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型枠支保工の88条申請前に仮設計算条件を共有する5策

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著者: LRTKチーム

型枠支保工の88条申請で手戻りが起きる現場では、申請書類を作る段階より前に、仮設計算条件の共有が不足していることがあります。支柱高さ、打設荷重、支柱配置、水平つなぎ、支持地盤、施工手順の認識が関係者ごとに少しずつ違うまま進むと、計算書、組立図、配置図、施工計画の整合が崩れ、届出前の修正が集中します。


ここでいう「88条申請」は、実務上の呼び方として使われることが多い表現です。法令上は、労働安全衛生法第88条に基づく計画の届出や、型枠支保工に関する機械等設置届として扱われる領域です。型枠支保工については、支柱の高さが3.5メートル以上となるものが届出対象として扱われるため、対象範囲や高さ判定を早めにそろえておくことが重要です。([日本インド友好協会][1])


この記事では、「88条申請 型枠支保工」で検索している実務担当者に向けて、申請前に仮設計算条件を共有し、届出書類と現場施工の不一致を減らすための5策を解説します。なお、提出様式、添付書類、提出期限、個別工事での扱いは、最新の法令、労働局の案内、所轄労働基準監督署の確認を前提にしてください。


目次

88条申請前に仮設計算条件を共有すべき理由

1策目 対象範囲と高さ判定を早期に固定する

2策目 荷重条件を施工手順とセットで見える化する

3策目 支柱配置と部材条件を図面に落とし込む

4策目 支持地盤と固定条件を現場写真で確認する

5策目 変更履歴と承認ルートを一本化する

申請直前に確認したい社内レビューの進め方

まとめ


88条申請前に仮設計算条件を共有すべき理由

型枠支保工の88条申請は、現場で「申請」と呼ばれることが多いものの、実務上は労働安全衛生法に基づく計画の届出として整理されます。型枠支保工では、支柱の高さが3.5メートル以上となる場合が届出対象の重要な入口になります。届出に関係する資料としては、打設しようとするコンクリート構造物の概要、型枠支保工の構造、材質、主要寸法、設置期間、組立図、配置図などが挙げられます。([日本インド友好協会][1])


ただし、届出に必要な資料をそろえる段階になってから条件を確認していては、工程上の余裕がなくなります。型枠支保工は完成後に残る構造物ではありませんが、コンクリート打設中は型枠、鉄筋、まだ固まっていないコンクリート、作業員、打設設備、仮置き資材、施工時の偏荷重を一時的に受けます。そのため、仮設計算の前提が少し変わるだけで、安全性の確認結果、支柱間隔、水平つなぎの考え方、組立図の表現が変わることがあります。


特に問題になりやすいのは、設計図に書かれている構造物の寸法と、実際に施工する型枠支保工の条件が一対一で対応していないことです。梁下、段差部、吹抜け、開口周り、地下部、傾斜部、設備開口付近では、標準部の断面だけを見ていても不利な条件を拾い切れないことがあります。図面上では同じ階に見えても、支柱高さや受ける荷重が異なる範囲が混在するため、計算範囲を曖昧にしたまま申請資料を作ると、あとから「この部分はどの計算条件で確認しているのか」という説明が必要になります。


仮設計算条件とは、単に計算書に入れる数値のことではありません。コンクリートの厚さや梁寸法、支柱高さ、支柱の種類、支柱間隔、根太や大引きの配置、水平つなぎ、筋かい、接合方法、ジャッキの伸び、敷板や敷角、支持地盤、既設床の状態、打設順序、打設速度、ポンプ配管や作業荷重の扱いまで含めた、現場で実際に組み立てるための前提条件全体を指します。この前提が関係者に共有されていないと、計算担当者は安全側に見ているつもりでも、施工担当者は別の配置を想定しているというズレが起こります。


88条申請で重要なのは、書類上の整合だけではありません。届出した計画と、現場で組み立てる型枠支保工が一致していることが重要です。申請前の段階で仮設計算条件を共有しておけば、計算書、組立図、配置図、工程表、作業手順、現場写真の説明を同じ前提でそろえやすくなります。これにより、所轄労働基準監督署への説明準備、社内審査、専門工事業者との確認も進めやすくなります。


