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型枠支保工の88条申請で担当者間の認識違いを防ぐ6策

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

型枠支保工の88条申請では、図面や計算書をそろえることだけでなく、現場代理人、施工管理担当者、型枠工事担当者、構造検討担当者、協力会社、発注者側担当者の間で、同じ前提を共有できているかが重要です。なお、実務上は88条申請と呼ばれることがありますが、法令上は労働安全衛生法第88条に基づく計画の届出として扱われます。対象範囲、支柱高さ、設置期間、打設順序、荷重条件、変更時の扱いについて認識がずれると、届出資料の作り直しだけでなく、工程遅延や現場での手戻りにつながるおそれがあります。この記事では、「88条申請 型枠支保工」で調べる実務担当者に向けて、担当者間の認識違いを防ぐための6つの策を、公開前の安全性にも配慮した実務視点で解説します。


目次

88条申請の対象条件を最初に共通化する

支保工の範囲と高さの見方を図面上でそろえる

強度計算と組立図の前提条件を言語化する

コンクリート打設計画と工程表を同じ前提で確認する

変更時の判断基準と承認ルートを先に決める

打合せ記録と現場写真で認識違いを残さない仕組みにする

まとめ


88条申請の対象条件を最初に共通化する

型枠支保工の88条申請で認識違いが起きる最初の原因は、今回の工事が届出対象に該当するかどうかについて、担当者ごとの判断材料がそろっていないことです。現場側は過去の似た工事の経験から通常の型枠支保工と考え、書類担当者は図面上の階高や躯体寸法だけを見て判断し、協力会社は自社が担当する施工範囲だけを基準に考えることがあります。これらの判断が少しずつずれると、届出要否の確認が遅れ、工程が迫ってから資料作成や修正に追われることになります。


労働安全衛生法第88条では、一定の機械等を設置し、移転し、または主要構造部分を変更しようとするときに、その計画を工事開始日の30日前までに届け出ることが定められています。型枠支保工については、法令や労働局の資料で、支柱の高さが3.5メートル以上のものが計画届の対象として扱われています。届出に関係する資料としては、打設しようとするコンクリート構造物の概要、構造、材質、主要寸法、設置期間、組立図、配置図などが整理対象になります。ただし、実際の提出資料や記載方法は所轄の労働基準監督署や工事条件によって確認が必要になるため、一般論だけで判断し切らない姿勢が重要です。


ここで大切なのは、基準を単に知っていることではなく、現場の関係者全員が同じ言葉で確認できる状態にすることです。たとえば支柱の高さが3.5メートル以上という条件についても、建物の階高だけを見ているのか、支柱の設置面から支持位置までを見ているのか、段差や勾配のある箇所をどう扱うのかが曖昧だと、担当者間で判断が分かれます。高さ、範囲、設置期間、施工開始日の見方は、届出要否だけでなく、強度計算や組立図、工程表にも関係します。


実務では、着工前や施工計画作成の初期段階で、対象範囲、支柱高さ、設置期間、施工箇所、打設対象となるコンクリート構造物を一枚の確認メモにまとめておくと効果的です。このメモは正式な届出資料そのものではありませんが、関係者が同じ前提で話すための入口になります。現場代理人、工事担当者、型枠担当者、協力会社の職長、書類作成担当者がそれぞれ別の資料を見ながら会話すると、話している対象がずれやすくなります。最初に共通の確認資料を作ることで、誰が見ても同じ型枠支保工を指している状態を作れます。


また、届出要否の判断を、書類担当だけの仕事にしないことも重要です。型枠支保工は、施工の途中で高さや範囲が変わることがあります。施工条件の変更、打設区画の分割、支柱の盛替え、支保工形式の変更、地盤条件や床面条件への対応などによって、当初の判断を再確認すべき場合があります。現場側が変更に気づいても、届出資料や強度計算への影響を理解していなければ、情報が書類担当へ伝わらないまま工事が進むおそれがあります。そのため、対象条件の共有は最初だけで終わらせず、変更が出たときに再確認する前提として、関係者の共通知識にしておく必要があります。


特に認識違いが起きやすいのは、届出が必要かどうかと安全に施工できるかどうかを混同する場面です。届出対象外であっても安全管理が不要になるわけではなく、届出対象であっても届出資料を出せば現場管理が完了するわけではありません。88条申請は、計画段階で危険性や施工条件を確認し、必要な図面や条件を整理するための重要な手続きです。これを単なる提出作業として扱うと、現場で本当に共有すべき施工条件が抜け落ちます。


