top of page

14条業務で借家人がいる土地所有者の5つの準備

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均7分30秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

14条業務では、不動産登記法第14条第1項地図の作成に向けて、土地の位置、形状、筆界、地番などを現地と資料の両面から確認していきます。対象地に土地所有者本人が居住している場合でも準備は必要ですが、借家人がいる土地では、登記上の所有者、現地で生活している人、敷地を日常的に使っている人が分かれるため、連絡や立入りの調整が複雑になりやすくなります。


特に注意したいのは、借家人が現地の状況に詳しい場合でも、筆界や土地所有者としての意思確認を行う立場とは限らないという点です。14条業務で確認する中心は、所有権の範囲を新たに決めることではなく、資料、現地状況、関係者の認識などを踏まえて、登記所に備え付ける地図の精度を高めるための確認です。そのため、土地所有者と借家人の役割を分け、借家人には生活空間への立入りや現地情報の聞き取りについて丁寧に説明する必要があります。


借家人がいる土地では、境界付近の確認、写真記録、測量機器の設置、隣接地との立会いなどが、借家人の日常生活に直接影響することがあります。突然作業者が訪問したり、敷地の奥や建物裏に入ったりすると、借家人が不安を感じ、作業への協力を得にくくなるおそれがあります。土地所有者は、14条業務の対象になった時点で、現地に住む人への説明と調整を自分ごととして考えることが重要です。


この記事では、借家人がいる土地所有者が14条業務に備える際に確認しておきたい5つの準備を、実務上の注意点とあわせて解説します。


目次

14条業務で借家人がいる土地が難しくなる理由

準備1として土地所有者と借家人の関係を整理する

準備2として現地立入りと確認範囲を事前に伝える

準備3として筆界に関する資料と過去の経緯を集める

準備4として立会い日程と連絡経路を一本化する

準備5として借家人の生活影響とトラブル予防を確認する

14条業務を円滑に進めるための実務上の注意点

まとめ


14条業務で借家人がいる土地が難しくなる理由

14条業務で扱う土地では、登記記録上の所有者と現地の利用者が一致しているとは限りません。土地所有者が遠方に住んでいて建物を貸している場合や、敷地の一部を借家人が駐車場、庭、通路、物置置場として日常的に使っている場合があります。このような土地では、境界付近の現況に最も詳しい人が所有者ではなく借家人であることもあります。


一方で、筆界に関する確認や土地所有者としての意思表示は、借家人だけで完結できるものではありません。借家人は現地の使われ方や過去の変化を説明できることがありますが、登記上の土地所有者として確認する立場とは異なります。したがって、実務では、所有者に確認すべきこと、借家人に説明すべきこと、借家人から聞き取れる現地情報を分けて整理する必要があります。


借家人がいる土地で起こりやすい問題は、連絡不足による不信感です。突然、測量や現地確認の担当者が敷地付近を訪れると、借家人は何の作業なのか、建物や生活に影響があるのか、自分が何か判断しなければならないのかを不安に感じます。特に庭、駐車場、勝手口周辺、物置の裏側、ブロック塀付近など、生活空間に近い場所を確認する場合は、事前説明の有無が作業の進み方を大きく左右します。


土地所有者が借家人に十分な説明をしていないと、敷地内への立入りを断られる、境界標の確認ができない、写真記録が残せない、隣接地所有者との立会いに支障が出るといった問題につながります。14条業務は公共性のある地図整備に関わる作業ですが、現地では個人の生活空間に近い場所を扱うため、作業の目的を説明したうえで、必要な範囲に限って協力を得る姿勢が欠かせません。


また、借家人が長く住んでいる土地では、所有者よりも借家人のほうが、過去の塀の改修、隣地との通路利用、排水経路、越境物の有無、樹木や構造物の移動履歴を覚えていることがあります。こうした情報は、筆界を直接決める証拠として扱うのではなく、現地調査で注意すべき箇所を把握する手がかりとして役立ちます。


ただし、借家人から得た情報をそのまま筆界確認の結論にすることは避けるべきです。記憶違い、生活上の慣習、近隣との口約束、以前の利用方法が混ざることもあります。借家人の発言は、登記関係資料、公図、地積測量図、過去の境界確認書、現地の境界標、隣接地所有者や土地所有者の認識と照合しながら扱う必要があります。


