目次
• 盛土の体積計算で排水溝分を除く前に整理したい基本
• 確認1 完成断面における排水溝の範囲を確定する
• 確認2 排水溝の空間と構造物の体積を分けて考える
• 確認3 盛土後の掘削か先行設置か施工順序を確認する
• 確認4 縦断勾配と断面変化を体積計算へ反映する
• 確認5 集水桝や吐口など付帯部の控除範囲を整理する
• 確認6 計算結果を横断図と数量集計で照合する
• 盛土の体積計算方法で起こりやすい間違い
• 現地計測を取り入れて計算精度を高める方法
• まとめ
盛土の体積計算で排水溝分を除く前に整理したい基本
築堤工事における盛土の体積計算では、現地盤線と計画断面で囲まれる面積を測点ごとに求め、平均断面法や三次元モデルによって区間体積を算出します。築堤天端に排水溝が設けられる場合は、完成後に土が存在しない部分が生じるため、排水溝の形状を数量へ反映する必要があります。
ただし、ここで最初に確認しなければならないのは、物理的な完成土量を求めるのか、発注者の数量算出要領に従う設計数量を求めるのか、施工中に扱う土量を求めるのかという点です。この三つは同じ数値になるとは限りません。
物理的な完成土量は、完成後に築堤内へ残る土の体積です。設計数量は、契約図書、適用する数量算出要領、積算区分に従って算出する数量です。施工中に扱う土量は、盛立て、掘削、仮置き、再利用、搬出入など工程上の土の動きを表します。排水溝が設置されるからといって、どの数量でも外形体積を自動的に差し引くわけではありません。
国土交通省の令和8年度土木工事数量算出 要領では、盛土から控除する横断構造物等について、現地盤線以上の断面積が1平方メートル以上となる場合に控除する考え方が示され、裏込め材を使用する場合は盛土量から控除して別途数量を算出するとされています。対象例は管渠、函渠、樋門等であり、築堤天端に縦断方向へ設ける排水溝のすべてを一律に控除する規定ではありません。したがって、天端排水溝の扱いは、適用する数量算出要領、発注者ごとの運用、設計図書、数量計算条件を確認して決める必要があります。([skr.mlit.go.jp][1])
この点を省いたまま「完成後に土がないから必ず控除する」と説明すると、物理的な材料区分としては理解しやすくても、公共工事の設計数量としては不正確になる可能性があります。反対に、数量算出要領で控除しない扱いであっても、土配計画や材料収支を検討する場面では、排水溝や基礎材によって置き換わる体積を把握した方がよい場合があります。
一定断面の排水溝について、材料置換量や完成形の重複体積を求める基本式は次のように整理できます。
控除候補体積=盛土断面と排水溝等の外形が重なる断面積×対象延長
ここで「控除候補」とするのは、そのまま契約数量から控除できるとは限らないためです。使用する断面積も、排水溝の内空断面、構造物外形断面、基礎材を含む材料置換断面、施工時の掘削断面のどれを指すかで結果が変わります。
築堤天端の排水溝には、素掘り水路、張りコンクリート水路、現場打ち水路、据付型の側溝、蓋付き水路などがあります。天端中央に設ける場合もあれば、法肩沿いに配置する場合もあります。断面は長方形、台形、円弧状などさまざまで、施工区間の途中で深さや幅が変化することもあります。
そのため、盛土の体積計算方法で排水溝分を扱う際は、最初に数量の目的と適用基準を定め、その後で完成断面、材料境界、施工順序、縦断変化、付帯構造を確認します。計算式より先に、何を控除対象と呼ぶのかを明文化することが安全な進め方です。
確認1 完成断面における排水溝の範囲を確定する
最初の確認は、基準とする築堤完成断面の中で、排水溝やその基礎がどの範囲を占めるかを確定することです。計画横断図では、現地盤線と築堤計画線で囲まれる範囲が盛土断面の基礎になります。排水溝分を検討するときは、この盛土断面と排水溝等の形状が重なる部分を抽出します。
排水溝の全体積をそのまま差し引く方法は安全ではありません。法肩付近に設置される排水溝では、側壁や基礎の一部が当初の盛土断面より外側へ張り出す場合があります。もともと盛土量に含まれていない部分まで控除すると、土量を過小に算出します。
