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隣地が空き家の境界確定申請で進め方に迷わない5手順

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

隣地が空き家になっている土地で境界確定申請を進める場合、最初に迷いやすいのは「誰に連絡すればよいのか」「所有者が現地にいないまま手続きを進められるのか」「立会いができないとすべて止まるのか」という点です。境界確定は、建築、分筆、売買、相続、道路や水路との境界確認、隣接地との将来トラブル防止など、多くの実務に関わります。空き家だからといって境界確認が不要になるわけではなく、むしろ所有者不在、相続未整理、管理者不明、現地の荒廃などが重なり、通常より慎重な段取りが必要になります。この記事では、「境界確定 申請」で調べている実務担当者向けに、隣地が空き家の場合でも進め方に迷わないための5手順を、実務で使いやすい流れに沿って解説します。


目次

隣地が空き家でも境界確定申請を止めないための基本理解

手順1 境界確定が必要な目的と対象範囲を先に整理する

手順2 登記資料と現地状況を照合して隣地情報を固める

手順3 所有者や関係者への連絡経路を丁寧に確認する

手順4 立会いと測量の進め方を記録前提で組み立てる

手順5 申請書類と成果資料を将来説明できる形で保管する

空き家隣地の境界確定で失敗を防ぐ実務上の注意点

まとめ 境界確定申請は早めの資料化と現地記録が鍵になる


隣地が空き家でも境界確定申請を止めないための基本理解

隣地が空き家の場合でも、境界確定申請や境界確認の基本的な考え方は変わりません。確認すべき境界があり、その境界に関係する土地所有者や管理者がいて、図面、測量成果、既存資料、現地の境界標、道路や水路などの公共物との関係を整理しながら、関係者へ説明し、確認を積み上げていく流れです。ただし、空き家が絡むと、現地に人がいないため意思確認に時間がかかりやすくなります。登記上の所有者がすでに亡くなっている、所有者の住所が古い、相続人が複数いる、建物だけが放置されていて土地の管理者が分からない、といった事情も珍しくありません。


ここで重要なのは、空き家であることと、境界確認の相手方が存在しないことは別だと理解することです。隣地に人が住んでいなくても、土地には所有者がいます。所有者が亡くなっている場合でも、相続人や権限を持つ代理人など、確認すべき関係者が存在する可能性があります。現地が無人だからといって、申請者側だけで境界線を決めたり、無断で境界標を設置したり、図面だけで一方的に工事や登記の準備を進めたりすると、後日トラブルになるおそれがあります。


境界には、登記上の土地の区画を示す筆界と、所有権が及ぶ範囲として問題になる所有権界という考え方があります。通常は両者が一致していることが多いものの、必ず同じとは限りません。また、筆界は土地所有者同士の合意だけで自由に動かせるものではありません。そのため、境界確認書や立会い記録を作成する場合でも、何を確認しているのか、どの資料を根拠にしているのか、筆界の確認なのか、利用状況や越境物を含む所有権上の調整なのかを混同しないことが大切です。争いがある場合や確認が困難な場合には、筆界特定制度、境界に関する訴訟、弁護士や土地家屋調査士への相談など、案件に応じた別の対応が必要になることもあります。


境界確定申請には、道路や水路などの公有地との境界を確認する官民境界の手続きと、隣接する民有地同士の境界を確認する民民境界の調整が関係することがあります。自治体へ申請する案件では、公有地側の境界確認とあわせて、隣接土地所有者の立会い、立会い同意、承諾書、委任状、現況図、登記事項証明書などが求められることがあります。ただし、必要書類や欠席時の扱い、対側地の同意が必要になる範囲、申請者の資格、郵送や電子申請の可否は自治体や管理者の要領によって異なります。民有地同士の境界確認では、土地家屋調査士などの専門家が関係資料を確認し、隣接者と協議しながら境界確認書や測量成果を整えていくのが一般的です。


隣地が空き家のときに実務担当者が避けたいのは、「所有者に連絡がつかないので後回しにする」「現地に境界標があるから問題ないと考える」「古い図面だけで判断する」「立会い依頼の記録を残さない」といった進め方です。境界確定では、最終的な線そのものだけでなく、どの資料を確認し、誰に連絡し、どのような現地確認を行い、どの範囲について確認や合意が得られたのかという過程が重要です。空き家の隣地では、この過程をより丁寧に残す必要があります。