準備1として土地所有者と借家人の関係を整理する

最初に行うべき準備は、土地所有者と借家人の関係を整理することです。14条業務の通知や連絡は土地所有者に届いていても、実際に現地で対応するのは借家人である場合があります。反対に、借家人が現地で対応できると思っていたら、所有者から立入りや写真撮影について十分な説明がされていなかったということもあります。こうした行き違いを防ぐためには、所有者、借家人、管理会社、親族、代理人の役割を早い段階で確認しておくことが重要です。


実務上まず確認したいのは、対象地に誰が住んでいるのか、誰が日常的に敷地を使用しているのか、土地所有者本人が現地に来られるのかという点です。借家人がいる場合でも、所有者が近隣に住んでいて立会いに参加できる場合と、所有者が遠方にいて借家人への説明を管理会社に任せたい場合では、段取りが大きく変わります。所有者が現地に来られない場合は、借家人にどこまで協力を依頼できるのかを事前に明確にしておく必要があります。


借家人との関係では、賃貸借契約の細かな内容まで14条業務の担当者が踏み込む必要は通常ありません。しかし、敷地のどの範囲を借家人が日常的に使っているのかは確認しておくと安全です。建物内だけを借りているのか、庭や駐車場も使っているのか、物置や外構周辺も借家人が管理しているのかによって、現地確認時に配慮すべき範囲が変わります。


特に境界付近に借家人の私物、車両、植木鉢、資材、自転車などが置かれている場合は、作業当日に移動が必要になることがあります。土地所有者がその状況を把握していないまま日程だけを決めると、当日になって確認できない場所が出るおそれがあります。所有者は、借家人に対して、境界付近の確認があること、支障物の移動をお願いする場合があることを事前に伝えておくとよいでしょう。


土地所有者には、14条業務の目的と、借家人への事前説明が必要であることを理解してもらう必要があります。単に調査が入ると伝えるだけでは、借家人にとっては何をされるのか分かりません。敷地外周の確認、境界標の確認、測量作業、隣地との立会い、必要な写真記録など、想定される作業を具体的に説明できるようにしておくことが大切です。


所有者と借家人の関係が良好でない場合や、連絡が取りにくい場合には、作業の進行に影響が出る可能性があります。借家人が所有者からの連絡に応じない、所有者が現地の使用状況を把握していない、敷地の一部について過去にトラブルがあったといった事情がある場合は、無理に現地調査を進めるのではなく、関係者の認識を整理してから進めるほうが安全です。


重要なのは、誰が立会いに参加するのか、誰が現地立入りについて説明を受けているのか、誰に日程変更を伝えるのかを曖昧にしないことです。所有者と借家人の双方が相手に伝わっているはずだと思っている状態は、現地トラブルが起こりやすい状態です。土地所有者に対しては借家人への説明が必要であることを伝え、借家人に対しては作業の目的と生活への影響を分かりやすく説明することが、円滑な14条業務の出発点になります。


準備2として現地立入りと確認範囲を事前に伝える

借家人がいる土地では、現地立入りの伝え方が非常に重要です。14条業務では、道路沿いから見える範囲だけでなく、敷地の奥、隣地境界付近、建物の裏側、塀の基礎周辺、水路や通路に接する部分などを確認することがあります。借家人にとっては、それらの場所が生活空間の一部であり、突然入られると不安や抵抗を感じる可能性があります。


事前説明では、作業日、作業時間帯、訪問する人数、作業の内容、立入りが必要な範囲、写真を撮る可能性、車両や荷物の移動が必要になる可能性をできるだけ具体的に伝えます。敷地の外周を歩く、境界標を探す、塀や側溝の位置を確認する、測量機器を設置する、隣地側から見える場所を確認するなどの行為は、借家人の生活感覚では大きな出来事に感じられることがあります。


立入り範囲を説明する際には、建物内部に入る必要があるのか、屋外だけで完結するのかを明確にすることも大切です。14条業務に伴う現地確認では、多くの場合、境界や外周部の確認が中心になりますが、借家人は家の中まで確認されるのではないかと不安に思うことがあります。屋外の境界付近が主な確認対象であること、必要がない限り建物内部には立ち入らないこと、写真記録も作業目的に必要な範囲で行うことを説明すると、理解を得やすくなります。


