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埋設管 点群で見える化する5手順|掘削前に位置ズレを防ぐ

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

まずは地下に埋設された管を巡る課題と背景について考えてみます。道路工事や敷地の掘削作業では、地中に存在する既存の上下水道管、ガス管、電力ケーブルなどを誤って破損してしまう事故がしばしば発生します。老朽化した水道管を破損すれば大規模な漏水事故につながり、ガス管を傷つけてしまえばガス漏れや最悪の場合は爆発の危険性もあります。埋設された電力線や通信ケーブルを切断してしまうと周辺地域で停電や通信障害が起こり、社会生活に深刻な影響を及ぼすでしょう。実際、毎年全国各地でこうした埋設物損傷事故が多数報告されており、その原因の多くは「地下に何がどこに埋まっているか正確に把握できていなかった」ことに起因しています。


地中に埋設された管は目に見えないため、これまでも現場では細心の注意を払って管理が行われてきました。埋設工事を行う際には、埋め戻す前に測量をして配管の位置や深さを記録し、写真撮影や竣工図(完成図面)の作成によって情報を残します。また掘削現場では、その図面や地面に描かれたマーキングを頼りに、ベテラン作業員の経験と勘によって「この辺りに○○の管が埋まっているはずだ」と推測しながら工事を進めます。場合によっては、地中レーダー探査機器で地下の埋設物位置を調べたり、試掘といって小さな穴を掘って直接管を確認することもあります。しかし紙の図面や人の勘に頼った管理には限界があり、特に都市部のように複雑な配管が張り巡らされた場所では、図面上の情報と現実の位置が食い違っているケースも少なくありません。「図面ではここには何もないはずなのに、掘ってみたら予期せぬ位置から管が出てきてヒヤリとした」という事例も後を絶たず、現場では常に埋設物の位置ズレリスクがつきまといます。


このように「見えないものをどう見えるようにするか」が地下インフラ管理の大きな課題となっています。もし地中の構造物を直感的に把握できれば、掘削作業時の事故防止はもちろん、老朽管の点検や交換計画の効率化にも大きく寄与するでしょう。近年、その鍵を握る技術として注目されているのが点群データとAR(拡張現実)の活用です。点群とはレーザースキャナや写真測量によって取得した多数の3次元測定点の集合で、現場の地形や構造物をありのまま高精度にデジタル記録できる手法です。以下では、埋設管を点群データで「見える化」して掘削前の位置ズレを防ぐ具体的な5つの手順について、モバイル機器やドローンなど最新技術を交えながら解説します。


手順1: 事前準備と埋設管情報の収集

まず最初のステップは、掘削工事に先立って埋設管に関する情報を十分に集め、現地調査の計画を立てることです。過去の埋設図面や台帳類を確認し、どの種類の管がどこに埋まっているか把握します。水道やガスといった公共インフラの多くは自治体や事業者が管理図を持っていますが、古い埋設物だと図面が紙のままだったり、更新漏れで実際の配置とずれている可能性もあります。そのため複数の情報源を突き合わせ、できる限り最新かつ信頼できるデータを収集します。また地上に現れている関連施設も確認しましょう。例えば消火栓や仕切弁の蓋、マンホール、電柱の根元など、地下の管につながる地表設備の位置を把握することで、おおよその埋設経路をイメージできます。場合によっては金属探知機や地中レーダー探査(GPR)といった機器で地下の反応を調べ、未知の埋設物がないか確認することも有効です。こうした事前準備によって、どの範囲を重点的に調査・スキャンすべきかが明確になります。


次に、現地での点群計測に向けた計画を立てます。計測対象エリアの広さや環境条件、必要な精度に応じて適切な計測手法と機材を選定します。狭い範囲や詳細が求められる箇所では高密度な点群が得られるレーザースキャナやスマートフォンのLiDARスキャンが有効です。一方、長距離にわたる配管ルート全体を把握したい場合はドローンによる写真測量で広域の地形モデルを構築する方法が適しています。後述するように、それぞれの手法には得意分野があるため、必要に応じて組み合わせて活用する計画を立てます。さらに、正確な位置合わせ(ジオリファレンス)のための準備も重要です。事前に既知の基準点や測量桝などが現場にあればチェックし、なければ簡易的な目印を設置することも検討します。これにより、別々に取得したデータを後で統合する際に位置ズレを最小限に抑えられます。


