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境界確定図で地役権設定範囲を確認する要点5つ

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

境界確定図は、土地の境界点や境界線を確認するための重要な資料です。売買、分筆、建築、外構工事、造成、相続後の整理など、土地に関する実務ではさまざまな場面で参照されます。その中でも、地役権が関係する土地では、境界確定図の見方が特に重要になります。地役権とは、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利です。実務では、通行、用排水、給排水管や電線等の設置・維持管理など、目的によって設定範囲や確認すべき内容が変わります。


地役権の設定範囲を誤って理解すると、通路として使えると思っていた部分が実際には対象外だったり、工事で掘削しようとした場所が権利範囲とずれていたり、将来の建築計画や土地利用に支障が出たりすることがあります。境界確定図は、単に敷地の外周を確認する図面ではなく、地役権の位置、幅、接続関係、隣接地との関係を読み解くための基礎資料として活用できます。ただし、境界確定図だけで地役権のすべてが判断できるとは限らないため、登記事項、契約書、地役権図面、現地状況と照合しながら慎重に確認する姿勢が必要です。


目次

境界確定図と地役権設定範囲の関係を理解する

要点1 登記内容と図面の範囲を先に照合する

要点2 境界線と地役権範囲の位置関係を確認する

要点3 幅員や延長だけでなく利用目的まで見る

要点4 現地の通路や設備が図面どおりか確認する

要点5 将来の工事や管理に影響する部分を整理する

地役権範囲の確認で見落としやすい注意点

境界確定図を実務で活かすための記録方法

まとめ


境界確定図と地役権設定範囲の関係を理解する

境界確定図は、土地所有者や隣接地所有者などの関係者が境界を確認し、その結果を図面として整理したものです。一般的には、境界点、境界標、辺長、方位、面積、隣接地の表示、道路や水路などの公共用地との関係が示されます。土地の外周を把握する資料として使われることが多いですが、地役権が設定されている土地では、外周だけでなく、土地の一部をどのように利用できるのかを確認する出発点になります。


地役権は、ある土地の利便のために、別の土地を一定の範囲で利用する権利です。たとえば、奥まった土地へ出入りするために隣地の一部を通行する場合、排水管を隣地内に通す場合、擁壁や排水設備を維持するために隣地側へ立ち入る必要がある場合などが考えられます。このような権利は、土地全体に及ぶとは限らず、通路状の一部、管路部分、管理用の帯状部分など、限定された範囲に設定されることがあります。


そのため、境界確定図を見るときは、まず対象地の境界がどこにあるのかを確認し、そのうえで地役権の対象範囲が土地のどの部分に重なるのか、または隣接地のどの部分に及ぶのかを把握する必要があります。地役権の範囲が境界線に沿っているのか、境界から一定幅で設定されているのか、道路まで連続しているのか、途中で折れているのかによって、実務上の確認事項は変わります。


ただし、境界確定図に地役権範囲が必ず明示されているとは限りません。境界確定図は境界の確認を主目的とする図面であり、地役権の内容そのものは登記記録、設定契約書、地役権図面、合意書、過去の測量図など別資料で確認する必要があります。したがって、境界確定図だけを見て「この部分は通行できる」「この部分は掘削できる」と判断するのは避けるべきです。


実務では、境界確定図を基準図として使いながら、地役権に関する資料を重ね合わせるように確認します。境界確定図で土地の外形と隣接地関係を把握し、登記事項で地役権の有無や目的を確認し、契約書や添付図面で範囲の具体性を確かめ、最後に現地の通路、塀、門扉、排水設備、舗装、境界標の位置を見ます。この流れを取ることで、図面上の理解と現地利用のずれを早い段階で発見しやすくなります。


要点1 登記内容と図面の範囲を先に照合する

地役権設定範囲を確認するとき、最初に見るべきなのは、境界確定図そのものだけではありません。まず、対象地に地役権が設定されているのか、設定されている場合はどの土地が利益を受ける土地で、どの土地が負担する土地なのかを確認する必要があります。この関係を取り違えると、図面上の範囲を見ても実務判断が不安定になります。


