目次
• 老朽化する社会インフラと点検の重要性
• 建設業界に広がるDXとAR技術
• インフラ点検におけるAR活用例
• AR導入がもたらすメリット
• AR土木が切り開くスマート点検革命
• LRTKによる簡易測量
• FAQ
老朽化する社会インフラと点検の重要性
日本の社会インフラは、高度経済成長期(1960~70年代)に集中的に整備されたものが多く、現在その多くが老朽化の問題に直面しています。道路橋梁は全国に約70万橋、道路トンネルは約1万本もあり、暮らしを支える上下水道管や港湾施設、トンネル、橋梁など、あらゆる構造物が築後50年超となるケースが急増しています。これらインフラの安全を確保するため、国は橋やトンネル等について統一基準で5年に1度の近接目視による定期点検を義務付けており、全ての自治体・管理者が計画的な点検を実施しています。
しかし点検対象の膨大さに対し、現場を担う技術者や作業員の不足が深刻化しています。多くの自治体ではインフラを管理する技術職員の高齢化と若手不足が進み、点検の担い手となる人材確保が大きな課題となっています。実際、インフラ保守に携わる熟練技術者の半数以上が45歳以上とも言われ、定年退職による離職が相次ぐ一方で新規参入者は減少傾向です。その結果、限られた人員で膨大な施設を点検・維持する負担が増し、点検の遅延や精度低下、さらには重大な劣化見落としによる事故リスクも懸念されています。
老朽化による事故は決して他人事ではありません。実際にコンクリート壁の崩落やトンネル天井板の落下事故など、インフラ老朽化に起因する重大事故が国内外で発生しており、社会に大きな衝撃を与えました。こうした事故を防ぐには、老朽化対策としての計画的な点検と予防保全が不可欠です。しかし前述のように人手不足や作業負担の問題から、現状のアナログ中心の点検手法には限界が見えてきています。そこで注目されているのがデジタル技術の活用による効率化です。