手順2: スマートフォン・タブレットを用いたモバイル点群スキャン

準備が整ったら、まずはスマートフォンやタブレットを使ったモバイルスキャンによって現場の点群データ取得を行います。近年のスマートフォンには小型のLiDAR(ライダー)センサーが搭載されたモデルがあり、専用のアプリを使うことで誰でも簡単に周囲の3次元スキャンが可能です。掘削予定箇所やその周辺をスマホ片手に歩き回りながらカメラとLiDARでスキャンすると、地面や構造物の形状が無数の点の集合体(点群)としてリアルタイムに画面上へ再現されていきます。例えば道路上であれば路面や縁石、地表の凹凸、そしてマンホール蓋やガスバルブのボックスといった埋設管関連の構造物も点群上に正確に記録されます。短時間で現地そのものをデジタルコピーできるため、後から「どこに何があったか」を詳細に振り返ることができます。


スマホによる点群スキャンは機動性に優れ、狭い場所や屋内外を問わず1人で手軽に計測できるのが利点です。これまで3Dレーザースキャナを使うには重い機材の運搬や専門的な設定が必要でしたが、スマホであれば現場作業員自身が必要なときにすぐ取り出して計測できます。取得した点群データは即座に端末上でプレビュー確認でき、不足や取り逃しがあればその場で追加スキャンも可能です。またスマホを用いることで、人の背丈ほどの高さから地表を見下ろす視点でデータを取れるため、配管の浅い埋設位置であれば地表面に現れた微妙な隆起や窪みなども検出できる可能性があります。こうした手軽さと現場視点の詳細記録という点で、モバイルスキャンは埋設管の事前調査に非常に有効です。


さらに、スマートフォンに外付け可能な高精度GNSS受信機を組み合わせれば、取得した点群に測地系の絶対座標を直接付与することもできます。通常、スマホ単体のGPS精度は数メートル程度の誤差があり、取得した点群を後で図面や他の測量成果と重ね合わせる際に位置ズレが生じる恐れがあります。しかしRTK(リアルタイムキネマティック)方式に対応したGNSS装置をスマホに装着しながらスキャンを行えば、点群の各点に世界測地系の座標値をセンチメートル精度で紐付けることが可能です。これにより、現場で取得した点群データがそのまま正確な位置情報付きの3D記録となり、いちいち基準点に合わせて後処理で調整する手間を大幅に削減できます。


手順3: ドローンや地上型レーザースキャナによる広範囲点群計測

モバイルスキャンに加えて、広いエリアや高所をカバーするにはドローン(無人航空機)や地上型レーザースキャナといった計測手法も活用します。ドローンを用いた写真測量(フォトグラメトリ)は、空中から地表の写真を多数撮影し、それらを解析して点群データやオルソ画像(真上から見た合成写真)を生成する手法です。上空から俯瞰することで、地上では見通せない広範囲の地形や構造物配置を一度に把握できるのが強みです。埋設管周辺の状況を俯瞰的に記録するために、工事エリア全体をドローンで撮影して3Dモデル化しておけば、地表面の起伏や他の施設物との位置関係を容易に確認できます。特に長距離にわたる配管の場合は、空からの測量によって経路全体の把握が効率的に行えるでしょう。


また最近では、ドローンに小型のレーザースキャナ(空中LiDAR)を搭載するケースも増えてきました。空中LiDARであれば写真測量では難しい夜間の測量や、樹木が生い茂る場所での地表面形状の取得にも効果を発揮します。点群密度や精度も高いため、広範囲を短時間で詳細にスキャンする必要がある場面では有力な手段となります。ただしドローンは風や雨など天候の影響を受けやすく、また航空法上の飛行制限にも注意が必要です。市街地や空港周辺では飛行許可申請が求められることもあるため、事前の計画段階で確認しておきましょう。


