top of page

BIM初心者必見:導入成功のための7つのポイント

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均4分で読めます
万能の測量機LRTKの説明

BIM(Building Information Modeling)は、建物の設計から施工、維持管理まで建築情報を一元管理する革新的な手法です。近年、建設業界ではBIMの導入が急速に進んでおり、国土交通省が公共事業でのBIM/CIM活用を原則化するなど、業界全体でBIMを取り入れる流れが強まっています。今やBIMは避けて通れないキーワードとなっており、多くの企業やプロジェクトが導入を検討しています。


とはいえ、これからBIMを始める初心者にとっては「本当に業務効率が上がるのか?」「何から手を付ければ良いのか?」「導入したらかえって仕事が増えるのでは?」といった不安も多いでしょう。実際、BIMを使いこなすには従来の図面作成とは異なるアプローチが必要で、準備不足のまま飛び込むと効果を実感できず挫折してしまうケースもあります。


そこで本記事では、BIM初心者が導入を成功させるために押さえておきたい7つのポイントを解説します。BIM導入にあたり事前に準備すべきことや、運用で失敗しないためのコツを具体的にまとめました。ぜひ参考にして、BIM活用の一歩を踏み出してみましょう。


1. 導入の目的と目標を明確にする

BIMを導入する前に、まず何のために導入するのかを社内で明確にしましょう。どんな課題を解決したいのか、どう業務を改善したいのか、導入の目的や目標を具体的に定めることが重要です。なんとなく流行だからと始めてしまうと、「結局何が良くなったのか分からない」という事態に陥りかねません。社内で現在抱えている問題点を洗い出し、BIMでどのように改善できるかを整理してみてください。


特にBIM導入で期待できる効果には、例えば次のようなものがあります。


設計の品質向上:3Dモデル上で干渉チェックやシミュレーションを行うことで、図面では見落としがちな設計ミスや後戻りを削減できる

合意形成の円滑化:立体的な完成イメージを共有できるため、施主や関係者への説明が容易になり、認識のズレによるトラブルを防ぎやすい

情報共有と作業効率の改善:図面や仕様情報が単一のモデルに集約されることで、変更時の整合性確保やデータ共有がスムーズになり、重複作業を減らせる


こうした目的をあいまいにしたまま導入すると、現場では誰も使わないBIMモデルだけが作られてしまう可能性があります。場合によっては、無理にBIMを導入しなくても別の手段で解決できる課題もあるでしょう。自社だけで判断が難しければ専門のコンサルタントに助言を求めるのも一案です。いずれにせよ、導入目的の整理に際しては現場の設計者など実務者の意見を必ず取り入れ、全員で共通認識を持つことが大切です。


2. 経営層のコミットメントとBIM推進体制

BIM導入を成功させるには、現場任せにせず経営層の強いコミットメントと支援が不可欠です。会社としてBIM推進の意思を明確に示し、トップダウンで必要なリソースを投入しましょう。まずは導入プロジェクトを統括するBIMマネージャー(BIM推進担当者)を指名し、社内の体制を整備します。可能であれば専任の担当者を置き、導入計画の立案や各部署との調整、メンバーの育成まで集中して取り組めるようにすると理想的です。BIMマネージャーが旗振り役となり、チーム全体を牽引することで導入プロジェクトを円滑に進められます。


経営陣はまた、BIM導入に伴う時間的・人的コストをしっかり確保する責任があります。例えば、設計者がBIMを学習する時間を業務内で確保できるよう、プロジェクトのスケジュールや人員配分を見直すといったサポートが必要です。通常業務で手一杯の現場に「追加でBIMも覚えろ」と言うだけでは、担当者に大きな負担がかかり定着しません。上層部が学習期間の設定や研修参加の後押しを行い、現場が安心してBIMに取り組める環境を作りましょう。また、経営層自身もBIM導入の意義と目標を十分に理解し、進捗を定期的にチェックして支援する姿勢が重要です。トップダウンの後押しと現場の協力体制が揃ってこそ、社内にBIMが根付き成果を上げることにつながります。


3. 現行業務フローの整理

BIMを導入する前提として、自社の現行業務フローを整理・可視化しておきましょう。従来の設計・施工プロセスが不明確なままだと、BIM導入後に都度行き当たりばったりで対処することになり、部分的な改善策を講じてもかえって泥沼化してしまう恐れがあります。そうならないよう、まずは現状の業務手順や情報の流れを洗い出し、問題点を整理することが重要です。


