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ARで危険物保管場所を見える化する6つの安全確認

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この記事は平均7分30秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

ARで危険物保管場所を見える化する目的

安全確認1 保管場所と立入範囲を現場で一致させる

安全確認2 危険物の種類と保管条件を誤解なく示す

安全確認3 避難経路と消火設備の位置を重ねて確認する

安全確認4 搬入搬出時の動線と接触リスクを把握する

安全確認5 日常点検と異常時対応を記録に残す

安全確認6 教育と引き継ぎで見える化を定着させる

AR活用を安全管理の仕組みに組み込むポイント

まとめ


ARで危険物保管場所を見える化する目的

危険物保管場所の安全管理では、図面や台帳に書かれている内容と、実際の現場で作業者が見ている状況を一致させることが重要です。保管棚、容器、区画線、換気設備、消火設備、立入禁止範囲、搬入動線などは、書類上では整理されていても、現場では一目で理解しにくい場合があります。特に、複数の資材や薬品、燃料、廃棄物、工具、仮設物が近接している現場では、危険物の保管場所が周囲の物に埋もれ、注意すべき範囲が曖昧になりやすいです。


ARは、現実の空間にデジタル情報を重ねて表示できる技術です。危険物保管場所に活用すると、現場に立った状態で、保管区画、注意事項、点検項目、避難方向、消火設備の位置などを直感的に確認しやすくなります。紙の掲示や平面図だけでは伝わりにくい位置関係を、実際の視界に重ねて確認できるため、経験の浅い作業者や応援で入る作業者にも情報を伝えやすくなります。


ただし、ARを導入すれば自動的に安全になるわけではありません。危険物の管理では、法令、社内基準、現場ルール、作業手順、点検記録、教育訓練などを総合的に整える必要があります。ARはその中で、情報の見落としを減らし、確認行動を支援する道具として位置づけることが大切です。表示内容が古い、現場の実態とずれている、確認すべき項目が多すぎる、誰が更新するか決まっていないといった状態では、かえって混乱を招くこともあります。


この記事では、ARで危険物保管場所を見える化する際に確認したい6つの安全確認を、実務担当者向けに整理します。工場、倉庫、建設現場、研究施設、メンテナンス拠点など、危険物や危険性のある資材を扱う現場では、保管場所を正しく示すことが安全管理の出発点になります。ARを単なる表示技術としてではなく、現場の判断を助ける安全管理の仕組みとして活用する視点で考えていきます。


安全確認1 保管場所と立入範囲を現場で一致させる

最初に確認したいのは、危険物の保管場所と立入範囲が、現場の実態と正しく一致しているかどうかです。図面や台帳では保管場所が明確でも、現場では棚の移動、仮置き資材の増加、通路幅の変化、作業区画の変更などによって、当初の想定と異なる状態になっていることがあります。ARで見える化する前に、まず現在の保管位置、床面表示、区画線、扉、通路、周辺設備を確認し、表示すべき範囲を正確に決める必要があります。


ARで保管場所を表示する場合、単に容器や棚の位置にラベルを出すだけでは不十分です。どこまでが保管区画なのか、どこから先は関係者以外が近づかない範囲なのか、どの通路をふさぐと危険なのか、周囲に置いてはいけない物は何かといった情報を、空間として示すことが重要です。現場作業者は、文字だけでなく距離感や境界を見ながら判断します。AR上で半透明のエリア表示や境界線を重ねることで、立入制限や保管範囲を理解しやすくなります。


特に注意したいのは、仮置きと正式な保管場所の混同です。忙しい現場では、一時的に置いた容器や資材がそのまま残り、いつの間にか通常の保管場所のように扱われることがあります。ARで正式な保管場所を表示しておくと、仮置きがルール外であることに気づきやすくなります。作業者が現場を確認したときに、表示された保管範囲から外れている物があれば、是正対象として判断できます。


また、保管場所の見える化では高さ方向の情報も見落とせません。棚の上段、下段、床置き、吊り下げ、壁面収納など、危険物の置き方によって点検のしやすさや落下リスクが変わります。ARでは、平面上の位置だけでなく、どの高さに何を置くべきかを示すことで、誤配置を減らせます。たとえば、重い容器を高い位置に置かない、漏えい時に確認しやすい位置に置く、通気や点検を妨げない余白を確保するなど、現場ルールを空間情報として伝えることができます。


