目次
• 仮設山留め撤去後の空隙復旧量を盛土量と分けて考える
• 撤去対象と残置対象の境界を確定する
• 空隙の形状を連続 部と局部に分ける
• 設計数量・搬入量・実績量の基準をそろえる
• 断面法と3次元計測を使い分ける
• 復旧材料と締固め条件を数量に反映する
• 撤去直後と復旧後の記録で差分を検証する
• 計算例で空隙復旧量の拾い方を確認する
• 見落としや二重計上を防ぐ実務上の注意点
• まとめ:空隙復旧は数量の意味を分けて管理する
仮設山留め撤去後の空隙復旧量を盛土量と分けて考える
盛土の体積計算方法を検討するとき、施工前地盤と計画地盤の差だけで数量を整理すると、仮設山留めの撤去に伴う充填作業を施工管理上の独立した作業として把握しにくくなることがあります。鋼矢板、H形鋼杭、親杭、横矢板などを盛土や埋戻しの途中で撤去する場合、完成形の外郭が変わらなくても、撤去跡へ材料を追加投入する工程が発生することがあります。
ただし、ここで最も注意したいのは、撤去跡の充填量を常に完成盛土体積へ上乗せできるわけではない点です。完成形の幾何学的な盛土数量が、原地盤から計画地盤までの全空間を対象としている場合、仮設材が一時的に占有していた部分も、完成時には土や充填材で満たされる前提になっていることがあります。この場合、撤去後の投入量は施工手順上は別管理しても、契約上の盛土数量へそのまま追加すると二重計上になる可能性があります。
したがって、区分すべき数量は少なくとも三つあります。一つ目は、完成形として必要な正味の盛土または埋戻し体積です。二つ目は、仮設材撤去後に実際に追加投入する材料量です。三つ目は、契約数量や設計変更の対象として認められる数量です。この三つは一致する場合もありますが、自動的に同じ になるものではありません。契約上の扱いは、設計図書、数量算出条件、特記仕様書、施工計画、監督職員との協議記録などで確認します。
国土交通省の地方整備局が公表する土木工事共通仕様書には、鋼矢板やH鋼杭の引抜き跡の空洞を砂などで充填し、地盤沈下を生じさせないよう施工する旨を定めた例があります。これは引抜き跡を無条件に放置してよいという考え方ではないことを示しますが、適用される仕様書や条項は発注機関、年度、工種、特記条件によって異なります。必ず当該工事の契約図書を優先して確認する必要があります。([国土交通省交通政策局][1])
空隙復旧量は、仮設材そのものの実体積と同じとは限りません。薄い鋼矢板を引き抜いた場合、鋼材断面積だけでは、継手周辺の乱れ、局部的な崩れ、引抜き時に生じた開口などを表せないことがあります。反対に、仮設材の外接矩形を全長にわたり空隙とみなすと、実際に充填していない健全な地盤まで含め、過大な数量になるおそれがあります。
そのため、数量の根拠には、仮設材の公称寸法だけでなく、撤去方法、実際の引抜き長、地盤条件、地下水、周辺構造物、施工中に確認できた開口、投入方法、投入実績を組み合わせます。直接確認できない地下部分を推定する場合は、推定値であることと、採用した幅や断面積の根拠を計算書へ明記します。
本記事では、盛土の体積計算方法を基礎にしながら、仮設山留め撤去後の空隙復旧を読み取るための6項目を整理します。目的は見かけ上精密な数値を作ることではなく、対象範囲、数量の意味、測定方法、施工記録を対応させ、計上漏れと二重計上を防ぐことです。
1. 撤去対象と残置対象の境界を確定する
最初に確認するのは、仮設山留めのうち、どの部材を、どの位置から、どの深さまで撤去するかです。図面に山留め壁全体が描かれていても、施工時に全長を引き抜くとは限りません。全長引抜き、一定深度までの引抜き、上部切断後の地中残置、一部区間の残置では、充填対象となり得る範囲が異なります。
平面図では、撤去区間の始点、終点、折れ点、隅角部、構造物との取合い、乗入れ部を確認します。中心線延長だけを拾う場合は、隅角部の重複や欠けを別途補正します。二方向の山留めが交わる位置で、それぞれの帯状体積を単純に合計すると、交差部分を二重に計上することがあります。