したがって、物理的な材料置換量を求める場合でも、控除候補となるのは排水溝等の全外形ではなく、基準とした盛土断面との重複範囲です。天端の内側に完全に埋め込まれている排水溝であれば外形全体が重なることがありますが、法面側へ張り出す形状では重複部分だけを求めます。
素掘り水路では、溝の内部は空間ですが、側面と底面は盛土材によって形成されます。この場合、材料置換として考えるのは完成時の空間断面です。ただし、数量算出要領上の盛土数量から実際に控除するかどうかは別途判断します。
現場打ちや据付型の排水溝では、側壁、底版、基礎材、均し材などが盛土材と置き換わります。物理的な完成土量を求めるなら、それぞれの材料境界を断面上で確定します。一方、設計数量を求めるなら、適用基準がどの構造物をどの条件で控除するかを先に確認します。
図面上の掘削線と完成形の材料境界も区別します。構造物の設置に必要な作業幅や型枠余裕を含む床掘線は、完成後の排水溝外形より広くなることがあります。余裕部分を埋め戻す計画であれば、その範囲は完成後に土または埋戻し材が存在します。完成土量の検討で掘削断面全体を除くと、控除過大になります。
反対に、基礎材が排水溝本体より外側へ張り出す場合は、排水溝本体の外形だけでは材料置換範囲を捉えられません。基礎材が盛土とは別工種として計上されるのであれば、その重複範囲を区分します。ただし、基礎材が計画天端上へ積み上がる設計なのか、盛土内へ埋め込まれる設計なのかによって、盛土と重なる範囲は変わります。
確認には、計画横断図だけでなく、標準断面図、構造詳細図、排水計画平面図、縦断図、材料表を使用します。平面図だけでは配置延長と幅しか分からず、標準断面図だけでは断面変更位置や集水桝位置が分からないためです。
数量計算用の横断図には、基準盛土断面、排水溝本体、基礎材、埋戻し範囲を別レイヤーで表示すると確認しやすくなります。設計変更によって側壁厚や基礎厚が変わった場合も、どの領域が数量へ影響するかを追跡できます。
さらに、排水溝の名称だけで形状を推定しないことが重要です。同じ「天端排水溝」でも、素掘り、コンクリ ート張り、プレキャスト製品、蓋付き構造では材料境界が異なります。図面に寸法が不足している場合は、標準図や特記仕様を照合し、未確認寸法を仮定値のまま確定数量へ使用しないようにします。
確認2 排水溝の空間と構造物の体積を分けて考える
排水溝分の計算では、内空体積、構造物体積、基礎材体積、埋戻し体積、床掘体積を混同しないことが重要です。これらは互いに関連しますが、数量の目的と工種が異なります。
内空体積は、水が流れる空間の体積です。構造物体積は、側壁、底版、蓋など排水溝本体を構成する材料の体積です。基礎材体積は、砕石や均し材など本体下部や周囲に配置される材料の体積です。埋戻し体積は、床掘後に構造物周囲へ戻す材料の体積です。床掘体積は、施工のために一時的に掘削する範囲の体積です。
物理的な完成土量を求める場合、完成後に盛土材が存在しない範囲を材料区分に沿って求めます。排水溝が盛土内に埋め込まれているなら、内空だけでなく側壁や底版が占める部分にも盛土材は存在しません。その意味では、内空断面だけを差し引くと完成土量を過大に見積もる可能性があります。
ただし、設計数量として盛土から控除する範囲は、物理的な外形だけで決められません。適用する数量算出要領に控除条件や計上区分がある場合は、その規定を優先します。小規模な排水溝について、材料としては土が存在しなくても、積算上の盛土数量から控除しない扱いとなる可能性があります。
構造物周囲の埋戻しについても、材料名だけで判断しないようにします。築堤本体と同じ土を使う場合でも、作業土工の埋戻しとして別数量にすることがあります。反対に、盛土工の施工範囲として一体管理する設計も考えられます。図面と数量総括表の工種区分を照合する必要があります。
単純な長方形の外形であれば、外幅をB、外高をHとして外形断面積はB×Hで求められます。台形の空間断面であれば、上 幅をB、底幅をb、深さをhとして次の式を使えます。
台形断面積=(B+b)÷2×h
