目次
• 盛土体積で横断構造物の翼壁裏を控除する理由
• 翼壁裏の控除計算を始める前に整理する資料
• 1点目は適用基準と盛土の計算 領域を確定する
• 2点目は翼壁本体と基礎の控除範囲を正しく求める
• 3点目は翼壁裏の裏込め材と一般盛土を分ける
• 4点目は斜めに配置された翼壁を測点間へ反映する
• 5点目は重複控除と控除漏れを体積収支で確認する
• 平均断面法による翼壁裏の控除手順
• 三次元データを使った控除体積の確認方法
• 数量計算書に残すべき根拠と注意点
• 翼壁裏の控除で起こりやすい失敗
• まとめ
盛土体積で横断構造物の翼壁裏を控除する理由
盛土の体積計算では、計画された盛土領域のうち、実際に土で構成される部分を数量として整理します。道路や河川の盛土区間に管渠、函渠、樋門などの横断構造物が設けられる場合、完成外形だけで土量を求めると、構造物や別工種の裏込め材が占める空間まで一般盛土に含めるおそれがあります。
ただし、翼壁の周辺にある空間を一律に控除してよいわけではありません。控除対象は、適用する数量算出基準と設計図書に照らし、盛土数量に含まれている構造物部分または別工種材料の部分です。翼壁背面に施工される土であっても、一般盛土として設計されている範囲は一般盛土数量に残します。
国土交通省の令和8年度土木工事数量算出要領では、河川・道路土工の盛土を、現地盤線または計画埋戻し線より上に土砂を盛り立てる箇所としています。また、路体盛土と路床盛土は締固め後の土量で整理し、数量算出は平均断 面法または所定の三次元モデルによる方法を標準としています。国土交通省土地政策研究所+2国土交通省土地政策研究所+2
同要領の控除土量では、管渠、函渠、樋門などの横断構造物について、現地盤線以上の断面積が1平方メートル以上となる場合に盛土量から控除するとしています。構造物に裏込め材を使用する場合は、その裏込め材を盛土量から控除し、別途数量を算出する扱いです。国土交通省土地政策研究所
この1平方メートルという条件を確認せず、小さな翼壁や付属部まで機械的にすべて控除すると、適用基準と合わない数量になる可能性があります。一方で、自治体や発注機関の運用、特記仕様書、設計図書で別の扱いが示されている場合は、その条件を優先して確認する必要があります。この記事では国土交通省要領の考え方を基本にしつつ、最終判断は当該工事の契約図書と適用基準で行う前提とします。
翼壁は横断構造物本体から外側へ伸び、平面上で斜めに開いたり、先端に向かって高さが変化したりします。そのため、 構造物中心の一断面だけでは盛土との重複範囲を表しにくいことがあります。翼壁本体、基礎、裏込め材、一般盛土の境界を平面・縦断・横断の三方向で確認することが重要です。
基本式は、適用基準に従って求めた控除前の盛土体積から、控除対象となる構造物部分と別工種の裏込め材部分を差し引き、正味の一般盛土体積を求める形です。ただし、元の横断面積がすでに構造物や裏込め材を除いた面積であれば、追加控除は行いません。
翼壁裏の控除計算を始める前に整理する資料
計算を始める前に、平面図、縦断図、土工横断図、構造一般図、翼壁詳細図、基礎図、床掘り・埋戻し図、施工区分図、数量計算書、特記仕様書をそろえます。必要なのは寸法だけでなく、どの数量算出基準を適用し、どの工種として計上するかを判断できる資料です。
平面図では、横断構造物の中心位置、構造物軸、道路中心線ま たは堤防法線との交差角、翼壁の開き方向、翼壁始点と先端、左右または上下流の区分を確認します。構造物が斜角で配置されている場合、左右の翼壁が道路延長方向に占める範囲は一致しないことがあります。
縦断図では、現地盤高、計画高、路床面、構造物天端、基礎下面、計画埋戻し線、土被りを確認します。盛土の下限が常に現況地盤とは限らず、構造物周辺では計画埋戻し線との関係を整理する必要があります。
土工横断図では、基本盛土断面積が構造物控除前か控除後かを確認します。図面上に構造物輪郭が描かれていても、面積計算に反映されているとは限りません。ハッチング、面積表示、座標値、数量表を照合し、断面積の定義を明確にします。
構造一般図と翼壁詳細図では、翼壁長、壁高、壁厚、天端勾配、壁面勾配、基礎幅、基礎厚、付根位置、施工目地を確認します。壁高や壁厚が変化する場合は、直方体として一括計算せず、形状変化点で区切る準備をします。
