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なぜ今BIMが必要?建設プロジェクトを成功に導く5つの理由

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建設業界では近年、BIMという言葉が急速に浸透しています。BIMとは *Building Information Modeling* (ビルディング・インフォメーション・モデリング)の略称で、建築物やインフラの情報を3次元モデル上で一元管理・共有する手法です。なお、土木分野では同様の概念を*CIM*(Construction Information Modeling)と呼び、日本では建築と土木をあわせてBIM/CIMとして一体的に推進する動きが見られます。従来の2次元図面中心の業務とは異なり、BIMでは建物の形状に加えて部材の仕様や数量、工程やコストなどあらゆるデータをデジタルなモデルに組み込んで扱います。その結果、プロジェクトに関わる関係者全員が同じモデルを参照しながら計画・設計・施工を進めることが可能となり、様々な面で従来にはない効果を発揮します。


こうしたBIMの活用は、建設プロジェクトの成功に直結する重要なポイントとなりつつあります。特にここ数年で国土交通省をはじめ行政主導の推進策が相次ぎ、業界全体でデジタル変革(DX)の波が押し寄せています。まさになぜ今、BIMが必要なのか?という問いが多くの現場で聞かれるようになってきました。本記事では、その答えとなる建設プロジェクトを成功に導く5つの理由について解説します。


1. 業務効率の向上とコスト削減

BIMを導入する最大のメリットの一つが、業務全体の効率化とコスト削減です。3Dモデルを活用することで、設計から施工までのプロセスを大幅に最適化できます。従来は設計図や施工図の作成に多大な時間がかかり、図面間の不整合による手戻りも発生していました。BIMならこれらをデジタル上で事前に検証できるため、無駄な作業ややり直しを減らすことが可能です。結果としてプロジェクト全体の工期短縮やコスト圧縮につながります。


具体的には、BIMを活用することで以下のような効果が得られます。


干渉チェックによる手戻り削減:建築・構造・設備など各分野の3Dモデルを重ね合わせて干渉(クラッシュ)チェックを行うことで、設計段階で図面の不整合や衝突を発見できます。施工に入ってから部材が他と干渉して施工できないといったミスを防ぎ、後戻り工事の発生を抑制します。

施工シミュレーションによる工程最適化:BIMモデル上で施工手順をシミュレーションし、クレーンの配置や資材搬入の順序を検討できます。これにより工程計画を最適化し、現場での段取り時間を短縮できます。工期の短縮はひいては人件費や仮設費用の削減につながります。

正確な数量集計とコスト算出:モデルに部材情報が紐付いているため、材料や部品の数量を自動で集計可能です。そのデータを基に正確な積算やコストシミュレーションができるため、予算管理の精度が向上します。余分な発注や材料ロスを減らし、コスト削減に貢献します。


このようにBIMは、プロジェクトのあらゆる場面で効率化を促し、コスト面でも大きなメリットをもたらします。限られた人員や予算で成果を最大化するための強力な手段と言えるでしょう。


2. 情報共有とコミュニケーションの円滑化

建設プロジェクトは多くの関係者が協働するチーム作業です。発注者(施主)・建築士・施工者・設備業者など、それぞれ異なる立場の人々が関与する中で、情報共有のミスや行き違いが生じるとプロジェクトに支障をきたします。BIMを導入すれば、関係者全員が共通の3Dモデルとデータに基づいてコミュニケーションできるため、情報共有が格段にスムーズになります。


従来は設計変更の度に図面を修正し関係者へ配布するといった手間が発生していましたが、BIMではデジタルモデルを更新すれば最新情報が即座に共有されます。また、平面的な図面だけでは伝わりにくかった完成イメージも、3Dモデルを用いれば施主や現場担当者に直感的に伝えることができます。これによって聞いていた話と違うといった認識の食い違いを防ぎ、合意形成を円滑にする効果があります。


BIMを活用した情報共有の具体例として、次のような点が挙げられます。


リアルタイムな図面修正共有:設計内容の変更が生じた際、BIMモデル上で修正すれば自動的に関連図面や数量が更新されます。そのモデルデータをクラウド経由で共有すれば、地理的に離れたチームでも即座に最新情報を閲覧可能です。メールで図面を送付したり、古い版の図面が混在するリスクを減らせます。

