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老朽化したインフラの維持管理の課題と解決策:土木・建設業界の最新取り組み事例

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

高度経済成長期に整備された日本の社会インフラが次々と老朽化し、維持管理の負担が年々増大しています。特に上下水道インフラは、人々の生活を支える重要なライフラインでありながら、老朽化による事故リスク維持費用の増加、そして人材不足といった課題に直面しています。本記事では、自治体インフラ管理担当者や建設コンサルタント、中小建設会社・大手ゼネコンの技術者といった土木・建設業界の専門家を想定読者に、老朽化インフラ維持管理の現状と課題を整理し、最新技術の活用事例や官民連携モデルによる解決策を紹介します。記事の最後では、スマートフォンと高精度GNSS受信機を用いたLRTKによる簡易測量が上下水道の維持管理にどのように役立つかにも触れ、今後の展望を考察します。


老朽化した上下水道インフラ維持管理の現状と課題

日本各地で上下水道管路や処理施設の老朽化が深刻化しています。水道・下水道の多くは1960~70年代に集中的に整備されたため、現代では一斉に更新期を迎える状況です。耐用年数(法定耐用年数約40~50年)を超過した管路の割合は年々上昇し、2020年代前半で全体の2割以上に達しています。現在も耐用年数超過の老朽管が使われ続けており、全国で年間2万件以上もの漏水・破損事故が発生するなど、インフラの信頼性低下が懸念されています。また、老朽インフラは大規模災害時に被害を拡大させる要因にもなります。実際、2024年の能登半島地震では上下水道施設が深刻な損傷を受け、約14万世帯が断水する事態となりました。こうした現状から、老朽化したインフラの計画的な更新と保守が喫緊の課題となっています。


主な課題:


モニタリング・点検の負担が大きい: インフラ設備の劣化を早期に発見するには定期的なモニタリングや点検が欠かせません。しかし従来の点検は人手による目視や打音検査に頼る部分が大きく、上下水道管や施設の隅々までチェックするのは容易ではありません。例えば長大な管路網の点検には多くの人員と時間を要し、作業員の安全確保のため夜間作業や交通規制が必要になる場合もあります。結果として点検の頻度・範囲が限られ、劣化の見落としや対応の遅れに繋がるリスクがあります。

補修・更新にかかるコストと財政負担: 老朽化したインフラの補修・改修には巨額の費用が必要ですが、多くの自治体で財政的な余裕がないのが実情です。人口減少や節水意識の高まりにより水道料金収入は減少傾向にある一方、老朽施設の更新投資は増加し収支バランスが悪化しています。総務省の調査では2022年度に約12%の水道事業体が経営赤字に陥っているとの報告もあります。現在の更新ペースでは全ての水道管を更新するのに100年以上かかるとも試算されており、従来通りのやり方ではインフラ維持が立ち行かなくなる恐れがあります。

技術者不足と技能継承の問題: インフラ維持管理の現場では、担い手である技術者の高齢化と数の減少が深刻です。水道事業に従事する職員数はピーク時の1990年に約8万人でしたが、2020年代には約7万2千人まで減少しました。特に地方の小規模事業体では、新規採用が少なくベテラン職員が定年で抜けることで人手不足が顕著です。限られた人員で日常業務と膨大な設備管理を両立させる負担が増すと同時に、熟練者のノウハウが属人化して引き継ぎが難しくなるという課題も抱えています。人海戦術に依存した従来手法では効率化に限界があり、維持管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)による省力化・標準化が求められています。


以上のように、老朽インフラを抱える現場では「点検負担の重さ」「更新資金不足」「人材・技術力の不足」という三重苦に直面しています。これらの課題を乗り越えるため、土木・建設業界では近年さまざまな最新技術新しい事業モデルを取り入れ、維持管理の効率化と高度化を図る取り組みが進んでいます。


維持管理を効率化する最新技術の活用

急速に進歩するテクノロジーは、インフラ維持管理の現場にも革新をもたらしています。AI・IoT、センサー、ロボット、ドローン、LiDAR、3Dモデル、クラウド連携など、かつてはSFのようだった技術が実務に応用され始め、点検の自動化データ活用による予防保全が現実のものとなりつつあります。ここでは、上下水道インフラの維持管理に役立つ主な先端技術と、その活用事例を紹介します。


