top of page

補正情報サービスの対応地域比較:スマホ一体型CLAS対応でここまで違う!

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均7分45秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

はじめに

補正情報サービスの種類と仕組み

RTK(リアルタイムキネマティック)

VRS(仮想基準局方式)

L6・CLAS(センチメートル級測位補強サービス)

IMU支援(傾斜補正・慣性航法)

SBAS(静止衛星型広域補強システム)

PPP(精密単独測位)

全国対応とローカル対応の違い

利用インフラ・基盤の違い

用途別: どの業務にどのサービスが適しているか

出来形管理に適した補正サービス

杭打ち・測設に適した補正サービス

災害調査に適した補正サービス

スマホ一体型CLAS対応「LRTK」の登場

FAQ


はじめに

建設業や測量業では、位置の測定精度がプロジェクトの品質や効率を左右します。従来のGPS(GNSS)単独測位では誤差が数メートル生じますが、地図アプリで現在位置を示す程度なら問題にならないその誤差も、土木施工で構造物の正確な位置出しを行ったり、インフラ点検で微小な変位を検知したりする場面では致命的です。設計図通りの施工管理や出来形確認、境界測量、杭打ちでの精度確保、災害時の地盤変動計測など、センチメートル級の精度が求められる業務は数多く存在します。


こうした高精度測位を実現するには、GNSSの「補正情報サービス」を利用した測位が不可欠です。補正情報とは、衛星測位に伴う電離層・対流圏遅延や衛星軌道誤差などの影響を補うデータのことで、リアルタイムに受信機へ提供することで測位精度を飛躍的に高めます。近年、この分野では様々な方式の補正情報サービスが実用化されており、代表的なものにRTK、VRS、準天頂衛星みちびきのL6帯センチメータ級補強サービス(CLAS)、IMU支援、SBAS、PPPなどが挙げられます。それぞれ補正方法や対応エリア、必要インフラが異なり、利用シーンに応じた選択が重要です。


本記事では、主要な補正情報サービスの仕組みと対応地域の違いを専門的な観点から比較し、全国対応とローカル対応の差異や通信インフラ・基地局の要件、用途ごとの適性について解説します。センチメートル級の精度が必要となる出来形管理や杭打ち、災害調査といった現場を念頭に、最適な補正サービス選定のポイントを分析します。また、近年登場したスマホ一体型CLAS対応デバイス「LRTK」についても紹介し、現場での高精度測位の新たな可能性に触れます。


補正情報サービスの種類と仕組み

RTK(リアルタイムキネマティック)

RTKは、基地局(基準点)と移動局(ローバー)の2台のGNSS受信機を用いてリアルタイムに測位誤差を補正する方式です。あらかじめ正確な座標値が分かっている基地局を測定現場の近くに設置し、そこから得られる誤差情報を無線通信やインターネット経由で移動局へ逐次送信します。移動局は自らのGNSS測位結果に基地局からの補正量を適用することで、測位誤差を数センチメートル程度まで低減できます。補正情報のやり取りは毎秒行われるため動的な計測にも対応可能で、初期化(固定解を得る)も数秒程度と即時性に優れます。


しかし、基地局から遠く離れすぎると両局で受信する衛星信号の誤差要因がずれてくるため精度が低下します。一般に基地局との距離が10~20km以内であればセンチメートル級精度を維持できますが、それ以上離れると補正効果が薄れ、広範囲をカバーするには基地局を逐次移設する必要があります。またRTKを運用するには、現場に基地局機器を用意し、移動局との間で特定小電力やUHF帯の無線通信、または携帯ネット回線(Ntrip方式)を確保するインフラが必要です。基地局の設置・維持にはコストと手間がかかるものの、自前の基地局を使うRTKは通信圏外の環境でも運用可能であり、ローカルな現場で安定してセンチ精度を得られるというメリットがあります。


VRS(仮想基準局方式)

VRS(Virtual Reference Station)はネットワーク型RTKとも呼ばれる補正方式で、複数の固定基準局からなる観測網を利用してユーザ周辺に仮想的な基準局を設定し、補正情報を提供します。利用者(移動局)はインターネット経由で測位サービスのサーバに自分の概略位置を送信し、サーバ側でその付近に存在するかのような基準局データ(仮想基準点)を生成して返します。これにより、あたかも「すぐ近くに基地局がある」状態で補正が受けられるため、単独の移動局だけでRTKと同等の精度(水平位置で約3~4cm程度)をリアルタイムに得ることができます。初期化も数秒で完了し、動的な測位にも支障はありません。VRSの大きな利点は、利用者が自前の基地局を設置しなくてもよい点と、広域にわたり安定したセンチ級測位が可能な点です。基準局ネットワークさえカバーしていれば、県内・全国規模で移動しながら測量しても常に補正が受けられます。