地役権では、利益を受ける土地を要役地、利用を受け入れる側の土地を承役地と整理します。通行地役権であれば、奥の土地が道路へ出るために手前の土地の一部を通行するような関係が典型です。排水や給排水管に関する地役権であれば、管が通る土地と、その管を利用して排水や給水を行う土地の関係が問題になります。境界確定図で対象地の外形を確認する前に、どの土地のために、どの土地のどの部分を利用する権利なのかを整理しておくことが重要です。


登記内容には、地役権の目的や範囲に関する手がかりが記載されている場合があります。ただし、登記だけで詳細な位置や幅が読み取れるとは限りません。古い設定では、文章による説明が大まかであったり、添付図面の精度が現在の測量成果と合わなかったりすることがあります。地番の変更、分筆、合筆、道路後退、区画整理、過去の造成によって、設定当時の表現と現在の土地形状が一致しないこともあります。


そのため、境界確定図を使う際は、登記上の地番と図面上の地番が一致しているかを確認します。分筆後の土地では、地役権設定当時の地番と現在の地番が異なる場合があります。単に同じ場所に見えるからといって判断せず、公図、地積測量図、過去の分筆図、土地所在図などと照合し、地番の変遷を追う必要があります。特に、通路部分が分筆によって別地番になっている場合や、地役権の対象部分が複数筆にまたがっている場合は注意が必要です。


境界確定図の作成年月も確認しておきたい点です。地役権設定後に境界確定図が作成されたのか、地役権設定前の古い測量成果をもとにしているのかによって、読み取り方が変わります。新しい境界確定図であっても、地役権範囲を再確認したものとは限りません。境界が確認されていることと、地役権の範囲が明確になっていることは別の問題です。


実務担当者は、登記内容、契約書、境界確定図の三つを並べて確認することが重要です。登記に地役権がある、契約書に範囲の説明がある、境界確定図で位置が把握できる、という三つの情報がそろうと、現場で確認すべき範囲を具体化しやすくなります。どれか一つだけで判断すると、地役権の存在は確認できても実際の範囲を誤る可能性があります。


要点2 境界線と地役権範囲の位置関係を確認する

地役権設定範囲を確認するうえで中心になるのが、境界線と地役権範囲の位置関係です。境界確定図では、土地の外周線、境界点、辺長、隣接地との関係が示されます。地役権範囲が図面に表示されている場合は、その範囲が境界線に沿っているのか、土地の内部を横断しているのか、道路や通路へ接続しているのかを確認します。


通行地役権では、通路の幅と位置が特に重要です。たとえば、境界線から一定幅の範囲が通行部分とされている場合、境界線の位置を誤ると通行可能範囲もずれてしまいます。現地に舗装された通路がある場合でも、その舗装範囲が地役権の設定範囲と一致しているとは限りません。長年の利用によって実際の通行位置が変わっている場合や、塀や門扉の設置によって本来の範囲より狭く使われている場合もあります。


排水管や給排水管などの設備に関する地役権では、管路の中心線、埋設位置、維持管理のために必要な幅を確認します。境界線に沿って管が入っているように見えても、実際には隣地側に入っていることがあります。また、管の位置が境界確定図に表示されていない場合は、別途設備図や竣工図、現地調査結果を確認する必要があります。境界確定図上で地役権範囲の外形だけを見ても、地下埋設物の位置までは判断できないことが多いためです。


地役権範囲が複数の境界線にまたがる場合も注意が必要です。たとえば、道路から対象地まで通路状に設定されている範囲が、途中で別の隣接地に接していたり、曲がり角を含んでいたりする場合、どの境界点を基準に折れ曲がっているのかを確認しなければなりません。境界点番号、測点、辺長、方向角などが記載されている場合は、それらを手がかりに地役権範囲を追っていきます。


また、境界線と工作物の位置関係も重要です。塀、フェンス、擁壁、側溝、門柱、舗装端などは、現地で範囲を把握する目印になりますが、必ずしも境界や地役権範囲そのものではありません。境界確定図に境界線が示されていても、現地の塀が境界線上にあるとは限らず、内側に控えて設置されていることもあります。反対に、古い工作物が境界を越えている場合もあります。地役権の範囲確認では、図面上の境界線、現地の工作物、実際の利用範囲を分けて考えることが必要です。


