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88条申請の対象になる足場設置で注意する5条件

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

88条申請の対象になる足場設置かどうかを判断するとき、現場では「足場だから必要」「短期だから不要」「高さだけ見ればよい」といった単純な分け方をしてしまいがちです。しかし、実務上は、足場の種類、高さ、組立てから解体までの期間、設置・移転・主要構造部分の変更の有無、図面や構造確認で説明できる計画性まで含めて整理しなければ、着工直前に届出の要否で迷うことがあります。


なお、実務では「88条申請」と呼ばれることがありますが、法令上は労働安全衛生法第88条に基づく計画の届出として扱われます。足場については、一般に、つり足場、張出し足場、またはそれ以外の足場で高さが10メートル以上の構造となるものが確認対象になり、さらに組立てから解体までの期間が60日以上になるかを合わせて見ます。対象になる場合は、工事開始日の30日前までに所轄の労働基準監督署長へ届け出る前提で準備を進める必要があります。ただし、個別の判断は足場の形式、設置条件、変更内容、所轄の運用によって確認が必要です。


特に、建設現場では工程変更、外壁仕様の変更、資材搬入計画の見直し、仮囲いとの干渉、隣地や道路側への張出し、シート設置による風の影響など、当初図面だけでは判断しきれない条件が重なります。この記事では、「88条申請 対象」で検索する実務担当者に向けて、足場設置で注意したい5つの条件を、現場で確認しやすい順番で解説します。


目次

88条申請は足場の安全計画を事前に届け出る手続き

条件1 足場の種類と高さだけで対象外と決めつけない

条件2 組立てから解体までの設置期間を正確に見る

条件3 新設だけでなく移設や主要構造部分の変更も確認する

条件4 図面と計算で説明できる足場計画になっているかを見る

条件5 現場条件の変化が足場の安全性を変えないか確認する

対象判断で迷いやすい足場設置の実務ポイント

88条申請の対象確認を早めに始めるための進め方

まとめ


88条申請は足場の安全計画を事前に届け出る手続き

88条申請という言い方は実務で広く使われますが、正式には労働安全衛生法第88条に基づく計画の届出として整理するのが安全です。足場の場合、一定の条件に該当する設置、移転、主要構造部分の変更について、工事を始める前に計画を整理し、所轄の労働基準監督署長へ届け出る流れになります。ここで重要なのは、単なる事務手続きではなく、足場の構造、用途、設置期間、組立図、配置図、安全上の根拠を事前に確認できる状態にするための手続きだという点です。


足場は、現場で働く人が長時間乗る作業床であり、資材を置き、移動し、外壁作業や設備作業、補修作業を行うための基盤になります。高所作業に使われるため、墜落、転落、足場の変形、倒壊、部材の落下、強風時のあおり、第三者災害など、多くのリスクと直結します。そのため、対象となる足場では「現場で組みながら調整する」という感覚だけでは不十分です。事前に、どこへ、どの種類の足場を、どの高さで、どの期間、どのような構造で設置するのかを説明できる状態にしておく必要があります。


足場の88条申請でまず押さえるべき基本は、すべての足場が届出対象になるわけではないという点です。実務上は、つり足場や張出し足場に該当するか、つり足場・張出し足場以外の足場で高さが10メートル以上の構造となるか、さらに組立てから解体までの期間が60日以上になるかを確認します。高さが10メートル未満であっても、つり足場や張出し足場に該当する可能性があれば、高さだけで対象外と決めるのは危険です。一方で、高さが10メートル以上に見える足場でも、設置期間や足場の種類、除外条件を確認せずに結論を出すべきではありません。


また、足場の88条申請では、対象か対象外かを判断するだけではなく、対象外と判断した根拠を残すことも実務上重要です。たとえば、高さが基準に届かない、設置期間が60日未満である、対象となる種類に該当しないと判断した場合でも、その判断に使った図面、工程表、足場計画、変更履歴が残っていなければ、後で説明が難しくなります。現場では、当初は短期設置のつもりだった足場が工程遅延で長期化することもありますし、部分的な盛替えのつもりが主要な支持条件の変更につながることもあります。


88条申請の対象確認は、法令担当者だけの仕事ではありません。施工管理者、元請担当者、足場業者、設計担当者、安全衛生担当者が同じ前提で判断できるようにする必要があります。特に、足場の高さや設置期間は、現場の見た目だけでは判断できないことがあります。建物の一部だけに設置する足場、斜面地に立つ足場、段差のある敷地に設ける足場、途中で増し組みする足場などは、基準面や最高部の取り方、実際の設置範囲によって判断が分かれやすくなります。


