目次
• 盛土体積からガードレール支柱根巻きを除く理由
• 1.盛土と根巻きの数量算出範囲を確認する
• 2.根巻きの形状と寸法を図面 から読み取る
• 3.支柱本体と根巻きコンクリートを区別する
• 4.支柱本数と設置位置を正確に整理する
• 5.施工順序と出来形面を基準に控除範囲を決める
• 6.契約数量と施工管理数量の扱いを分ける
• 根巻きを除いた盛土体積の計算方法
• ガードレール支柱根巻きの計算例
• 計算結果を照合するときの確認事項
• 現地計測データを盛土体積計算に活用する方法
• まとめ
盛土体積からガードレール支柱根巻きを除く理由
盛土の体積計算では、完成した地形の外形だけを見て数量を算出すると、盛土内部に施工される構造物の体積まで土量として計上してしまうことがあります。ガードレール支柱の根巻きコンクリートも、そのような重複計上が起こりやすい部分の一つです。
ガードレールは道路や造成地の外周、法肩、路肩などに設置されます。支柱を地盤へ直接建て込む形式もあれば、支柱の周囲にコンクリートを施工して固定する形式もあります。後者の場合、根巻きコンクリートが盛土の計算範囲内に存在するため、盛土の総体積から根巻き部分を除く必要が生じることがあります。
ただし、根巻きが存在するからといって、すべての数量計算で自動的に控除するわけではありません。設計数量、発注数量、施工計画数量、搬入土量、出来形数量では、求める目的が異なります。契約上の土工数量では小規模な構造物を控除しない場合がある一方、材料 搬入計画や施工後の詳細な出来形管理では、実際に土が入らない体積を分けたほうが実態に近づくことがあります。
そのため、盛土の体積計算方法を検討するときは、単に根巻きの体積を計算するだけでは不十分です。どの計算範囲に根巻きが含まれているのか、根巻きの形状は何か、支柱本数はいくつか、施工時点の地盤面はどこか、どの数量として報告するのかまで整理する必要があります。
特に注意したいのは、図面上の根巻き寸法と現地で施工された形状が必ずしも完全には一致しない点です。掘削孔の広がり、地盤の崩れ、型枠の有無、施工余裕、天端処理などによって、実際のコンクリート体積が設計上の単純な円柱や直方体から変化することがあります。設計段階では図面寸法を使い、出来形段階では施工記録や実測値を使うなど、計算時点に応じた使い分けが重要です。
本記事では、盛土の体積計算方法のうち、ガードレール支柱の根巻きを盛土量から除く際に確認したい6点を解説します。実務で数量の二重計上や控除漏れを 防ぐためには、計算式だけでなく、範囲、形状、本数、施工順序、数量区分を一つずつ確認することが大切です。
1.盛土と根巻きの数量算出範囲を確認する
最初に確認するのは、盛土体積を計算している範囲と、ガードレール支柱根巻きが設置される範囲の重なりです。根巻きの体積を計算できても、そもそも盛土数量に含まれていなければ控除する必要はありません。
盛土体積は、一般に施工前の地盤面と施工後の計画面の差から算出します。横断面法を使う場合は各測点の盛土断面積を求め、隣接する断面間の平均断面積に距離を掛けます。三次元の地形データを使う場合は、施工前後の地表面モデルや、現況面と計画面の差から体積を求めます。
この計算で得られる体積は、二つの面に囲まれた空間の総体積です。その空間内に根巻きコンクリートがある場合、計算結果には盛土材だけでなく根巻きが占める空間も含まれています。盛土材の正味体積を求めたい場合には、重なっている根巻き部分を差し引く考え方になります。
一方、ガードレールが盛土完成後の地表面より上だけに設置され、根巻きが既設地盤側に収まっている場合、根巻きと盛土計算範囲が重ならない可能性があります。たとえば、既設路盤や既設構造物の中に根巻きがあり、その上に盛土を追加する計画であれば、根巻き全体を盛土から控除するのは適切ではありません。盛土範囲に入り込んでいる部分だけを対象にする必要があります。
法肩付近に設置される支柱では、根巻きの一部が盛土内にあり、残りが路盤材や既設地盤内にあることも考えられます。この場合は、根巻き全体の体積ではなく、盛土材と重複する体積を求めます。根巻きの中心高さ、根巻き天端、根巻き底面、盛土開始面、路床面、路盤面などを断面図で重ねると、対象部分を判断しやすくなります。