ただし、AR表示は現場の認識を補助するものであり、床面表示、掲示、ラベル、台帳、教育を置き換えるものではありません。端末が使えない状況や、通信が不安定な場所、照明条件が悪い場所でも安全確認ができるように、従来の表示と組み合わせる必要があります。ARは、既存の安全表示をより分かりやすくする補助線として使うのが現実的です。


保管場所と立入範囲を一致させるためには、初期設定だけでなく定期的な見直しも必要です。棚の配置変更、保管品目の変更、工事範囲の変更、作業手順の変更があった場合には、AR表示も更新しなければなりません。表示が古いままだと、作業者は誤った情報を信じて行動してしまいます。更新の責任者、確認頻度、承認手順を決めておくことで、ARの情報を安全管理に使える状態に保てます。


安全確認2 危険物の種類と保管条件を誤解なく示す

危険物保管場所を見える化するうえで重要なのが、何が危険なのかを誤解なく伝えることです。危険物といっても、燃えやすいもの、反応しやすいもの、腐食性があるもの、有害性があるもの、圧力を持つもの、温度管理が必要なものなど、注意すべき内容はさまざまです。ARでは、保管場所に近づいたときに、危険性の種類、取り扱い上の注意、保管条件、使用できる保護具、近接させてはいけない物などを表示できます。


ここで避けたいのは、情報を詰め込みすぎることです。危険物に関する情報は重要ですが、端末画面に長文を並べると、現場では読まれにくくなります。AR表示では、現場で即座に判断するための情報と、詳細確認が必要な情報を分けることが大切です。保管区画に重ねる表示では、危険性の概要、接触や火気への注意、必要な保護具、緊急時の初動などを簡潔に示し、詳細な手順や安全データは別途確認できるようにしておくと運用しやすくなります。


保管条件の表示では、温度、換気、直射日光、湿気、容器の密閉、混載の可否、転倒防止、漏えい時の受け皿など、現場で確認できる項目に落とし込むことが重要です。ARで「この棚は通気を妨げない」「この範囲には可燃物を置かない」「この容器は使用後に密閉を確認する」といった注意を表示すれば、日常作業の中で確認しやすくなります。専門的な分類名だけを表示しても、現場の行動につながらない場合があります。


また、危険物の種類ごとに表示の優先順位を決めることも必要です。すべてを同じ表示にすると、作業者はどれが特に重要な注意なのか判断しにくくなります。火気厳禁、換気確認、保護具着用、混触防止、漏えい確認、数量管理など、現場で最も事故につながりやすい項目を優先して表示する設計が望まれます。表示の色や形を使い分ける場合も、社内の安全表示ルールと矛盾しないようにします。


危険物の表示では、名称の表記ゆれにも注意が必要です。現場で呼ばれている通称、台帳上の名称、容器ラベルの名称が一致していないと、作業者が別の物だと誤解する可能性があります。ARに登録する名称は、社内ルールや台帳と合わせ、必要に応じて現場で使われる呼び名も補足する形が分かりやすいです。ただし、表示が長くなりすぎると視認性が落ちるため、現場表示と詳細情報の役割を分けることが大切です。


さらに、危険物の保管条件は一度決めれば終わりではありません。季節、気温、工事段階、入出庫量、使用頻度、周辺作業の変化によって、注意すべき点が変わる場合があります。夏場に温度上昇しやすい場所、冬場に結露しやすい場所、仮設電源の近く、溶接や切断作業が行われる区画の近くなど、周辺環境の変化もARで注意喚起できると、保管場所の安全確認がより実務的になります。


安全確認3 避難経路と消火設備の位置を重ねて確認する

危険物保管場所の安全確認では、通常時の保管状態だけでなく、異常時にどう動くかを考えておく必要があります。漏えい、発煙、発火、容器破損、異臭、体調不良などが発生したとき、作業者が避難経路、消火設備、通報先、集合場所をすぐに確認できることは重要です。ARは、現場の視界に避難方向や設備位置を重ねて示せるため、平面図だけでは分かりにくい異常時の動きを理解しやすくします。


避難経路の見える化では、危険物保管場所から出口までのルートを単純に表示するだけでなく、通路幅、扉の開閉方向、段差、障害物、仮置き禁止範囲も合わせて確認することが大切です。日常的には問題がなくても、資材の一時置きや台車の放置によって、非常時の通路が狭くなっていることがあります。ARで避難経路を表示すると、現場巡視の際に、表示されたルート上に障害物がないか確認しやすくなります。


