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出来形管理もクラウドで!LRTKが実現する測量・写真・AR連携

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万能の測量機LRTKの説明

現場の施工結果を正しく評価・記録する出来形管理は、土木施工管理において欠かせないプロセスです。しかし従来の出来形管理には、測量作業に人手と時間がかかる、写真記録の整理が煩雑、設計図との照合が手間など多くの課題がありました。本記事では出来形管理の基本と重要性を解説し、クラウドやスマホ測量の活用によって何が変わるのか、新たな常識となりつつあるポイントをご紹介します。さらに、iPhoneに小型RTK-GNSS受信機を取り付けて一人で出来形管理ができるソリューション「LRTK」を取り上げ、測量・写真・ARデータをクラウドで一元管理する仕組みや工種別の実践例、国交省の要領への対応状況について説明します。最後にLRTKの導入方法と現場での使い方を紹介し、現場DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩としての価値をまとめます。


出来形管理とは?基本と重要性

出来形管理(できがたかんり)とは、工事で施工された構造物や地盤の形状・寸法が発注者の設計どおりに仕上がっているか確認し、記録する施工管理の工程です。:contentReference[oaicite:0]{index=0}公共工事では契約で定められた規格値に対し実際の出来形が合致していることを測定データで証明する重要な作業であり、検査の合格や引き渡しの前提となる品質確保の要でもあります:contentReference[oaicite:1]{index=1}:contentReference[oaicite:2]{index=2}。もし施工中に出来形を確認しないまま進めてしまうと、後から埋設物など完成後に見えなくなる部分の出来形を証明できなくなってしまいます。そのためコンクリート打設前や埋戻し前など要所要所で寸法を測定・写真撮影し、施工精度を逐次チェックして不備があれば是正する必要があります:contentReference[oaicite:3]{index=3}。出来形管理は工程管理・品質管理と並ぶ施工管理の重要項目であり、一度施工してしまうと後戻りが難しい部分も多いため、適切なタイミングで確実に測定・記録することが求められます。


従来の出来形管理の課題

従来の出来形管理は主に巻尺・スタッフ・水準器などを用いた手作業の測定で行われてきました:contentReference[oaicite:4]{index=4}。施工箇所ごとに高さ・幅・厚みなどを人力で一つ一つ計測し、設計値との差を図面や表にまとめて確認する方法です:contentReference[oaicite:5]{index=5}。しかし、この手法にはいくつかの課題が指摘されています:


測量に人手と時間がかかる: 現場での手作業測定には測量士や技術者など複数人の人員が必要で、測定と記録整理に多大な時間と労力を要しました:contentReference[oaicite:6]{index=6}。大きな構造物になるほど人力測定には限界があり、作業負担も大きくなります。

測定点が限られ全体を把握しづらい: 手計測ではポイントごとの寸法しか得られず、一度に測れる点の数にも限りがあります:contentReference[oaicite:7]{index=7}。そのため出来形を面的・立体的に把握することは困難で、測定していない部分で図面と異なる箇所があっても見落とすリスクがありました:contentReference[oaicite:8]{index=8}。要所では規格内でも一部で設計と微妙に食い違っているのに気付かず、後日の検査で「図面と違う」と指摘され慌てるケースも起こり得ました:contentReference[oaicite:9]{index=9}。

写真記録の管理が煩雑: 出来形管理では特に後で覆われて見えなくなる配筋や埋設物などを施工中に撮影して記録を残す必要があります。従来はそれら写真を紙の台帳やファイルに整理していましたが、この写真台帳管理は手間がかかりミスの原因にもなりました:contentReference[oaicite:10]{index=10}。忙しい現場では肝心な箇所の写真を撮り忘れて記録が残らないといったヒューマンエラーも起こり得て、最悪の場合やり直し施工や紛争につながる恐れもあります:contentReference[oaicite:11]{index=11}。