また、88条申請は工程管理とも密接に関係します。型枠支保工の設置工事を開始する時期を基準に逆算すると、届出書類を作成する期間、仮設計算を行う期間、関係者で確認する期間、修正する期間が必要です。労働安全衛生法第88条の計画届出は、工事開始日の30日前という期限が関係するため、早めの逆算が必要です。([法令検索][2])申請直前に荷重条件や支柱配置が変わると、計算書だけでなく図面、工程、施工体制まで連鎖的に直すことになります。だからこそ、仮設計算条件は「計算が終わってから共有するもの」ではなく、「計算を始める前に共有し、申請前に再確認するもの」と考えることが大切です。


1策目 対象範囲と高さ判定を早期に固定する

最初に行うべきことは、88条申請の対象となる型枠支保工の範囲を早期に固定することです。型枠支保工の届出対象では支柱高さが重要な判断要素になりますが、実務では「どこからどこまでを支柱高さとして見るのか」「段差部や梁下をどう扱うのか」「標準部以外の局所的な高い部分を見落としていないか」で迷うことがあります。高さ判定を後回しにすると、申請対象外と思っていた範囲が実は対象であったり、対象範囲の一部が計算から漏れたりするおそれがあります。


高さ判定は、建物全体の階高だけで判断しないことが大切です。スラブ下の標準部、梁下、下がり天井部、ピット上、地下躯体、階段室、吹抜け、搬入口、段差スラブ、勾配がある床では、支柱の下端と上端の関係が変わります。図面上では同じフロアでも、支保工としては別条件になる場合があります。申請前の共有では、対象範囲を平面図に落とし込み、どの範囲を同じ計算条件として扱うのか、どの範囲を別の検討ブロックとして扱うのかを明確にする必要があります。


この段階で有効なのは、対象範囲を「標準部」「梁下部」「段差部」「特殊部」といった考え方で区分し、それぞれに想定支柱高さ、受ける部材、打設範囲、計算上の扱いを結び付けることです。名称は現場内で通じればよいのですが、計算書、図面、工程表で同じ呼び方にそろえることが重要です。たとえば、計算書では「高支保工部」と書かれ、図面では「吹抜け部」と書かれ、工程表では「南側高天井」と書かれていると、同じ範囲を指しているのか確認に時間がかかります。


高さ判定を固定する際は、組立開始日や設置工事の着手時期も同時に確認します。型枠支保工の届出では、コンクリート打設日だけでなく、型枠支保工を設置する工事の開始時期を基準に準備を逆算する必要があります。躯体工程表の打設日だけを見て「まだ余裕がある」と判断すると、届出、計算、図面修正、社内確認の時間が足りなくなることがあります。


実際には、支保工の搬入、墨出し、敷板設置、支柱組立、水平つなぎ、型枠建込み、配筋、設備スリーブ、検査、打設準備といった工程が先行します。設置工事の着手時期を見誤ると、届出の準備が工程に追いつかなくなります。対象範囲を決めるときは、いつから支保工に関係する作業が始まるのかも工程表上で確認しておくべきです。


対象範囲と高さ判定を共有するときは、図面だけでなく、現場の高さ関係が分かる資料を合わせると効果的です。既存地盤や床の高さ、施工時の仮設床、段差、支柱の立つ面、支える面を確認し、設計図と現地条件に差がないかを見ます。新築工事でも、掘削後の地盤面や捨てコンクリートの高さ、既設構造物との取り合いで支柱高さが変わることがあります。改修工事では、既存床の不陸や仕上げ撤去後の高さが影響するため、机上の図面だけでは判断しにくい場面が増えます。


早期に対象範囲を固定することは、単に申請要否を判断するためだけではありません。どの範囲に計算書を付けるのか、どの組立図を提出するのか、どの施工手順を説明するのかを決める基礎になります。仮設計算担当者、現場担当者、安全担当者、型枠支保工を組み立てる協力会社が同じ範囲を見ていれば、後工程の修正は減らしやすくなります。


2策目 荷重条件を施工手順とセットで見える化する

2つ目の策は、荷重条件を施工手順とセットで共有することです。型枠支保工の仮設計算では、支えるコンクリートや型枠の重量だけでなく、施工時に発生する作業荷重、打設時の偏り、資材の一時置き、配管や機材の影響をどう扱うかが重要になります。法令上も、型枠支保工の設計では、支保工が支える重量に所定の作業荷重を加えた設計荷重、支柱やはりなどの許容応力、組み合わされた支柱等の最大使用荷重、水平荷重に対する安全性が関係します。([厚生労働省][3])