消火設備の位置表示も有効です。消火器、消火栓、散水設備、火災報知設備、非常停止装置、緊急連絡装置などは、現場に慣れている人には分かっていても、初めて入る作業者には見つけにくいことがあります。ARで設備の方向と距離を示せば、設備の場所を短時間で把握しやすくなります。ただし、消火設備を表示するだけでなく、使用してよい場面と、無理に対応せず退避すべき場面を教育しておく必要があります。


危険物の種類によっては、初期消火や回収方法に制限がある場合があります。ARで消火設備を表示する際には、すべての設備を万能の対策のように見せないことが重要です。現場で判断すべき内容は、あらかじめ社内の安全基準や担当部署の指示に沿って整理し、AR上では「退避優先」「通報優先」「担当者確認」など、行動を間違えにくい表現にします。危険な状況で細かい説明を読ませる設計ではなく、初動の判断を支援する表示にすることが大切です。


また、避難経路と消火設備は、定期点検とセットで管理する必要があります。ARで表示されている設備が実際には移設されていた、点検期限が過ぎていた、前に物が置かれていて使えなかったという状態では、安全管理として機能しません。AR表示を点検項目と連動させ、設備の前に障害物がないか、表示位置が正しいか、掲示と矛盾していないかを巡視時に確認できるようにすると、見える化が日常管理に結びつきます。


夜間作業や停電時のことも考えておきたい点です。AR端末の画面では見えていても、実際の表示灯や標識が見えにくい状態では、異常時の行動に支障が出ます。ARは現場の標識を補助できますが、照明、蓄光表示、音声連絡、紙の掲示など、端末に依存しない手段と併用することが前提です。危険物保管場所では、デジタル表示が使えない状況でも最低限の安全行動が取れるようにしておく必要があります。


避難経路と消火設備をARで重ねて確認する目的は、非常時だけではありません。日常の巡視で、危険物保管場所の周辺が安全な状態に保たれているかを見るためにも役立ちます。通路に物が置かれていないか、設備前のスペースが確保されているか、作業変更によって避難方向が分かりにくくなっていないかを、現場で視覚的に確認できます。異常時のための表示を、通常時の点検にも活用することが、安全管理の実効性を高めます。


安全確認4 搬入搬出時の動線と接触リスクを把握する

危険物保管場所では、保管中だけでなく、搬入搬出時にリスクが高まります。台車やフォークリフトに相当する運搬機器、人の移動、開口部、段差、仮設配線、他の作業との交錯などが重なると、容器の転倒、接触、落下、破損、漏えいにつながる可能性があります。ARで動線を見える化すると、どのルートを通るべきか、どこで一時停止するべきか、どの範囲に人が入らないようにするべきかを現場で確認しやすくなります。


搬入動線を表示する際には、最短距離ではなく安全な経路を示すことが大切です。近道であっても、火気を扱う場所の近くを通る、通路幅が狭い、段差がある、人の往来が多い、保管場所の前で方向転換が必要になるといった経路は、危険物の運搬には適さない場合があります。ARで推奨ルートを重ねることで、作業者が毎回同じ基準で動線を選べるようになります。


搬出時には、空容器や使用済み容器の扱いも見落としやすいです。中身が少なくなった容器でも、残留物や蒸気、付着物によって注意が必要な場合があります。AR表示では、保管中の容器だけでなく、使用後の一時置き場所、返却場所、廃棄前の保管場所、清掃確認場所なども示すと、現場の混乱を減らせます。危険物の流れを入口から出口まで見える化することで、保管場所だけに注意が集中し、搬出後の管理が抜けることを防ぎやすくなります。


接触リスクの見える化では、人と物の動線が交差する場所を重点的に確認します。扉の前、曲がり角、棚の端部、狭い通路、昇降設備の周辺、車両の出入口などは、危険物を運ぶ際に周囲との接触が起きやすい場所です。AR上で注意エリアを表示し、減速や声かけ、誘導者の配置、作業時間の分離などのルールを確認できるようにすると、動線管理の精度が高まります。


