目次
• 歩車道境界の段差分を盛土数量へ反映する理由
• 盛土の体積計算を始める前に決める基準面
• 項目1 車道と歩道の計画高を分け て確認する
• 項目2 歩車道境界構造物の占有体積を控除する
• 項目3 横断勾配による断面形状の違いを拾う
• 項目4 乗入れ部や切下げ部を別区間として扱う
• 項目5 変化点ごとの断面積から区間体積を求める
• 項目6 盛土材と路床材・路盤材を区分する
• 歩車道境界を含む盛土体積の具体的な計算手順
• よくある計算ミスと防止方法
• 現場計測結果を数量確認へ活用する方法
• まとめ
歩車道境界の段差分を盛土数量へ反映する理由
盛土の体積計算方法を検討するとき、歩車道境界は計算条件の取り違えが生じやすい部分です。平面図では車道と歩道が連続した施工範囲に見えても、横断図では車道面、歩道面、縁石、基礎、路床、路盤、舗装が異なる高さと範囲で配置されています。車道と歩道を一つの平均厚で計算すると、歩道側の高低差を拾えない一方、構造物や別材料の範囲まで盛土へ含める可能性があります。
ただし、歩車道境界に段差があるからといって、その高低差の全てを追加の一般盛土として計上するわけではありません。盛土数量の上面を路体仕上がり面、路床仕上がり面、舗装下面などのどこに置くかによって、対象体積は変わります。さらに、路体盛土と路床盛土を分けて算出する設計では、両者を混ぜずに集計する必要があります。
歩車道境界付近には縁石や基礎が設けられますが、これらを常に盛土量から控除するとは限りません。適 用する数量算出要領には、盛土中の小規模な建造物を控除しない取扱いが定められている場合があります。国土交通省の令和7年度土木工事数量算出要領では、盛土中で現地盤線以上の断面積が1.0平方メートル未満の建造物は、原則として控除しなくてよい対象に含まれています。したがって、縁石や基礎の幾何学的体積だけを見て機械的に差し引くのではなく、発注者の要領、設計図書、工種区分に従って控除要否を決める必要があります。
また、一般部の段差寸法が一定でも、車道と歩道の横断勾配、歩道幅、現況地盤、片勾配、乗入れ部、横断歩道接続部などにより断面積は変化します。道路管理者の基準では、一般部、横断歩道接続部、車両乗入れ部で段差や勾配の標準が異なる場合があり、特殊部を一般部と同じ断面で処理することはできません。([国土交通省][1])
歩車道境界の段差分を安全に拾うには、車道と歩道の計画高、構造物の控除条件、横断勾配、特殊区間、断面間の体積化、材料区分という六つの項目を順番に確認します。重要なのは、単純な計算式を当てはめることではなく、契約上の数量区分と実際の断面形状を一致させることです。
盛土の体積計算を始める前に決める基準面
盛土体積は、下側の面と上側の面に挟まれた空間として求めます。したがって、計算を始める前に、どの面を盛土の下面とし、どの面を上面とするかを明確にしなければなりません。下側には現況地盤面、表土除去後の面、既設舗装撤去後の面、掘削仕上がり面、地盤改良後の面などが考えられます。上側には路体仕上がり面、路床仕上がり面、路盤下面、舗装下面などが考えられます。
対象面は一般論だけで決めず、設計図書、特記仕様書、数量計算書、発注者の数量算出要領を優先します。舗装仕上がり高から舗装厚と路盤厚を差し引けば路床上面を求められる場合がありますが、路床盛土を別工種で算出する設計では、一般盛土の上面を路床上面と同一に扱わないことがあります。路体と路床の境界は、土工定規図や横断図に示された区分線を確認します。
車道と歩道では舗装構成が異なることがあります。車道側の構成厚を歩道側へ流用した り、歩道側の構成厚を車道側へ流用したりすると、盛土上面の高さを誤ります。車両乗入れ部で舗装構成が変わる場合は、同じ歩道内でも一般部と乗入れ部を分けて扱います。
平面上の対象範囲も決めます。車道、歩道、植樹帯、側溝、縁石、擁壁、集水施設などが連続するときは、それぞれの境界線を図面上で整理します。平面図だけでは基礎幅や地下構造が分からないため、標準横断図、個別横断図、舗装構成図、構造詳細図を併用します。