荷重条件の共有で避けたいのは、計算書の中だけで数字が決まり、現場側がその前提を知らないまま施工計画を進めることです。たとえば、計算上はコンクリートを均等に打設する前提なのに、現場ではポンプ配管の都合で一方向から集中的に打ち進める計画になっている場合があります。あるいは、計算上は資材の仮置きを見込んでいないのに、施工時には鉄筋材、型枠材、締付け材、工具類を支保工上や近接部に一時的に置く可能性があります。このような差は、申請前に見つければ条件の見直しで対応しやすい一方、現場で発覚すると工程と安全管理の両方に影響します。


荷重条件は、構造物の寸法と施工手順を結び付けて整理します。スラブ厚、梁せい、梁幅、ハンチ、増し打ち部、立上り、打継ぎ位置、コンクリートの打設範囲を確認し、そのうえで、どの順序で打設するのか、どの場所に作業員が集中するのか、配管やホースがどこを通るのか、締固め作業がどの範囲で行われるのかを確認します。荷重の数字だけを共有するのではなく、「その荷重がどの施工状態を想定しているのか」まで共有することが重要です。


特に梁下や段差部では、単位面積あたりの平均荷重だけでは不利側を見落とすことがあります。梁が集中する範囲、スラブ厚が変わる範囲、打設高さが大きい範囲では、局所的な荷重が支柱や大引きに集中します。支柱配置を標準ピッチで考えていると、梁直下だけ支柱の受け方が不足する場合があります。申請前の条件共有では、標準部の計算だけでなく、最も不利と考えられる部分をどこに設定したかを説明できるようにしておく必要があります。


施工手順との連動では、打設区画の考え方も重要です。ひとつの階やひとつのスラブをまとめて打設するのか、区画を分けるのか、先行して梁を打つのか、打継ぎを設けるのかによって、支保工に作用する荷重状態は変わります。計算条件として全体に荷重が作用する状態を考えるのか、一部に偏って作用する状態を考えるのかは、施工方法と切り離せません。仮設計算条件を共有する場では、施工担当者が実際の打設計画を説明し、計算担当者がその計画で不利となる荷重ケースを確認する流れが望ましいです。


また、荷重条件には「現場でやってはいけないこと」を明確にする役割もあります。計算書で許容していない資材仮置き、想定外の重機材の設置、支柱位置の無断変更、打設順序の変更は、安全性に関わります。申請前に荷重条件を共有しておけば、施工中に変更が出たときに「これは計算条件に影響する変更か」を判断しやすくなります。逆に、荷重条件が共有されていないと、現場の小さな変更が計算上は大きな変更であることに誰も気づかないまま進んでしまいます。


荷重条件の見える化では、文章だけに頼らないことも大切です。平面図上に打設区画や配管経路、資材仮置き禁止範囲、重点確認範囲を重ねて示すと、関係者の理解がそろいやすくなります。計算書の数値と現場の施工順序が同じ資料の中で確認できれば、申請前レビューの質は上がります。88条申請のための資料は、提出するためだけでなく、現場で同じ計画を実行するための共通言語として使うべきです。


3策目 支柱配置と部材条件を図面に落とし込む

3つ目の策は、支柱配置と部材条件を図面上で具体化することです。型枠支保工の届出では、組立図や配置図が重要な添付資料になります。組立図では、支柱、はり、つなぎ、筋かいなどの部材の配置、接合方法、寸法を確認できる状態にすることが求められます。([厚生労働省][3])


仮設計算条件の共有でよくある問題は、計算書には支柱間隔や部材条件が書かれているのに、図面ではその条件が読み取りにくいことです。支柱間隔が「標準」とだけ書かれていたり、水平つなぎの高さや方向が曖昧だったり、梁下補強の範囲が明確でなかったりすると、現場は自分たちの経験で補って組み立てることになります。その結果、計算条件と実際の組立状態がずれるおそれがあります。


図面に落とし込むべき条件は、支柱の平面配置だけではありません。支柱の種類、支柱間隔、根太や大引きの方向、梁下の受け方、水平つなぎの設置高さ、水平つなぎを二方向に設ける範囲、筋かいの位置、脚部の固定方法、敷板や敷角の扱い、ジャッキの使用範囲、接合金具の扱い、開口周りの補強、端部処理まで含まれます。これらを図面上で確認できるようにしておくことで、計算担当者と施工担当者の認識差を減らせます。