したがって、最初の対策は、届出対象条件を担当者間で同じ理解にそろえることです。対象となる型枠支保工の範囲、高さ、設置期間、施工開始日、提出期限、添付図面、計算書の必要性を、関係者がそれぞれの立場から確認します。この段階で疑問が残る場合は、所轄の労働基準監督署や社内の安全管理部門に早めに確認し、判断根拠を記録に残しておくことが大切です。曖昧なまま進めるよりも、早い段階で確認しておく方が、後工程での修正や説明負担を大きく減らせます。


支保工の範囲と高さの見方を図面上でそろえる

型枠支保工の88条申請で担当者間の認識違いが起きやすい二つ目のポイントは、支保工の範囲と高さの見方です。書類上では型枠支保工と一言で表現されていても、現場ではスラブ、梁、段差部、開口部まわり、勾配部、増し打ち部、張り出し部など、複数の条件が混在します。担当者がそれぞれ別の範囲を想定して話していると、組立図、配置図、強度計算、工程表の内容が一致しなくなります。


特に注意したいのは、平面図だけで話を進めないことです。平面図では支保工の設置範囲は見えても、高さ方向の条件が読み取りにくい場合があります。逆に断面図だけを見ると、代表断面の条件は分かっても、平面上のどの範囲に適用されるのかが曖昧になります。型枠支保工の高さを確認する際は、平面図、断面図、必要に応じた立面情報を組み合わせ、どの位置のどの支柱が対象条件に関係するのかを明確にする必要があります。


労働安全衛生規則では、型枠支保工を組み立てるときは組立図を作成し、その組立図により組み立てることが求められています。また、組立図には、支柱、はり、つなぎ、筋かいなどの部材の配置、接合方法、寸法が示されている必要があります。つまり、現場での認識合わせでは、単に図面があるかではなく、その図面で配置、接合、寸法、施工範囲が判断できるかを確認することが重要です。


実務では、対象範囲を図面上に明示し、関係者が同じ範囲を見ながら打合せできるようにします。たとえば、届出対象となる支保工範囲、対象外と判断した範囲、別工区で施工する範囲、後日変更の可能性がある範囲を区別しておくと、会話のずれを防げます。図面に色分けや注記を入れる場合も、色や記号の意味を凡例として明示し、白黒で出力した資料でも意味が失われないようにしておくと安全です。


高さの見方についても、測定の基準点をそろえる必要があります。地盤面、既設床面、仮設床面、段差部の下端、支柱の設置面、ジャッキや敷板を含めた現場条件など、施工条件によって高さの捉え方は変わります。図面に記載された寸法が躯体寸法なのか、仮設材の実寸なのか、施工時に調整される寸法なのかを確認しないまま進めると、強度計算や届出内容と現場実態がずれます。とくに段差や勾配がある場所では、代表高さだけで判断せず、条件が厳しい箇所を確認することが必要です。


また、型枠支保工の範囲は、型枠工事担当者だけでなく、鉄筋工事、コンクリート打設、設備開口、搬入動線、資材置場、作業床、仮設通路とも関係します。支柱の配置が他工種の作業と干渉する場合、現場では位置を少しずらす、一時的に外す、後で追加するといった判断が出やすくなります。しかし、こうした現場調整が組立図や計算前提に影響する場合、担当者間で共有しなければ安全管理上の問題になります。図面上の範囲確認では、型枠支保工だけを切り離して見るのではなく、周辺作業との関係も合わせて確認することが大切です。


認識違いを防ぐには、支保工の範囲と高さを、図面を見れば分かるはずと考えないことです。図面を作成した人、確認する人、現場で組み立てる人は、それぞれ注目している点が異なります。書類担当者は届出項目の整合を見て、施工担当者は納まりや手順を見て、職長は実際の組立や作業性を見ています。だからこそ、同じ図面を前にして、どの線が対象範囲なのか、どの寸法が届出条件に関係するのか、どの箇所が施工上の注意点なのかを口頭と記録の両方でそろえる必要があります。


