ARで点群を活用：LRTKとiPhone LiDARで実現する現場3D計測

建設業界のデジタル化が進む中、現場ではAR（拡張現実）と3D点群データを使った新しい計測・管理手法が注目されています。従来は専門機器や高度な技術が必要だった3次元計測も、今やスマートフォンと手軽なデバイスで実現可能です。本記事では、点群データとは何か、その現場での利点から、iPhoneのLiDARセンサーとLRTKデバイスを組み合わせた最新の点群取得方法、そして取得した点群をAR表示して活用する応用例まで、詳しく解説します。現場技術者や測量担当者の方々に向けて、スマホ一台＋LRTKで完結する3D計測とAR活用の流れを紹介し、導入によるメリットをご提案します。

点群データとは？建設現場での役割と利点

点群データとは、物体や地形を構成する多数の「点」を3次元座標（X, Y, Z）で記録したデータの集合体です。レーザースキャナーや写真測量（フォトグラメトリ）による3Dスキャンで取得でき、例えば建物や地形をスキャンすると、表面上の無数の点が色付きで配置されて実物そっくりの立体として表示されます。言わば「現実空間を丸ごとコピーしたデジタルデータ」であり、従来の2次元図面や写真では捉えきれない奥行き情報まで含めて現場を記録できるのが特徴です。

点群データは建設・土木の幅広い場面で活用が進んでいます。現況の地形測量では、従来は測量士がトータルステーションで主要点を一つずつ測っていましたが、レーザースキャンやドローン点群測量なら短時間で地表面を面的に取得可能です。出来形管理では、施工後の構造物を点群で余すところなく記録し、設計通りか確認・保存できます。図面や写真では要所しか残りませんが、点群なら完成形を丸ごと3Dデータで保存でき、将来の改修計画にも役立ちます。また施工管理（進捗確認や形状チェック）にも有用で、工事中に現場を定期スキャンして点群化すれば、出来高の数量管理や形状のズレ確認を効率化できます。維持管理でも、橋梁やトンネルを定期的に点群計測しておけば経年変化を比較でき、ひび割れや変形の兆候を客観的に把握可能です。

点群データの利点としては、何より直感的な3D可視化が挙げられます。色付きの点群を表示すれば写真のようにリアルな3Dビューとなり、図面読解が苦手な新人や発注者でも空間を一目で理解できます。次に高精度な計測性です。点群上では任意の2点間距離や面積・体積を自由に測定でき、スケールを当てる従来法より正確でヒューマンエラーも減ります。さらに情報量の多さも武器になります。一度取得した点群には現場形状の隅々までデータが含まれるため、「あとで追加測定が必要」となってもデータ上で確認・解析が可能です。例えば必要に応じて後から断面図を切り出したり、設計モデルにフィードバックしたりと二次利用も容易です。こうした点から、点群データは図面や写真を補完・強化するデジタルな現場の記録として不可欠な存在になりつつあります。

もちろん課題もありますが、近年はパソコンやクラウドの性能向上で大容量データの扱いも容易になってきました。国土交通省主導の「i-Construction」による3次元技術推進も追い風となり、点群データ活用は今や現場DX（デジタルトランスフォーメーション）の鍵として期待されています。

iPhone LiDARとLRTKで手軽に3D点群計測

スマートフォン、とりわけiPhoneのProモデルには小型のLiDAR（ライダー）センサーが搭載されており、これを使って手軽に周囲の3Dスキャンが可能です。LiDARは赤外線レーザーで対象までの距離を高速測定する技術で、iPhoneの場合おおよそ5m以内の範囲で有効とされています。例えばiPhone 12以降のモデルなら、部屋の中や目の前の構造物をかざして歩くだけで、その形状を数百万点規模の点群データとして取得できます。これはまさにカメラで動画撮影する感覚で現場の3D記録ができる画期的な機能です。

しかし、スマホ単体のLiDARスキャンにはいくつかの制約がありました。まず測位精度の問題です。スマホ内蔵のGPSでは誤差が数メートル生じるため、取得した点群にも絶対座標のズレが発生します。またLiDARで広範囲を歩き回ってスキャンすると、ARキットによる自己位置推定の誤差累積で地形が歪んでしまうケースもありました。これではせっかく点群を取得しても、設計図や他の測量データと正確に比較できず、実務で使うには信頼性に欠けます。