また、境界確定は単なる書類作成ではなく、将来の説明責任を伴う実務です。建築確認、分筆登記、売買契約、造成計画、外構工事、越境物の整理、相続財産の処分など、後続の手続きに影響します。空き家隣地との境界をあいまいなまま進めると、後になって相続人や新所有者から説明を求められた際に、測量根拠や連絡経過を示せず、工事のやり直しや協議の再開につながることがあります。したがって、隣地が空き家の場合ほど、最初に全体像を整理し、資料、連絡、測量、申請、保管の順番を崩さず進めることが大切です。


手順1 境界確定が必要な目的と対象範囲を先に整理する

最初の手順は、なぜ境界確定申請が必要なのかを明確にすることです。境界確定といっても、目的によって必要な精度、確認すべき関係者、準備する図面、申請先、成果物の扱いが変わります。たとえば、分筆を予定している場合は、登記手続きに耐えられる測量成果や隣接地との確認が重要になります。建築や外構工事の前であれば、建物配置、塀、擁壁、排水施設、越境物の有無を踏まえた確認が必要です。道路との境界を確認したい場合は、自治体などが管理する道路や水路との関係、過去の境界確定資料、道路台帳、官民境界に関する申請要件を確認する必要があります。


隣地が空き家の場合、目的があいまいなまま関係者へ連絡すると、相手方に不信感を与えやすくなります。空き家の所有者や相続人は、土地の現況を十分に把握していないこともあります。その相手に対して、突然「境界確認をお願いします」とだけ伝えると、何を求められているのか分からず、返答が遅くなったり、警戒されたりすることがあります。そこで、連絡前に、申請者側の目的、確認したい境界の位置、予定している手続き、現地立会いが必要な理由、書類確認が必要になる可能性、今後の流れを説明できる状態にしておくことが重要です。


対象範囲の整理では、自分の土地と空き家隣地の境界だけを見ればよいとは限りません。角地であれば道路との境界も関係します。水路や里道などの公共物が近くにある場合は、管理者との協議が必要になることがあります。隣接地が複数筆に分かれている場合、見た目は一つの空き家敷地でも、登記上は複数の土地になっていることがあります。反対に、現地では別々に見える土地が、登記上は一筆のままになっていることもあります。どの筆のどの辺を確認するのかを最初に整理しないと、後から追加の隣接者が判明し、立会い日程や書類作成をやり直すことになりかねません。


この段階では、境界確定申請を誰のために行うのかも整理しておきます。土地所有者本人が申請者なのか、施工会社や設計者が実務を支援しているのか、不動産取引の前提資料として必要なのか、相続や売却の準備なのかによって、関係者への説明内容は変わります。代理で進める場合は、委任関係や連絡窓口を明確にしておく必要があります。空き家の隣地所有者から見ると、誰が何の権限で連絡してきたのかが分からないと、協力しづらくなります。


また、境界確定の目的を整理することで、急ぐべき工程と慎重に進めるべき工程の区別ができます。建築工期が迫っている、売買契約の期日がある、分筆登記の予定があるといった事情があっても、隣地所有者の確認が必要な部分を省略できるわけではありません。むしろ、期限がある場合ほど早期に専門家へ相談し、所有者調査や立会い依頼に必要な時間を見込むことが重要です。空き家隣地では連絡先確認だけで想定以上に時間がかかることがあります。手続きの最初に目的と範囲を整理しておけば、関係者への説明が一貫し、申請後の手戻りも抑えやすくなります。


手順2 登記資料と現地状況を照合して隣地情報を固める

次の手順は、登記資料と現地状況を照合し、隣地の情報をできる限り正確に固めることです。空き家が建っている土地では、見た目の敷地境界と登記上の土地の範囲が一致しているとは限りません。古い塀、植栽、側溝、擁壁、物置、門柱などが境界の目安に見えることがありますが、それらが必ず筆界や所有権界を示しているとはいえません。現地の見た目だけで判断せず、登記事項証明書、公図、地積測量図、過去の境界確認書、建築時の配置図、道路や水路に関する資料などを突き合わせることが大切です。