施工区分図では、一般盛土、構造物裏込め材、埋戻し、基礎材、均しコンクリート、排水層などの境界を確認します。同じ土質に見えても、工種、施工幅員、締固め方法、管理区分が異なれば別数量になることがあります。
さらに、適用基準の年度と発注者運用を確認します。国土交通省要領の1平方メートル条件を使うのか、発注者独自の算出要領を使うのか、特記仕様書に個別指示があるのかを先に決めます。基準が決まらないまま三次元モデルを精密に作っても、控除するかどうかの判断が誤っていれば正しい数量にはなりません。
図面の改訂番号も統一します。平面図だけが最新版で、翼壁詳細図や横断図が旧版のままでは、位置、高さ、開き角度、裏込め範囲が一致しません。計算書には使用図面の番号、版、作成日を記録します。
数量の目的も区別します。設計数量、出来形数量、施工計画上の搬入土量は同じではありません。設計数量は設計図書と適用要領に基づく完成数量、出来形数量は承認された測量結果等に基づく数量、搬入土量は土量変化や施工ロスを考慮した計画数量として分けて扱います。
1点目は適用基準と盛土の計算領域を確定する
1点目は、控除計算の前に、適用基準と盛土領域の上下限を確定することです。
国土交通省要領を適用する道路・河川土工では、横断構造物等の現地盤線以上の断面積が1平方メートル以上となる場合に盛土から控除します。したがって、翼壁周辺の構造物断面が基準未満であれば、幾何学的には土でない空間があっても、数量算出上は控除しない扱いとなる場合があります。国土交通省土地政策研究所
ここで確認する断面積は、単に翼壁のコンクリート数量表に記載された体積を延長で割った値ではありません。現地盤線以上で盛土と重なる構造物断面を、適用する計算断面で確認します。翼壁の高さや地盤高が延長方向に変化する場合は、対象断面ごとに条件を判断します。
盛土領域の下側は、現地盤線または計画埋戻し線です。表土除去、床掘り、置換、段切りがある場合でも、それらをすべて盛土の下限と決めつけず、設計図書上の土工区分を確認します。床掘り底から現地盤または計画埋戻し線までの土は、一般に構造物の埋戻し数量として整理され、盛土数量とは別に扱われることがあります。
上側の面は、路体、路床、造成面など、盛土数量の対象範囲に合わせます。舗装、路盤、基礎材などを別工種とする場合は、それらを含めない面を上限にします。構造物上に土被りがある場合は、構造物天端から盛土上限面までの土量を残します。
控除対象となるのは、盛土計算領域と構造物または別材料が共通して占める部分です。翼壁の一部が現地盤線より下にある場合、その部分が盛土断面に含まれていなければ盛土から差し引きません。翼壁が計画面より上に露出する部分も、元の盛土断面に 含まれていないため控除対象外です。
例えば翼壁全高が3メートルであっても、盛土領域内にある高さが一部だけなら、全高を用いて控除してはいけません。翼壁延長方向に現地盤線と計画面が傾斜している場合は、重複高さを位置ごとに求めます。
函渠や管渠本体を外形で控除する場合は、その外形内にある空洞を別途再控除しません。外形ではなくコンクリート実体と空洞を別々に整理する方法を採る場合も、両者の合計が同じ占有領域になるようにします。外形控除と部材別控除を混在させると二重控除になります。
元の土工横断面がすでに構造物をくり抜いている場合は、その面積を使って平均断面法を行うだけで構造物控除が反映されます。別計算した構造物体積をさらに差し引かないよう、控除前断面と控除後断面を明確に区別します。
2点目は翼壁本体と基礎の控除範囲を正しく求める
2点目は、翼壁本体と基礎について、盛土領域に含まれ、かつ適用基準上控除する部分だけを求めることです。
翼壁が一定厚、一定高の単純形状であれば、重複する長さ、厚さ、高さから体積を求められます。しかし実際には、先端に向かって壁高が低下し、壁厚や基礎幅が変化し、天端が法面に合わせて傾斜することがあります。
壁高が直線的に変化し、厚さが一定で、盛土との重複断面も直線的に変化する区間では、両端断面積の平均に区間長を掛けて近似できます。形状変化が直線でない場合や、現地盤線、計画面、法面との交点が区間内にある場合は、その交点で分割します。