数量算出範囲を確認するときは、平面方向の範囲も重要です。盛土数量の計算境界が法肩までなのか、路肩端 までなのか、防護柵の外側までなのかによって、根巻きが計算領域に含まれるかどうかが変わります。法面を含む全体盛土量と、道路本体だけの盛土量を別々に計算している場合は、どちらの数量から控除するのかを明確にしなければなりません。
また、盛土数量を工区ごと、測点ごと、施工層ごとに分けている場合、根巻きの控除量も同じ区分に配分する必要があります。全工区の根巻き体積を一括して最終数量から差し引く方法でも総量は計算できますが、工区別の収支や日々の搬入量と比較するときに整合しなくなることがあります。
実務では、平面図、横断図、構造詳細図を同じ縮尺や同じ座標基準で重ね、根巻きの位置が盛土計算領域に入っているかを確認します。三次元データがある場合も、根巻きのモデルが計算領域と重複していることを確認してから控除処理を行います。
根巻きの控除を検討する第一歩は、根巻き体積の計算ではなく、根巻きと盛土が空間的に重なっているかの確認です。この範囲確認を省くと、盛土に含ま れていない根巻きを差し引いて数量を過小にするおそれがあります。
2.根巻きの形状と寸法を図面から読み取る
次に確認するのは、ガードレール支柱根巻きの形状と寸法です。根巻き体積は、形状によって使用する計算式が異なります。図面に直径だけが記載されているのか、縦横寸法が示されているのか、上部と下部で大きさが変わるのかを確認します。
根巻きの代表的な形状には、円柱状、角柱状、円すい台状、角すい台状などがあります。現場で掘削孔に直接コンクリートを充填する場合、設計上は円柱として扱っていても、実際には孔壁の崩れによって不整形になることがあります。型枠を設置する場合は、比較的図面寸法に近い形状になります。
円柱状の根巻き体積は、直径をD、根巻き高さをHとすると、次の式で求めます。
根巻き体積=円周率×D×D÷4×H
たとえば、直径が0.4メートル、高さが0.6メートルであれば、根巻き外形の体積は、円周率×0.4×0.4÷4×0.6となります。ただし、この値は支柱が占める体積を含む根巻き外形全体の体積です。盛土から除く空間としては外形体積を使用することが多い一方、コンクリート材料そのものの数量を求める場合には、支柱や中空部の体積を別途考えることがあります。
角柱状の根巻きは、幅をB、奥行きをL、高さをHとすると、B×L×Hで計算できます。正方形の場合は、一辺の長さをBとしてB×B×Hです。
根巻きの上部と下部で寸法が異なる場合は、単純な円柱や角柱ではなく、平均断面積やすい台の体積式を使用します。円すい台で上面半径をr1、下面半径をr2、高さをHとすると、体積は円周率×H÷3×(r1×r1+r1×r2+r2×r2)で求められます。
角すい台の場合は、上面積をA1、下面積をA2、高さをHとして、H÷3×(A1+平方根A1×A2+A2)という考え方で算出できます。形状が複雑な場合は、複数の単純形状に分割して合計する方法が実務的です。
寸法を読み取る際は、図面上の単位にも注意が必要です。構造詳細図ではミリメートル、土量計算ではメートルを使うことが一般的です。直径400ミリメートルを400メートルとして計算することはありませんが、表計算や数量計算への入力時に単位換算を忘れると、大きな誤差になります。400ミリメートルは0.4メートル、600ミリメートルは0.6メートルとして計算します。
体積計算では長さを三回掛けるため、寸法の換算誤りが体積に大きく影響します。ミリメートル単位の数値をそのまま掛けた場合は立方ミリメートルとなり、立方メートルへ変換するには10億分の1にする必要があります。入力値を最初からメートルに統一しておくと、単位換算の間違いを減らせます。
根巻き寸法については、設計図、施工図、承認図、現場指示書、出来形記録のどれを基準にするかも明確にします。設計数量を求める段階では設計図寸法を使用しますが、施工後の数量を確認する場合には、出来形寸法やコンクリート使用量の記録が参考になります。
ただし、使用したコンクリート量をそのまま根巻き外形体積と考えることはできません。余り、損失、充填部、孔壁の凹凸、施工時のこぼれなどが含まれる可能性があるためです。盛土から除く体積は、原則として盛土計算領域の中で根巻きが占める幾何学的な空間として整理します。
根巻き天端に勾配が付いている場合や、地表面に合わせて斜めに仕上げている場合もあります。このような形状を一定高さの柱体として計算すると、わずかな差が生じます。根巻き本数が多い工事では、一か所当たりの差が小さくても全体では無視できない量になる可能性があります。
