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衝突限界の目安はいくつ?条件別にわかる判断基準

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

協働ロボットを導入するとき、「人に接触しても安全と判断できる衝突限界はいくつか」と疑問を持つ実務担当者は少なくありません。しかし、衝突限界には、あらゆる設備へ一律に適用できる単独の数値はありません。人体のどこに接触するか、人がロボットと固定物の間に挟まれるか、工具やワークに角や突起があるか、どの姿勢と速度で接触するかによって判断条件が変わります。


実務では、接触力だけでなく接触圧力も確認します。さらに、ロボット本体だけでなく、先端工具、把持ワーク、周辺設備、安全機能、作業者の動線を含めたアプリケーション全体で評価する必要があります。この記事では、産業用ロボットの電力・力制限による協働運転を前提として、よく参照される代表値と、条件別に判断するための考え方を解説します。


目次

衝突限界は一つの数値では決められない

最初に押さえたい代表的な数値の目安

接触部位で変わる判断基準

準静的接触と過渡的接触の違い

力と圧力を同時に見る理由

工具とワークの形状で限界が変わる

速度と可動質量から危険側を読む

挟み込みと逃げられる衝突を分ける

測定条件をそろえて再現性を確保する

設計段階で使える判断手順

衝突限界でよくある誤解

まとめ


衝突限界は一つの数値では決められない

衝突限界は、ロボットシステムと人が接触したときの機械的負荷を評価するための基準です。主に力と圧力を扱いますが、基準値以下であることだけで設備全体の安全が自動的に保証されるわけではありません。切創、刺傷、巻き込み、熱、感電、飛散、転倒など、力と圧力だけでは評価できない危険源も別に確認する必要があります。


産業用ロボットアプリケーションとロボットセルを対象とするISO 10218-2は2025年版が発行され、設計、統合、試運転、運転、保守、廃止などを対象としています。協働用途を補足するISO/TS 15066:2016は、2026年7月時点で現行文書として掲載されていますが、改訂予定の文書でもあります。したがって、設計や適合確認では、発注時点または検証時点の最新版、適用地の法令や国内規格、契約仕様を確認する必要があります。ISO+2ISO+2


衝突限界を検討するときは、最初に接触する可能性がある人体部位を特定します。次に、接触後に人が逃げられる自由衝突なのか、ロボットと固定物の間に拘束される挟み込みなのかを分けます。そのうえで、力、圧力、速度、実効質量、接触形状、停止性能、退避空間を確認します。


同じロボットでも、丸く広いアーム面が前腕へ接触する場合と、薄いワークの角が顔へ接触する場合では危険性が大きく異なります。「協働ロボットだから何ニュートンまで安全」と単純化せず、実際の工具、ワーク、軌道、周辺設備を含めた接触シナリオごとに判断することが重要です。


また、数値基準は接触を積極的に許容するための目標値ではありません。まず接触の可能性を減らし、頭部や頸部などへの接触をレイアウトや安全な可動範囲で避け、それでも残る合理的に予見可能な接触を測定する順序が基本です。公的な技術資料でも、接触状況を最小限にし、力と圧力の両方を制限する考え方が示されています。DGUV


最初に押さえたい代表的な数値の目安

衝突限界の数値を調べるときに、まず参照されることが多いのは、準静的接触、つまり人体がロボットと設備などの間に挟まれ、力が継続する状況の値です。


ISO/TS 15066に取り込まれた生体力学的限界値の表では、準静的接触力として、顔は65ニュートン、腹部は110ニュートン、頭部および額は130ニュートン、下腿も130ニュートン、胸部と手・指は140ニュートン、首と上腕は150ニュートン、前腕は160ニュートン、骨盤部は180ニュートン、背中および肩は210ニュートン、大腿部および膝は220ニュートンと示されています。DGUV


最も小さい代表値は顔の65ニュートンです。力だけを見ても、大腿部および膝の220ニュートンとは3倍以上の差があります。そのため、接触部位を特定せずに「衝突限界は150ニュートン程度」と設定すると、顔に対しては危険側となり、別の部位には過度に保守的となる可能性があります。