設計値との比較作業が煩雑: 手測りした値を設計図の所定の許容差と比較し合否を判断する作業は、多くの場合現場での計算や図面への書き込みによって行われました。測定結果を整理し、ExcelやCAD上で設計断面と実測値を照合するといった手間がかかり、出来形検査の報告書作成まで含めると現場技術者・検査担当者にとって大きな負担となっていました:contentReference[oaicite:12]{index=12}。特に多数の測点データを扱う土工事などでは、手計算と手描きによるチェックでは作業量が膨大で非効率でした。


以上のように、従来の出来形管理手法には「点でしか測れない」「人為的なミスが起きる」「管理作業が煩雑」といった弱点があり、現場の負担・リスク要因となっていました:contentReference[oaicite:13]{index=13}。


クラウド活用で何が変わる?出来形管理の新常識

では、クラウドやデジタル技術を活用すると出来形管理はどう変わるのでしょうか。近年、国土交通省の推進する*i-Construction*政策の後押しもあり、3次元レーザースキャナーやドローン写真測量などの計測技術が現場に急速に普及し、出来形管理への3次元点群データ活用は今や「新常識」になりつつあります:contentReference[oaicite:14]{index=14}。大量の3次元測定点からなる点群データを用いれば、高精度かつ面的に施工結果を把握でき、従来手法に比べ精度・効率・安全性の面で格段に優れた出来形管理が可能となります:contentReference[oaicite:15]{index=15}:contentReference[oaicite:16]{index=16}。


さらに、これらのデジタル計測をクラウドと組み合わせることで、「測る→確かめる→共有する」という一連のサイクルが飛躍的にスピードアップします。従来は「現場で撮影・測定 → 事務所に持ち帰りPCで解析 → 図面化して関係者にメール配布」といった流れが一般的でしたが:contentReference[oaicite:17]{index=17}、クラウド活用により「現場でデータ取得 → クラウドで自動解析 → モバイルで即共有」というリアルタイム連携が可能になります:contentReference[oaicite:18]{index=18}。例えばドローンで現場を空撮した場合でも、画像をその場でクラウドにアップロードすれば自動的に解析が始まり、点群やオルソ画像が短時間で生成されます:contentReference[oaicite:19]{index=19}。さらにサーバー側で設計データとの差分比較(ヒートマップ)や土量計算まで実行され、現地ですぐに出来形の合否判定や数量チェックまで完了します:contentReference[oaicite:20]{index=20}。結果はスマートフォンやタブレットから即座に閲覧でき、担当者全員が同じ3Dデータや断面図を共有して確認できるため、現場と事務所間で認識のズレが生じません:contentReference[oaicite:21]{index=21}。URL共有やQRコードを使えば発注者や協力会社ともワンクリックで成果を共有でき:contentReference[oaicite:22]{index=22}、わざわざ全員が高性能PCに専用ソフトをインストールする必要もありません:contentReference[oaicite:23]{index=23}。このようにクラウドを活用した新しいワークフローでは、測定翌日まで結果待ちだったものが測定直後に即チェック・即共有という形に変わり、現場の意思決定が格段にスピードアップします:contentReference[oaicite:24]{index=24}:contentReference[oaicite:25]{index=25}。点群データによる面的な出来形把握により微小な不陸も見逃さずに済むため、手戻りの早期発見・是正が可能となり品質の確実性も向上します:contentReference[oaicite:26]{index=26}。これらのメリットにより、出来形管理の効率と精度は飛躍的に高まりつつあり、クラウド×3D技術活用は土木現場の新常識となりつつあります:contentReference[oaicite:27]{index=27}。


LRTKとは:iPhone+小型RTKで出来形管理を一人で

:contentReference[oaicite:28]{index=28} *LRTKはiPhoneに装着する超小型のRTK-GNSS受信機(写真:レフィクシア社)。スマホがセンチメートル級測位の「測量機」に早変わりする。:contentReference[oaicite:29]{index=29}*


出来形管理の新常識を支える技術の一つがスマホ測量です。特に近年はスマートフォンに外付けして使える高精度GNSS受信機が注目されています。その代表例がレフィクシア社(東京都港区)が開発したLRTKです。:contentReference[oaicite:30]{index=30}


