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座標から斜め壁を描く方法|建築CADで使う計算3例

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

建築図面で斜め壁を描くとき、目分量で線を引いてしまうと、通り芯、壁芯、仕上げ面、建具位置、寸法線、面積数量のどこかでズレが出やすくなります。特に、敷地境界に沿う壁、斜めに振れた外壁、階段まわりの袖壁、平面が台形になる住戸や店舗区画では、座標から斜め壁を作図する考え方が役立ちます。この記事では、建築CADで斜め壁を描く実務担当者に向けて、座標の読み方、角度と距離の求め方、壁厚を考慮した平行移動の考え方を、3つの計算例で整理します。


目次

座標から斜め壁を描く前に確認する基本

建築CADで使う座標の見方と注意点

計算例1:2点の座標から斜め壁の芯線を描く

計算例2:座標差から角度と壁長さを求める

計算例3:壁芯から仕上げ面と壁厚を反映する

斜め壁の作図でズレやすいポイント

座標作図と現場確認をつなげる考え方

まとめ


座標から斜め壁を描く前に確認する基本

建築CADで斜め壁を描く作業は、単に斜めの線を一本引く作業ではありません。設計図として必要なのは、壁の向き、長さ、壁厚、芯線、仕上げ面、交点、開口位置、寸法の根拠がそろっている状態です。平面図上では一本の斜め線に見えても、その線が壁芯なのか、躯体面なのか、仕上げ面なのかによって、最終的な作図結果は変わります。


まず確認したいのは、与えられている座標が何を表しているかです。たとえば、座標Aと座標Bが斜め壁の両端を示している場合でも、それが壁芯の端点なのか、壁外面の端点なのか、柱芯や通り芯との交点なのかで扱いが違います。ここを曖昧にしたままCADに数値を入力すると、図面上はきれいに見えても、寸法を追ったときにずれが見つかることがあります。


次に、座標の単位を確認します。建築図面ではミリメートル単位で作図することが多い一方、測量成果や外部データではメートル単位で座標が渡されることがあります。座標値が「12.500」と書かれている場合、それが12.500mなのか、12.500mmなのか、あるいは小数付きのメートル表記なのかを確認しないと、CAD上で大きな単位違いが発生します。建築座標の作図では、最初に単位を合わせることが基本です。


また、座標の原点と軸方向も重要です。CAD画面では右方向をX、上方向をYとして扱う設定が多くありますが、建築の通り芯で使うX方向、Y方向という呼び方が、CAD画面の横軸、縦軸と常に一致するとは限りません。さらに、測量座標や敷地座標では、北方向、東方向、高さ方向との関係が絡むこともあります。建築CADの中で斜め壁を描く場合は、いま扱っている座標が設計上のローカル座標なのか、敷地測量に基づく座標なのか、平面図用に変換済みの座標なのかを分けて考える必要があります。


斜め壁の作図でよく使う考え方は、2点を結ぶ、角度と距離で描く、基準線から平行にずらす、交点を求める、という4つです。この記事では、このうち実務で特に使いやすい3つの計算例として、2点座標から芯線を描く方法、座標差から角度と壁長さを求める方法、壁芯から仕上げ面を求める方法を扱います。どれも特別な数学ではなく、座標差と三平方の関係、角度、法線方向の考え方を押さえれば、建築CADの作図に応用できます。


斜め壁は、直交する壁よりも作図ミスが見えにくい特徴があります。直交壁であれば水平、垂直、直角の崩れを画面上で見つけやすいですが、斜め壁では少し角度が違っていても視覚的には気づきにくいものです。そのため、最初から座標に基づいて描き、寸法線や補助線で確認することが大切です。特に、後工程で面積計算、建具表、仕上げ数量、施工図、現場墨出しに使う図面では、見た目よりも数値の整合性が重要になります。


建築CADで使う座標の見方と注意点

建築CADで座標から斜め壁を描くときは、点の位置を「横方向の距離」と「縦方向の距離」の組み合わせとして考えます。一般的な平面作図では、ある点PをP(X, Y)のように表し、Xが横方向、Yが縦方向の位置を示します。たとえば、P(3000, 2000)であれば、基準点から横に3000、縦に2000進んだ位置にある点として扱います。