分割位置には、翼壁始点、先端、壁高変化点、壁厚変化点、基礎幅変化点、現地盤線との交点、計画面との交点、法面との交点、施工目地を使います。必要な断面を増やす目的は、 細かくすること自体ではなく、断面積の変化を適切に表すことです。
基礎は、盛土領域との重複を確認して扱います。基礎が現地盤線または計画埋戻し線より下にあり、盛土数量に含まれていない場合は、盛土から控除しません。地形条件により基礎の一部が盛土領域に入る場合は、その部分を対象として検討します。
壁体と基礎の境界は共通面で区切ります。壁体を基礎下面まで計算し、さらに基礎体積を加えると同じ空間が重複します。壁体下面を基礎上面とするなど、部位ごとの計算範囲を計算書に明記します。
横断構造物本体と翼壁の接続部も重複しやすい箇所です。本体の外形に翼壁付根が含まれる場合は、翼壁側からその重複部分を除きます。施工目地や本体端面など、図面で再現できる境界を用いると説明しやすくなります。
構造物のコンクリート数量をそのまま盛土控除量に使う方法は避けます。コンクリート数量には現地盤線より下の基礎、計画面より上の露出部、盛土区域外の部分が含まれることがあるためです。必要なのは施工コンクリート総量ではなく、盛土数量に含まれている構造物占有部分です。
計算後は、翼壁本体、基礎、本体接続部の合計を平面外形および代表断面と照合します。部位合計が外形から想定される体積を大きく超える場合は、接続部や基礎境界の重複を疑います。
3点目は翼壁裏の裏込め材と一般盛土を分ける
3点目は、翼壁背面の裏込め材と一般盛土を、設計図書に示された施工区分で分けることです。
国土交通省要領では、構造物に裏込め材を使用する場合、盛土量から裏込め材を控除し、別途その数量を算出します。つまり、翼壁背面だから自動的に控除するのではなく、設計上、裏込め材として指定された範囲を一般盛土から分けます。国土交通省土地政策研究所
裏込め範囲は、翼壁背面から一定幅、床掘り法面まで、指定勾配で広がる範囲、構造物高さに応じて変化する範囲など、工事ごとに異なります。平面上で翼壁が開く場合、裏込め材の平面形状も単純な長方形にはならないことがあります。
高さ方向では、床掘り底から現地盤線または計画埋戻し線までを埋戻し、その上を裏込め材または一般盛土とする区分が考えられます。名称だけで判断せず、床掘り・埋戻し図、標準断面図、特記仕様書で境界を確認します。
盛土から控除する裏込め材は、元の盛土数量に含まれている範囲です。現地盤線より下の構造物埋戻しが別工種として算出されている場合、その全量を盛土から差し引くと過大控除になります。
裏込め材の数量を床掘り外形から構造物外形を差し引いて求める場合、構造物部分はすでに除かれています。その数量から翼壁体積をもう一度差し引かないよう、計算式の構成を確認します。
一般盛土と裏込め材の境界は共通の面として設定します。一般盛土の内側境界と裏込め材の外側境界がずれると、重複または未分類の隙間が生じます。平面と断面の両方で同じ境界線を使います。
材料名が同じでも、施工幅員、締固め機械、層厚、管理区分が異なるため別数量とする場合があります。反対に、図面や仕様書で一般盛土と同一扱いとされている範囲を、名称だけで別材として控除しないようにします。
盛土数量は締固め後の完成体積で整理し、搬入時のほぐれ土量や運搬回数は、その完成体積を確定した後に別途換算します。控除計算の途中で地山土量、ルーズ土量、締固め後土量を混在させると、体積収支が成立しません。国土交通省要領でも路体盛土と路床盛土は締固め後の土量とされています。国土交通省土地政策研究所+1
4点目は斜めに配置された翼壁を測点間へ反映する
4点目は、道路中心線や堤防法線に対して斜めに配置された翼壁を、影響する測点へ正しく反映することです。
翼壁は構造物端部から外側へ開くため、構造物中心測点だけに現れるとは限りません。平面図上で翼壁始点、先端、壁厚変化点、裏込め境界の変化点を道路中心線または計算基準線へ投影し、影響区間を求めます。
横断構造物本体が斜角で配置されている場合、左右または上下流の翼壁で影響測点が異なります。左右の翼壁を同一形状、同一延長としてまとめず、現地盤高、盛土高、法面との取り合いを個別に確認します。
通常測点だけで形状変化を表せない場合は補助測点を設定します。補助測点は 、翼壁の始点と先端、現地盤線との交点、計画面との交点、壁高変化点、裏込め範囲の始終点などに置きます。