実務では、境界確定図に地役権範囲が明示されていない場合でも、境界線を基準におおよその位置関係を整理することができます。たとえば、契約書に「北側境界に沿って幅員何メートル」といった表現がある場合、境界確定図の北側境界線を確認し、そこから内側または外側にどの範囲が該当するのかを検討します。ただし、このような読み取りは誤差や解釈の余地が出やすいため、実際の工事や取引判断に使う場合は、専門家による確認や関係者間の合意確認が欠かせません。


要点3 幅員や延長だけでなく利用目的まで見る

地役権設定範囲の確認では、幅員や延長といった寸法に注目しがちです。しかし、寸法だけを見て判断すると、実際に何ができる範囲なのかを誤解することがあります。地役権は、目的に応じて利用内容が決まる権利であり、同じ幅の範囲であっても、通行のための範囲なのか、排水のための範囲なのか、維持管理のための立入りを含む範囲なのかによって、実務上の扱いが変わります。


通行地役権の場合、確認すべきなのは通路の幅だけではありません。人の通行を想定しているのか、車両の通行を想定しているのか、工事車両や緊急車両の通行まで含むのかによって、必要な幅や障害物の許容範囲が変わります。境界確定図上で幅が確認できても、門扉、段差、側溝、電柱、植栽、駐車車両などが実際の通行を妨げる場合があります。図面上の地役権範囲と現地での通行可能性は、別々に確認する必要があります。


排水や給排水に関する地役権では、管が通っている位置だけでなく、点検や修繕のためにどの程度の作業空間が必要かも問題になります。地役権の目的が管路の設置や維持にある場合、地上部分を自由に使えるという意味ではない可能性があります。逆に、管路の維持管理に必要な範囲へ立ち入ることが認められている場合でも、その範囲に恒久的な工作物を置けるとは限りません。境界確定図を読む際は、線や幅だけでなく、権利の目的と利用態様をあわせて見ることが大切です。


眺望、日照、工作物の設置制限などに関する合意や制限がある場合は、それが地役権として登記されているのか、別の契約や建築上の制限として扱うべきものなのかを個別に確認する必要があります。境界確定図は平面図であるため、高さ、視線、建物の配置、勾配、斜面の状況までは十分に表現されないことがあります。このような内容が関係する場合は、境界確定図に加えて、建物配置図、造成計画図、断面図、現況測量図などを確認し、権利や合意の目的が実際に守られているかを検討する必要があります。


地役権の利用目的は、将来の土地利用にも影響します。たとえば、通行地役権のある部分に建物、門、塀、物置、駐車設備を計画する場合、地役権の利用を妨げないか確認しなければなりません。排水管が通っている部分に深い基礎や擁壁を計画する場合も、管路の保護や移設の可否を検討する必要があります。境界確定図で範囲を確認することは、単に現在の権利関係を把握するだけでなく、将来の設計や施工の制約を早めに洗い出すための作業でもあります。


また、地役権設定範囲が「土地の一部」とだけ表現され、具体的な図面が不明確な場合は、利用目的から合理的な範囲を推測したくなる場面があります。しかし、実務上は推測で進めると後から争いになりやすいため、関係資料の再確認や追加測量、関係者との合意形成を優先するべきです。特に、不動産売買や開発計画では、買主、売主、隣接地所有者、金融機関、設計者、施工者など複数の関係者が同じ認識を持つ必要があります。境界確定図を共通資料として使い、地役権の目的と範囲を言葉と図で整理することが重要です。


要点4 現地の通路や設備が図面どおりか確認する

境界確定図と関連資料で地役権設定範囲を確認したら、次に現地との照合が必要です。図面上では明確に見える範囲でも、現地では境界標が見つからない、通路の端が不明瞭、舗装が後から広がっている、塀や植栽で範囲が隠れているといったことがあります。地役権は実際の土地利用と深く関係するため、現地状況を見ずに判断するのは危険です。


まず確認したいのは、境界標の有無と状態です。境界確定図に示された境界点が現地で確認できるか、境界標が破損していないか、埋没していないか、移動した疑いがないかを見ます。地役権範囲が境界線を基準に決まっている場合、境界標が確認できなければ範囲の特定が不安定になります。境界標が見当たらない場合は、過去の測量資料だけで断定せず、必要に応じて再確認を行うことが望まれます。