底版の張り出し、側壁勾配、ハンチ、段差がある場合は、長方形や台形など複数の図形に分けて計算します。曲線形状や複雑な現場打ち形状では、CADや三次元モデルで面積を求めてもよいですが、使用した境界線を図面上に残します。
構造物外形から内空断面を差し引けば、構造物本体の断面積を求められます。しかし、盛土との材料置換量を確認する目的では、盛土断面と構造物外形の重複面積を直接求める方が分かりやすい場合があります。基礎材を含めるなら、構造物本体と基礎材の重複しない領域を合計します。
注意したいのは、外形で一括計算する方法と、部材ごとに加算する方法を混在させないことです。排水溝外形全体を控除候補として計算した後に、側 壁、底版、蓋を別途加えると二重計上になります。逆に、内空だけを計算して構造物本体を加え忘れると過小になります。
数量計算書には、適用基準上の盛土控除量と、参考として求めた物理的な材料置換量を別欄にする方法が有効です。両者が同じとは限らないことを明示でき、土配計画、設計照査、施工計画の目的に応じて使い分けられます。
確認3 盛土後の掘削か先行設置か施工順序を確認する
築堤天端の排水溝分を扱うときは、完成形だけでなく施工順序も確認します。ただし、施工順序による一時的な土の移動を、そのまま設計上の完成盛土数量へ加減しないことが重要です。
築堤本体を天端付近まで盛り立てた後に排水溝部分を掘削する方法では、排水溝となる範囲にも一度土を施工することがあります。その後、床掘を行い、基礎材と排水溝を設置し、周囲を埋め戻します。この工程では、完成後に残る土量とは別に、床掘土、仮置き土、再利用土、残土が発生します。
この場合、最初に施工した盛土量を完成盛土量へ加え、さらに掘削土を減じ、再利用土を再度加えるような計算をすると、同じ土を複数回数えるおそれがあります。完成数量は完成形の断面または適用基準で求め、工程上の土の移動は施工計画数量として別表で管理します。
排水溝を先行設置して周囲を盛り立てる方法では、排水溝外形部分へ最初から盛土を入れないことがあります。構造物側部は大型締固め機械を使用しにくいため、小型機械による埋戻しや薄層施工が必要になる場合があります。数量上は構造物外形、基礎材、埋戻しの区分を整理し、施工計画上は機械の施工幅や層厚を確認します。
施工順序の違いによって完成形が同じであれば、物理的な完成土量は原則として同じです。しかし、床掘量、埋戻し量、残土量、再利用量、運搬回数は変わります。設計数量と施工中の延べ作業量を混同しないことが、土配計画のずれを防ぐポイントです。
また、締固め後の完成体積と、運搬時の緩んだ土の体積は同じではありません。搬入土量を検討するときは、土量変化率、材料特性、含水状態、現場条件など、適用する積算条件や施工計画に基づいて換算します。経験だけで一律の係数を設定すると、材料不足や余剰の原因になります。
築堤に余盛りを行う計画では、余盛り部分も完成盛土量とは分けます。沈下を見込んで計画高より高く施工し、後に整形または沈下によって所定高へ合わせる場合、施工投入量は完成形の幾何学的体積より大きくなることがあります。排水溝を余盛り前に設置するか、沈下確認後に設置するかによって、床掘や据付高の管理方法も変わります。
先行設置した排水溝の周囲で沈下や変形が生じると、水路勾配や天端との段差に影響する可能性があります。数量計算だけでなく、工程計画、施工要領、品質管理基準を照合し、排水溝設置時期を確認します。
施工数量を整理する場合は、完成盛土数量、床掘数量、埋戻し数量、再利用可能量、残土処理量を別々に記録します。再利用できるかどうかは、掘削土の土質、含水状態、異物混入、品質要求などに左右されるため、計算段階で全量再利用と断定しない方が安全です。
確認4 縦断勾配と断面変化を体積計算へ反映する
築堤天端の排水溝は、雨水を流すために縦断勾配を持つことが一般的です。天端高と排水溝底高の勾配が一致しない場合、排水溝の埋込み深さは区間内で変化します。全延長へ一つの代表断面を掛けると、材料置換量や控除候補量に誤差が生じます。
幅と形状が一定で、深さが区間内で直線的に変化するとみなせる場合は、両端の断面積を使う平均断面法で区間体積を求められます。
区間体積=(起点断面積+終点断面 積)÷2×区間延長