具体的には、「どのプロジェクトフェーズでどの程度までBIMを活用するか」「自社が担当している業務範囲はどこまでか」「扱う建物の用途・構造・規模はどのようなものが多いか」「外部協力会社との役割分担はどうなっているか」といった点を一度棚卸ししてみます。BIM導入を機に、これまで曖昧だった業務フローを明確化できれば、それだけでも大きな収穫です。その上で、プロセス全体を俯瞰して「ここをBIM化すれば効果が高い」というポイントを見極め、優先順位を付けて導入計画に反映させると良いでしょう。事前に全体像を把握しておけば、導入後に「結局BIMを使っても楽にならない」といったミスマッチを防ぐことができます。


4. 適切なBIMツールの選定

自社に適したBIMソフトウェアやツールを選ぶことも成功への重要なステップです。現在、建築設計向けや施工管理向けなど様々なBIMソフトが提供されていますが、それぞれ操作性や得意分野、対応できる分野に違いがあります。導入目的や業務内容に照らして、最もフィットするツールを選定しましょう。例えば、意匠設計が主体なら意匠デザインに強いソフトを、設備設計まで含めるなら設備系に対応したソフトを検討する必要があります。また、ソフトごとにライセンス費用や必要となるハードウェアスペックも異なるため、コストや運用面も含めて総合的に判断します。


選定時には以下のポイントをチェックすると良いでしょう。


機能と用途の適合性:建築設計、構造, 設備, 土木など、自社が主に扱う分野の機能を十分に備えているか

データ互換性:他社や協力会社とのデータ交換が発生する場合、標準フォーマット(IFCなど)への対応や他ソフトとの互換性が確保されているか

サポート体制:日本語でのサポートやトレーニングサービス、ユーザーコミュニティが充実しているか。困ったとき相談できる環境があるか

導入コスト:ソフトの購入費用やサブスクリプション料金が予算に見合うか。台数分用意する際の費用対効果は適切か


さらに、BIMソフトを動かすためのハードウェア環境も整備が必要です。3Dモデルを扱うBIMではデータ量が膨大になるため、高性能なPCや十分なグラフィック性能、ストレージ容量が求められます。ソフトの推奨スペックを確認し、必要ならワークステーションの導入やネットワーク環境の強化も検討しましょう。可能であればトライアル版で操作感を試したり、他社の活用事例を調査したりして、自社に最適なツール選びに時間をかけることをおすすめします。


5. 人材育成と学習サポート

BIM導入の成否は、最終的にはそれを扱う人材のスキルにかかっています。新しいツールとワークフローを定着させるには、社員への計画的な教育・研修が欠かせません。BIMソフトの基本操作トレーニングはもちろん、BIMの概念や運用方法について体系的に学べる機会を設けましょう。例えば、ソフトウェア提供元が開催する講習会やオンライン講座への参加、外部講師を招いた社内研修、eラーニング教材の活用など、様々な手段があります。社内に経験者が少ない場合は、BIM導入支援のコンサルタントやコミュニティを活用するのも有効です。


特にBIM初心者にとっては, 従来の2D CADとの発想の違いに戸惑うことが多いため、初期段階でしっかり学習支援することが大切です。個人任せの独学では膨大な機能を前に挫折してしまうケースも少なくありません。会社としてOJTを含む育成計画を策定し、段階的にスキルを習得させていきましょう。例えば、最初の2ヶ月で基礎研修を行い、その後3〜4ヶ月間は実際のプロジェクトで先輩と一緒にBIMモデリングを経験するといった流れです。また、「業務が忙しくて勉強する時間がない」という事態にならないよう、前述の通り上長や経営層が学習時間の確保を後押しすることも不可欠です。社員のスキルアップなくしてBIM導入の成功はあり得ない、という認識で腰を据えて人材育成に取り組みましょう。


6. BIM運用ルール・標準の整備

BIMを組織で活用するには、社内の運用ルールや標準を確立しておく必要があります。複数のメンバーが同じモデルを扱う以上、各自が好き勝手なやり方で作図するとデータが混乱してしまいます。そうならないよう、導入前にチーム全員が従うべき共通ルールを策定しましょう。例えば, 要素のネーミング規則やレイヤー・属性情報の付与ルール, 図面や書類の出力形式, ファイルの保存場所やバージョン管理の方法などです。プロジェクト開始時にBIMマネージャーを中心にこれらを取り決め、ドキュメント化して周知徹底することで、運用がスムーズに進みやすくなります。