3Dモデルによる合意形成:施主との打ち合わせ時にBIMモデルを画面に映し出し、建物の内観や外観を360度見せながら説明できます。施主は完成後の姿を具体的にイメージできるため、要望の聞き取りやデザイン確認がスムーズになります。口頭や2D図面だけでは伝わりづらかったニュアンスも共有しやすくなります。

課題の早期発見と共有:モデル上で検討を進める過程で、設計上の不備や施工上の課題が見つかった場合、その箇所をモデル上にマークしたりコメントを付けたりして関係者に共有できます。問題点を早期に共有・協議できるため、対応策の検討が前倒しで可能となり、致命的なトラブルを未然に防げます。


実際に、沖縄県で進められた首里城再建プロジェクトではBIMを用いて「首里城デジタルツイン」が構築され、工事関係者間や来訪者との情報共有に活用されました。デジタルモデルが共通基盤となることで、関係者全員の共通理解が深まり、プロジェクトを円滑に進める一助となった例と言えます。


このようにBIMは共通言語として機能し、チーム内外のコミュニケーションロスを最小限にします。情報伝達のスピードと質が向上することで、プロジェクト全体の生産性と信頼性が高まるでしょう。


3. 設計・施工の品質向上とリスク低減

BIMの活用によって、設計や施工の品質を大きく向上させることができます。デジタルモデル上で事前に綿密な検討を行うことで、現場でのミスや品質不良を減らし、完成物の出来栄えを高められます。また計画段階で潜在リスクを洗い出しておけば、安全管理や工程管理の面でもトラブルを未然に防止できます。以下にBIMが品質と安全にもたらす具体的な効果を示します。


設計段階での品質確保:図面の不整合や要素間の干渉を事前に発見・解消し、可能な限り一回で正しく作ることが可能になります。例えば、鉄骨と配管の取り合いを3D上で検証してクリアランスを確保しておけば、現場で配管が通らず付け直すといったやり直しを防げます。細部まで整合の取れた設計は、そのまま施工品質の向上につながります。

安全シミュレーションによるリスク低減:施工フローを4Dシミュレーション(時間軸を含めたモデル化)することで、危険な箇所や作業を事前に洗い出して対策を講じることができます。例えば、高所作業の手順やクレーンの旋回範囲をモデル上で確認し、潜在的なリスクに先手を打っておけば、現場での事故やヒヤリハットを減らせます。BIMを活用した安全計画により、品質と安全の両立したプロジェクト運営が実現できるでしょう。


4. 維持管理への活用とライフサイクル最適化

建設プロジェクトの成功は、引き渡しまでで終わりではありません。竣工後の建物やインフラを長期にわたって有効活用し、維持管理コストを最適化していくことも重要です。BIMは完成後の維持管理(FM: ファシリティマネジメント)の段階でも大きな価値を発揮します。施工時に作成した詳細なデジタルモデルを活用することで、ライフサイクル全体を見据えた資産管理が可能となるのです。


例えば、BIMモデルには建物の各部材や設備の属性情報(メーカー、型番、耐用年数、メンテナンス履歴など)を紐付けておくことができます。これにより竣工後、建物オーナーや管理者はモデルを参照するだけで点検・修繕の必要箇所や時期を把握できます。以下にBIMが維持管理に貢献する例を示します。


設備の予防保全と故障予測:設備機器の稼働年数や点検履歴をモデル上で管理することで、故障の予兆を把握したり計画的な部品交換が可能になります。BIMモデルをデータベースとして活用し、老朽化した部材を一覧管理すれば、突然の設備停止といったリスクを低減できます。

改修工事の計画最適化:リニューアルや増改築を行う際も、既存構造や配管経路などをモデルで把握できるため計画が立てやすくなります。現況モデルを基に改修案をシミュレーションし、工事範囲や必要コストを的確に算出できます。事前にシミュレーションを行うことで、改修プロジェクトの無駄を省き効率的な工事を実現できます。

ライフサイクルコストの低減:建物やインフラの寿命全体を見据え、いつどこにどれだけコストをかけるべきか最適に判断できるようになります。例えば、10年間で交換が必要な設備はあらかじめ予算計画に盛り込み、無駄な緊急補修を減らすといった戦略が立てられます。BIMによる見える化で長期的な資産価値の維持が期待できます。

環境性能の最適化:3Dモデルを用いた環境シミュレーションにより、建物の省エネルギー性能や環境負荷を事前に検証できます。設計段階から断熱性能や設備計画を最適化することで、運用時のエネルギー消費やCO2排出を削減し、長期的なランニングコストと環境負荷の低減につなげることが可能です。