一方、地上型の3Dレーザースキャナ(地上LiDAR)も高精度な点群取得には欠かせません。三脚に据えて使う大型のレーザースキャナは、数百万点/秒という非常に高密度な点群を計測でき、数ミリ単位の精度で地形や構造物を記録できます。例えば掘削予定箇所の周囲に複雑な構造物(橋梁やプラント設備など)がある場合や、壁面や地下ピット内部のようにドローンでは難しい箇所を測りたい場合には、地上型スキャナの出番です。必要に応じて計測位置を変えながら複数回スキャンし、後でそれらを統合することで死角のない詳細な3Dモデルが構築できます。地上スキャナは専門のオペレーターと時間を要しますが、その分精密なデータが得られるため、重要施設周辺や精度重視の用途では今でも頼りになる手法です。


このように、スマートフォンによる手軽な点群取得から、ドローンの広域計測、地上型スキャナの高精度計測まで、それぞれ特徴の異なる手法を状況に応じて併用することで、埋設管周辺のあらゆる情報を3次元で網羅的に記録できます。現場ではまず手軽なスマホスキャンで主要な箇所を押さえ、並行してドローンで俯瞰モデルを取得し、さらに細部が必要な部分のみ地上スキャナで補うといった使い分けが有効です。こうして取得された複数ソースの点群データは、後段で統合処理することで一つの整合した3Dモデルにまとめられます。


手順4: 点群データの統合・処理と埋設管モデル生成

続いて、現場で取得した様々な点群データを統合し、埋設管の位置モデルを生成するステップに入ります。異なる機器・手法で取得した点群は、座標軸の向きやスケールがそれぞれ異なる場合があるため、共通の座標系に変換して重ね合わせます。手順2で述べたようにRTK対応の機器で測位済みのデータであれば、すでに公共座標に載っているため比較的スムーズに統合できます。もし局所座標系で記録された点群データがある場合は、現地に設置した目印や既知点の位置を照合して適切な変換を行います。複数の点群を重ねる際、多少のずれが生じることがありますが、共通に写っている人工物(例えば道路標識や建物の角、マンホール蓋など)があれば、それらがピタリと一致するよう微調整して統合精度を高めます。


点群データが一つの3D空間上に揃ったら、不要なノイズ点の除去や欠測部分の補間処理を施してデータをクリーンアップします。地表の草木による点群の乱れがあればフィルタリングで除去し、重要な構造物が薄くしか点として取れていなければ周囲の写真と照合して補強する、といった処理が該当します。最近ではクラウド上で動作する点群処理サービスもあり、ボタン一つで自動的にノイズ除去やメッシュ化(点から面のモデルへの変換)を行ってくれるものもあります。例えば取得した地形点群から瞬時に等高線や断面図を生成したり、掘削土量を自動算出したりといった分析も、専門知識なしに行える環境が整ってきています。


さて、埋設管そのものの可視化には、点群データから管の位置と形状を抽出してモデル化する必要があります。新設工事の場合、埋め戻す前に管を直接スキャンして点群を取得しておけば、その中から管の表面点群を抽出してパイプ状の3Dモデルを作成できます。スマホスキャンでも、配管が露出していればその丸い輪郭が点群上に現れますので、それをなぞる形で直径200mm程度の管モデルを生成するといったことが可能です。専用ソフトを使えば点群から円柱形状をフィッティング抽出する機能もあります。こうして得られた埋設管モデルには、正確な経路(水平位置と高さ方向の深度)が反映されます。埋設が完了して地表が元通りになってしまった後でも、この3Dモデルさえあれば管の走行ルートをいつでも正確に再現できます。


既存埋設管でスキャンができない場合でも、既存資料の座標情報を基に管の3Dモデルを起こして点群上に配置する方法があります。例えば古い図面から判明した配管の開始・終了点や途中の曲がり点の座標を、現地測量で割り出して、そのポイントを結ぶ形で立体的な線を引けば、おおよその埋設経路モデルになります。深度情報についても、図面に記載があれば反映し、不明な箇所は推測や実測値を織り交ぜて補完します。これを周囲の地形点群と照らし合わせ、明らかに不整合がないか確認しながら配置します(例えば地表面より明らかに上に出てしまっていれば深度入力ミスの可能性があります)。点群の可視化ソフト上で透過表示させながら調整すれば、地上からの距離感もつかみやすくなります。