土量の状態も区別します。路体盛土や路床盛土の設計数量は、適用要領上、締固め後の土量として扱われることがあります。一方、運搬、仮置き、材料調達では地山、ほぐし、締固め後の状態が異なるため、設計体積をそのまま搬入量へ置き換えることはできません。国土交通省の数量算出要領でも、路体盛土や路床盛土と、掘削・運搬などでは土量状態の取扱いが区分されています。
基準面、平面範囲、工種区分、土量状態を最初に決めておけば、その後の計算が一貫します。歩車道境界の段差分 を把握する場合も、舗装表面の段差だけではなく、対象工種の上面同士の高低差を使うことが基本です。
項目1 車道と歩道の計画高を分けて確認する
一つ目の項目は、車道と歩道の計画高を分けて確認することです。標準横断図に段差寸法が示されていても、その値を全区間へ一律に適用できるとは限りません。縦断勾配、横断勾配、片勾配、交差点部のすり付け、沿道接続高などによって、境界位置の高さが変化するためです。
車道の計画高が道路中心線や縦断計画線で示されている場合、歩車道境界位置の車道高は、中心線から境界までの横断距離と横断勾配を用いて算定します。両勾配の道路では左右の車道端が中心線より低くなることがあり、片勾配区間では左右の境界高が大きく異なることがあります。中心線高をそのまま境界位置へ使うと、歩道側の高さと盛土厚の両方を誤ります。
歩道側は、車道との接続 条件、縁石周辺の形状、歩道横断勾配、民地側の取合いを確認します。歩道が車道側へ下がるのか、民地側へ下がるのかにより、歩道端部の計画高は変わります。境界部の一点だけでは断面形状を表現できないため、歩道の車道側端部、歩道内の勾配変化点、民地側端部など、必要な位置ごとに高さを整理します。
盛土計算に使用する高さは、対象工種の上面です。舗装仕上がり面から路床上面を求める場合は、車道側と歩道側でそれぞれの舗装構成厚を差し引きます。車道と歩道で構成厚が異なれば、舗装面の段差と路床面の段差は一致しません。
段差分の追加断面積を概算する場合は、基準となる車道側の対象面を歩道側へ仮想的に延長し、実際の歩道側対象面との差を求めます。ただし、歩道面に横断勾配がある場合、高さの差は幅全体で一定ではありません。歩道両端の差を使い、台形として求める方が実際の形状に近くなります。
各測点では、車道仕上がり高、車道側対象面高、歩道仕上がり高、歩道側対象面高、現況地盤高を分け て記録します。高さの算定に使用した図面番号、改訂番号、測点、勾配、幅員も残します。これにより、計画変更時にどの数値を修正すべきか追跡できます。
項目2 歩車道境界構造物の占有体積を控除する
二つ目の項目は、縁石、基礎コンクリート、敷き材、裏込め材などの取扱いを確認することです。ここで重要なのは、構造物の体積を必ず控除するという意味ではありません。幾何学的には盛土材が存在しない範囲でも、設計数量上は控除しない場合があるため、適用する数量算出要領の控除基準を先に確認します。
国土交通省の令和7年度土木工事数量算出要領では、盛土中で現地盤線以上の断面積が1.0平方メートル未満の建造物は、原則として盛土数量から控除しなくてよい対象です。また、横断構造物等では、現地盤線以上の断面積が1平方メートル以上となる場合に盛土量から控除し、裏込め材を使用する場合は盛土量から除いて別途算出する取扱いが示されています。縁石やその基礎へこの規定をどう適用するかは、構造形式と発注者の運用を確認して判断します。
控除対象となる場合は、構造詳細図から範囲を確認します。縁石本体の幅と高さだけでなく、基礎の幅、厚さ、張出し、敷きモルタル、背面コンクリート、裏込め材の形状を確認します。表面に見える縁石幅だけで計算すると、地下部分の形状を反映できません。
一方、完成断面の純体積、設計数量、施工時の取扱土量は同じとは限りません。盛土施工後に基礎部を掘削する施工手順であっても、設計数量では小規模構造物を控除しない場合があります。反対に、裏込め材や構造物周辺の選定材を別工種で計上する設計では、一般盛土との重複を避ける必要があります。