そこで登場したのがRTK測位技術と、それをスマホで活用できるデバイスです。RTK（Real Time Kinematic）とは衛星測位の一種で、基準局からの補正情報を使ってGPS等の精度を飛躍的に高める手法です。日本では「みちびき」が配信するセンチメータ級補強サービス（CLAS）などにより、容易に数センチ以内の測位が可能になっています。近年、このRTK対応の小型GNSS受信機をスマホに取り付けることで、スマホ自体を高精度測位に対応させることができるようになりました。レフィクシア社の LRTK シリーズはまさにその代表例で、例えばスマホ用デバイスの「LRTK Phone」をiPhoneやiPadに装着し専用アプリを使えば、スマホが即座にポケットサイズの測量機に早変わりします。重さ約125g・厚さ13mmの受信機を専用ケースでスマホにワンタッチ装着するだけで、衛星からの補正信号を受信してリアルタイムに現在位置を測定。誤差は通常2～3cm程度、平均化測位を行えば1cm未満の精度も達成できるほどの高性能です。

*スマートフォンに小型RTK-GNSS受信機「LRTK」（上部）を装着し、内蔵LiDARで周囲をスキャンして点群を取得している様子（左）。スキャン後の点群データ上で任意の2点間距離を測定することもできる（右）。* このiPhone LiDAR＋LRTKの組み合わせにより、取得した全てのポイントにグローバルな高精度座標を付与できるようになります。例えば地面をスキャンしてもLRTKが常に自己位置をセンチ精度で把握しているため、従来起きがちだった点群の歪みや縮尺ズレも発生しません。こうして得られた絶対座標付き点群なら、その上で距離や厚みを測っても信頼できる精度が担保されます。もはや専門の測量機器と遜色ない精度で、スマホが高性能な3D計測器に変身するわけです。

方法も極めて簡単で実用的です。専用アプリを起動し補正情報（みちびきCLASやVRSなど）に接続したら、あとは測りたい対象に向けてスマホを持って歩くだけ。画面上のボタンを押せばスキャン開始、LiDARセンサーが捉えた点群にリアルタイムで座標が記録され、短時間で高密度な3Dデータが得られます。特殊な知識や技能は不要で、現場スタッフ自らが直感的な操作で計測可能です。しかも従来のようにスキャン後にPCで点群処理ソフトを使って…といった煩雑な後処理もありません。取得データはその場で既知の測量座標系（平面直角座標や標高系）に自動変換され、必要があればスマホから直接クラウドにアップロードして共有できます。つまり、従来は専門業者に委託していた点群計測が「スマホ＋LRTK」だけで誰でも即実践できる時代になったのです。これは現場の測量にかかる手間とハードルを劇的に下げる大きな進歩と言えるでしょう。

実際に得られる点群の精度・品質も、一般的な施工管理用途には十分応えられるものです。スマホLiDAR自体の点群分解能は数センチ単位ですが、LRTKで位置精度が保証されているため、形状把握や出来形チェック、数量計算などには問題なく活用できます。広範囲を一度にスキャンする場合も、位置ズレなく複数エリアの点群をつなぎ合わせ可能です。加えてLRTKは日本の補強信号に対応しており通信圏外でも測位可能なので、山間部の現場や災害時の電波障害下でも威力を発揮します。例えば2023年の能登半島地震では、携帯圏外の被災地でLRTKを使った現地計測が行われ、機動的な状況把握に役立ちました。このようにいつでもどこでも精度を落とさず測れるのも実務上の大きなメリットです。

総じて、iPhoneの手軽さとLiDARの直感操作、そしてLRTKのセンチ精度測位を組み合わせることで、現場3D計測が飛躍的に効率化します。重い三脚や高額なレーザースキャナーを持ち込まなくても、スマホ一台で必要十分な点群が得られるのです。現場監督や職長が「ちょっと自分で測ってみる」ことも可能になり、計測待ちのストレスや人手不足のボトルネックも解消しつつあります。

点群データ＋AR活用：主なユースケース紹介

スマホとLRTKで取得した点群データは、クラウドや専用アプリ上ですぐに3Dモデル化したり、設計データと照合したりできます。さらに大きな魅力は、そうして得られた点群やモデルをARで現場に重ねて活用できることです。ここでは、点群データとARを組み合わせた主な活用例を紹介します。

