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電線共同溝工事の出来形測量をスマホARで効率化:点群データで即時確認

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

電線共同溝工事に求められる出来形管理の高度化

電線共同溝(でんせんきょうどうこう)工事とは、道路下に電力や通信ケーブルを収容する共同溝(共同管路)を設置する工事です。全国で進む無電柱化に伴い、この電線共同溝工事が各地で行われています。共同溝工事では、複数の管やケーブルを限られた地下空間に正確に納める必要があり、高度な施工品質と出来形管理が求められます。特に埋設後は地表から直接確認できないため、施工中に確実な出来形測量を行い、完成品の位置・寸法を記録しておくことが極めて重要です。


さらに、発注者(行政や道路管理者)は近年、出来形管理の高度化・効率化を強く求めています。国土交通省もICT施工やi-Constructionの一環として、2024年度から電線共同溝工事への3次元計測技術の適用を拡大しました。これにより、従来は図面と巻尺主体だった出来形管理に、点群データやCIMモデルを活用したデジタル計測が推奨されつつあります。電線共同溝工事における出来形管理を高度化することは、品質確保と工期短縮の両面で大きな課題かつチャンスとなっているのです。


従来の測量工程が抱える時間・人手・精度の課題

現在、多くの電線共同溝工事では出来形測量に従来型の手法が使われています。しかしこの方法には、現場で次のような課題がありました。


作業停止による時間ロス: 工程の区切りごとに作業を一時中断し、人力で寸法を測定します。例えば管路埋設後に溝幅や管の深さを測る際、作業員が巻尺やスタッフを使って測量し、写真を撮影するため、1回の計測に準備含め10〜15分程度かかります。その間、他の作業はストップせざるを得ません。夜間工事が多い共同溝工事では、この時間ロスは大きな負担です。

複数人作業による人手負担: 従来の出来形測量では通常2〜4名程度の人員が必要でした。測量スタッフがスケールを当て、別の人が読み取り、記録係が写真撮影とメモを行うなど、人海戦術に頼る場面が多々あります。限られた人員で現場を回している場合、測量作業にこれだけの人手を割くこと自体が大変です。

精度・抜け漏れのリスク: 手作業ゆえのヒューマンエラーも無視できません。巻尺の傾きや読取りミス、記録ミスによる数値間違い、写真の撮り忘れなどが起こり得ます。特に配管位置の高さ(深さ)や勾配などは測点が限られるため、全体を正確に把握しづらい面があります。また記録写真だけでは後から細部の確認が難しく、追加の測り直しや最悪手戻り(埋戻し後の再掘削)につながるリスクも抱えていました。


このように時間・人手・精度の面で課題のあった出来形測量を改善するため、新たな技術の活用が模索されています。その解決策として注目されているのが、スマートフォンとGNSSを用いたAR(拡張現実)技術と点群データの活用です。


スマホとGNSSで変わる現場:ARと点群の測量応用

近年、スマートフォンのカメラやセンサー技術が飛躍的に進歩し、測量の現場でも活用が始まっています。特に近年の高性能スマートフォンには、LiDAR(ライダー)と呼ばれる赤外線センサーが搭載され、周囲の構造物を3次元点群としてスキャンすることが可能になりました。また、高精度GNSS(RTK-GNSS)の小型受信機をスマホに連携させれば、測位精度を従来のGPSのメートル級から数センチ級まで高めることもできます。


こうしたスマホ+GNSSの組み合わせにより、現場測量にAR(拡張現実)と点群計測を応用できるようになりました。例えば、スマホをかざして足元の施工箇所をスキャンすると、その場で配管や構造物の3D点群モデルが生成されます。さらにスマホ画面上では、現実の映像にその点群や設計モデルを重ね合わせて表示すること(AR表示)ができます。従来は職人の勘や図面上の確認に頼っていた作業も、スマホの画面越しに直感的に理解できる時代になりつつあります。


現場代理人や施工管理技士にとって、この技術革新は「測量の在り方」を大きく変える可能性を秘めています。重たい測量機器を持ち出したり多人数で作業しなくても、スマホ一つで出来形測量が完結し、その場で結果を確認・共有できるのです。次章から、電線共同溝工事においてスマホAR測量が具体的にどのように役立つのかを、工程に沿って見ていきましょう。