標準部だけでなく、特殊部の表現も重要です。梁が交差する部分、柱周り、壁際、段差スラブ、設備開口、仮設通路との取り合い、材料搬入口、施工中に一時的に開口となる部分では、支柱配置が標準ピッチどおりに入らないことがあります。支柱をずらす、追加する、受け材を変える、水平つなぎの納まりを調整するなどの対応が必要になる場合は、その対応を計算条件に反映し、図面でも同じ表現にする必要があります。


また、部材条件は「使用する予定の部材」と「計算で前提とした部材」が一致していることを確認します。現場で入手しやすい部材を使うつもりでも、計算書では別の許容荷重や寸法を前提にしている場合があります。支柱の種類、許容荷重、継ぎの扱い、使用高さ、組合せ方法、水平材の間隔が変われば、計算結果も変わります。申請前の段階で、協力会社が実際に用意できる部材と、計算上採用している部材が一致しているかを確認することが欠かせません。


図面化のポイントは、計算条件を「読めば分かる」状態ではなく、「見れば確認できる」状態に近づけることです。支柱の配置寸法、水平つなぎの高さ、筋かいの範囲、梁下補強の範囲、端部の固定方法が図面上で確認できれば、申請前の社内レビューでも指摘が具体的になります。逆に、文章だけで条件を説明していると、レビュー担当者が図面と照合する手間が増え、見落としも起きやすくなります。


支柱配置と部材条件を図面に落とし込むときは、図面番号や改訂番号もそろえます。計算書が参照している図面が古い版で、現場が見ている図面が新しい版という状態は危険です。図面の改訂によって梁寸法、スラブ厚、開口位置、打設範囲が変わると、仮設計算条件に影響します。申請前には、計算書がどの図面のどの版を前提にしているのかを明確にし、関係者が同じ版を見ている状態をつくります。


現場で使う図面と申請用の図面を別々に作る場合でも、条件は一致させる必要があります。申請用の図面は整っているが、現場用の施工図には補強範囲が反映されていないという状態では、届出内容と現場施工がずれる可能性があります。88条申請前の仮設計算条件共有では、提出書類を整える視点と、現場で間違いなく組み立てる視点を同時に持つことが重要です。


4策目 支持地盤と固定条件を現場写真で確認する

4つ目の策は、支持地盤と固定条件を現場写真で確認し、仮設計算条件に反映することです。型枠支保工の安全性は、上部の支柱や部材だけで決まるものではありません。支柱が立つ地盤、既設床、捨てコンクリート、仮設床、敷板、敷角、脚部の固定、滑動防止、沈下防止が適切でなければ、計算上の支柱耐力があっても現場では不安定になります。


支持条件の共有で起きやすい問題は、計算担当者が「支柱下は十分に支持される」と仮定している一方で、現場では埋戻し直後の地盤、濡れやすい地盤、不陸のある既設床、開口近くの薄い床、養生材の上、仕上げ撤去後の不安定な面に支柱を立てる可能性があることです。支柱の位置が少しずれるだけで、下にある構造体や地盤条件が変わる場合もあります。したがって、支持条件は図面情報だけでなく、現場の状況を確認して共有する必要があります。


現場写真は、この認識差を埋める有効な手段です。支柱を立てる予定範囲の全景、地盤や床の状態、段差、開口、排水状況、既設構造物との取り合い、敷板を置く予定の面、搬入経路、材料仮置き位置を撮影しておくと、事務所にいる計算担当者や安全担当者も現場条件を理解しやすくなります。写真には撮影位置、撮影方向、撮影日、対象範囲、図面上の位置を関連付けておくと、後から見返したときに説明しやすくなります。


写真を撮るだけでは不十分です。撮影した写真を仮設計算条件と結び付けて管理することが重要です。たとえば、「この範囲は既設床上に支柱を立てる」「この範囲は埋戻し地盤上のため敷板条件を確認する」「この段差部は支柱高さが変わる」「この開口周りは支柱配置を標準から変更する」といった判断を写真と一緒に残しておけば、後のレビューで根拠を確認できます。写真が単なる記録で終わるのではなく、計算条件を確認するための資料になります。


