目次
• 準天頂衛星システム「みちびき」とCLASとは?
• CLAS対応受信機の基本構造とメリット
• 実務での測位精度と使い方
• 従来RTK(ネットワーク型、UHF型)との違いと比較
• CLAS利用のための条件と留意点
• LRTKスマホ型CLAS対応受信機の特長と導入メリット
• 測量現場でのLRTK CLAS活用事例
• FAQ
準天頂衛星システム「みちびき」とCLASとは?
まず、日本の準天頂衛星システム「みちびき」(QZSS)について押さえておきましょう。「みちびき」はGPSを補完・補強する目的で日本に導入された衛星測位システムです。4機以上の衛星により日本上空で常に少なくとも1機が高仰角(ほぼ天頂付近)に位置するよう設計されており、山間部や高層ビル街でも衛星を捕捉しやすくしています。その結果、GPS単独では誤差約10m程度だった測位が、「みちびき」の利用により1mから数cm程度まで大幅に向上します。
中でも注目すべき新技術がセンチメートル級測位補強サービス(CLAS)です。CLAS (Centimeter Level Augmentation Service)とは、国土地理院の電子基準点ネットワーク(GEONET)から得られる測位誤差情報をもとに補正データを作成し、それを準天頂衛星「みちびき」経由で配信するサービスです。簡単に言えば「日本全国どこでも受信できる衛星通信型のRTK補正情報」と言えます。ユーザーの受信機がCLAS信号(QZSSのL6帯電波)を受信すると、自分が受信しているGPSやGLONASSなど複数GNSS衛星の測位にその補正を適用し、リアルタイムで誤差数センチの高精度な位置を算出できます。
CLAS最大の特徴は、測量者自身が基地局を用意しなくてもセンチメートル級測位が可能になる点です。従来のRTK測位では、利用者が既知点にGNSS基地局を設置して無線で補正情報を送信したり、あるいは携帯インターネット経由で基準局ネットワークの補正情報(VRSなど)を取得する必要がありました。これに対しCLASでは、基準局は国が整備する電子基準点を仮想的に利用し、その補正情報が直接衛星から降ってくるため、ユーザー側で基地局機器や通信回線を用意する必要がありません。通信インフラに依存しないため携帯電波の届かない山間部や海上でも運用でき、さらに補正信号の受信自体は無料(衛星からの配信サービスは公費で提供)であることも大きなメリットです。まさに「基地局不要で全国どこでも使えるRTK」を実現したのがCLASなのです。
CLAS対応受信機の基本構造とメリット
CLASの恩恵を受けるには、対応するGNSS受信機が必要です。ポイントは、通常の単独測位用GNSSやスマートフォン内蔵GPSでは「みちびき」のCLAS信号(L6帯)を受信できないことです。CLAS対応受信機には、L6帯を含むマルチバンド(複数周波数)のGNSSアンテナ・受信モジュールが搭載されています。具体的には、GPSやGLONASS、Galileo、BeiDouなどに加えて準天頂衛星も追尾し、なおかつL6帯の補強信号まで処理できる専用ハードウェア・ソフトウェア構成になっています。
こうしたCLAS対応GNSS受信機は、基地局や外部通信に頼らず単独で高精度測位ができるため、従来型RTK機器と比べ以下のようなメリ ットがあります。
• ネット回線が不要でどこでも使える: CLASは衛星から直接補正情報が届くため、現場でモバイルルータやスマホのテザリングを使ってネット接続する必要がありません。山奥や電波圏外の現場でも衛星さえ見通せればセンチ級測位が可能です。例えば携帯通信が遮断された災害現場でも、CLAS対応受信機があれば即座に測量を開始できます。
• 省電力で長時間運用: 外部通信モジュールを使用しない分、受信機自体の消費電力を抑えられる利点があります。UHF無線機や4G通信を常時使用する場合と比べ、バッテリーの負荷が軽く、現場で長時間の連続測位が可能です。山間部で通信圏外ゆえにスマホの電波探しでバッテリーが消耗してしまう、といった心配もありません。
