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境界確定申請で測量成果と登記情報を照合する5手順

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

境界確定申請では、現地で測量した成果と、登記事項証明書、公図、地積測量図、過去の境界確認資料などを突き合わせ、申請内容を説明できる状態に整えることが重要です。図面上の形や測量値が一見整っていても、地番、地積、所有者、隣接関係、既存境界標、道路や水路との接続関係が資料と合っていなければ、申請後の補正、関係者説明のやり直し、立会い調整の遅れにつながることがあります。


境界確定に関する手続きは、単に現地の境界点を測るだけで完結するものではありません。現地の状態、過去の資料、登記上の記録、隣接地との関係、道路や水路などの公共用地との関係を整理し、申請先や関係者が確認できる形にまとめる実務です。特に、筆界、所有権界、利用上の境界が常に一致するとは限らないため、現地の見た目だけで判断しない姿勢が欠かせません。


この記事では、境界確定申請の前に測量成果と登記情報を照合するための実務手順を、5つの流れに分けて解説します。自治体や道路、水路などの管理者によって必要書類や運用は異なるため、最終的には申請先の案内や事前相談に従う必要がありますが、照合の基本を押さえておくことで、補正や手戻りのリスクを減らしやすくなります。


目次

境界確定申請で照合が重要になる理由

手順1 登記情報と関係資料を過不足なく集める

手順2 申請地と隣接地の地番関係を整理する

手順3 測量成果の境界点と登記資料を突き合わせる

手順4 地積や辺長の差異を確認し説明できる状態にする

手順5 申請図面と添付資料の整合性を最終確認する

照合時に見落としやすい注意点

境界確定申請をスムーズに進めるための記録管理

まとめ


境界確定申請で照合が重要になる理由

境界確定申請で測量成果と登記情報を照合する目的は、現地で得られた測量結果を、登記上の土地情報や過去の資料と矛盾なく説明できる状態にすることです。申請地の所有者だけでなく、隣接所有者、道路や水路などの管理者、場合によっては土地の利用者や代理人も関係します。こうした関係者に対して、なぜその境界線を確認対象とするのか、どの資料を根拠にしているのか、現地のどの点が資料上のどの点に対応するのかを説明できなければ、合意形成や確認作業が進みにくくなります。


登記情報は、土地の地番、地目、地積、所有者、権利関係などを確認するための基本資料です。一方で、登記情報だけを見ても、現地の境界が自動的に確定するわけではありません。公図は土地の位置関係を把握する参考資料になりますが、地域や作成時期によって精度や表現の性質が異なります。地積測量図が備え付けられている場合でも、作成年代、測量方法、座標の有無、隣接地との整合性を確認する必要があります。


測量成果は、現況の境界標、構造物、道路縁、塀、擁壁、側溝、杭、鋲などを測定し、座標、辺長、面積、位置関係として整理したものです。現地で測った数値は実務上重要ですが、現地にあるものが必ず正しい境界を示すとは限りません。古い塀が越境している場合、境界標が移動している場合、過去の造成や道路整備によって現地利用と登記上の区画にずれが生じている場合もあります。


そのため、境界確定申請では、測量成果と登記情報の双方を照合し、どこが一致し、どこに差異があり、その差異をどのように扱うべきかを整理することが重要です。申請前にこの整理ができていれば、申請先への相談、隣接所有者への説明、立会い当日の確認、申請図面の作成を進めやすくなります。反対に、照合が不十分なまま申請すると、後から地番の取り違え、隣接者の漏れ、資料不足、図面の不整合、面積差の説明不足が判明し、補正や再確認が必要になることがあります。


実務担当者にとって大切なのは、測量成果を作ることと同じくらい、成果の根拠を説明できる状態にすることです。境界確定申請は、図面を提出して終わるものではなく、資料と現地と関係者の認識を合わせていく手続きです。したがって、照合の手順をあらかじめ決め、確認すべき項目を順番に処理していくことが、申請全体の品質を高める近道になります。


手順1 登記情報と関係資料を過不足なく集める

最初の手順は、照合に必要な資料を過不足なく集めることです。境界確定申請では、申請地そのものの登記情報だけでなく、隣接地、道路、水路、里道、過去に分筆された土地、合筆された土地など、周辺関係を把握するための資料が必要になることがあります。申請地の登記事項だけを確認して作業を始めると、後から隣接地の所有者や地番の見落としに気づくことがあります。