平均断面法では、隣接断面積の平均に延長を掛けます。したがって、断面積が急変する区間を長い一つの区間で処理すると、翼壁先端や本体接続部の体積を適切に表せないことがあります。国土交通省要領でも土量は平均断面積と延長により算出する方法を標準の一つとしています。国土交通省土地政策研究所
斜めの翼壁を道路横断線で切ると、断面上に見える幅は翼壁の実厚と一致しない場合があります。横断面上の控除面積を求める場合は、平面上の翼壁輪郭と横断線の交点から断面幅を作ります。実厚をそのまま横断面の幅に置き換えないようにします。
別の方法として、翼壁軸方向に断面を設け、翼壁実長を用いて盛土との重複体積を求めることも考えられます。この場合は、道路横断面による控除体積と重複させず、一つの方法に統一します。
道路方向の投影長と翼壁実長を混在させると、斜角補正を二重に反映したり、逆に反映漏れを起こしたりします。断面積の向きと、それに掛ける延長の向きを対応させます。
左右別の控除量を求めた後、平面図上の占有範囲と照合します。片側だけ影響区間が長い場合でも、地形や翼壁配置が理由であれば必ずしも誤りではありません。代表形状にそろえるのではなく、図面条件に一致しているかを確認します。
5点目は重複控除と控除漏れを体積収支で確認する
5点目は、計算結果を体積収支で確認し、重複控除と控除漏れを防ぐことです。
最初に、控除前の盛土体積が何を含むかを明記します。構造物と裏込め材を含む完成外形なのか、構造物だけを除いた断面なのか、構造物と裏込め材の両方を除いた正味断面なのかによって、後から差し引く数量が変わります。
次に、適用基準上の控除条件を確認します。国土交通省要領を適用する場合、現地盤線以上の横断構造物断面が1平方メートル未満であるのに、構造物体積を別途控除していないかを確認します。逆に、条件を満たす構造物が控除前断面に残っているのに、控除漏れとなっていないかも確認します。国土交通省土地政策研究所
本体と翼壁の接続部、翼壁と基礎の境界、構造物外形と内部空間の関係を確認します。函渠外形を控除した後に、コンクリート体積または内部空間を追加で控除すると二重計上になります。
裏込め材数量が構造物外形を除いた正味数量で計算されている場合は、裏込め材から構造物体積を再度差し引きません。また、現地盤線より下の埋戻し数量を一般盛土から控除していないかを確認します。
対象範囲全体について、控除前盛土領域を一般盛土、控除対象構造物、別工種の裏込め材、その他の材料に分けます。各区分の体積合計が控除前盛土体積と一致するかを確認します。
体積だけでなく、測点ごとの断面積収支も有効です。各断面で、控除前盛土面積が、正味一般盛土面積、控除対象構造物面積、裏込め材面積などの合計と一致するかを確認します。断面段階で整合していれば、区間体積の不一致を追跡しやすくなります。
計算結果の規模も点検します。小規模な翼壁に対して過大な控除量が出た場合は、ミリメートルとメートルの混同、投影長と実長の混同、左右の二重計上、現地盤線より下の基礎控除を疑います。
一方、長い翼壁が高い盛土内にあるのに控除量が極端に小さい場合は、補助測点不足、斜角反映漏れ、裏込め範囲の未反映、控除条件の判定断面を確認します。
最終的には、控除前盛土体積から各控除量を差し引いた結果と、控除後断面から直接求めた正味盛土体積を比較します。別経路で得た値が概ね整合すれば、二重控除や欠落を見つけやすくなります。
平均断面法による翼壁裏の控除手順
平均断面法を使う場合は、最初に各測点の控除前盛土断面積を求めます。下限は現地盤線または計画埋戻し線、上限は対象とする路体面、路床面、造成面などです。
次に、平面図上で翼壁と裏込め材の影響区間を割り付けます。通常測点の間に翼壁始点、先端、地盤交点、法面交点がある場合は、その位置に補助測点を設けます。
各断面で、現地盤線以上の横断構造物断面積を確認し、適用要領の控除条件を判定します。国土交通省要領を適用する場合は、1平方メートル以上かどうかを確認します。発注者独自基準がある場合は、その基準に読み替えます。
控除対象となる断面では、盛土領域内の構造物占有面積を求めます。翼壁本体、基礎、本体接続部を分ける場合は、重複しない境界を設定します。外形で控除する場合は、同じ部分を部材別に再控除しません。