日本では国土地理院の電子基準点網(GEONET)や民間事業者のネットワークRTKサービスが整備されており、これらを利用することで全国で統一された高精度座標系での測位が可能です。VRSで得られる座標は基準局網に基づく公式な測地系(日本ならJGD2011/2020)に即しているため、設計図上の座標との比較や基準点間の相対精度管理がスムーズに行えます。ただしVRSを利用するには携帯電話回線などインターネット接続が必須であり、通信圏外の地域では使用できません。また多くのネットワーク型補正サービスは有料の会員制で、月額利用料が発生します。それでも、現場に機材を追加設置する必要がなく手軽にcm精度を享受できるメリットから、特に長期間・広範囲に及ぶプロジェクトでVRS方式の活用が拡大しています。


L6・CLAS(センチメートル級測位補強サービス)

CLAS(Centimeter Level Augmentation Service)は、日本の準天頂衛星システム「みちびき」が提供するセンチメートル級測位補強サービスです。RTKやVRSが地上の基準局に依存するのに対し、CLASでは準天頂衛星から直接補正情報を受信します。技術的には、広域単独測位のPPP(Precise Point Positioning)とRTKの即時性を融合した「PPP-RTK」方式を採用しており、日本全国をカバーする衛星配信によって単独の受信機で数cmの精度を得ることを可能にしています。実際の運用では、みちびき(QZSS)のL6帯信号を受信できる対応機器を用意しさえすれば、山間部や離島など通信インフラの無い場所でもセンチメートル級の高精度測位が実現できます。初期収束に数分程度かかるものの、その後はRTKと遜色ない精度で位置情報を更新できます。


CLAS最大の特長は「通信不要で全国どこでも同じ精度が得られる」点であり、既存のRTK環境では困難だったシナリオで威力を発揮します。例えば、携帯電波が届かない山奥の測量や、大規模災害で基地局や通信網が寸断された現場でも、CLAS対応受信機が一台あれば測位を継続できます。またCLASの補正信号は国の衛星サービスとして無料で提供されており、利用料金を気にせず広域測位に活用できる利点があります。一方で留意点もいくつかあります。第一に、CLASを利用するには専用の高精度GNSS受信機が必要で、従来の単周波GNSSや一般向け機器では受信できません。第二に、センチメートル級の固定解を得るまで数分の初期化時間を要するため、作業開始直後にすぐ高精度が必要な場合は従来のRTK方式と併用する工夫が有効です。さらに、衛星からの補強信号もGNSS測位の一環である以上、高層ビル街や森林内では電波遮蔽やマルチパスの影響を受けます。都市部ではVRS、通信圏外ではCLASといった具合に、環境に応じて使い分けることで互いの長所を引き出すことが可能です。近年はドローン測量やスマート農業など、広域かつ通信レスでのセンチ精度が求められる分野でCLASの活用が進んでおり、新たな高精度測位インフラとして注目されています。


IMU支援(傾斜補正・慣性航法)

IMU(慣性計測装置)支援は、GNSS受信機に加速度計やジャイロセンサーといった慣性センサーを組み込むことで測位を補助する技術です。近年の高精度GNSS機では「傾斜補正機能」として実装される例が増えており、測量ポールが垂直になっていなくてもポール先端の正確な座標を計算できます。これは内蔵IMUがポールの傾き角度を検知し、あらかじめ設定したポール高から先端位置を補正することで実現します。障害物があって測りたい点の真上にポールを立てられない場合でも、斜めに差し込んで測定すれば狙った地点の座標を取得可能です。また傾斜補正のおかげで毎回ポールを厳密に垂直にする手間が省け、1人で効率的に測量を行えるようになります。