通行地役権では、実際に通行されているルートを確認します。舗装された通路がある場合、その幅、曲がり角、勾配、段差、門扉、排水溝、建物や塀との離れを見ます。通行範囲が図面上の地役権範囲より広く使われている場合もあれば、反対に工作物によって狭められている場合もあります。現在の利用状況が長年続いていても、それがそのまま権利範囲を意味するとは限りません。現地利用は重要な手がかりですが、図面や契約内容との照合が必要です。


設備に関する地役権では、地上で見える桝、側溝、排水口、点検口、配管立ち上がり、メーター類、引込位置などを確認します。ただし、地下の配管や管路は目視だけでは分かりません。境界確定図に設備の位置が記載されていない場合は、設備図、竣工図、管理図面、過去の工事記録などを探す必要があります。図面がない場合は、現地調査や関係者への確認を行い、推測だけで掘削や基礎工事を進めないようにします。


現地確認では、地役権範囲を妨げる物がないかも見ます。通路上に常時駐車されている車両、植木鉢、物置、看板、段差、排水溝のふた、門扉の開閉範囲などは、実際の通行や維持管理に影響します。排水管や給排水管の上に重い工作物がある場合、将来の修繕時に撤去が必要になる可能性もあります。境界確定図上では空いているように見えても、現地で使えない状態になっている場合があるため注意が必要です。


また、地役権範囲と周辺の高低差も確認します。通行に関する地役権では、幅が足りていても勾配が急すぎる、段差が大きい、雨天時に水がたまるといった問題が生じることがあります。排水に関する地役権では、勾配や流下方向が重要になります。境界確定図だけでは高低差が十分に分からない場合があるため、必要に応じて現況測量や高さ情報の確認を行うことが実務上有効です。


現地確認の結果は、写真やメモで記録しておくと後工程で役立ちます。境界標、通路端、塀、舗装、設備、障害物などを撮影し、図面上の位置と対応させて整理します。関係者に説明するときも、図面だけでは伝わりにくい部分を写真で補足できます。特に、売買前、工事前、隣接地との協議前には、確認時点の現況を残しておくことで、後から「いつの状態を前提に判断したのか」を説明しやすくなります。


要点5 将来の工事や管理に影響する部分を整理する

地役権設定範囲の確認は、現在の利用状況を把握するためだけではありません。建築、外構、造成、配管更新、舗装改修、分筆、売買、相続後の活用など、将来の計画にどのような制約があるかを整理するためにも重要です。境界確定図で地役権範囲を確認する際は、今すぐ問題がないかだけでなく、将来その範囲で何ができ、何に注意すべきかを見ておく必要があります。


建物計画では、地役権範囲に建物や基礎が重ならないかを確認します。通行地役権のある部分に建物を配置すれば、通行を妨げる可能性があります。排水管や給排水管の地役権範囲に深い基礎や杭、擁壁を計画すると、設備の維持管理や将来の交換に支障が出ることがあります。境界確定図を配置図や計画図と重ね合わせ、地役権範囲と建物、駐車場、門扉、塀、排水設備の位置関係を確認することが大切です。


外構工事でも、地役権範囲は大きな影響を持ちます。フェンス、ブロック塀、門柱、アプローチ、駐車スペース、植栽、照明、側溝などを設置する場合、その場所が地役権の利用を妨げないかを見ます。地役権の目的が通行であれば、通路幅や見通し、曲がり角の余裕が問題になります。設備管理であれば、点検口にアクセスできるか、将来の掘削が可能か、重い構造物を載せていないかが問題になります。


土地売買では、地役権範囲を買主に分かりやすく説明できる状態にしておくことが重要です。地役権がある土地は、利用できる範囲や制約が通常の土地と異なる場合があります。境界確定図、登記内容、契約書、現地写真を整理し、どの部分にどのような権利が関係するのかを説明できるようにしておくと、後の認識違いを防ぎやすくなります。説明が曖昧なまま取引を進めると、引渡し後に通行、排水、工作物の撤去、維持管理費用などをめぐってトラブルになることがあります。


分筆や土地活用を検討する場合も、地役権範囲の整理は欠かせません。分筆によって、地役権の対象部分がどの土地に属するのか、利益を受ける土地との接続が維持されるのか、通路や設備の機能が失われないかを確認します。地役権の範囲が新たな区画の利用計画に重なる場合、建物配置や駐車計画に制約が生じる可能性があります。境界確定図を基準に、将来の区画ごとの利用可能範囲を整理することが必要です。


