top of page

88条申請が必要な工事とは?足場・解体・設備別に判定

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均7分15秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

88条申請とは、実務上よく使われる呼び方ですが、法令上は労働安全衛生法第88条に基づく「計画の届出」を指すことが多いです。建設工事や設備工事の中でも、労働災害のリスクが高い工事について、着工前に計画内容を所轄の労働基準監督署長または厚生労働大臣へ届け出る制度です。単なる事後報告ではなく、工事を始める前に、作業方法、仮設計画、機械設備の配置、墜落・倒壊・飛散・有害物ばく露などへの防止対策を確認できる状態にしておくことが目的です。


現場で迷いやすいのは、「足場を組むから必要なのか」「解体だから必要なのか」「設備を入れ替えるだけでも必要なのか」という判定です。結論からいえば、すべての足場、すべての解体、すべての設備工事が対象になるわけではありません。対象になるかどうかは、工事の種類、規模、高さ、期間、危険有害性、提出期限、提出先を分けて見る必要があります。労働安全衛生法第88条では、一定の機械等の設置・移転・主要構造部分の変更は工事開始30日前までの届出、一定の建設業の仕事は大規模工事なら30日前、その他の対象工事なら14日前までの届出が定められています。([厚生労働省][1])


目次

88条申請の正体は「計画の届出」

判定の基本軸は工事の種類と規模と期間

足場工事で88条申請が必要になるケース

解体工事で88条申請が必要になるケース

設備工事や機械設置で88条申請が必要になるケース

建築物や工作物の建設・改造で対象になるケース

土木・掘削・トンネル・橋梁で対象になるケース

提出期限と提出先を間違えないための整理

必要書類をそろえるときの実務ポイント

88条申請の要否判定で迷いやすい現場例

届出後の現場管理で重要になる記録と位置情報

まとめ:早い段階で対象工事を判定し安全計画に落とし込む


88条申請の正体は「計画の届出」

88条申請という言い方は、建設現場や設備工事の実務では広く通じますが、厳密には「申請して許可をもらう」というより、「法令で定められた計画を事前に届け出る」手続きです。もちろん、形式だけ提出すればよいという意味ではありません。届出内容が労働安全衛生法令に違反すると判断される場合には、行政側から工事や仕事の開始差止め、または計画変更を命じられる可能性があります。つまり、88条申請は安全計画の妥当性を事前に説明できる状態にするための重要な実務手続きです。([厚生労働省][1])


この制度の対象は、大きく三つのまとまりで理解すると整理しやすくなります。一つ目は、危険または有害な作業に関係する一定の機械等を設置、移転、主要構造部分変更する場合です。二つ目は、建設業のうち特に大規模で重大な労働災害のおそれがある仕事です。三つ目は、建設業その他の一定業種で、法令上指定された工事や作業です。実務でよく問題になる足場、型枠支保工、架設通路、31メートルを超える建築物の解体、石綿等の一定の除去作業、深い掘削、トンネル、橋梁などは、この三つのどこに当たるかを確認していきます。


注意したいのは、88条申請の対象判定は、工事件名だけでは決まらないことです。例えば「外壁改修工事」という名称でも、足場の高さや設置期間によって届出が必要になることがあります。一方で、「解体工事」という名称でも、建築物の高さ、対象物の種類、有害物の有無によって届出の要否は変わります。「設備更新工事」も同じで、一般的な小規模設備の交換であれば対象外となることが多い一方、危険物、有害物、局所排気、特定の化学設備、乾燥設備などに関わる場合は、別表対象設備として確認が必要です。


判定の基本軸は工事の種類と規模と期間

88条申請が必要かどうかを判定するときは、最初に「何をする工事か」を分解します。現場名や契約名ではなく、実際に行う作業単位に落とし込むことが重要です。足場を組むのか、型枠支保工を設けるのか、建築物を建てるのか、工作物を解体するのか、石綿等を扱うのか、廃棄物焼却炉などの特殊設備を解体するのか、掘削やトンネルの作業があるのか、危険有害な機械設備を設置するのかを順番に見ます。