図面から寸法を読み取るときは、代表断面だけで全箇所を同一形状と決めつけず、区間別の仕様変更や端部処理も確認します。直線区間、曲線区間、端末部、開口部、構造物接続部では、根巻き寸法や設置方法が異なる場合があります。
3.支柱本体と根巻きコンクリートを区別する
盛土体積から根巻きを除くときは、根巻き外形、コンクリート体積、支柱本体の体積を区別して考える必要があります。何を求めるかによって、支柱部分を差し引くかどうかが変わるためです。
盛土の正味体積を求める目的では、盛土材が存在できない空間を除きます。根巻きコンクリートの内部に支柱が埋め込まれている場合でも、盛土から見れば、根巻き外形全体が土ではない空間です。このため、盛土体積から除く値としては、支柱を含む根巻き外形全体を使用する考え方が基本になります。
一方、根巻きに必要なコンクリート量を求める場合は、根巻き外形体積から支柱の埋込み部分を差し引 くことがあります。支柱が中空の鋼管であっても、コンクリートが管内に入らない条件であれば、支柱外形が占める体積を控除します。ただし、支柱内部への充填や孔の構造によって扱いは異なるため、施工仕様を確認します。
この違いを整理しないまま同じ計算値を使うと、盛土控除量とコンクリート数量が混同されます。盛土控除量は根巻きが占める外形空間、コンクリート数量は実際にコンクリートが充填される空間として分けて管理すると分かりやすくなります。
支柱の断面が円形である場合、埋込み部分の外形体積は、支柱外径をd、埋込み長さをhとして、円周率×d×d÷4×hで概算できます。支柱が角形の場合は、断面積に埋込み長さを掛けます。
ただし、盛土体積から根巻き外形を一度除いた後、さらに支柱体積を除くと二重控除になります。根巻き外形の中に支柱が含まれているためです。盛土控除量を求める計算では、根巻き外形と支柱を別々に引かないよう注意します。
根巻きがなく、支柱だけが盛土内に直接打ち込まれている場合には、支柱体積を控除するかどうかを検討します。ただし、細い支柱の体積は盛土全体に対して非常に小さい場合があり、契約上の数量算出では控除対象としないこともあります。小規模な構造物をどこまで控除するかは、適用する数量算出基準や発注条件を確認する必要があります。
また、支柱周囲に充填材、無収縮材、砕石、砂などが使用される場合は、それぞれの材料をどの数量区分に含めるかを整理します。盛土材として扱わない材料が盛土計算領域内に入るのであれば、施工計画上は別数量として管理したほうが資材収支を確認しやすくなります。
根巻き周囲に掘削余幅があり、施工後に埋戻しを行う場合もあります。この埋戻し材が盛土材と同じなのか、別の材料なのかで数量の扱いが変わります。掘削孔全体を根巻き体積として控除すると、実際には土で埋め戻される余幅まで除いてしまいます。盛土から除くのは、原則として最終的に根巻きや支柱などが占める部分です。
施工途中の土量収支を求める場合には、掘削量、根巻き体積、埋戻し量をそれぞれ計算します。完成後の盛土正味体積だけを求める場合には、最終形状で土以外が占める体積を対象にします。計算時点によって必要な項目が異なるため、数量表の名称も明確にすることが重要です。
たとえば、「根巻き控除量」「根巻きコンクリート量」「支柱埋込み体積」「根巻き周囲埋戻し量」を別項目にすれば、計算目的の違いを把握しやすくなります。単に「ガードレール分」とまとめると、後から数値の根拠を確認しにくくなります。
4.支柱本数と設置位置を正確に整理する
一か所当たりの根巻き体積を計算した後は、支柱本数を掛けて全体の控除量を求めます。このとき、図面上の延長を標準間隔で割るだけでは、実際の本数と一致しない場合があります。
ガードレール支柱の配置は、直線区間の標準間隔だけで決まるとは限りません。端末部、曲線部、開口部、構造物との接続部、支障物周辺、地形条件が変わる位置では、支柱間隔や追加支柱の有無が変わることがあります。
たとえば、設置延長を支柱間隔で割った結果に端部の支柱を加える必要がある場合があります。単純に延長÷間隔を本数とすると、始点または終点の支柱を数え落とす可能性があります。平面図に示された支柱記号や施工図の配置を確認し、実際の設置点を数える方法が確実です。
延長Lの区間に一定間隔Pで支柱を配置し、両端に支柱がある単純な条件であれば、本数はL÷P+1という形で考えられます。ただし、LがPで割り切れない場合や端部間隔が調整される場合は、この式だけでは確定できません。設計上の配置を優先します。