したがって、88条申請の対象になる足場設置かどうかを考えるときは、まず「足場を設置する」という事実だけを見るのではなく、法令上の対象条件に照らして、足場の種類、高さ、期間、変更内容、計画資料の整合性を順番に確認することが大切です。以下では、その中でも特に注意すべき5条件を実務目線で整理します。


条件1 足場の種類と高さだけで対象外と決めつけない

足場設置で最初に確認すべき条件は、足場の種類と高さです。足場の届出対象を考える場合、つり足場、張出し足場に該当するかどうかを先に確認し、そのうえで、それ以外の足場については高さが10メートル以上の構造になるかを見ます。ここで注意したいのは、単純に地面から最上段までを目測して終わらせないことです。図面上の高さ、実際の設置地盤、段差、基礎天端、敷板、ジャッキベース、作業床の位置、手すりや養生設備の扱いなど、どの部分を足場の構造高さとして整理するのかを確認しなければなりません。


特に、建物外周に沿って設置する足場では、敷地に高低差がある場合があります。道路側と敷地奥で地盤高さが違う現場、法面に近い現場、既存擁壁の上に作業床を設ける現場では、低い側から見ると高さが大きくなります。図面上では一見低く見えても、実際の立面で確認すると対象条件に近づくことがあります。逆に、建物の途中階や構台上から立ち上げる足場では、足場そのものの構造高さと作業位置の高さを分けて整理する必要があります。


また、つり足場や張出し足場のように、支持方法や荷重の伝わり方が通常の地上組み足場と異なるものは、高さだけで対象外と判断するのは危険です。地上から建て上げる足場と違い、つり材、張出し材、固定部、支持部、躯体側の取付条件が安全性を大きく左右します。足場の名称が同じでも、支持形式が変われば確認すべき資料や安全上の論点も変わります。現場で「低い位置にあるから大丈夫」と考えていても、足場の種類としては慎重な判断が必要になることがあります。


さらに、足場と架設通路が組み合わさっている現場にも注意が必要です。外部足場に昇降設備や仮設通路を接続している場合、足場本体の条件だけを見ていると、通路部分の条件を見落とすことがあります。架設通路についても、高さや長さ、設置期間によって届出対象になる場合があります。仮設階段、登り桟橋、渡り通路、構台との接続部などは、作業員の移動経路であり、墜落や転倒、すれ違い、資材運搬時の偏荷重が起こりやすい部分です。88条申請の対象判断では、足場本体と周辺の仮設設備を切り離しすぎず、全体としてどのような仮設計画になっているかを確認することが大切です。


足場の種類と高さを確認するときは、呼び名だけで判断しない姿勢が必要です。くさび緊結式、枠組、単管、つり、張出し、移動式など、現場ではさまざまな呼び方が使われますが、届出の対象確認では、構造、支持方法、用途、設置範囲、最高高さが説明できることが重要です。足場業者の見積書や施工計画書に書かれた名称だけでなく、組立図、配置図、立面図、断面図を合わせて確認し、実際の構造がどの分類に近いのかを整理しておきましょう。


対象外と判断する場合も、「高さが足りないから不要」と一言で済ませるのではなく、どの図面で高さを確認したのか、どの基準面から測ったのか、途中で高さが変わる可能性はないのかを記録しておくと安心です。後から足場を延長する、上部に養生設備を追加する、作業床を増やす、外周全体へ範囲を広げるといった変更が出たときも、当初判断との違いを確認しやすくなります。


条件2 組立てから解体までの設置期間を正確に見る

次に注意すべき条件は、足場の設置期間です。足場の88条申請では、組立てから解体までの期間が60日以上になるかどうかが重要になります。現場では「実作業は短い」「外壁工事は1か月程度」「足場を使うのは数週間」といった感覚で判断されることがありますが、確認すべきなのは実際に足場が組み立てられてから解体されるまでの期間です。作業していない日があっても、足場が現場に存在し続けるのであれば、その期間に含めて考える必要があります。


設置期間で特に多い誤りは、工種ごとの作業期間だけを見てしまうことです。たとえば、外壁補修作業そのものは短期間でも、足場の組立て、検査、養生、下地確認、補修、塗装、乾燥、設備取付、清掃、検査、是正、解体までを含めると、当初想定より長くなることがあります。天候不良、資材遅延、設計変更、近隣調整、他工種待ち、休日規制なども期間延長の原因になります。設置期間は楽観的な工程ではなく、現実的な余裕を見た工程表で確認することが大切です。