また、従来のやり方への固執を見直すことも大切です。各社には長年培ってきた図面の様式や社内フォーマットがあると思いますが、BIMでそれを完全に再現しようとすると過剰な手間がかかる場合があります。BIMモデルから必要な情報を引き出すこと自体に重きを置き、「出力する図面の見た目はある程度標準仕様に合わせる」という柔軟さも持ちましょう。要は、何を伝えたい図面なのか目的を明確にし、BIMソフトの標準機能で無理なく表現できる範囲でまとめるのが望ましいということです。例えば図面の装飾や細かな表現にこだわりすぎると、モデルを作り込む労力が増えて本末転倒になりかねません。効率的なアウトプットが得られるよう、自社のフォーマットも必要に応じてアップデートしていきましょう。


情報管理の方法についても、BIM導入前に一考が必要です。BIMでは3次元モデル+付随情報を扱うため、従来より圧倒的に情報量が増大します。この大量のデータを扱いきれず、結局一部は2D図面で修正、別途Excelで管理…などと場当たり的に対応すると、モデルと図面の不整合が生じて混乱する原因になります。そうならないために、フロー整理の段階で「どの情報をモデルに持たせ、どの情報は別途資料で管理するか」「どの段階まで詳細にモデル化するか(LODの水準)」といった方針を立てておきましょう。すべてを盛り込まず、プロジェクトの目的に応じて適切な簡略化や情報の取捨選択を行うことがポイントです。


さらに、BIMを導入しても完全に2D図面が不要になるわけではない点に注意しましょう。詳細図や納まり図など、一部は2Dで作図した方が効率的なケースもあります。その場合は、BIMモデルと2D図面をどのようにリンクさせて管理するかルールを決めておきます。例えば, 詳細図は2Dで描いて図面番号やIDでモデル内の要素と対応付けておく、といった具合です。ただし二重管理で手戻りが起きないよう、更新フローを明確に定義しておく必要があります。BIMと従来手法の併用を前提に、整合性を保ちながら運用できる仕組みを整えることが肝心です。


7. 小規模導入から段階的に拡大する

最後に, BIMはスモールスタートで段階的に導入するのが成功の近道です。いきなり全社の全プロジェクトに一斉適用しようとせず、まずは手掛けやすい範囲から試行することをおすすめします。例えば, 比較的シンプルな小規模案件や基本設計段階の業務で、モデル作成と図面出力を試してみましょう。このパイロットプロジェクトを通じて実務上の課題や問題点を洗い出し、前述の運用ルールやワークフローを必要に応じて修正します。小さな成功体験を積み重ねながら、適用範囲を徐々に広げていくことで、無理なく社内にBIMを浸透させることができます。


各社の状況にもよりますが, まずは「基本設計レベルでBIMを活用する」ことを目標に掲げ、次に「実施設計レベルまで適用拡大する」といった段階的なアプローチが効果的です。実際、半年ほどの導入期間で基本設計の図面出力までBIMでこなし、その後1年かけて詳細図作成や施工段階の活用へと進めた例もあります。一気にすべてをBIMで完結しようとするのは理想的ですが, 現場では各フェーズごとに要求される情報や精度が異なるため、設計用モデル・施工用モデル・維持管理用モデルと分けて運用する柔軟さも必要です。まずは自社で効果を出せる部分からBIM活用をスタートし、成果を検証しながら次の段階へとスライドしていきましょう。着実に実績を積むことで社内の理解も深まり、結果的にBIM導入のスピードを加速させることができます。


おわりに

BIM導入を成功させるための7つのポイントを紹介しました。準備から運用まで多岐にわたる取り組みが必要ですが、一つ一つ着実に押さえていけば、BIMはきっと業務効率化や品質向上に大きく貢献してくれるはずです。最初は試行錯誤の連続かもしれませんが、社内にノウハウが蓄積されれば、設計・施工プロセスの抜本的な改革につながり、次世代の建設DXをリードする存在となるでしょう。


また, BIMの効果を最大化するには、関連する最新テクノロジーの活用も見逃せません。例えば, 現場の測量・計測には [LRTKによる簡易測量](https://www.lrtk.lefixea.com/) を導入することで、特別な高額機材がなくてもスマートフォンで手軽にセンチメートル精度の位置情報を取得できます。こうしたツールを使えば、現場の正確なデータを迅速にBIMモデルに反映でき、設計と施工のすり合わせが格段に効率化します。


最新技術もうまく取り入れつつ、自社に合った形でBIMを活用してみてください。BIM導入の旅路は決して平坦ではありませんが、その先には新たな価値創出と競争力強化のチャンスが広がっています。この記事を参考に、ぜひBIMによる建設プロジェクトの革新にチャレンジしてみましょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page