配管設置直後にできる!スマホ点群で即時出来形取得

電線共同溝の施工では、掘削後に地中に管やボックス(例:コンクリート製のCCボックス)を据え付けます。通常この段階で、埋め戻し前に配管の設置位置や深さを測定し、写真を残すことが求められます。ここでスマホを使った点群計測を導入すると、配管を設置した直後に即座に出来形を取得・確認できるようになります。


施工管理者はLiDAR搭載スマホを手に、設置した管や溝の周囲を歩いてスキャンします。わずか数分スマホを動かすだけで、掘削溝内の状況が隅々まで3D点群データとして記録されます。点群には管の直径・配置、深さ、勾配、周囲の地形までリアルに反映されるため、従来は個別に測っていた寸法を一度のスキャンで網羅的に取得できます。


スキャン後、その点群データをすぐに現場で確認することができます。例えば点群を横断面で切ってみれば、管の埋設深(地表から管頂までの深さ)が所定の設計値を満たしているか一目瞭然です。もしその場で設計値とのズレや配管の傾き異常などを発見した場合でも、埋戻し前であればすぐに是正対応が可能です。即時性のある出来形確認により、ミスの見逃しや後日の手戻りを防止できる点は大きなメリットです。


さらに、点群データには絶対座標(公共座標)を与えることも可能です。GNSSで基準点を定めておけば、取得した点群を測量座標系に合わせることができます。これにより、計測結果を設計図の座標と直接比較したり、役所提出用の出来形図等にそのまま利用したりすることもできます。スマホ点群計測は、配管設置直後の限られた時間で迅速かつ高精度に出来形データを取得する手段として、現場に新たな可能性をもたらします。


ARによる埋設位置の重ね合わせと視覚的確認

点群データを取得したら、それを活用したAR表示による視覚的な確認が次のステップです。スマホやタブレットの画面を通して、現場に仮想オブジェクトを重ねて表示するAR技術は、埋設物の「見えないものを見る」ために非常に有効です。


具体的には、埋戻し前に取得した管路の点群モデルや設計上の管ラインをスマホに読み込み、現地でAR表示させます。すると、地面上には見えないはずの地下の配管が、スマホ画面上であたかも透視したかのように可視化されます。現場代理人や検査担当者は、スマホをかざして地表から配管の位置・深さ・経路を直接目で確認できます。従来は図面と現場を見比べて想像するしかなかった地下埋設位置も、ARなら直感的に把握できるのです。


このAR重ね合わせによる確認は、出来形検査の立会い時にも力を発揮します。発注者や監督員に対して、現場で「ここにこれだけの深さで管が入っています」と画面を見せながら説明すれば、紙の図面や写真だけを示すより説得力が増します。点群モデルと設計モデルを同時にAR表示すれば、施工精度も視覚的に示すことが可能です。例えば設計通りの位置に管が敷設されていれば重なって見え、ずれていればAR上でズレが確認できます。これにより、出来形管理の証拠をその場で視覚的に提示でき、関係者全員で施工品質を共有できます。


また、取得した埋設管のデータは将来のメンテナンスや掘削工事にも役立ちます。埋設位置を記録した点群データを保管しておき、後日別工事で付近を掘る際にAR表示すれば、地下の既設管を正確に避けて作業することもできます。スマホARによる埋設位置の可視化は、現場の出来形確認だけでなく将来的な安全施工にも貢献する有用な手段です。


測定・記録・報告を1人で完結:少人数現場の新しい選択肢

スマホAR測量最大の強みの一つは、少人数で測量から記録作業まで完結できる点です。前述のように、従来は複数人を要した出来形測量も、スマホと必要な機材さえあれば現場代理人1人で実施可能です。実際に先進的な現場では、施工管理技士が自らスマホ片手に点群スキャンと写真記録を行い、測定結果を即時にクラウド共有するといった運用も始まっています。


1人作業が可能になることで、人員不足の現場夜間・短時間の作業にも対応しやすくなります。例えば深夜に予期せぬ追加測量が必要になっても、他部署から測量班を呼ぶまでもなく、その場で担当者が対応できるのです。これにより、スピーディーな判断と工程の柔軟な進行が可能となります。