管理面では、地役権範囲の維持責任や費用負担も確認しておきたい点です。通路の舗装補修、側溝清掃、排水管の修繕、草刈り、除雪、門扉管理など、日常的な管理が発生する場合があります。境界確定図は責任分担そのものを示す資料ではありませんが、どの部分が管理対象になり得るかを整理する基礎になります。契約書や合意書に管理方法が記載されている場合は、その内容と図面上の範囲を照合します。


将来の工事や管理に備えるには、地役権範囲を関係者が共通認識できる形にしておくことが重要です。境界確定図に直接書き込むのではなく、写しや確認用図面に地役権範囲、現地写真の撮影位置、注意すべき工作物、設備の推定位置などを整理しておくと、設計者、施工者、不動産担当者、所有者間で情報を共有しやすくなります。特に、現地での口頭説明だけに頼ると後で内容が曖昧になるため、図面と記録で残すことが実務上の安全策になります。


地役権範囲の確認で見落としやすい注意点

境界確定図で地役権設定範囲を確認するとき、見落としやすいのは「境界が確定しているから地役権範囲も明確」と考えてしまうことです。境界確定図は土地の境界を明らかにする資料ですが、地役権の内容や範囲を確定する資料とは限りません。境界線が明確でも、その内側のどの範囲に権利が及ぶのかは、別資料や関係者の合意に基づいて判断する必要があります。


次に注意したいのは、古い図面と現在の現況のずれです。地役権は長期間にわたって残ることがあるため、設定当時の図面と現在の土地利用が変わっている場合があります。道路の形状が変わっている、隣地が分筆されている、塀の位置が変わっている、通路が舗装されている、建物が建て替えられているなど、現地状況が更新されていることは珍しくありません。古い資料だけを見て判断すると、現在の境界確定図との整合が取れない場合があります。


また、図面の縮尺や表示精度にも注意が必要です。地役権範囲が細い帯状の部分である場合、縮尺の小さい図面では数十センチの違いが読み取りにくくなります。図面上では同じ線に見えても、実際には境界線、通路端、配管中心線、工作物端がそれぞれ異なる位置にあることがあります。境界確定図の線を拡大して見ただけで判断せず、寸法値、座標値、境界点、現地確認をあわせて判断する必要があります。


地役権範囲が土地の一部に設定されている場合、その範囲が面として特定されているのか、線として表現されているのかも確認が必要です。通路であれば面としての幅が重要になりますが、管路では中心線と維持管理幅の考え方が問題になることがあります。図面に一本の線だけが描かれている場合、それが管の中心を示しているのか、地役権範囲の境界を示しているのか、単なる模式的な表示なのかを確認しなければなりません。


さらに、地役権の範囲と所有権の範囲を混同しないことも大切です。地役権があるからといって、その部分の所有権が移転するわけではありません。地役権は一定の目的で他人の土地を利用する権利であり、所有者の権利と併存します。そのため、地役権者が何でも自由にできるわけではなく、土地所有者も地役権の利用を妨げる行為には注意が必要です。境界確定図で所有権の範囲を確認し、地役権資料で利用権の範囲を確認するという区別が必要です。


実務上は、地役権があること自体を関係者が把握していない場合もあります。相続で取得した土地、古くから利用されている通路、過去の開発で設けられた排水設備などでは、登記や契約書を確認するまで地役権の存在に気づかないことがあります。境界確定図を確認する場面では、隣地との通行関係や設備の越境、共有通路のような利用実態が見える場合に、地役権の有無も併せて確認する意識が必要です。


境界確定図を実務で活かすための記録方法

境界確定図で地役権設定範囲を確認した結果は、後から見返せる形で整理することが重要です。実務では、確認した担当者がその場では理解していても、設計者、施工者、売買担当者、管理担当者、所有者へ情報が伝わる過程で認識がずれることがあります。特に地役権は、境界、登記、契約、現地利用が重なるため、口頭説明だけでは不十分です。


まず、確認対象となる資料を整理します。境界確定図、登記事項、地役権設定契約書、添付図面、地積測量図、公図、現況測量図、設備図、過去の工事図面、現地写真など、どの資料を確認したのかを記録します。資料の名称、作成年月、作成者、対象地番、確認したページや図面番号をまとめておくと、後で根拠を追いやすくなります。古い資料と新しい資料が混在する場合は、どの資料を優先して判断したのかも残しておくと安心です。