登記事項証明書では、土地の所在、地番、地目、地積、所有者名、所有者住所などを確認します。空き家の場合、建物の表札や郵便受けに残る名前と、土地の登記名義人が一致しないことがあります。建物と土地の所有者が異なる、過去に売買されたが現地表示が古いまま残っている、相続登記や住所変更登記が追いついていない、といった事情も考えられます。境界確定で関係するのは、原則として対象土地の所有者や権限を持つ代理人です。現地の居住者がいない場合ほど、登記上の情報を起点に確認を進める必要があります。


公図や地積測量図は、土地の形状や隣接関係を把握するための基本資料です。ただし、公図は土地の位置関係を示す資料であり、現地の寸法や境界位置をそのまま確定するものではありません。地積測量図も作成時期や内容によって精度や記載情報が異なります。古い資料では、現在の測量成果と一致しないこともあります。そのため、資料は単独で判断するのではなく、現地測量、既存境界標、周辺の確定資料、隣接者の確認内容と合わせて評価する必要があります。


現地確認では、境界標の有無と状態を丁寧に見ます。コンクリート杭、金属標、鋲、刻印、石標などが残っている場合でも、傾き、移動、破損、埋没、工事による影響がないかを確認します。空き家敷地では雑草や残置物で境界標が見えなくなっていることがあります。塀や擁壁の裏側に境界標が隠れている場合もあります。現地に入る必要がある場合は、所有者や権限ある管理者の承諾を得ずに立ち入らないことが基本です。道路側や申請者側敷地から確認できる範囲を記録し、必要な調査は専門家を通じて適切に進めるのが安全です。


周辺の土地との関係も重要です。隣地が空き家で連絡が取りにくい場合でも、反対側や道路向かいの所有者、過去に同じ街区で境界確認を行った土地の資料から、参考情報が得られることがあります。もちろん、第三者の話だけで境界を確定することはできませんが、古い境界標の位置、過去の工事履歴、道路拡幅の有無、水路の付け替え、塀の築造時期など、現地理解の手がかりになることがあります。境界確定申請では、直接の隣接者だけでなく、周辺資料との整合性も確認しておくと、後の説明がしやすくなります。


資料と現地の照合で大切なのは、分からないことを分からないままにしないことです。登記名義人の住所が古い、地積測量図がない、現地に境界標がない、塀が境界線上にあるか不明、隣地の草木が越境している可能性がある、といった不明点は、早い段階で一覧化しておきます。境界確定申請では、不明点が後工程で突然現れるほど、日程や関係者調整に影響します。空き家隣地では確認に時間を要するため、資料収集の段階で課題を洗い出し、専門家と共有しておくことが実務上の安定につながります。


手順3 所有者や関係者への連絡経路を丁寧に確認する

三つ目の手順は、隣地の所有者や関係者への連絡経路を確認することです。空き家が絡む境界確定申請で最も時間を要しやすいのが、この所有者確認と連絡調整です。現地が無人でも、登記上の所有者住所に通知を送れば連絡が取れる場合もあります。一方で、登記住所に郵便が届かない、所有者が亡くなっている、相続人が複数いる、管理会社や親族が事実上管理しているが権限が不明、といったケースもあります。こうした場合に、焦って独自判断で進めるのではなく、段階を踏んで記録を残すことが大切です。


まず確認すべきなのは、登記上の所有者と住所です。登記事項証明書に記載された所有者へ連絡を試みるのが出発点になります。連絡方法は、文書、電話、訪問などが考えられますが、実務では後から経過を説明できるよう、いつ、誰に、どの方法で、どの内容を伝えたかを記録します。空き家の隣地所有者は、遠方に住んでいたり、土地の管理を親族へ任せていたりすることがあります。そのため、最初の連絡では、境界確定の目的、対象地、立会いをお願いしたい理由、今後の流れ、問い合わせ先を分かりやすく伝える必要があります。


所有者が亡くなっている可能性がある場合は、相続人の確認が課題になります。相続関係の調査は個人情報や権限の問題を伴うため、実務担当者だけで無理に進めず、必要に応じて土地家屋調査士、司法書士、弁護士などの専門家へ相談するのが安全です。境界確認に誰の同意や確認が必要かは、土地の権利関係や手続きの内容によって変わります。相続人の一人だけと話ができたとしても、その人だけで隣地全体を代表できるとは限りません。ここを曖昧にすると、後日別の相続人から確認不足を指摘されるおそれがあります。