一般部、乗入れ部、横断歩道接続部、排水施設周辺では、縁石形状や基礎寸法が変わることがあります。控除または材料区分が必要な場合は、形式変更点で区間を分けます。一定断面の区間は断面積に延長を掛け、変化区間は起終点の断面積から平均断面法で体積化します。
数量計算書では、控除しない根拠、控除した範囲、別途算出した裏込め材や埋戻し材の範囲を明記します。構造物本体、基礎、裏込め、一般盛土が互いに重複しないことを断面上で確認することが重要です。
項目3 横断勾配による断面形状の違いを拾う
三つ目の項目は、車道と歩道の横断勾配を盛土断面へ反映することです。段差を幅と高さだけで計算すると、車道面や歩道面を水平な面として扱うことになります。しかし、実際の計画面は排水や通行条件を考慮して勾配を持つため、盛土断面は長方形だけでは表現できません。
横断方向の断面積は、計画線と現況地盤線の変化点ごとに高さを求めて算出します。車道中心、車道端、縁石の車道側端部、縁石の歩道側端部、歩道端、法肩、民地境界などを主な変化点として整理します。各点で計画高と現況高の差を求め、隣り合う点の間を台形または三角形として計算します。
横断方向の幅をb、両端の盛土厚をh1とh2とすると、両点間を直線で結べる範囲の断面積は、bにh1とh2の平均を掛けて求められます。一方の盛土厚がゼロであれば三角形になります。現況地盤線と計画線が途中で交差する場合は、交点を求めて切土部と盛土部を分けます。
歩道幅全体へ一定の段差高を掛ける方法では、歩道横断勾配と現況地盤勾配を反映できません。歩道の車道側と民地側で対象面高が異なる場合は、両端の盛土厚を用いて断面積を求めます。途中に排水勾配の折れや平坦部がある場合は、その位置も変化点に加えます。
道路が片勾配へ移行する区間では、境界位置の車道高が延長方向に変化します。段差寸法が同じでも、現況地盤から対象面までの厚さは変わるため、標準横断図だけを全区間へ適用することはできません。片勾配の開始点、終了点、勾配変化点に断面を追加します。
交差点部や隅切り部では、複数方向の勾配が重なります。一定間隔 の横断面だけでは形状を表現しにくい場合があるため、すり付けの起終点や高さの折れ点を追加します。三次元面で計算する場合も、歩車道境界の上下を分けるブレークラインを設定し、段差が補間で消えないようにします。
項目4 乗入れ部や切下げ部を別区間として扱う
四つ目の項目は、車両乗入れ部、横断歩道接続部、交差点部などを一般部と分けて計算することです。これらの区間では、歩車道境界の段差、歩道面の勾配、舗装構成、縁石形状が変わることがあります。
国土交通省の歩道の一般的構造に関する基準では、一般的な歩道面と車道面の高低差、横断歩道等に接続する部分の段差、車両乗入れ部の段差について、それぞれ異なる標準が示されています。ただし、実際の設計では最新の法令、道路管理者基準、地域条件、設計図書が優先されるため、標準値を一律に転用せず、対象工事の図面を確認します。([国土交通省][1])
車両乗入れ部では、低下部だけでなく、その両側のすり付け部も特殊区間です。乗入れ有効幅だけを別計算し、すり付け部を一般部の断面で処理すると、段差分を過大または過小に算出します。起点、すり付け開始点、低下部開始点、低下部終了点、すり付け終了点を確認し、必要な位置に断面を設定します。
乗入れ部では、車両荷重に対応するため歩道舗装の構成が一般部と異なる場合があります。舗装面が低下しても、路床面が同じ高さとは限りません。一般部と乗入れ部の舗装構成図を照合し、対象工種の上面高を求めます。
横断歩道接続部では、歩道面のすり付け、水平区間、排水施設、誘導用舗装などにより形状が変わることがあります。段差の変化だけでなく、歩道内の勾配折れと構造物範囲も確認します。
交差点部では歩車道境界線が曲線となり、歩道幅も一定でない場合があります。横断面法を用いるときは、断面の方向と区間長の基準を統一します。平面面積と平均厚で求める場合は、対象範囲を 重複なく閉じた領域として設定します。
道路沿いに乗入れ部が多数ある場合は、一般部と特殊部の延長を一覧化します。全体延長から特殊区間を差し引いた長さを一般部延長とし、各区間の合計が施工対象延長と整合するか確認します。一般部の数量へ特殊部を含めたまま、特殊部を別加算すると二重計上になります。