また、設置期間の判断では、足場全体を一度に組んで一度に解体するのか、区画ごとに組み替えるのかも重要です。建物の面ごとに盛替えを行う場合、各区画の足場は短期間でも、同一現場で足場が連続的に存在する期間が長くなることがあります。ここで、別々の足場として扱えるのか、一連の足場計画として見るべきなのかは、現場条件や計画内容によって慎重に整理する必要があります。単に「この面だけなら短い」と判断するのではなく、工程表、配置図、盛替え手順、解体範囲を合わせて確認しましょう。


設置期間が途中で延びる可能性も見逃せません。当初は60日未満として対象外と判断していた足場でも、工程遅延によって解体予定日が後ろ倒しになると、判断の前提が変わることがあります。現場では、変更が発生してから慌てて確認するのではなく、工程会議の段階で足場の存置期間を継続的に見直す運用が必要です。特に、外部足場は複数工種が共用することが多く、外壁、屋根、設備、看板、検査、補修などが追加されると、解体時期がずれ込みやすくなります。


設置期間を正確に見るためには、工程表に「足場組立開始日」と「足場解体完了日」を明記しておくことが有効です。単に工種名として「足場工事」と書くのではなく、どの区画をいつ組み、いつ使用し、いつ解体するのかを見える形にすることで、対象判断の根拠が明確になります。解体完了日が未定のまま着工準備を進めると、短期設置という前提が崩れたときに説明が難しくなります。


実務では、発注者や元請の工程表と足場業者の工程表が一致していないこともあります。元請の全体工程では足場解体が月末になっているのに、足場業者の計画では翌月に解体予定となっているような場合、どちらを前提に対象判断したのかが曖昧になります。88条申請の対象確認では、関係者の工程を突き合わせ、最も現実に近い設置期間を確認することが欠かせません。


設置期間が60日前後になる足場では、特に早めの確認が必要です。届出対象になる場合、工事開始直前に書類を整えようとしても間に合わないことがあります。工程表上で50日台の予定になっている足場でも、予備日、検査日、是正日、雨天順延、他工種の追加使用を考えると、60日以上になる可能性があります。短期前提の足場ほど、工程変更が発生した段階で届出要否を再確認する運用を決めておくことが重要です。


条件3 新設だけでなく移設や主要構造部分の変更も確認する

足場の88条申請で見落としやすいのが、新設時だけでなく、移設や主要構造部分の変更も確認対象になるという点です。現場では、最初の足場計画については丁寧に確認していても、工事が始まってからの盛替え、増し組み、控えの変更、壁つなぎ位置の変更、シート追加、作業床の拡張などについては「現場対応」として処理されがちです。しかし、足場の安全性に関わる構造条件が変わる場合、当初計画のままでよいとは限りません。


主要構造部分の変更に当たるかどうかは、単純な部材交換か、足場全体の強度や安定性に影響する変更かを見て判断する必要があります。たとえば、損傷した部材を同等品に交換するだけであれば、計画そのものの変更とは性格が異なります。一方で、建地の配置を変える、布材や筋交いの配置を変える、壁つなぎの位置や間隔を変える、張出し部を追加する、つり材の支持点を変更する、荷受けステージを追加する、シートや防音パネルを追加して風の影響が大きくなるといった変更は、足場の構造的な前提を変える可能性があります。


特に注意したいのは、施工途中で発生する「少しだけ」の変更です。外壁の出っ張りを避けるために一部を張り出す、設備配管のために作業床を広げる、搬入口を確保するために建地を抜く、近隣要望で養生シートの範囲を増やすといった変更は、ひとつひとつは小さく見えても、積み重なると当初計画と大きく違う足場になります。こうした変更を記録せずに進めると、後で安全性や届出要否を説明しにくくなります。


移設についても同様です。同じ部材を使うから対象外、同じ建物だから対象外と決めつけるのは危険です。設置場所が変われば、地盤条件、壁つなぎの相手、建物形状、風の受け方、隣地との距離、架空線との関係、搬入経路が変わります。足場の部材が同じでも、支持条件が変われば安全計画は別物になることがあります。移設後の高さや期間が対象条件に該当するか、変更後の構造が図面で説明できるかを確認する必要があります。