AI・IoTセンサーによるインフラ状態監視

AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)技術は、インフラの状態監視や異常検知に新たな可能性を提供しています。例えば、水道管の漏水検知では、人工衛星データをAI解析して地表から見えない漏水箇所を広域に特定する試みが始まっています。上空からのマイクロ波データで水分の分布を捉え、AIが雨水と漏水を識別することで、地中の漏水発生エリアを従来より効率的に絞り込めます。直径200m程度の範囲に漏水の疑い箇所を抽出できる技術も登場しており、広範囲な漏水調査に費やす労力を大幅に削減できると期待されています。


また、配水管や下水道管の劣化予測にもAIが活用されています。管の埋設年数・材質・土壌環境などのビッグデータをAIが分析し、どの管がどれくらい劣化しているか、破損リスクが高いのはどこかを予測する技術です。これにより、事前に更新が必要な区間を優先順位付けして計画的な管路更新に役立てることができます。実際に、水道管路の破損確率をAIで算出し、更新計画立案に反映するシステムが一部自治体で導入されています。限られた予算をどこに投じれば効果的かをデータに基づき判断できるため、無駄のない予防保全が可能になります。


さらに、IoTセンサーを用いたリアルタイム監視も広がっています。浄水場・ポンプ場などの施設内にネットワークカメラや振動センサー、圧力センサーを設置し、設備稼働状況や異常振動を24時間モニタリングする仕組みです。例えばNTTグループとメタウォーター社は、上下水道施設の巡回点検を自動化する実証実験を開始し、現場に設置したIoTセンサーやカメラのデータをAIで分析することで、異常兆候を自動検知するシステムの開発に取り組んでいます。これが実現すれば、人が常駐せずとも遠隔から施設の状態を把握し、異常時には迅速に対応するといったスマート維持管理が可能となります。


ロボット・ドローンを活用した点検自動化

物理的なインフラ点検の領域でも、ロボット技術やドローン(無人航空機)の導入が進んでいます。これらは人間に代わって危険な場所や狭隘な空間での点検を担うことで、安全性向上と作業効率化に寄与します。


地上巡回ロボット・水中ロボット: 上下水道施設内の点検では、四足歩行ロボットや水中ロボットが注目されています。例えば下水処理場では、広大な施設内の機器点検に四足歩行型の巡回ロボットを導入し、人がいちいち見回らなくてもロボットがセンサーで各装置の数値を読み取り、データを自動収集する実証が行われています。足場の悪い場所や暗所でもロボットが代替できれば、作業員の負担や危険を減らせます。同じく、水中を走行するロボットカメラを下水道管内に投入し、内部の亀裂や沈殿物の状況を調査する試みもあります。従来は作業員が直接マンホールから降りて確認していた狭い下水管内も、ロボットならば人身事故のリスクなく点検できます。


ドローン(無人航空機)点検: ドローンは上空や閉鎖空間での撮影に強みを持つため、従来人が近寄れなかった場所の点検に革命を起こしています。例えば、水道橋(河川を跨ぐ水道管橋)や高架水槽の点検では、足場を組んだり高所作業車を使わずとも、ドローンに搭載した高解像度カメラで構造物の映像を取得できます。神奈川県営水道では橋梁や配水池の点検にドローンを導入し、様々な角度から設備の劣化具合を確認できる体制を整えています。これにより、人手では見落としがちな微細な腐食やひび割れも映像解析で検出し、早期補修につなげることができます。


また、下水道管の内部調査に球体ドローンと呼ばれる小型飛行ロボットを活用する先進事例も登場しました。兵庫県姫路市では老朽化が進む下水道の点検に直径約40cmの球形ドローン「ELIOS3」を投入し、人が入りにくい管渠内を自律飛行させて撮影する実証を2025年に行いました。従来、人手による下水管点検は有毒ガス(硫化水素)による危険や、カメラ搭載台車では段差越えが困難で調査範囲が限られるといった課題がありましたが、ドローンならば障害物を飛び越えて管内の隅々まで撮影できます。結果、初期診断の効率化と安全性向上につながることが確認されており、今後は定期点検への本格活用が期待されています。


