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AR土木の活用事例5選:現場で効果を上げた取り組み

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

建設・土木業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、現場へのICT技術導入が加速しています。その中でもAR(Augmented Realityの略、拡張現実)技術の注目度が近年高まっています。ARとは、タブレットやスマートグラス越しに映る現実の光景に、3DCGの設計モデルや文字情報を重ねて表示する技術です。図面や写真では得られない直感的な情報共有が可能になるため、施工のミス防止、工期短縮、安全性向上など多くのメリットがあります。


実際、土木分野でもAR土木とも呼ばれる現場DXの取り組みが各所で始まっており、既に成果を上げ始めています。国土交通省も建設現場の生産性向上施策「i-Construction」でICT活用を推進しており、3Dモデル(BIM/CIM)の普及と相まってAR技術への期待はますます高まっています。本記事では、ARを土木の現場で活用して効果を上げた具体的な事例を5つ紹介します。


目次

事例1:ARで完成イメージを共有し円滑な合意形成

事例2:AR測量で一人でも迅速な地形・土量計測

事例3:ARで施工精度向上・ミス防止

事例4:埋設物のAR可視化による安全施工

事例5:インフラ点検へのAR活用で維持管理効率化

まとめ

FAQ


事例1:ARで完成イメージを共有し円滑な合意形成

AR技術は、施工に関わるすべての関係者の共通認識づくりに威力を発揮します。図面だけでは伝わりにくかった完成形のイメージも、現地の風景にARで重ねて表示することで、誰もが直感的に理解できるようになります。設計担当者・施工担当者・発注者が同じAR映像を共有すれば、認識のズレが解消され、意思疎通がスムーズになります。


例えばタブレットの画面に建設予定の構造物モデルを実物大でAR表示すれば、発注者や近隣住民への説明が視覚的で分かりやすくなります。完成後の姿をその場で見てもらえるため、「イメージと違った」という行き違いを防ぎ、合意形成が円滑に進むでしょう。図面やパースを見せるよりも説得力が高く、関係者の理解を得やすくなります。


さらに、AR上に施工手順や注意点を表示すれば、現場作業員が作業内容を把握しやすくなり、ベテランと若手のイメージギャップを埋めるのにも役立ちます。遠隔地の熟練技術者がAR越しに現場を確認しながらリアルタイムで指示を出すといったリモート支援も可能です。移動時間をかけずに専門知識を現場に届けられるため、結果的に施工ミスの防止や安全性の向上にもつながります。


実際、自治体が地域住民向け説明会でARモデルを活用し、工事への理解を得る試みも始まっています。また、設計段階で関係者の合意形成が早まれば、プロジェクト全体の計画期間短縮にもつながります。


事例2:AR測量で一人でも迅速な地形・土量計測

測量や出来形の計測は、従来は複数人がかりで時間を要する作業でした。トータルステーションや巻尺など専用機材を使い、広い現場を人力で測って回る必要がありました。そこで登場したのがAR技術を用いた測量です。AR対応のスマートフォンやタブレットがあれば、画面越しに地形や構造物をスキャンして距離・面積・体積をその場で計測できます。重機や人員を大幅に削減でき、測量作業が格段に効率化しました。


実際に、ある大手建設会社が開発したスマホ測量アプリでは、土量の測定作業時間を従来比で約9割短縮する効果が報告されています。ARによって一人で短時間に必要なデータを取得できるため、測量のために工事を中断したり多数の人手を割いたりする必要がなくなります。その結果、プロジェクト全体の工期短縮や人件費削減にもつながり、次の工程への着手を早めることができます。


さらに、AR測量では測定結果が即座に画面上に可視化されます。例えば、掘削した土砂の体積をその場で算出して表示できるため、ダンプの台数や搬出スケジュールを即時に調整するといった判断が可能です。このようにリアルタイム性の高いAR計測により、現場の判断スピードが向上し、無駄のない施工管理が実現します。さらに、近年のタブレット端末にはレーザースキャナー(LiDAR)を搭載したものもあり、AR測量と組み合わせて高密度の点群データを短時間で取得することが可能です。また、災害発生直後の被災地測量など緊急時にも、ARを使えば短時間で地形の変化を把握でき、迅速な初動対応に役立ちます。