また、借家人のプライバシーに配慮した記録の取り方も重要です。境界付近を撮影する際に、洗濯物、車両番号、室内が見える窓、個人が特定される物品などが写り込む可能性があります。実務担当者は、必要な位置情報や境界状況を記録しつつ、生活情報が過度に写らないように配慮する必要があります。借家人に対しても、記録の目的が筆界や地図整備に関わる確認であり、生活状況を調べるものではないことを説明しておくと安心につながります。


現地立入りの前には、境界付近に置かれた物の移動が必要かどうかも確認します。境界標が植木鉢の下、物置の裏、自転車置き場の近く、駐車車両の脇などにある場合、当日になって確認できないことがあります。借家人に対して、境界付近の確認に支障が出そうな物があれば事前に相談したい旨を伝え、無理のない範囲で協力を依頼します。勝手に物を動かすことは避け、移動が必要な場合は借家人または所有者の確認を得ることが基本です。


敷地内にペットがいる場合や、小さな子ども、高齢者がいる場合も配慮が必要です。測量機器や作業者の出入りに驚いて事故につながることがないよう、作業時間帯や立入り場所を事前に共有します。屋外作業であっても、生活者にとっては日常の動線が一時的に変わるため、玄関、勝手口、駐車場、ゴミ置き場、郵便受けへの動線をふさがないようにすることが大切です。


14条業務の公共的な目的を説明するだけでは、借家人の不安が十分に解消されないことがあります。借家人が知りたいのは、いつ、誰が、どこに入り、何を確認し、自分の生活にどの程度影響するのかです。現地立入りの範囲と内容を事前に伝えることは、単なる連絡ではなく、借家人の理解を得て現地確認を安全に進めるための重要な準備です。


準備3として筆界に関する資料と過去の経緯を集める

借家人がいる土地では、現地の利用状況だけを見ても筆界の経緯が分からないことがあります。塀、フェンス、生け垣、排水溝、通路、舗装の端、駐車場の区画線などは、現在の使い方を示す手がかりにはなりますが、それが直ちに筆界を示しているとは限りません。そのため、土地所有者側で筆界に関する資料や過去の経緯をできるだけ集めておくことが重要です。


準備すべき資料としては、登記関係の資料、地積測量図、過去の測量図、境界確認書、土地購入時の書類、建築時の配置図、外構工事に関する図面、隣地との確認記録などが考えられます。すべてがそろっている必要はありませんが、古い資料でも現地確認の参考になる場合があります。特に、建物を建てた時期、塀を設置した時期、土地を分筆した時期、道路拡幅や水路改修があった時期などが分かる資料は、現地の状況を読み解くうえで役立ちます。


借家人が長く住んでいる場合は、過去の現地変化を知っていることがあります。以前は別の場所に塀があった、隣地との間に古い杭が見えていた、側溝の工事後に舗装の端が変わった、駐車場の使い方が途中で変わった、庭の一部を以前の住人が使っていたといった情報です。これらは筆界を決めるものではありませんが、境界標を探す場所や、隣接地との認識差が生じやすい場所を把握する参考になります。


ただし、借家人の記憶は、所有者や隣地所有者の認識と異なることがあります。借家人は日常利用の範囲を境界だと思っている一方で、登記上の筆界や過去の測量成果は別の位置を示していることがあります。また、口頭で聞いた話がいつの時点のものか分からない場合もあります。そのため、借家人から聞いた内容は、発言者、聞き取り日、内容の要点、現地の該当箇所を整理し、資料や現地確認と照合する前提で扱うことが大切です。


実務担当者が所有者に依頼する際には、筆界や外構の経緯に関係しそうなものがあれば古くても確認してほしいと伝えると、資料が出てきやすくなります。所有者は、どの資料が重要か判断できないことが多いため、必要な資料を限定しすぎると有用な情報が漏れる可能性があります。古い売買資料、建築確認時の配置図、外構工事の記録、隣地との覚書、過去の写真なども、現地状況を確認する補助情報になることがあります。


借家人が保管している資料にも注意が必要です。借家人自身が外構の修繕を行った記録、駐車場の区画変更に関する連絡、管理者とのやり取り、過去の工事通知などを持っている場合があります。ただし、借家人の個人情報や賃貸借関係に関わる資料を無理に求めるべきではありません。あくまで14条業務に必要な範囲で、現地の確認に関係する情報があれば協力をお願いするという姿勢が適切です。