空き家には、実際の管理者が存在する場合もあります。近隣に住む親族が草刈りだけをしている、管理を委託された人が郵便物を回収している、売却予定で不動産関係者が窓口になっている、自治体の空き家担当部署が相談を受けているなど、状況はさまざまです。ただし、管理者らしき人がいることと、境界確認に関する権限があることは別です。連絡窓口として話を聞くことは有益でも、正式な確認や書類への署名、代理出席、委任を前提とする場合には、その人がどの範囲の権限を持つかを慎重に確認する必要があります。


所有者に連絡がつかない場合でも、すぐに手続きが完全に不可能になるとは限りません。案件によっては、連絡を試みた経過を整理し、申請先や専門家と相談しながら次の対応を検討します。自治体が関係する境界確定申請では、申請要領や担当部署の運用により、隣接者への通知方法、立会い案内、欠席時の扱い、追加資料の要否が異なることがあります。民民境界の確認では、合意が得られない部分を無理に確定した形にせず、どこまで確認でき、どこが未確認なのかを明確にする判断が必要になる場合があります。


連絡経路の確認では、相手方の不安を減らす説明も重要です。空き家所有者や相続人は、境界確定と聞くと、土地を取られるのではないか、費用を請求されるのではないか、工事に巻き込まれるのではないかと心配することがあります。実務担当者は、境界確認の目的が何で、どのような資料に基づき、どのような現地確認を行い、相手に何をお願いしたいのかを丁寧に伝える必要があります。専門用語ばかりで説明すると、相手は判断できません。図面や写真を使いながら、対象箇所と手続きの範囲を分かりやすく示すことが、協力を得る近道になります。


手順4 立会いと測量の進め方を記録前提で組み立てる

四つ目の手順は、立会いと測量の進め方を記録前提で組み立てることです。境界確定申請では、測量技術そのものだけでなく、現地で誰が何を確認したのかという記録が非常に重要です。隣地が空き家の場合、所有者や相続人が遠方から来ることもあり、立会いの機会を何度も設定しにくいことがあります。だからこそ、立会い当日に確認すべき内容、示す資料、現地で見る境界標、説明する論点を事前に整理しておく必要があります。


立会い前には、測量に必要な現地条件を確認します。空き家敷地の草木が繁茂している、境界付近に残置物がある、塀やフェンスが老朽化している、足元が不安定であるといった場合、測量や立会いの安全に影響します。申請者側の土地から確認できる範囲と、隣地側へ入らなければ確認できない範囲を分けて考えます。隣地内へ入る必要がある場合は、所有者や権限ある管理者の承諾が必要です。無断で立ち入ったり、草木を切ったり、残置物を動かしたりすることは避けるべきです。現地作業の安全と権限確認は、境界確定の信頼性にも関わります。


測量では、既存の境界標だけでなく、周辺の基準点、道路境界、過去の測量成果、隣接する土地の資料との整合を確認します。空き家隣地では、塀や構造物が古く、境界線と一致していない場合があります。古い塀が隣地側または申請者側へ寄って建てられていることもあります。側溝や排水施設も、境界の目安になることはありますが、それだけで境界を確定することはできません。測量結果を既存資料と照合し、差異がある場合は、その原因を検討して説明できるようにしておく必要があります。


立会い当日は、相手方に境界点や境界線を現地で示し、根拠資料をもとに説明します。境界標がある場合は、その位置、状態、周辺構造物との関係を確認します。境界標がない場合は、復元根拠や測量成果、過去資料との関係を説明することになります。ただし、相手がその場で理解しきれないこともあります。特に空き家所有者や相続人は、普段その土地を見ていないため、現地感覚が乏しい場合があります。その場で結論を急がせるよりも、図面や写真を持ち帰って確認できるようにし、疑問点に対応する姿勢が大切です。


欠席者が出る場合の扱いも、事前に考えておく必要があります。相続人が複数いる場合、全員が立会いに参加できるとは限りません。代理人が出席する場合は、代理権限の確認が必要になることがあります。遠方の所有者には、現地立会いの代わりに資料確認や書面での対応を相談する場合もありますが、どの方法が認められるかは案件や申請先、必要な成果物によって異なります。実務担当者は、欠席した人にどのように説明し、どのような確認を得るのかを専門家と相談しておくべきです。


