河川、水路、調整池、排水施設などの工事では、施工中の流水や湧水を処理し、構造物を施工するための作業空間を確保する目的で仮締切を設けることがあります。構造物の施工後には、設計図書や施工計画に従って仮締切を撤去し、床掘り部、仮設物の撤去跡、構造物周辺などを必要な材料で復旧します。このとき重要なのは、復旧に使う材料の全量を無条件に一般的な盛土として一括計上しないことです。
仮締切撤去後の数量には、仮設構造物の撤去量、撤去によって生じた空間、当初から予定された床掘り部の埋戻し、余掘り部、構造物周辺の裏込めや埋戻し、河床や護岸の復旧、施工ヤードの原形復旧などが含まれる場合があります。これらは材料、施工方法、数量算出の基準面、契約上の工種が同じとは限りません。
盛土の体積計算方法を安全に使うには、計算式へ数値を入れる前に、どの施工段階の面を比較するのか、どこまでを対象範囲とするのか、構造物や別材料をどのように控除するのかを明確にする必要があります。また、設計数量、変更数量、出来形数量、搬入計画数量を同じ意味で扱わないことも欠かせません。
本記事では、「盛土 体積 計算 方法」を調べている実務担当者に向けて、仮締切撤去後の埋戻しを分ける5項目を整理します。内容は一般的な数量整理の考え方であり、実際の工事では設計図書、数量算出要領、特記仕様書、監督職員との協議内容を優先してください。
目次
• 仮締切撤去後の埋戻しを盛土計算で分ける理由
• 盛土の体積計算方法を決める基本条件
• 項目1 仮締切の設置範囲と撤去範囲を確定する
• 項目2 撤去材と埋戻し対象空間を分ける
• 項目3 水中部・水際部・陸上部を必要に応じて分ける
• 項目4 余掘り・構造物周辺・施工ヤード復旧を分ける
• 項目5 締固め後の完成体積と搬入土量を分ける
• 横断平均法で仮締切撤去後の埋戻し量を計算する方法
• 高低差と面積から埋戻し体積を計算する方法
• 三次元測量データを使って数量を確認する方法
• 仮締切撤去後の埋戻し計算で起こりやすい間違い
• 数量根拠を残すために整理したい記録
• まとめ
仮締切撤去後の埋戻しを盛土計算で分ける理由
仮締切は、河川水や水路水などの影響を抑え、工事を行う区画を確保するための仮設構造です。土砂、袋詰め材、鋼矢板、止水材などを単独または組み合わせて用いることがあり、構造は水深、流速、地盤、施工期間、河積への影響などによって変わります。
構造物 の施工後には、仮締切材の撤去、仮設盛土の撤去、床掘り部の埋戻し、護岸や河床の復旧などが行われます。ただし、仮締切を撤去した体積と、その後に土砂で埋める体積は同じとは限りません。元の河床より上に盛られていた仮締切は、撤去すれば原形に戻るため、その全量が埋戻し対象になるわけではないからです。
一般に盛土は、計画地盤や堤体、道路などを形成するために土を盛り立てる数量として整理されます。一方、埋戻しは、床掘りや仮設物撤去で生じた空間を所定の面まで戻す作業として整理されることが多くなります。ただし、工種名や数量区分は発注機関や設計図書によって異なるため、一般的な呼び方だけで契約数量を確定してはいけません。
国土交通省の河川工事関係の共通仕様では、仮締切や作業土工を含む施工は設計図書を基本とし、基準類と設計図書が異なる場合は原則として設計図書に従い、疑義がある場合は協議する考え方が示されています。したがって、数量区分も現場独自の呼称だけで決めず、設計図書との対応を確認する必要があります。
同じ空間を複数の工種へ重ねて計上すると二重計上になります。たとえば、構造物周辺の埋戻しを詳細図から別途計算しながら、施工前後の地形差で求めた全体数量にも同じ範囲を含めれば重複します。反対に、仮締切撤去後のくぼみを全体計算から外し、別途計算もしなければ計上漏れになります。
このため、計算の目的を先に決めます。設計時の概算なのか、施工計画の土量配分なのか、出来形確認なのか、変更協議の根拠なのかで、必要な基準面と採用できるデータが変わります。完成形だけを見るのではなく、施工前、床掘り後、構造物完成後、仮締切撤去後、埋戻し後という段階を分けて考えることが基本です。