さらに、搬入搬出は作業者の慣れによってリスクが変わります。よく知っている作業者ほど、いつもの動きで確認を省略してしまうことがあります。一方で、初めて担当する作業者は、どこを通ればよいか分からず、危険な場所に近づいてしまう可能性があります。ARで動線と注意点を表示すれば、経験差による判断のばらつきを抑えられます。特に応援者、協力会社、短期作業者が入る現場では、現場説明の補助として有効です。


ただし、ARで動線を示す場合は、現場の変化に対応できる設計が必要です。工事中の仮囲い、搬入口の変更、資材置き場の移動、床面の養生、天候による経路変更などがあると、表示されたルートが使えなくなることがあります。動線表示を固定化しすぎると、現場の実態とずれた案内になってしまいます。変更が多い現場では、日次または作業段階ごとに動線を確認し、AR表示を更新する運用を組み込むことが重要です。


搬入搬出の安全確認では、作業前の打ち合わせとAR表示を連動させると効果的です。朝礼や作業前ミーティングで、その日の搬入予定、通行禁止範囲、同時作業、使用する保護具、緊急時の退避方向を確認し、その内容を現場でAR表示として確認できるようにします。口頭説明だけでは忘れられやすい内容も、現場で再確認できれば、作業中の判断に結びつきやすくなります。


安全確認5 日常点検と異常時対応を記録に残す

ARで危険物保管場所を見える化する場合、表示するだけでなく、点検と記録につなげることが重要です。危険物保管場所の安全は、日常点検の積み重ねで保たれます。容器の破損、漏れ、ラベルの劣化、保管数量、通路の障害物、消火設備前の物置き、換気状態、施錠状態、床面の汚れ、受け皿の状態など、確認すべき項目は多くあります。ARを使えば、点検者が現場を見ながら確認項目を順番に把握し、見落としを減らしやすくなります。


点検項目をAR表示する際には、現場で判断できる表現にすることが大切です。たとえば「適切に保管する」という抽象的な表示だけでは、点検者によって判断が分かれます。容器が所定位置にあるか、表示ラベルが読めるか、ふたが閉まっているか、周囲に不要物がないか、床に変色や液だまりがないかなど、目視で確認できる項目に分解して表示すると、記録の品質が安定します。


異常時対応の記録も重要です。漏えいの疑い、異臭、容器の変形、温度上昇、棚の破損、誤配置、数量差異などが見つかった場合、誰が、いつ、どこで、何を確認し、どのような初動を取ったかを残す必要があります。AR上で位置情報や写真、コメントを記録できる運用にすると、後から状況を確認しやすくなります。口頭連絡だけでは、時間が経つにつれて詳細が曖昧になりやすいため、現場で記録する仕組みが有効です。


ただし、記録を増やしすぎると、点検が形式的になることがあります。ARを使う目的は、点検者の負担を増やすことではなく、重要な確認を確実に行うことです。毎日確認する項目、週次で確認する項目、月次で確認する項目、異常時だけ確認する項目を分け、頻度に応じて表示内容を調整することが望まれます。いつでも大量の項目を表示するのではなく、作業場面に応じて必要な情報だけを出す設計が使いやすさにつながります。


記録の信頼性を保つには、現場の位置と記録が正しく紐づいていることも大切です。危険物保管場所が複数ある場合、似たような棚や容器が並んでいると、別の場所の記録と混同する可能性があります。ARで保管区画ごとに識別情報を表示し、点検記録もその区画に紐づけることで、後から確認しやすくなります。写真やコメントだけでは場所が分かりにくい場合でも、空間情報と一緒に記録すれば、是正対応の追跡がしやすくなります。


異常時対応では、記録よりも安全確保が優先されます。ARで記録できるからといって、危険な場所に近づいて撮影したり、対応が遅れたりしてはいけません。表示内容には、退避、通報、立入制限、担当者への連絡など、初動を優先する考え方を反映させる必要があります。記録は、安全な位置から可能な範囲で行い、詳細確認は担当者や責任者が安全を確保したうえで実施する流れにします。


日常点検と異常時対応の記録をARで支援すると、現場改善にも活用できます。同じ場所で誤配置が繰り返される、同じ通路に物が置かれやすい、特定の時間帯に搬入が集中する、ラベルの劣化が早いなど、記録を見返すことで傾向が分かる場合があります。ARで見える化した情報と点検記録を組み合わせれば、単発の注意喚起で終わらせず、保管場所そのものの改善につなげやすくなります。