IMU支援にはもう一つ、GNSS信号が途切れた瞬間にも位置を推定できるという利点もあります。トンネル入口や高架下など衛星の見通しが一時的に失われる場面で、IMUがその短時間だけ自律航法的に移動量を積算し、直前の高精度位置からの相対変化を推定することで、数秒程度であれば測位を継続できます。これは完全なGNSS代替にはなりませんが、急な電波遮断時に位置捕捉を維持したり、GNSS復帰後の再初期化時間を短縮したりするのに有効です。IMUを組み込んだGNSS受信機は従来機に比べて高価ですが、実測作業の省力化や安全性向上に資するため、最新の高精度測位システムでは標準搭載が進みつつあります。


SBAS(静止衛星型広域補強システム)

SBAS(Satellite Based Augmentation System)は、静止軌道の衛星から広域に補正データを放送する仕組みで、航空航法分野を中心に普及しています。GPSなどの測位衛星の軌道・時計誤差や電離層遅延の情報を静止衛星経由で提供することで、単独測位の精度を数メートルから1メートル未満程度に向上させられます。日本ではMSAS(エムサス)、北米のWAASや欧州のEGNOSなどがSBASにあたり、これらはいずれも無料で利用可能です。一般的なGNSS受信機や一部の高性能スマートフォンはSBAS信号を受信して測位精度を高めています。しかし、SBASによる補強は主に車両航法や測位の信頼性向上が目的で、精度は数十センチ~数メートル級に留まります。土木測量や施工管理で必要とされるセンチメートル級には達しないため、本格的な高精度測位にはRTKやPPP-RTK(CLAS)など他の方式が用いられます。


PPP(精密単独測位)

PPP(Precise Point Positioning)は、1台のGNSS受信機だけで全球測位網から得られる高精度な軌道・時計補正情報を利用して測位する方式です。原理的には各種の誤差項を全て計算モデルや精密観測で補正するもので、世界中どこでも絶対的な位置を測定できる利点があります。具体的には、国際GNSSサービス(IGS)等が提供する衛星の軌道誤差や時計誤差の精密データ、全球の電離層モデルなどを用いることで、基準局なしでも単独測位の精度を飛躍的に向上させます。PPPは基準局間の距離に制限されないため、海洋上や遠隔地での測量・測位にも有効です。しかし、リアルタイムでセンチメートル級の精度に到達するには長い初期収束時間(場合によっては10分~30分程度)が必要で、測位中も徐々に精度が向上していく特性があります。一般に、リアルタイムPPPでは初期は数十センチ程度の誤差から始まり、十数分かけて数センチまで精度が改善します。このため即時性が求められる施工測量や機械制御には不向きで、主に静的な基準点測量や地殻変動観測、船舶・航空機の測位などで利用されています。最近では、各国の衛星システムや民間企業がPPPサービスを提供しており、地域補正情報を組み合わせて初期化時間を短縮した「PPP-RTK」も登場しています(前述のCLASがその一例です)。


全国対応とローカル対応の違い

補正情報サービスを選定する上では、カバーできる地域の広さ(対応エリア)が重要な要素です。RTKのように現場ごとに基地局を設置する方式は、基本的にその基地局から数km~十数km圏内というローカルな範囲しか補正が届きません。一方、VRSやCLAS、PPPなどの方式は広域・全国対応が可能で、基地局の物理的制約に縛られずに精度を維持できます。例えば、VRSは全国各地の基準点ネットワークを利用するため、日本国内ほぼ全域で同じサービスを受けられますし、CLASも日本上空の準天頂衛星から配信されるので全国どこでも精度が均一です。PPPに至っては全世界がサービスエリアとなり、海上や海外でも同じ手法で測位できます。SBASも静止衛星の電波が届く範囲(例えばMSASは東アジア一帯)であれば利用可能です。


全国対応のサービスは、広範囲を移動する測量や複数現場にまたがるプロジェクトで威力を発揮します。各地域ごとに基地局を建て直したりローカル座標系を合わせたりする手間がなく、統一された基準で測位できるためデータの一貫性も高まります。一方、単一の現場に限定される業務であれば、ローカルなRTK基地局運用でも問題ない場合があります。むしろ自社で管理する基地局は安定した通信環境を構築しやすく、他サービスへの依存を減らせる利点もあります。要は、測位が必要となるエリアの規模や移動の頻度を考慮し、全国規模のカバーが必要か現場単位で完結するかを見極めることが大切です。また、広域サービスであっても電波の届かない局所的な死角(山間の谷間など)では機能しないことがあるため、現場の環境条件に応じて補正方式を組み合わせる柔軟さも求められます。