記録の残し方も重要です。立会い日時、出席者、確認した境界点、説明した資料、相手方から出た意見、未解決事項、次回対応を記録します。写真は、境界標の近景だけでなく、周辺の位置関係が分かる遠景も残します。境界点だけを拡大した写真では、後から見たときにどこの写真か分からなくなることがあります。撮影日、撮影方向、対象箇所を整理しておくと、申請書類や後日の説明に使いやすくなります。空き家隣地では、後から新しい所有者や相続人が現れた際に、当時の立会い状況を説明できる資料が特に重要になります。


手順5 申請書類と成果資料を将来説明できる形で保管する

五つ目の手順は、申請書類と成果資料を将来説明できる形で保管することです。境界確定申請は、申請が受理され、協議や確認が終わり、成果書類が整えば完了したように見えます。しかし、実務上はその後の建築、分筆、売買、工事、維持管理、隣地所有者の変更に備えて、資料を分かりやすく残しておくことが重要です。特に隣地が空き家だった案件では、将来、相続人や買主が現れたときに、境界確定の経緯を説明する場面が発生しやすくなります。


保管すべき資料には、申請書、添付図面、測量成果、境界確認書、立会い記録、連絡経過、写真、登記資料、過去資料、申請先との協議記録などがあります。これらを単に一つの保管場所へ入れるだけでは、後から必要な情報を探すのに時間がかかります。いつ、どの境界について、誰と、どの資料をもとに確認したのかが分かるよう、案件単位で整理することが大切です。紙資料と電子データが混在する場合は、ファイル名、日付、版数、最終版の区別を明確にします。


空き家隣地では、連絡経過の記録が特に重要です。所有者へ連絡した日、送付した文書、返答の有無、電話や面談の内容、相続人や管理者とのやり取り、立会い案内の方法、欠席時の対応などを残しておくことで、手続きの透明性を示しやすくなります。境界そのものの成果だけでなく、どのような努力をして関係者確認を進めたのかを説明できることが、将来のトラブル予防につながります。


成果図面の保管では、座標、寸法、境界点番号、基準にした点、作成日、作成者、測量範囲を確認できる状態にしておきます。図面だけを見ても、どの現地写真と対応するのか分からないと、実務では使いづらくなります。境界点番号と写真番号を対応させる、撮影方向をメモする、境界標の種類や状態を記録するなど、後から現場を知らない人でも理解できる工夫が必要です。担当者が異動したり、外部の施工者や設計者へ引き継いだりする場合にも、資料の整理状態がそのまま業務品質に影響します。


申請先との協議内容も残しておくべきです。自治体や関係機関とのやり取りでは、追加資料の指示、立会い日程、確認範囲、図面修正、境界標の扱いなどが発生することがあります。口頭で確認した内容をそのままにせず、記録として残し、必要に応じて関係者へ共有します。担当部署や担当者が変わった場合でも、過去の協議経過が分かれば、同じ説明を繰り返す負担を減らせます。


また、境界確定後に現地で工事を行う場合は、成果資料を施工計画に反映することが重要です。境界線が確認できても、現場の作業員がその位置を正しく把握していなければ、塀、排水、舗装、杭、仮設物などが境界を越えるリスクがあります。図面上の線を現地でどう確認するのか、施工中に境界標を損傷しないようどう保護するのか、完成後に写真でどう記録するのかを決めておくと、境界確定の成果を実務に生かしやすくなります。


空き家隣地の境界確定で失敗を防ぐ実務上の注意点

隣地が空き家の境界確定申請では、通常の案件以上に「決めつけ」を避けることが重要です。まず、空き家だから所有者が関心を持っていないと考えるのは危険です。所有者が遠方に住んでいて現地を見ていない場合でも、相続財産や売却予定地として大切に考えていることがあります。突然の立会い依頼や境界確認書への署名依頼は、相手にとって大きな負担に見えることがあります。丁寧な説明と十分な検討時間を設けることが、結果的に手続きを進めやすくすることにつながります。


