top of page

現場DX時代の断面図作成:高精度測位×点群スキャンで何が変わる?

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均4分45秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

建設業界にもデジタル化の波が押し寄せ、現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速しています。その中で、断面図作成(地形や構造物の断面を図面にする作業)は、従来は手間と時間がかかるアナログな工程でしたが、いま大きな変革を迎えようとしています。センチメートル級の高精度測位技術とスマートフォンによる点群スキャンを組み合わせることで、現場での測量から図面作成までの流れが劇的に効率化されつつあります。本記事では、現場DX時代における断面図作成がこれら新技術によって具体的に何が変わるのか、従来手法の課題と比較しながら解説します。


建設現場で断面図作成が必要な理由と従来手法の課題

建設工事の現場では、出来上がった地形や構造物の形状を確認・記録するために断面図を作成する機会が多々あります。たとえば道路やダムの法面(のりめん)では、仕上がった斜面の勾配や高さを評価するために断面図が必要ですし、河川や護岸工事でも土砂の盛り厚や護岸の断面形状を図面で示す必要があります。断面図は設計と施工の整合性を検証したり、出来形(施工後の形状)を証明したりする重要な資料となるため、ほとんどの土木工事で欠かせない成果品となっています。


しかし、この断面図作成の従来手法には多くの課題がありました。一般的には、測量スタッフが現地で対象物の断面形状を測定し、そのデータをもとに図面を起こします。具体的にはトータルステーション(TS)やレベルといった測量機器を用いて、断面線上の複数ポイントの高さや位置を二人一組で計測し、その点群を結んで断面形状を描きます。この作業は以下のような問題点を抱えていました:


人手と機材の負担: トータルステーション等の測量機は重量があり運搬が大変で、操作にも2名以上の人員が必要でした。また機器の定期点検・校正に手間やコストがかかるため、小規模な現場では負担となっていました。

精度と安全性の問題: 一般的なハンディGPSでは測位誤差が5〜10m程度と大きく精度が足りず、正確な断面図には使えませんでした。そのため高精度な測量にはTS測量が欠かせませんでしたが、急斜面の測定では作業員が危険な場所に立ち入る必要があり、安全面のリスクも伴いました。また限られた測点から作図するため、測定点間で見逃された凹凸があっても図面に表現されないケースもあり、後から「一部の形状が図面と違う」と指摘されるリスクもありました。

作業時間と精度の限界: ポイントごとに1点ずつ測る従来の手法では、広範囲の断面形状を捉えるのに膨大な時間を要しました。断面線が長い場合や複数箇所ある場合、全てを測り終えるまで日数がかかることもあります。さらに、現場で得た数値を手書きでスケッチしたり、事務所でCADソフトに入力して断面図を描き起こしたりする作業も必要です。この手作業は熟練を要し、人為ミスによる記録漏れや転記ミスが起こりがちでした。特に紙の野帳からパソコンへ測定データを入力し直す工程は非効率で、煩雑な作業が現場技術者の負担となっていました。


従来の断面図作成はこのように人手と時間がかかり、測り漏れや図化ミスのリスクを常に抱えていました。「もっと効率よく正確に断面を取りたい」というニーズは高かったものの、これまでは高価な3Dレーザースキャナーや専門業者に依頼する以外に有効な解決策が乏しかったのが実情です。


センチ級の高精度測位が可能にする手軽な現場測量

こうした現場測量の課題を解決する鍵となるのが、RTK方式による高精度GNSS測位の活用です。RTK(リアルタイムキネマティック)とは、衛星測位の誤差を基地局からの補正情報でリアルタイムに補正し、数cm以内という極めて高い精度で位置を特定できる測位技術です。従来は特殊な高性能GPS機器が必要だったRTK測位ですが、現在では小型のRTK対応GNSS受信機とスマートフォンを組み合わせたソリューションが登場し、現場で手軽にセンチ単位の測位が行えるようになりました。