• コンパクトで機動力が高い: CLAS対応受信機は近年小型化が進んでおり、アンテナ一体型のコンパクトな機種が登場しています。受信機単体で完結するため、基地局用の大型機器や長大なアンテナポールを運ぶ必要がなく、持ち運びや現場での据え付けが容易です。測量員が一人で複数地点を迅速に巡回・測位す るといった機動的な作業にも適しています。
以上のように、CLAS対応受信機は「基地局レスかつ通信レス」という新しい測位スタイルを可能にします。従来は難しかった山岳地域でのRTK測位や、機器・通信の制約があった状況下での高精度測量を、より手軽に実現できるのです。
実務での測位精度と使い方
CLAS対応受信機を用いた測位では、実際どの程度の精度が得られるのでしょうか。結論から言えば、水平数センチ・垂直数十センチ程度の精度を安定的に得ることが可能です。例えば実験や実運用の結果では、水平位置は約3〜6cm程度の誤差範囲に収まり、標高(高さ)方向でも10cm前後の誤差に収まるケースが多く報告されています。これは通常の単独測位(数m〜十数mの誤差)やSBAS(1m前後の誤差)と比較して飛躍的な精度向上であり、測量や施工管理の実務にも十分耐えうる精度です。
実際の使用において留意すべきなのは、測位開始から高精度なFix解が得られるまでに少し時間を要する点です。CLAS方式では、受信機を起動して衛星捕捉を開始しても、補強情報を反映して誤差を数センチまで収束させるのに数十秒〜1分程度かかる場合があります。収束前の初期段階では誤差が数十センチ程度(RTKで言う「Float解」相当)に留まることもあります。そのため、現場で測位を開始した直後は慌てずに、1分ほど安定化を待ってから本測定に入るのがコツです。一度センチ級の精度に達してしまえば、その後は誤差数センチ内で安定して測位が継続でき、測量作業を安心して進められます。
CLAS対応受信機の扱い自体は、基本的に従来のRTK受信機と変わりありません。トータルステーションのような煩雑な視準も不要で、GNSSアンテナを測りたい点に据えて衛星を受信するだけです。機種にもよりますが、多くは専用コントローラやスマホアプリ上で現在の測位モード(単独→SBAS→CLASへの移行状況)や精度を確認できます。Fix解(センチ精度)を維持するには、上空が開けた環境が理想です。山間部でも頭上の視界が確保できていれば衛星数は十分ですが、樹木の真下や高架下など衛星視界が極端に遮られる場所では、CLASといえども精度が低下したり解が不安定になる可能性があります。この点は従来のRTKやGNSS測位全般と共通の注意点と言えます。
従来RTK(ネットワーク型、UHF型)との違いと比較
CLAS方式と、従来から測位業務で使われてきたRTK方式(ネットワーク型RTKやローカル基地局を用いる独立型RTK)にはどのような違いがあるでしょうか。以下、主要なポイントで比較してみます。
• 基地局の有無: 最も大きな違いは、ユーザー自身が基地局を用意する必要があるかどうかです。独立型RTKではユーザーが既知点に基地局機を設置し、移動局へ無線で補正情報を送ります。ネットワーク型RTK(VRS方式など)ではユーザーは基地局設置こそ不要ですが、その代わりにインターネット経由で配信される基準点ネットワークの補正情報を取得します。一方CLASでは、ユーザー側で基地局機器は一切不要で、補正情報取得のための通信すら不要です。国が整備した電子基準点網を「仮想基地局」として活用し、そのデータが衛星から直接配信されるため、利用者は受信機1台を持ち出すだけで完結します。
• 通信環境・コスト: ネットワーク型RTKでは携帯電話網の利用が前提となるため、通信契約や現場の電波状況を考慮する必要があります。またVRS方式などの高精度補正サービスは多くが有償(年間契約や月額課金)です。独立型RTKでも、基地局とローバー間の無線通信機が必要で、その初期導入費用や電波使用の手続きが発生します。CLASは衛星受信で完結するため通信費がかからず、サービス利用料も不要です(機器さえ購入すれば追加コストなく使えます)。携帯圏外でも問題なく、サービス契約の更新漏れや通信障害を心配する必要もありません。