次に「どの程度の規模か」を確認します。88条申請では、高さ、長さ、支間、深さ、圧力、面積、能力、設置期間などの具体的な数値が判定基準になります。特に建設現場では、見積時や仮設計画時には大まかな表現で進みがちですが、届出の判定では数値を曖昧にできません。足場であれば高さと設置期間、建築物や工作物であれば高さ、橋梁であれば支間、掘削であれば高さまたは深さ、設備であれば対象設備の種類や扱う物質の性状を確認します。


さらに「いつ始めるのか」も重要です。88条申請は、必要だと分かってから慌てて出す手続きではありません。機械等の設置・移転・主要構造部分変更に関する届出は原則として工事開始30日前まで、建設業の一定の対象仕事は大規模なものなら30日前、その他の対象仕事なら14日前までという考え方で工程に組み込む必要があります。直前に対象であることが判明すると、工程調整、図面修正、協力会社との段取り変更に影響します。


実務では、受注前、施工計画作成時、仮設計画作成時、協力会社選定時のそれぞれで対象判定を行うのが安全です。なぜなら、見積段階では60日未満の足場と考えていたものが、工程変更で60日以上になることがあるからです。あるいは、当初は通常の解体と考えていたものが、調査で石綿等の対象作業を含むと判明することもあります。88条申請は、安全書類の一部として最後に付け足すものではなく、工事計画そのものに関わる手続きとして扱う必要があります。


足場工事で88条申請が必要になるケース

足場工事で最も多い誤解は、「足場を組むなら必ず88条申請が必要」と考えてしまうことです。実際には、足場については種類、高さ、設置期間を見て判定します。労働安全衛生規則では、計画の届出をすべき機械等として、つり足場、張出し足場、またはそれ以外で高さ10メートル以上の構造の足場が別表第七に掲げられており、足場などで組立てから解体までの期間が60日未満のものは対象から除かれます。したがって、実務上は、つり足場や張出し足場は高さだけでなく期間も確認し、一般的な足場は高さ10メートル以上かつ組立てから解体まで60日以上となるかを確認する流れになります。([厚生労働省][2]) ([厚生労働省][2])


ここでいう高さは、単に建物の階数だけで判断しない方が安全です。地盤の高低差、庇や屋上設備へのアクセス、塔屋まわりの作業床、仮設材の組み上がり高さなどによって、図面上の印象と実際の構造高さがずれることがあります。また、設置期間は「作業で実際に使う日数」ではなく、組立てから解体までの期間として管理します。途中で作業をしていない日があっても、足場が存置されていれば期間に含めて工程を確認するのが実務上安全です。


外壁改修、屋根改修、設備更新、看板撤去、耐震補強などの工事では、主工事そのものよりも仮設足場の条件によって88条申請が必要になることがあります。例えば、工事名が小規模な改修に見えても、建物が高く、足場が10メートル以上で、設置期間が長期にわたる場合は対象になり得ます。反対に、低層建物で短期間の足場であれば、88条申請の対象外となることがあります。ただし、対象外であっても、足場の組立て、解体、変更に関する安全措置、点検、作業主任者、墜落防止対策などの法令対応が不要になるわけではありません。


足場工事で要否判定を誤りやすいのは、工程変更の場面です。当初は50日程度で解体する予定だった足場が、追加工事、天候、他工種調整、検査待ちによって60日以上になることがあります。対象になる可能性がある足場は、契約工程だけでなく、余裕日、検査日、予備日、解体予定日まで含めて確認するべきです。届出の必要性を避けるために不自然な工程を組むのではなく、実態として安全に施工する期間を前提に判断することが大切です。


解体工事で88条申請が必要になるケース

解体工事では、まず対象物の高さを確認します。労働安全衛生規則第90条では、高さ31メートルを超える建築物または工作物の建設、改造、解体または破壊の仕事が、労働安全衛生法第88条第3項に基づく届出対象として定められています。したがって、高層建築物や高い工作物を解体する場合は、工事名が「解体」か「撤去」かにかかわらず、対象物の高さが重要な判定軸になります。([厚生労働省][2])


31メートルを超えるかどうかは、設計図、確認済図書、現地測量、既存資料で慎重に確認します。古い建物では竣工図と現況が一致しないことがあります。屋上の工作物、塔屋、煙突、架台、設備基礎、看板支柱などが判断に影響する場合もあります。解体工事は、施工中に構造耐力が段階的に変化するため、建築時よりも倒壊、飛来落下、重機転倒、仮設材の崩壊などのリスクが大きくなることがあります。88条申請の要否だけでなく、解体手順、残存構造の安定、重機作業範囲、立入禁止範囲、搬出動線も計画段階で固めておく必要があります。