複数の根巻き寸法がある場合は、本数も形状別に分けます。標準部が円柱形、端末部が角柱形であれ ば、それぞれの一か所当たり体積と本数を掛けて合計します。
全体根巻き体積=標準部根巻き体積×標準部本数+端末部根巻き体積×端末部本数+その他の根巻き体積
このように区分すると、仕様変更があった場合にも修正しやすくなります。
設置位置の高さも重要です。同じ寸法の根巻きが連続していても、盛土計算範囲に含まれる高さが場所ごとに異なる場合があります。法肩の盛土厚が変化する区間では、根巻き全体が盛土内にある支柱と、一部だけが盛土内にある支柱が混在する可能性があります。
この場合は、各支柱位置における施工前地盤高、盛土計画高、根巻き天端高、根巻き底面高を比較します。盛土範囲と重なる高さをhとして、一か所ごとの控除体積を計算します。
円柱状の根巻きで、盛土内に含まれる高さだけが異なる場合は、円周率×D×D÷4×hで求められます。根巻き断面が高さ方向に変化する場合は、盛土面との交差位置で形状を分割します。
支柱位置を測点単位で管理している場合は、支柱番号、測点、左右区分、根巻き形式、寸法、計画高、現況高、対象高さ、控除体積を対応付けます。これにより、支柱本数の重複や計上漏れを確認しやすくなります。
左右両側にガードレールがある道路では、片側分だけを計算して終わらないよう注意が必要です。また、中央分離帯、取付道路、管理用通路などに別系統の防護柵がある場合もあります。平面図の線形ごとに設置区間を分けて整理します。
施工変更にも注意が必要です。設計図では根巻き付きとなっていても、現地条件によって設置方法が変更される場合があります。反対に、当初は直接設置する予定だった箇所 に根巻きが追加されることも考えられます。出来形数量を求める場合は、最終的な施工図、変更記録、現場写真、施工日報などを確認します。
撤去された仮設支柱や試験施工箇所を完成数量に含めないことも重要です。材料使用量の集計だけを見ると、完成形には残っていない根巻きまで含まれる可能性があります。盛土の完成数量から控除するのは、原則として完成後も盛土計算領域内に残る構造物です。
支柱本数の確認は単純な作業に見えますが、根巻き一か所当たりの体積よりも、本数の数え間違いのほうが全体数量へ大きく影響することがあります。図面、施工記録、現地計測の三つを照合し、区間ごとの本数を確定することが重要です。
5.施工順序と出来形面を基準に控除範囲を決める
ガードレール支柱根巻きの控除量は、施工順序と体積計算に使用する基準面によって変わります。根巻きを盛土前に施 工するのか、盛土完成後に掘削して施工するのかを確認する必要があります。
盛土施工前に根巻きを設置し、その周囲へ盛土材を施工する場合、完成後の盛土内には根巻きが存在します。計画面と施工前地盤面の差から総盛土体積を求めた場合、根巻きが占める部分も体積に含まれるため、正味の盛土材体積を求めるには対象部分を除きます。
盛土完成後に根巻き用の孔を掘削し、コンクリートを施工する場合は、施工の流れを分けて考えます。最初に計画形状まで盛土を施工した時点では、その部分にも盛土材が存在します。その後、根巻き施工のために盛土を掘削し、コンクリートへ置き換えます。
この場合、盛土の施工量としては一度投入・締固めした土量を含める考え方があります。一方、完成形に残る正味の盛土体積では、根巻きに置き換えられた部分を除きます。搬入土量、締固め施工量、完成出来形体積のどれを求めているかによって結果が異なります。
根巻き施工時の掘削土を場内で再利用する場合、搬出量や不足土量にも影響します。掘削した土が別区間の盛土へ転用されるのであれば、現場全体の土量収支では単純な廃棄とはなりません。工区内の正味盛土体積だけでなく、掘削土の移動先も記録する必要があります。
出来形面を用いた三次元体積計算では、計測対象の表面しか直接表現できない点にも注意します。完成後の地表面を計測しても、地中にある根巻き形状は外から見えません。完成地表面と施工前地盤面だけから算出した体積には、地下構造物の存在を自動的には反映できません。
そのため、地中に埋まる根巻きについては、構造図や施工時の計測データを使って別途控除する必要があります。根巻き施工前後の状況を計測していれば、その記録を利用できますが、完成後だけの地表計測から根巻き体積を推定するのは困難です。