項目5 変化点ごとの断面積から区間体積を求める
五つ目の項目は、横断面ごとの断面積を区間体積へ変換することです。国土交通省の数量算出要領では、体積は数学公式のほか、両断面積の平均に距離を乗じる平均断面法で算出でき、土工では平均断面法または三次元モデルによる数量算出を標準としています。
ある測点の断面積をA1、次の測点の断面積をA2、測点間距離をLとすると、区間体積は、A1とA2の平均にLを掛けて求めます。歩車道境界の段差分だけを管理する場合も、各断面で追加断面積 を求め、同じ方法で区間体積へ変換できます。
平均断面法では、断面を設定する位置が精度を左右します。一定間隔の測点だけでなく、乗入れ部の起終点、歩道幅変更点、横断勾配変更点、縁石形式変更点、舗装構成変更点、現況地盤の急変点に断面を追加します。短区間で形状が急変する場所を長い一区間の平均で処理すると、実形状とのずれが大きくなります。
現況地盤が変化する場合も断面を追加します。計画断面が同じでも、現況地盤が高くなれば盛土断面積は小さくなり、低くなれば大きくなります。計画形状だけを使い回さず、各測点の現況測量成果を反映します。
道路土工の距離は、適用要領では道路中心線上の距離を標準とする場合があります。半径の小さい曲線部などで中心線距離が適当でない場合は、断面の図心位置など別の距離を使える取扱いもあります。歩車道境界線の延長を無条件に使うのではなく、断面の設定方法と適用要領を一致させます。
三次元モデルから体積を求める場合は、現況面と計画面の範囲、境界線、穴、重複を確認します。車道側対象面、歩道側対象面、構造物範囲を適切に分割し、段差の上下にブレークラインを設定します。ソフトウェアの算出結果は、概算値や代表断面と比較して妥当性を確認します。
数値の丸めは、独自ルールで最後まで桁を保持するのではなく、適用する数量算出要領の単位と数位に従います。国土交通省の要領では、長さ、断面積、平均断面積、土量などについて計算上の数位と丸め方が示されています。計算書では、採用した丸め規則を統一し、途中で異なる規則を混在させないことが重要です。
項目6 盛土材と路床材・路盤材を区分する
六つ目の項目は、段差部を構成する材料と工種を区分することです。歩道側の完成面が車道側より高くても、その差の全てが一般盛土材で構成されるとは限りません。路体盛土、路床盛土、路盤、舗装、裏込め材、構造物周辺の埋戻しな どが断面内に重なります。
まず、設計図書上の路体と路床の境界を確認します。路床を特定材料による別層として施工する場合もあれば、現地発生土を品質管理して路床として扱う場合もあります。「路床材」という名称だけで材料を決めつけず、工種、品質条件、施工範囲を確認します。
車道と歩道では舗装構成が異なることがあります。車両乗入れ部は歩道内でも構成が変更される場合があります。各区間で舗装仕上がり面、路盤上面、路盤下面、路床上面、路体と路床の境界を断面上に整理し、どの範囲をどの工種で算出するかを明確にします。
縁石背面や基礎周辺に裏込め材、選定材、排水材などが指定されている場合は、一般盛土と分けます。適用要領で盛土量から裏込め材を控除して別途算出する取扱いがあるため、材料範囲を図面に基づいて区分します。
切土材を盛土へ流用する計画では、幾何学的な必要体積と、品質上使用できる量を分けて検討します。切土量と盛土量が同じでも、粒度、含水状態、支持力、施工条件などにより、路床や構造物周辺へ全量を使用できない場合があります。材料適否は、土質試験結果と仕様書に基づいて判断します。
設計数量、材料調達量、運搬量も分けます。締固め後の設計体積へ、根拠のない一律係数を掛けて発注量を決めるのは避けます。土量変化率や施工ロスを使う場合は、発注者基準、土質条件、施工計画に基づく値を採用します。
数量計算書では、車道路体盛土、車道路床盛土、歩道路体盛土、歩道路床盛土、段差部の増減、路盤、構造物周辺材などを必要な区分で整理します。段差分を参考値として独立表示する場合も、最終的な契約数量との関係が分かるようにします。