基本となる資料には、登記事項証明書または登記情報、公図、地積測量図、過去の境界確認書、道路境界や公共用地境界に関する資料、既存の確定図、現地写真、過去の申請図面などがあります。自治体や管理者によって求められる書類の名称や範囲は異なるため、申請先の案内や事前相談の内容に合わせて確認することが重要です。特に官民境界を含む場合は、道路や水路の管理者が持つ資料と、法務局で確認できる登記関係資料を分けて確認する必要があります。


資料収集では、現在の情報だけでなく、過去の変遷も意識します。土地は、分筆、合筆、地積更正、換地、区画整理、道路拡幅、公共事業、相続、売買などを経て現在の姿になっている場合があります。現在の公図だけを見ると単純な区画に見えても、過去の地積測量図や分筆図を見ると、現在の境界線を理解するための手がかりが含まれていることがあります。古い資料ほど数値の扱いには注意が必要ですが、境界の成立過程を知る資料として有効な場合があります。


資料を集めたら、まず申請地の所在、地番、地目、地積、所有者を確認します。次に、申請地に接する土地を拾い出し、それぞれの地番と所有者を整理します。ここで注意したいのは、現地で隣接しているように見える土地と、公図上で隣接している土地が完全に一致するとは限らない点です。道路や水路が介在している場合、細い公共用地が存在する場合、筆界未定地や地番の表示が複雑な場合などは、見た目だけで隣接関係を判断すると漏れが生じます。


また、共有地や相続未了の土地が隣接している場合は、関係者確認に時間がかかることがあります。登記上の所有者がすでに亡くなっている可能性がある場合や、住所変更が反映されていない場合もあります。境界確定申請の実務では、測量成果の照合と並行して、立会い依頼や承諾取得の対象者を早期に把握することが大切です。資料収集の段階で隣接所有者の確認が甘いと、図面作成後に関係者の追加が発生し、説明資料の修正や立会い日程の再調整につながります。


集めた資料は、ただ保管するだけでなく、どの資料が何を示しているのかを整理しておきます。公図は土地の位置関係、登記情報は権利や地積の情報、地積測量図は過去の測量数値、既存確定図は過去の確認や協議の経緯、現地写真は現在の物理的状況を示します。それぞれの資料の役割を区別しておくと、後の照合作業で判断がぶれにくくなります。


手順2 申請地と隣接地の地番関係を整理する

次の手順は、申請地と隣接地の地番関係を整理することです。境界確定申請では、どの土地とどの土地の境界を確認するのかを明確にしなければなりません。申請地の周囲にある土地を正しく把握し、申請対象となる境界線、関係者確認が必要な境界線、公共管理者との協議が必要な境界線を分けて考えることが重要です。


まず、公図をもとに申請地の周囲を確認します。申請地に接する筆を拾い出し、地番を整理します。道路や水路に接している場合は、その部分が登記された土地なのか、公共用地として管理されているのか、または公図上どのように表現されているのかを確認します。現地では道路として使われていても、公図上は複数の筆に分かれている場合があります。反対に、公図上は道のように見えても、現地では宅地の一部のように利用されている場合もあります。


地番関係を整理するときは、現況図と公図を重ねて考える感覚が必要です。ただし、公図の形状をそのまま現地座標に当てはめて結論を出すのではなく、地番の並び、接続関係、分筆の履歴、境界点の位置関係を確認することが大切です。特に、申請地が角地にある場合、道路に二方向で接している場合、私道に接している場合、細長い土地や水路敷が絡む場合は、隣接関係の整理に時間をかける必要があります。


地番の整理では、申請地の周辺だけでなく、境界線の延長上にある土地にも注意します。ある境界線が隣接地との境界だけでなく、道路境界や水路境界、過去の分筆線と連続している場合、その関係を無視すると図面全体の整合性が崩れます。申請地の一辺だけを見れば問題がないように見えても、その線を延長すると隣の区画の既存境界標とずれることがあります。このようなずれは、立会い時の説明で問題になりやすいため、早い段階で把握しておくことが望ましいです。