根巻き天端が地表 面より上に露出している場合は、完成地表面モデルに一部が現れる可能性があります。ただし、計測データ上でコンクリート面を盛土地表面として取り込んでいると、地表面下の根巻き体積は依然として総体積に含まれます。表面形状だけで控除済みと判断しないことが重要です。
横断面法でも同様です。完成横断面に根巻きの断面が描かれていない場合、横断面積は外形全体を盛土として計算します。根巻きの位置と断面を横断図に反映するか、計算後に別途控除します。
根巻き施工のために掘削した孔が設計寸法より大きくなった場合、余分な空間がどの材料で埋められたかを確認します。すべてコンクリートで充填されたのであれば、完成後に土が存在しない範囲が設計寸法より大きくなる可能性があります。周囲を盛土材で埋め戻したのであれば、根巻き外形だけを控除します。
施工時に根巻き天端付近を盛土材で覆う場合もあります。図面上の根巻き高さ全体が盛土範囲内にあっても、計画地表面より上に出る部分は盛土体積に 含まれません。盛土計算領域との重複部分だけを求めます。
施工順序を整理するときは、施工前地盤、盛土施工面、根巻き掘削面、根巻き完成形、最終地表面を時系列で把握します。各時点の数量を混同しないよう、数量名に「設計盛土」「施工盛土」「根巻き置換」「完成正味盛土」などの区分を付けると管理しやすくなります。
6.契約数量と施工管理数量の扱いを分ける
最後に確認するのは、根巻きを除いた盛土体積を何のために使用するかです。設計数量、契約数量、施工計画、材料手配、出来形管理、原価管理では、必要な精度と控除ルールが異なります。
工事の契約数量を算出する場合は、発注図書や適用される数量算出基準に従います。小規模な構造物や点在する構造物について、土工体積から控除しない取り扱いが定められていることがあります。その場合、実際には根巻きが盛土内に存在していて も、契約数量上は控除しないことがあります。
一方、盛土材の搬入量や施工計画を検討する場合は、実際に必要となる土量を把握する必要があります。根巻き体積が全体に対して小さくても、支柱本数が多ければ合計量が増えます。運搬台数、施工日数、仮置き量、余剰土量を細かく管理する場合には、根巻き控除量を別に把握しておく意味があります。
ただし、盛土体積と搬入土量はそのまま一致しません。地山状態、ほぐした状態、締固め後の状態では体積が異なるためです。根巻きを除いた完成形の盛土体積を求めても、それだけで必要な搬入土量が確定するわけではありません。
完成正味盛土体積から搬入土量を見積もる場合は、使用材料の状態変化、締固め条件、含水状態、施工損失などを考慮します。これらの係数は材料や施工条件で変わるため、根巻き控除とは別に整理します。
出来形管理では、計画上の盛土体積と実測結果を比較します。三次元計測で総盛土体積を算出し、地中構造物の体積を別途控除する場合は、控除前と控除後の両方を記録すると計算過程が明確になります。
たとえば、数量表には「施工前後面差による総体積」「根巻き重複体積」「その他構造物控除体積」「正味盛土体積」という順序で記載します。正味盛土体積だけを記載すると、後から控除根拠を追跡しにくくなります。
設計変更の協議に使用する場合は、根巻きの仕様変更、本数変更、設置位置変更が盛土数量に与える影響を示します。変更前と変更後の根巻き体積を同じ条件で計算し、その差を明確にします。
原価管理では、契約数量と実施工数量が異なることを前提にします。契約上は根巻きを控除しない場合でも、実際の材料使用量を管理するためには、根巻きによって置き換えられた土量を把握したほうがよいことがあります。契約数量と現場管理数量を同じ欄で扱うと混乱す るため、別の数量として管理します。
また、盛土材と根巻きコンクリートでは材料、施工方法、品質管理項目が異なります。根巻き部分を盛土量に含めたまま材料収支を確認すると、盛土材の不足や余剰の原因を正しく把握できないことがあります。
数量の丸め方も用途によって異なります。一か所当たり体積を早い段階で丸め、その値に本数を掛けると、支柱本数が多い場合に丸め誤差が積み上がります。可能であれば、内部計算では十分な桁数を保持し、全体を合計した後に所定の桁数へ丸めます。
計算結果を提出するときは、適用した寸法、支柱本数、対象高さ、計算式、控除判断の根拠を残します。根巻きを控除したかどうかだけでなく、どの数量目的に対して控除したのかを明記することが重要です。
根巻きを除いた盛土体積の計算方法
ガードレール支柱根巻きを除いた盛土体積は、基本的に次の考え方で求めます。
正味盛土体積=控除前の総盛土体積-盛土範囲内にある根巻きの合計体積