強度計算と組立図の前提条件を言語化する

三つ目の対策は、強度計算と組立図の前提条件を言語化することです。型枠支保工の88条申請では、組立図や配置図が整っていても、計算書の前提と現場の理解が一致していなければ、担当者間の認識違いは残ります。計算書は専門的な内容を含むため、現場担当者が細部まで読み込めないこともあります。その結果、計算されているから大丈夫という大まかな理解だけが共有され、どの荷重条件、どの部材構成、どの支柱間隔、どの水平力条件を前提に安全性を確認しているのかが曖昧になりがちです。


強度計算の前提には、コンクリート厚さ、梁せい、スラブ形状、型枠重量、作業荷重、打設時の荷重、支柱間隔、支柱形式、水平つなぎ、筋かい、根がらみ、敷板や敷角、地盤や床面の支持条件などが関係します。これらの条件のうち一つでも現場実態と違えば、計算上の安全性と施工時の安全性が一致しないおそれがあります。だからこそ、計算書の数値を単に添付するだけでなく、現場で守るべき条件として説明できる形にしておく必要があります。


たとえば、支柱間隔について図面どおりとだけ伝えても、現場では障害物や資材動線の都合で調整したくなる場合があります。水平つなぎや筋かいについても、図面上では明示されていても、施工手順上の都合で後回しにされたり、一部だけ省略されたりすることがあります。こうした変更が強度計算の前提に影響することを、現場担当者と職長が理解していなければ、計算書と現場施工が別物になってしまいます。認識違いを防ぐには、計算上重要な条件を、変更してはいけない条件と変更する場合に再確認が必要な条件として明確に伝えることが有効です。


また、組立図と強度計算書の整合も重要です。組立図には支柱、はり、つなぎ、筋かいなどの配置や接合方法、寸法が示されますが、計算書の部材名や記号と図面の表記が一致していないと、確認する担当者が別の部材を見てしまうことがあります。図面では同じように見える部材でも、計算上は役割が異なることがあります。大引き、根太、支柱、水平つなぎ、筋かい、敷角、ジャッキなどの名称を統一し、図面と計算書で同じ表現を使うことが、認識違いの防止につながります。


強度計算の確認では、計算担当者だけに判断を任せるのではなく、現場担当者が施工可能性を確認することも必要です。計算上は成立していても、実際の現場でその支柱配置を確保できるのか、搬入経路と干渉しないか、開口部や設備配管と重ならないか、段差部で敷板を安定して設置できるか、打設中に点検しやすいかといった実務上の条件があります。これらは計算書だけでは見えにくいため、図面、現地確認、施工手順を合わせて確認する必要があります。


さらに、型枠支保工では支柱の沈下や滑動を防ぐ措置も重要です。法令上も、型枠支保工については、コンクリートの打設方法などに応じた堅固な構造とすることや、組立図に基づいて組み立てることが求められています。パイプサポートの高さが一定条件を超える場合には、水平つなぎを二方向に設けるなどの措置が求められる場面もあります。こうした条件は、図面や計算書に書いてあるだけでなく、現場の組立手順、点検項目、打設前確認に落とし込まれて初めて機能します。


認識違いを防ぐ実務上の工夫として、強度計算の前提条件を短い文章で整理した確認資料を作る方法があります。これは計算書を簡略化して代替するという意味ではなく、計算書を読む関係者が誤解しやすい前提を補足するものです。支柱間隔、対象範囲、部材構成、打設条件、支持地盤または床面条件、変更時の再確認事項などを文章で示しておけば、図面だけでは伝わりにくい条件を共有できます。現場での朝礼や施工前打合せでも説明しやすくなります。


強度計算と組立図は、88条申請のための添付資料であると同時に、現場で守るべき施工条件を示す資料です。したがって、担当者間の認識違いを防ぐには、計算書と図面を作成する段階から、現場で理解できる表現、変更時に判断しやすい注記、関係者が共通で使える用語を意識することが大切です。専門資料を専門資料のまま閉じてしまうのではなく、現場で使える共通言語に変換することが、実務上の安全管理につながります。


コンクリート打設計画と工程表を同じ前提で確認する

四つ目の対策は、コンクリート打設計画と工程表を同じ前提で確認することです。型枠支保工は、コンクリートを打設するための仮設構造であり、支保工そのものの図面だけを見ていても、打設時のリスクを十分に把握できません。どの範囲を、どの順序で、どの量を、どの速度で打設するのかによって、型枠支保工に作用する荷重や現場の作業条件は変わります。ところが実務では、型枠支保工の書類担当、コンクリート打設担当、工程管理担当が別々に資料を作成し、後から整合を取ることがあります。この進め方では、認識違いが起きやすくなります。