利用インフラ・基盤の違い

各補正方式によって必要となるインフラや機材も異なります。まずRTK(単独基準局方式)では、自前の基地局装置とその電源、さらに移動局へ補正データを届ける通信手段が不可欠です。通信手段には、現場近距離であれば特定小電力無線やUHF帯無線機の利用、広範囲ではインターネットを介したNtrip配信などがあります。無線方式はリアルタイム性が高く通信費もかかりませんが、電波が届く範囲に限りがあり見通し線上に障害物があると届きにくい欠点があります。インターネット方式(携帯回線)は地形の影響を受けず広範囲に通信できますが、通信エリア外では使えず、また携帯通信料や補正サービスの利用料が発生する点に留意が必要です。


VRS(ネットワークRTK)はユーザ側に基地局が不要ですが、常時インターネット接続が前提となります。移動局(ローバー)は携帯電話網を通じて補正サービスのサーバと双方向通信を行い、位置に応じた補正データを受け取ります。そのため、作業エリアが携帯圏内であることと、対応するSIMカードやルーターの用意が必要です。一方、CLASやSBASのように衛星から補正情報を直接受信する方式では、地上の通信インフラは不要です。CLASは準天頂衛星のL6信号を受信できる高精度GNSS受信機さえあればよく、山間僻地でも追加の通信機器を用意する手間がありません(ただし対応受信機が限られる点は前述の通りです)。SBASも対応受信機であれば自動的に信号を受信しますが、日本のMSAS信号は赤道上空の静止衛星から送信されるため、アンテナ設置場所によっては南の空が開けている必要があります。PPPの利用形態はサービスによって様々で、インターネットからリアルタイム補正データ(例:IGSのストリームや民間配信)を受け取る場合と、衛星のLバンド信号で補正を受ける場合があります。いずれにせよ、高精度PPPにはマルチ周波対応の高性能受信機と、場合によっては課金サービスへの加入が必要です。


インフラ面の信頼性も方式選択のポイントです。基地局を自営するRTKは自ら機器と通信環境を管理できる反面、機器故障や設定ミスがあると補正が途絶えるリスクがあります。VRSはサービス事業者側で高度なシステム監視が行われているものの、携帯通信の不安定さやサーバ障害による一時停止の可能性はゼロではありません。CLASやSBASは地上通信に依存しないため災害時にも強みを発揮しますが、衛星信号が受信できない深い谷間や都市高層部では性能を発揮できません。また、複数の補正手段を備えておけば冗長性が高まります。例えば、通常はVRSを使いつつ通信圏外に出たらCLASに切り替える、あるいは固定局RTKで測位しつつSBASをバックアップ情報として平行受信しておく、といった運用も考えられます。現場のインフラ制約や求められる可用性に応じて、最適な組み合わせと運用計画を検討することが重要です。


用途別: どの業務にどのサービスが適しているか

出来形管理に適した補正サービス

施工完了後の出来形管理(完成物の形状・寸法測定)では、要求精度が高く測点数も多いため、即時にセンチメートル級の座標が得られるRTKやVRSが主に使われます。基準点に対する出来形のズレを確認したり、設計値との比較をその場で行ったりするには、リアルタイムで精密な座標が得られることが重要です。通信環境が整った現場であればVRSを利用することで、公共座標系(平面直角座標や標高)に直接基づいた測定結果を得られ、出来形図の作成や検査提出にもスムーズに対応できます。通信が難しい場所では自前のRTK基準局を立てて対応するケースも多く、基地局さえ設置できれば安定した精度が確保できます。また、近年はCLAS対応受信機を用いて出来形測量を行う例も出てきました。初期収束に時間は要するものの、山間部の工事現場などでネット接続なしに完了測量ができるメリットがあります。一方、PPPは収束待ち時間が長いため出来形管理には非現実的であり、SBASも精度不足のため採用されません。