解体工事で次に確認すべきなのが、石綿等を含む作業です。労働安全衛生規則第90条では、吹き付けられている石綿等の除去、封じ込め、囲い込みの作業や、石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材等について粉じんを著しく発散するおそれのある除去、封じ込め、囲い込みの作業が対象として定められています。これは建物全体の高さだけでは判断できません。低層の建築物であっても、対象となる石綿等の作業が含まれる場合には、88条申請とは別の届出や報告も含めて、早い段階で整理する必要があります。([厚生労働省][2])


また、廃棄物焼却炉などの特殊設備の解体も注意が必要です。労働安全衛生規則第90条では、一定規模の廃棄物焼却炉を有する施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等の仕事が対象に含まれています。こうした工事では、単なる機械撤去ではなく、有害物ばく露、粉じん、残留物、養生、隔離、洗浄、作業者の保護、廃棄物管理などを一体で計画することが重要です。設備の撤去であっても、実態として解体等に該当する場合は、設備工事と解体工事の両方の視点から確認します。


設備工事や機械設置で88条申請が必要になるケース

設備工事で88条申請が必要かどうかを考えるときは、「設備」という言葉を広く捉えすぎないことが大切です。照明器具の交換、一般的な配線更新、空調機器の通常更新、衛生設備の小規模更新などが、ただちに88条申請の対象になるわけではありません。一方で、危険または有害な作業を必要とする機械等、危険な場所で使用する機械等、危険や健康障害を防止するために使用する機械等のうち、省令で定められたものについては、設置、移転、主要構造部分の変更を行う場合に計画届の確認が必要になります。


労働安全衛生規則第85条では、法第88条第1項の対象となる機械等は、別表第七の上欄に掲げる機械等とされています。別表第七には、化学設備、乾燥設備、一定の溶接装置、型枠支保工、架設通路、足場、有機溶剤等に関する発散源を密閉する設備や局所排気装置、特定化学物質に関する設備など、危険有害性に関わる設備が含まれます。設備工事で「ただの更新」と思っていても、対象設備に該当すれば届出検討が必要です。([厚生労働省][2]) ([厚生労働省][2])


特に工場、処理施設、研究施設、塗装・洗浄・乾燥工程を含む作業場、粉じんや蒸気が発生する作業場では、設備の機能だけでなく、扱う物質、発散源、換気方式、密閉方式、局所排気の能力、作業者の立ち位置、周囲の作業との関係を確認します。安全衛生上の設備は、生産設備の付属物として軽く扱われがちですが、88条申請では、労働災害や健康障害を防止するための設備計画が重要な確認対象になります。


また、設備の「主要構造部分の変更」に当たるかどうかも実務上の論点です。部品交換、消耗品交換、軽微な補修であれば対象外と判断されることもありますが、能力、構造、配置、配管、発散抑制方式、作業方法、安全装置に影響する変更では確認が必要です。名称上は「改修」や「改造」ではなく「更新」でも、実際には主要構造や安全機能に関わる変更である場合があります。判断に迷う場合は、社内の安全衛生担当、元請、専門技術者、所轄窓口への事前確認を工程に組み込むことが現実的です。


建築物や工作物の建設・改造で対象になるケース

建築物や工作物の建設・改造では、高さ31メートルを超えるかどうかが大きな判定ポイントになります。労働安全衛生規則第90条では、高さ31メートルを超える建築物または工作物の建設、改造、解体、破壊が対象に含まれています。ここで重要なのは、対象が新築だけではないことです。改造、解体、破壊も含まれるため、既存建物の大規模改修、耐震補強、構造変更、上部工作物の撤去などでも、実態によっては確認が必要になります。([厚生労働省][2])


建築物の高さは、階数だけでは正確に判断できません。階高の高い工場、倉庫、劇場、プラント関連建屋、立体駐車施設、煙突、塔状工作物、屋外架台などでは、階数が少なくても高さ31メートルを超えることがあります。逆に、階数が多く見えても、対象工事の範囲や作業内容によって判断が必要です。現場では「建物全体の高さ」と「作業対象範囲の高さ」を混同しやすいため、届出要否の確認では、対象物の最高高さ、施工範囲、仮設計画、作業床、重機配置を一体で見ます。