また、計画変更が発生した場合は、誰が判断するのかを事前に決めておくことが重要です。現場代理人、監理技術者、安全衛生責任者、足場業者の職長、設計担当者がそれぞれ別々に判断していると、変更の扱いが曖昧になります。変更が生じたときは、変更内容、変更理由、影響する部位、構造への影響、工程への影響、必要な図面修正を確認し、必要に応じて所轄の窓口に確認する流れを決めておくと、後手に回りにくくなります。


新設時の申請対象確認はもちろん重要ですが、足場は工事中に変化しやすい仮設物です。だからこそ、最初に対象外と判断した後も、足場が変わるたびに判断の前提を見直す姿勢が必要です。88条申請の対象になるかどうかは、着工前の一回だけで終わる確認ではなく、足場計画が変わるたびに再確認すべき管理項目だと考えると実務に合います。


条件4 図面と計算で説明できる足場計画になっているかを見る

88条申請の対象になる足場では、計画を言葉だけで説明するのではなく、図面や資料で確認できる状態にしておく必要があります。足場の設置箇所、種類、用途、構造、材質、主要寸法、設置期間などは、関係者が同じ内容を確認できるように整理することが大切です。組立図や配置図が不足していると、足場の高さや範囲、壁つなぎ、作業床、昇降設備、張出し部、開口部まわりの処理が読み取れず、申請対象かどうか以前に安全計画として不安が残ります。


図面で特に確認したいのは、平面と立面の整合です。平面図では建物外周に沿って足場が配置されていても、立面図や断面図を見ると、高さが大きく変わる部分、張出しが必要な部分、屋根や庇を避ける部分、搬入口として開口を設ける部分が見えてきます。足場は三次元の仮設構造物であるため、平面図だけで判断すると、実際の危険箇所を見落としやすくなります。高さ、幅、建地間隔、作業床の段数、壁つなぎ位置、筋交い、昇降設備を、平面と立面の両方から確認しましょう。


計算が必要になる場面にも注意が必要です。足場外周に養生シート、防音パネル、落下物防止設備などを取り付ける場合、風の影響が大きくなります。見た目には単なる養生追加でも、足場全体にかかる水平力や壁つなぎの負担が変わることがあります。重量物を置く作業床、荷受けステージ、資材仮置き、クレーンや揚重設備との接続、つり足場や張出し足場の支持部なども、構造的な確認が必要になりやすい部分です。


また、図面と現場が一致しているかも重要です。届出用の図面では壁つなぎが一定間隔で配置されていても、実際には開口部、外壁材、設備配管、仕上げ材、躯体の強度不足などにより、図面どおりに設置できないことがあります。現場で壁つなぎ位置を変更する場合、変更後の負担領域や補強方法を確認しなければ、当初の計算根拠と合わなくなります。図面は提出用に作って終わりではなく、現場で再現できる内容であることが重要です。


足場計画の資料では、設置期間も図面や工程表と整合させる必要があります。工程表では60日未満の予定になっているのに、設置期間を示す資料では余裕を見て60日以上になる可能性がある場合、対象判断がぶれることがあります。逆に、工程変更で設置期間が延びたのに資料が更新されていない場合も問題です。申請対象かどうかの判断には、図面、工程表、施工計画書、変更履歴が同じ前提でそろっていることが求められます。


図面と計算で説明できる状態にしておくことは、監督署対応のためだけではありません。現場の安全打合せ、協力会社との施工手順確認、作業主任者への引継ぎ、日々の点検、強風後の確認、是正指示にも役立ちます。足場の安全性は、現場の経験だけでなく、資料として共有できる根拠によって支えられます。88条申請の対象になる可能性がある足場ほど、初期段階から図面と計算を整え、変更があれば速やかに反映する運用を意識しましょう。


条件5 現場条件の変化が足場の安全性を変えないか確認する

5つ目の条件は、現場条件の変化です。足場の対象判断では、高さや期間のような数値条件に目が向きがちですが、実際の安全性は現場環境によって大きく変わります。同じ高さ、同じ種類、同じ設置期間の足場でも、設置場所が変わればリスクは変わります。強風を受けやすい場所、海沿い、河川沿い、高層建物の谷間、交通量の多い道路沿い、隣地境界が近い場所、架空線がある場所、地盤が軟弱な場所では、足場計画に求められる確認も増えます。


まず確認したいのは、足場の脚部条件です。地盤が軟らかい、既存舗装の下が不明、埋戻し直後、雨水がたまりやすい、勾配がある、地下埋設物が近いといった条件では、脚部の沈下や滑動に注意が必要です。足場の高さが基準に近い場合、脚部のわずかな沈下や傾きが上部では大きな変位につながることがあります。敷板、敷角、ベース金具、根がらみ、排水処理、沈下確認の方法を、設置前に整理しておく必要があります。