たとえば、組立図では一体で支保工を設置する前提になっているのに、工程表では打設区画を分割している場合があります。逆に、工程表では一括打設のように見えるのに、現場ではポンプ車の配置や搬入条件の都合で打設順序が変わることもあります。打設順序が変われば、一時的に荷重が偏る可能性があり、支保工の安全確認にも影響します。担当者間で、どの順番で打つのか、どの段階で支保工が完成しているのか、打設前点検をいつ行うのかをそろえておかなければ、書類と現場の間にずれが生じます。


工程表で特に確認したいのは、支保工の組立開始日、組立完了日、検査または点検日、コンクリート打設日、養生期間、解体予定日です。88条申請では工事開始日の30日前という期限が関係するため、届出資料の提出時期だけでなく、現場で実際に組立を始める時点を明確にする必要があります。工程が変更されたときに、提出済みの内容や社内確認の時期に影響がないかを確認する仕組みも必要です。


コンクリート打設計画では、打設量や打設速度だけでなく、打設中の作業員配置、ポンプ配管やホースの取り回し、バイブレーター作業、打設中の監視、異常時の中断判断も確認します。労働安全衛生規則では、コンクリート打設作業を行う際、その日の作業開始前に型枠支保工を点検し、異状があれば補修することや、作業中に異状が認められた場合の作業中止措置をあらかじめ講じておくことが求められています。現場では、支保工に変形、沈下、緩み、異音、型枠のはらみなどが見られた場合、誰が気づき、誰に報告し、誰が打設を止める判断をするのかを事前に決めておくことが重要です。


また、型枠支保工の解体時期についても認識をそろえる必要があります。工程を急ぐあまり、次工程の都合だけで支保工の解体時期を決めると、コンクリートの強度発現や構造条件との整合が問題になることがあります。解体時期は、構造物の条件、打設後の養生、設計上の確認、現場の安全管理と関係します。工程表に単に解体と書くだけでなく、誰が解体可否を判断するのか、どの確認をもって次工程へ進むのかを明確にしておくと、担当者間の認識違いを防げます。


工程と打設計画の共有では、最新の工程表がどれかを管理することも欠かせません。工程表は現場で頻繁に更新されるため、書類作成時点の工程と現場で使っている工程が違うことがあります。古い工程表をもとに届出資料を作成すると、提出時点では整っていても、施工時には実態と合わない資料になってしまいます。更新日、版番号、作成者、承認者を明確にし、変更が出た場合は型枠支保工の計画に影響するかどうかを確認する流れを決めておくことが必要です。


認識違いを防ぐには、型枠支保工を図面の問題としてだけ扱わないことです。型枠支保工は、打設計画、工程、作業手順、安全点検、解体計画まで含めて成り立ちます。したがって、88条申請の書類確認では、組立図や計算書の整合だけでなく、工程表と打設計画が同じ施工前提で作られているかを確認します。ここを丁寧にそろえることで、提出資料と現場作業の距離が縮まり、担当者ごとの理解のばらつきを抑えられます。


変更時の判断基準と承認ルートを先に決める

五つ目の対策は、変更時の判断基準と承認ルートを先に決めておくことです。型枠支保工の88条申請では、当初計画を整えることに意識が向きがちですが、実際の現場では変更が発生します。躯体寸法の調整、施工範囲の変更、打設区画の見直し、支柱配置の変更、部材の代替、地盤や床面条件の違い、他工種との干渉、搬入経路の制約など、変更のきっかけは多くあります。変更そのものが問題なのではなく、変更が出たときに誰が判断し、どの資料を更新し、どこまで承認を取るのかが曖昧なことが問題です。


認識違いが起きる典型例は、現場では軽微な調整と考えている変更が、届出資料や計算の前提に影響している場合です。たとえば、支柱の位置を少しずらすだけでも、支柱間隔や荷重の伝達経路に影響することがあります。水平つなぎや筋かいの位置変更、根がらみの省略、敷板の変更、支柱形式の変更も、現場感覚では納まり調整に見えても、計画上は再確認が必要な場合があります。こうした判断を現場担当者の経験だけに任せると、後から説明が難しくなります。