まず、LRTKを説明する前提としてRTK(Real Time Kinematic)技術について簡単に触れます。RTKとは、基地局など既知点からの補正情報を用いてGNSS測位の誤差を打ち消し、センチメートル級の位置精度を得るための測位方式です:contentReference[oaicite:31]{index=31}。従来、高精度なGNSS測量には据え置き型の受信機や大型のアンテナを用いる必要がありました。しかしRTK対応の超小型受信機をスマートフォンに装着することで、スマホ自体が高精度測位可能な測量機器に変身します:contentReference[oaicite:32]{index=32}。レフィクシアのLRTKはまさにこの発想で開発された製品で、iPhoneにRTK-GNSSアンテナを合体させるだけで位置座標や点群計測などが行えるポケットサイズの「万能測量機」として建設業界で話題を集めています:contentReference[oaicite:33]{index=33}。


LRTKは名刺サイズほどの小型デバイスをiPhoneやiPadの背面に取り付けて使用します。これだけでスマホが常時センチメートル精度の測位が可能な端末となり、複数の衛星周波数に対応した高精度GNSS受信機として機能します。:contentReference[oaicite:34]{index=34}従来は三脚据え付けのレーザースキャナーや大型ドローンを使わないと取得できなかった絶対座標付きの3D点群計測も、手のひらサイズのLRTKとスマホアプリによって手軽に実現できるのが特長です:contentReference[oaicite:35]{index=35}。例えば、LRTKを用いれば現場技術者が一人で現場を歩き回りながら周囲をスキャンして点群データを取得し、その場で設計データと比較して出来形を確認するといった使い方も可能です:contentReference[oaicite:36]{index=36}。取得した高精度データは即座にクラウド経由で共有できるため、オフィスにいる上司や発注者ともリアルタイムで情報を共有できます:contentReference[oaicite:37]{index=37}。つまり、これまで測量班が複数人がかりで行っていた出来形測定・記録作業を、LRTKなら現場担当者1人で完結できるのです。


またLRTKは、出来形管理に必要なさまざまな機能をオールインワンで備えている点も特徴です。スマホのカメラやLiDARを活用した点群スキャンはもちろん、測点の座標を記録する測位写真、設計上の位置にマーキングする座標ナビ(墨出し)、そしてAR表示まで対応しており、取得したデータはすべて即座にクラウドへアップロードしてチームと共有できます:contentReference[oaicite:38]{index=38}。重量約125g・厚さ13mmというコンパクト設計でスマホに装着したまま携帯でき、必要な時にサッと取り出してすぐ測量を始められる手軽さも現場向きです:contentReference[oaicite:39]{index=39}。専用アプリからワンタッチで測位開始・停止やデータ保存が行えるため、特別な熟練がなくても扱いやすく, 現場の作業員自身が出来形計測を行えるシンプルな操作性も備えています:contentReference[oaicite:40]{index=40}。さらに、ネットワーク環境が無い山間部などでも、日本の準天頂衛星みちびきの提供するセンチメータ級補強サービス(CLAS)対応モデルのLRTKであれば通信圏外でも高精度測位が可能です:contentReference[oaicite:41]{index=41}。このようにLRTKはスマホの利便性とRTK測位の精度を融合し、出来形管理を一人でも手軽に・高精度に行えるようにする画期的なツールなのです。


測量・写真・ARがクラウドで一体化する仕組み

LRTKを活用すると、測量データ・写真データ・AR表示をクラウド上で一体的に管理し活用できるようになります。その仕組みとワークフローのイメージを順を追って説明します。


現場でデータ取得: まず現場にてiPhone+LRTKで必要なデータを取得します。具体的には、出来形寸法を測るための測点の記録(座標計測)や、施工範囲全体の形状を捉える点群スキャン(iPhoneのLiDARや写真測量を使用)を実施します:contentReference[oaicite:42]{index=42}。併せて、後日の証跡となる記録写真もスマホで撮影します。この際LRTKアプリの「測位写真」機能を使えば、写真画像に対応する撮影位置の座標値とカメラ方位を自動で取得でき、写真と位置情報をセットで保存できます:contentReference[oaicite:43]{index=43}。撮影した写真はクラウド上の地図にピンでプロットされるため、どの場所をどの方向で撮った写真かが一目瞭然です:contentReference[oaicite:44]{index=44}。これにより、「あの写真はどこを写したものだっけ?」といった混乱を防ぎ、写真整理の手間も大幅に軽減します。