縦断方向では、山留め天端、施工基面、原地盤、計画地盤、掘削底面、引抜き下端、残置上端を区別します。復旧対象深さは仮設材の製品長ではなく、原則として実際に撤去した区間と、充填対象として確認または合意した区間に基づきます。下部を残置した場合、その残置部まで空隙として扱うことはできません。
横断方向では、復旧幅の定義を確定します。公称厚さ、外接幅、施工計画上の充填幅、現地で確認した開口幅など、どの寸法を採用するかで数量は大きく変わります。復旧幅に全国一律の固定値があると考えず、設計図書、施工計画、試験施工、撤去直後の観察、投入実績などから根拠を作ります。
親杭横矢板工法では、親杭の引抜き跡と、横矢板を撤去した背面側の緩みや開口を分けて考えます。親杭跡は一定間隔の局部体積として扱いやすい一方、横矢板部は帯状または局部的な範囲として扱うことがあります。杭間全体を一つの長方形断面にすると、充填対象でない地盤を含める可能性があります。
施工順序も境界の判断に関係します。切梁や腹起しを撤去しながら段階的に埋め戻し、最後に鋼矢板や親杭を引き抜く場合、既に締め固めた埋戻し部へ引抜き跡が生じることがあります。このとき、当初の埋戻しに使用した材料と、引抜き後に追加投入した材料を、施工日報上で分けて記録します。
実施工位置が当初図面と異なる場合もあります。地下障害物、施工ヤード、打設精度、地盤条件などにより、位置、延長、傾斜、根入れ長が変更されることがあるためです。数量確定時は、当初図面だけでなく、施工図、打設記録、引抜き記録、出来形資料、変更指示を照合します。
境界整理では、 対象ごとに管理番号を付け、平面延長、撤去上端、撤去下端、採用幅、残置範囲、隅角補正、構造物との取合いを一覧化します。この境界が曖昧なままでは、平均断面法や3次元モデルを使っても、計算結果の正当性を説明できません。
2. 空隙の形状を連続部と局部に分ける
仮設山留め撤去後の充填対象は、すべてが同じ断面で連続するとは限りません。体積計算では、帯状に続く連続部、杭穴などの局部、隅角部、断面変更部に分けます。
連続部は、一定の有効幅と深さを持って延長方向へ続くと合理的に近似できる範囲です。断面がほぼ一定であれば、体積Vは、幅B、深さH、延長Lを用いてV=B×H×Lで求められます。ただし、ここで使うBは鋼材の厚さではなく、充填対象として採用した有効幅です。
地表面、掘削底面、引抜き下端、残置上端が変化する区間では、区間を分けます。例えば法面付近で山留め天端が変化す る場合、一本の平均深さだけで全長を処理すると、局部的な増減が平均化されます。形状変化点、段差、折れ点、施工方法の変更点に補助断面を設定します。
隣接断面間の変化を直線的に近似できる場合は、平均断面法を使えます。区間両端の断面積をA1、A2、区間長をLとすると、V=(A1+A2)÷2×Lです。公共工事の数量算出資料でも、土量を平均断面法で求める考え方が示されていますが、適用時は当該工事の数量算出要領と測点設定に従います。([国土交通省 地図情報ポータル][2])
局部には、親杭の引抜き跡、控え材の撤去跡、隅角部の膨らみ、局部崩れ、障害物回避部、過掘り部などがあります。親杭跡を円柱または角柱で近似する場合は、一箇所当たりの有効断面積に対象深さと箇所数を掛けます。ただし、H形鋼の外接矩形をそのまま採用するか、実際に確認した開口を採用するかは、現場根拠に基づいて決めます。
上部ほど開口が広い場合は、上下の断面積を分けて平均断面法を使うか、角すい台などの形状に近似します。下部残置の場合は、撤去した区間だけを対象にします。地下部分を目視できない場合は、引抜き長、材料投入量、施工中の抵抗変化など、取得可能な情報を補助根拠として使い、断定的な形状表現を避けます。
隅角部では、直交する二つの連続部を計算した後、平面上の重複面積に対象深さを掛けて控除します。鋭角や鈍角で交差する場合は、多角形分割などで重複面積を求めます。隅角部が多い現場では、一箇所当たりの差が小さくても、全体で無視できない差になる場合があります。