圧力の代表値も人体部位と測定位置によって異なります。準静的接触時のピーク圧力は、こめかみや顔の110ニュートン毎平方センチメートルから、指腹の300ニュートン毎平方センチメートルまで幅があります。額は130、腹部は140、骨盤部は210、前腕周辺は180から190ニュートン毎平方センチメートルなど、同じ身体領域でも具体的な接触位置によって値が変わります。DGUV


ただし、これらの値は「この値までなら無条件に無傷である」と保証する数値ではありません。参照表の圧力値は痛みの発生し始めを扱った研究に基づき、力の値は文献調査による傷害しきい値を基礎として整理されています。設備の合否は、数値表だけでなく、接触形状、持続時間、測定不確かさ、作業者の転倒可能性、その他の危険源を含めて判断します。DGUV


現場で採用する値は、適用する規格や仕様書の版を確認したうえで決めます。ロボットの制御設定へ限界値と同じ値をそのまま入力する方法も適切とは限りません。停止までのピーク、工具とワークの慣性、センサー誤差、制御応答、接触角度、測定ばらつきを考慮し、実測値が限界に張り付かない余裕を確保します。


接触部位で変わる判断基準

衝突限界を決める最初の条件は、どの人体部位に接触する可能性があるかです。作業者の身長、姿勢、利き手、作業台の高さ、部品供給位置、ロボット軌道を確認し、想定される接触部位を具体的に洗い出します。


顔、頭、首は特に慎重な扱いが必要です。代表値表には頭部や顔の数値もありますが、目、喉、口、耳などの傷つきやすい部位への接触を数値管理だけで許容する考え方は避けるべきです。公的な技術資料では、頭部への接触は、合理的に予見可能な誤使用を含めてレイアウトで原則的に除外し、除外できない場合でも接触状況を最小限にする方向が示されています。DGUV


設計では、通常作業時の立ち位置だけでなく、設備内部をのぞき込む、落とした部品を拾う、異常を確認するために身を乗り出すといった行動も考慮します。通常姿勢では頭が届かなくても、異常対応時には危険な軌道へ入ることがあります。


手や指は、圧力の代表値が比較的大きい箇所もありますが、安全と断定できるわけではありません。指先は小さな隙間へ入りやすく、グリッパー、治具、ワーク、作業台の間に挟まれやすい部位です。接触面積が小さくなれば局所圧力が高くなり、関節のねじれや切創など、法線方向の力と圧力だけでは十分に表せない危険も生じます。


胸部や腹部は、手足より退避しにくい場合があります。ロボットが体幹を壁、架台、作業台へ押し付ける配置では、代表値以下でも姿勢の崩れ、呼吸への影響、転倒後の二次衝突を確認する必要があります。腹部の準静的接触力の代表値が110ニュートンと比較的小さいことからも、体幹への持続的な押し付けは慎重に扱うべきです。


実務では、接触部位を「腕」や「体」と大まかに分類せず、「前腕外側」「肘付近」「手の甲」「胸骨付近」のように具体化します。接触位置が具体的であれば、適用する力と圧力の値、人体模擬特性、測定方向を選びやすくなります。


準静的接触と過渡的接触の違い

衝突限界を判断するときは、準静的接触と過渡的接触を分けます。この分類を誤ると、限界値の選択が危険側になる可能性があります。


準静的接触とは、ロボットと固定物の間に人体が挟まれるなど、接触後も力が残る状態です。ロボットアームが前腕を治具へ押し付ける、先端工具が手を作業台へ挟む、ワークが胸部を架台との間で圧迫するといった状況が該当します。作業者自身の動きだけでは接触を解消できないことが多く、持続する力と圧力を評価します。