盛土の体積計算方法を決める基本条件
盛土や埋戻しの体積は、平均断面法、メッシュ法、等高線法、三角形分割、三次元面の差分などで求められます。どの方法を使うかは、対象形状、測点密度、必要精度、利用できる図面や計測データ、発注者が定める数量算出方法によって判断します。
仮締切撤去後の埋戻しでは、少なくとも下面、上面、側面境界を整理します。下面は、仮締切を撤去し、埋戻しを始める直前の地盤面、床掘り面、構造物外面などです。上面は、計画河床、計画護岸面、現況復旧面、計画盛土面などです。側面境界は、床掘り線、仮設範囲、構造物外周、施工区画境界などから設定します。
下面と上面の時点がずれると数量の意味が変わります。仮締切材が残った状態を下面として使えば、撤去後に現れる空間を捉えられません。施工前地盤を下面にすれば、構造物本体や基礎材が占める体積まで土砂の埋戻しに含めるおそれがあります。
測量データには、「施工前現況」「床掘り完了」「構造物完成」「仮締切撤去完了・埋戻し前」「埋戻し完了」など、施工段階が分かる名称を付けます。測量日、座標系、標高基準、使用基準点も合わせて管理すると、後から差分の意味を確認できます。
平面図上の範囲だけで数量を決めるのも危険です。仮締切や床掘りの側面が傾斜していれば、上端と下端で平面範囲が異なります。法面状やくさび状の空間に対して最大平面積へ平均厚さを掛けると、過大または過小になることがあります。
さらに、盛土、埋戻し、裏込め、基礎材、置換材、河床復旧材などは、同じ場所に施工されても材料や管理方法が異なることがあります。計算上は、各材料の占有範囲が重ならないように分割し、数量表の工種と対応させます。
項目1 仮締切の設置範囲と撤去範囲を確定する
最初に、仮締切がどこへ設置され、どこまで撤去される計画かを確認します。平面形状、延長、天端幅、高さ、法勾配、根入れ、構成材料を整理しなければ、撤去後に生じる空間を正しく把握できません。
計画図の形状と実際の施工形状は、必ずしも一致しません。水位変動、湧水、作業ヤー ド、重機走行路、洗掘対策などにより、設計図書に基づく変更や協議を経て形状が変わる場合があります。補強材の追加や局部的な追加投入が行われた場合、当初図面だけでは実施数量を説明できません。
確認には、施工計画図、施工前測量、仮締切完成時の記録、工事写真、日報、搬入記録、設計変更資料などを使います。実施数量を求めるときは、現場で確認された形状と、契約上認められた範囲を混同しないようにします。施工した数量がそのまま契約数量になるとは限らないためです。
設置範囲と撤去範囲が異なる場合もあります。ただし、材料を残置するか、計画範囲より広く撤去するかは、現場判断だけで決める事項ではありません。設計図書、許可条件、施工計画、必要な協議に基づき、最終的にどの面まで撤去するのかを確定します。
埋戻し量の基準は、仮締切全体の体積ではなく、撤去後の面と復旧後の面に挟まれる空間です。元の河床より上にあった締切土を取り除く部分は、通常は撤去量であって埋戻し量ではあり ません。一方、締切設置時に掘り下げた基礎部、床掘り部、仮排水路跡などには、復旧材料が必要になる場合があります。
深さ方向の境界も確認します。河床より下の根入れ部、構造物基礎周辺、仮排水路との接続部、締切端部などは、平面図だけでは形状を読み取りにくい場所です。複数の横断面へ、撤去前、撤去後、復旧後の線を重ねると、対象空間を説明しやすくなります。
断面間隔は一定である必要はありません。直線部で形状変化が小さい場所は間隔を広くし、端部、屈曲部、構造物接続部、法勾配の変化点では中間断面を追加します。平均化による誤差を小さくするには、変化点を測点として押さえることが重要です。
項目2 撤去材と埋戻し対象空間を分ける
二つ目は、撤去材の体積と埋戻し対象空間の体積を別々に計算することです。撤去量は撤去前後の形状差、埋戻し量は埋戻し前後の形状差で求めるため、基準面が異なります。
仮締切材を撤去すると同じ大きさの空間が残るように見えますが、元の地盤より上に盛られていた部分は、撤去後に埋める必要がありません。反対に、締切の下部を掘り下げた範囲や、構造物施工のために床掘りした範囲は、所定の復旧面まで埋める必要があります。