改造工事では、既存構造を残しながら施工するため、解体より安全だと考えられがちです。しかし、構造部材の一部撤去、仮受け、仮支柱、荷重の切替え、設備架台の増設、開口新設などがある場合、施工中の一時的な構造状態が最も危険になることがあります。88条申請の対象に当たる場合は、完成後の図面だけでなく、施工段階ごとの安全計画が重要です。どの段階でどの部材が荷重を受けるのか、仮設材をいつ設置し、いつ撤去するのか、作業者がどの範囲に入るのかを説明できるようにしておきます。


建築物や工作物の工事では、足場の88条申請と建築物本体の88条申請が別の論点として同時に出てくることがあります。例えば、高さ31メートルを超える建築物の改修で、足場も高さ10メートル以上かつ60日以上になる場合、どの届出が必要か、どの計画にどの図面を添付するかを早めに整理する必要があります。工事名を一つにまとめるのではなく、仮設、躯体、解体、設備、搬出入を分けて判定するのが、漏れを防ぐ実務的な方法です。


土木・掘削・トンネル・橋梁で対象になるケース

土木工事では、建築物の高さとは別の基準で88条申請が必要になることがあります。労働安全衛生規則第90条では、最大支間50メートル以上の橋梁の建設等、一定の橋梁上部構造の建設等、労働者が内部に立ち入るずい道等の建設等、掘削の高さまたは深さが10メートル以上である地山の掘削作業、圧気工法による作業などが対象に含まれています。([厚生労働省][2])


掘削工事では、深さ10メートル以上という数値だけでなく、掘削面の下方に労働者が立ち入るかどうかも確認します。機械掘削であっても、人が下方に立ち入る作業、測量、検査、排水、法面整形、支保工設置、埋設物確認などがある場合は、作業実態を丁寧に見る必要があります。掘削の危険は、崩壊、肌落ち、転落、重機との接触、湧水、酸欠、有害ガスなど多岐にわたるため、単純に深さだけを測るのではなく、作業手順と立入範囲を含めて判断します。


トンネルやずい道等では、内部に労働者が立ち入るかどうかが重要です。内部作業を伴う場合は、掘削、支保、換気、照明、避難、通信、湧水、切羽の安定、肌落ち、重機動線などの安全計画が不可欠です。特に山岳部、都市部、既設構造物近接部では、地山条件や周辺影響が変わりやすく、計画段階でのリスク評価が現場の安全に直結します。88条申請のためだけに書類を作るのではなく、施工中に使える安全計画として整えることが重要です。


橋梁工事では、最大支間や上部構造の条件を確認します。橋梁は、河川、道路、鉄道、海上、谷部など、下方や周辺に第三者や既設インフラが存在することが多く、落下、倒壊、架設時の不安定、吊荷、風の影響が大きくなります。支間の数値だけでなく、架設方法、仮支点、ベント、吊り作業、作業床、交通規制、夜間作業の有無まで含めて計画します。対象になる可能性がある土木工事では、設計図面が固まる前の段階から届出要否を確認しておくと、工程遅延を避けやすくなります。


提出期限と提出先を間違えないための整理

88条申請で実務上大きな問題になりやすいのが、提出期限の勘違いです。機械等の設置、移転、主要構造部分変更に関する法第88条第1項の届出は、工事開始の日の30日前までに所轄労働基準監督署長へ届け出ることが定められています。建設業の特に大規模な仕事に関する法第88条第2項の届出は、仕事開始の日の30日前までに厚生労働大臣へ届け出ます。建設業その他の対象仕事に関する法第88条第3項の届出は、仕事開始の日の14日前までに所轄労働基準監督署長へ届け出ることが定められています。([厚生労働省][1])


ここでいう開始日は、契約上の工期開始日ではなく、対象となる工事や仕事を実際に開始する日を基準に考える必要があります。足場であれば足場の組立て開始日、機械等であれば設置や変更工事の開始日、解体であれば対象作業の開始日を確認します。現場全体の着工日はもっと早い場合もありますし、仮囲い、準備工、調査、搬入だけが先行する場合もあります。どの日を届出上の開始日と見るかは、作業内容に応じて整理しておくことが大切です。