過渡的接触とは、ロボットが人へぶつかった後、人が後退したりロボットが停止したりして接触が解消される自由衝突です。人体が固定物との間に拘束されず、衝突後に退避できる空間があることが前提です。この場合は、主に衝突直後の最大力と最大圧力を確認します。


広く参照されるISO/TS 15066由来の表では、頭部、額、顔の領域を除き、過渡的接触の力と圧力に準静的接触値の2倍という乗数が示されています。前腕の準静的接触力が160ニュートンなら、表上の過渡的接触値は320ニュートンに相当します。一方、頭部、額、顔には過渡的接触の乗数が示されていません。DGUV


ただし、2倍という値をあらゆる衝突へ機械的に適用してはいけません。これは参照表上の扱いであり、接触が本当に自由衝突であること、対象部位が適用範囲に入ること、実際の測定方法が適切であることが前提です。周囲に壁や設備がある、作業者の足元が塞がれている、衣服や手袋が引っ掛かる可能性がある場合は、拘束や転倒を考慮します。


判断に迷う場合は、より厳しい準静的接触として評価することが安全側です。「接触時間が短いから過渡的」と決めるのではなく、人が拘束されるか、接触後に力が残るか、自力で離脱できるかを確認します。


力と圧力を同時に見る理由

衝突限界では、力と圧力のどちらか一方だけを確認しても不十分です。力は人体へ加わる荷重の大きさを表し、圧力はその荷重がどの程度狭い面積へ集中しているかを表します。


同じ100ニュートンでも、広く丸い面で接触する場合と、細い角で接触する場合では人体への影響が異なります。接触面積が小さくなるほど圧力は高くなるため、工具やワークの角部では、力が限界内でも圧力が限界を超える可能性があります。


反対に、緩衝材で接触面積を広げると、圧力は下がりやすくなります。しかし、広い面で胸部や腹部を強く押せば、表面圧力が低くても深部組織への負荷や転倒の危険が残ります。公的な技術資料でも、力または圧力のいずれかが限界を超えれば要求を満たさないとする考え方が示されています。DGUV


圧力測定では、平均圧力だけでなくピーク圧力を確認します。柔らかい材料で覆われていても、内部に硬いボルト頭部や金属角部があれば、局所的な高圧力が発生します。見た目の接触面積が広くても、実際には一部だけが先に当たっていることがあります。


接触面が斜めになると、法線方向の圧力に加えて滑りやせん断が生じます。一般的な力・圧力測定だけで、鋭利な形状、切断機能、回転工具、高温部などの危険をすべて評価できるわけではありません。


したがって、力と圧力が基準内でも、切創、刺傷、巻き込み、摩擦、熱、飛散、感電などが残る場合は、接触を許容する設計にはできません。衝突限界はリスクアセスメントの一部であり、機械全体の安全を保証する単独の指標ではありません。


工具とワークの形状で限界が変わる

衝突限界を大きく左右するのが、先端工具とワークの形状です。ロボット本体の表面が丸くても、取り付けた工具や把持部品に角、突起、薄い板端部があれば、アプリケーション全体の接触条件は変わります。


工具の爪、ボルト、センサー取付部、ワークの角、板金端部、樹脂成形品の突起は、局所圧力を発生させやすい箇所です。工具やワークの角部では圧力が判定を支配することがあり、限界を超える場合は、接触面の拡大、丸み付け、緩衝、弾性構造、軌道変更などを検討します。DGUV


工具形状を見直すときは、角へ柔らかい材料を貼るだけで完了とは限りません。緩衝材が薄いと衝突時に底付きし、内部の硬い形状が圧力を集中させます。繰り返し使用によるへたり、破れ、ずれ、油や薬品による劣化、温度変化も確認します。


把持ワークも評価対象です。材質、寸法、質量、把持方向、突出量が変われば、衝突条件も変化します。品種切替えのある工程では、最も重いワークだけでなく、最も鋭い形状、最も長く突出する形状、把持が不安定な形状が危険側になることがあります。