撤去材を現場内で再利用する場合も、撤去量、再利用可能量、品質上使用できない量、埋戻し使用量、余剰量を分けます。含水状態や異物混入、粒度、締固め特性によっては、撤去土の全量を指定の埋戻し材として使えないことがあります。使用可否は設計図書や材料基準、必要な試験結果に基づいて判断します。
袋材、鋼材、木材、遮水材、砕石などが仮締切に含まれる場合、それらを土砂の体積へ混在させないようにします。仮締切全体を単一の土体として扱うと、撤去運搬量、再利用量、必要な購入または搬入量の関係が不明確になります。
構造物周辺では、床掘り空間から構造物本体、基礎材、均し材、裏込め材などが占める範囲を除き、一般埋戻し材が入る空間を求めます。ただし、控除の方法や最小控除寸法は数量算出要領によって異なる場合があるため、独自ルールで機械的に差し引かないことが重要です。
矢板を引き抜いた後の処理量も、部材断面積へ延長を掛けるだけで確定できるとは限りません。周辺地盤の緩み、沈下、充填方法、設計上の処理範囲によって数量の考え方が変わります。推定を用いる場合は、根拠、対象範囲、協議内容を計算書に残します。
計算書では、撤去前形状、撤去後形状、完成形状を分け、それぞれの差分が撤去、埋戻し、盛土、別材料のどれに対応するのかを記載します。これにより、撤去数量と復旧数量が同じでない理由を第三者へ説明できます。
項目3 水中部・水際部・陸上部を必要に応じて分ける
三つ目は、施工条件や材料区分が異なる場合に、水中部、水位変動の影響を受ける範囲、陸上部を分けて整理することです。この三分割は全国一律の積算区分ではありません。設計図書や施工条件に区分がない場合は、数量表を不必要に細分化せず、施工計画上の管理区分として扱います。
水中部では、陸上と同じ敷均しや締固めができない場合があります。材料の投入方法、流出防止、沈下、洗掘、施工時の水位などを考慮し、指定された材料や施工方法がある場合は一般埋戻しと分けます。
水位変動の影響を受ける範囲は、施工当日の水面だけで決めません。計画水位、通常時水位、施工時水位、仮締切内の排水状態などを確認します。河川工事では、水位や潮位を必要に応じて観測することが共通仕様に示されているため、数量の基準高に水位を使う場合は、観測時刻と施工状態を記録します。
陸上部では、指定された材料を所定の方法で敷き 均し、締め固めます。ただし、構造物際や狭い部分では使用機械や一層の施工厚が一般部と異なる場合があります。施工方法が異なるからといって必ず別の契約工種になるわけではないため、数量区分と施工管理区分を分けて考えます。
高さで区分する場合は、各横断面へ基準高を記入し、区分別の断面積を求めます。河川や水路に縦断勾配がある場合、全区間を一律標高で区切ると実際の水位条件とずれるため、各測点の水位または設計上の基準線を反映します。
水中投入で生じる余分な使用量、流出対策分、沈下見込みなどを、完成形状の幾何学的体積へ無条件に加えてはいけません。完成体積、施工計画上の投入量、契約上計上できる数量を分け、追加量の根拠を示します。
この区分の目的は、見かけの数量を増やすことではありません。材料、施工方法、品質確認、測量可能範囲の違いを整理し、どの数量が何を表すのかを明確にすることです。
項目4 余掘り・構造物周辺・施工ヤード復旧を分ける
四つ目は、余掘り部、構造物周辺、施工ヤード復旧部、仮排水路跡などを分けて確認することです。これらを一つの盛土数量へまとめると、設計数量との対応が分かりにくくなります。
余掘りは、型枠、鉄筋、排水、通路、機械作業などのため、構造物外面より広く床掘りした範囲です。構造物完成後には、この空間のうち構造物や基礎材が占めない部分を埋め戻します。
余掘り量は、床掘り断面から構造物や別材料の断面を除いて求めます。掘削幅や法勾配が変化する場合は測点ごとに断面積を算出します。崩落や追加掘削で設計以上に広がった範囲を契約数量に含められるかは、設計図書や変更手続きによって判断します。
構造物周辺は、側面、背面、上部で形状が異なります。側面にはくさび状の空間が生じることがあり、背面では裏込め材との境界、上部では土被りや計画盛土面との関係を確認します。