例えばLRTKのシステムでは、スマホに専用の小型GNSSデバイスを装着しアプリを起動するだけで、その場で衛星測位の高精度化が可能です。重い三脚や測量機を担ぐ必要はなく、片手で持てるデバイスとスマホ1台で現場を歩き回りながら測量できます。RTKによって取得される位置情報は、すべて国土地理院の基準座標系に基づく絶対座標として得られるため、測定結果を図面や地図上にそのまま重ね合わせることができます。また機器の操作は非常にシンプルで、アプリ上に表示される現在位置や精度表示を確認しつつ計測ボタンを押すだけといった直感的な手順です。専門的な測量の知識がないスタッフでも扱いやすく、事前の長いトレーニングなしに誰でも高精度測位を実現できる点は大きなメリットです。


高精度なGNSS測位が可能になったことで、従来はTSで一つ一つポイントを測っていたような作業も大幅に効率化されます。例えば地盤高の確認や構造物位置出しなども、一人の作業員がスマホ片手に現地を回って測位するだけで完了します。測位データはリアルタイムにスマホ上の地図にプロットされるため、その場で取り忘れがないか確認したり、怪しい箇所を追加計測したりすることも容易です。「1人でできる測量」が現実のものとなった今、断面図作成の前提となる現地測量のスタイルは大きく様変わりし始めています。


点群スキャンで現場全体を取得し断面抽出を自動化

高精度な位置情報が得られたら、次はその周囲の形状を丸ごとデジタル化してしまいましょう。スマートフォンの内蔵LiDARセンサーやカメラを使って現場を3D計測することで、対象の地形や構造物を点の集合体(点群データ)として記録できます。LRTKのモバイルスキャン機能を使えば、スマホをビデオカメラのようにかざして歩くだけで周囲の環境をスキャンでき、例えば100mにおよぶ長大な法面であっても数分程度でそのまま3次元形状を取得可能です。取得中はスマホ画面に点群がリアルタイム表示され、スキャンできていない死角が無いかその場で確認しながら進められるため、計測漏れをゼロにできます。


このようにして得られた高密度の点群データには、地表や構造物のあらゆる凹凸が詳細に反映されます。従来は断面線上の限られた点しか取得できませんでしたが、点群スキャンなら現場全体の形状を余すところなく記録できるため、後から「必要な箇所の寸法を測り忘れた」という心配がありません。スキャンデータさえあれば、事務所に戻ってから任意の位置で縦断面・横断面を切り出したり、二点間距離や傾斜角度を測定したりといった解析が自在に行えます。一度の現地作業で全ての断面を含むデータを持ち帰るイメージで、まさに「測っておく」から「スキャンしておけば安心」へと発想が変わります。


さらにLRTKの点群スキャンでは、取得したすべての点に先述のRTK測位による絶対座標が紐付いています。これにより、点群データ同士や図面データとの位置合わせも自動で行われ、広範囲を歩き回ってスキャンしても全体として破綻のない高精度な3Dモデルが得られます。樹木や建物など地物が多い現場でも、スマホを持って歩くだけで狭いエリアの隅々まで点群化でき、従来のレーザースキャナーでは見落としがちな細部まで網羅できます。点群として現場全体をデータ化すること自体がDXの大きな一歩であり、そのデータから必要な断面図を自動抽出できる点がこの手法の真価と言えます。


LRTKクラウドで断面図を表示しDXF出力

現場で取得した測量データや点群データは、LRTKのクラウドサービスにアップロードして活用できます。スマホのLRTKアプリからワンタップでクラウドへ同期すれば、オフィスのPCブラウザ上で即座に現場のデータを閲覧・解析可能です。専用ソフトをインストールする必要はなく、標準的なWebブラウザ上で2次元地図と3次元ビューアを用いて計測結果を確認できます。距離や面積、体積の測定といった基本機能に加え、クラウド上で断面図を表示する機能も充実しています。


例えばアップロードされた点群データ上で任意の線を引けば、その位置での断面図プロファイルが即座に表示されます。縦断方向・横断方向どちらの断面でもワンクリックで生成でき、切り出した断面には取得時の絶対座標がすでに付与されています。必要に応じてその断面形状をDXF形式などのCADデータとしてエクスポート可能で、ボタン一つでダウンロードできます。従来は現地測量後に事務所で図面化していた断面図も、LRTKクラウドなら自動生成されたものを微調整するだけでそのまま成果品として活用できます。