資料収集で重要なのは、資料の有無だけでなく、資料と現地の対応関係を確認することです。図面上の寸法や形状が現地と一致しているか、古い境界標が残っているか、塀や側溝の位置が図面と整合しているか、隣接地との利用状況に矛盾がないかを丁寧に確認します。借家人がいる土地では、長年の利用状況によって見た目上の境目と資料上の筆界が混同されやすいため、早い段階で情報を整理しておく必要があります。


準備4として立会い日程と連絡経路を一本化する

14条業務では、関係者の立会いや確認が必要になる場面があります。借家人がいる土地では、所有者、借家人、隣接地所有者、管理会社、実務担当者の予定が重なるため、日程調整が複雑になりやすくなります。作業日が決まっていても、借家人が不在で敷地に入れない、所有者が立会いに参加できない、隣接地との確認時間がずれるといったことが起こると、再調整が必要になります。


そのため、連絡経路を一本化することが大切です。所有者に連絡した内容が借家人に伝わっていない、借家人から聞いた日程変更が所有者に伝わっていない、管理会社を通すべきなのに直接連絡してしまった、といった状態は避ける必要があります。最初の段階で、誰を主な連絡窓口にするのか、借家人への連絡は所有者から行うのか、管理会社を通すのか、実務担当者が直接補足説明してよいのかを確認しておきます。


所有者が借家人への連絡を行う場合でも、作業内容が正確に伝わるとは限りません。所有者が簡単に測量があるとだけ伝えた結果、借家人が敷地全体への立入りを想定していなかったり、作業時間を誤解していたりすることがあります。必要に応じて、所有者から借家人へ事前に話を通したうえで、実務担当者が作業内容を補足説明できる体制をつくると安心です。


日程調整では、借家人の生活リズムにも配慮します。仕事で日中不在にする人、夜勤明けで午前中の対応が難しい人、子どもの送迎がある人、介護や通院の予定がある人など、生活状況はさまざまです。14条業務の都合だけで日時を決めると、借家人の協力が得にくくなることがあります。可能な範囲で作業予定を早めに伝え、立会いが必要なのか、不在でも屋外確認が可能なのか、在宅が必要な時間はどの程度なのかを明確にします。


隣接地所有者との立会いがある場合は、借家人がその場にいるべきかどうかも整理しておきます。借家人は日常利用の状況を説明できる一方で、土地所有者として筆界確認の意思表示をする立場ではない場合があります。所有者が立会いに参加できるなら所有者を中心に進め、借家人には現地利用の説明や立入り協力をお願いするという役割分担が分かりやすいです。所有者が参加できない場合は、代理人や委任の扱いについて、業務のルールに沿って慎重に確認する必要があります。


当日の連絡手段も確認しておきます。現地でインターホンに応答がない、電話がつながらない、駐車車両が移動できない、門扉が開かないといった小さな問題が、作業全体の遅れにつながることがあります。借家人または所有者に当日連絡が取れる手段を確認し、作業開始前の声かけ方法、立入り位置、車両の停車場所、雨天時や日程変更時の連絡方法も整理しておくと、現地での混乱を減らせます。


連絡経路の一本化は、責任を押し付けるためではなく、情報の行き違いを防ぐために行うものです。借家人がいる土地では、関係者が増えるほど、誰かが伝えているはずという思い込みが生まれます。連絡内容、連絡日時、相手、確認事項を記録しながら進め、作業当日に同じ説明を繰り返さなくて済む状態をつくることが重要です。


準備5として借家人の生活影響とトラブル予防を確認する

借家人がいる土地で14条業務を進める際には、筆界確認の正確さだけでなく、生活への影響を最小限にする準備が必要です。借家人にとって、土地の筆界や登記所備付地図の整備は日常生活から遠い話に感じられることがあります。その一方で、実際の作業は自宅周辺で行われるため、生活に直接関わる出来事として受け止められます。この温度差を理解しないまま進めると、不安や反発が生じやすくなります。


まず確認したいのは、作業中に借家人の生活動線を妨げないかどうかです。玄関前、駐車場、勝手口、ゴミ置き場、洗濯物を干す場所、宅配物の受け取り場所などは、短時間でもふさがれると不便が生じます。測量機器の設置や境界付近の確認で一時的に通行しにくくなる場合は、事前に説明し、必要な時間を短くする工夫が求められます。