工具交換を行う工程では、工具ごとに接触シナリオを確認します。工具質量が増えれば慣性が増え、重心が先端から離れれば姿勢による実効質量も変わります。交換後も同じ速度設定を使う場合は、以前の測定結果をそのまま流用できないことがあります。


設計上は、危険な角部を作業者から遠ざけ、移動時には丸い面が進行方向を向くようにします。形状改善だけで解決できない場合は、可動範囲の制限、接近検知、速度・間隔監視、固定式ガードなど、接触そのものを防ぐ方策へ切り替えます。


速度と可動質量から危険側を読む

ロボットの衝突力は、設定速度だけでは決まりません。ロボットアーム、先端工具、把持ワークの質量、ロボット姿勢、接触方向、機械剛性、制御応答、停止距離が組み合わさってピークが決まります。


一般に速度が上がるほど衝突時の運動エネルギーは増えるため、速度低減は有効な対策です。ただし、速度を半分にすれば測定力も必ず半分になるとは限りません。接触位置、剛性、制御方式、停止応答によって波形が変わるため、設定変更後は実測で確認します。


同じ先端速度でも、ロボットが伸びた姿勢と折りたたまれた姿勢では、接触方向に対する実効質量や剛性が異なります。軌道途中で姿勢が変わる場合は、一つの測定点だけで全区間を代表できないことがあります。


把持ワークが重くなると、停止時の慣性負荷が増えます。大きく重いワークは、力や圧力の限界を超えやすく、電力・力制限だけでは十分にリスクを低減できない場合があります。DGUV


最大速度の位置だけでなく、加速区間と減速区間も確認します。人への接触が想定される位置で加速中であれば、定速区間とは異なるピークが出ることがあります。停止直前でも、計画減速と接触時の制御応答が重なり、予想と異なる波形になる可能性があります。


安全に関係する速度、力、トルク、位置、可動範囲の制限は、通常の生産プログラム上の設定と区別して管理します。一般の速度指令を低くするだけでは、誤操作やプログラム変更で速度が上がる可能性が残ります。安全上必要な制限は、リスクアセスメントで求めた性能を満たす安全関連機能で監視し、変更権限も管理します。


限界を超える場合は、速度低減だけでなく、ワークの軽量化、工具の短縮、軌道変更、接触面の拡大、危険部位への接近防止を組み合わせます。人の不在を安全に確認できる区間だけ高速化する方法もありますが、速度・間隔監視など別の安全方策として設計し、妥当性確認する必要があります。


挟み込みと逃げられる衝突を分ける

実務で見落とされやすいのが、ロボットと周辺設備の間に生じる挟み込みです。ロボット単体の外観だけを確認しても、作業台、柱、棚、治具、搬送装置、壁との間に狭い隙間があれば、人体を拘束する危険が生じます。


ロボットアームが前腕へ接触する場合でも、反対側に何もなければ、作業者が腕を引いて接触を解消できる可能性があります。一方、前腕の反対側に治具があれば、同じ軌道と速度でも準静的な挟み込みになります。


挟み込みでは、停止後に残る力も確認します。衝突検知で動作が止まっても、重力、保持ブレーキ、機械姿勢、工具のばね力によって人体への荷重が残ることがあります。停止したことと、人体が解放されたことは同じではありません。


非常時に人を解放する手順も必要です。停止したロボットをどの方向へ退避させるか、ブレーキを安全に解除できるか、グリッパーを開放できるか、誰が操作するかを事前に決めます。公的な技術資料でも、挟まれた人を自力または操作で解放できる手段を設け、挟み込み接触を可能な限り避ける考え方が示されています。DGUV


逃げられる衝突として評価する場合は、作業者の背後や側方に十分な退避空間があるかを確認します。床の段差、台車、材料箱、配線、濡れた床などがあると、接触力が小さくても転倒につながります。両手で部品を持っている、足元が制限されているといった作業条件も考慮します。