杭打ち・測設に適した補正サービス

杭打ち作業や構造物の位置出し(測設)といった工程では、リアルタイムで安定したセンチ精度の測位が不可欠です。重機による杭打ちではGNSSを搭載したマシンガイダンスが活用される場合もありますが、刃先の位置を数cm以内で制御するには連続した高精度補正が前提となります。そのため、測設・杭打ちの現場では通常、RTKまたはVRSによる連続測位が選択されます。広い造成現場などでは自社基地局を設置して重機や測量員が同じ補正情報を共有する運用も一般的です。こうした現場では、無線によるRTKは外部インフラに依存せず安定しており、複数台の重機・ローバーにも同時配信しやすい利点があります。通信環境が良好であればVRSを用いて各機器が個別に補正データを受信することも可能ですが、トンネル掘削や山間工事など携帯圏外の作業では現実的ではありません。CLASについても、今後対応機器が建機や測量機に普及すれば、通信インフラ不要で杭打ちや墨出しが可能になるポテンシャルがあります(既に自動走行農機ではCLASを用いた高精度ガイダンス例もあります)。逆にPPPは初期化待ちや逐次測位の遅延が大きく、この種の即応性を要求される作業には適しません。SBASも数十cmの誤差では杭位置の管理精度を満たせないため利用されません。


災害調査に適した補正サービス

地震・土砂災害などの現場調査では、被災直後に基準点が失われていたり通信インフラがダウンしていたりする状況が考えられます。その中で迅速かつ高精度に地形の変位や被害範囲を測定するには、単独で完結する測位ができる補正サービスが有効です。代表的なのはCLASで、大規模災害時に通信網に頼らず測位できる強みが評価されています。実際、能登半島地震(2023年)では、現地の携帯基地局が停止する中で携行型のCLAS受信機が災害状況の把握に活躍しました。CLASであれば受信機単体で被災地の地盤変位を記録でき、測定結果は即座に世界測地系の座標値として得られるため、広域での変位量比較や地図へのプロットも容易です。もちろん通信が確保できる場合はVRSによる測位も可能ですが、災害直後は通信規制やサーバダウンのリスクもあり信頼できません。自前のRTK基地局を設置する余裕もない状況では、初期化に多少時間を要してもCLASや場合によってはPPP測位が貴重な手段となります。PPPは長時間安定して受信する必要があるため即応調査にはあまり向きませんが、余震期間中の連続観測や基準点復旧のための精密測位に利用されることがあります。SBASは精度・信頼性ともに限定的で、災害規模の検証には力不足です。以上より、災害調査では現場状況に応じてCLASやRTKを使い分け、利用可能なインフラに合わせた柔軟な運用が鍵となります。


スマホ一体型CLAS対応「LRTK」の登場

最後に、補正情報サービスの新たな活用例として注目されているスマホ一体型デバイス「LRTK」について紹介します。LRTKは、スマートフォン(現在は主にiPhone/iPad)に装着できる小型のRTK-GNSS受信機で、重量わずか約125g・厚さ1.3cmほどのポケットサイズながらセンチメートル級測位を実現する画期的な製品です。専用のスマホケースにワンタッチで取り付けられる一体型設計であり、アンテナ・受信回路・バッテリーを内蔵しているため、これ一台とスマホさえあれば従来の据え置き型GNSS測量器に匹敵する精度で測位が可能です。


LRTKが対応している補正方式は非常に柔軟で、携帯通信が利用できるエリアではスマホからNtrip経由でVRS補正を受けつつ測位し、通信圏外に出ても準天頂衛星みちびきのCLAS信号を直接受信することで引き続きセンチメートル測位を維持できます。3周波GNSS対応かつCLAS対応であるため、山間部や洋上などインターネットが届かない場所でも単独で精度を確保でき、実際に災害現場の測量でも威力を発揮しました。またIMUによる傾斜補正機能も備えた上位モデル(LRTK Proシリーズ)も開発されており、狭隘部での測点測定や移動しながらの連続計測といった高度なニーズにも応えます。従来は数百万円規模だったRTK測量機が飛躍的に小型・低コスト化したことで、「1人1台」の時代が現実味を帯びています。現場管理者や技術者が常にポケットに高精度測位ツールを携行できれば、必要な時にすぐ測定してクラウドでデータ共有するといった新しいワークフローが可能になりつつあります。LRTKは、補正情報サービスの進歩とスマートデバイスの融合が現場にもたらすイノベーションの一例と言えるでしょう。


FAQ

Q: 補正情報サービスはどのように選べばよいですか? A: まず、必要な精度と測位範囲、現場の通信環境を考慮して選定します。狭い現場で即時にセンチ精度が必要なら、自前のRTK基地局やVRSサービスが適しています。広範囲を移動する場合や複数現場に適用する場合は、全国対応のVRSやCLASが便利です。通信圏外ならCLASか基地局運用、通信がある程度期待できるなら手軽なVRS、といった具合に現場条件で絞り込みます。また、初期導入費用とランニングコストの違い(基地局購入 vs サービス利用料)も判断材料です。総じて、通信インフラ・作業範囲・予算に応じて、複数の方式を組み合わせる柔軟さを持つと安心です。