ただし、実務では座標の表記順に注意が必要です。資料によっては、座標が「X, Y」の順で書かれていることもあれば、測量座標のように北方向、東方向の成分として扱う資料もあります。測量成果や敷地図から受け取った座標を建築CADに入力する場合、横軸と縦軸の対応を取り違えると、壁の向きが反転したり、敷地全体が回転したような配置になったりします。数字を入力する前に、既知の2点をCADに仮配置し、図面の方位や通り芯の向きと合っているかを確認すると安全です。


座標から斜め壁を描く基本は、2点を決めることです。斜め壁の始点をA、終点をBとすると、A(X1, Y1)、B(X2, Y2)という2つの座標を使います。このとき、横方向の差はX2 - X1、縦方向の差はY2 - Y1です。横方向の差をΔX、縦方向の差をΔYと呼ぶと、斜め壁の向きや長さは、このΔXとΔYから計算できます。


ΔXが正であれば右方向へ進み、負であれば左方向へ進みます。ΔYが正であれば上方向へ進み、負であれば下方向へ進みます。この符号の扱いは、斜め壁の向きを判断するうえで重要です。長さだけを見れば同じでも、右上がりの壁と右下がりの壁では、ΔYの符号が変わります。角度を出す場合も、符号を含めて判断しないと、反対向きの壁を描いてしまうことがあります。


CAD上で座標入力を行う場合、絶対座標と相対座標の違いも意識します。絶対座標は、図面全体の原点から見た点の位置を直接入力する方法です。相対座標は、現在の点からどれだけ移動するかを入力する方法です。斜め壁の始点がすでに決まっている場合は、始点からΔX、ΔYだけ移動して終点を指定する相対的な考え方が便利です。一方、測量図や配置図から与えられた座標値をそのまま使う場合は、絶対座標として扱うほうが整理しやすいことがあります。


もう一つ大切なのが、壁芯と壁面の違いです。建築図面で壁を描くとき、壁芯線を先に作り、その両側に壁厚を振り分ける方法があります。たとえば壁厚が150mmで、芯振り分けが均等であれば、壁芯から両側に75mmずつ平行移動した線が壁面になります。しかし、斜め壁では単純にX方向へ75mm、Y方向へ75mmずらせばよいわけではありません。壁に対して直角方向、つまり法線方向へ75mmずらす必要があります。ここを間違えると、斜め壁の実際の厚さが図面上で変わってしまいます。


座標作図では、小数の丸めにも注意が必要です。角度や長さを計算すると、小数点以下の値が出ることがあります。CAD上で小数をどこまで保持するか、寸法表記ではどこまで丸めるか、施工図としてどの精度が必要かを考えます。すべての小数を図面に表示すると読みにくくなりますが、内部の作図精度まで粗く丸めてしまうと、交点や壁厚に誤差が蓄積します。表示上の丸めと、作図データとして保持する座標精度は分けて考えるのが安全です。


計算例1:2点の座標から斜め壁の芯線を描く

最初の計算例では、斜め壁の両端の座標が分かっている場合を考えます。これはもっとも基本的な作図方法で、壁芯線を2点で決め、その線をもとに壁厚や仕上げ面を展開していく流れです。


たとえば、斜め壁の始点AがA(1000, 2000)、終点BがB(5200, 4100)で与えられているとします。単位はミリメートルとします。この場合、CAD上ではA点を座標(1000, 2000)に置き、B点を座標(5200, 4100)に置いて、その2点を結べば斜め壁の芯線が描けます。


このとき、座標差は次のように考えます。横方向の差であるΔXは、5200 - 1000なので4200です。縦方向の差であるΔYは、4100 - 2000なので2100です。つまり、この壁芯はA点から見て、右へ4200mm、上へ2100mm進んだ先にB点があるということです。


この段階では、まだ壁の長さや角度を知らなくても、2点を結べば線は描けます。CADで座標入力ができる環境であれば、始点と終点を直接指定するのが確実です。手順としては、A点を入力し、次にB点を入力し、その2点を線分で結びます。壁芯線として使う場合は、この線分を壁の基準線として扱い、あとから壁厚を付けます。


ただし、図面の中でA点やB点が他の通り芯、柱芯、開口位置と関係している場合は、単に線を引くだけでなく、端点の意味を記録しておくことが大切です。たとえばA点が「X1通りと斜め壁芯の交点」で、B点が「外壁芯と境界線からの離れで決まる点」である場合、後で設計変更が入ったときに、どちらの点を優先して動かすべきかが変わります。座標だけを見て作図すると、変更時に根拠が分からなくなりやすいため、補助線や寸法で関係性を残しておくと実務上扱いやすくなります。


