建設現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進む中、現場DXはまず「測量」から始めることが鍵だと注目されています。測量で得られる正確な現場データは、その後の施工や検査まで一貫して活用できるため、初期段階のDXが現場全体の生産性向上に直結します。特に、日本政府が推進する[i-Construction](https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html)(アイ・コンストラクション)の取り組みにより、従来の常識を覆す「一人測量」のスタイルが現実味を帯びてきました。 本記事では、i-Constructionの概要と測量DXとの関係、一人測量が求められる背景、RTK技術とスマホ活用による測量の変化、測量データを施工・検査まで一貫利用するメリット、そして若手や非測量技術者でも扱える新技術の利点について解説します。最後に、最新のスマホ測量ソリューションLRTKを例に、一人測量がどのように現場DXを後押しするかをご紹介します。
i-Constructionとは?測量DXとの関係
i-Constructionとは、国土交通省が2016年から提唱している建設現場の生産性向上プロジェクトです。測量・設計・施工・検査・維持管理に至るあらゆる工程へICT(情報通信技術)を全面的に導入し、品質と安全を確保しつつ人手や時間を削減して効率化することを目指しています。背景には、建設需要の増加(東京五輪や万博、インフラ老朽化対策など)に対して現場技能者の高齢化や若手不足による人手不足問題があり、生産性が長年停滞してきた業界課題を解決する狙いがあります。そのため国は「生産性革命」の一環としてi-Constructionを位置づけ、建設業界の新常識となるべく強力に推進してきました。
i-Constructionの柱の一つが測量・施工のDXです。例えば土工分野では、ドローンによる自動飛行測量やマシンガイダンス機能付き建機による施工、自動出来形(出来高)管理などを組み合わせ、2025年度までに建設現場の生産性を2割向上させる目標が掲げられました。初期の地形測量から施工中の進捗管理、竣工時の検査に至るまで3次元データを活用することが推奨され、実際に3Dレーザースキャナや写真測量、GNSS測位などの技術が各現場で導入されています。2024年には発展版となる「i-Construction 2.0」も策定され、建設現場のさらなるオートメーション化(自動化)が打ち出されました。この中で、スマートフォンアプリによる簡易かつ高精度な3次元測量など新しい計測技術の普及が報告されており、測量作業の効率化・省人化に大きく寄与すると期待されています。すなわちi-Constructionは、現場DXのスタートである「測量DX」を加速する原動力となっているのです。
一人測量が必要とされる現場課題と背景
これまで測量作業は複数人のチームで行うのが当たり前でした。一 般的には1人がトータルステーションなど測量機器を操作し、もう1人が離れた地点でスタッフ(標尺)やプリズムを持って目標点に立つ──といった役割分担が必要で、息を合わせた共同作業には準備から片付けまで相応の手間と時間がかかりました。測点の数や範囲が多ければ測量だけで丸一日潰れることも珍しくありません。さらに人力に頼るアナログ作業ゆえヒューマンエラーのリスクも伴い、スタッフの目盛り読み違いや手書き記録ミスが発生すると、後工程で測り直しとなってコスト増や工期遅延に繋がる恐れがありました。その負担から、広い現場でも重要そうな箇所だけ最低限測って済ませてしまうケースも多く、結果として見落としによる不測の問題が潜むリスクも抱えていたのです。
しかし近年、建設業界では慢性的な人手不足と技能者の高齢化が深刻化しています。経験豊富な測量技術者が減少し、若手の入職者も伸び悩む中、限られた人数で現場を回すために測量作業の省人化・効率化は避けられない課題となりました。「人に頼る測量」を従来通り続けることが難しくなり、少人数でも高精度な測量を行える新たな手法が強く求められているのです。この状況で注目されて いるのが、ICT技術を活用した「一人測量」というアプローチです。政府主導のi-Construction推進や建設DXの流れも追い風となり、「測量はチームで行うもの」という常識が変わり始めています。現場からは「もし一人でも正確に測れるならその方が効率的だ」という声も上がりつつあり、一人測量は人手不足時代の新常識となりつつあります。
RTK技術とスマホ活用で変わる測量スタイル
一人測量を可能にした最大の技術要因が、GNSS測位技術の進化です。人工衛星の電波で位置を測るGPSに代表されるGNSSは、従来から測量に利用されてきましたが、通常の単独測位では数メートル程度の誤差が生じるため建設現場で要求される精度(数センチ)には届きませんでした。そこで登場したのが*RTK*(Real Time Kinematic、リアルタイムキネマティック)方式です。RTKでは1台の移動局と基準点側の基地局とを通信で連携させ、共通の誤差要因をリアルタイムに差分補正することで測位精度を飛躍的に高めます。これによりセンチメートル級の測位が即時に可能となり、1990年代以降、トータルステーションに代わる新たな測量手段として普及が進みました。