このようにロボット・ドローン技術は、「人が行けない・見えない・危険」な領域のインフラ点検を可能にし、点検作業の省力化と高度化を実現しつつあります。収集された画像やセンサーデータはクラウドに蓄積され、AIが分析することで、さらなる効率化にも結びついています。


デジタルツインとクラウド活用によるデータ共有

インフラ維持管理ではデータの一元管理遠隔からの情報共有も重要です。近年、BIM/CIMやGISを活用したインフラのデジタルツイン(現実の構造物を仮想空間に再現した3Dモデル)が整備されつつあります。LiDAR(レーザースキャナー)や写真測量で取得した高精度3次元データを用いて、上下水道施設や地形の詳細モデルを作成し、これをクラウド上で管理する事例が増えてきました。例えば福岡県苅田町では、水道管路図を紙から電子地図に移行し、平面図と写真、点検履歴などをクラウド上で統合管理することで、職員間でインフラ情報をリアルタイムに共有できる体制を築いています。デジタル地図上に劣化箇所や修繕履歴をプロットしておけば、担当者が替わっても過去の状況をすぐ把握でき、計画的な維持管理に役立ちます。


クラウドプラットフォームを使った遠隔監視・作業支援の例もあります。石川県川北町では浄水場の各種センサー値や設備稼働状況をクラウドの監視システムで可視化し、異常時に担当者へアラートが届く仕組みを導入しました。これにより、少人数でも複数施設を見守れるようになり、非常時対応のスピードも向上しています。また、横浜市水道局ではAR(拡張現実)技術を用いたスマートグラスでの遠隔作業支援を試験的に導入しました。現場の作業員がスマートグラス越しに映す現地映像を、本庁のベテラン技術者がリアルタイムで確認し、音声やARマーカーで指示を送ることで、離れた場所から熟練者の知見を現場に共有できます。これにより、人手不足でも「一人現場に複数人の知恵」を活かすことが可能となり、複雑な作業やトラブル対応の質を落とさずに省力化が図れます。


さらに、民間企業もインフラ管理向けのクラウドサービスを展開しています。例えば株式会社ミライト・ワンは、上下水道事業体向けに調査・診断から施工・保守まで一貫支援する「水道DXソリューション」を提供しています。これは、センサーや点検で収集したデータを同社のクラウド基盤に集約し、管路マップ上で劣化リスクの見える化や、スマートメーターによる遠隔検針データの管理などを行うものです。クラウドに蓄積されたデータを分析することで、日々の運用状況や設備情報を俯瞰でき、現場判断の迅速化や管理業務の効率化に寄与します。


このようにデジタル技術の積極活用は、インフラ維持管理の在り方を根本から変え始めています。点検・施工の現場データが即座にクラウドへ送信・共有され、蓄積した情報をAIが分析して予測保全に活かす、といったサイクルが徐々に実現してきています。これらの取り組み全体を指して「インフラDX」「水道DX」と呼ぶことも増えており、国土交通省も技術カタログの発行や補助制度を通じて自治体での導入を後押ししています。


官民連携(PPP/PFI/DBO等)による維持管理モデルの革新

技術面の刷新と並行して、官民連携による新たな事業スキームの模索も進んでいます。インフラ維持管理を行政だけで担うのが難しくなる中、民間の資金やノウハウを活用するPPP(Public-Private Partnership:官民連携)は重要な選択肢となっています。


代表的なPPP手法としてPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)やDBO(Design Build Operate)があります。PFI方式では、施設の建設や運営を民間企業が受託し、民間資金でインフラ整備を行った上で長期にわたり運営管理も担います。DBO方式は設計・建設・運営を一括して民間に任せる手法で、公共側は所有権を保持しつつ、民間の効率的な運営に委ねます。いずれも、民間の創意工夫や経営効率をインフラ事業に取り入れることで、コスト削減やサービス向上を図る狙いがあります。


上下水道分野でも、これらPPP手法の導入事例が増えてきました。例えば下水処理場の汚泥処理施設では、PFI/DBO方式で民間事業者が設備を整備し、バイオガス発電や肥料化まで一貫運営するケースがあります。宮崎県都城市や広島県呉市などでは、下水道事業に関するPPP/PFIの提案窓口を設置し、民間からの事業提案を積極的に募っています。また、水道事業でも2018年の水道法改正によりコンセッション方式(公共施設等運営権の民間譲渡)が解禁され、宮城県や大阪府などで広域水道の運営権を民間コンソーシアムに設定する動きが進みました。これにより、民間資本の投入で老朽施設の改修を進めたり、人材面でも運営会社が幅広く専門技術者を確保してサービス維持を図るといった効果が期待されています。