また、2点を結んだ線が本当に意図した斜め壁になっているかを確認するには、始点と終点の座標を画面上で再確認します。CADでは、点をつかむ位置が少しずれていたり、近くの補助線や別の端点に吸着してしまったりすることがあります。特に斜め壁の端点付近に柱、開口、寸法補助線、仕上げ線が重なる場合、意図しない点を選択してしまうことがあります。作図後にA点とB点の座標を確認し、入力した数値と一致しているかをチェックすると、初期段階のミスを防げます。


この例で重要なのは、斜め壁を「角度でなんとなく描く」のではなく、「2つの座標点を結ぶ線」として定義することです。角度や長さは、2点が決まれば後から求められます。逆に、角度だけを先に決めて壁を描く場合でも、最終的にはどこかの端点座標や交点座標と整合している必要があります。建築座標で斜め壁を扱うときは、まず点を確定し、その点を結ぶという順序で考えると、図面全体の整合性を保ちやすくなります。


計算例2:座標差から角度と壁長さを求める

次の計算例では、座標差から斜め壁の角度と長さを求めます。これは、作図した斜め壁が設計意図に合っているかを確認したり、別の図面に角度や長さを伝えたりするときに使います。特に、斜め壁に沿って建具を配置する場合、仕上げ材の割付を考える場合、斜め方向の有効寸法を確認する場合に役立ちます。


先ほどと同じく、A(1000, 2000)、B(5200, 4100)の斜め壁を考えます。ΔXは4200、ΔYは2100です。壁芯の長さLは、横方向の差と縦方向の差を直角三角形の2辺として考え、L = √(ΔX² + ΔY²)で求めます。ここでは、4200² + 2100²を計算します。4200²は17640000、2100²は4410000なので、合計は22050000です。この平方根を取ると、壁芯長さは約4695.7mmになります。


つまり、A点からB点までの斜め壁芯の長さは約4696mmです。図面表記では、必要な精度に応じて4696mm、または4695.7mmのように扱います。施工図としてミリ単位で整理する場合は、どの段階で丸めるかを決めておくことが大切です。内部計算では小数を保持し、寸法表記ではルールに従って丸めるのが扱いやすい考え方です。


次に角度を求めます。CAD上で水平右方向を0度とし、反時計回りを正方向とする設定で考える場合、角度θはtanθ = ΔY / ΔXから求められます。この例では、ΔY / ΔX = 2100 / 4200 = 0.5です。tanθが0.5となる角度は約26.565度です。したがって、この斜め壁は水平線に対して約26.565度上がる壁ということになります。


ただし、実務で角度を扱うときは、ΔXとΔYの符号を含めて象限を判断する必要があります。計算機やCADの機能を使う場合は、単純なarctanだけでなく、ΔXとΔYの符号を考慮できる角度計算を使うと、反対向きの角度を避けやすくなります。特にΔXが0になる垂直線では、ΔY / ΔXの形では計算できないため、座標差から方向を判定する手順を分けて考えます。


角度は基準線によっても変わります。水平右方向から見た角度であれば約26.565度ですが、垂直方向からの振れ角として表すなら、90度から26.565度を引いた約63.435度という見方もできます。また、建築図面では「通り芯に対して何度振れているか」「敷地境界に対して平行か」「北方向に対して何度か」という表現をすることがあります。角度を伝えるときは、どの基準から測った角度なのかを必ずセットで考える必要があります。


ΔXとΔYの符号にも注意が必要です。今回の例はΔXが正、ΔYも正なので、右上がりの斜め壁です。しかし、A(5200, 4100)からB(1000, 2000)へ向かって同じ線を見ると、ΔXは-4200、ΔYは-2100になります。線分としては同じですが、向き付きの角度は反対方向になります。CADの回転角や方向角を扱うときは、始点と終点の順序によって角度の見え方が変わるため、どちらを基準にしているかをそろえます。


斜め壁の長さを求めることには、作図確認以外にも意味があります。たとえば、斜め壁に沿って下地材や仕上げ材を割り付ける場合、水平投影の4200mmではなく、壁に沿った実長である約4696mmを見なければなりません。建具や開口の位置を斜め壁に沿って指定する場合も同じです。水平方向に何ミリ、縦方向に何ミリという座標差だけでは、壁に沿った距離とは一致しません。斜め壁の上に寸法を置くときは、実際の壁方向に沿った長さなのか、水平または垂直の投影寸法なのかを区別する必要があります。