安全確認6 教育と引き継ぎで見える化を定着させる

ARによる危険物保管場所の見える化を安全管理として機能させるには、教育と引き継ぎが欠かせません。表示を作成しても、作業者が意味を理解していなければ、十分に活用されません。危険物の危険性、保管場所のルール、立入範囲、動線、点検方法、異常時の初動、AR表示の見方を、現場教育の中で繰り返し確認する必要があります。


教育でARを使う利点は、現場に立った状態で説明できることです。従来の座学では、平面図や写真を見ながら説明しても、実際の位置関係をイメージしにくい場合があります。ARを使えば、保管棚の前で、どこが危険範囲なのか、どの方向に避難するのか、どの設備を使うのか、どの容器に注意するのかを視覚的に示せます。新人教育や配置転換時の説明、協力会社への入場教育でも、現場理解を早める効果が期待できます。


引き継ぎでは、属人的な知識を減らすことが重要です。危険物保管場所の管理は、担当者の経験に依存しやすい面があります。どの棚に何を置くのが実務上扱いやすいか、どの通路が混みやすいか、どの季節に注意が必要か、どの作業と重なるとリスクが高いかといった知識は、文書だけでは伝わりにくいものです。ARに注意点や過去の是正履歴を紐づけることで、担当者が変わっても現場の知見を引き継ぎやすくなります。


ただし、教育用のAR表示と日常作業用のAR表示は分けて考える必要があります。教育では詳しい説明が必要ですが、日常作業中は簡潔な注意表示が求められます。教育用の情報をそのまま現場作業中に表示すると、情報量が多すぎて使いにくくなることがあります。初回教育、定期教育、作業前確認、日常点検、異常時対応といった場面ごとに、表示内容を切り替えられるように設計すると、現場で受け入れられやすくなります。


また、ARを使った教育では、端末操作そのものに意識が向きすぎないようにすることも大切です。危険物保管場所で最も重要なのは、安全な行動です。画面を見ながら歩いて周囲確認がおろそかになる、危険範囲に近づきすぎる、表示確認に時間をかけすぎるといった使い方は避ける必要があります。教育時には、端末を見る場所、立ち止まって確認する習慣、周囲確認の手順、端末を使えない場合の確認方法も合わせて教えるべきです。


定着のためには、現場からのフィードバックを反映する仕組みも必要です。作業者が「この表示は分かりにくい」「この位置では見えない」「この注意は別のタイミングで出してほしい」と感じた場合、それを改善に活かせる運用が必要です。AR表示は一度作って終わりではなく、現場で使いながら改善するものです。安全管理者、現場責任者、作業者が意見を出し合い、表示内容を見直すことで、実務に合った見える化になります。


教育と引き継ぎにARを使うときは、記録として残すことも有効です。誰が教育を受けたか、どの保管場所を確認したか、どの注意事項を説明したかを記録しておけば、教育漏れを防ぎやすくなります。特に危険物保管場所が複数ある現場や、作業者の入れ替わりが多い現場では、教育の実施状況を把握することが安全管理の基本になります。ARを現場教育の入り口として使い、教育記録や点検記録とつなげることで、見える化を一時的な取り組みにせず、継続的な仕組みにできます。


AR活用を安全管理の仕組みに組み込むポイント

危険物保管場所の見える化を成功させるには、ARを単独の便利機能として導入するのではなく、安全管理の業務フローに組み込むことが大切です。表示を作る担当者、内容を承認する責任者、現場で確認する作業者、更新を依頼する手順、点検記録を確認する管理者を明確にしなければ、情報はすぐに古くなります。ARは現場に情報を届ける手段であり、その情報を正しく保つ運用があって初めて効果を発揮します。


まず、ARで表示する情報の範囲を決めます。危険物保管場所に関するすべての情報を表示しようとすると、画面が複雑になり、現場で使われにくくなります。保管区画、危険性の概要、立入制限、避難方向、消火設備、点検項目、異常時連絡、搬入動線など、現場で即座に判断したい情報を中心に選びます。詳細な規程や長い手順書は、必要なときに参照できる形にして、現場表示では要点を絞ることが重要です。


次に、表示内容と既存資料の整合性を確認します。台帳、掲示、教育資料、作業手順、点検表、配置図、保管ルールとAR表示が食い違っていると、作業者はどれを信じればよいか迷います。ARを導入する前に、既存資料を整理し、最新の状態に合わせることが必要です。見える化の作業は、単に表示を作る作業ではなく、安全情報を棚卸しする機会でもあります。