提出先も間違えやすいポイントです。多くの実務では所轄労働基準監督署長への届出が中心になりますが、特に大規模な建設業の仕事では厚生労働大臣への届出が必要になります。厚生労働省の建設業安全対策の案内でも、高さ300メートル以上の塔、堤高150メートル以上のダム、最大支間500メートル以上の橋梁、長さ3000メートル以上のずい道等など、特に大規模な仕事が示されています。([厚生労働省][3])


工程管理では、提出日だけでなく、社内確認、専門技術者の確認、図面作成、協力会社からの資料回収、押印や電子手続の準備、行政窓口との事前相談に必要な期間も見込む必要があります。届出期限の直前に資料を集めると、組立図、配置図、工程表、安全対策図、周辺状況図の整合が取れなくなります。88条申請が必要になりそうな工事では、契約直後ではなく、見積段階から提出期限を逆算する運用が望ましいです。


必要書類をそろえるときの実務ポイント

88条申請に必要な書類は、対象となる工事や機械等の種類によって変わります。建設業に係る計画の届出では、仕事を行う場所の周囲の状況や四隣との関係を示す図面、建設等をしようとする建設物等の概要を示す図面、工事用の機械・設備・建設物等の配置図、工法の概要を示す書面または図面、労働災害を防止するための方法および設備の概要を示す書面または図面、工程表などが求められます。法第88条第3項の届出についても、この規定が準用され、提出先は所轄労働基準監督署長に読み替えられます。([厚生労働省][2])


足場の場合は、組立図と配置図が特に重要です。単に平面上に足場位置を示すだけでなく、足場の種類、用途、構造、材質、主要寸法、壁つなぎ、控え、作業床、昇降設備、開口部、養生、周辺道路や隣地との関係を説明できるようにします。高さや設置期間の根拠も工程表と整合させます。現場では、仮設計画図と実際の施工図が別々に作られることがありますが、届出書類では両者の不整合がないように注意します。


解体工事の場合は、解体手順、重機配置、作業半径、倒壊防止、散水、粉じん対策、飛散防止、搬出経路、立入禁止範囲、仮設補強、残存部分の安定を示す資料が重要です。石綿等の作業がある場合は、隔離、負圧、集じん、保護具、廃棄物処理、作業区域、作業者動線など、他の法令手続と重なる内容も整理します。88条申請だけで完結させようとすると漏れが出やすいため、建設リサイクル、石綿関連、道路使用、近隣対策などの別手続と並行して管理します。


設備工事の場合は、設備の構造や配置だけでなく、扱う物質、発散源、排気や排液の処理、密閉や換気の方式、作業者の位置、保守点検時の安全、非常時の停止や隔離などを確認します。対象設備に該当するかどうかの判断が難しい場合は、仕様書、系統図、配置図、作業手順書、安全対策図をそろえたうえで、早めに確認します。書類は「提出できる体裁」だけでなく、「現場でその通りに施工できる具体性」があることが大切です。


88条申請の要否判定で迷いやすい現場例

外壁改修工事では、工事そのものは一般的な改修でも、足場が対象になることがあります。高さ10メートル以上の足場で、組立てから解体まで60日以上となる場合は、足場の計画届を確認します。ここで迷うのは、足場を部分的に盛り替える場合や、複数棟を順番に施工する場合です。棟ごと、足場区画ごと、工程ごとの実態を見て、同一の足場として存置される期間や構造を確認します。


低層建物の解体では、31メートルを超えないから88条申請は不要と判断しがちです。しかし、石綿等の対象作業や廃棄物焼却炉等の特殊設備解体が含まれる場合は、別の基準で対象になる可能性があります。反対に、高さのある看板や煙突、架台、工作物の撤去では、建物本体ではないため見落とされることがあります。工作物も判定対象に含まれるため、名称や用途ではなく、高さと作業実態を確認します。