官民連携には、民間の持つ最新技術やノウハウを活用できるメリットもあります。たとえばPFI事業では、受託企業がAIによる施設監視やIoT機器の導入を提案し、契約範囲内で積極的にDXを推進するケースも見られます。行政単独では予算確保が難しい高度な技術投資も、民間が参画することで導入可能となり、結果的にインフラの長寿命化やサービス向上につながるのです。


もっとも、PPPの導入にあたっては公共サービスの継続性確保コスト増リスクなど慎重な検討も必要です。土木・建設業界としては、官民がwin-winの関係で協働し、持続可能な維持管理モデルを築くことが求められます。国も「経営戦略策定の義務化」や広域連携の推進など制度整備を進めており、今後は技術面のDXと制度面の改革を両輪で進めることで、老朽化インフラ問題への総合的な対策が加速していくでしょう。


LRTK(スマホ+高精度GNSS)による簡易測量の活用

最新技術の中でも、近年注目を集めるのがスマートフォンと高精度GNSSを組み合わせた測量技術です。特に「LRTK」(低コストなRTK測位技術)が登場したことで、インフラ管理における位置情報の取得が飛躍的に手軽になりつつあります。RTK-GNSSは衛星測位の誤差をリアルタイムに補正してセンチメートル級の測位精度を得る技術ですが、従来は高価な専用機器と専門技能が必要でした。LRTKでは、ポケットに収まる小型のRTK-GNSS受信機をスマホに装着し、手軽な操作で高精度測位が可能になります。専門の測量士でなくとも扱えるうえ、導入コストも低く抑えられるため、日常的な現場測量に革命をもたらしています。


上下水道の埋設インフラ管理においても、LRTKによる簡易測量は多くの場面で役立ちます。例えばマンホールや消火栓の精密な位置測定です。従来、下水道台帳に記載するマンホールの位置は空中写真測量などで誤差数十cm程度でしたが、LRTKを使えば数cm以内の誤差で測点を得ることができます。これにより、デジタル地図上で正確な管路配置を把握でき、点検や修繕箇所を迷わず特定できるようになります。埋設管の経路や深度を補正する場合も、高精度な座標データがあれば掘削工事の計画精度が向上し、事故防止や工期短縮につながります。


また、LRTKは出来形管理現況測量にも有効です。上下水道工事の竣工時に、施工箇所の出来形(仕上がり形状)を計測して記録する際、スマホとGNSS受信機だけで完結できれば測量のための重機や人員を大幅に削減できます。例えば道路掘削後の路面高さや傾斜をLRTKで測定し、その場でクラウドのGISデータベースにアップロードすれば、事務所に戻って図面を起こす手間も省けます。日常点検においても、道路陥没の兆候を疑う箇所でLRTKにより路面沈下量を即座に測定し、緊急度を判断するといった運用が可能です。リアルタイムで正確な測位ができるので、現地でデータを確認しながら追加の測定や補正をすぐ行え、現場判断のスピードアップに寄与します。


さらに、LRTK活用は人材不足への対応策としても期待できます。難しい測量スキルが不要なため、若手職員や作業員でも扱いやすく、ベテラン測量士が不在の現場でも必要十分な精度のデータ取得ができます。結果として、測量専門部署に頼らず現場の担当者自らがインフラの状態を計測・記録できるようになり、業務の効率化と属人性の排除に役立ちます。蓄積された高精度データは将来的なインフラのデジタルツイン構築にも資源として活かせるでしょう。


このようにLRTKによる簡易測量は、上下水道インフラ維持管理の様々な場面で「迅速・低コスト・高精度」という価値を提供します。土木・建設業界におけるDXの一環としても、現場でスマホを片手に必要な測量が完結する姿は、これまでの常識を覆す革新的な変化です。老朽化インフラの課題解決には多角的なアプローチが必要ですが、LRTKのような新技術を賢く取り入れることで、現場の負担軽減と安全性向上、そして将来を見据えたインフラ資産管理の高度化が実現できるでしょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

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