クラウドへアップロード・自動解析: 現場で取得した測位データや点群・写真データは、その場でモバイル回線経由でクラウドにアップロードします。LRTKアプリからボタン一つで専用のLRTKクラウドに同期でき、特別な操作は不要です:contentReference[oaicite:45]{index=45}。クラウド上ではまず写真から点群への変換(SfM解析)やLiDARスキャンデータの統合処理が自動実行され、取得点群に対する不要点のクリーニングなどもサーバー側で行われます:contentReference[oaicite:46]{index=46}。さらにクラウドにあらかじめアップロードしておいた設計データ(3D設計モデルや既定断面など)と計測した点群データが比較され、数クリックの簡単な操作で出来形の差分を色分け表示したヒートマップを作成できます:contentReference[oaicite:47]{index=47}。点群自体が既にグローバル座標(世界測地系)の絶対座標値を持っているため、設計データとの位置合わせ(合成)の手間は不要で、アップしたデータをそのまま突き合わせられる点が大きな利点です:contentReference[oaicite:48]{index=48}。解析結果として、設計値との差異が所定の許容範囲内か一目で判定できるヒートマップや数値一覧表、各断面における過不足量などが自動生成されます:contentReference[oaicite:49]{index=49}。例えば舗装工事であれば、従来は地点ごとに行っていた厚さ測定を点群データから仕上がり面全体の平坦性や厚み分布として評価でき、品質管理の高度化につながっています:contentReference[oaicite:50]{index=50}。解析ソフトによっては点群データから自動的に設計との差異を算出し合否判定まで行う機能もあり、出来形検査の半自動化も実現しつつあります:contentReference[oaicite:51]{index=51}。

結果の活用・共有: クラウドで処理された出来形データは、インターネットに接続できる端末ならどこからでも確認できます。現場担当者はスマホやタブレットで点群やヒートマップをその場で確認し、不合格箇所があれば即座に是正作業に着手できます。例えばLRTKクラウドで作成したヒートマップデータをiPhoneにダウンロードし、カメラ越しの現場映像にAR表示することで、施工箇所のどこに過不足があるかを現地で直感的に把握できます:contentReference[oaicite:52]{index=52}。センチメートル精度のARによってヒートマップを現場に重ねて確認できるため、以前は墨出し作業などを経ないと特定できなかった不良箇所も、画面上で容易に位置を特定してすぐに手直し施工に移ることができます:contentReference[oaicite:53]{index=53}:contentReference[oaicite:54]{index=54}。ARは差分ヒートマップだけでなく、設計の完成モデル(BIM/CIMデータ)を現地映像に重ねて施工途中の状態を設計と比較したり、埋設管など地中の見えない構造物を透視表示したりすることも可能です:contentReference[oaicite:55]{index=55}。例えば鉄筋の配筋検査では、図面上の鉄筋モデルをその場でAR表示して実物の配筋と重ね合わせ、ずれや干渉がないかチェックするといった活用ができます:contentReference[oaicite:56]{index=56}。これらクラウド×ARの活用により、現場で実物とデジタルデータを突き合わせた視覚的な出来形確認が誰でも簡単に行えるようになります。またLRTKクラウドでは、出来形管理の帳票(報告書)をワンクリックで自動作成する機能も開発中で、計測から報告までシームレスに効率化が図られています:contentReference[oaicite:57]{index=57}。


以上のように、LRTK+クラウドを導入すれば測量データ・写真・設計情報が一元管理され、取得→解析→是正指示→記録作成までのサイクルが飛躍的に効率化します。写真と座標がひも付いた地図連携写真管理や、点群と設計データを用いたヒートマップ比較、そして現場へのAR重畳表示が全て単一のワークフロー上で実現するため、従来はバラバラだった計測・記録・検査のプロセスが統合されるのです。この仕組みが、出来形管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)を力強く後押しします。