まず注目すべき最新機能として、埋設物のAR可視化があります。地下に埋めた構造物（配管やケーブル等）の位置記録は従来、埋め戻し前に写真撮影や手測りをして図面化する手間のかかる作業でした。しかしLRTKを使えば、埋設中にiPhoneで配管をスキャンして点群データを取得・保存し、後日それをAR表示で「透視」することが可能です。例えば道路の下に新設した上下水道管を施工後に埋め戻した場合でも、iPhoneをかざすだけで道路面越しに管の位置や深さが見えるのです。*施工後の道路上から、埋設した管の点群データをiPhone越しに透視表示したイメージ。管の通りや深度を誰でも直感的に把握できる*。この機能により、将来別工事で掘り返す際も経験や勘に頼らず正確に埋設物を特定できます。誤って管を損傷するリスクを防ぎ、安全性向上にも大いに役立つでしょう。現場作業員の方々も事前研修なしで使いこなしているほど操作は簡単で、スマホひとつでARによる埋設物管理の「日常使い」が現実のものとなりました。

上記のような埋設物の透視以外にも、点群＋ARには様々な応用があります。以下に主なユースケースをまとめます。

• 設計モデルとのAR比較（出来形チェック・ヒートマップ表示） – 点群データと設計3Dモデルを重ね合わせ、設計との差異を現場で可視化する用途です。施工後の構造物点群と設計モデルを照合すれば、仕上がりが図面通りか一目で判断できます。例えばコンクリート打設後に点群を取得し、その場でBIMモデルとAR比較すれば、出っ張りや欠けなどどの部分がどれだけ設計とズレているか直感的に把握できます。ズレ量をヒートマップ（色分け）で表示することで、許容範囲内か否かもひと目で分かります。ヒートマップでは通常、設計より高い部分を赤、低い部分を青などグラデーション表示するため、良好な部分と要修正箇所が色の違いで明確に判別可能です。近年、このヒートマップをタブレットやスマホでAR重畳表示する技術も登場しています。画面越しに実物にヒートマップを重ねれば、「どの場所をどれだけ直せば良いか」をその場で確認でき、いちいち不良箇所にマーキングする手間も省けます。点群×ARによる出来形チェックは、検査記録に留まらずリアルタイムな品質改善ツールへと進化しつつあります。

• 施工進捗管理 – 工事の進捗を定期的な点群スキャン＋ARで見える化する活用例です。例えば毎週現場をスキャンして点群データを蓄積し、それを工程表上の予定モデルと重ね合わせれば、出来高の達成度を一目で評価できます。AR上で計画モデル（未施工部分）と現況点群（施工済部分）を同時に表示すれば、現在どこまで形になっているかが現地で視覚的に把握できます。また、点群データ同士を時系列で比較することで、土工量の進捗や構造物の段階的な出来形を定量的に管理できます。これにより、進捗の遅れや過剰な盛土・掘削を早期に発見し、工程管理や出来高評価の精度向上につなげられます。

• 土量計算・出来高数量管理 – 点群データは体積計算にも威力を発揮します。従来、掘削や盛土の体積算出は図面や限られた測点から近似していましたが、点群を使えば実測の地形モデルから正確な土量を算出可能です。例えば、施工前後の地形点群を比較して切土・盛土量を自動計算したり、設計モデルと現況点群との差分体積から過不足土量を算出したりできます。LRTKクラウド上でも点群の指定領域を選ぶだけで盛土量を計測でき、日々の出来形管理に活用されています。ARを使えば、例えば現場でスマホをかざしながら「この盛土はあと○○立方メートル必要」といった情報を空間上に表示することも考えられます。点群ベースの数量管理により、出来高報告や残土処理計画が迅速・正確になり、施工管理の効率が向上します。