現場での使いやすさも重要です。危険物保管場所では、手袋、保護具、照明、騒音、粉じん、狭い通路、通信環境など、端末操作に影響する要素があります。表示が小さすぎる、確認に時間がかかる、立ち止まる場所が危険、端末操作が複雑といった状態では、現場に定着しません。短時間で確認できる画面、立ち止まって見られる位置、通信が不安定でも最低限確認できる運用、端末を使わない代替手段を考えておく必要があります。


AR表示の精度にも注意が必要です。危険物保管場所の見える化では、表示位置が大きくずれると誤解につながります。保管区画や設備位置を登録する際には、現場基準点、床面表示、棚番号、区画名など、誰が見ても分かる基準を使うと管理しやすくなります。表示のずれが発生した場合に、現場で修正依頼できる仕組みも必要です。特に屋内や複雑な環境では、表示位置の確認を定期的に行うことが望まれます。


また、ARの情報は安全上重要な内容を含むため、更新や閲覧の権限管理も考える必要があります。誰でも自由に危険物名や保管場所を変更できる状態では、誤った情報が表示されるリスクがあります。一方で、更新手続きが重すぎると、現場変更に追いつけません。現場から修正要望を出し、安全管理者が確認して反映するなど、正確性とスピードのバランスを取ることが大切です。


AR活用を評価する際には、表示を作った数ではなく、現場の安全行動が改善したかを見る必要があります。誤配置が減ったか、点検漏れが減ったか、教育時間が短縮されたか、異常時の連絡が早くなったか、避難経路上の障害物が減ったかなど、実務に近い指標で振り返ると改善につながります。ARは目新しさだけで導入すると継続しにくいですが、現場の困りごとを減らす仕組みとして設計すれば、日常管理に根づきやすくなります。


まとめ

ARで危険物保管場所を見える化することは、現場の安全確認を分かりやすくし、保管場所、立入範囲、危険性、避難経路、消火設備、搬入動線、点検項目を実際の空間で確認しやすくする取り組みです。図面や台帳だけでは伝わりにくい位置関係を、現場の視界に重ねて示すことで、作業者の理解を助け、確認漏れや誤配置の防止につなげやすくなります。


一方で、ARは安全管理を自動化する魔法の仕組みではありません。表示内容が正しいこと、現場の実態と一致していること、既存の掲示や台帳と矛盾しないこと、更新責任が明確であること、端末を使えない場合の代替手段があることが前提です。危険物保管場所では、誤った表示や古い情報が事故につながる可能性もあるため、導入時には情報の正確性と運用の継続性を重視する必要があります。


安全確認のポイントは、保管場所と立入範囲を現場で一致させること、危険物の種類と保管条件を誤解なく示すこと、避難経路と消火設備を重ねて確認すること、搬入搬出時の動線と接触リスクを把握すること、日常点検と異常時対応を記録に残すこと、教育と引き継ぎで見える化を定着させることです。これらを一つずつ整えることで、ARは現場の安全管理を支える実用的な道具になります。


危険物保管場所の管理では、慣れや思い込みによる見落としを減らすことが重要です。ARを使えば、現場に入った人が同じ情報を確認しやすくなり、経験差による判断のばらつきも抑えやすくなります。保管区画の確認、点検ルートの確認、教育時の説明、異常時の初動確認など、日常の安全活動に組み込むことで、見える化の効果は高まります。


これからARを危険物保管場所の安全管理に取り入れる場合は、まず小さな範囲から始めるのが現実的です。保管場所が明確で、点検頻度が高く、作業者が迷いやすい区画を選び、保管範囲、注意事項、避難方向、点検項目を試験的に表示します。そのうえで、現場からの意見を反映し、表示内容や運用手順を改善していくと、無理なく定着させやすくなります。


ARによる見える化は、危険物保管場所だけでなく、設備点検、施工管理、倉庫管理、教育訓練、巡視記録などにも展開できます。現場で確認すべき情報を、その場所で分かりやすく見せるという考え方は、安全管理全体の質を高めるうえで有効です。現場の位置情報や点検記録を扱いやすくし、ARを日常業務に自然に組み込みたい場合は、Phoneを活用した現場確認の仕組みづくりへ進めることで、危険物保管場所の見える化をより実務に近い形で始められます。


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