工種別の実践例(土工・舗装・法面・構造物など)

クラウド×スマホ測量(LRTK)による出来形管理が実際の現場でどのように活用できるか、工種別に具体的な例を見てみましょう。


土工の出来形管理(盛土・切土・数量管理)

大規模な土工事では、従来は週ごとに地上スタッフが要所の盛土高や切土厚を測定し、数量計算や出来形チェックを行っていました。LRTK導入後は、定期的なドローン写真測量+クラウド点群化で広範囲の出来形を面的に捉えつつ、仕上げ直後にはiPhone+LRTKで細部の局所スキャン(法面や路盤の形状)を実施する運用が効果的です:contentReference[oaicite:58]{index=58}。クラウド上で自動生成された設計との差分ヒートマップにより、盛土の過不足量や路盤厚のムラがその場で即判定できます:contentReference[oaicite:59]{index=59}。不備が見つかれば即是正し、是正後に再度iPhoneでスキャンして合格データを記録するといったサイクルを現場内で完結できます:contentReference[oaicite:60]{index=60}。週次どころか日次でも出来形の進捗を把握できるため、工期途中での手戻りリスクを最小化しつつ土量管理の効率化・高度化が図れます。


舗装工事の出来形管理(平坦性・厚みチェック)

舗装工事では路盤やアスファルトの厚み・高さを所定の管理断面で測定するのが一般的ですが、点群計測を取り入れることで路面全体の平坦性を評価する「面管理」が可能になります:contentReference[oaicite:61]{index=61}。例えばLRTKを用いて舗装直後の路面をスキャンすれば、出来形面全体の凹凸を色分け表示するヒートマップをクラウド上で作成できます。これにより、従来は定点ごとの高さチェックだけだったのが、全面のわずかな高低差まで把握して品質を評価できるようになります:contentReference[oaicite:62]{index=62}。解析結果は数値一覧やヒートマップとして視覚化されるため、検査担当者も直感的に合否判断が可能です:contentReference[oaicite:63]{index=63}。実際、国土交通省の要領でも舗装の出来形管理に点群を用いた面管理手法が導入されており、舗装表面の平坦性(不陸)や厚みを広範囲にわたって評価することで検査の網羅性と確実性が向上しています:contentReference[oaicite:64]{index=64}。


法面工事の出来形管理(のり面・斜面の形状確認)

法面(のり面)工事では、掘削や盛土で形成した斜面の勾配や形状が設計通りか確認する必要があります。従来は斜面上方と下方を測点として高さや勾配を算出していましたが、点群スキャンを活用すれば斜面全体を非接触で計測して形状を詳細に記録できます。LRTKならオペレーターが安全な位置からiPhoneをかざして斜面をスキャンするだけで、その急斜面の三次元形状データを取得可能です。人が立ち入れない危険箇所も遠隔で測量できるため安全性が向上するメリットもあります:contentReference[oaicite:65]{index=65}。取得した点群から任意の縦断・横断面を切り出して設計断面と比較したり、法肩・法尻の位置座標を自動算出したりできるため、従来以上に厳密かつ効率的な出来形チェックが実現します。また出来形点群データは完成図書の一部(出来形管理図表)としても活用でき、施工後の維持管理で変状モニタリングに役立てることも可能です:contentReference[oaicite:66]{index=66}。


構造物工事の出来形管理(基礎・躯体・配筋検査)