ここで重要なのは、根巻き全体の体積ではなく、盛土計算範囲と重複する部分の体積を使用することです。
すべての根巻きが同じ円柱形で、全高が盛土範囲に含まれる場合は、次のように計算できます。
一か所当たり根巻き体積=円周率×根巻き直径×根巻き直径÷4×根巻き高さ
根巻き合計体積=一か所当たり根巻き体積×支柱本数
正味盛土体積=控除前の総盛土体積-根巻き合計体積
根巻き形式が複数ある場合は、形式ごとに計算して合計します。
根巻き合計体積=形式1の一か所当たり体積×本数+形式2の一か所当たり体積×本数+形式3の一か所当たり体積×本数
根巻きの一部だけが盛土内にある場合は、盛土範囲内の対象高さを使用します。円柱形で断面が一定なら、根巻き直径は変えず、高さだけを重複高さに置き換えます。
一か所当たり重複体積=円周率×根巻き直径×根巻き直径÷4×盛土範囲内の根巻き高さ
根巻きの途中で盛土開始面が斜めに交差する場合は、単純に一定高さを掛けるだけでは正確に表せません。支柱中心位置だけで対象高さを決める方法は概算として使用できますが、法面上にある根巻きでは根巻きの片側と反対側で盛土厚が異なります。
このような場合は、根巻きを小さな形状に分割する方法や、三次元モデル同士の重複体積を求める方法が適しています。根巻き外形モデルと盛土領域モデルの共通部分を抽出すれば、法面との斜めの交差も反映できます。
横断面法で処理する場合は、根巻き中心を通る位置の断面だけでなく、根巻きが存在する延長方向の幅も考慮します。根巻きは点ではなく一定の幅を持つため、横断面上の控除面積を測点間全体へ適用すると過大になる可能性があります。
一つの方法は、根巻きを個別の立体として計算し、横断面法で求めた総盛土体積から一括して差し引く方法です。この方法であれば、測点間隔より小さい根巻きを無理に横断面へ反映する必要がありません。
ただし、工区別や測点区間別に数量を分ける場合は、各根巻きを設置位置に対応する区間へ配分します。境界上にある根巻きは、計算ルールを決めて片側へ計上するか、重複割合で分けます。
ガードレール支柱根巻きの計算例
ここでは、計算の流れを理解するために、単純な条件を仮定します。実際の工事では設計図や施工記録の寸法を使用してください。
控除前の総盛土体積が1,250立方メートルで、盛土範囲内に円柱状の根巻きが40か所あるとします。各根巻きの直径は0.4メートル、高さは0.6メートルで、根巻き全体が盛土内にあるものとします。
一か所当たりの根巻き体積は、次のように計算します。
一か所当たり根巻き体積=円周率×0.4×0.4÷4×0.6
0.4×0.4は0.16です。これを4で割ると0.04となり、円周率と0.6を掛けます。計算結果は約0.075立方メートルです。
40か所分の合計は、約0.075立方メートル×40か所となり、約3.0立方メートルです。
正味盛土体積は、1,250立方メートルから約3.0立方メートルを差し引き、約1,247立方メートルとなります。
この例では、根巻きの一か所当たり体積は小さいものの、支柱本数を掛ける ことで無視できない量になります。ただし、この約3.0立方メートルを契約数量から控除するかどうかは、適用される数量算出条件によって判断します。
次に、一部の根巻きだけが盛土内にある場合を考えます。40か所のうち30か所は高さ0.6メートル全体が盛土内にあり、残り10か所は高さ0.3メートルだけが盛土内にあるとします。
全体が盛土内にある30か所分は、約0.075立方メートル×30か所で約2.26立方メートルです。
高さ0.3メートルだけが盛土内にある一か所当たりの体積は、円周率×0.4×0.4÷4×0.3となり、約0.038立方メートルです。10か所分では約0.38立方メートルです。
根巻きの重複体積合計は、約2.26立方メートルと約0.38立方メートルを合わせた約2.64立方メートルです。
正味盛土体積は、1,250立方メートルから約2.64立方メートルを差し引いた値になります。
このように、根巻き高さ全体を一律に控除する場合と、盛土範囲との重複高さだけを控除する場合では結果が変わります。法肩や既設地盤との境界付近では、各支柱の高さ関係を確認することが重要です。
角柱状の根巻きが混在する場合も同様です。幅0.45メートル、奥行き0.45メートル、高さ0.5メートルの角柱状根巻きが4か所ある場合、一か所当たり体積は0.45×0.45×0.5で約0.101立方メートルです。4か所分では約0.405立方メートルになります。