地表の陥没面積と地下の空隙体積は同じ意味ではありません。地表面が平らでも地下の充填状況を直接証明できず、地表が沈下していても、その沈下体積だけで引抜き跡全体の体積を表せるとは限りません。地表形状、理論断面、施工記録、投入量を別々の情報として扱い、無理に一つの値へ置き換えないことが重要です。
3. 設計数量・搬入量・実績量の基準をそろえる
空隙復旧に関する数字は、何を表すかによって意味が変わります。図面や断面から求める幾何学的体積、現場へ搬入する材料量、施工時の投入量、締固め後の出来形体積、契約上の計上数量を区別します。
設計上の正味体積は、対象空間を幾何学的に表した値です。幅、深さ、延長、断面積などから算出し、計算条件を明示します。完成盛土数量との重複を確認するときは、まずこの正味体積が既存の数量計算に含まれているかを確認します。
搬入量は、現場に持ち込む時点の材料量です。土砂や粒状材料は、採取、積込み、運搬、敷均し、締固めの各段階で体積状態が異なることがあります。設計体積へ一律の割増率を掛けるのではなく、材料試験、施工条件、積算条件、現場実績などに基づき換算します。
施工実績量は、実際に投入または使用した材料量です。ダンプの積載記録、計量伝票、容器容量、プラント記録、注入量、在庫差などから把握します。実績量には、対象空隙内に残った分だけでなく、 配管内残量、こぼれ、周囲への回り込み、余分な敷均しなどが含まれる場合があります。
契約上の数量は、正味体積や実績量と自動的に一致するものではありません。契約図書が締固め後土量で計上するのか、材料使用量で精算するのか、施工一式として扱うのかによって異なります。設計変更や追加計上の可否は、現場独自の判断で決めず、契約条件と協議結果に基づいて整理します。
数量表には、正味復旧体積、搬入計画量、実績投入量、契約計上量を別欄で記載します。さらに、単位、材料区分、対象区間、測定時点、使用図面、換算密度、換算率、丸め方法を記録します。これにより、数字が異なる理由を後から追跡できます。
盛土本体と同じ材料を使う場合は、材料名だけでは用途を区分できません。搬入日、施工場所、測点、山留め管理番号、用途を日報へ記録し、通常の盛土部と撤去跡充填部を分けます。用途区分がなければ、総搬入量から撤去跡への使用量を正確に切り分けることは困難です。
計算書の冒頭には、数量の定義を明記します。例えば、正味復旧体積は幾何学的な推定値、搬入量換算は別計算、実績投入量は施工記録で集計、契約計上量は協議後に確定、と整理します。この前提を明文化することで、設計、施工、積算、発注者の間で数字の意味がずれるのを防げます。
4. 断面法と3次元計測を使い分ける
仮設山留め撤去後の空隙復旧量は、対象形状と確認できる情報に応じて計算方法を選びます。代表的な方法は、角柱計算、平均断面法、平面積と平均深さによる計算、3次元面の差分、投入実績による管理です。
直線的で断面が一定の区間は、幅、深さ、延長による角柱計算が分かりやすい方法です。ただし、三つの寸法が区間内でほぼ一定であることが前提です。変化がある場合は、変化点で区間を分割します。
平均断面法では、各測点で有効空隙断面を作り、隣接断面積の平均に測点間距離を掛けます。道路や造成工事の横断図を利用しやすい方法ですが、既存の測点だけで撤去跡の変化を表せるとは限りません。撤去始終点、折れ点、深さ変更点、残置境界、構造物取合いには補助断面を追加します。
平面的に広がる不整形部では、対象平面積に代表深さを掛ける方法があります。ただし、代表深さの根拠が弱いと結果も不確かになります。中央一点だけでなく、角部、端部、深さ変化部を確認し、測点配置と平均方法を記録します。
3次元計測は、撤去前後や復旧前後の地表面の差を把握するのに有効です。法面、段差、隅角部、広範囲の沈下や余盛など、横断図だけでは捉えにくい地表形状を面として比較できます。
