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文化財の保存修理では、残すこと、直すこと、伝えることの三つを同時に求められます。しかも対象は一つとして同じ状態ではありません。材質は木、石、土、金属、漆、紙など多様で、損傷の進み方も、置かれている環境も、補修の履歴も異なります。そのため、現場では経験に基づく判断が重視される一方で、記録の粒度や共有の仕方にばらつきが出やすく、調査・設計・施工・報告のどこかで手戻りが起きやすいという課題があります。
こうした課題を整理し、保存修理の質と効率を両立する手段として注目されているのが3Dの活用です。3Dという言葉から、高価で専門性の高い取り組みを想像する方も多いかもしれません。しかし実務の観点では、最初から大がかりな仕組みを導入する必要はありません。重要なのは、どの工程で、どの程度の精度と情報量が必要なのかを見極め、目的に合った形で3Dを使うことです。そうすれば、記録の抜け漏れを防ぎ、関係者の認識差を減らし、修理計画の妥当性を高めながら、現場負担を抑えることができます。
本記事では、文化財の保存修理に3Dを取り入れる意味を、費用対効果という実務的な視点から整理します。そのうえで、実際にどのような場面で効率化につながるのかを、活用例6選として具体的に解説します。これから導入を検討する担当者の方が、何から始めればよいか、どこで効果が出るのかを判断しやすいように、現場運用に寄せてまとめます。
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