実際の工事では完成図書として断面図の提出が求められるケースが多々あります。例えば河川護岸や砂防堰堤の工事では、施工前後の河川断面を図面で示すことが一般的です。LRTKクラウドの断面表示・出力機能を使えば、そのような納品用の断面図作成もスムーズです。取得済みの現況点群データから必要な位置の断面を切り出し、設計断面線と重ねて仕上がりを確認した上で、完成図として出力できます。点群データを直接利用することで、出来形図面の作成検査書類の作成も効率化され、手作業による図面トレースに比べて品質とスピードが格段に向上します。クラウド上にデータがあるため、関係者とURLを共有して同じ断面図を閲覧・検討するといったコラボレーションも容易です。現場からのデータ取得から図面化・報告まで、一連のフローをデジタルに完結できる点は現場DXの大きなメリットでしょう。


多様な現場で活きる断面図作成の事例

LRTKによる断面図作成は、さまざまなシーンで現場作業の効率化に貢献しています。その活用例をいくつか挙げてみましょう。


法面(のりめん): 山肌や盛土の斜面形状を示す法面断面図は、施工後の勾配確認や安定性評価に欠かせません。従来は危険な急斜面に測量スタッフが上がって何点か高さを測っていましたが、LRTKの点群スキャンなら離れた安全な位置から斜面全体をスキャンでき、上端から麓まで連続した断面形状を取得できます。得られた断面図を設計形状と重ねることで、盛土や切土が設計通りに施工されたかを詳細に検証することが可能です。また、大雨の後に法面をスキャンしておけば、崩落や浸食による変化を断面図で比較して把握できるため、維持管理や災害対応にも役立ちます。

護岸: 川岸や海岸の護岸構造物では、堤防の高さや法肩の形状などを断面図で示すことがよくあります。LRTKを用いれば、広い河川敷を一人で歩いて護岸の形状をスキャンし、任意の横断位置で川の断面図を作成できます。水際付近の計測が難しい場合でも、陸上から斜めにスキャンすることで護岸表面の形状をほぼ網羅でき、安全に必要データを取得可能です。出来上がった護岸断面の点群断面図から高さや法面勾配を測定すれば、設計通りの断面になっているかを確認できますし、将来の浸食状況の比較用データとして保存しておくこともできます。

盛土: 道路や造成地で盛土を築いた際には、その盛土の厚みや勾配を確認するために断面図を取ります。点群データからは盛土の任意断面を切り出せるため、例えば10mおきに横断面図を連続して作成し、盛土の高さと幅が一定であるか、設計断面と比べて過不足がないかをチェックできます。また原地盤のデータと盛土の点群を比較すれば、断面図からでは計算が面倒だった盛土体積もワンクリックで算出可能です。従来の断面積計算による土量推定より精度の高い体積算定ができ、出来形数量の把握にも威力を発揮します。

構造物: 橋梁やトンネル、ダムといった大型構造物の形状把握にも3Dスキャンと断面図作成が有効です。例えばトンネル内をスキャンすれば、任意の位置でトンネル断面形状を取得して内空寸法や変形の有無を調べられます。橋脚やダムの表面を点群化しておけば、劣化診断の際にひび割れ深さを断面で解析したり、設計モデルとのズレを断面図上で定量的に評価したりできます。また既設構造物のリニューアル工事では、現況の断面形状を正確に掴んだ上で補強設計を行う必要がありますが、LRTKなら現場の実寸形状を即座にモデリングできるため、設計者が欲しい断面図を迅速に提供可能です。

戸建て住宅: 建築分野でも、戸建て住宅の敷地測量やリフォーム計画で断面図作成が活用されています。LRTKを使えば家屋や庭の周囲を短時間でスキャンでき、地盤の高低差や建物の外形を3Dモデル化できます。例えば敷地内の高低差を断面図で示せば、造成工事やエクステリア設計の検討に役立ちますし、建物の立面形状を点群から抽出してリフォーム前後の比較図にすることもできます。従来はメジャーや水準器で地道に測っていた戸建て敷地の寸法出しも、スマホ一つで正確に行えるため、住宅メーカーや外構業者にとって省力化とプレゼン品質向上の両面でメリットが大きいでしょう。