次に、借家人の所有物や管理物に触れる可能性を確認します。境界標を確認するために植木鉢を動かす、物置の裏側を見る、自転車や車両の近くを通る、庭木の根元を確認するなど、作業上必要な行為が発生する場合があります。このような場合でも、実務担当者が勝手に物を動かしたり、私物の近くで作業したりすると、後からトラブルになる可能性があります。事前に所有者と借家人に説明し、必要な移動は借家人自身に行ってもらうか、承諾を得てから対応することが基本です。


境界付近に老朽化した塀やフェンス、傾いたブロック、壊れかけた側溝蓋、ぬかるみ、段差などがある場合は、安全面にも注意が必要です。借家人が普段から慣れている場所でも、作業者が機器を持って通ると転倒や接触の危険があります。作業前に危険箇所を確認し、無理な立入りを避けることが大切です。安全への配慮を説明することで、借家人も作業の必要性を理解しやすくなります。


借家人と隣接地所有者の関係にも配慮が必要です。長年住んでいる借家人は、隣地の住人と日常的な付き合いがある場合もあれば、境界付近の利用をめぐって過去に小さな摩擦があった場合もあります。14条業務の立会いをきっかけに、これまで表面化していなかった不満が出ることもあります。実務担当者は、借家人がその場で断定的な発言をしないよう、筆界確認の主体は土地所有者や関係者の確認、資料、現地調査を踏まえて整理されることをやわらかく説明し、借家人には必要な情報提供にとどめてもらう進行を心がけます。


説明の仕方にも注意が必要です。借家人に対して専門用語を多く使うと、作業の意味が伝わりにくくなります。筆界、地図作成、測量成果、境界標といった言葉は、実務担当者には一般的でも、借家人にはなじみがない場合があります。説明では、土地の境目を確認する作業であること、地図を整えるために現地の状況を確認すること、建物の賃貸借そのものを変更する作業ではないこと、生活上の契約内容を調べるものではないことを分かりやすく伝えます。


トラブル予防のためには、記録を残すことも重要です。いつ、誰に、どのような説明をしたのか、立入りについてどのような確認をしたのか、物の移動が必要かどうか、作業当日に注意すべき点は何かを簡潔に残しておくと、後から確認しやすくなります。記録は相手を疑うためではなく、関係者が同じ認識で作業を進めるためのものです。


借家人の生活影響を丁寧に確認することは、14条業務の精度にもつながります。安心して協力してもらえれば、境界付近の過去の状況や注意箇所について有用な情報が得られることがあります。反対に、不信感がある状態では、立入りや確認に協力してもらえず、作業が遅れる可能性があります。借家人がいる土地では、現地の生活者に対する配慮そのものが、実務を円滑に進めるための重要な準備になります。


14条業務を円滑に進めるための実務上の注意点

14条業務で借家人がいる土地を扱う場合、土地所有者向けの説明と借家人向けの説明を分けて考える必要があります。所有者には、筆界に関する資料の確認、立会いの必要性、借家人への連絡協力を説明します。借家人には、作業の目的、立入り範囲、生活への影響、当日の流れを説明します。同じ内容を同じ言葉で伝えるのではなく、それぞれの立場に合わせて説明することで、理解を得やすくなります。


所有者に対しては、借家人が現地にいるからといって、所有者側の準備が不要になるわけではないことを伝える必要があります。現地対応の一部を借家人に協力してもらうことはできても、筆界に関係しそうな資料を探すこと、過去の経緯を確認すること、必要に応じて立会いに参加すること、借家人に事前説明することは、所有者側の重要な役割です。借家人が協力的であっても、所有者が内容を理解していなければ、後の確認で認識のずれが生じることがあります。


借家人に対しては、作業が賃貸借契約、退去、建物利用の変更を直接目的とするものではないことを必要に応じて説明します。土地の境界確認と聞くと、借家人は住み続けられるのか、庭や駐車場の使い方が変わるのか、建物に影響があるのかと不安になることがあります。個別の権利関係について実務担当者が断定すべきではありませんが、今回の作業が地図整備や筆界確認に関わる現地調査であることを丁寧に伝えるだけでも、不安を軽減できます。