変更時の判断基準は、できるだけ事前に言語化しておくことが大切です。どのような変更なら現場内の確認で済むのか、どのような変更なら施工管理者、計算担当者、安全管理部門、協力会社責任者の確認が必要なのか、どのような変更なら所轄への相談や届出資料の見直しが必要なのかを決めます。もちろん、すべての変更を事前に想定することはできません。そのため、具体例だけでなく、計算前提に影響する変更、届出図面と現場形状が変わる変更、施工開始日や設置期間に影響する変更、支柱高さや対象範囲に影響する変更といった判断軸で整理しておくと実務で使いやすくなります。


承認ルートも重要です。変更が発生したときに、職長から現場担当者へ、現場担当者から工事責任者へ、必要に応じて計算担当者や安全管理担当へ、という流れが決まっていないと、情報が途中で止まります。現場では日々多くの判断が必要なため、誰に聞けばよいか分からない変更は、後回しにされたり、口頭だけで処理されたりしがちです。変更の連絡先、判断者、記録方法、承認後の図面更新方法をあらかじめ決めておくことで、変更時の混乱を抑えられます。


また、変更を記録する際は、変更内容だけでなく、変更理由と確認結果を残すことが大切です。支柱位置を変更したという記録だけでは、後から見た人が安全上の判断を確認できません。なぜ変更したのか、どの図面のどの位置を変更したのか、強度計算や組立図への影響を誰が確認したのか、変更後の施工を誰が承認したのかを残すことで、担当者間の認識違いを後から検証できます。記録は責任追及のためだけではなく、次の判断を助けるための情報です。


変更時には、最新図面の扱いも問題になります。変更が承認されても、古い図面が現場に残っていると、作業員や協力会社が誤った情報で施工する可能性があります。最新版の図面をどこに保管するのか、古い図面にどのように無効表示をするのか、現場掲示や配布資料をどう差し替えるのかを決めておくことが必要です。版管理が曖昧な現場では、担当者ごとに違う図面を見ていることがあります。これは認識違いの中でも特に危険な状態です。


変更時の判断で避けたいのは、今まで問題なかったから大丈夫という考え方です。型枠支保工は、現場条件、部材構成、打設条件が組み合わさって成立する仮設構造です。過去の類似工事で問題がなかったとしても、今回の現場で同じとは限りません。特に88条申請に関係する型枠支保工では、当初計画と変更後の実態が一致しているかを確認する姿勢が求められます。変更のたびに大掛かりな手続きが必要という意味ではありませんが、変更の影響を判断するルートを持っていることが重要です。


このように、変更時の認識違いを防ぐには、変更が起きてから慌てて相談するのではなく、変更が起きる前提で体制を作ることが必要です。判断基準、承認ルート、記録方法、最新版管理を決めておけば、現場での調整と書類上の整合を両立しやすくなります。88条申請は当初提出で終わるものではなく、施工中の変更管理と一体で考えるべき実務です。


打合せ記録と現場写真で認識違いを残さない仕組みにする

六つ目の対策は、打合せ記録と現場写真を活用して、認識違いを残さない仕組みにすることです。担当者間で十分に話し合ったつもりでも、口頭だけの確認では、後からそういう意味ではなかった、そこまで含むとは思っていなかったという食い違いが起きます。型枠支保工の88条申請では、図面、計算書、工程表、施工計画、現場条件が関係するため、打合せ内容を記録に残さなければ、担当者の記憶に頼ることになります。


打合せ記録で重要なのは、議事録を形式的に作ることではありません。誰が、いつ、どの資料をもとに、何を確認し、何が未決で、誰がいつまでに対応するのかを明確にすることです。特に、届出対象範囲、支柱高さ、組立図の版、強度計算の前提、打設順序、工程変更、変更時の判断、現場での注意点は、認識違いが起きやすい項目です。これらを会議後に短くても記録し、関係者に共有することで、後から確認できる共通の基準ができます。


現場写真も有効です。図面上で説明しても伝わりにくい段差、開口部、既設躯体との取り合い、資材置場、搬入経路、地盤や床面の状態、支柱の設置予定箇所などは、写真を添えることで認識をそろえやすくなります。写真には撮影日、撮影位置、対象箇所、確認したい内容を付けて管理すると、後から見た担当者にも意味が伝わります。写真だけを大量に保存しても、何を確認するための写真なのか分からなければ、認識合わせには使えません。