一方、通常の写真測量、レーザースキャン、スマートフォン計測などで取得した地表面データだけでは、地中に残る細長い空隙の体積を直接 測れません。地表面が変化していないことは、地下が完全に充填されたことの証明にはなりません。3次元計測は地表の出来形や変状確認に使い、地下部分は理論断面、施工記録、投入量、必要な検査方法で補います。
仮設材の3次元位置を使う場合は、計画位置ではなく、可能な範囲で実施工位置、傾き、打設深さ、引抜き範囲を反映します。ただし、モデルの細かさよりも、有効幅や対象深さの根拠が重要です。根拠のない幅を高精細なモデルへ入力しても、数量の信頼性は高まりません。
計算方法を選ぶときは、対象規模、形状の複雑さ、必要精度、測定可能な時期、安全上の制約、施工記録の有無を考慮します。短く単純な区間は角柱計算、断面が変化する区間は平均断面法、複雑な地表変状は3次元差分、地下の充填状況は投入記録と施工管理を組み合わせる方法が現実的です。
計算書には、どの面とどの面の間を求めたのかを明記します。施工前地盤と完成地盤の差、撤去前後の地表差、撤去直後と復旧後の地表差、理論上の引抜 き跡体積は、それぞれ異なる数量です。名称だけでなく基準面と測定時点を書きます。
5. 復旧材料と締固め条件を数量に反映する
空隙復旧では、対象空間の体積を求めた後に、使用材料と施工方法を整理します。同じ正味体積でも、土砂を層状に締め固める場合、砂を投入する場合、流動性のある充填材を注入する場合では、搬入量、施工ロス、品質確認方法が異なります。
土砂や粒状材料を使う場合は、投入できる幅、施工機械の進入性、一層ごとの敷均し、締固め方法、含水状態を確認します。山留め撤去跡が狭い場合、通常の盛土部と同じ大型機械を使えないことがあります。材料が同じでも、施工区分と品質管理区分を分ける必要があります。
国土交通省の地方整備局が公表した共通仕様書には、埋戻しで残材を撤去し、湧水や滞水を排除したうえで、一層の仕上がり厚を30センチメートル以下を基本として締め固めることや、狭い箇所で小型締固め機械を使うことを定めた例があります。ただし、この数値や方法はすべての工事へ一律に適用するものではありません。当該工事の設計図書、材料仕様、施工方法、品質管理基準を優先します。([国土交通省 交通研究所][3])
地下水や湧水がある場合は、投入材料が所定位置に残るか、材料分離や流出が生じないかを検討します。水がある状態で土砂を投入すれば必ず不良になると断定はできませんが、施工方法と材料が条件に適しているかを確認せず、体積だけを合わせることはできません。
流動性のある充填材を使う場合は、注入口、排気、充填範囲、逸散防止、硬化条件、配管内残量を施工計画へ反映します。投入量が正味体積より大きくても、空隙が想定以上に大きかったとは限りません。周辺地盤への回り込み、配管残量、余剰排出などを区分して評価します。
質量から体積へ換算する場合は、使用する密度の状態を統一します。搬入時のかさ密度、湿潤密度、乾燥密度、締固め後密度を混同すると、同じ質量でも異なる体積になります。密度の出所、試験日、含水状態、対象材料を計算書へ記録します。
余裕量や施工ロスを見込む場合は、正味体積と別に表示します。正味復旧体積、計画搬入量、予備量を分けておけば、施工後に理論値と実績値を比較できます。合計値だけを示すと、空間形状の見直しと調達上の余裕を区別できません。
材料が未確定の段階では、まず幾何学的な正味体積を求め、材料別換算は後から行います。形状計算と調達計算を分離することで、材料や施工方法が変更されても、対象空間の計算根拠を維持できます。
6. 撤去直後と復旧後の記録で差分を検証する
仮設山留め撤去後の空隙復旧量は、計算書だけで確定させず、施工記録と照合します。重要なのは、撤去前、撤去中、撤去直後、復旧中、復旧完了後を時系列で残すことです。
撤去前には、仮設材の位置、部材番号、天端高さ、地表面、周辺構造物、既設埋設物、撤去予定長を記録します。撤去対象と残置対象を平面位置と高さで関連付けます。