次に、風の影響です。足場にシートを張る、パネルを取り付ける、落下防止設備を追加する、看板や仮囲いと一体化する場合、風を受ける面積が増えます。外壁工事では、粉じんや塗料飛散、落下物対策のために養生を強化することがありますが、養生の強化は風の影響の増加につながります。風の影響を考慮しないままシート範囲を広げると、壁つなぎや建地、筋交いに想定以上の力がかかることがあります。対象判断だけでなく、安全計画として、強風時の対応やシートのたたみ方、点検方法も合わせて確認しましょう。


第三者との関係も重要です。道路や歩道に面した足場、店舗や住宅に近い足場、学校や病院、駅周辺など人の往来が多い場所では、足場の倒壊や部材落下が作業員以外にも影響します。道路使用や占用の調整、歩行者通路の確保、落下物対策、夜間の視認性、車両接触防止、仮囲いとの取り合いなど、現場条件に応じた計画が必要です。88条申請の対象になる足場では、こうした周辺リスクも計画資料に反映されているか確認すると実務上安心です。


さらに、架空電線や近接設備との干渉も見逃せません。足場を組み上げた後に電線との離隔が不足していることに気づくと、工程にも安全にも大きな影響が出ます。足場の設置範囲、作業員の移動、資材の揚重、長尺材の取り回しを考慮し、電路の防護、移設、作業制限、関係者調整が必要かを早めに確認することが大切です。足場そのものの高さが対象条件に該当するかだけでなく、周辺環境によって計画の慎重さが変わると考えるべきです。


現場条件は、工事が進むにつれて変化します。地盤が掘削される、仮設道路が移る、資材置場が増える、他工区のクレーンが近づく、外壁仕上げが変わる、近隣との協議で養生範囲が変わるなど、当初の足場計画に影響する変更は少なくありません。88条申請の対象確認では、着工前の状態だけでなく、工事期間中に起こり得る変化も見込んでおくことが重要です。


対象判断で迷いやすい足場設置の実務ポイント

足場の88条申請で迷いやすいのは、法令上の基準に該当するかどうかだけではありません。現場では、判断に必要な情報が分散していることが多く、誰も全体像を把握していないまま工程が進むことがあります。建築図、仮設計画図、足場業者の組立図、工程表、外壁工事の施工計画、設備工事の搬入計画、安全衛生計画が別々に作られていると、足場の高さや期間、用途、変更予定が一致しないことがあります。


たとえば、外壁補修のための足場として計画していたものが、後から屋上設備更新や看板撤去にも使われることがあります。この場合、作業内容が増え、作業床の使用範囲や積載条件、設置期間が変わる可能性があります。足場は一度組むと便利に使えるため、現場では「ついでに使う」工種が増えがちです。しかし、用途が増えれば安全上の前提も変わります。対象判断の段階で、足場を誰が、何の作業に、いつまで使うのかを確認しておく必要があります。


また、部分足場にも注意が必要です。建物全面ではなく、一部だけに足場を設置する場合でも、高さや構造、期間によっては慎重な確認が必要です。特に、部分的な張出し、開口部まわり、庇の上、塔屋まわり、設備架台まわりなどは、通常の外周足場より複雑な支持条件になることがあります。足場面積が小さいから安全とは限りません。小規模に見える足場でも、支持点が限られる、偏荷重がかかる、作業員の移動経路が狭いといった問題があれば、計画の説明性が求められます。


短期工事でも油断は禁物です。組立てから解体までの期間が60日未満で届出対象外になる可能性があるとしても、足場の組立て、使用、解体に伴う危険がなくなるわけではありません。届出の対象外であっても、足場の組立て等作業主任者の選任、組立て後点検、作業床や手すりの設置、最大積載荷重の表示、部材の状態確認、悪天候後の点検など、別の安全管理は必要です。88条申請の要否と安全管理の要否を混同しないことが大切です。


対象判断で迷ったときに避けたいのは、口頭確認だけで進めることです。「前の現場では不要だった」「同じような規模だから不要だと思う」「足場業者が大丈夫と言っていた」といった判断は、後から根拠を示しにくくなります。現場ごとに高さ、期間、種類、用途、支持条件、周辺条件は異なります。同じ会社、同じ建物用途、同じ足場形式であっても、対象判断が同じになるとは限りません。