三次元地形差で全体数量を求めた後に、構造物周辺の埋戻しを別途加算する場合は注意が必要です。全体差分にその空間が含まれていれば、別途加算は二重計上です。反対に、構造物部分をマスクした際に周辺の必要範囲まで除外すれば計上漏れになります。
施工ヤード復旧は、作業場所、重機走行路、資材置場、仮排水路などを原形または計画形へ戻す数量です。仮締切撤去と同時期に施工されても、目的や工種が異なる場合があります。平面図上で範囲を分け、仮締切本体の復旧と重ならないようにします。
施工ヤードでは、工事中の載荷や走行で地盤が沈下している場合があります。施工前地形との差だけを見ると、仮設撤去跡と沈下分が一体の数量に見えることがあります。必要に応じて、施工前、仮設撤去後、復旧後の各面を比較し、数量の原因を分けます。
護岸や河床復旧では、土砂だけでなく基礎材、吸出し防止材、被覆材などを施工することがあります。最終仕上げ面から各層の範囲を分け、一般土砂が占める部分だけを埋戻し量として整理します。
項目5 締固め後の完成体積と搬入土量を分ける
五つ目は、締固め後の完成体積と、地山土量、ほぐし土量、搬入土量を分けることです。土は地山、掘削してほぐした状態、締固め後の状態で体積が異なります。
国土交通省の施工パッケージ型積算基準では、土量を地山の土量、ほぐした土量、締固め後の土量の三状態に分け、体積比を土量変化率として扱っています。したがって、完成形状の立体体積と、運搬車両で扱う見掛け体積を同じ数量として扱うことはできません。 ([国土交通省][1])
完成体積は、埋戻し前の面と完成面に挟まれた幾何学的体積です。搬入計画では、材料の状態に応じた変化率、再利用可能量、選別で除外される量などを整理します。変化率は、適用する積算基準、土質試験、設計条件、認められた実績値などに基づいて選定します。
完成体積が100立方メートルであっても、運搬時の見掛け体積が100立方メートルになるとは限りません。ただし、一般的な参考値だけで換算し、その数量をそのまま契約数量や出来形数量にしてはいけません。出来形、土量配分、運搬、購入材料は、それぞれの単位状態と算定根拠を示します。
仮締切撤去土を再利用する場合は、撤去土量から利用不可量を除き、埋戻しに使える状態へ調整した量を整理します。含水比が高い土や異物を含む土は、指定材料の条件を満たさない場合があります。
施工ロス、流出、沈下見込み、余盛りなどを見込む場合も、完成体積とは別に管理します。これらを契約数量へ加算できるかは設計図書や協議によります。施工計画上の安全側の見込みと、精算対象数量を同じ欄に混在させないことが重要です。
土量収支表では、地山土量、ほぐし土量、締固め後土量、再利用量、搬入量、搬出量を区別します。差が生じたときに、体積状態の違い、材料選別、未使用土、測量差のどこに原因があるかを追える形にします。
横断平均法で仮締切撤去後の埋戻し量を計算する方法
河川、水路、堤防など延長方向を持つ対象では、平均断面法が使いやすい場合があります。現場では横断平均法と呼ばれることもあり、隣り合う二断面の面積を平均し、断面間距離を掛けて区間体積を求めます。
基本式は、V=(A1+A2)÷2×Lです。Vは二断面間の体積、A1とA2は各断面の埋戻し面積、Lは断面間距離です。この式は、断面積が区間内でおおむね連続的に変化するとみなせる場合に使います。
各横断面には、施工前地盤、床掘り面、構造物外形、仮締切撤去後の地盤、復旧後の計画面を必要に応じて表示します。どの線とどの線に挟まれた面積を計算するのかを記載します。
一般埋戻し、水中施工材、裏込め材、基礎材などを分ける場合は、同一断面内で面積が重ならないように境界を決めます。各区分の面積合計が対象空間全体と整合するか確認すると、重複と漏れを発見しやすくなります。
断面間隔は、形状変化に応じて決めます。仮締切端部、構造物の始終点、護岸形状の変化点、河床勾配の変化点では断面を追加します。端部で面積が急変するのに断面間隔が粗いと、平均断面による誤差が大きくなります。