支持地盤や固定条件は、工程の進行によって変わることもあります。申請前に確認した時点では整地されていなかった場所が、組立時には別の状態になっていることがあります。逆に、申請前には問題なかった床面が、搬入や他工種作業によって損傷していることもあります。そのため、申請前の写真確認に加えて、組立直前にも現場条件を再確認する体制が必要です。仮設計算条件と現場条件が変わった場合は、変更の影響を判断し、必要に応じて計算や図面を見直します。


固定条件では、脚部の滑動防止、根がらみ、水平つなぎ、筋かい、端部固定、梁や大引きとの接合が重要です。これらは計算書に書かれていても、現場で納まりが悪いと省略や変更が起きやすい部分です。特に壁際、柱際、段差部、狭い通路部では、予定どおりに水平つなぎを通せない場合があります。申請前に写真や現地確認で納まりを把握しておけば、図面段階で代替措置を検討できます。


支持条件の共有は、安全担当者だけの仕事ではありません。現場担当者、型枠支保工を組み立てる担当者、仮設計算担当者が同じ写真を見ながら確認することで、現場の実情に合った計画に近づきます。88条申請で提出する資料は、計画を説明するものですが、その計画が現場で実行できなければ意味がありません。支持地盤と固定条件を写真で確認することは、書類と現場をつなぐ実務的な対策です。


5策目 変更履歴と承認ルートを一本化する

5つ目の策は、変更履歴と承認ルートを一本化することです。型枠支保工の仮設計算条件は、申請準備中に変わることがあります。構造図の改訂、施工図の変更、打設区画の変更、支柱部材の変更、支柱間隔の変更、現場条件の判明、搬入経路の見直し、他工種との取り合い変更など、原因はさまざまです。問題は、変更が起きること自体ではなく、変更が誰に伝わり、どの資料に反映され、どの条件が最新版なのか分からなくなることです。


変更履歴を一本化するには、仮設計算条件の基準となる資料をひとつ決めることが有効です。計算条件整理表、申請前確認書、仮設計画確認シートなど名称は現場に合わせてよいですが、支柱高さ、対象範囲、荷重条件、支柱配置、部材条件、支持条件、施工手順、参照図面、改訂日、確認者を一元的に確認できる資料にします。この資料を起点に、計算書、組立図、配置図、工程表、作業手順書を更新する流れにすると、条件の抜け漏れを減らせます。


承認ルートも明確にします。現場担当者が「少し支柱をずらすだけ」と考えた変更でも、計算担当者にとっては支柱間隔や荷重伝達が変わる重要な変更かもしれません。協力会社が部材の都合で配置を変えたい場合も、現場判断だけで進めてよい変更と、計算確認が必要な変更を分ける必要があります。申請前の段階で、どの変更は誰の確認が必要なのか、どの変更は計算書や図面の改訂が必要なのかを決めておくことが大切です。


変更履歴では、最新版だけでなく、なぜ変更したのかを残すことも重要です。後から申請資料を見直したとき、「なぜこの範囲だけ支柱間隔が違うのか」「なぜこの梁下だけ補強しているのか」「なぜ打設区画を分けたのか」が分からないと、説明に時間がかかります。変更理由が残っていれば、所轄労働基準監督署への説明準備、社内審査、施工前ミーティング、作業主任者や職長への周知がスムーズになります。


申請前の変更管理で避けたいのは、口頭連絡だけで条件が変わることです。現場では急ぎの判断が必要な場面もありますが、88条申請に関係する仮設計算条件については、口頭で合意した内容を必ず記録に残すべきです。記録がなければ、計算書が更新されたのか、図面が更新されたのか、現場が更新内容を把握しているのか確認できません。特に申請直前は、複数の資料が同時に更新されるため、変更履歴の管理が重要になります。


承認ルートを一本化すると、申請後の変更にも対応しやすくなります。申請後に現場条件が変わった場合、どの条件が変わり、どの資料に影響し、再確認が必要かを追跡できます。申請前から変更管理の仕組みを作っていれば、申請後の想定外にも冷静に対応できます。88条申請は提出して終わりではなく、届出した計画どおりに安全に施工するところまでが実務です。そのため、変更履歴と承認ルートの一本化は、書類管理ではなく安全管理そのものと考える必要があります。


