたほうがよい場合もあります。ここで重要なのは、無理に一回で終わらせようとすることが必ずしも最善ではないということです。測量は、回数の少なさではなく、成果の信頼性で評価されます。


GNSS不安定時の判断で最も危険なのは、現場での不安を後工程へ持ち越すことです。現場担当者が少しでも怪しいと感じたなら、その違和感を記録し、必要なら条件を変え、場合によっては止める勇気を持つことが大切です。ドローン測量は効率のよい手法ですが、効率を優先しすぎて品質判断を甘くすると、本来のメリットを失ってしまいます。


まとめ

ドローン測量でGNSSが不安定なときは、機体や設定だけを疑うのではなく、離着陸地点、周辺環境、初期化手順、飛行計画、補完手段まで含めて総合的に見直すことが大切です。現場で起きるGNSSトラブルの多くは、単一の原因ではなく、環境と運用の組み合わせで起きています。そのため、対処も一つの設定変更で済ませようとせず、順番に切り分けていく姿勢が重要です。


今回紹介した5つの対処法は、特別な現場だけに通用するものではありません。離着陸地点を見直すこと、反射や遮蔽物の影響を疑うこと、開始前の状態確認を省かないこと、飛行計画を現場条件に合わせること、そして補完手段を持つことは、どの現場でも再撮影防止に役立つ基本です。とくに実務では、飛ばせるかどうかではなく、信頼できる成果につながるかどうかを基準に判断する必要があります。


GNSSが不安定な現場ほど、測量担当者の段取り力と判断力が結果に直結します。見た目には同じように飛行できていても、開始条件や現場判断の差が、後工程の品質差として表れます。だからこそ、現場で違和感を覚えたときに立ち止まり、原因を整理し、条件を整え直す習慣が重要です。その積み重ねが、再測の少ない安定した運用につながります。


また、日々の測位確認や現地での位置把握をより確実に進めたい現場では、地上側で高精度な位置情報を扱いやすくする工夫も効果的です。たとえば、現場の基準確認、補助的な位置出し、撮影前後の位置管理をスムーズにしたい場合には、LRTKのようなiPhone装着型GNSS高精度測位デバイスを活用することで、現場での判断材料を増やしやすくなります。ドローン測量の品質を安定させるには、空からの取得だけでなく、地上での位置管理をどう支えるかも重要です。GNSSが不安定になりやすい現場ほど、空と地上の両面から測位を考える視点が、手戻りの少ない運用につながります。


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