次に、古い塀やフェンスを境界と決めつけないことです。空き家の周囲には、築造時期が不明な塀や、所有者同士の便宜で設置された構造物が残っていることがあります。塀があるから境界線もそこにある、側溝があるからその中心が境界である、といった判断は避けるべきです。現地の構造物は重要な手がかりですが、登記資料、測量成果、周辺資料、関係者確認と合わせて判断する必要があります。


また、越境物の扱いにも注意が必要です。空き家の樹木が申請者側へ伸びている、古い雨どいが越境している、ブロック塀の基礎が境界付近にある、排水管の位置が不明であるといった問題は、境界確認と同時に見つかることがあります。ただし、境界確定申請の場で越境物の撤去や補修まで一気に解決しようとすると、協議が複雑になります。まずは境界位置の確認と、越境物の事実関係を分けて整理し、必要に応じて別途協議する姿勢が現実的です。


手続きの期限にも注意が必要です。空き家隣地では、所有者確認、相続人確認、立会い調整、資料送付、返答待ちに時間がかかります。建築や売買の直前になって境界確定申請を始めると、希望する時期に成果が得られない可能性があります。特に、関係者が遠方にいる場合や、相続関係が整理されていない場合は、通常より長めに工程を見込むべきです。早い段階で専門家に相談し、資料収集と連絡準備を並行して進めることが大切です。


さらに、現地作業の安全確保も見落とせません。空き家敷地の周辺では、老朽化した塀、傾いた門扉、崩れかけた擁壁、雑草に隠れた段差、害虫、残置物などが測量や立会いの障害になることがあります。境界確認は屋外で行う実務であり、安全に現地確認できる環境が必要です。危険な場所へ無理に入らず、確認可能な範囲、必要な承諾、作業時の安全対策を整理してから進めます。


最後に、実務担当者だけで抱え込まないことも重要です。境界確定申請には、測量、登記、自治体協議、所有者調査、相続、場合によっては法律判断が関係します。隣地が空き家で連絡先が不明な案件や、相続人が複数いる案件、境界について意見が分かれる案件では、早めに土地家屋調査士などの専門家へ相談するほうが安全です。実務担当者の役割は、すべてを独力で判断することではなく、必要な資料と現地情報を整理し、適切な専門家や関係者へつなぎ、手続きを止めないことです。


まとめ 境界確定申請は早めの資料化と現地記録が鍵になる

隣地が空き家の境界確定申請では、現地に人がいないこと自体よりも、所有者確認、連絡経路、立会い調整、資料整合、記録保管に時間と手間がかかることが課題になります。空き家だから後回しにするのではなく、空き家だからこそ早めに資料を集め、境界確定の目的と対象範囲を整理し、登記情報と現地状況を照合し、所有者や関係者への連絡経過を丁寧に残すことが重要です。


手順としては、まず境界確定が必要な目的を明確にし、どの境界をどの手続きのために確認するのかを整理します。次に、登記資料、公図、地積測量図、過去資料、現地写真、境界標の有無を照合し、隣地情報を固めます。そのうえで、登記上の所有者や相続人、管理者の可能性を確認し、説明しやすい形で連絡を進めます。立会いと測量では、現地の安全、境界標の状態、周辺資料との整合、出席者や欠席者への対応を記録前提で組み立てます。最後に、申請書類と成果資料を将来説明できる形で保管し、後続の建築、分筆、売買、工事、維持管理へつなげます。


境界確定は、線を一本決めるだけの作業ではありません。どの資料を根拠にし、誰と確認し、現地で何を見て、どの範囲まで合意や確認ができたのかを積み上げる実務です。隣地が空き家の場合は、この積み上げをより丁寧に行うことで、申請後の手戻りや将来の説明負担を減らせます。特に現地写真、境界点の位置、測量成果、立会い記録、連絡経過を一体で残しておくことは、担当者が変わった後の引き継ぎにも役立ちます。


現場で境界点や図面情報を確認しながら、写真や位置情報を確実に残したい場合は、測位と現地記録を連携しやすい仕組みを整えることも有効です。境界確定申請そのものは専門家や申請先の要件に沿って進める必要がありますが、現地確認、写真整理、位置の見える化を日常業務の中で効率化できれば、資料作成や関係者説明の質を高めやすくなります。隣地が空き家の案件ほど、早めの資料化と記録の一元管理を意識し、関係者に説明できる状態を整えてから申請や協議を進めることが大切です。


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