BIM/CIMの課題を解決！現場と設計をつなぐLRTKのリアルタイム連携技術

BIM/CIMとは？日本国内での導入状況

BIM/CIMとは、建設プロジェクトのライフサイクル全体で3次元モデルを活用し情報を一元管理する手法です。BIMは主に建築分野で、設計から施工、維持管理まで建物の情報を3Dモデルに集約する技術を指します。一方CIMは、国土交通省が土木インフラ分野で推進するBIMの応用概念で、橋梁や道路、ダムなど土木構造物において3Dモデルを用いて計画・設計・施工・維持管理を効率化する取り組みです。近年、BIM/CIMは業界のDX（デジタルトランスフォーメーション）戦略の一環として注目されており、施工の効率化や品質向上への効果が期待されています。

日本国内では国土交通省の主導によりBIM/CIMの導入が加速しています。2023年度（令和5年）から、国交省直轄の公共工事においてBIM/CIMの原則適用（事実上の義務化）がスタートしました。これは「特段の事情がない限り原則としてBIM/CIMを活用する」という方針で、まず一部の直轄工事・業務で適用が始まり、2024年度以降は地方自治体発注や民間工事にも段階的に拡大されていく予定です。最終的には全ての公共事業でBIM/CIMの活用を義務化する目標が掲げられており、建設業界では対応が急務となっています。また、国交省はBIM/CIM活用のための基準要領やガイドラインを整備し、関連情報をポータルサイトで公開するなど導入支援も進めています。こうした背景から、現在多くの建設・土木企業がBIM/CIMの導入・活用に取り組み始めており、日本の建設現場は大きな変革期を迎えています。

BIM/CIM導入で直面する主な課題

BIM/CIMは画期的な技術ですが、現場への導入にあたってはいくつかの課題に直面します。特に、測量（現地調査）と設計データの齟齬や、現場とオフィス間のリアルタイムな情報連携の難しさ、そしてデータ互換性の不足といった点が大きなハードルとなっています。

• 測量データと設計モデルの齟齬 現地の地形・構造物を計測した測量データと、オフィスで作成した設計用3Dモデルとの間に食い違いが生じるケースがあります。例えば、地形の測量精度と設計モデルの精度の差によって、モデル上で構造物が地面に埋まってしまったり隙間ができたりする不具合が発生することがあります。従来は施工後に測量士が現場で要所を測定し図面と照合することで出来形を確認していましたが、測量データと設計データがリアルタイムに結び付いていないと小さなずれの発見が遅れ、手戻り工事の原因となり得ます。測量結果を設計モデルへ適時反映できない「現場と設計の分断」はBIM/CIM導入時の大きな悩みの種です。

• 現場とのリアルタイム連携の難しさ BIM/CIMモデルを現場で活用しようとしても、現場とオフィス間で情報をスムーズに共有する仕組みが無いと効果を十分に発揮できません。異なる部署や協力会社間で3Dデータや図面のやり取りが滞れば、コミュニケーション不全による誤解や施工ミス、工期遅延を招く恐れがあります。特に現場で得られた最新の測量情報（出来形データや施工進捗など）がリアルタイムに設計・施工管理担当者へ届かないと、意思決定の遅れやデータ更新漏れが発生しがちです。紙の図面やUSBでデータを持ち帰って事務所PCに取り込む、といった従来型のやり方では現場の変化を即座にモデルに反映することはできず、BIM/CIM本来の即応性が損なわれてしまいます。

• ソフト間のデータ互換性・情報共有の問題 BIM/CIMモデルの作成・活用には専用ソフトウェアが必要ですが、各社各分野で使うソフトが異なるためデータ互換性の低さが課題となります。例えば、測量で得た点群データや地形モデルを設計のBIMソフトに取り込もうとしてもフォーマットが合わず手間がかかったり、設計で作成したモデルを施工管理用のシステムに連携しようとしてもうまく情報が引き継げなかったりするケースがあります。「異なるソフト間で互換性のあるBIM/CIMモデル作成」が未だ十分に実現されていないという声もあり、データ連携に試行錯誤が必要なのが現状です。また、BIM/CIMソフト自体が高機能ゆえに操作が複雑で専門人材が限られることも導入ハードルとして指摘されています。

以上のように、BIM/CIMを現場で活用していくには「測量と設計のデータギャップを埋めること」、「現場⇔設計オフィス間をリアルタイムにつなぐ情報共有」、「異種ソフト・機器間でデータが途切れない環境」という3点の課題克服が重要になります。