設備更新では、機器だけを入れ替える小工事に見えても、局所排気装置、密閉設備、化学設備、乾燥設備、特定の有害物に関係する設備では対象性を確認する必要があります。安全衛生に関わる設備は、作業者を守るための設備である一方、設置不良や能力不足があると健康障害につながるため、計画段階で構造、能力、配置を説明できるようにしておきます。単なるメーカー仕様書の添付だけでは、現場条件に適合していることを説明できない場合があります。


土木工事では、掘削深さが日々変わるため、最大深さや最大掘削高さを工程表と照合します。設計上は10メートル未満でも、施工ヤードの高低差、法面の段切り、仮設道路、地下構造物への接続で実際の高低差が大きくなることがあります。測量データ、縦断図、横断図、施工段階図を使い、判定時点の数値を明確にします。迷ったまま着工するのではなく、対象に近い工事は安全側で資料を準備しておく方が、後の工程調整が容易です。


届出後の現場管理で重要になる記録と位置情報

88条申請は、書類を提出して終わりではありません。提出した計画と現場の実態が合っていることを、施工中も確認し続ける必要があります。足場の配置、昇降設備の位置、壁つなぎ、資材置場、重機の作業半径、立入禁止範囲、解体の進行、掘削深さ、仮設設備の変更などは、日々の施工で変化します。変更が計画に影響する場合は、社内での承認や必要な手続を確認し、記録を残しておくことが重要です。


特に大規模な足場や解体、掘削では、写真記録だけでは位置関係が分かりにくくなることがあります。どの面の足場を点検したのか、どの区画の解体が完了したのか、どの掘削範囲で法面状態を確認したのかが曖昧になると、後日の説明や是正対応に時間がかかります。現場写真、点検記録、施工図、工程表を位置情報と結び付けて管理すれば、届出時の計画と現場実態の差分を把握しやすくなります。


また、88条申請が必要な工事は、墜落、倒壊、崩壊、有害物ばく露、重機災害など重大なリスクを含むことが多いため、関係者間の認識合わせが欠かせません。元請、協力会社、安全担当、施工管理者、設計者、発注者が同じ図面と同じ位置情報を見ながら確認できる状態にしておくと、危険箇所の共有、是正指示、施工段階の切替えがスムーズになります。安全計画は紙の書類だけでなく、現場で使える情報として運用することが大切です。


この点で、スマートフォン装着型の高精度測位ツールであるLRTK Phoneは、現場写真や点検記録に高精度な位置情報をひもづけ、足場、解体範囲、設備設置位置、掘削範囲などを現地で確認しやすくする手段として活用できます。88条申請そのものは法令に基づく届出手続ですが、届出後の施工管理では、計画した場所で、計画した範囲を、計画どおりに管理できているかが重要です。位置情報を活用した記録は、現場の安全管理と説明性を高めるうえで有効です。


まとめ:早い段階で対象工事を判定し安全計画に落とし込む

88条申請が必要な工事かどうかは、工事件名だけでは判断できません。足場であれば、つり足場や張出し足場か、それ以外なら高さ10メートル以上か、組立てから解体まで60日以上かを確認します。解体であれば、高さ31メートルを超える建築物や工作物か、石綿等の対象作業があるか、特殊設備の解体等に該当するかを見ます。設備工事であれば、単なる一般設備更新ではなく、別表対象の機械等や危険有害性に関わる設備かどうかを確認します。土木では、橋梁、トンネル、掘削、圧気工法などの条件を見落とさないことが重要です。


提出期限は、対象区分によって30日前または14日前となるため、工事開始直前に判断していては間に合わないことがあります。88条申請が必要かどうかは、見積段階、施工計画段階、仮設計画段階、協力会社との調整段階で繰り返し確認するのが安全です。特に足場の設置期間、解体対象物の高さ、設備の有害性、掘削深さは、工程変更や調査結果によって変わることがあるため、初期判断だけで固定しないことが大切です。


88条申請は、行政手続であると同時に、重大な労働災害を防ぐための計画づくりです。必要書類を整えるだけでなく、現場で使える図面、工程表、安全対策、点検記録、写真記録に落とし込むことで、届出の意味が実際の安全管理につながります。足場、解体、設備、掘削などの位置を正確に把握し、施工中の変化を記録する体制を整えたい場合は、LRTK Phoneのような高精度な位置情報を扱える現場ツールを活用し、88条申請後の施工管理まで一貫して見える化していくことが有効です。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page