歩車道境界を含む盛土体積の具体的な計算手順
歩車道境界を含む盛土体積は、最初に使用図面と適用基準をそろえてから計算します。平面図、縦断図、標準横断図、個別横断図、舗装構成図、縁石詳細図、現況測量成果、特記仕様書、数量算出要領を確認します。図面の改訂番号と作成日を記録し、異なる版を混在させないようにします。
次に、計算対象となる工種と上下の面を決めます。路体盛土、路床盛土、裏込め、路盤などを分け、各工種の上面と下面を図面上で確認します。下側が現況地盤面なのか、表土除去後の面なのか、撤去後の面なのかも明確にします。
平面図上では、一般部、乗入れ部、切下げ部、横断歩道接続部、交差点部、歩道幅変更部、横断勾配変更部、構造物形式変更部を区分します。各区間の起終点を設定し、延長の重複や欠落がないようにします。
横断面では、現況地盤線と対象工種の計画線を作成します。車道中心、車道端、縁石周辺、歩道端などの高さを算定し、断面形状を構成します。縁石や基礎については、控除対象か 、控除しない対象か、別材料の範囲かを適用要領に基づいて決めます。
断面積は、長方形、台形、三角形などに分割して求めます。座標法やCADを使う場合も、採用した境界点と閉合範囲を保存します。現況線と計画線が交差する場合は、交点で切土部と盛土部を分けます。
段差分だけを参考値として算出するときは、基準となる車道側対象面を歩道側へ仮想延長し、実際の歩道側対象面との差を求めます。ただし、これは段差影響の内訳を確認するための補助計算です。最終数量は、実際の現況面と計画面に囲まれた断面から算出し、工種区分と整合させます。
各測点の断面積を求めた後、隣接断面の平均に区間長を掛けます。特殊区間の起終点や急変点に追加断面を設け、一般部と特殊部の数量を別々に集計します。曲線部では、使用する距離の基準と断面方向を統一します。
三次元モデルを使用する場合は、同じ範囲を代表断面や概算式でも確認します。歩道幅、平均的な高低差、延長から段差分の概算を求め、詳細計算と大きく乖離していないか照査します。差が大きい場合は、基準面、特殊区間、現況地盤、構造物取扱い、単位、境界線を見直します。
最後に、数量計算書へ測点、断面積、平均断面積、区間長、区間体積、材料区分、控除条件、使用図面を記録します。別の担当者が同じ図面から再計算できる状態にすることが、照査性の高い数量計算につながります。
よくある計算ミスと防止方法
最も多いミスは、舗装仕上がり面の段差をそのまま盛土厚の差として使うことです。車道と歩道で舗装構成が異なれば、対象工種上面の高低差は舗装面の段差と一致しません。必ず路体、路床、路盤など計算対象の面へ戻して比較します。
車道中心の 計画高を境界位置の車道高として使うことも誤差の原因です。横断勾配と中心線からの距離を使って、境界位置の高さへ変換します。片勾配区間では左右を別々に計算します。
歩道幅全体へ一定の段差高を掛ける方法も注意が必要です。歩道横断勾配と現況地盤勾配により、盛土厚は幅方向に変化します。歩道両端や勾配変化点の高さを求め、台形や三角形に分割します。
縁石と基礎を無条件に控除するのも誤りになり得ます。適用要領では、一定規模未満の建造物を盛土数量から控除しない取扱いがあります。控除の有無は、構造物の断面積、位置、工種区分、発注者の運用を確認して決めます。
反対に、裏込め材や構造物周辺材を一般盛土へ含めたまま別途計上すると二重計上になります。一般盛土、構造物本体、基礎、裏込め、埋戻しの範囲を断面上で分けます。
乗入れ部を一般部の延長に含めたまま、乗入れ部を別加算するミスもあります。一般部と特殊部の延長一覧を作成し、合計が施工対象延長と一致するか確認します。
曲線部で道路中心線距離と歩車道境界線延長を混在させると、体積計算の前提が崩れます。採用した断面方向に対応する距離を一貫して使用し、例外処理を行った場合は根拠を記録します。
図面単位の混在にも注意します。構造詳細図のミリメートル、平面図のメートル、標高値を同じ単位へ換算してから計算します。断面積の単位と延長の単位がそろっていることを確認します。