現場の課題を解決するLRTKとは？

上記の課題を解決し、BIM/CIMの効果を最大限に引き出す現場ソリューションとして注目されているのがLRTKです。LRTK（エルアールティーケー）は、東京工業大学発のスタートアップ企業レフィクシア社が開発したポケットサイズの万能測量ツールで、スマートフォンやタブレットに小型のRTK-GNSS受信機を装着して使用します。これにより、手のひらに収まる機器一つでセンチメートル級の精度を持つGNSS測位（RTK方式）が可能となり、現場でそのまま高精度な位置測定や3Dスキャン、さらには設計データのAR表示までこなせるオールインワンのデバイスです。従来であれば高価な測量機器や熟練の専門知識を要した作業を、LRTKなら誰でも手軽に実施できるように設計されています。この意味で、LRTKは現場のDX（デジタル化）を力強く後押しする画期的ソリューションと言えるでしょう。

LRTK Phone受信機をスマートフォンに装着し、現場で高精度測位・スキャンを行っている様子。計測データはリアルタイムでクラウドに共有され、オフィスに居ながら現況を即時確認できる。

LRTKが実現する最大の特徴はリアルタイム連携です。iPhoneやiPadに装着した超小型RTK-GNSS受信機で取得した位置情報・計測データは、その場でクラウドにアップロードでき、オフィスのスタッフと即時共有可能です。現場で測位したすべての情報はボタン一つでLRTKアプリからWeb上のクラウドに送信でき、離れた事務所側でもウェブブラウザを開くだけで最新の現場データをすぐに確認できます。例えば、LRTKを用いて現場で取得した点群データや高精度の写真測量画像は、その瞬間にクラウド上に保存され、オフィスの設計担当者は自席から現場の最新状況を3Dでチェックできます。これによって「測った情報を持ち帰って図面化し報告書を作成する」といった従来の手間を大幅に省略し、常に最新情報に基づいた判断・設計修正が行えるのです。

もう一つの大きな強みは、その手軽さと即応性です。LRTKは難しい設定や現場での座標合わせを極力不要にするよう工夫されています。スマホに受信機を取り付けて専用アプリを起動すれば、自動で補正情報を取得してRTK測位が始まります。あとは測りたい場所へ歩いて行き、画面の案内に従ってスマホを動かすだけで、点群スキャンで周囲の3Dモデルを取得したり、設計図に基づく位置出し（杭打ち位置のマーキングなど）ができてしまいます。従来の測量では三脚を立ててトータルステーションを据えたり、熟練者が基準点を設定して…といった煩雑な準備が必要でした。しかしLRTKではそうした専門的知識・経験をソフトウェア側が肩代わりしてくれるため、ベテランでなくとも扱いやすく、現場の誰もが高精度データ計測の担い手になれるのです。これは人手不足や技術者高齢化が進む建設業界において、非常に大きな利点と言えます。

さらにLRTKは日本の測位衛星システムである「みちびき」（準天頂衛星）の配信するセンチメートル級補正情報CLASにも対応しており、山間部などインターネット通信が届かない現場でも高精度測位を継続できます。3周波対応の高性能GNSS受信機であるため、基地局がない環境でも安定したRTK測位を実現し、どんな現場でもリアルタイム連携を可能にする設計です。

このようにLRTKは「スマホ＋RTK測位＋クラウド」を組み合わせたソリューションとして、BIM/CIM導入時に直面する様々な課題を現場側から解決に導きます。次章では、LRTKによってどのようにリアルタイムな測量データ取得とBIM/CIMモデルへの即時反映が可能になるのか、もう少し具体的に見てみましょう。

LRTKによるリアルタイム測量データとBIMモデルの即時反映

LRTKを活用することで、現場の「今」を即座にデジタル化しBIM/CIMモデルに反映することができるようになります。例えば、土工現場でLRTK対応スマホを使い盛土や掘削箇所をスキャンすれば、その場で3D点群モデルが生成され自動的に体積が計算されます。測位開始から点群化・体積算出まですべてリアルタイムに完結し、結果は端末画面上に即座に表示されるため、そのデータを基に現場監督者はすぐに施工量の過不足を判断できます。さらに取得した点群データや位置情報付き写真はクラウドにアップロードされるため、オフィス側では最新の出来形データと設計モデルを重ね合わせて確認することが可能です。クラウド上のプラットフォーム上で設計図や3Dモデルと現況の点群を重ねれば、施工中の構造物が設計モデルからずれていないかをリアルタイムにチェックできます。もし一部でも設計と異なる箇所があれば画面上で一目で分かるため、すぐに現場にフィードバックして手直しを指示できるでしょう。従来は施工後に一部を抽出して行っていた出来形検査も、LRTKなら現場全体をデジタルに計測してその都度モデルと照合する包括的検査が可能になります。