• ARナビゲーション（測量誘導・墨出し） – 高精度ARの特性を活かし、現場での位置誘導や墨出し作業を支援することもできます。例えば、設計図にある測設点（杭打ち位置や構造物の角位置など）をARで表示すれば、現地で「ここに仮想の杭」を見ることができます。LRTKアプリには、測りたい離れた箇所を非接触で座標取得する「被写体測位」機能もありますが、取得した座標にAR杭を打ち込むことで、実際に杭を打てない場所（高所の法面やコンクリート床上など）でも仮想杭で位置出しができます。スマホ画面に表示される矢印やマーカーに従って移動すれば、誰でも狙い通りのポイントに到達できるため、測量経験の少ない作業員でも墨出し作業をこなせるようになります。また、施工中の重機オペレーターにスマホARで進行方向を指示したり、立入禁止エリアを可視化するといった使い方も期待されています。高精度測位×ARによるナビゲーションは、現場作業の省力化とヒューマンエラー低減に寄与するでしょう。

• インフラ点検・維持管理 – 完成後の構造物メンテナンスにも、点群とARの組み合わせが有効です。例えば橋梁の定期点検で取得した点群データ上に、劣化箇所の写真やメモをひも付けておけば、点群モデルをAR表示して現地で確認することができます。過去点検時の点群と現在を重ねて表示し、ひび割れが拡大していないか、たわみが進行していないかをリアルタイムで比較する、といった使い方も考えられます。従来は紙の図面や写真台帳を見比べていたインフラ点検も、3D点群とARにより現地での迅速な状況把握と記録の重ね合わせが容易になります。将来的にはARゴーグルを活用して、作業員が見ている視界に過去データや補修指示を表示する、といった高度な維持管理DXも実現していくでしょう。

スマホ一台＋LRTKで完結！点群計測とAR活用の流れ

ここまで紹介したように、スマートフォンとLRTKを使えば点群取得から解析、ARでの活用まで一連の流れを現場で完結できます。最後に、そのワークフローを順を追って整理します。

• 準備：スマホ＋LRTKのセットアップ – 計測に用いるiPhoneやiPadにLRTK受信機を装着し、アプリを起動します。みちびきCLASやインターネット経由のRTK補正サービスに接続し、スマホ側でセンチメートル級の測位ができる状態にします。準備が整ったら、測りたいエリアや対象物の付近で位置情報が安定するまで待機します（数十秒程度でRTKの「FIX解」取得が完了します）。

• 現場スキャン：点群データ取得 – 取得対象の周囲を歩行しながらスマホでスキャンします。例えば道路の舗装面や法面の仕上がりを計測する場合、エリアを見渡すようにスマホをかざしてゆっくり歩き回ります。LiDARスキャンはアプリのボタン一つで開始・停止でき、LRTKの高精度座標が付与された点群データがリアルタイムに生成されます。数分もあれば、必要十分な範囲の点群を取得完了できます。スキャン中、取得状況はスマホ画面に逐次表示されるため、取り漏らしがないかその場で確認しながら計測できます。

• データ処理：自動解析とクラウド共有 – スキャン完了後、スマホ上で点群データを確認します。取得した点群は既にグローバル座標系に配置済みなので、現地でそのまま計測や比較に使用可能です。LRTKのアプリでは点群データ上で距離測定や断面表示も行えますが、必要に応じてデータをクラウドにアップロードします。LRTKクラウドにデータを送れば、オフィスのPCからウェブブラウザで点群を閲覧・チェックできます。クラウド上では、点群と図面座標を照合したり、不要な点（人物や重機などの点群ノイズ）の自動除去、メッシュモデルへの変換など高度な解析処理もワンクリックで実行できます。また、3D設計データ（BIM/CIMモデル）をクラウドにアップしておけば、取得点群との位置合わせ表示や差分計算もオンライン上で即座に行えます。こうした処理結果はスマホからも閲覧可能で、点群ビューア上で任意の面積・体積計測や写真付きメモの保存もできます。

• ARによる現場確認・照合 – 必要な解析を終えたら、ARモードで現場確認を行います。スマホまたはタブレットのカメラを現物に向け、取得した点群データや設計モデルをAR表示で重ね合わせます。例えば、クラウドで作成したヒートマップをスマホにダウンロードし、現地でAR表示するといった使い方が可能です。LRTKによる高精度位置合わせのおかげで、現場を歩き回っても仮想オブジェクト（点群やモデル）がズレることなく実物に追従します。これにより、オフィスで確認したズレ箇所をそのまま現地でピンポイント特定でき、「ここをあと5cm削ればOK」といった判断を即下せます。同様に、AR上で設計ラインや杭位置を表示しながら作業すれば、メジャーや墨出しの手間を大幅に省けます。現場でデジタルモデルと実物がシームレスに融合することで、測量・検測・検査のプロセスが格段に効率化します。