通常運転では退避できても、二人が同時に区域へ入ると退避方向が塞がれる場合があります。保守、清掃、詰まり除去、段取り替えなど、通常と異なる姿勢や人数も含めて確認することが重要です。


測定条件をそろえて再現性を確保する

衝突限界は、ロボットの内部センサー表示だけで判断せず、実際の接触条件を模擬した測定で確認します。ロボットが推定する外力と、人体に相当する位置で生じる接触力や圧力は一致しない場合があるためです。


現在はISO/PAS 5672:2023が、人とロボットの物理接触における力と圧力の測定方法、測定値の解析方法、圧力・力測定装置の特性を規定しています。測定計画では、この文書を含む適用規格、測定器メーカーの仕様、検証手順を確認し、用いる装置と信号処理条件を統一します。ISO


人体部位の変形特性を模擬する測定装置では、部位に応じたばねや緩衝材を用います。2017年の公的技術資料に示された例では、ばね定数は腹部の10ニュートン毎ミリメートルから頭部・額の150ニュートン毎ミリメートルまで異なります。ただし、これは特定資料の測定構成例であり、すべての測定器へそのまま適用する一律条件ではありません。DGUV


測定位置は、リスクアセスメントで選んだ危険側の接触点に合わせます。速度が高い位置、姿勢が硬くなる位置、工具やワークが最も突出する位置、固定物との隙間が最小になる位置などを候補とします。


測定方向も重要です。測定装置の軸と実際の接触方向がずれると、力の一部しか捉えられない場合があります。実作業で想定される角度を再現し、工具、ワーク、把持状態、軌道、速度も本番条件に合わせます。


古い公的技術資料の測定例には、少なくとも1キロヘルツでサンプリングし、100ヘルツのバターワース・ローパスフィルターを用いる条件が示されています。しかし、これを現在のすべての検証へ無条件に適用するのではなく、ISO/PAS 5672:2023、使用する測定器、採用する試験手順に従って決める必要があります。DGUV+1


一回の測定だけで合否を決めることも避けます。接触位置のわずかなずれ、把持状態、制御周期、温度、緩衝材の状態によって結果が変わるためです。同一条件で複数回測定し、最大値、ばらつき、測定不確かさを確認します。限界値に近い場合は合格と急いで判断せず、速度、形状、軌道を見直して余裕を確保します。


圧力測定では、接触面全体の分布を確認します。最大圧力が毎回大きく移動する場合は、工具の当たり方、測定器の固定、ワーク姿勢が安定していない可能性があります。


工具交換、ワーク変更、速度変更、軌道変更、制御設定変更、修理、衝突事故、摩耗などがあった場合は、再評価の要否を判断します。測定結果は、ロボット姿勢、設定値、工具、ワーク、測定位置、測定方向、測定器、信号処理条件と結び付けて記録します。


設計段階で使える判断手順

衝突限界を設計へ反映するときは、数値表から始めるのではなく、危険源を取り除く順序で検討します。


最初に、協働作業が本当に必要な範囲を限定します。ロボットの全動作を人と共有する必要がなければ、人が介入する区間だけを協働区域とし、それ以外はガードや安全関連の監視で分離します。


次に、作業者が取り得る姿勢と行動を確認します。通常の部品供給だけでなく、検査、異常確認、清掃、段取り替え、落下物回収なども対象にします。頭、首、胸、腹、腕、手が、ロボット、工具、ワーク、固定設備のどこへ接触する可能性があるかを整理します。


その後、各接触シナリオを準静的接触と過渡的接触に分類します。ロボットの反対側に固定物がある、狭い隙間へ手が入る、衣服が引っ掛かる可能性がある場合は、準静的接触または別の危険として扱います。


接触部位が決まったら、適用する力と圧力の限界を選びます。複数部位が接触し得る場合は、実際の軌道を分離できない限り、より厳しい条件を基準にします。顔と前腕の両方が接触し得る軌道で、前腕の160ニュートンだけを採用する方法は適切ではありません。