• 測位可能範囲: ローカル基地局RTKでは基線長(基地局からの距離)が精度に大きく影響し、10km以上離れると補正効果が薄れて誤差が増大します。ネットワークRTKでは全国各地に基準局網が整備されており基線長問題は解消されますが、それでもサービス提供エリアの範囲内(例: 特定の都道府県内など)である必要があります。CLASは日本全国をカバーしているため、測位中に広範囲を移動しても一貫して同じ方式を利用できます。離島や沖合の測位でも、途中で基地局を移設したりVRSのエリア切替を意識する必要がありません。基線長による精度低下もなく、どこでも均質な補強情報が得られるのはCLASならではの強みです。
• 測位精度と初期時間: 精度面では、従来RTKのほうが若干有利な場合があります。高品質な基地局を至近距離で運用する独立型RTKでは、水平2cm・垂直5cm程度の精度を瞬時に得やすく、初期Fixも数秒以内と非常に高速です。CLASでは上述の通り、水平数cm・垂直10cm程度に収束するまで30秒〜1分ほど要することがあります。また高さ方向の精度はRTKに比べるとやや劣る傾向があります。ただし、CLASも一旦収束すれば実用上は十分な精度を安定して維持しますし、何より通信不要で得られるメリットを考えれば多くの現場で有効活用できるでしょう。RTKとCLASは優劣というより、それぞれの特長を生かして使い分け・相互補完的に活用することが望ましい技術と言えます。
• 信頼性・リスク: ネットワークRTKは通信に依存するため、災害時に通信インフラがダウンすると使用不能になります。独立型RTKも基地局機器の電源喪失や故障、電波混信などのリスクがあります。CLASは衛星システム依存ではありますが、国家インフラとして高い安定性で運用されています。ただし「みちびき」の運用スケジュールによっては一時的にCLAS信号が停止する(停波する)場合もあるため、重要な測量では事前に公式情報を確認しスケジュールに注意することが推奨されます。総合的に見れば、平常時はCLASで手軽に測位しつつ、万一CLASが利用できない状況では従来型RTKに切り替えるなど、両者をバックアップ関係として捉えると安心です。
CLAS利用のための条件と留意点
CLASによるセンチ精度測位を活用するにあたり、事前に知っておくべき条件や注意点があります。以下に主要なポイントをまとめます。
• 対応受信機の用意: 繰り返しになりますが、CLASを利用するにはL6帯信号を受信できるCLAS対応GNSS受信機が必須です。一般の測量用GNSS機でも古い機種やL6非対応のものはCLASを利用できないため、導入時には対応機種であることを確認してください。
• 利用エリア: CLAS補強情報の提供エリアは日本国内(おおむね「みちびき」が視界に入る範囲)に限られます。海外ではCLASは受信できないため、日本国外で高精度測位が必要な場合は他国のSBASや現地のRTKサービスを利用する必要があります。また国内でも深い谷間や地形的遮蔽の強い場所では一時的に「みちびき」が視界に入らない可能性があります。
• 初期収束時間: CLAS測位では測位開始直後にセンチ精度が出ない場合があることに留意しましょう。前述したように、高精度な位置情報を得るまで30秒〜1分程度の収束時間が必要です。これは衛星からの補強情報が受信機側で反映されきるまでの時間です。測量開始時や衛星を再捕捉し直した場合は、すぐに結果を求めず少し待つ心構えが大切です。
• 停波リスク: 準天頂衛星「みちびき」は年に数回程度、衛星のメンテナンスや軌道調整等のためにCLAS信号の配信を一時停止(停波)することがあります。停波スケジュールは事前に内閣府やQZSS公式サイトから公表されるため、重要な作業日に重ならないかチェックしておくと安心です。万一現場でCLASが受信できない場合にも慌てず、後述のように他の補正手段に切り替えるなど柔軟に対応しましょう。