この計算例から分かるように、座標から角度と長さを出すことで、CAD上の斜め壁を数値で検証できます。見た目では正しく見える線でも、長さや角度を確認すると、端点の入力ミスや単位違いが見つかることがあります。特に、複数の斜め壁が連続する平面、敷地境界に沿った外壁、斜めの間仕切りが複数階にまたがる建物では、角度と長さの確認が図面品質を左右します。


計算例3:壁芯から仕上げ面と壁厚を反映する

3つ目の計算例では、斜め壁の芯線が分かっている状態から、壁厚を反映して壁面を求める考え方を扱います。斜め壁の作図で特にミスが起きやすいのが、この壁厚の扱いです。水平壁や垂直壁であれば、壁芯から上下または左右に一定寸法ずらせば壁面を描けます。しかし、斜め壁では壁の方向に対して直角にずらす必要があります。


ここでは、壁芯の始点AをA(1000, 2000)、終点BをB(5200, 4100)、壁厚を200mm、壁芯から両側に100mmずつ振り分ける条件で考えます。まず、芯線の方向ベクトルを確認します。AからBへの差はΔX = 4200、ΔY = 2100です。芯線長さLは約4695.7mmです。


壁面を求めるには、芯線に直角な方向を使います。AからBへ向かう単位方向は、横方向がΔX / L、縦方向がΔY / Lです。数値で見ると、横方向は4200 / 4695.7で約0.8944、縦方向は2100 / 4695.7で約0.4472です。これは、芯線に沿って1mm進むと、横に約0.8944mm、縦に約0.4472mm進むという意味です。


この芯線に直角な方向、つまり法線方向は、方向成分を入れ替えて片方の符号を変えることで求められます。片側の法線方向は(-0.4472, 0.8944)、反対側は(0.4472, -0.8944)です。壁芯から100mmずらす場合、この法線方向に100を掛けます。すると、片側の移動量は横方向が約-44.7mm、縦方向が約89.4mmになります。反対側の移動量は横方向が約44.7mm、縦方向が約-89.4mmになります。


つまり、壁芯から片側の壁面を求めるには、A点とB点の両方を横に約-44.7mm、縦に約89.4mm移動します。A点から見た片側壁面の始点は、A1(955.3, 2089.4)です。B点から見た片側壁面の終点は、B1(5155.3, 4189.4)です。反対側の壁面は、A2(1044.7, 1910.6)、B2(5244.7, 4010.6)になります。これで、芯線に対して200mmの厚みを持つ斜め壁を描けます。


ここでやってはいけないのは、壁芯から単純にX方向へ100mm、またはY方向へ100mmだけずらすことです。たとえば、A点を(1000, 2100)、B点を(5200, 4200)のように縦方向だけ100mm移動した線は、芯線と平行にはなりますが、芯線からの直角距離は100mmではありません。この例では、縦方向に100mm動かしたときの芯線からの直角距離は約89.4mmになります。斜め壁の場合、縦方向の移動量と壁に直角な移動量は一致しないため、実際の壁厚が意図した寸法と変わってしまいます。


CADには平行移動やオフセットの機能が備わっていることが多く、通常は壁芯を選んで指定距離だけオフセットすれば、法線方向への移動は機能側で処理されます。しかし、座標で壁面位置を確認したい場合、または外部データに壁面座標を渡したい場合は、この計算の意味を理解しておくと安心です。特に、壁厚、仕上げ厚、躯体芯、仕上げ芯、区画面積の境界が関係する場合、どの線を何ミリずらしたのかを説明できる状態にしておくことが重要です。


斜め壁の端部処理にも注意が必要です。壁面を平行にずらしたあと、端部をどの線で止めるのかによって、壁の形状が変わります。端点AとBを単純に法線方向へずらして結ぶだけなら、壁端部は芯線に直角な形になります。一方、隣接する直交壁や別の斜め壁と交差させる場合は、それぞれの壁面線同士の交点で納める必要があります。平面図として見たときに端部が閉じていても、交点の根拠が曖昧だと、壁面積や仕上げ数量に影響することがあります。