• 結果の共有・活用 – 最後に、得られたデータや結果を関係者と共有します。LRTKクラウド上で点群やモデル、計測結果をプロジェクトごとに管理し、発注者や協力会社とURL共有すれば、ログイン不要で3Dデータを確認してもらえます。現場と事務所間でデータが即共有されるため、出来形検査の立会いもリモートで可能になります。また、蓄積された点群データやAR記録はデジタルな工事履歴として将来まで活用できます。完了時の点群は出来形図書の一部として提出したり、将来のリニューアル工事時にデジタルアーカイブとして参照したりと価値の高い資産となります。スマホ＋LRTKで取得したデータは汎用フォーマット（CSVやSIMA、OBJ等）でエクスポートもできるため、普段使っているCADソフトやBIMプラットフォームに取り込んでさらなる解析・利活用も自在です。

以上の流れの通り、スマートフォンとLRTKがあれば現場での3D計測から分析、ARによる確認・指示までワンストップで行えます。まさに「現場を丸ごとデジタル化して持ち歩く」感覚で、これまで分断されがちだった測量→解析→施工指示のフローがシームレスに接続されるのです。

まとめ：LRTK導入で実現する手軽さ・精度・汎用性

従来の3D計測やAR活用は高価な専用機器や専門スキルを要しましたが、LRTKとスマホの組み合わせによって誰もが簡単に扱える時代が到来しました。点群データは現場の生産性向上に直結する貴重な情報資源ですが、その取得・活用のハードルがLRTKによって一気に下がったと言えます。手のひらサイズのLRTK受信機をスマホに付けるだけで、センチメートル級の測位から点群計測・出来形チェック・土量計算・墨出し・AR表示まで1台でこなせる汎用ツールになるのは驚きです。実際に使っている現場からは「ポケットから取り出してすぐ測れるので毎日のように活用している」「価格も手頃なので部署内で1人1台持ち出して効率UPできた」といった声も聞かれます。専用機器を待つことなく自分たちで測って確認できるようになり、意思決定のスピードも飛躍的に上がります。

LRTK導入の容易さも特筆すべき点です。アプリの操作はシンプルで、スマホに不慣れな技術者でも直観的に使い始められます。現場作業員が事前研修なしでAR機能を使いこなしている実例があるように、UIは現場目線で工夫されています。また、補正情報の受信やクラウド連携など難しい部分はシステム側で自動処理されるため、ユーザーは「測る」「見る」といった本質的な作業に集中できます。これまで紙の図面と巻尺で行っていた管理業務が、スマホ画面上で完結する快適さは、一度体験すると手放せなくなるでしょう。

そして精度と信頼性。LRTKは国産技術らしく日本の測量座標系や基準にも対応し、公共測量や出来形管理の基準点測量にも応用できるレベルの精度を持っています。取得したデータをもとに検査合格判定を行ったり、工事写真の代替資料とするケースも増えており、実務上の信頼も着実に高まっています。加えて、汎用性の高さも魅力です。土木・建築の現場測量はもちろん、災害対応や設備点検、農業土木や文化財の記録まで、3Dで記録・測定し・ARで表示するという一連のニーズにこれ一台で対応できます。データはオープンな形で出力できるため他システムとの連携もスムーズです。

今まさに建設業界ではDX推進が叫ばれ、国土交通省の要領にも面的な3次元出来形管理やICT施工が盛り込まれてきました。そうした流れの中で、LRTKのような手軽で高精度なツールは現場DXの切り札となり得ます。点群データとARを日常業務に取り入れることで、測量・施工管理の精度とスピード、そして安全性が飛躍的に向上します。「スマホが万能測量機になる」このコンセプトは、これからの現場の在り方を大きく変えていくでしょう。ぜひ一度、LRTKを現場に導入して、その便利さと有用性を実感してみてください。最先端のAR計測技術が、皆様の現場の生産性向上と品質確保に大きく貢献してくれるはずです。