実務では、対象判断の記録として、足場の種類、高さ、設置期間、設置範囲、変更予定、確認した図面、確認日、確認者を残しておくと有効です。対象外と判断した場合も、その理由を工程表や図面と結びつけておくことで、後から変更が出たときに再確認しやすくなります。対象になる可能性がある場合は、提出期限や資料作成に時間が必要になるため、早めに安全衛生担当者や所轄の窓口に相談できる体制を整えておきましょう。


88条申請の対象確認を早めに始めるための進め方

足場設置の88条申請で失敗しないためには、対象確認を工程の後半に回さないことが重要です。足場は仮設工事でありながら、建築、外装、設備、解体、補修、検査など多くの工程に関わります。足場計画が遅れると、全体工程にも影響します。特に、対象となる可能性がある足場では、工事開始前の届出期限を意識し、資料作成、社内確認、関係者調整、必要に応じた行政確認を行う時間を確保しなければなりません。


最初に行うべきことは、足場計画の前提を一枚の情報として整理することです。設置場所、足場の種類、最高高さ、組立開始予定日、解体完了予定日、用途、作業内容、養生の有無、シートやパネルの有無、荷受け設備の有無、張出しやつり構造の有無、道路や隣地への影響、架空線の有無をまとめると、対象判断の抜け漏れが減ります。これらは複雑な文章でまとめる必要はありませんが、関係者が同じ前提を見られる状態にすることが大切です。


次に、工程表と図面を照合します。工程表では短期に見えても、図面上では複数工区にまたがる足場になっている場合があります。図面上では単純な外部足場に見えても、工程上は途中で盛替えや増し組みが予定されている場合があります。工程表と図面を別々に確認すると、こうしたズレに気づきにくくなります。対象確認では、工程と形状を同時に見ることが欠かせません。


そのうえで、変更が起こりそうなポイントを事前に洗い出します。外壁の下地状況が未確認、既存図が不正確、設備配管の位置が未確定、近隣協議中、道路使用条件が未確定、資材搬入方法が未定、屋上作業の追加可能性があるといった場合は、足場計画が変わる可能性があります。最初の判断だけで終わらせず、どの条件が変わったら再確認するのかを決めておくと、現場対応が早くなります。


資料作成の担当と確認の担当も明確にしましょう。足場業者が組立図を作成し、元請が工程と全体計画を確認し、安全衛生担当者が対象判断と届出要否を確認し、必要に応じて設計者や構造担当が支持条件を確認するというように、役割を分けておくと漏れが減ります。反対に、誰かが見ているはずという状態では、最終確認が曖昧になりがちです。


現場での位置確認も早めに行うべきです。図面上の足場配置が現地条件と合っているか、境界、段差、排水、既存物、架空線、搬入経路、仮設トイレや資材置場との干渉がないかを確認します。現場の写真記録、位置情報、変更履歴を活用して、足場の設置範囲や変更箇所を記録する方法も有効です。図面上の計画と現地の実態を早い段階で突き合わせることで、申請対象判断だけでなく、施工時の手戻り防止にもつながります。


まとめ

88条申請の対象になる足場設置かどうかを判断するには、足場の種類、高さ、組立てから解体までの設置期間、移設や主要構造部分の変更、図面と計算の整合、現場条件の変化を総合的に確認する必要があります。特に、つり足場や張出し足場に該当するのか、それ以外の足場で高さ10メートル以上の構造になるのか、さらに設置期間が60日以上になるのかは、早い段階で整理すべき基本条件です。


また、設置期間は実作業の日数ではなく、組立てから解体までの期間で考えることが重要です。短期設置の予定でも、工程遅延や追加工事によって期間が延びることがあります。対象外と判断した場合でも、その根拠となる工程表や図面、確認記録を残し、条件が変わったときに再確認できるようにしておくことが実務上の安全策になります。


足場は仮設物ですが、作業員の命を預ける重要な構造物です。届出の要否だけに目を向けるのではなく、足場計画を図面、工程、現地条件、変更管理の面から説明できる状態にしておくことが、事故防止と手戻り防止の両方につながります。判断に迷う場合は、社内の安全衛生担当者や専門業者だけで完結させず、必要に応じて所轄の労働基準監督署に確認する姿勢も大切です。


足場設置の計画を安全に進めるには、現地の位置、設置範囲、写真、変更箇所を正確に記録し、関係者間で共有できる仕組みも役立ちます。88条申請の対象確認とあわせて、足場計画の根拠を現場で残し、変更時にも説明できる体制を整えていきましょう。


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