撤去中には、実際の引抜き長、切断位置、撤去できなかった区間、施工時刻、使用機械を記録します。計画どおりに撤去できなかった場合は、数量計算へ反映する前に変更内容を整理します。
撤去直後には、地表の開口、陥没、湧水、周辺地盤の変状を安全な範囲で確認します。開口部へ接近したり立ち入ったりして寸法を測ることは避け、危険がある場合は遠隔計測、写真、機械位置、引抜き記録などで代替します。周辺構造物への影響が懸念される場合は、施工を止め、設計者や地盤の専門技術者を含めた確認を行います。
撤去と同時に充填する場合は、空隙形状を直接測れないことがあります。その場合は、引抜 き長、投入開始位置、投入量、投入速度、充填材ロット、施工時間を記録し、推定計算の根拠とします。
復旧中には、使用材料、投入量、施工層、締固めまたは注入方法、施工範囲、品質確認結果を記録します。一日の総量だけでなく、山留め管理番号、測点、区間ごとに分けると、実績差の原因を追跡しやすくなります。
復旧後には、地表高さ、法面形状、構造物取合い、周辺沈下を確認します。必要に応じて直後だけでなく、一定期間後にも観測します。観測時期と判定基準は、設計図書や施工計画で定めます。
計算数量と実績投入量の差は、区間別に分析します。全体合計だけを比べると、ある区間の不足と別区間の過剰が相殺されることがあります。差の原因候補には、有効幅の設定差、引抜き長の変更、局部崩れ、材料の回り込み、換算密度の相違、記録漏れ、盛土本体への使用分の混入などがあります。
実績量が計算値より少ない場合も、周囲の土が閉じて問題がないと即断しません。未充填部の可能性、投入記録の欠落、対象範囲の誤りを確認します。実績量が多い場合も、すべてを復旧体積として扱わず、材料ロスや逸散を区別します。
写真には、測点、部材番号、撮影方向、日時が分かる情報をひも付けます。連続する山留めでは外観が似ているため、写真だけでは位置を特定できないことがあります。数値、写真、図面、日報を同じ管理番号で関連付けることが有効です。
計算例で空隙復旧量の拾い方を確認する
ここでは、仮設山留め撤去後の有効空隙断面が、現地確認と施工計画に基づいて設定済みであるという仮定で計算します。数値は説明用であり、鋼矢板や親杭の標準的な空隙幅を示すものではありません。
対象を、第一区間10メートルと第二区間8メートルに分けます。第一区間始点の有効空隙断面積を0.54平方メートル、区間境界の断面積を0.72平方メートル、第二区間終点の断面積を0.36平方メートルとします。
第一区間は、V1=(0.54+0.72)÷2×10で、6.30立方メートルです。
第二区間は、V2=(0.72+0.36)÷2×8で、4.32立方メートルです。
連続部の合計は、6.30+4.32で10.62立方メートルです。
次に、連続部と重複しない親杭引抜き跡が3箇所あるとします。一箇所当たりの有効断面積を0.08平方メートル、対象深さを3メートルとすると、局部体積は0.08×3×3で0.72立方メートルです。
連続部 と局部を合計すると、11.34立方メートルです。さらに、隅角部の重複が0.15立方メートル、障害物回避部の追加体積が0.25立方メートルある場合、修正後の正味推定体積は11.34-0.15+0.25で11.44立方メートルです。
この11.44立方メートルは、設定した有効断面に基づく幾何学的な推定体積です。搬入量、実績投入量、契約計上量とは分けます。計算書には、各断面積を構成する幅と深さ、測定または設定の根拠、対象位置を記載します。
施工後の実績投入量が13.00立方メートルだった場合、差は1.56立方メートルです。しかし、この差を直ちに施工ロス、追加復旧量、設計変更量のいずれかへ決めることはできません。区間別投入記録、材料換算、配管残量、地中への回り込み、局部崩れ、盛土本体への転用を確認して理由を整理します。
平均断面法は、隣接断面間の変化を平均で近似する方法です。断面変化が急な箇所や局部的な膨らみがある場合は、補助断面を追加します。断面数を増やせば必ず正確になるのではなく、形状変化を捉える位置 へ断面を配置することが重要です。