続いて、工具とワークの形状を改善します。角を丸め、突起を減らし、接触面を広げ、必要に応じて緩衝構造を設けます。危険な形状を変更できない場合は、その部分が人へ接近しない軌道やガードを検討します。


次に、速度、力、トルク、位置、可動範囲など必要なパラメータを安全関連機能で制限します。設定後、実機と実際の工具、ワーク、軌道を用いて力と圧力を測定します。基準を超えた場合は、速度低減だけに頼らず、形状、軌道、質量、レイアウトを含めて再設計します。


測定に適合した後も、残留リスク、禁止事項、工具交換時の条件、再評価が必要になる変更内容を文書化します。規格や測定手法は改訂されるため、設計開始時だけでなく、最終検証時にも最新版を確認することが重要です。ISO/TS 15066:2016は現行文書として掲載される一方、後継文書の開発が進められています。ISO+1


衝突限界でよくある誤解

よくある誤解の一つは、「ロボット本体が協働用途に対応しているため、アプリケーションの測定は不要」という考え方です。ロボットが安全機能を備えていても、先端工具、ワーク、周辺設備、軌道を組み合わせた後の接触条件までは自動的に保証されません。


二つ目は、「力が基準以下なら安全」という判断です。細い工具や鋭いワークでは、力が小さくても圧力が限界を超えることがあります。力と圧力の両方を確認し、どちらか一方でも超えれば対策が必要です。


三つ目は、「柔らかいカバーを付ければ解決する」という判断です。緩衝材は圧力分散に役立ちますが、底付き、劣化、ずれ、破損を考慮しなければなりません。広い面による強い押し付けでは、力の限界や転倒リスクが判定を支配する場合があります。


四つ目は、「最も速い位置だけ測ればよい」という判断です。最大速度の位置が最大衝突力になるとは限りません。ロボット姿勢、関節配置、加減速、接触方向によって、別の位置が危険側になることがあります。


五つ目は、「一度測定すれば継続して使用できる」という判断です。工具、ワーク、速度、軌道、制御設定を変更すれば、以前の測定結果をそのまま適用できないことがあります。摩耗、修理、衝突事故の後にも再評価の要否を確認します。


六つ目は、「基準値を少し下回れば十分」という判断です。測定にはばらつきと不確かさがあります。異なる測定器間で最大力の測定値に差が生じることも報告されているため、限界値直下の結果に依存せず、設計上の余裕を確保することが重要です。DGUV Publikationen


七つ目は、「表に値があるため頭部接触も許容できる」という判断です。目、顔、喉などは数値だけで安全を評価しにくい部位です。頭部付近への接触は、限界値を使って許容範囲を広げるのではなく、レイアウト、安全な可動範囲、接近防止によって排除することを優先します。


まとめ

衝突限界には、すべての協働ロボットへ共通する一つの数値はありません。よく参照される準静的接触力は、顔の65ニュートンから大腿部および膝の220ニュートンまで、人体部位によって大きく異なります。腹部は110ニュートン、胸部と手・指は140ニュートン、前腕は160ニュートンなどが代表値ですが、これらを制御設定へそのまま入力すればよいわけではありません。DGUV


判断するときは、接触部位、準静的接触か過渡的接触か、力と圧力、工具やワークの形状、速度、実効質量、ロボット姿勢、挟み込み、退避空間を確認します。顔、頭、首などの敏感な部位では、数値管理よりも接触を避ける設計を優先します。


測定では、実際の工具、ワーク、軌道、速度を再現し、適用する規格と測定器に合った条件を使用します。同一条件で複数回測定し、最大値、ばらつき、測定不確かさを確認したうえで、限界値まで余裕を持たせます。


衝突限界は、ロボット単体の能力を示す数値ではなく、人、ロボット、工具、ワーク、設備、運用方法を組み合わせたアプリケーション全体の判断基準です。代表値だけで合否を決めず、接触シナリオの整理、リスク低減、実機測定、変更管理まで一貫して行うことが、安全な協働作業につながります。


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