測定データはその場で電子化されるため、そのまま設計ソフトに取り込んで活用でき、記録作業の手間も削減されます。


事例3:ARで施工精度向上・ミス防止

施工現場では、位置のわずかなズレや寸法の誤りが手戻り工事の大きな原因になります。従来は職人の経験と図面上の確認に頼っていたため、施工中にミリ単位の狂いが生じても見逃され、後になって大掛かりな修正が必要になるケースもありました。そこでARを活用すると、施工対象物の3D設計データを現場映像に重ねて表示し、図面どおりに設置できているかその場でチェックできます。目視や紙図面だけに頼らずに済むため、ヒューマンエラーによるミスを事前に防ぐことができます。


実際に、あるゼネコンでは設備配管工事の施工管理にARシステムを導入し、タブレット画面上で設計モデルと現物を照合できるようにしました。それにより、従来の紙図面での確認に比べて確認作業の負担が大幅に軽減され、ミスも減少したと報告されています。AR上で配管や鉄筋の位置を事前に可視化して干渉がないか検証すれば、施工途中での「付け直し」や材料の無駄遣いも避けられます。


このようにARによるその場の寸法・位置確認によって、施工品質の確保と手戻り削減に大きな効果があります。わずかなズレも早期に発見して即座に是正できるため、最終的な出来形精度が向上し、検査の手間も減らせるでしょう。確実に正しい位置・角度で部材を取り付けられるため、構造物全体の品質管理レベルが高まります。


また、やり直し工事が減ることで余分な人件費や材料コストの削減にもつながります。さらに、ARで確認した内容を写真や点群データとして記録・共有すれば、検査報告の簡素化や情報共有の迅速化にも寄与します。さらに、ARで構造物上に墨出し(位置出し)を行えば、経験に頼らずとも正確に基準線や取付位置を示すことができ、施工のばらつきを防げます。


事例4:埋設物のAR可視化による安全施工

土木工事では、地中に埋まっている配管やケーブル類の存在が大きなリスク要因となります。掘削作業で誤ってライフラインを損傷すれば、周囲の安全を脅かすだけでなく復旧に多大なコストと時間がかかります。従来は図面や探査機器で埋設物の位置を推測するしかありませんでしたが、AR技術を使えば「見えないもの」を見える化することが可能です。地中インフラのデータをもとに、実際の地面の上に仮想的な配管モデルをAR表示すれば、どこに埋設物があるか一目で把握できます。


実際に、2016年にはある大手建設会社がタブレットを用いた「地下埋設物可視化システム」を発表しました。カメラで地表を写すと、その映像上に地下の配管網がリアルタイムに表示される仕組みです。クラウド上の埋設物データベースと連携し、常に最新情報を反映できるため、現場ではタブレット一つで正確な埋設位置を特定できます。これにより、安全な位置を選んで効率よく掘削作業を進められ、ライフライン損傷のリスクを大幅に低減しました。


このようにARによる埋設物の可視化は、現場の安全性向上に直結します。地面を掘り返さなくても地下構造を把握できるため、事前調査にかかる手間も減り、安心して施工計画を立てられます。実際、近年では地面を掘らずに配管やケーブルの位置をAR表示できるサービスも登場しており、地下インフラの衝突や誤設置を未然に防ぐのに役立っています。また、道路標識の設置位置検討でARシミュレーションを活用し、試験的な穴掘りなしで最適な配置を決定するといった例もあります。ARを使って仮想的に検証することで、余計な作業や事故の芽を事前に摘み取り、安全で確実な施工につなげることができるのです。