従来のRTK-GNSS機器は高価で大掛かりな据置型の装置が多く、運用にも専門知識が必要でした。専用の基地局を設置したり無線通信機器を用意したりと準備のハードルも高く、「精度は高いが手軽ではない」ため真の省人化には直結していなかったのです。近年、この課題を克服するべくRTK-GNSS機器の小型化・低価格化が進み、スマートフォンと連携して使える超小型受信機などが登場しました。たとえば後述する[LRTK](https://www.lrtk.lefixea.com/lrtk-phone)のようにスマホに装着できるポケットサイズ(重量わずか100〜125g程度)のRTK受信機があれば、三脚や長尺のスタッフを担ぐ必要もなく、現場を動き回りながら一人で高精度測量が可能になります。測位に必要なアンテナやバッテリーもすべて片手に収まるため、狭所や傾斜地でも身軽に動け、年配の方や力の弱い方でも機器負担が少ないのが利点です。
さらにスマートフォンアプリの活用が測量スタイルを一変させています。スマホは直感的な操作インタフェースを備え、普段から使い慣れている若手であれば抵抗なく扱えます。専用アプリ上でボタンをタップするだけで測位・記録が完了し、難しい設定や計算も自動化されているため、測量の専門知識がなくても正確なデータ取得が可能です。例えば測りたい地点にポール先端の機器を当て、スマホ画面の「測定」ボタンを押すだけで、その瞬間の緯度・経度・高さがセンチ精度で記録されます。取得データは即座にスマホ内に保存され、日時や点名、測位状態(固定解/FIXかなど)も自動記録されるため人為ミスなく確実にデータ化できます。またアプリが日本の平面直角座標系への変換やジオイド高の補正計算も行ってくれるので、利用者は座標計算の知識がなくても問題ありません。要するに測量における「裏方」の難しい処理は機械とソフトが担い、現場の人間は「ポイントに機器を当ててボタンを押す」だけに専念すれば良い時代になりつつあるのです。
このようなリアルタイムかつ簡便な測量が可能になれば、省人化だけでなく業務スピードも飛躍的に向上します。必要なときに一人ですぐ測れるため、「測量班の手配待ち」で作業が中断することがなくなります。思い立ったその場で即座に測定→データ共有まで完結できるため、段取り待ちの時間削減や意思決定の迅速化にもつながります。例えば、従来2人で半日かけていた測量が、一人で数時間以内に完了すれば、延べ作業時間は大幅短縮され全体 工期にも余裕が生まれます。取得データをクラウド経由で事務所とリアルタイム共有できれば、現場にいながら上長や同僚に即報告・指示を仰ぐことも可能です。このようにRTK技術とスマホを組み合わせた新しい測量スタイルは、省人化(少人数化)とリアルタイム性を両立し、現場DXにおける測量作業の常識を塗り替えつつあります。
測量データを施工・検査まで一貫活用するメリット
一人測量によって得られた高精度デジタル測量データは、その後の施工計画や品質検査に至るまで一貫して活用できます。これこそ測量DXが現場DX全体に寄与する大きなポイントです。従来は測量野帳の手書き数値を事務所でCAD図面に起こす、完成後に改めて別途計測して出来形図を作成するといった非効率な手戻りが発生しがちでした。しかし最初の測量からデータがデジタル化・クラウド共有されていれば、後工程への引き継ぎがシームレスになります。
具体的には、測量で取得した点群データや座標情報をそのまま設計ソフトに取り込んで土量計算や施工計画の立案に使えます。現況の3D地形モデルと3D設計データを重ね合わせて施工ステップをシミュレーションしたり、関係者全員で完成イメージを共有するといった活用も容易です。施工中も定期的に一人測量で現況を計測し、設計モデルとの差分をチェックすることで、出来形(完成形状)が設計どおりか一目で確認できます。点群データ上で色分け表示すれば、盛土や掘削の過不足箇所が可視化され、追加の手直しが必要な場所を早期に発見できます。これは品質管理の高度化と手戻り防止に直結します。
また、クラウド上に最新の測量データが常にアップロードされていれば、事務所に居ながら現場の状況を把握する遠隔臨場も可能です。例えばスマホで取得した高精度の現況点群や360度写真をクラウド共有し、本社の技術者がVR空間上で現地確認を行うという活用事例も現れています。遠隔地との情報共有が円滑になれば、発注者への説明や協議もスムーズになり、合意形成の迅速化につながります。さらに竣工時には、施工前後のデータを比較することで電子納品用の出来形成果品を素早く作成 できます。i-Constructionの要領に沿ったデジタル納品にも対応しやすくなるため、発注者や監督員とのやり取りも効率化されるでしょう。
このように、測量段階でDXを実現することは単なる測量業務の効率化にとどまらず、その後の施工・検査プロセス全体の生産性を底上げします。最初の測量データを最後まで一貫して使い倒すことで、重複作業やデータ不整合が減り、現場全体がスピードアップ&高品質化するのです。まさに「現場DXは測量から」というコンセプトを体現する流れと言えます。
若手・非測量職でも扱える現場技術としての利点
最新の一人測量技術が優れている点は、特別なスキルがない人でも扱いやすいことです。現場では測量の専門職だけでなく、施工管理担当や職人が自ら測定を行えれば作業の幅が広がります。ICTを活用したスマホ測量は、そうした若手社員や測量以外の職種のスタッフにもメリットをもたらします。主な利点は次のとおりです。