また、LRTKによるリアルタイム連携は関係者間の情報共有のスピードと正確さを飛躍的に向上させます。測量データが即座にクラウド経由で共有されることで、発注者・設計者・施工者といったプロジェクト関係者全員が常に「単一の最新版データ」を参照できるようになります。これにより、「現地では図面のここを変更したのに、設計者が旧版モデルを見て指示を出していた」といった認識の齟齬が起きにくくなります。共通のクラウドプラットフォーム上で3Dモデルと現場データが統合管理されるため、部門や企業の垣根を越えてBIM/CIM情報を活用した真のコラボレーションが実現します。まさにLRTKは現場とオフィス、フィジカルとデジタルを橋渡しするリアルタイム連携技術として機能し、BIM/CIMの価値を最大化してくれるのです。

他の測量機器・ソリューションとの比較（価格・操作性・スピード）

LRTKの導入を検討する上で、既存の他の測量機器やソリューションとの比較も気になるところでしょう。価格、操作性、作業スピードの観点から主な違いを整理します。

• 価格面 従来の高精度測量機器（GNSS受信機や3Dスキャナー等）は非常に高額でした。例えば、国内メーカーが発売した高精度GNSS受信機では希望小売価格が約135万円（税込）に設定されるなど、中小企業にとってハードルの高い投資でした。それに対しLRTKは、市販のスマートフォン・タブレットと組み合わせて使えるコンパクト端末であり、従来別々に購入していたGPS受信機＋データコレクタ＋専用ソフトといった複数の機材を一括で代替できます。正式な価格は問い合わせベースとなっていますが、必要機材が格段に少なくて済む点から初期導入コストを大幅に抑えられることが期待できます。高価な専用機器を揃えずとも、手持ちのスマホを活用して測量が始められるのは大きなメリットです。

• 操作性 伝統的な測量機器はセットアップや操作に専門技能を要しました。トータルステーションの据え付け、複数人での測量、専用ソフトの複雑な設定など、熟練者でなければ扱いづらい場面も多々あります。一方LRTKは「誰でも使える」ことを重視した設計になっています。先述のように、スマホに装着してアプリを起動するだけで測位が始まり、ガイダンスに従って端末を動かすだけで測定や杭打ち誘導が行える直感的な操作性です。難解な機能や煩雑な設定項目を極力排し、ソフトウェア側で自動制御・補正を行ってくれるため、非専門家でも即戦力として使いこなせます。現場の作業員が自分のスマホで測量・チェックをできるようになることで、これまで測量専門部署への依存が高かった業務もスムーズに現場内完結できるようになります。

• スピード 測量から設計反映までのスピードも大きく向上します。従来法では、現場で測ったデータを持ち帰ってPCで処理し、図面やモデルに反映させるまでに数日～数週間かかることも珍しくありませんでした。しかしLRTKなら現場で測った瞬間に成果が得られ、そのままクラウド経由で共有・反映できます。例えばある現場では、半日かかっていた墨出し作業（位置出し）がLRTK＋ARの活用で短時間で完了し、人為ミスも大幅に減少したという報告もあります。リアルタイムで座標計測し、その結果を即モデル上で検証するというサイクルを現場で回せるため、意思決定や手戻り修正のスピードが飛躍的に上がるのです。ひいては工期短縮や夜間作業削減にもつながり、安全性・生産性の向上が期待できます。

以上のように比較すると、LRTKは低コストで導入でき、操作が簡単で、結果が早いという三拍子揃った強みを持っています。他の最新測量技術（例：ドローン空撮や高性能3Dスキャナー）とも組み合わせて使うことで、広範囲の地形計測から細部の施工管理までオールラウンドにカバーできる柔軟性も備えています。まさに“小さなデバイスで大きな成果”をもたらすソリューションと言えるでしょう。

BIM/CIMの未来展望とリアルタイム技術の重要性

BIM/CIMの普及が進むにつれ、リアルタイム技術の重要性はますます高まっています。背景には、建設業界全体が抱える生産性向上や人材不足の課題があります。限られた人員でも高品質な施工を行うためには、デジタル技術をフル活用して効率化を図る必要があります。国土交通省が提唱するi-ConstructionやコンストラクションDXの施策でも、ICT活用による省力化と高度化が柱となっており、現場の自動化・リアルタイム化は避けて通れない流れです。