完成した3Dモデルデータは、クラウドストレージやGIS(地理情報システム)に登録して、関係者全員で共有・管理します。従来は工事ごとに紙の竣工図と写真台帳をファイル保管していたものが、デジタル3Dデータとして一元管理されることで、情報の検索性や劣化防止が飛躍的に向上します。将来的に別の工事計画が持ち上がった際も、このデータを参照すれば他の埋設物との干渉を瞬時に判断でき、事前に設計変更や施工方法の調整が可能です。管の直径や埋設深度などもモデルから直接計測できるため、現地を掘り返して確認するまでもなく精密な事前検討が行えます。点群で取得された地形データは、CADやBIMソフトに読み込んで設計に流用したり、VR空間で関係者が一緒に確認したりといった利活用も考えられ、単なる記録にとどまらない幅広い価値を生み出します。


手順5: 点群による埋設管の可視化と安全な掘削計画への活用

最後に、出来上がった埋設管の3D点群モデルを活用して、実際の掘削工事に役立てる段階です。3次元で正確に位置づけられた管のデータがあれば、まずデスク上で工事計画を立てる際に役立ちます。例えば、重機オペレーターや作業員に事前周知するための資料として、地上の写真に地下管モデルを透かし込んだ図を作成したり、点群ビューア上で地表と管の位置関係を示す断面図を出力したりできます。これにより「どの深さでどの位置から気をつけるべきか」「近接する他の埋設物はどこか」といったポイントが一目瞭然となり、安全対策の共有が容易になります。特に複数のライフラインが交差している現場では、点群による空間全体の可視化が事前リスク検討に威力を発揮します。


さらに、現地での掘削作業中にも点群データは強い味方となります。最近のスマートフォンやタブレットはAR機能が充実しており、先述した高精度な位置合わせ技術と組み合わせることで、地面の下にある管をその場で透視することさえ可能です。具体的には、スマホのカメラを掘削予定箇所の地面にかざすと、画面上に地下の埋設管モデルがCGで重ね表示されます。あたかも地面が透明になったかのように、目の前の路面下に管がどの方向に通っているかがリアルタイムで示されるのです。例えば「まさにこの足元の1.5m下を直径150mmの水道管が1本横断している」という情報が画面に表示され、作業員全員で共有できます。従来であれば図面上の平面的な情報と現場の勘に頼って「このあたりにいるはず」と探り当てていた地下埋設物を、誰もが直感的に「見て」確認できるようになるため、無駄な試掘や誤掘削のリスクが格段に減ります。


このARによる見える化を確実に行うには、スマホの位置と向きを高精度に捉える必要があります。前述の通り、一般的なGPS精度では数メートルの誤差があるため、何も対策をしないと仮想モデルの表示位置が実際の埋設位置から大きくずれてしまいます。しかしRTK-GNSSを用いることでスマホ自体の位置を数センチの精度で把握でき、LiDARで取得した地表面の点群との組み合わせで、仮想の管モデルを現実空間にほぼ完全に一致させることが可能となります。特別なマーカーを地上に設置することなく自由に歩き回ってもズレない「マーカーレス高精度AR」が実現できれば、掘削現場での安全確認は飛躍的に効率化されます。作業員は常に地下構造を意識しながら作業を進められるため、スコップが管に当たりそうになったら事前に気づいて回避するといった適切な判断ができます。


以上、埋設管を点群データで見える化して掘削前の位置ズレを防ぐ5つの手順を解説しました。近年登場したモバイル端末用のRTK-GNSS受信機と3Dスキャン技術の発達により、現場の誰もが手軽にセンチメートル精度の点群計測と埋設物の可視化を行える時代が訪れつつあります。例えばLRTKはiPhoneに装着して使用できる高精度GNSSデバイスで、スマートフォンを一台で測量機器・点群スキャナ・AR表示端末として活用することを可能にします。こうした最新技術を活用すれば、埋設管の位置ズレによる事故を未然に防ぎ、安全かつ効率的なインフラ施工・維持管理を実現できるでしょう。


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