申請直前に確認したい社内レビューの進め方

5策を実行したうえで、申請直前には社内レビューを行います。このレビューは、単に提出書類の有無を確認する場ではありません。仮設計算条件、図面、現場条件、施工手順、工程、作業体制が同じ前提でそろっているかを確認する場です。型枠支保工では、届出様式の記載内容だけでなく、構造・材質・主要寸法、設置期間、組立図、配置図、計算書、工程、参画者や確認者、災害防止方法など、複数の資料が関連します。([日本インド友好協会][1])


社内レビューでは、まず対象範囲と高さ判定を確認します。申請対象となる範囲が図面上で明確になっているか、標準部と特殊部の区分が妥当か、支柱高さの判定に見落としがないかを確認します。ここで重要なのは、建物の代表断面だけを見るのではなく、梁下、段差部、吹抜け、開口周り、地下部、端部など、条件が変わりやすい部分を意識して見ることです。


次に、荷重条件と施工手順の整合を確認します。計算書の前提となるコンクリート厚、梁寸法、作業荷重、資材仮置き、打設順序、打設区画が、実際の施工計画と合っているかを見ます。施工担当者が予定している打設方法と、計算担当者が想定している荷重ケースが違っていないかを確認することが重要です。レビューの場には、できる限り施工手順を説明できる担当者を参加させるべきです。


そのうえで、支柱配置と部材条件を確認します。計算書で前提とした支柱間隔、部材、水平つなぎ、筋かい、接合方法、脚部処理が組立図や配置図に反映されているかを見ます。図面上で寸法や範囲が曖昧な部分は、現場で解釈が分かれます。申請前の段階で曖昧さを減らし、現場でそのまま使える図面に近づけることが、施工時のミス防止につながります。


支持地盤と固定条件の確認では、現場写真や現地調査結果を使います。支柱が立つ面に沈下や滑動のおそれがないか、敷板や敷角の考え方が明確か、段差部や開口周りに追加対応が必要ないか、水平つなぎや筋かいが実際に取り付けられる納まりかを確認します。図面上では成立していても、現地では他の仮設物や既設物が干渉することがあります。写真や現場メモを使って確認すれば、机上だけでは見えないリスクを拾いやすくなります。


最後に、変更履歴と最新版の確認を行います。計算書、組立図、配置図、工程表、現場写真、確認記録が同じ改訂状態になっているかを確認します。古い図面を参照した計算書が残っていないか、修正前の配置図が共有されていないか、申請用と現場用で内容が違っていないかを見ます。ここで最新版の管理が曖昧だと、申請後に現場へ誤った情報が伝わるおそれがあります。


社内レビューでは、形式的な確認に終わらせないことが大切です。「この計画で実際に組み立てられるか」「この条件で打設中に想定外が起きないか」「作業主任者や職長が現場で説明できるか」という視点で確認します。88条申請の資料は、提出書類であると同時に、現場の安全施工を支える説明資料です。申請直前のレビューで現場目線の確認を行うことで、書類と施工のズレを減らせます。


まとめ

型枠支保工の88条申請で手戻りを減らすには、申請書を作る前に仮設計算条件を共有することが欠かせません。対象範囲と高さ判定を早期に固定し、荷重条件を施工手順とセットで見える化し、支柱配置と部材条件を図面に落とし込み、支持地盤と固定条件を現場写真で確認し、変更履歴と承認ルートを一本化することで、計算書、組立図、配置図、工程表、施工計画の整合が取りやすくなります。


88条申請で見られるのは、単に書類がそろっているかだけではありません。危険性の高い仮設構造物について、現場で安全に施工できる計画になっているかが問われます。型枠支保工は仮設物でありながら、打設中には大きな荷重を受ける重要な構造です。だからこそ、仮設計算条件を一部の担当者だけが把握するのではなく、現場、計算、施工、安全管理の関係者が同じ前提を共有する必要があります。


実務では、図面や計算書だけでなく、現場写真、位置情報、メモ、確認記録を結び付けて管理することが、申請前の条件共有に役立ちます。支柱位置、支持地盤、段差、開口、施工前後の状況を記録し、計算条件や図面の改訂履歴と結び付けておけば、関係者間の認識差を減らしやすくなります。


型枠支保工の88条申請を、単なる提出作業で終わらせず、現場の安全と手戻り防止につなげるには、申請前の仮設計算条件共有が出発点になります。支保工の条件確認を現場任せ、計算担当者任せ、書類担当者任せにせず、関係者全員で同じ計画を見られる状態をつくることが大切です。


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