見落としや二重計上を防ぐ実務上の注意点
最も注意すべき誤りは、完成盛土数量に含まれる体積と、撤去後の追加投入量を同じ意味で加算することです。完成形の数量が対象空間全体を含む場合、撤去跡の充填は施工工程として別管理しても、完成体積の追加にはならないことがあります。
反対に、当初数量が仮設材占有部を控除している場合、設計変更で復旧範囲が追加された場合、別材料による充填が独立工種として指定された場合などは、別途数量整理が必要になることがあります。追加計上の可否は、図面だけでなく数量算出条件と契約図書で判断します。
仮設材の実体積をそのまま復旧量にする方法にも注意が必要です。鋼材断面積では過小になる可能性があり、外接矩形では過大になる可能性があります。有効空隙断面は、実際の充填対象を説明できる根拠から 設定します。
山留めの全施工延長と全撤去延長を混同しないことも重要です。一部残置、切断残置、構造物への取込み、撤去不能区間は、引抜き跡の対象から外すか、別の復旧方法として整理します。
延長の基準線を統一します。中心線、内側線、外側線のどれを使うかで延長は変わります。帯状断面を中心線基準で設定した場合は中心線延長を使い、隅角部を別途補正します。
傾斜した山留めでは、部材に沿った引抜き長と鉛直深さを混同しないようにします。断面積と延長を掛ける方向が互いに直交しているかを確認し、傾斜方向の実長を使う場合は計算モデルを明示します。
単位も統一します。図面のミリメートル、測量のメートル、材料記録のトン、注入記録のリットルを混在させると換算ミスが起こりやすくなります。計算途中の長さ、面積、体積、質量の単位を表示します。
小数点以下の丸めは、原則として集計の最後に行います。各小区間で早く丸めると、区間数が多い場合に累積差が生じます。最終的な端数処理は、適用される数量算出要領や契約条件に従います。
数量名称の重複にも注意します。山留め撤去跡埋戻し、矢板引抜き跡充填、追加盛土など、異なる名称で同じ範囲が登録されることがあります。位置ごとの管理番号を使い、名称が異なっても対象範囲を照合できるようにします。
少量だからという理由で局部を省略しないことも大切です。一箇所では小さくても、長い延長、多数の親杭、多数の隅角部があると合計差が大きくなる場合があります。一方、根拠のない安全率や一律割増を正味体積へ混ぜることも避け、予備量は別欄で管理します。
まとめ:空隙復旧は数量の意味を分けて管理する
盛土の体積計算方法で仮設山留め撤去後の空隙復旧を整理するには、完成形の体積と、撤去後に追加投入する材料量を区別する必要があります。追加投入が発生しても、契約上の完成盛土数量へ自動的に上乗せできるとは限りません。
第一に、撤去対象と残置対象を分け、実際の撤去延長、上端、下端、有効幅を確定します。第二に、対象形状を連続部、局部、隅角部、変更部へ分けます。第三に、正味推定体積、搬入計画量、実績投入量、契約計上量の意味をそろえます。
第四に、角柱計算、平均断面法、平面積と深さによる計算、3次元計測を対象形状に応じて使い分けます。第五に、材料、含水状態、締固めまたは注入方法、狭隘部の施工条件を搬入計画と品質管理へ反映します。第六に、撤去前から復旧後までの位置、寸法、写真、投入量を記録し、区間別に差を検証します。
空隙復旧量は、仮設材の体積でも、完成盛土量の単純な増分でもありません。どの施工によって、どこに、どのような充填対象が生じ、どの材料をどれだけ使用したかを説明するための数量です。
撤去直後の状態は、その後の施工で確認できなくなります。現場では安全を優先しながら、位置、標高、撤去長、写真、材料投入量を同じ管理番号へひも付けます。スマートフォンや測量機器を使う場合も、記録手段そのものを根拠にするのではなく、測定時点、座標基準、対象範囲、精度、施工記録との対応を明確にすることが重要です。
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