次に、地積測量図や過去の確定図がある場合は、各境界点がどの地番同士の境を示しているかを確認します。図面に点名がある場合は、点名、辺長、方位、座標、地番界の記載を確認し、現地測量成果の点名と対応させます。古い図面では点名や座標が現在の作業体系と一致しないことがあります。その場合でも、辺長や接続関係、道路との位置関係を手がかりにして、どの点がどの境界点に相当するのかを整理します。


所有者確認もこの段階で進めます。申請地と隣接地の登記名義人を確認し、立会い依頼や確認取得が必要になる相手を想定します。共有者がいる場合、法人名義の場合、住所変更が未反映の可能性がある場合、相続が絡む場合は、通常より時間がかかることがあります。境界確定申請では、図面の技術的な整合だけでなく、関係者への説明と確認が欠かせません。地番関係の整理は、その後の関係者対応の土台になります。


この手順で目指すべき状態は、申請地を中心に、周囲の土地、道路、水路、公共用地、既存確認済みの境界、未確認の境界が一目で分かる状態です。測量成果と登記情報を照合する前に、そもそもどの土地を対象に照合するのかを明確にしておくことで、後の作業が整理しやすくなります。


手順3 測量成果の境界点と登記資料を突き合わせる

三つ目の手順は、現地測量で得られた境界点、構造物、境界標、道路縁などの成果を、登記資料や過去の図面と突き合わせることです。ここが照合作業の中心になります。測量成果の点が、登記情報や地積測量図上のどの点に対応するのかを確認し、一致している点、判断が必要な点、追加確認が必要な点を分けていきます。


現地測量では、境界標だけでなく、塀、擁壁、側溝、道路端、建物の外壁、門柱、フェンス、舗装の切れ目など、境界判断の参考になり得る物を測定することがあります。ただし、これらの現況物は境界そのものとは限りません。境界標が明確に残っている場合でも、それが正しい位置にあるかどうかは資料と照合する必要があります。境界標がない場合は、過去の資料、隣接地の状況、道路構造、既存の確定点などから総合的に検討することになります。


地積測量図に座標が記載されている場合は、測量成果の座標と比較します。ただし、座標系や測量方法、作成年代が異なる場合は、単純な数値比較だけでは判断できません。座標値の基準、縮尺、測量の精度、図面作成時の条件を確認し、現地成果との比較方法を慎重に考えます。座標がない古い図面の場合は、辺長、角度、地番の並び、隣接関係を手がかりに照合します。古い資料の数値が現在の測量精度と一致しない場合でも、境界の考え方を示す資料として扱えることがあります。


突き合わせでは、まず資料との整合性が比較的高い点を基準点として整理します。既存の境界標があり、過去の図面の辺長や隣接関係とも大きな矛盾がない点は、周囲の点を検討する際の手がかりになります。次に、現地には点があるものの資料との対応が不明な点、資料には点があるものの現地で確認できない点、現地利用と資料上の線がずれている点を抽出します。この分類をしておくと、後の説明や追加調査がしやすくなります。


特に注意したいのは、境界標の種類や設置状況です。コンクリート杭、金属鋲、プレート、刻み、古い石杭など、境界標にはさまざまな形があります。境界標が傾いている、欠けている、埋没している、構造物の工事で移設された可能性がある場合は、そのまま採用してよいか慎重に判断します。境界標の写真を撮影し、測量点名と対応させて記録しておくと、申請図面や関係者説明で役立ちます。


また、道路や水路に接する境界では、民地同士の境界とは異なる観点が必要になることがあります。道路台帳、過去の道路境界確定資料、公共用地の管理図面、側溝や縁石の位置、道路幅員、既存の境界標などを確認し、現地測量成果と整合させます。道路の舗装端や側溝の外側が必ず境界線になるとは限りません。現況の構造物だけで判断すると誤りにつながることがあるため、管理者資料との照合が重要です。


突き合わせの結果は、図面上で視覚的に整理しておくと効果的です。既存資料と整合する点、再確認が必要な点、現地に見当たらない点、関係者立会いで確認すべき点を区別しておきます。最終的な申請図面に余計な情報を詰め込みすぎる必要はありませんが、内部確認用の資料として整理しておくことで、問い合わせや補正に対応しやすくなります。