このようにBIMは建設から維持管理まで情報を一貫して活用することで、建物・構造物のライフサイクル全体を通じたコスト最適化と価値向上をもたらします。プロジェクト完了後もデジタルデータが生き続けるため、オーナーにとっても大きなメリットとなるでしょう。


5. 業界全体のDX動向と競争力の確保

最後に、なぜ今BIMが必要なのかという問いに答える上で押さえておきたいのが、業界全体のデジタル化の潮流とそれに伴う競争環境の変化です。建設業界は今まさに大きな転換期を迎えており、国や行政も生産性向上と働き方改革の切り札としてBIM等のICT活用を強力に推進しています。企業にとってもデジタル技術への対応は死活的に重要な課題となっています。こうした背景には主に次のような要因が挙げられます。


政策によるBIM推進:国土交通省は*i-Construction*や*インフラDX*の旗振りの下、公共事業へのBIM導入を強力に推進しています。2023年度から直轄工事でBIM/CIMの活用が原則化され、2027年度には全ての公共事業でBIM/CIM利用が義務化される予定です。既に多くの大手・中小建設会社がこれを見据えてBIMに本格着手しており、業界全体で対応が加速しています。

労働環境の変化:建設業界では人手不足や技術者高齢化が深刻化する中、2024年4月から時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)が適用され、従来の長時間労働に頼る働き方が難しくなります。限られた人員で業務を回すには生産性向上が不可欠であり、BIMなどデジタル活用はその切り札となり得ます。効率化が進まなければ今後のプロジェクト遂行や受注にも支障が出るため、各社ともDX推進に本腰を入れています。

顧客ニーズと競争力:発注者側でもBIMによる可視化・情報共有のメリットが認知され始めており、プロジェクトでBIM活用を条件とするケースが増えてきました。また海外ではBIM活用が既に標準となっており、グローバルに事業展開する上でもBIM対応は避けて通れません。BIMが新たな常識になりつつある今、導入に出遅れることは大きな機会損失となりかねません。逆にいち早くBIMを取り入れて活用できる体制を整えることが、今後の競争力を維持・強化する鍵となるでしょう。


このように、BIM導入の必要性は個々のプロジェクト内のメリットに留まらず、業界全体の大きな変革によって一段と高まっています。まさに今BIMを使わずしていつ使うのかという状況が訪れていると言えるでしょう。


まとめ

ここまで見てきたように、BIMがもたらすメリットは設計・施工段階から竣工後の維持管理に至るまで多岐にわたります。プロジェクトの効率化や品質向上、関係者間の円滑な情報共有、さらに長期的な資産価値の向上など、BIMの導入効果は建設プロセス全体を通して発揮されます。加えて、業界を取り巻く環境変化に適応し企業の競争力を維持する上でも、BIM活用は避けて通れない流れとなっています。こうした理由から、今まさにBIMが必要とされているのです。


もっとも、BIMを効果的に導入するには、現場の正確な情報をいかにデジタル化して取り込むかが重要です。そこで近年注目されているのが、LRTKによる簡易測量という新たなソリューションです。LRTK (エルアールティーケー) は手のひらサイズの高精度測位デバイスをスマートフォンに装着し、誰でも手軽に測量ができるようにした画期的なツールです。難しい専門知識がなくてもボタン一つで数センチ精度の位置情報を取得でき、取得データは即座にクラウド上にアップロードして共有できます。従来は専門の測量技術者が時間をかけて行っていた現場測量を、LRTKなら現場担当者自身が短時間で済ませることも可能です。例えば建設予定地の地形データや周辺環境をLRTKでサッと計測し、その点群データや測点情報をBIMモデルに取り込めば、現況を正確に反映した計画立案がよりスピーディーに行えるようになります。BIMと現場測量技術の融合により、デジタルとリアルの連携が一段と強化されるでしょう。


こうしたデジタル技術の融合により、建設現場のDXは今後さらに加速していくでしょう。


BIMの導入は一朝一夕に完了するものではありませんが、まずはできる部分からデジタル化を進めてみることが肝心です。例えばLRTKによる簡易測量を現場で試してみることで、BIM時代のスマートな業務プロセスを実感できるかもしれません。小さな一歩からでもデジタル技術を取り入れていくことで、将来的にBIMの本格導入へスムーズに移行できるでしょう。BIMを賢く活用し、建設プロジェクトの成功率を高めていきましょう。


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