丸め方を担当者ごとに変えることも避けます。適用する数量算出要領の計算単位と数位を先に決め、全区間で統一します。独自に途中値を大きく丸めたり、最後だけ別の方法で丸めたりしないようにします。
照査では、最終体積だけでなく、使用図面、基準面、工種区分、区間分け、控除条件、距離基準、単位、丸め規則を確認します。計算式が正しくても、入力条件が違えば数量は正しくなりません。
現場計測結果を数量確認へ活用する方法
設計図面から求めた盛土体積は、設計時の現況地盤と計画形状を前提とします。施工開始時の地盤、撤去後の面、地盤改良後の面が設計条件と異なる場合は、当初数量と実施工数量に差が生じます。歩車道境界付近は段差や構造物が集中するため、施工段階ごとの計測記録が重要です。
施工前には、現況地盤高、既設舗装高、既設構造物位置を確認します。表土除去や既設舗装撤去を行う場合は、撤去後の面も記録します。盛土下面となる実際の施工面を測定すれば、設計現況面との差を確認できます。
路体または路床の施工後には、車道側と歩道 側の対象面高、歩車道境界位置、歩道端部高、横断勾配を確認します。舗装施工後は下層面が隠れるため、不可視となる前に測定し、写真、測点、座標、高さ、計測日を関連付けて保存します。
縁石施工時には、基礎の幅、深さ、張出し、背面材の範囲を確認します。設計変更で基礎寸法や位置が変わった場合は、盛土、裏込め、埋戻しの数量へ影響する可能性があります。変更図面と適用区間を記録します。
点群や面データを用いる場合は、施工前後で座標系、高さ基準、対象面を統一します。基準点や標高基準が異なるデータを差し引くと、実際にはない体積差が生じます。歩車道境界の上下をそれぞれ計測し、段差線をブレークラインとして扱います。
スマートフォン、GNSS端末、トータルステーション、三次元スキャナーなどを使う場合は、必要精度、現場条件、検査基準に適合する機器と方法を選びます。スマートフォンによる写真や位置記録は、変化点の記録や照合に役立つ場合がありますが、契約数量や出来形判定に使用でき るかは、要求精度、校正、測定手順、発注者の承認を確認しなければなりません。
計測データを取得しただけで体積が自動的に正しくなるわけではありません。どの面を測ったか、欠測部をどう補間したか、構造物範囲をどう扱ったか、設計面と実測面の境界が一致しているかを確認します。現場計測は、設計図面と数量計算を補完する根拠として使用します。
まとめ
盛土の体積計算方法で歩車道境界の段差分を拾うには、舗装面の高低差へ歩道幅と延長を掛けるだけでは不十分です。車道と歩道では、対象面、横断勾配、舗装構成、材料区分、構造物の取扱いが異なることがあります。
最初に、適用する設計図書と数量算出要領を確認し、路体盛土、路床盛土、裏込め、路盤などの工種を分けます。車道中心高は横断勾配を用いて境界位置の高さへ変換し、車道側と歩道側で対象面高を別々に求めます。
縁石や基礎は、幾何学的に盛土材がないからといって常に控除するわけではありません。一定規模未満の建造物を控除しない要領もあるため、構造物の断面積、位置、裏込め材の有無、発注者の運用を確認します。
横断勾配がある断面では、歩道幅全体を一定厚として扱わず、両端や勾配変化点の盛土厚を用いて台形や三角形に分割します。現況地盤線と計画線が交差する場合は、切土部と盛土部を分けます。
乗入れ部、横断歩道接続部、交差点部では、段差、勾配、舗装構成、縁石形状が変わります。一般部とは別に起終点やすり付け位置へ断面を設定し、平均断面法または適切に作成した三次元モデルで体積を求めます。
計算後は、使用図面、基準面、工種区分、区間延長、距離基準、単位、丸め規則、構造物取扱いを照査します。現場では、施工 前地盤、撤去後の面、路体・路床完成面、縁石基礎、裏込め範囲を不可視になる前に記録します。
歩車道境界は小さな段差に見えても、延長が長い場合や特殊区間が多い場合は数量へ影響します。適用基準を優先し、断面形状と工種区分を一致させ、計算根拠を追跡できる形で残すことが、公開前にも実務にも安全な盛土数量の整理方法です。
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