また、現地での発言管理も大切です。境界付近で隣地所有者や借家人が集まると、過去の利用状況や感情的な話が出ることがあります。実務担当者は、話を遮るのではなく、必要な情報を聞き取りながらも、未確認事項をその場で断定しない姿勢を保つ必要があります。昔からここが境だと思っていたという発言が出た場合でも、資料、現地の境界標、関係者の認識などと照合して確認する必要があることを説明し、冷静に進めることが求められます。


遠方所有者の場合は、資料のやり取りや意思確認に時間がかかることがあります。借家人が現地にいるため現地確認の一部は進められるとしても、所有者の確認が必要な場面で連絡が遅れると、業務全体の進行に影響します。事前に連絡可能な時間帯、資料送付の方法、代理人の有無、立会いが難しい場合の対応方針を確認しておくと、後工程の停滞を防ぎやすくなります。


さらに、借家人が法人や店舗である場合は、個人住宅とは別の配慮が必要です。営業中の店舗、事務所、倉庫、作業場などでは、来客、搬入出、営業時間、従業員の動線に影響する可能性があります。作業時間帯や立入り位置を誤ると、営業活動の妨げになることがあります。作業前に、現地責任者、立会い可能な担当者、支障が少ない時間帯を確認し、必要最小限の範囲で作業を行うことが大切です。


14条業務では、現地の位置情報や筆界付近の状況を正確に把握することが重要です。借家人がいる土地では、確認対象に近づける時間や範囲が限られることもあるため、作業当日に迷わず記録できる準備が求められます。境界標の位置、塀や側溝の位置、写真を撮る向き、確認した日時、関係者の立会い状況などを整理して記録できる体制をつくることで、後からの確認や説明がしやすくなります。


現地確認の記録では、位置のずれや写真の取り違えを防ぐことも重要です。借家人の協力を得て短時間で作業を終える必要がある場合、後からどの写真がどの境界付近だったのか、どの杭を確認したのかが分からなくなると、再訪問が必要になることがあります。再訪問は借家人にも所有者にも負担をかけるため、初回の現地確認でできるだけ正確な記録を残す意識が必要です。


借家人がいる土地の対応は、手間が増える作業に見えるかもしれません。しかし、関係者の役割整理、事前説明、資料収集、日程調整、生活影響の確認を丁寧に行えば、現地情報を集めやすくなり、確認漏れや再調整を減らすことができます。14条業務では、地図を整えるための技術的な作業と、人の生活空間に入るための調整力の両方が求められます。


まとめ

14条業務で借家人がいる土地を扱う場合、土地所有者だけを相手にして準備を進めると、現地で思わぬ支障が出ることがあります。所有者は資料確認や立会い、借家人への説明を担い、借家人は現地利用の状況説明や立入り協力に関わるため、それぞれの立場に合わせた説明と段取りが必要です。


重要なのは、土地所有者と借家人の関係を整理し、現地立入りの範囲を事前に伝え、筆界に関する資料と過去の経緯を集め、立会い日程と連絡経路を一本化し、借家人の生活への影響を確認することです。この5つの準備を怠ると、立入り拒否、日程再調整、資料不足、関係者間の認識違い、近隣トラブルといった問題につながりやすくなります。


借家人がいる土地では、現地に住む人の安心感を確保することが、作業の効率と品質を高める前提になります。筆界や地図整備の話は専門的になりがちですが、借家人には生活に関係する作業として伝わります。実務担当者は、専門的な正確さを保ちながら、相手に分かる言葉で説明し、必要な範囲で協力を得る姿勢を持つことが大切です。


また、現地確認では、限られた時間で正確な位置情報と写真記録を残すことが求められます。借家人の生活空間に何度も立ち入らないためにも、初回調査で確認位置、境界標、外構、通路、隣地との接点を分かりやすく記録する体制が欠かせません。位置情報付きの現地記録を効率よく残せれば、所有者、借家人、関係者への説明もしやすくなり、後工程の手戻りを抑えやすくなります。


14条業務における現地確認や境界周辺の記録をより確実に進めたい場合は、スマートフォンを活用して高精度な位置情報と写真記録を現場で扱えるLRTK Phoneの活用も有効です。借家人がいる土地のように、短時間で分かりやすい記録を残したい現場では、現地の状況をその場で整理し、後から説明しやすい形に残すことが、実務全体の円滑化につながります。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page