さらに、重機オペレーターの支援にもARの応用が期待されています。ARグラスを装着すれば、作業車両から見えにくい死角内の作業員や埋設物の位置を強調表示し、安全確認をアシストすることも可能になります。


事例5:インフラ点検へのAR活用で維持管理効率化

道路・橋梁・トンネルなどインフラの点検・維持管理業務にもARが活用され始めています。従来はベテランの勘と経験に頼って現場をくまなく調査し、紙の図面や記録票にメモしていく手法が一般的でした。しかし、人力による点検では見落としのリスクもあり、膨大な設備情報の管理も煩雑です。AR技術を用いれば、目に見えない劣化や内部構造を可視化したり、点検箇所を直感的に示したりできるため、維持管理の精度と効率が飛躍的に向上します。


例えば、構造物の図面データとリンクしたARアプリを使えば、点検すべき箇所に仮想マーカーを表示して巡回できます。橋梁点検の際に、見えにくい部材の接合部や過去に補修歴のある箇所をARでハイライト表示すれば、見逃しなくチェックできるでしょう。また、AR対応の3Dスキャンを行えば、ひび割れ等の損傷部位をその場でデジタル記録できます。ひびの位置や大きさを絶対座標付きの3Dデータとして保存しておけば、後日オフィスで詳細に分析したり経年変化を追跡したりすることも可能です。


ARによって点検作業の漏れがなくなり、信頼性の高いメンテナンスが実現します。さらに、熟練技術者の減少が進む中でも、ARを使えば遠隔地からベテラン技師が現場を支援したり、若手技術者が実物に近い環境でトレーニングを受けたりすることも可能です。従来の経験と勘に頼る手法から脱却し、データに基づくスマートな維持管理へと転換する上で、ARは強力なツールとなります。


取得した点検データはクラウド上で共有できるため、本社と現場が同じ情報をリアルタイムで確認でき、的確な判断をスピーディーに下すことが可能になります。AR支援により点検所要時間の短縮も期待でき、限られた人員で効率的にインフラ維持管理が行えるようになります。


まとめ

以上、土木分野におけるAR活用事例5選を紹介しました。AR技術は測量から施工管理、維持管理まで幅広いシーンで現場DXを加速し、作業の効率化と安全性向上に大きく貢献します。大手企業だけでなく中小の建設業者や自治体でも試験導入が始まっており、国もICT・CIMの推進によって「AR土木」の普及を後押ししています。海外のプロジェクト事例では、ARによって3D設計データを直接活用し2次元図面作成を省略することで、プロジェクト全体の7~11%に相当するコストを削減したとの報告もあります。こうした成果からも、AR技術への期待が非常に高まっていることがわかります。今後ますます多くの現場でARが当たり前のツールとなっていくでしょう。


一方で、かつてはARを活用するには高価な専用機器や高度な技術が必要でした。しかし現在では、スマートフォンやタブレットとクラウドサービスを組み合わせるだけで手軽に現場ARを実現できるようになっています。例えば、スマホに高精度GPS受信機を取り付けて使うLRTKのような簡易測量システムも登場しており、誰でも短時間で高精度な位置情報を取得して3DモデルをAR表示できます。こうしたソリューションを活用すれば、少人数でもすぐにARによる現場作業の効率化を図ることが可能です。


AR技術の導入によって、土木の現場はこれから大きく変わろうとしています。紙と勘に頼った従来のやり方から脱却し、デジタルデータをフル活用したスマート施工へ――その鍵を握る技術の一つがARです。みなさんもぜひ、この波に乗り遅れないよう、自社の現場でAR活用を検討してみてはいかがでしょうか。