Q: 通信圏外の山間部ではどの補正方式が有効ですか? A: 通信インフラが無い現場では、衛星経由で補正が得られるCLASが最も有力です。CLAS対応機器さえ用意すれば、山間部でも単独でセンチ精度が得られます。また、従来からある方法としては、現地に移動式のRTK基地局を設置し無線で補正データを飛ばす運用も有効です。電波到達範囲内であれば通信不要で高精度が確保できます。PPPも通信不要という点では利用可能ですが、初期収束に時間がかかるため即応性に欠け、測量現場で動的に使うには非効率です。SBASは通信不要ですが精度が数十cm止まりなので、高精度を要する用途には力不足です。


Q: 補正情報サービスの利用にはどの程度のコストがかかりますか? A: ハードウェア費用とサービス利用料の両面があります。RTKの場合、基地局+移動局の受信機セット購入に100~300万円程度かかりますが、その後の通信費は自前無線ならほぼゼロです。VRSは移動局側の受信機購入費(数十万~)に加え、サービスの月額利用料や通信費が発生します。CLASはサービス自体は無料ですが、対応する高性能受信機の購入が必要です。PPPも商用サービスを利用する場合は契約費用が発生することがあります(ただしオープンな精密軌道データを用いたフリーのPPPもあります)。SBASは受信機さえ対応していれば追加コストなく利用できます。総じて、初期コストを抑えるならVRS利用や機器レンタル、ランニングコストを抑えるなら自前RTK運用やフリーのCLAS活用、といったバランスになります。


Q: CLASを利用するには何が必要ですか? A: CLASを使うには、センチメータ級測位に対応したGNSS受信機が必要です。具体的には、準天頂衛星みちびきのL6帯信号を受信・解読できる高精度GNSS機器で、マルチ周波対応のものが該当します。市販の測量用GNSS受信機でも、ファームウェアアップデート等でCLAS対応しているモデルが増えています。また、最近ではスマートフォンに装着するタイプのCLAS対応受信機(例: LRTK)も登場しており、従来より安価に導入できるようになってきました。機器を用意すれば、あとは受信環境の良い屋外でみちびきの補強信号を受信開始するだけで、数分後には補正が適用された高精度測位が始まります(利用登録や課金は不要です)。


Q: 傾斜補正機能とは何ですか?現場で役立ちますか? A: 傾斜補正機能とは、ポールや端末の傾きを内部センサーで検知し、傾いて測った場合でも先端の真下の地点座標を自動で補正する仕組みです。これにより、測点の真上に器械を立てられない場合でも斜めから測れるようになり、建物のコーナー部や障害物越しのポイント測定が容易になります。また毎回ポールを厳密に垂直に立てる必要がなくなるため、1人での迅速な測量や高さの異なる点の連続観測において大幅な効率化が図れます。現場では多少ポールが傾くことは日常茶飯事なので、それをリアルタイムに補正してくれる傾斜補正機能は非常に有用です。ただし、正確な補正には事前のセンサーキャリブレーションが必要で、極端に傾けすぎると誤差が増えるため注意も必要です。


Q: スマートフォンだけでセンチメートル級測位はできますか? A: 現状、市販のスマートフォン単体(内蔵GPS)で何も補強なしにセンチメートル精度を得ることは困難です。最新のスマホは高感度・複数周波数対応のGNSSチップを搭載し、SBASや簡易な補正で数十cm程度まで精度向上していますが、数cmとなると専用機器や補正データの助けが不可欠です。ただし、スマホと外付けデバイスを組み合わせれば可能になります。例えば、前述のLRTKのようにスマホに装着する高精度受信機を使えば、スマホアプリ上でRTKやCLASの補正を効かせたセンチメートル測位が実現できます。またAndroid端末ではGNSS生データを取得して外部の補正サービスと組み合わせる試みも行われており、将来的にはスマホ内蔵機能だけで高精度測位が可能になる余地もあります。とはいえ2020年代半ばの現時点では、業務レベルのセンチ精度を得るには専用の補正情報と受信機を併用するのが現実的です。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page