この式を使用できるのは、断面積の変化が区間内でおおむね直線的に扱える場合です。途中に落差、段差、集水桝、断面切替、勾配変化点がある場合は、その位置で区間を分けます。
天端に横断勾配がある場合、排水溝左右の取り合い高さが異なることがあります。標準断面図が水平な天端を前提としている場合は、実際の設置位置における仕上げ面との重なりを確認します。排水溝外形が同じでも、盛土断面との重複面積が左右で変わる可能性があります。
排水溝の幅が途中で変わる場合は、変更位置を区間境界にします。上流側と下流側で流下能力を変える計画、集水桝付近だけ幅を広げる計画、既設水路へすり付ける計画では、一定断面として扱えません。
曲線区間では延長の基準線を統一します。築堤の数量が堤防法線ま たは中心線で整理されていても、法肩沿いの排水溝実延長は一致しない場合があります。排水溝の断面積に掛ける延長は、排水溝の配置線上で測った実延長を基本とし、適用基準に別の定めがある場合はそれに従います。
幅の大きな構造物が急曲線に沿う場合は、中心線延長だけでは内外周の差を十分に表せないことがあります。その場合は、三次元モデルで重複体積を求めるか、形状を小区間に分割して近似します。
排水溝が築堤法線に対して斜めに横断または接続する場合も注意が必要です。構造物の直角方向幅と、横断図で切った見掛け幅は異なります。平面配置、横断方向、縦断方向を確認し、二次元図の寸法をそのまま別方向へ転用しないようにします。
測点ごとに、築堤天端高、排水溝底高、排水溝外形高、基礎下端高を整理すると、断面深さを追跡しやすくなります。集水桝や吐口の位置も同じ測点表へ記載すれば、区間重複を発見しやすくなります。
三次元データを使用する場合は、築堤の基準ソリッドと排水溝・基礎材のソリッドを作成し、ブーリアン演算などで重複体積を求める方法があります。ただし、三次元計算は境界設定が正しいことを前提とします。代表断面による概算値と比較し、桁、延長、重複範囲を照合します。
確認5 集水桝や吐口など付帯部の控除範囲を整理する
築堤天端の排水溝には、集水桝、縦排水路、排水管、吐口、保護コンクリート、止水壁などが接続する場合があります。排水溝本体だけを計算すると、付帯部による材料置換を見落とす可能性があります。
集水桝は排水溝本体より幅や深さが大きく、基礎材の範囲も広いことがあります。排水溝の一定断面を全延長へ掛けた後で集水桝外形を全量加えると、桝設置区間の排水溝相当分を二重に計上します。
整理方法の一つは、排水溝本体の延長から集水桝の設置長を除き、桝を別構造として計算することです。別の方法として、排水溝本体を連続計算した後、集水桝外形と排水溝外形の差分だけを追加する方法があります。どちらを採用しても、計算書に重複調整方法を記載します。
排水溝と縦排水路の接続部では、底版や側壁が重なり、標準断面と異なる形状になることがあります。二つの外形体積を単純に足すと重複します。接続詳細図を確認し、重なる領域をどちらか一方へ含めるか、差し引きます。
吐口付近では、排水管、保護コンクリート、洗掘防止部などが築堤内外へまたがることがあります。築堤盛土の基準断面に含まれている部分だけが盛土との重複対象です。既設地盤内や法面外へ張り出す部分まで盛土から控除しないようにします。
築堤内部を横断する排水管については、管の内空、管本体、基礎材、保護材、埋戻し材を区分します。適用する数量算出要領の横断構造物に該当 するか、断面積条件を満たすか、裏込め材を別計上するかを確認します。
蓋付き排水溝では、蓋も盛土材ではありませんが、排水溝外形を一括して材料置換範囲としている場合は、その中に含まれます。外形一括方式と部材加算方式を混在させると二重計上になります。
排水溝の起終点では、閉塞端、斜めすり付け、既設水路接続などにより断面が変化します。端部を一定断面のまま延長すると過大または過小になります。くさび形や台形として近似する場合は、どの寸法から体積を求めたかを残します。
天端に舗装や管理用通路がある場合は、排水溝周囲の路盤、舗装止め、肩部補強と盛土の境界も確認します。舗装数量の計算ですでに盛土から区分した範囲を、排水溝計算でも再度差し引くと二重控除になります。