手順4 地積や辺長の差異を確認し説明できる状態にする

四つ目の手順は、測量成果から算出した地積や辺長と、登記情報や過去の図面に記載された数値との差異を確認し、その理由を説明できる状態にすることです。境界確定申請では、現地の測量結果と登記上の地積が完全に一致しないことがあります。差異があること自体が直ちに問題になるわけではありませんが、その差異を把握せずに申請すると、審査や立会いの段階で説明に困ることがあります。


まず確認すべきは、登記上の地積と、現地測量に基づく求積結果の差です。登記上の地積は、過去の測量方法や登記の経緯によって、現在の測量成果と差が生じる場合があります。古い登記では、現代の測量精度と比べて大まかな数値になっていることもあります。地積測量図がある場合でも、作成年代や測量条件によって現在の成果と差が出ることがあります。そのため、差が出た場合は、単純にどちらかが間違いと決めつけるのではなく、資料の性質と現地状況を整理して考えます。


辺長の確認も重要です。地積が大きく変わらなくても、一部の辺長や角度に差があると、隣接地との境界線の位置に影響することがあります。特に、細長い土地、変形地、道路に斜めに接する土地、複数の境界点が連続する土地では、一点のずれが全体の図面に影響します。過去の図面に記載された辺長と、現地測量の辺長を比較し、大きな差がある部分を抽出します。


差異が見つかった場合は、その原因をいくつかの観点から検討します。境界標の移動や亡失、構造物の越境、過去の分筆線の読み違い、公図と現況のずれ、道路整備による変更、隣接地側の過去資料との不整合などが考えられます。また、測量の基準点や座標変換、図面の縮尺、丸め処理によって数値差が生じる場合もあります。実務では、差異そのものよりも、差異をどのように確認し、どの資料を根拠に判断したかが重要になります。


説明できる状態にするためには、差異を文章と図面の両方で整理しておくと有効です。申請地の登記地積、測量地積、差異の程度、差異が大きい辺、過去資料との関係、現地で確認した境界標の有無を整理します。申請先に提出する書式は自治体や管理者によって異なりますが、内部資料としてこの整理をしておけば、窓口での確認や補正対応がしやすくなります。


隣接所有者への説明でも、地積や辺長の差異は重要な論点になります。相手方から見れば、境界線の位置が自分の土地に影響するのではないかという不安が生じます。数値差がある場合に、担当者が曖昧な説明しかできないと、立会いの場で不信感が高まることがあります。反対に、資料の経緯、現地の境界標、測量結果、差異の理由を丁寧に説明できれば、理解を得やすくなります。


ただし、境界に関する判断は慎重に扱う必要があります。測量成果と登記情報に差異がある場合、実務担当者だけで断定せず、必要に応じて土地家屋調査士などの専門家、申請先、管理者と協議することが大切です。特に、筆界、所有権界、利用界が一致していない可能性がある場合や、隣接者間で見解が分かれている場合は、安易に結論を出すべきではありません。境界確定申請で求められるのは、資料と現地に基づいた合理的な整理であり、無理に都合のよい数値へ合わせることではありません。


手順5 申請図面と添付資料の整合性を最終確認する

五つ目の手順は、申請図面と添付資料の整合性を最終確認することです。測量成果と登記情報を照合しても、その結果が申請書、位置図、現況図、求積図、境界確認図、隣接者一覧、写真資料などに正しく反映されていなければ、申請時に不備として扱われる可能性があります。最後の確認では、図面単体の見栄えだけでなく、すべての資料が同じ前提で作られているかを確認します。


まず、申請地の表示を確認します。所在、地番、地目、所有者、申請者、代理人、面積などが、登記情報や申請書の記載と一致しているかを見ます。数字や地番の一文字違いは、実務では意外に起こりやすいミスです。枝番の抜け、旧地番の混在、合筆前の地番の残存、隣接地番の取り違えなどがあると、申請先から補正を求められることがあります。


次に、図面上の境界点、点名、辺長、座標、面積、隣接地番を確認します。内部作業では点名を変更したり、測量データを更新したりすることがあります。その過程で、現況図と求積図、境界確認図、写真台帳の点名がずれることがあります。現況図では点Aと表示している点が、写真資料では点1になっていると、確認する側に混乱を与えます。点名はできるだけ統一し、異なる表記を使う場合は対応関係を明確にしておくことが望ましいです。