打合せ記録と写真を組み合わせると、図面と現場の差を早期に発見できます。たとえば、図面では平坦な設置面を想定していたのに、現地写真では段差や勾配がある場合、支柱の沈下や滑動防止措置を再確認するきっかけになります。図面では十分な作業空間があるように見えても、写真では他工種の資材や仮設設備が干渉している場合、支柱配置や作業手順の見直しが必要になることがあります。写真は単なる記録ではなく、担当者間の見え方をそろえるための道具です。


また、現場での組立完了後や打設前の確認にも、記録を活用できます。組立図どおりに支柱、つなぎ、筋かい、根がらみ、敷板、接合部が施工されているかを確認し、その結果を写真とともに残しておけば、打設前の最終確認として役立ちます。もちろん、写真だけで安全確認が完了するわけではありませんが、点検結果を関係者で共有し、必要な是正を早く伝えるうえでは有効です。写真を見ながら確認すれば、離れた場所にいる担当者とも具体的な会話ができます。


認識違いを防ぐためには、記録の置き場所も重要です。打合せ記録、最新版図面、計算書、工程表、写真、変更記録が別々の場所に保存されていると、必要な情報を探すだけで時間がかかります。さらに、担当者ごとに保存している資料が違うと、どれが正式な情報なのか分からなくなります。共有保管場所を決め、最新版と旧版を区別し、更新履歴を残すことで、情報の迷子を防げます。


現場では、忙しさのために記録が後回しになることがあります。しかし、88条申請に関係する型枠支保工では、記録を残すこと自体が工程を守るための手段になります。後から説明が必要になったとき、記録がなければ、誰かが記憶をたどり、資料を探し、関係者に確認し直すことになります。その時間は、最初に記録を残す手間よりも大きくなりがちです。記録は手戻りを防ぎ、担当者間の信頼を保つための実務です。


さらに、記録の質を高めるには、現場で使う言葉を統一することも大切です。同じ部材や同じ場所を担当者ごとに違う呼び方で記録すると、後から読んだ人が別のものと誤解する可能性があります。図面上の通り芯、階、工区、部材名称、支柱番号、打設区画名をできるだけ統一し、記録にも同じ表現を使います。特に写真の説明では、この部分、あそこ、といった表現を避け、図面と対応する名称で残すことが重要です。


まとめ

型枠支保工の88条申請で担当者間の認識違いを防ぐには、書類をそろえる前に、関係者が同じ前提で話せる状態を作ることが重要です。届出対象条件、支保工の範囲と高さ、強度計算と組立図の前提、コンクリート打設計画と工程、変更時の判断、打合せ記録と現場写真の管理を一つずつ整えることで、届出資料と現場のずれを減らせます。


特に、型枠支保工は仮設構造でありながら、コンクリート打設時の安全に大きく関わります。図面や計算書があっても、現場でその前提が共有されていなければ、安全管理としては不十分です。反対に、現場で十分に注意しているつもりでも、届出内容や計算前提と違う施工になっていれば、後から説明や修正が必要になります。88条申請は、現場と書類をつなぐための手続きとして捉えることが大切です。


実務では、認識違いは大きなミスからではなく、小さな曖昧さから生まれます。対象範囲の線引きが少し違う、支柱高さの見方が違う、工程表の版が違う、打設順序の理解が違う、変更の連絡先が違う。こうした小さなずれが積み重なると、申請書類の修正、現場手戻り、打設日の調整、関係者への再説明につながります。だからこそ、早い段階で共通資料を作り、図面上で範囲を確認し、計算前提を言語化し、変更時のルールを決め、記録を残すことが有効です。


これからの現場管理では、紙の図面や口頭確認だけに頼らず、現場の位置情報、写真、図面、記録を結び付けて管理することがますます重要になります。型枠支保工の88条申請でも、どの位置で、どの支柱条件を確認し、どの写真がどの図面範囲に対応するのかを分かりやすく残せれば、担当者間の認識違いを減らしやすくなります。届出資料と現場確認の関係を日々の管理の中で見える化し、変更や不明点が生じたときに早く共有できる仕組みを整えることが、安全で手戻りの少ない施工管理につながります。


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