円柱状の根巻きと角柱状の根巻きを別々に計算し、最後に合計して総盛土体積から差し引きます。
計算例の数値は説明用です。実際には根巻き形状、盛土との重複範囲、支柱本数、施工変更の有無を確認し、目的に合った数量を算出します。
計算結果を照合するときの確認事項
盛土体積から根巻きを控除した後は、計算結果が妥当かどうかを照合します。式が正しくても、入力条件が間違っていれば正しい数量にはなりません。
最初に確認したいのは、控除前の総盛土体積です。根巻き控除量だけを細かく計算しても、基礎となる総盛土体積の範囲が違っていれば結果は一致しません。施工前地盤面、計画面、外周境界、除外領域が同じ条件になっているかを確認します。
次に、支柱本数を平面図や施工記録と照合します。延長から計算した本数と、実際に配置された支柱数が一致しているかを確認します。端部や開口部の本数が漏れていないか、撤去箇所や未施工箇所を含めていないかも見直します。
根巻き寸法は構造詳細図と照合します。直径と半径の取り違え、ミリメートルとメートルの混在、根巻き高さと支柱埋込み長さの混同がないかを確認します。
円の面積計算では、直径をそのまま二乗して円周率を掛けると、正しい面積の4倍になります。直径を使う場合は、円周率×直径×直径÷4です。半径を使う場合は、円周率×半径×半径です。
根巻きの全高を控除している場合は、その全高が本当に盛土範囲内にあるかを確認します。根巻き底面が施工前地盤より下にある場合、その部分は盛土体積には含まれていません。地盤より下の部分まで差し引くと過小計上になります。
反対に、盛土前に設置された根巻きの一部が盛土内に埋まる場合、その部分を見落とすと正味盛土体積を過大に計上します。根巻き天端と計画地表面の関係だけでなく、根巻き底面 と施工前地盤面の関係も確認します。
総盛土体積に対する根巻き控除量の割合を見る方法も有効です。控除量が総体積に対して不自然に大きい場合は、単位や本数、寸法を再確認します。ただし、割合が小さいから正しいとは限りません。支柱本数が少ない工事では、正しく計算しても割合は非常に小さくなります。
コンクリートの施工記録も参考になります。計算上の根巻き外形体積と実際の使用量に大きな差がある場合は、孔径の拡大、余分な充填、別用途への使用、施工損失などの可能性があります。ただし、コンクリート使用量と盛土控除量は同一ではないため、差があるだけで計算誤りとは判断できません。
数量表では、計算式が追跡できるようにします。一か所当たり体積だけでなく、直径、幅、奥行き、高さ、本数、対象区間を記録します。入力根拠となる図面番号や施工記録の日付も残しておくと、設計変更時の再計算が容易です。
複数の担当者が計算する場合は、総盛土体積の範囲と根巻き控除の基準を共有します。一方の担当者が総体積計算時に根巻きを除外し、別の担当者が計算後に再度控除すると二重控除になります。反対に、互いに相手が控除したと思い込むと控除漏れになります。
三次元モデルを使用する場合は、根巻きモデルの重複や欠落も確認します。同じ支柱モデルが二重に配置されていないか、非表示のモデルが体積計算に含まれていないか、単位や座標位置が正しいかを確認します。
計算結果の確認では、数値だけを見るのではなく、平面位置、標高、形状、数量区分を含めた一連の流れを見直すことが大切です。
現地計測データを盛土体積計算に活用する方法
盛土の体積計算方法として、現地の三次元計測データ を活用すると、施工前後の地形を面的に把握できます。測点間の地形変化が大きい現場や、法肩、法面、路肩が複雑につながる現場では、横断面だけでは把握しにくい形状を確認できます。
施工前の地表面と完成後の地表面を取得し、同じ座標系で比較すれば、盛土の総体積を算出できます。ただし、地中に埋まった根巻きは完成後の地表面から直接確認できません。根巻きについては、構造寸法や施工中の計測データを組み合わせる必要があります。
効果的なのは、根巻き施工前後の記録を残すことです。支柱中心位置、根巻き天端、根巻き底面、外形寸法を現地で記録しておけば、完成後も各根巻きの位置と体積を再現しやすくなります。
位置情報を持つ写真を利用すれば、どの支柱を撮影した写真かを整理しやすくなります。写真には支柱番号や測点、左右区分、寸法確認状況が分かる情報を含めます。単に根巻きの近景を撮影するだけでは、後から位置を特定できない場合があります。