添付資料との整合も大切です。公図写し、地積測量図、登記情報、現地写真、委任関係書類、既存境界確認書などを添付する場合、それぞれが申請図面の内容と矛盾していないかを確認します。古い資料を添付する場合は、現在の地番や現地状況と異なる部分があるかもしれません。その差異を放置すると、審査側や関係者がどの資料を根拠に見ればよいか分からなくなります。必要に応じて、資料の位置づけを説明できるようにしておくことが重要です。


現地写真の整理も見落とせません。境界標の写真、道路や水路との接続状況、隣接地との境界付近、構造物の状況を撮影していても、図面上の点名と写真が対応していなければ、資料としての価値が下がります。写真には撮影位置、撮影方向、対象点が分かるように整理し、申請図面と照合できる状態にします。写真は立会い前の説明や、後日の確認にも役立つため、申請直前に慌てて撮るのではなく、測量時から意識して記録しておくと効率的です。


また、申請先が求める様式や記載事項との整合も確認します。境界確定申請は、自治体や管理者によって必要書類、図面の縮尺、押印や署名の扱い、添付資料、提出部数、事前相談の要否が異なることがあります。一般的な実務知識だけで判断せず、申請先の案内や窓口確認に基づいて最終調整することが大切です。特に公共用地が関係する場合は、管理者ごとの運用差が出やすいため、早めに確認しておくと安心です。


最終確認では、第三者が見ても申請内容を追えるかという視点を持つことが有効です。作業担当者は、現地を見て、測量し、資料を読んでいるため、頭の中で自然に補完できてしまいます。しかし、申請先の担当者や隣接所有者は、提出資料から内容を理解します。図面と資料を初めて見る人が、申請地の位置、境界確認の対象、根拠資料、測量成果、差異の有無を読み取れるかを確認することで、申請の完成度が上がります。


照合時に見落としやすい注意点

測量成果と登記情報の照合では、いくつか見落としやすいポイントがあります。まず注意したいのは、現況と登記上の情報が一致している前提で作業を進めてしまうことです。現地の塀や舗装、利用状況は分かりやすい目印になりますが、それが登記上の境界や筆界を正確に示しているとは限りません。長年そのように使われているから正しい、隣地の人も特に何も言っていないから問題ない、といった判断は慎重に扱う必要があります。


次に、隣接地の資料確認を簡略化しすぎることもリスクになります。申請地の資料だけを見て図面を作成すると、隣接地側の地積測量図や過去の確定資料と合わないことがあります。境界は一筆だけで完結するものではなく、隣り合う土地との関係で成り立ちます。申請地側の資料では自然に見える線でも、隣接地側の過去資料と照合すると別の解釈が必要になる場合があります。


古い資料の扱いにも注意が必要です。古い地積測量図や過去の図面は、境界の経緯を知るうえで重要ですが、現在の測量精度と同じ感覚で数値を扱うと判断を誤ることがあります。図面の縮尺、作成時期、測量方法、座標の有無、数値の丸め方を確認し、その資料が何を示すものなのかを考える必要があります。古い資料を完全に無視するのも危険ですが、古い数値だけに過度に依存するのも避けるべきです。


道路や水路との境界では、管理者資料との整合を見落としやすいです。現地に側溝や縁石があると、その位置を境界と考えたくなりますが、公共用地の境界は構造物の位置だけでは判断できません。道路幅員、過去の境界確認、道路改良、用地買収、管理区域などが関係することがあります。官民境界が絡む申請では、民地側の登記情報だけでなく、公共側の資料や管理者の判断を確認することが重要です。


筆界と所有権界の違いも見落としやすい論点です。筆界は登記された土地を区画する境界であり、所有権の及ぶ範囲を示す所有権界と一致することが多い一方、常に一致するとは限りません。現地利用や当事者の合意だけでは筆界そのものが変更されるわけではないため、境界確定申請で扱う対象が何かを意識して資料を確認する必要があります。見解が分かれる場合は、申請先や専門家に相談し、必要に応じて別の手続きも含めて検討することが安全です。


もう一つの注意点は、図面更新後の資料不整合です。現地再測量や点名変更、境界点の追加、隣接者情報の修正を行った後、すべての図面と添付資料に変更が反映されていないことがあります。申請直前の修正ほど、反映漏れが起こりやすくなります。最終版の図面、申請書、写真、一覧表、説明資料を同じタイミングで確認し、古い版が混在していないかを確認することが大切です。