また、一人一台スマホを持っていれば、各自が必要なタイミングで出来形データを取得できるため、待ち時間の削減や作業効率の向上にもつながります。リアルタイムでデータを共有できる環境があれば、事務所で待機する監督者が即座にチェックバックすることも可能です。スマホAR測量の導入は、少人数で現場を回す施工体制の新しい選択肢となり、現場運営の柔軟性を高めています。


書類作成も変わる:点群データと写真の統合管理

スマホによる点群計測とAR活用は、現場での測量作業だけでなく出来形管理書類の作成にも変革をもたらします。従来、出来形管理では測定結果を野帳に記録し、後で図面に清書したり、写真を台紙に貼って報告書を作成したりする手間が発生していました。スマホAR測量を導入すると、このプロセスが大きく効率化されます。


まず、点群データ自体が詳細な三次元記録となるため、紙のスケッチや多数の写真を補完・代替できます。例えば、これまでは配管の深さを示すためにメジャーを当てた写真を撮っていましたが、点群があれば任意の断面で深さを測定可能です。その断面図を画像として切り出せば、写真と同等以上に信頼性の高い記録資料になります。


また、スマホアプリや対応ソフトでは、取得した点群データから自動で寸法値を抽出したり、合否判定を行う機能もあります。設計CIMモデルと出来形点群を重ねて、規格範囲内かどうかを色分け表示する出来形ヒートマップを生成できるツールも登場しています。こうした機能を使えば、出来形管理図書を作る際に、担当者がいちいち手計算・手描きする必要が減り、デジタルデータをもとに自動作表・自動判定が可能になります。


写真の管理にも変化があります。スマホで撮影した高精度位置情報付きの写真は、後から点群や図面とともにマップ上に配置して管理できます。各写真がどの地点の記録か一目で分かり、報告書でも「〇〇交差点何m付近」といった説明が容易になります。点群データと写真・図面を統合的に扱えるクラウドサービスも現れ始めており、出来形管理の記録作業は紙とファイル中心からデータ一元管理へと移行しつつあります。


このように、スマホAR測量の導入は測るところから記録・報告書作成まで一貫してデジタル化する道を開きます。現場とオフィス双方の負担軽減に寄与し、出来形管理に費やす時間を大幅に短縮できるでしょう。


現場で実感された導入効果:工期短縮・精度安定・協力会社との連携改善

実際にスマホARによる出来形測量を導入した現場からは、様々なポジティブな効果が報告されています。その中でも特に顕著なのが、工期短縮測量精度の安定協力会社との連携改善の3点です。


工期の短縮・生産性向上: 従来法に比べ測量作業の時間が大幅に短縮されました。ある現場では、2〜4人で15分かかっていた計測・写真作業が、1人のスマホスキャンで3分程度で完了しています。積み重ねれば大幅な時間短縮となり、夜間作業の早期終了や工程全体の短縮につながりました。また、測り忘れや不備による手戻りが減ったことで、無駄なやり直し作業が発生せず結果的に施工の生産性が上がっています。

品質・精度の安定: 点群計測により人為的な測り漏れが解消され、出来形データのばらつきが減りました。全箇所をデジタルに記録できるため、「測り忘れて埋めてしまった」という心配もありません。計測精度についても、スマホLiDAR点群の精度は専門機器と比較しても十分実用に耐える結果が出ています。常に一定の手順でデータ取得・解析を行うことで、測量精度が現場担当者の経験に左右されず安定しました。

協力会社・関係者との連携改善: 施工データを3Dで可視化・共有できることは、協力会社や監督者とのコミュニケーション向上にも寄与しました。例えば土工事業者や配管業者とその場でAR画面を見ながら「ここまで埋め戻します」「この高さで設置されています」と確認し合えるため、認識のズレが減りました。出来形データをクラウドで共有し、遠隔地の設計者や発注者と即時に情報共有できたケースもあります。これにより、チーム全体でリアルタイムに現場状況を把握し、問題発生時も迅速に協議・対応できるようになりました。