• 衛星受信環境: CLASに限らず高精度GNSS測位では、できるだけ遮蔽物の少ない環境を確保することが品質向上の基本です。特にCLASは衛星からの一方向通信であるため、トンネル内や屋内、樹林の極端な密集地では物理的に信号を受信できません。測位中は定期的に受信衛星数やDOP値(精度劣化係数)を確認し、必要に応じて場所を移動する、上空視界を確保するなどの対策を取りましょう。
LRTKスマホ型CLAS対応受信機の特長と導入メリット
上記のように、CLASによって「基地局いらずのRTK測位」が現実のものとなりました。しかしながら、実際にCLASを活用するにはその信号を受信し処理できる端末が不可欠です。ここで登場したのが、スマートフォンと連携可能な小型高精度GNSS受信機「LRTK」シリーズです。LRTKは東京工業大学発のスタートアップ企業であるレフィクシア社が開発した製品群で、従来の据え置き型GNSS受信機とは一線を画すコンセプトを持っています。主にスマホ装着型のLRTK Phoneや、ポール据置や車載にも適したLRTK Pro2などのバリエーションがあり、いずれもCLASに対応した高精度GNSS受信機です。
LRTKシリーズの大きな特長は、スマホと一体化して手軽にRTK測位を行える点です。例えばLRTK Phoneは、専用ケースに組み込まれた重さ約125g・厚さ13mmほどの超小型受信機モジュールをスマートフォン(iPhone/Android)に装着し、Bluetooth等で接続することで利用します。アンテナ・受信機・バッテリー・通信モジュールがオールインワンで内蔵されており、スマホさえあれば現場で即座にセンチメートル級測位が可能となります。専用アプリを立ち上げれば補正モードの選択や測位開始もワンタップで行え、得られた高精度な位置データはクラウド上に共有・保存してチームで活用することもできます。従来は熟練技術者が扱う高額専門機材が必要だった測量作業を、1人1台のスマホで実現できることは現場の生産性向上に大きく寄与するでしょう。
また、LRTKシリーズは小型・軽量ながら堅牢な設計で、建設現場など苛酷な環境にも耐え得るよう作られています。防塵・防水性能はIP67相当を備え、突然の雨天や粉じんの舞う現場でも安心です。LRTK Pro2にはアンテナの傾斜補正機能も搭載されており、ポールを傾けた状態でも正確な測位点の座標を算出できます。これは樹木の枝下や崖縁など、アンテナを真っ直ぐ立てられない場面で威力を発揮し、従来は難しかった場所の測量も可能にします。
技術面ではマルチGNSS・マルチ周波数対応により、都市部や山間部でも安定した測位を実現しています。GPS・GLONASS・Galileo・BeiDouといった主要衛星に加え、日本の準天頂衛星もすべて捕捉可能です。さらにL6帯のCLAS信号を含めL1/L2/L5/L6の3周波以上に対応しているため、電離圏誤差の除去や整数アンビギュティ解決(Fix解算出)の安定性にも優れています。結果として遮蔽環境下でもできるだけ多くの衛星を捉え、「どこでも持ち運んですぐ測れる」高精度測位デバイスとして唯一無二の利便性を発揮します。実際、携帯圏外となった災害現場でLRTKが単独測位で測量を継続できた事例も報告されており、通信インフラに依存しないバックアップ計測手段としても注目されています。
これらの特徴から得られる導入メリットも明確です。まずコスト面では、従来数百万円クラスだったRTK測量機材を大幅に低価格化できる上、無料のCLASを活用することでランニングコストも削減できます。運用面では高い携行性ゆえに作業員一人ひとりが端末を携帯でき、必要なときに即座に測位・記録が行えるようになります。基地局設営や通信設定の手間が不要な分、現場到着後すぐに作業に取りかかれて時間短縮につながります。また、通信圏外や災害時でも測位可能なLRTKはリスクヘッジ手段として有用で、インフラ維持管理におけるレジリエンス(復元力)強化にも寄与します。さらにスマートフォン連携の直感的な操作性により、専門教育を受けていないスタッフでも扱いやすく、デバイスの現場定着を促進します。