区間内で形状が複雑に変化し、二断面の平均では表しにくい場合は、中間断面を追加するか、三次元差分や個別立体の計算を使います。平均断面法は説明しやすい方法ですが、どの形状にも自動的に高精度で適用できるわけではありません。
計算書には、測点名、断面間距離、区分別断面積、区間体積、累計体積を記載します。端数処理は途中で繰り返さず、適用する数量算出要領に従って最終段階で処理します。
高低差と面積から埋戻し体積を計算する方法
範囲が比較的平坦で、厚さの変化が小さい場合は、体積=平面積×平均厚さで概算または数量算出を行える場合があります。ただし、採用できるかは対象形状と数量算出要領を確認します。
仮締切撤去後の面に凹凸がある場合、一つの平均厚さだけで全体を計算すると誤差が大きくなります。中央部、法面部、端部、構造物周辺、施工ヤードなど、形状が変わる範囲で区画を分けます。
各区画では、埋戻し前後の標高差を複数点で求めます。最大値と最小値だけの平均では、局部的なくぼみや片勾配を反映できないことがあります。格子状に測点を配置できる場合は、メッシュごとの平均高低差と面積から体積を求めます。
メッシュ寸法は、地形変化が大きい場所ほど細かくします。異なる寸法を混在させる場合は、区画境界を重ねないようにし、全メッシュ面積が対象範囲と一致するか確認します。
側面が傾斜して深さ方向に狭くなる形状では、最大平面積へ平均厚さを掛けると過大になるおそれがあります。法面状、くさび状、台形状の範囲は、断面法や複数の単純立体へ分割する方が説明しやすくなります。
この方法で得るのは、原則として設定した二面間の幾何学的体積です。搬入土量や余裕量を求める場合は、完成体積と別の計算過程を設けます。
三次元測量データを使って数量を確認する方法
仮締切撤去後の地盤は、構造物際、締切端部、水際部などで複雑になりやすいため、三次元計測データによる面差分が有効な場合があります。埋戻し前後の面を作成し、同じ計算境界内で二面に挟まれた体積を求めます。
三次元計測を数量や出来形管理へ使う場合は、座標系、標高基準、工事基準点、計測精度、設計データ、対象範囲を確認します。国土交通省の三次元出来形管理要領では、工事基準点や標定点、精度確認、三次元設計データの照査、成果品の管理が重視されています。単に点群が取得できたことだけでは、精算根拠として十分とは限りません。
測量時期も重要です。仮締切が残る状態、撤去途中、撤去完了後、埋戻し途中では、同じ場所でも面が異なります。埋戻し量を求める下面には、原則として対象材料を施工する直前の状態を使い、施工段階を記録します。
水面下は、地上からの一般的な写真測量やレーザー計測では地盤面を直接取得できない場合があります。排水後に計測する、測深データを使う、床掘り完了時の測量成果を使うなど、条件に合う方法を選びます。未計測範囲を自動補間した場合は、補間範囲と方法を明記します。
構造物の天端や壁面が地形面へ混ざると、意図しない三角網が作られることがあります。構造物を除外する、設計形状を別面として組み込む、計算境界を細分化するなどして、埋戻し対象空間だけを抽出します。
計算境界を広く取りすぎると、仮締切と関係のない洗掘、堆積、施工ヤードの変化まで含まれます。狭すぎると端部や余掘り部が抜けます。平面図で境界を確認し、横断図でも深さ方向の閉じ方を確認します。
三次元差分の結果は、平均断面法や面積×平均厚さによる概算と照合します。差が大きい場合は、基準点、位置合わせ、補間 、構造物控除、計算境界、測量時期を見直します。
仮締切撤去後の埋戻し計算で起こりやすい間違い
一つ目は、仮締切の撤去土量をそのまま埋戻し量とすることです。元の地盤より上の締切土は、撤去しても同じ場所へ戻す必要がないため、撤去量と埋戻し量を別の面差で求めます。
二つ目は、構造物や別材料の体積を適切に区分しないことです。床掘り空間全体を土砂の埋戻し量にすると、構造物、基礎材、裏込め材が占める範囲まで含む可能性があります。
三つ目は、仮締切撤去後ではなく施工前地形を下面に使うことです。施工前と完成後の差は工事全体の変化を表しますが、仮締切撤去後の埋戻しだけを表すとは限りません。