付帯部の数量は、排水溝本体、集水桝、接続部、排水管、吐口、基礎材などに分け、最後に重複範囲を調整して集計します。複雑な全体形状を一式で計算するより、構成要素ごとに根拠を残した方が設計変更へ対応しやすくなります。
確認6 計算結果を横断図と数量集計で照合する
計算後は、詳細値だけでなく概算値、図面、工種別集計を使って照合します。排水溝分は盛土全体に対して小さく見えることがありますが、延長が長ければ数量差が大きくなるため、検算を省略できません。
最初に、排水溝等を考慮する前の盛土体積と、考慮後の盛土体積との差を確認します。この差が、計算した控除候補体積や適用基準上の控除量と一致するかを確認します。差が一致しない場合は、別工種の控除が混在しているか、表計算の参照範囲が誤っている可能性があります。
次に、平均的な断面積へ全延長を掛けた概算値と比較します。断面変化があるため完全一致はしませんが、詳細値と桁違いになる場合は、単位、延長、断面積、左右の数量、重複区間を見直します。
図面寸法がミリメートルで示されている場合は、メートルへ換算してから体積を求めます。断面積は平方メートル、延長はメートル、体積は立方メートルで統一します。計算書の列見出しと数式欄に単位を明記すると、換算ミスを発見しやすくなります。
平均断面法では、起点断面、終点断面、区間延長、区間番号を対応させます。同じ区間を二度加算していないか、断面変更点を飛ばしていないか、集水桝区間を本体延長から除いたかを確認します。
排水溝が設置されない区間を一律に控除していないかも確認します。平面図上の起終点、左右の設置範囲、集水桝位置、吐口位置を数量計算表へ転記し、延長根拠を明確にします。
左右両側に排水溝がある場合も、単純に二倍しない方が安全です。左右で設置延長、断面、縦断勾配、桝の数が異なることがあります。左右別に計算し、形状と延長が同じと確認できる場合だけ合算します。
築堤本体と排水溝で測点体系が異なる場合は、中心線測点をそのまま排水溝延長へ使用しないようにします。曲線部では、築堤法線と排水溝配置線の延長差が生じる可能性があります。
数量集計表には、基準盛土量、適用基準上の控除量、参考の材料置換量、集水桝等の付帯部、基礎材、埋戻し、床掘を区分して表示します。設計数量、施工計画数量、出来形数量は別表または別列にし、数値の意味を混在させません。
設計数量は計画図と適用基準に基づく数量です。施工計画数量は施工順序、余盛り、床掘、再利用などを考慮した数量です。出来形数量は完成後の計測結果に基づく数量です。三者が一致しない場合は、どの条件差によるものかを説明できるようにします。
最終的な計算書には、適用した数量算出要領、発注者名、図面番号と版、計算基準日、控除範囲の定義、断面寸法、対象延長、区間分割位置を記録します。別の担当者が同じ図面から再計算できる状態を目標にします。
盛土の体積計算方法で起こりやすい間違い
最も注意したい間違いは、排水溝があるという理由だけで、その外形体積を設計盛土数量から自動的に控除することです。数量算出要領には控除対象や断面積条件が定められる場合があり、築堤天端の縦断排水溝が一律に対象になるとは限りません。
反対に、物理的な完成土量や材料収支を求める場面で、内空体積だけを除くことも誤差の原因です。側壁、底版、基礎材が盛土と置き換わるなら、内空だけでは材料置換範囲を表せません。
施工時の床掘幅全体を完成盛土から除く間違いもあります。作業余裕部分が埋め戻されるなら、完成後には土または埋戻し材が存在します。完成形の材料境界と施工中の掘削線を分けます。
排水溝本体と集水桝の重複控除も起こりやすい間違いです。本体を全延長で計算し、桝外形を全量追加すると、桝区間の本体相当分が重なります。本体延長から桝長を除くか、差分だけを加えます。
基礎材と構造物外形を重複して計算するケースもあります。外形一括方式を使う場合は、どこまでを外形に含めたかを確認します。部材別方式を使う場合は、各領域が重ならないように分割します。
標準断面を全区間へ一律適用することも誤差につながります。幅、深さ、基礎厚、縦断勾配が変わる位置では区間を分けます。端部、落差部、接続部は標準断面と別に扱います。