• 操作が直感的で簡単:スマートフォンのアプリ上で動作するため、普段スマホに慣れている人であれば戸惑うことがありません。画面の指示に従ってボタンを押すだけで測定でき、複雑な設定や計算はバックグラウンドで自動処理されます。新人でも短時間のレクチャーで基本操作を習得でき、その日のうちに現場で使い始めることができます。
• 機器が小型軽量で負担が少ない:従来の光学測量機や重い三脚を担ぐ必要がなく、スマホと小型GNSSデバイスだけで完結します。重量数百グラム程度の機器なら高齢のベテラン作業員でも持ち運びが苦になりません。現場に常時携行しやすいため、「ついで測量」で細かな確認作業を随時行えるようになります。測り忘れや後回しを防ぎ、安全面の向上にも寄与します。
• 測量知識が浅くても高精度:アプリが現在の測位精度や衛星受信状態をわかりやすく表示し、精度が不安定な場合は警告も出るため、ユーザーは状況を把握しながら作業できます。得られた座標データは自動で公共座標系に変換されるなど、専門知識がなくともミスなく高品質な測定結果を得られる仕組みです。経験の浅い人でもベテランに近い成果を出せるため、組織全体の技術力平準化にもつながります。
• マルチタスクで現場記録:スマホ測量デバイスは測点の位置取得だけでなく、多機能な活用が可能です。例えばスマホのカメラやLiDARと組み合わせて周囲の点群データを同時に取得したり、AR(拡張現実)機能で電子図面上の設計ラインを現地に投影して位置出し(墨出し)に使ったりすることもできます。一人で測量しながら写真記録や出来形確認を並行できるため、作業工程を圧縮して効率化できます。
このように、一人測量の技術は専門家の専売特許ではなくなりつつあります。若手のデジタルネイティブ世代はもちろん、デジタルが苦手なベテラン勢も「ボタン一つで測れる」便利さを実際に体験すれば驚くはずです。現場スタッフ全員が使いこなせるテクノロジーになることで、測量作業はより身近で日常的なものとなり、必要な時に必要な人が即対応できる体制が築けます。
スマホ測量の導入例:LRTKがもた らす一人測量革命
では実際に、一人測量の現場DXを実現した導入例を見てみましょう。ある中規模工事現場では、従来2名体制で行っていた測量にスマートフォン装着型のRTK測位システム[LRTK](https://www.lrtk.lefixea.com/lrtk-phone)を導入しました。結果、初めの1週間で測量工数を30%削減し、以降も安定して大幅な作業効率向上が報告されています。現場担当者によれば、LRTK導入後は「測量のために人を割く必要が減り、他の重要業務に人員を回せるようになった。思い立ったときにすぐ測れるので作業待ちがなくなり、工期短縮と品質向上を同時に実現できた」といいます。
このLRTKは、東京工業大学発のスタートアップ企業が開発したスマホ一体型の超小型RTK-GNSS受信機です。厚さ約13mm・重量約125gというコンパクトさでiPhoneやiPadに装着でき、単体でセンチメートル級測位を可能にします。専用アプリとクラウドサービスを備え、現場で取得した位置情報を即座にクラウド上の地図にプロットして社内で共有することもできます。ネットワーク型RTK(Ntrip)に対応し、スマホの4G/5G通信経由で全国の基準点ネットワークから補正データを受信可能です。また通信圏外の山間部などでは、日本の準天頂衛星みちびき(QZSS)の提供する高精度補強信号(CLAS)を利用して補正情報を得ることもできるため、インターネットが届かない現場でも測位を継続できます。
LRTKを使えば、誰でも手軽に一人測量が実践できるよう設計されています。実際、前述の現場では入社1年目の若手スタッフがLRTKによる測量を担当し、スマホゲームを操作するような感覚で短時間のうちにコツを掴んでいました。測位状態の確認からデータ保存・クラウド送信までワンタップで完了し、紙の野帳も不要です。もちろん得られた成果はBIM/CIMやCADソフトにそのまま取り込めるため、設計図との比較検討や出来形図書の作成もスムーズに行えます。まさにLRTKが現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上させた好例と言えるでしょう。
国土交通省が推進するi-Constructionの要求にも適合したこうしたソリューションは、現在各地の建設会社や自治体で導入が進みつつあります。LRTKのようなスマホ測量デバイスを現場に1台導入するだけでも、その即効性を体感できるはずです。まずは小規模な現場やプロジェクトで試験的に運用して効果を実感し、徐々に運用範囲を広げていくとスムーズでしょう。測量DXを皮切りにした現場DXは、人手不足の解消と生産性向上の切り札となり得ます。「現場DXは測量から」――最新テクノロジーを積極的に取り入れ、一人測量という新常識を現場に根付かせることで、これまでの常識にとらわれないスマートな施工管理を実現してみてはいかがでしょうか。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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