根巻き天端が完成地表面で見える場合は、現地計測によって中心位置や上面寸法を確認できます。ただし、地下部分の径や高さは見えないため、施工前の記録や構造図との組み合わせが必要です。
法面付近では、根巻きと盛土領域が斜めに交差することがあります。この場合、根巻きの三次元形状を作成し、施工前地表面と計画面に囲まれた盛土領域との共通部分を求めると、単純な高さ計算より実態に近い控除量を算出できます。
三次元データを使う際は、座標系と高さ基準を統一します。根巻き位置を現地座標で記録していても、盛土モデルが別の基準や任意座標で作成されていると、正しい位置に重なりません。水平位置だけでなく、高さの基準も確認します。
計測時期も記録します。施工前地盤、盛土途中、根巻き施工時、完成後では形状が異なります。異なる時期のデータを混在さ せると、どの面が計算対象なのか分からなくなります。
現地計測には測定誤差があるため、細い支柱そのものの体積を点群だけで精密に求めることは適さない場合があります。根巻き体積は構造寸法を基準とし、現地計測は位置、高さ、設置有無、施工範囲の確認に利用する方法が現実的です。
根巻きの出来形寸法を現地で測定する場合は、測定できる時期が限られます。埋戻しや盛土施工が完了すると地下部分へアクセスできません。施工管理計画の段階で、どの工程で何を記録するか決めておく必要があります。
多数の支柱を管理するときは、支柱番号と位置座標を対応付けた一覧を作成します。各支柱に根巻き形式、設計寸法、実測寸法、写真、施工日、控除体積を関連付ければ、数量計算と出来形記録を一体的に管理できます。
計測データから算出した総盛土体積と、根巻き一覧から算出した控除体積を組み合わせることで、計算根拠を視覚的に確認しやすくなります。設計変更や施工箇所の追加があった場合も、対象支柱の情報だけを更新できます。
まとめ
盛土の体積計算方法でガードレール支柱根巻きを除くときは、根巻き寸法を計算して総盛土体積から差し引くだけでは不十分です。盛土計算領域と根巻きが重なる範囲、根巻き形状、支柱本体との区別、支柱本数、施工順序、数量の使用目的を順番に確認する必要があります。
最初に、根巻きが盛土計算範囲内に存在するかを平面方向と高さ方向の両方から確認します。根巻き底面が施工前地盤より下にある場合や、根巻きの一部が路盤など別の層にある場合は、根巻き全体ではなく盛土と重複する部分だけを対象にします。
次に、根巻きの形状と寸法を確認します。円柱、角柱、すい台、 不整形では計算方法が異なります。図面の単位をメートルへ統一し、直径と半径、根巻き高さと支柱埋込み長さを混同しないことが重要です。
盛土から除く体積は、基本的に根巻きの外形が占める空間です。根巻き外形を控除した後に支柱体積をさらに差し引くと、二重控除になります。一方、コンクリート材料の数量を求める場合は、支柱が占める部分を別途検討することがあります。
支柱本数は、設置延長を標準間隔で割るだけでなく、平面図や施工図に示された実際の配置から確認します。端末部、開口部、曲線部、構造物接続部では、本数や根巻き形式が変わる可能性があります。
施工順序によっても数量の意味が変わります。盛土後に根巻き部分を掘削した場合、盛土の施工量には一度締め固めた土を含めることがありますが、完成後の正味体積では根巻き部分を除きます。搬入量、施工量、完成出来形量を分けて管理することが大切です。
また、契約数量では根巻きを控除しない条件であっても、施工管理や材料収支では控除量を把握したほうがよい場合があります。契約数量と現場管理数量を同じものとして扱わず、それぞれの算出目的を明確にします。
計算過程では、控除前の総盛土体積、一か所当たりの根巻き体積、支柱本数、盛土との重複割合、控除後の正味盛土体積を記録します。結果だけでなく、図面寸法や施工位置にさかのぼれる状態にしておけば、変更時の修正や第三者による確認が容易になります。
現地の三次元計測を活用すれば、盛土全体の複雑な地形を面的に把握できます。ただし、完成後に地中の根巻きを直接計測することは難しいため、施工中の位置、寸法、高さ、写真を記録することが重要です。
Phoneを活用して支柱位置や根巻き施工状況を現地で記録し、盛土の計測結果と関連付ければ、支柱ごとの根拠確認や控除数量の整理を効率化できます。盛土体積と地下構造物の情報を同じ位置基準で管理することが、数量の重複や控除漏れを防ぐ実務的な方法です。
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