四つ目は、余掘り、仮排水路、締切端部、施工ヤードの復旧を見落とすことです。仮締切本体図だけでなく、床掘り図、仮設計画図、復旧図を重ねて確認します。
五つ目は、全体の三次元差分と構造物周辺の個別数量を重ねることです。加算前に、各計算範囲が包含関係にないかを確認します。
六つ目は、締固め後の完成体積と、ほぐし土量や搬入土量を混在させることです。数量表には、どの状態の立方メートルかを明記します。
七つ目は、断面間隔やメッシュが粗すぎることです。形状変化点を平均化すると、局所的なくぼみや膨らみが反映されません。
八つ目は、水位条件や排水状態を記録しないことです。水際部や水面下の測量可能範囲は施工状態によって変わるため、測量時刻と状態を残します。
九つ目は、現場で施工した数量をそのまま契約数量とすることです。設計図書外の追加施工や崩落分などは、必要な協議や変更手続きがなければ精算根拠にならない場合があります。
十点目は、計算途中で端数処理を繰り返すことです。断面積や区間体積は必要な桁数を保持し、最終集計で所定の方法により処理します。
数量根拠を残すために整理したい記録
仮締切撤去後の空間は、埋戻しが進むと直接確認できなくなります。そのため、埋戻し前の測量と写真を施工工程へ組み込むことが重要です。
測量データには、測量日、施工段階、座標系、標高基準、使用基準点を記録します。「現況」だけではなく、「仮締切撤去完了後・埋戻し前」のように状態が分かる名称を付けます。
平面図と横断図には、仮締切本体、床掘り部、構造物周辺、仮排水路、施工ヤード、水中施工範囲、別材料範囲などの境界を表示します。各範囲がどの数量表へ対応するかを揃えます。
施工写真は、全景だけでなく、床掘り底面、構造物際、締切端部、仮排水路跡、計測できない部分を撮影します。撮影位置と方向を平面図へ記録すると、図面と現場状況を対応させやすくなります。
材料記録では、撤去土量、再利用量、利用不可量、搬入量、搬出量を分けます。運搬記録と完成体積が一致しない場合でも、土の体積状態を区別していれば差の理由を追跡できます。
計算書には、採用した方法、基準面、計算境界、断面間隔、面積算定方法、構造物控除、材料区分、端数処理を記載します。補間値や推定値を使った場合は、適用範囲と根拠を明示します。
計算結果だけでなく、元の測量点、点群、地形面、断面図、計算境界データも保管します。後から条件を修正する場合、元データがあれば再計算できます。
設計数量、変更数量、実施数量、出来形数量、搬入計画数量には、それぞれ別の名称を付けます。どの図面、どの時点、どの目的に基づく数量かを明確にすると、関係者間の認識差を減らせます。
まとめ
仮締切撤去後の埋戻し量は、仮締切の体積や床掘り体積をそのまま流用して求めるものではありません。撤去後の面と復旧後の面に挟まれた空間を基本に、構造物や別材料を区分して計算します。
最初に、仮締切の設置範囲と、設計図書や協議に基づく撤去範囲を確定します。次に、撤去材の体積と埋戻し対象空間を分けます。施工条件が異なる場合は、水中部、水位変動の影響を受ける範囲、陸上部を必要に応じて整理します。さらに、余掘り、構造物周辺、施工ヤード復旧を分け、最後に完成体積と搬入土量を区別します。
延長方向を持つ現場では平均断面法、平坦で厚さ変化が小さい範囲では面積と平均厚さによる方法、複雑な形状では三次元面の差分が候補になります。ただし、方法の名称よりも、上面、下面、側面境界、測量時期、材料区分を正しく定義することが重要です。
三次元計測は、締切端部や構造物際の形状を面的に記録する手段として有効ですが、基準点、精度確認、未計測範囲、構造物の除外、計算境界を管理する必要があります。携帯型の計測機器を使う場合も、取得したデータが工事で求められる精度や数量算出条件を満たすかを確認してください。
埋戻し前の地盤は施工後に見えなくなります。撤去完了後の状態を速や かに測量し、写真、断面図、施工記録、材料記録と関連付けて保存することが、盛土体積の根拠を安全に残す方法です。
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