災害現場: 土砂崩れや河川決壊など災害現場では、一刻も早く被災状況を把握して復旧計画を立てる必要があります。LRTKを現場に持ち込めば、危険な現場でも遠隔から崩壊地形をスキャンして詳細な断面図を作成でき、崩落土量の見積もりや被害範囲の把握に威力を発揮します。自治体によっては、災害時の初動調査にスマホ測量システム(LRTK Phone)を導入し、素早い状況記録とコスト削減を両立させている例もあります。災害対応のような予測不能な場面でも、専門機器を待たず手元のスマホですぐ計測できるという機動力は大きな強みです。


断面図作成業務のDXがもたらす効果

ここまで見てきたように、高精度測位と点群スキャン、クラウド活用によって断面図作成のプロセスは大きく様変わりします。最後に、こうした現場DXがもたらす主な効果を整理しておきましょう。


効率化: 一度の計測で現場全体のデータを取得し、複数の断面図を自動生成できるため、重複作業や無駄が減ります。これまで別々に行っていた「現地測量」「図面作成」「数量計算」の工程がデジタルデータ上で一体化し、データの手入力や書き写しといった非効率も解消されます。結果として、同じ作業量を格段に少ない手間でこなせるようになります。

品質向上: 点群に基づく断面図は測点数が極めて多く細部まで形状を反映しているため、断面図そのものの精度・信頼性が向上します。また人力測量では見逃していた局所的なズレや変化も3Dデータ上で把握できるため、出来形管理の抜け漏れがなくなります。データ処理も自動化され人為ミスが減ることで、報告書類の品質も安定します。安全面でも、危険な場所での無理な測量を減らせるため作業員のリスク低減につながり、結果的に現場全体の品質向上につながります。

省人化: 従来2人1組で行っていた測量が1人で完結できるようになるため、大幅な省人化が実現します。人手不足が深刻な建設業界において、限られた人数でも現場を回せる体制づくりに寄与します。また経験の少ない技術者でも扱える簡便なツールのため、特定のエキスパートに依存せず組織全体で運用しやすいという利点もあります。現場に割ける要員が減れば、その分を他の重要業務に振り向けることができ、生産性向上にも直結します。

スピードアップ: データ取得から図面出力までのリードタイムが劇的に短縮されます。点群スキャンと自動処理により、従来は測量数日+図面作成数日かかっていた断面図作成が、その日のうちに完了するケースも出てきています。出来形検査の書類作成も迅速にこなせるため、発注者への報告や納品を早めることができます。意思決定のスピードも上がり、工事全体の進行を滞らせることなく次の工程へ移行できるようになります。DX導入により「3倍速以上で検査書類作成が進んだ」という現場報告もあり、時間短縮の効果は明確です。


まとめ

高精度RTK測位とスマホの点群スキャンを活用したLRTKの仕組みにより、これまで煩雑だった断面図作成が「1人で」「スマホで」完結できる現実的なソリューションとなりました。特別な高価機材や専門技術者に頼らずとも、現場の誰もが直感的に扱えるツールで測量から図面化までこなせることは、建設業におけるDX推進の大きな追い風です。


人手不足や作業効率向上に課題を抱える現場ほど、こうした手軽な技術の導入メリットは大きいでしょう。LRTKは小規模な現場や従来ICT施工に縁がなかった現場でも無理なく活用できるよう設計されており、初めてのデジタル測量ツールとしても最適です。実際にスマホひとつで断面図がすぐ作れる体験をすれば、そのスピードと手軽さに驚くはずです。現場DX時代において、断面図作成のプロセスはここまで進化しています。もし現状のやり方に非効率を感じているなら、ぜひ一度この新しい手法を試してみてはいかがでしょうか。きっと、目に見える形で生産性と業務品質の向上を実感できることでしょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page