FAQ

Q: ARとは何ですか?VRやMRとはどう違いますか? A: AR(Augmented Reality、拡張現実)は、現実の映像にデジタル情報を重ねて表示する技術です。カメラを通して実際の風景に3DCGモデルやテキストを合成表示し、現実世界を拡張して見せます。これに対し、VR(Virtual Reality、仮想現実)は完全に仮想の世界に没入する技術で、ユーザーはゴーグルを装着して現実とは別の3D空間を体験します。一方、MR(Mixed Reality、複合現実)はARとVRの中間的な概念で、現実と仮想を高度に融合させたものです。土木分野では、実際の現場で使えるARが特に有用であり、VRは主にシミュレーションやトレーニング用途、MRは先進的な実証段階といった位置づけです。


Q: 土木工事でARを活用するメリットは何ですか? A: 主なメリットは次のとおりです。


作業時間の短縮・省力化: 測量や検査の所要時間が大幅に短縮され、少人数で効率よく作業できます。

ミス削減・品質向上: 設計とのズレをその場で発見して修正できるため、手戻り工事が減り品質が安定します。

安全性の向上: 埋設物や危険箇所を事前に可視化でき、作業員が注意すべきポイントを把握できるので事故リスクを低減します。

コミュニケーション活性化: 完成イメージを共有しやすくなり、発注者や近隣住民への説明が円滑になります。遠隔から専門家が支援することも可能です。

人材育成の支援: AR上に手順や注意点を表示すれば、経験の浅い作業員も理解しやすくなり、ベテランと若手のギャップを埋める助けになります。


Q: ARを現場で使うには何が必要ですか? A: 比較的手軽に始められますが、以下のものが必要になります。


対応デバイス: AR表示が可能なスマートフォン、タブレット、または専用のARグラス。

ソフトウェア: ARアプリや対応システム。用途に応じて市販のアプリから業務用ソリューションまで様々あります。

デジタルデータ: 現場の設計図や3Dモデル(BIM/CIMデータなど)。ARに重ねる正確な情報として用います。

測位技術: 屋外で精度高く位置合わせするには高精度GPS(RTK方式)やマーカー設置などの手法が有用です。


Q: AR導入のハードルは高いですか? A: いいえ、近年はハードルが大幅に下がっています。以前は特殊な機材が必要でしたが、今では身近なスマートフォンやタブレットでARを活用できます。たとえば無料または低コストのARアプリを試すだけでも、現場での効果を実感できるでしょう。必要な機材も既存の端末で代用でき、専門知識がなくても操作しやすい設計になっています。まずは小規模な範囲で導入して効果を確認し、徐々に活用を広げていくケースが増えています。自社の規模が小さくても問題なく始められるでしょう。 ただし、ARの効果を十分発揮するには、図面データの3D化や現場スタッフへの操作研修など、事前の準備や慣れも多少は必要です。そうしたハードルも、段階的な導入と経験の蓄積によって徐々に解消できるでしょう。


Q: 今後、土木分野でのAR技術はどう発展していきますか? A: 今後ますますARは土木の現場に浸透していくと考えられます。ハード面では、現在はタブレットでの利用が主流ですが、将来的には軽量なARグラスが普及し、作業員が両手を使いながら情報を確認できるようになるでしょう。ソフト面ではAIとの連携が進み、ARで映した映像から自動で不具合を検知したり、危険箇所を強調表示したりする技術も期待できます。また、センサーで取得したリアルタイムな現場データ(構造物の変形や振動など)をAR上に表示し、デジタルツインとして管理するような高度な活用も考えられます。こうした技術の進歩により、将来的にはARが土木施工の当たり前のツールとなり、経験の有無にかかわらず誰もが直感的に現場状況を把握・判断できる時代が来るでしょう。


Q: 現場でARを活用する際に注意すべき点はありますか? A: AR利用時には、いくつか注意点があります。まず、AR表示の位置精度です。事前に機器のキャリブレーション(位置合わせ調整)を正確に行い、デジタルデータと実際の位置がずれないようにする必要があります。また、ARの画面に集中しすぎて周囲の安全確認がおろそかにならないよう、作業時のルール徹底も重要です。ARはあくまで補助ツールなので、人間の最終確認と安全意識を怠らないことが大切です。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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