この例では壁厚200mmを芯振り分けとしましたが、実務では芯から片側だけに壁厚が寄る場合もあります。たとえば、既存壁の内面を基準に増し壁を描く場合、境界側の面を動かさず室内側へ厚みを持たせる場合、躯体面と仕上げ面のどちらを優先する場合などです。その場合も考え方は同じで、基準となる線から法線方向へ必要寸法だけ平行移動します。重要なのは、ずらす方向が壁に対して直角であること、そして基準線が何を表しているかを明確にすることです。


斜め壁の作図でズレやすいポイント

座標から斜め壁を描くとき、もっとも多いミスは座標の読み違いです。XとYの順序を取り違える、単位をメートルとミリメートルで混同する、原点位置を勘違いする、図面の回転を反映しない、といったミスは、作図後の見た目だけでは発見しにくいことがあります。特に、図面全体がきれいに配置されているように見える場合でも、基準点からの座標を確認すると全体が反転していることがあります。


次に多いのが、斜め壁の基準線を誤ることです。壁芯で描くべきところを仕上げ面で描いてしまう、外面基準で受け取った座標を壁芯として扱ってしまう、通り芯との交点を壁端部と勘違いしてしまう、といったケースです。斜め壁では、芯線と壁面が平行に離れているため、どの線を基準にしているかが少し違うだけで、端部の交点や開口位置が変わります。


開口部の位置も注意が必要です。斜め壁に窓や出入口を配置する場合、開口位置を壁に沿った距離で指定するのか、水平または垂直の寸法で指定するのかを区別します。たとえば、壁端から1000mmの位置に開口芯を置くという指示があった場合、その1000mmが斜め壁の芯線に沿った距離であれば、座標上の移動量は単純にX方向1000mmではありません。壁方向の単位ベクトルに1000を掛けて、横方向と縦方向の移動量に分解する必要があります。


寸法線の入れ方でも誤解が起きます。斜め壁に沿った寸法線を入れる場合と、水平・垂直の追い出し寸法を入れる場合では、表している長さが違います。平面図では、斜め壁の実長、水平投影長、垂直投影長が同時に存在します。どれを図面に表示するかを決めずに寸法を入れると、読む人によって解釈が分かれます。施工図や確認用図面では、必要に応じて「壁芯に沿う寸法」「通り芯からの追い出し寸法」など、寸法の意味が伝わるように整理します。


丸め誤差の蓄積も見逃せません。斜め壁の角度を小数1桁で入力し、長さも整数で丸め、さらに壁面を別の丸め値でオフセットすると、端部で数ミリ程度の差が生じることがあります。単独の壁であれば小さな差でも、複数の斜め壁が連続する平面では、最終交点でズレが大きくなることがあります。CAD内部ではできるだけ元の座標や高い精度の数値を使い、表示寸法だけを必要な単位に丸めるのが安全です。


また、図面の縮尺に惑わされることもあります。画面上ではわずかなズレに見えても、実寸では大きな差になることがあります。逆に、拡大表示では大きくずれて見えても、実際には許容範囲内の小数誤差である場合もあります。斜め壁の確認では、見た目の印象だけで判断せず、座標、寸法、角度、交点の数値で確認することが大切です。


さらに、複数階にまたがる斜め壁では、基準階の座標をどのように上階へ反映するかも重要です。外壁や耐力壁の位置が階ごとに少しずつずれると、構造、仕上げ、設備貫通、建具納まりに影響します。階ごとの図面を別々に編集している場合は、同じ斜め壁を別々の座標で描いてしまうことがあります。基準となる座標を整理し、必要に応じて各階で同じ端点、同じ角度、同じ芯線を参照することで、上下階の整合性を保てます。


座標作図と現場確認をつなげる考え方

建築CADで斜め壁を正確に描けても、それだけで現場の精度が確保されるわけではありません。図面上の座標を、現場でどのように確認し、墨出しや検測につなげるかが重要です。斜め壁は直交壁に比べて、現場での位置確認が難しくなりやすい部分です。通り芯からの直角寸法だけではなく、複数の基準点からの距離、交点座標、壁芯の方向、端部の納まりを組み合わせて確認します。


図面側では、斜め壁の端点座標を明確にしておくと、現場確認に使いやすくなります。A点とB点の座標が分かっていれば、壁の芯線は一意に決まります。さらに、A点からB点への座標差、壁芯長さ、角度、壁面のオフセット寸法が整理されていれば、作図担当者、施工担当者、測量担当者の間で認識を合わせやすくなります。斜め壁を説明するときに「このあたりから斜めに」という表現ではなく、「この2点を結ぶ壁芯」という説明ができる状態が理想です。