裏込め材を別工種とする場合は、盛土領域内にある裏込め断面積を求めます。現地盤線または計画埋戻し線より下の埋戻しが別数量である場合は、盛土控除面積へ混入させません。
正味盛土断面積は、控除前盛土断面積から、適用基準により控除する構造物面積と、別工種の裏込め材面積を差し引いて求めます。
隣接する正味盛土断面積の平均に区間延長を掛けて区間体積を求めます。補助測点を設けた場合は、通常測点から補助測点、補助測点間、補助測点から次の通常測点へ区分して計算します。
別の整理方法として、控除前盛土体積、構造物控除体積、裏込め材控除体積をそれぞれ平均断面法で求め、最後に差し引く方法があります。この方法は増減理由を説明しやすい一方、各面積の基準線と測点間距離を統一する必要があります。
平均断面法または所定の三次元モデルによる数量算出は、国土交通省要領で標準とされています。複雑な翼壁では補助断面を増やし、三次元計算との比較で近似誤差を確認します。国土交通省土地政策研究所
三次元データを使った控除体積の確認方法
翼壁の平面角度、高さ変化、法面との交差が複雑な場合は、三次元データを使って盛土領域との交差体積を確認できます。
まず、現地盤面または計画埋戻し面と、盛土上限となる計画面を作成し、控除前盛土領域を閉じた立体として構成します。次に、横断構造物本体、翼壁、基礎、裏込め材を別の立体として作成します。
構造物全体をそのまま差し引くのではなく、控除前盛土立体との共通部分を抽出します。これにより、現地盤面より下の基礎や計画面より上の露出部を盛土から誤って控除することを避けられます。
ただし、三次元モデルで正確な交差体積が求まっても、適用基準上控除しない小規模構造物であれば、その体積を設計盛土数量から差し引くとは限りません。幾何学的な交差体積の計算と、数量算出基準による採否判定を分けます。
モデル作成時は、座標系、標高基準、単位、原点を統一します。構造図がミリメートル、地形データがメートルの場合は、変換後の代表寸法を照合します。
現地盤面に欠損や不自然な補間があると、盛土領域の下限が変わります。構造物周辺の点密度、ブレークライン、法面端部、計画埋戻し線を確認します。
裏込め材は設計境界に従って別立体にします。翼壁背面から一定幅とするのか、床掘り法面までとするのか、指定勾配で広がるのかを図面から再現します。
立体演算後は、代表測点で断面を切り出し、平面図、横断図、構造図と照合します。体積値だけを確認するのではなく、翼壁位置、壁高、基礎位置、地盤交点、法面交点が一致しているかを確認します。
平均断面法との比較は、全体だけでなく左右別、翼壁基部、先端部、裏込め範囲別に行います。全体値が近くても、基部の過大と先端の過小が相殺されている場合があります。
三次元モデルが閉じていない、面が重複している、法線方向が不統一である場合、体積計算が成立しないことがあります。計算結果を採用する前に、閉合性と交差立体の形状を確認します。
数量計算書に残すべき根拠と注意点
数量計算書には、第三者が同じ条件で再計算できる情報を残します。
対象構造物の名称、測点、左右区分、上下流区分、構造物軸、翼壁番号を記載します。複数の翼壁がある場合は、図面上の記号と計算書の記号を一致させます。
適用した数量算出要領、年度、発注者運用、特記仕様書の該当箇所を記録します。国土交通省要領の1平方メートル条件を用いた場合は、判定に使用した現地盤線以上の断面積を示します。
使用図面の番号、改訂番号、作成日を記録します。平面図、縦断図、横断図、構造図、施工区分図の版をそろえます。
盛土領域の下限と上限を明記します。下限が現地盤線か計画埋戻し線か、上限が路体上面、路床面、造成面のどこかを示します。
平均断面法では、各測点の控除前盛土面積、構造物判定断面積、実際の控除面積、裏込め材面積、正味盛土面積、測点間距離、区間体積を記録します。
補助測点を追加した場合は、その位置と理由を示します。翼壁始点、先端、壁高変化点、地盤交点、法面交点など、形状変化を表す断面であることを記載します。
部材別に計算した場合は、翼壁本体、基礎、本体接続部の境界を示します。外形控除を採用した場合は、内部空間やコンクリート実体を追加控除していないことが分か るようにします。
裏込め材については、平面・断面の境界、盛土領域内の数量、現地盤線より下の埋戻し数量との区分を示します。