このようにLRTKのCLAS対応受信機を導入することで、測量作業は飛躍的に効率化し、より柔軟で強靭な体制を築くことができます。高精度測位の現場投入ハードルが下がり、結果として施工管理や点検業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に後押しするツールとなるでしょう。
測量現場でのLRTK CLAS活用事例
最後に、実際の測量・施工現場でCLAS対応受信機(LRTK)が活躍しているユースケースを紹介します。基地局不要の高精度GNSSの 威力が発揮される場面は多岐にわたりますが、ここでは代表的な例を挙げます。
• 出来形測量(施工後の形状確認): 道路や造成地などの出来形管理では、設計値と出来形との数センチ単位の差異把握が重要です。CLAS対応受信機を用いれば、完成後の構造物や地形を短時間で高精度に測定できます。山間部のダム工事現場など通信が不安定な場所でも、LRTKなら単独で出来形測量を行い即座にデータ共有が可能です。これにより品質管理の迅速化と省力化が実現します。
• 災害対策・災害現場での測量: 地震や土砂崩れ等の災害発生直後は、一刻も早い現況把握と復旧計画立案が求められます。通信インフラが被災していても、CLAS対応GNSSなら現地で測量が可能です。実際に2024年の能登半島沖地震では、通信断絶状態の被災地でLRTK受信機が威力を発揮し、亀裂や沈下量の計測に寄与しました。平時の防災用途でも、山腹の地すべり監視などネット通信の届かない観測点でLRTKが自律型のモニタリングに活用され始めています。
• インフラ点検の記録精度向上: 道路・鉄道・橋梁などインフラ点検の現 場でも、高精度GNSSが新たなツールになりつつあります。例えば軌道や路面の歪みを巡回測定する際、作業員が携行したLRTK受信機で異常個所の座標を正確に取得すれば、従来の目視+紙記録に比べ位置の信頼性が飛躍的に向上します。また橋梁点検では、撮影した損傷写真にLRTKの測位データから高精度な位置タグを付与することで、将来の経年変化を定量比較しやすくなるメリットがあります。CLAS対応受信機による位置情報の高度化は、インフラ維持管理のDXにも貢献すると期待されています。
• その他の活用シーン: 上記以外にも、CLAS対応の高精度GNSSは幅広い分野で応用が進んでいます。例えば建設機械のマシンガイダンスやICT施工では、通信に頼らず高精度な施工機械誘導が可能となり、安全性と施工精度が向上します。農業分野では自動走行トラクターにCLAS補正を導入して数cm単位での精密農業を実現したり、海洋調査では沖合での測位にCLASを活用するケースもあります。場所や用途を問わず、「基地局フリー」で高精度というCLASの特長が生きる場面は今後ますます増えていくでしょう。
FAQ
Q: CLASとは何ですか? A: CLASとは「センチメートル級測位補強サービス」の略称で、日本の準天頂衛星システム「みちびき」が提供する高精度測位サービスです。国土地理院の電子基準点網から得た誤差情報を衛星経由で配信し、対応受信機側でGNSS測位に補正を掛けることで、リアルタイムに測位精度を数センチまで向上させます。要するに、従来は基地局や通信が必要だったRTK測位を、衛星だけで実現する仕組みがCLASです。
Q: CLASを利用するには何が必要ですか?基地局や通信回線は要りますか? A: CLASを利用するには、対応するGNSS受信機(CLAS対応受信機)を用意するだけです。ユーザー自身が基地局を設置する必要はありませんし、補正情報を受け取るためのインターネット接続も不要です。受信機を起動して衛星からのL6信号を受けるだけで、自動的に高精度測位が始まります。また、CLAS信号の受信自体に利用料金はかかりません(サービスは無償提供されています)。したがって初期導入費用として対応受信機の購入は必要ですが、それ以外の継続利用コストは基本的に発生しません。