次に、地役権範囲を確認用図面に整理します。原本を直接加工するのではなく、確認用の写しや別図として、境界線、地役権範囲、通行経路、設備位置、注意箇所を分かりやすく示します。地役権範囲が不明確な場合は、断定的に塗りつぶすのではなく、確認済みの範囲、推定範囲、未確認範囲を分けて表現することが重要です。曖昧な部分を曖昧なまま残すことは、実務上のリスク管理として意味があります。


現地写真は、図面と対応させて保存します。境界標、通路入口、通路幅、曲がり角、塀や門扉、舗装端、排水桝、側溝、点検口、配管の推定位置、障害物などを撮影し、撮影方向や位置をメモします。写真だけを保存しても、後からどこを撮ったものか分からなくなることがあるため、図面上に撮影位置を示すと有効です。工事前や売買前の状態を残す意味でも、日付の分かる形で保管しておくとよいでしょう。


確認結果には、判断できたことと判断できなかったことを分けて書きます。たとえば、境界確定図で土地外周は確認できたが、地役権範囲の詳細な幅は契約書上で不明確である、現地の通路は確認できたが登記上の範囲との一致は追加確認が必要である、排水桝は見えるが管路の正確な位置は図面未確認である、といった整理です。判断できない部分を無理に結論づけないことが、後のトラブル防止につながります。


関係者への共有では、専門用語だけに頼らず、実務上の影響を具体的に伝えることが大切です。単に「地役権あり」と書くだけでは、設計や施工の担当者が何に注意すべきか分かりません。「この範囲には通行を妨げる工作物を置かない」「この付近は排水管の位置確認後に掘削する」「この範囲は売買時に説明が必要」といった形で、次の行動につながる表現にすると実務で使いやすくなります。


また、現地で確認した情報は時間とともに変化します。境界標が移動する、舗装が補修される、塀が建て替えられる、設備が更新される、隣地所有者が変わるといったことがあります。そのため、一度確認した図面や写真を永久に正しいものとして扱うのではなく、重要な取引や工事の前には再確認する姿勢が必要です。境界確定図を基礎資料として保管しつつ、現況確認の記録を更新していくことが望まれます。


まとめ

境界確定図で地役権設定範囲を確認する際は、土地の境界線だけを見るのではなく、登記内容、契約書、添付図面、現地状況、将来の利用計画を一体として確認することが重要です。地役権は、他人の土地を一定の目的で自己の土地の便益に供する権利であり、通行、排水、給排水管、維持管理など目的によって確認すべき範囲が変わります。境界確定図は、その範囲を考えるための基準になりますが、地役権の内容そのものを単独で確定する資料とは限りません。


まず、登記内容と図面を照合し、どの土地が利益を受け、どの土地が負担するのかを整理します。次に、境界線と地役権範囲の位置関係を確認し、通路、管路、工作物、隣接地との関係を読み取ります。さらに、幅員や延長だけでなく、地役権の目的を確認し、実際にどのような利用が想定されているのかを把握します。そのうえで、現地の境界標、通路、設備、障害物、高低差を確認し、図面上の情報と現況が合っているかを見ます。最後に、将来の工事、売買、分筆、管理にどのような影響があるかを整理することで、実務上の判断に活かしやすくなります。


特に注意したいのは、境界確定図に地役権範囲が明示されていない場合や、古い資料と現在の現況がずれている場合です。図面の線だけで断定せず、複数資料を照合し、確認できたことと未確認のことを分けて記録することが大切です。地役権の範囲は、土地利用や工事計画に直接影響するため、曖昧なまま進めると後から隣接地との協議や設計変更が必要になることがあります。


実務では、境界確定図を紙や画面で見るだけでなく、現地での確認結果を写真やメモと結び付けて残すことが重要です。境界標、通路幅、舗装端、塀、排水設備、点検口などを記録し、図面上の位置と対応させることで、関係者間の認識をそろえやすくなります。現場で得た位置情報や写真を効率よく整理し、境界確定図と現地状況を同じ前提で共有できる体制を整えておくことが、地役権設定範囲の確認を次の判断につなげるための実務上のポイントです。


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