左右の排水溝を単純に二倍すること、築堤中心線延長を曲線部の排水溝へそのまま使うこと、ミリメートルとメートルを混在させることも典型的な確認漏れです。
さらに、締固め後の完成体積と運搬時の緩んだ体積を同じとみなすと、搬入計画がずれます。完成盛土数量、床掘数量、埋戻し数量、運搬土量を目的別に区分し、適用する換算条件を明記します。
現地計測を取り入れて計算精度を高める方法
設計段階の盛土量は計画図から求めますが、施工後の出来形を確認する場合は現地計測が必要です。築堤天端や排水溝周辺は、施工誤差、沈下、仕上げ整形、現場変更によって設計形状と完全には一致しないことがあります。
横断測量では、天端、法肩、法尻、排水溝上端、排水溝底などを測点ごとに計測し、断面積を求めます。計算根拠を整理しやすい一方、測点間 の局所的な変化を捉えにくい場合があります。
高密度な三次元計測を利用すれば、天端、法面、排水溝、集水桝周辺の形状を面的に記録できます。計画面と出来形面を比較することで、盛土の不足や過剰、排水溝周辺の仕上がり、縦横断勾配を確認しやすくなります。
ただし、完成表面の点群だけでは、排水溝の底版下面、基礎材、埋設部分の外形を直接確認できません。材料置換体積を求める場合は、構造図、施工記録、設置前計測を併用します。
蓋付き排水溝では、完成後に内空や底面を計測できないことがあります。蓋を設置する前に底高、側壁位置、構造物外幅、基礎範囲を記録しておくと、後の出来形確認に利用できます。
排水溝内に水、泥、植生、資材がある場合、取得点が構造面を表していない可能性があります。計測前に状態を確認し、不要点を除去するか、計測不能範囲として記録します。
三次元データから体積を求める場合は、比較する二つの面またはソリッドの意味を明確にします。施工前地盤と完成面の差を求めるのか、設計面と出来形面の差を求めるのか、構造物外形との重複を求めるのかで結果の意味が変わります。
座標系、基準点、標高基準も統一します。設計データと出来形データの位置合わせがずれていると、実際の施工差ではなく座標変換誤差が体積差として現れます。
計測結果は三次元表示だけで判断せず、代表横断面と縦断面で確認します。排水溝の幅、深さ、天端との段差、底勾配は、断面表示の方が異常を見つけやすい場合があります。
現地計測は、適用基準上の設計数量を自動的に置き換えるものではありません。出来形数量の算出方法や提出形式は契約図書と施工管理基準に従います。計測精度、点密度、欠測範囲、使用機器、処理方法を記録し、再現性を確保します。
まとめ
築堤天端の排水溝分を盛土の体積へ反映するときは、排水溝の幅、深さ、延長だけを掛けて機械的に差し引かないことが重要です。
最初に、物理的な完成土量、数量算出要領に基づく設計数量、施工中に扱う土量のどれを求めるのかを明確にします。公共工事の設計数量では、適用する数量算出要領や設計図書に控除対象と条件が示されるため、完成後に土が存在しないという理由だけで自動控除しないようにします。
材料置換量を確認する場合は、基準盛土断面と排水溝本体、基礎材、集水桝などが重なる範囲を求めます。排水溝全体が盛土断面外へ張り出す場合は、重複部分だけを対象にします。
内空、側壁、底版、基礎材、埋戻し、床掘は別の数量です。外形一括方式と部材別方式を混在させず、施工時の掘削幅を完成形の控除範囲として扱わないようにします。
排水溝の深さや幅が縦断方向に変化する場合は、変化点で区間を分け、平均断面法や三次元モデルで計算します。集水桝、接続部、排水管、吐口では重複計上を確認します。
計算後は、概算値、単位、左右の配置、実延長、控除前後の差を照合します。適用基準、図面の版、控除範囲の定義、区間分割位置を数量計算書へ残せば、設計変更や第三者確認にも対応しやすくなります。
盛土の体積計算方法で大切なのは、複雑な式を使うことではなく、数量の目的、適用基準、完成形の材料境界、施工順序を一貫させることです。排水溝分を除くかどうかを先に断定せず、発注図書と数量算出要領を確認したうえで、必要な数量を目的別に算出してください 。
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