三次元計算では、入力面と立体の名称、座標系、単位、作成条件、交差演算の対象、計算前後の体積を記録します。代表断面図も添えると、モデルの位置関係を説明しやすくなります。
丸めは、適用要領に従って行います。途中計算で過度に丸めると区間数が多い場合に差が累積するため、内部計算では必要な桁を保持し、所定の段階で丸めます。
設計変更時は旧数量を上書きせず、変更前後の翼壁長、壁高、開き角度、裏込め境界、地盤面、計画面、増減数量を残します。
翼壁裏の控除で起こりやすい失敗
最も大きな失敗は、適用基準を確認せず、構造物が存在する部分をすべて盛土から控除することです。国土交通省要領を適用する場合は、横断構造物等の現地盤線以上の断面積が1平方メートル以上という条件があります。国土交通省土地政策研究所
構造物のコンクリート総量をそのまま盛土から差し引くことも誤りの原因です。現地盤線より下の基礎や、計画面より上の露出部まで含まれる可能性があります。
翼壁背面の土をすべて裏込め材とみなすことも避けます。設計上一般盛土となる範囲は残し、指定された裏込め材だけを別数量にします。
反対に、別工種の裏込め材を一般盛土へ含めたままにすると、一般盛土と裏込め材が二重計上になります。
現地盤線より下の構造物埋戻し全量を一般盛土から差し引くと、盛土数量が過小になります。盛土領域と埋戻し領域の境界を確認します。
元の横断面が構造物控除後であるのに、構造物体積を追加で差し引く二重控除も起こります。断面積の定義を計算書の冒頭に記載します。
函渠外形を控除した後に内部空間を控除する、またはコンクリート実体を追加控除することも二重控除です。
翼壁本体と基礎、翼壁と函渠本体の接続部を両方の体積に含めると、控除量が過大になります。
斜めの翼壁を構造物中心測点だけで処理すると、基部から先端までの断面変化を表せません。必要な補助測点を設けます。
実厚をそのまま道路横断面上の幅として使うと、斜角による見掛け幅を誤る場合があります。平面輪郭と横断線の交点から断面形状を作ります。
道路中心線方向の投影長と翼壁軸方向の実長を混同すると、斜角の影響を二重反映または未反映にすることがあります。
左右の翼壁を同じ形状として一括計算すると、地盤高や法面交点の差を失います。
ミリメートルとメートル、平方メートルと立方メートルを混同すると、桁違いの誤差になります。入力後に代表寸法と概算体積を確認します。
三次元モデルで交差体積が得られたことだけを理由に、その全量を設計数量から控除する ことも危険です。基準上の控除条件と契約図書上の数量区分を別に確認します。
まとめ
盛土の体積計算方法で横断構造物の翼壁裏を控除する際は、翼壁周辺の空間を一律に差し引くのではなく、適用基準、盛土領域、構造物占有部、裏込め材の施工区分を順に整理します。
1点目は、適用基準と盛土の上下限を確定することです。国土交通省の令和8年度要領を適用する場合、横断構造物等は現地盤線以上の断面積が1平方メートル以上となる場合に盛土量から控除します。国土交通省土地政策研究所
2点目は、翼壁本体と基礎のうち、盛土領域に含まれる部分だけを扱い、本体接続部や基礎境界を重複させないことです。
3 点目は、設計上の裏込め材を一般盛土から分けることです。現地盤線より下の埋戻しと、盛土領域内の別工種材料を混同しません。
4点目は、斜めに配置された翼壁を複数測点へ反映することです。翼壁始点、先端、地盤交点、法面交点などに補助測点を設け、断面積の変化を表します。
5点目は、断面積と体積の収支で二重控除と控除漏れを確認することです。控除前盛土、正味一般盛土、構造物、裏込め材の合計関係を確認します。
平均断面法または所定の三次元モデルによる数量算出は、国土交通省要領で標準とされています。複雑な翼壁では、平均断面法の根拠を残しつつ、三次元交差体積と代表断面で検証すると、位置や境界の誤りを見つけやすくなります。国土交通省土地政策研究所
現場で翼壁位置や盛土面を照合する場合は、図面上の 数量計算と現地の位置・高さ確認を分けずに管理することが重要です。盛土体積の確認から現場での位置照合までを効率化する次の情報として、Phoneをご確認ください。
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