橋梁や擁壁、コンクリート構造物の基礎工事などでは、出来形管理に測点の位置出し組み立て段階での干渉チェックが重要になります。LRTKはその両面で威力を発揮します。まず、構造物の基準位置となる中心点や基礎の鉛直位置(法線)、張出幅などを座標ナビ機能で現場に表示し、杭打ちや型枠設置の位置決めを一人で正確に行えます:contentReference[oaicite:67]{index=67}。従来は測量士が水糸や丁張で指示していた墨出し作業も、LRTKがあれば作業員自らスマホ画面の矢印誘導に従って位置をマーキングできるため、効率化と省人化につながります。また鉄筋コンクリート構造物では、コンクリート打設前に配筋状態の検査がありますが、LRTKのAR機能を使えば設計3D配筋モデルを実物の上に重ねて表示し、配筋と型枠の干渉や不足を事前にチェックできます:contentReference[oaicite:68]{index=68}。これにより、スケール片手に目視で確認していた従来の配筋検査がデジタルに進化し、見落とし防止と手戻り防止に寄与します。さらに打設完了後は、LRTKで型枠撤去後のコンクリート躯体をスキャンして出来形寸法を全面的に記録できます。例えば橋台の天端高さや表面平坦性を点群から評価し、必要に応じて仕上げ調整を行うことで、後工程の精度不良リスクも低減できます。このように構造物の出来形管理でも、測量・検査・記録の各場面でLRTKがDXを後押ししています。


*(※このほか、LRTKは災害復旧現場での地形計測や、トンネル・橋梁の維持管理業務などにも応用可能です。例えば道路陥没や斜面崩壊の現場では、被災箇所をiPhoneでスキャンしてクラウド共有し、設計図と差分を即座に確認して復旧工法を検討するといった使い方がされています。また橋梁点検では、通信圏外の山間部でもCLAS対応のLRTKなら高精度測位が可能なため、劣化部位に位置タグを付けて経年変化を管理するといった高度な維持管理DXも実現しています:contentReference[oaicite:69]{index=69}:contentReference[oaicite:70]{index=70}。)*


国交省の出来形管理要領への対応状況

国土交通省は近年、建設生産プロセス全体の生産性向上を目指す*i-Construction*の一環として、出来形管理へのICT活用を推進しています。具体的には、2016年頃より土工事や舗装工事で3次元計測技術を活用した出来形管理要領(面管理)の試行が始まり、従来の測点による点管理に加えて点群データ等で面的に出来形を評価する手法が公式に導入されました:contentReference[oaicite:71]{index=71}。その後も対象工種は拡大を続け、2018年には「橋梁・トンネル・ダム・維持管理・建築分野を含む全プロセスへのICT拡大」方針が打ち出され、出来形管理についても当初の土工・舗装だけでなく橋梁基礎の杭工事や河川護岸工事など構造物分野への3次元出来形管理適用が進められています:contentReference[oaicite:72]{index=72}。2024年度には鋼管杭やトンネル覆工コンクリートなど新たに6工種でICT出来形要領が適用される予定であり:contentReference[oaicite:73]{index=73}、点群計測を含むICT施工は大規模工事のみならず中小規模工事にも広がりつつあります。


このような流れの中で、RTK-GNSSを用いた出来形管理手法のガイドラインも整備されています。平成29年には「RTK-GNSSを用いた出来形管理要領(案)(土工編)」が策定され、土工事における出来形測定にRTK-GNSSを適用する手順が示されました:contentReference[oaicite:74]{index=74}。この要領では、RTK-GNSS測量機に設計データを搭載して施工基準とし、取得した出来形計測点の3次元座標から幅・高さ・法長(斜面長)などを自動算出することで、従来の巻尺やレベルによる寸法計測を不要とすることが謳われています。また測定データがすべて電子化されているため、ソフトウェアを用いて計測結果から出来形管理図表(帳票)を手入力なしに自動作成できるとも記されています。これはまさに前述したLRTKクラウドの自動帳票機能と同じ発想で、デジタル計測だからこそ可能になる効率化ポイントです。


肝心なのは、こうした国交省の出来形管理要領に基づく成果を出せる機器・サービスを使うことです。LRTKシリーズは標準で世界測地系の絶対座標に対応した高精度点群や測点データを取得でき、国交省の最新要領にも準拠した成果を作成可能です:contentReference[oaicite:77]{index=77}。実際、LRTK公式サイトでも「国土交通省の出来型管理要領に準拠」と明言されており、LRTKで取得した絶対座標付き点群データは検査書類の出来形成果物としてそのまま活用できるとされています:contentReference[oaicite:78]{index=78}。つまり、LRTKは国交省が推奨するi-Construction対応の出来形管理ソリューションであり、導入することで最新要領に沿ったスマート施工を実践できるわけです。