Q: CLASで測位した場合、どのくらいの精度が得られますか? A: 一般的な性能として、水平位置は数センチ程度の誤差、高さ方向は10cm前後の誤差で測位できます。十分に視界の開けた環境で衛星を捕捉できていれば、水平5cm以内・垂直10cm以内に収まることも多いです。ただし、測位を開始してすぐのタイミングでは補正が行き渡らず精度が低め(数十cm程度)になることがあります。数十秒〜1分程度で補正効果が安定し、その後は終始数cmレベルの精度を維持できます。また、都市部でビル陰が多かったり森林の中などでは衛星信号の受信状態が悪化し、精度が一時的に落ちる場合もありますので、環境条件によって精度が変動する点は留意してください。
Q: 従来のRTK測位とCLASでは何が違うのですか? A: 最大の違いは基地局と通信の有無です。従来のRTK(リアルタイムキネマティック)は、ユーザー側で基地局GNSSを用意し、その補正情報を移動局に伝送することでセンチ級精度を得る方式です。自前の基地局を置かずに済むネットワーク型RTKでも、インターネット経由で配信サービスから補正情報を取得する必要があります。一方CLASでは、国が運用する基準点網のデータを「みちびき」衛星が配信してくれるため、ユーザーは基地局も通信回線も必要としません。手軽さ・利便性という面でCLASは画期的ですが、いくつか注意点もあります。例えばRTKでは初期Fixが数秒で出るのに対し、CLASは完全に収束するまで数十秒かかるケースがあります。また水平精度はRTKが約2cm、CLASは約5〜6cm程度とされ、理論上は若干RTKのほうが高精度です。ただ、CLASも実用上は十分な精度を提供しますし、日本全国どこでも安定した測位ができるメリットがあります。用途に応じてRTKとCLASを使い分けることで、両者の長所を最大限活かせるでしょう。
Q: LRTKとはどのような受信機ですか? A: LRTKは、レフィクシア社が開発したスマートフォン連携型の高精度GNSS受信機シリーズです。小型の受信機をスマホに装着して使用し、準天頂衛星「みちびき」のCLAS信号や各種GNSS衛星を受信してセンチメートル級測位を行います。アンテナ・受信機・電源が一体化したオールインワン設計で、従来の大型RTK機器に比べ飛躍的に携帯性に優れます。Bluetoothでスマホと接続し、専用アプリから測位の開始やデータ記録を簡単に操作できます。LRTKシリーズには、スマホケース一体型の「LRTK Phone」や据え置き・車載向けの「LRTK Pro2」などがあり、いずれもCLAS対応です。LRTKがあれば、 基地局を持ち歩かなくても手持ちのスマホがそのまま高精度測量機になるので、現場の誰もが手軽に高精度測位を活用できるようになります。
Q: CLASの補正信号が受信できない場合はどうすれば良いですか? A: まず、CLAS信号が一時的に受信できない原因としては、衛星視界が遮られている、衛星が運用停止(停波)中である、といったことが考えられます。現場でCLASが使えない場合、受信機は自動的にSBASや単独測位モードに切り替わるため、そのままでは精度がメートル級に落ちてしまいます。対策として、もし携帯通信が利用できる環境であればネットワーク型RTK(Ntripなど)に切り替えて補正情報を受け取る方法があります。実際、LRTKを含む多くの高精度GNSS受信機はCLASとネットワークRTKの両方に対応しており、状況に応じてモードを変更可能です。通信圏外で代替が利かない場合は、時間をおいて衛星の再捕捉を待つか、あるいは後処理で精度向上を図るといった対応になります。ただし、みちびきのCLAS停波は計画的かつ短時間であることがほとんどですので、事前に情報収集しておけば過度に心配する必要はありません。環境条件さえ整えば、再びCLASによるセンチ精度測位が可能になります。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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