現場では、基準点の取り方が重要です。斜め壁の端点だけを追うのではなく、既存の通り芯や柱芯、境界点、基準墨との関係を確認します。建築座標で作図した点が、現場でどの基準から測れるのかを考えないと、図面上の数値は正しくても施工側が扱いにくくなります。斜め壁の位置を現場で再現するには、基準線からの追い出し寸法、斜め方向の距離、交点位置を組み合わせて確認するのが実用的です。


また、設計図、施工図、現場測定データの間で座標系が異なる場合は、変換や位置合わせが必要になります。建築CAD内ではローカル座標で扱っていても、現場測量では別の基準点や方位を使っていることがあります。このとき、原点の移動、回転、縮尺、単位の変換が正しく行われていないと、斜め壁だけでなく図面全体にズレが発生します。特に、敷地境界に沿う斜め外壁や、既存建物に取り合う改修工事では、座標系の整合確認が重要です。


斜め壁の検測では、完成後の壁面位置をどの線で評価するかも決めておきます。壁芯は直接見えないことが多いため、実測では仕上げ面、躯体面、墨、端部、角などを測ります。図面上の壁芯と現場で測れる面の関係を整理しておかないと、測定値を見ても正しいかどうか判断しにくくなります。壁厚や仕上げ厚を含め、どの面を基準に検査するのかを事前に決めることが大切です。


図面上の座標情報と現場の位置情報をつなげて確認する場面もあります。平面図で決めた座標を現場で確認し、写真、測定記録、点群、測位結果などと組み合わせることで、斜め壁の位置や出来形を説明しやすくなります。特に、斜めの外壁、複雑な外構、敷地境界に近い壁、既存構造物との取り合いでは、図面座標と現場座標をつなげることが、手戻り防止につながります。


CAD作図の段階で座標を丁寧に扱っておくと、後工程での活用もしやすくなります。壁芯、壁面、開口芯、端点、交点を座標で整理できていれば、施工図、数量拾い、現場確認、写真整理、出来形記録に同じ根拠を使えます。斜め壁は、見た目だけで作図すると後から説明しづらい要素ですが、座標をもとに描いておけば、誰が見ても再現可能な図面になります。


まとめ

座標から斜め壁を描く基本は、まず2点を正しく決めることです。始点Aと終点Bの座標が明確であれば、その2点を結ぶことで壁芯線を定義できます。次に、ΔXとΔYから壁の向き、長さ、角度を確認します。さらに、壁厚や仕上げ面を扱うときは、壁方向に対して直角な法線方向へ平行移動することで、正しい壁面を作図できます。


今回の計算例では、A(1000, 2000)、B(5200, 4100)という2点から、斜め壁の芯線、長さ、角度、壁厚200mmの両側壁面を求めました。芯線の座標差はΔX = 4200、ΔY = 2100で、芯線長さは約4695.7mm、水平からの角度は約26.565度です。壁厚を芯振り分けで200mmとする場合は、芯線から単純に上下左右へ100mmずらすのではなく、法線方向へ100mmずつ移動する必要があります。


建築CADで斜め壁を扱うときは、座標の単位、原点、軸方向、XとYの順序、基準線の意味、壁芯と壁面の違いを確認します。これらを曖昧にしたまま作図すると、図面上は整って見えても、寸法、面積、開口位置、現場墨出しでズレが表面化します。特に、斜め壁は直交壁よりも視覚的な違和感に気づきにくいため、数値による確認が欠かせません。


また、CAD上の斜め壁は、現場で再現できて初めて意味を持ちます。図面の座標、現場の基準点、測定できる壁面、写真や出来形記録をつなげて考えることで、設計と施工の認識違いを減らせます。斜め壁の端点、芯線、壁面、開口位置を座標で整理しておけば、施工前の確認、施工中の位置確認、施工後の記録まで一貫して扱いやすくなります。


建築座標を使った作図は、慣れるまでは少し手間に感じるかもしれません。しかし、斜め壁のように角度や交点が絡む部分ほど、最初に座標で整理しておく効果は大きくなります。CADで作成した座標情報を現場確認や施工記録にも活用できる形で残しておくと、図面と現地のズレを減らし、後工程での説明もしやすくなります。


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