LRTKの導入手順と現場での使い方

最後に、LRTKを現場に導入する手順と基本的な使い方について説明します。スマホ×クラウド測量というと難しく感じるかもしれませんが、必要なものは驚くほどシンプルで、すぐに使い始められます。


導入に必要なもの: 基本的に必要なのはスマホだけです。LRTK本体はバッテリーとアンテナを内蔵しており、測位に必要な各種衛星補強情報(ネット経由のRTK補正サービスやみちびきのCLAS信号)も受信可能な状態で提供されます:contentReference[oaicite:79]{index=79}。追加で高価な基地局を用意する必要はありません。あらかじめiPhoneまたはiPad(LiDAR搭載モデルなら尚良)の端末を用意し、レフィクシア社からLRTKデバイスを購入またはレンタルします。スマホに専用のLRTKアプリ(App Storeからインストール)を入れ、LRTKデバイスをLightningコネクタ等で装着すれば準備完了です:contentReference[oaicite:80]{index=80}。複雑な初期設定は不要で、インストールするだけですぐに測位を始められます:contentReference[oaicite:81]{index=81}。


基本的な使い方: LRTKアプリを起動すると直観的なメニューが表示されます。まずGNSS受信状態を確認し、基地局補正(Ntrip方式)またはCLAS受信が安定していることを確認します。準備が整ったら以下のような機能を用途に応じて使います。


測位写真: スマホのカメラで写真を撮影すると、その座標(緯度・経度・高さ)と向きが自動記録されます。施工前後の比較写真や埋設物の記録写真を撮る際に活用できます。クラウドに写真を同期すれば、地図上に写真アイコンがプロットされ、関係者と共有可能です:contentReference[oaicite:82]{index=82}。

点群スキャン: iPhone搭載のLiDARスキャナーやカメラを用いて、周囲の3D点群データを取得します。開始ボタンを押してからスマホを持って歩くだけで、広い現場でも短時間で高密度点群を取得できます:contentReference[oaicite:83]{index=83}。取得中はリアルタイムにカメラ映像上に点群が表示され、取り残しがないよう確認しながらスキャンできます。訓練不要で誰でも扱える機能であり、大規模な現場でも数分程度歩くだけで点群化が完了します:contentReference[oaicite:84]{index=84}。

座標ナビ(位置出し): 設計図や図面上の座標データを読み込んでおき、そのポイントまでスマホ画面で誘導する機能です。ターゲットとなる点を選択すると、画面に矢印と残距離・方向が表示され、杭打ち位置や中心点などにセンチ単位で誘導してくれます:contentReference[oaicite:85]{index=85}。高低差がある場合もオフセットを設定可能で、測量の経験が少ない人でも迷わず所定位置をマーキングできます:contentReference[oaicite:86]{index=86}。一脚(ポール)に取り付ければ野帳とスタッフの代わりとして使うこともできます。

ARモード: 設計モデルや点群データを現場の映像に重ねて表示できます。ボタンを押すとiPhoneカメラのプレビュ画面に設計上の3Dモデル(BIM/CIM)が等尺で表示され、実物とのズレを確認できます:contentReference[oaicite:87]{index=87}。またクラウドで生成したヒートマップをダウンロードすれば、施工後の出来形の過不足箇所を現場映像に赤や青のヒートマップとして重畳表示でき、その場で是正指示が可能です:contentReference[oaicite:88]{index=88}。埋設物の点群データを読み込めば、地面の下にある管やボックスカルバート等を透視するように表示し、掘削時に見えない埋設物を避けるための支援もできます:contentReference[oaicite:89]{index=89}。