境界確定申請をスムーズに進めるための記録管理

境界確定申請を円滑に進めるには、照合結果を記録として残すことが重要です。測量成果と登記情報を一度確認しても、その判断過程が担当者の記憶だけに残っている状態では、後から説明できなくなることがあります。申請先から追加確認を求められたとき、隣接所有者から質問を受けたとき、社内で担当者が交代したときに、どの資料を見て、どのように判断したのかが分かるようにしておく必要があります。


記録管理では、資料の取得日、資料名、対象地番、確認した内容、判断に使ったポイント、未解決の事項を整理します。公図で確認した隣接地番、地積測量図で確認した辺長、現地で確認した境界標、測量成果と差があった箇所、管理者に確認した事項などを残しておくと、後の作業が安定します。申請図面にすべてを書き込む必要はありませんが、内部の確認資料として整理しておく価値は大きいです。


現地記録も重要です。境界標の写真、測量時の現場状況、隣接地との境界付近の構造物、道路や水路の状態を、位置情報や点名と関連づけて保存しておくと、図面との照合がしやすくなります。境界標が草や土に隠れていた場合、掘り出した状態や周辺状況も記録しておくと、後で確認しやすくなります。写真だけを大量に保存しても、どの写真がどの点を示すのか分からなければ活用しにくいため、撮影対象と図面上の位置を対応させることが大切です。


測量成果の管理では、座標データ、観測記録、図面データ、求積資料、写真資料をばらばらに扱わないことが重要です。境界確定申請では、後から一点だけ確認したい場面がよくあります。そのとき、測量成果と写真と登記資料がつながっていれば、確認にかかる時間を短縮できます。逆に、資料が個人の端末や紙資料に分散していると、再確認や再説明に時間がかかります。


関係者とのやり取りも記録しておくべきです。申請先への事前相談で確認した内容、隣接所有者への説明日、立会い予定、指摘事項、再確認事項などを残しておくと、手続きの抜け漏れを防ぎやすくなります。境界確定申請は、技術的な測量作業と、関係者調整が同時に進む実務です。どちらか一方だけを管理しても、全体の進行は安定しません。


近年は、現地で取得した測量データや写真、位置情報をすぐに整理し、事務所側と共有する運用が求められる場面も増えています。現地で確認した点をその場で記録し、登記資料や申請図面と照合しやすい形で残せれば、申請前の確認精度が高まります。特に、複数人で案件を進める場合や、現地と事務所で役割分担する場合は、情報共有の仕組みが作業品質に直結します。


まとめ

境界確定申請で測量成果と登記情報を照合する作業は、申請前の単なる確認ではなく、申請全体の信頼性を支える重要な工程です。まず登記情報や公図、地積測量図、過去の確定資料などを集め、申請地と隣接地の地番関係を整理します。そのうえで、現地測量で得られた境界点や構造物の位置を資料と突き合わせ、地積や辺長の差異を確認し、説明できる状態にします。最後に、申請図面と添付資料の整合性を確認することで、補正や手戻りのリスクを減らせます。


境界確定申請では、現地の見た目だけでも、登記情報だけでも判断を完結させることはできません。大切なのは、現地、資料、測量成果、関係者の認識を一つずつ照らし合わせ、矛盾や未確認事項を早い段階で見つけることです。差異がある場合も、すぐに問題と決めつけるのではなく、なぜ差が出ているのか、どの資料を根拠に説明できるのかを整理することが実務上のポイントになります。


また、照合結果を記録として残すことも欠かせません。境界標の写真、測量点、登記資料、過去図面、管理者確認、隣接者対応を関連づけて管理しておけば、申請先からの確認や立会い時の説明に対応しやすくなります。境界確定申請は、図面を作るだけでなく、その図面の根拠を説明する手続きです。だからこそ、測量成果と登記情報の照合を丁寧に行い、第三者が見ても追える資料に整えることが大切です。


現場での測量、境界点の記録、位置情報付き写真、図面との連携を効率化したい場合は、現地で取得したデータを整理しやすい測量支援ツールや情報共有の仕組みを活用することも選択肢になります。ただし、どのような機器やシステムを使う場合でも、最終的に重要なのは、申請先の運用に合った資料をそろえ、測量成果と登記情報の対応関係を説明できる状態にしておくことです。


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