特に、日本の建設現場では高齢化や担い手不足が深刻で、「人手不足や熟練技術者の減少」が叫ばれています。こうした状況下で、生産性を飛躍的に高めるカギとなるのがBIM/CIMとリアルタイム測位・計測技術の連携です。点群データ＋RTK測位＋CIMモデルを組み合わせれば、施工プロセスの効率化や品質向上、コスト削減が可能になることが実証されつつあります。実際、デジタル計測と3Dモデルを活用することでこれまで人力に頼っていた作業を省力化し、しかも精度と信頼性を高めることができます。リアルタイムで現場と設計の情報を同期できれば、設計変更への迅速な対応、出来形の即時検査、施工の自動記録など、施工管理・維持管理の在り方自体が革新されるでしょう。

今後、公共工事のみならず民間の建築・土木プロジェクトでもBIM/CIM活用は一般化していくと見込まれます。それに伴い、「デジタルツイン」と呼ばれる実空間と同期した仮想空間の活用も進むでしょう。リアルタイム連携技術はこのデジタルツイン実現の土台であり、現場のセンサーや測位機器から集まる最新情報をリアルタイムにBIM/CIMモデルへ反映することで、文字通り今この瞬間の現場の双子（ツイン）をデジタル空間に出現させることができます。これによって遠隔地からの監視・指示やAIによる自動解析・フィードバックも可能となり、施工の自動化・無人化への道も拓けてきます。

LRTKのようなリアルタイム高精度測位デバイスは、こうした未来の建設現場になくてはならない存在となるでしょう。小規模な現場から大規模プロジェクトまで、リアルタイムで正確な現場データを得られるかどうかが、プロジェクト成功の分かれ目になるかもしれません。BIM/CIMでせっかく高度なデジタルモデルを作っても、現場でそれを活かせなければ意味がありません。逆に、現場とモデルが常に同期している状態を作り出せれば、施工プロセス全体のムダやミスを劇的に削減できるのは想像に難くありません。リアルタイム連携技術は、BIM/CIMの真価を引き出すエンジンとして、今後ますます重要度を増していくでしょう。

まとめ：LRTKで始める手軽な測量体験

BIM/CIM時代の新たな現場ツールとして登場したLRTKは、「現場と設計の橋渡し役」として多くの課題を解決しうることを見てきました。最後に、その魅力を端的に表すエピソードをご紹介しましょう。

ある土木現場で盛土の出来形確認を行った際、担当者は従来ならトータルステーションで数十点を測って断面図を作成し、体積計算するのに半日以上を費やしていました。ところがLRTKを導入したところ、スマホを持って盛土上を歩き回るだけで3Dモデルが自動生成され、わずか数分で盛土量が算出できてしまいました。データは即クラウドで共有されるため、オフィスの技術者もリアルタイムに結果を確認し、「設計どおりの高さになっているね」と即座に合意形成できたのです。担当者は「まるでゲームのように直感的だったが、結果は驚くほど正確で報告書作成もほぼ自動化できた」と語っています。LRTKによって、これまで専門知識が必要だった測量作業が驚くほど身近で簡単な体験へと変わるのです。

BIM/CIMの導入効果を最大化するには、現場のDXが欠かせません。そしてDXを実現するための鍵がリアルタイム連携技術の活用です。「百聞は一見に如かず」と言われますが、百の報告書よりも現場の“今”をそのまま共有できる仕組みこそが、真の生産性向上に直結します。もし皆さんの現場で、「設計と現場の食い違いを減らしたい」「測量作業を効率化したい」「最新の施工状況を即座に把握したい」と感じているなら、ぜひLRTKによるスマート測量を体験してみてください。スマホひとつで始められる手軽さながら、その効果は現場の常識を覆すほど大きいはずです。

BIM/CIMの時代において、現場と設計をリアルタイムにつなぐ技術はもはや飛び道具ではなく必需品となりつつあります。LRTKはその代表格として、あなたの現場を次のステージへ進化させる力を持っています。未来の建設現場では、デジタルとリアルがシームレスに融合し、誰もが的確な判断を即座に下せるようになるでしょう。その第一歩として、LRTKで始めるリアルタイム測量をぜひ前向きに検討してみてください。現場と設計がつながることで生まれる新たな価値を、きっと実感できることでしょう。