クラウド同期・共有: 測位写真や点群スキャンで取得した全データは、アプリ上のアップロードボタンをタップするだけで即座にクラウド同期されます:contentReference[oaicite:90]{index=90}。現場の通信環境によりますが、数十MB程度の点群データであれば数分以内にアップロード完了します。クラウド上にデータが上がると、自動で関係者に通知メールを送ることもできます。受け取った発注者や他の協力会社担当者は、送られてきたURLを開くだけで専用ビューアなしにブラウザ上で3Dデータを閲覧できます:contentReference[oaicite:91]{index=91}。重たい点群データもサーバー側でレンダリングされるため、共有相手に高性能PCは不要です:contentReference[oaicite:92]{index=92}。このようにボタン一つで現場→事務所間、さらには発注者への出来形データ共有が完結するため、確認・承認フローも大幅に効率化されます。


以上がLRTK導入から基本操作の流れです。実際の導入にあたっては、まず1現場から試行してみるのがおすすめです。例えば最初の30日間で最小限のセット(iPhone+LRTK受信機+クラウドサービス)を用いて試験的に出来形管理を実施し、次の30日間でワークフローとして定着させ、60日以降に全社的に水平展開するといった段階導入も可能です:contentReference[oaicite:93]{index=93}。現場スタッフへの教育もほとんど不要で、前述の通り事前研修なしでも現場作業員が使いこなしている例があります:contentReference[oaicite:94]{index=94}。もし操作に不安がある場合でも、LRTKの公式サイトには出来形管理への適用方法を解説した資料やFAQが用意されており、問い合わせをすれば専門スタッフのサポートも受けられます:contentReference[oaicite:95]{index=95}:contentReference[oaicite:96]{index=96}。導入コストについても、LRTKは既存の手持ちスマホを活用できる分専用機器を新規導入するより低廉であり、さらに作業効率向上や人件費削減による投資対効果(ROI)を定量化すれば十分ペイできるケースが多いでしょう。まずは小さな成功事例を作って社内外に共有し、出来形管理DXのメリットを実感してみることをおすすめします。


まとめ:現場DXの第一歩としてのLRTK

出来形管理は「品質を確保し証明する」重要な業務ですが、デジタル技術とクラウド活用によってその手法は大きく変革しつつあります。ポイント測量と写真帳票が中心だった時代から、点群データによるフル3D計測クラウド即時共有が新たな標準となり、さらにはARで見えないものまで“見える化”するところまで来ました:contentReference[oaicite:97]{index=97}。今現場に求められているのは、高価な専用機器を増やすことではなく、日常的に誰もが使える仕組みを整えることです:contentReference[oaicite:98]{index=98}。スマートフォンとクラウドを中核に据え、「測って・解析して・共有までを即完了」するワークフローを次の現場からぜひ標準化してみましょう:contentReference[oaicite:99]{index=99}。


その第一歩となるソリューションがLRTKです。LRTKシリーズは建設・土木・測量の各分野で高精度GNSS測位による作業効率向上を実現し、測量・検査に要する時間を短縮して生産性を飛躍的に高めることができます:contentReference[oaicite:100]{index=100}。従来は測れなかった箇所も含め現場を丸ごとスキャンしてデジタルデータ化し、手戻りゼロの確実な出来形管理を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、業界のデジタル化促進に最適なソリューションと言えるでしょう:contentReference[oaicite:101]{index=101}。何より、手持ちのスマホがそのまま精密測量機になるという手軽さは画期的であり、誰でもいつでも出来形測定できる時代を切り拓きました:contentReference[oaicite:102]{index=102}。高価な機材に頼らず現場DXを進められるLRTKは、施工管理・出来形管理の効率化と高度化に大いに貢献していくことでしょう:contentReference[oaicite:103]{index=103}。


これからの時代、出来形管理の在り方は確実に変わります。その波に乗り遅れず、まずは自社の現場にLRTKを取り入れてみてはいかがでしょうか。最新テクノロジーを味方につけて、品質確保と生産性アップを両立するスマート施工をぜひ実現してみてください。LRTKが、貴社の現場を次のステージへ進化させる現場DXの第一歩となることを期待しています。:contentReference[oaicite:104]{index=104}:contentReference[oaicite:105]{index=105}


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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