これらの効果は、現場で実際にスマホAR測量を使ってみることで初めて実感できる部分も大きいでしょう。導入当初は不安視していた職員も、データの正確さや作業の手軽さを体験して「これがないと不安」というほど信頼を寄せるようになったという声もあります。電線共同溝工事という複雑な現場において、スマホAR測量は確かな成果を上げつつあります。


LRTKとは:スマホ用RTKでできる高精度AR測量の仕組み

ここでスマホAR測量を支えるキー技術であるRTK-GNSSについて触れておきます。RTK(Real Time Kinematic)とは、衛星測位におけるリアルタイム補正技術のことで、基地局からの誤差補正情報を利用してセンチメートル級の測位を可能にするものです。従来は測量用GNSS機器が必要だったRTK測位も、近年はスマートフォンで利用できるようになりました。そこで登場したのが「LRTK」と呼ばれるスマホ用RTKソリューションです。


[LRTK](https://www.lrtk.lefixea.com/)は、スマートフォンに装着・接続して使う小型のRTK-GNSS受信機および専用アプリの名称です。例えばLRTK Phoneというデバイスをスマホに取り付けるだけで、みちびき(日本の準天頂衛星システム)の提供するセンチメータ級補強サービスや各種基準局からの補正情報を受信し、スマホ内で高精度な位置座標を得ることができます。これにより、スマホで撮影する写真やスキャンする点群すべてに、誤差数センチ以内という極めて正確な位置情報を付与できるのです。


高精度な位置情報が得られると、AR(拡張現実)の精度も飛躍的に向上します。従来のスマホARは室内利用が中心で、屋外ではGPS誤差により仮想オブジェクトと現実の位置合わせにズレが生じやすい問題がありました。しかしRTK対応のLRTKを使えば、現場座標と3Dモデルの位置合わせを衛星測位で正確に行うため、大規模な屋外現場でも「歩いてもずれないAR」が実現します。初期の面倒な位置合わせ作業も不要で、スマホを起動すれば即座に現実空間にモデルを正しく配置可能です。


さらにLRTKのアプリでは、点群スキャンや測位写真の撮影、クラウドへのデータ共有など、現場で役立つ機能が統合されています。取得した点群をクラウド上で管理し、他のメンバーと共有したり、設計図や国土交通省の3D都市モデル(PLATEAUなど)と重ねて可視化することもできます。まさにスマホが「万能測量機」へと進化した形で、これまで高価な専用機がなければできなかった高精度測量やAR可視化を、手軽に実現できるのがLRTKの仕組みです。


まずは一本の管から試す:LRTKとAR測量導入のすすめ

スマホAR測量のメリットを理解いただいたところで、次に検討すべきは実際の導入方法です。しかし新しい技術を現場に取り入れるには「本当に使えるのか?」という不安もつきものです。そこでおすすめしたいのが、まずは一本の管区間で試験的に導入してみることです。


例えば、電線共同溝工事のある1スパン(15m程度)の区間で、配管埋設時に従来法と並行してスマホ点群スキャンを試してみます。実際にスキャンしてみると、その手軽さや取得できる情報量に驚くかもしれません。スキャンデータを使って出来形図を書いてみたり、ARで埋設位置を確認してみると、紙の資料だけでは得られない気づきがあるでしょう。現場の職長や協力会社とも「見える化」されたデータを共有することで、コミュニケーションが円滑になることも体感できるはずです。


LRTKのようなスマホ用RTKソリューションは、初期導入も比較的簡単です。必要なものはスマホと受信機、それにアプリだけ。特別な研修を受けなくても、直感的な操作でスキャンやAR表示が行えます。まずは小規模な範囲から始め、現場メンバーが使い勝手に慣れていくことで、徐々に本格導入へと移行しやすくなります。


電線共同溝工事の出来形管理は、今まさに変革の時を迎えています。紙と人力中心だった作業からデジタルとスマートデバイス活用へシフトすることで、品質確保と効率化を両立できる時代が目前に迫っています。ぜひ一度、LRTKを活用したスマホAR測量を試してみてはいかがでしょうか。一本の管から始まる小さな一歩が、将来の現場の大きな進歩につながるかもしれません。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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