目次
• 病室のベッドヘッドユニットで高さ確認が重要な理由
• 図面AR重ね合わせを始める前に準備する情報
• 確認点1 基準高さと仕上げ床レベルを合わせる
• 確認点2 ベッドと患者の位置から操作性を確認する
• 確認点3 医療ガスや電気設備との取り合いを確認する
• 確認点4 壁下地と取付金物の位置を確認する
• 確認点5 カーテンや家具との干渉を確認する
• 図面AR重ね合わせによる現場確認の進め方
• 高さ確認で起こりやすい失敗と対策
• 確認結果を記録して関係者へ共有する方法
• まとめ
病室のベッドヘッドユニットで高さ確認が重要な理由
病室のベッドヘッドユニットは、患者が横になるベッドの頭側に設置され、電源、照明、通信、呼出し設備、医療ガスなどの機能をまとめる重要な設備です。一般的な室内設備と異なり、患者、看護職員、医師、臨床工学関係者、清掃担当者など、立場の異なる多くの人が日常的に使用します。そのため、取付高さが少し変わるだけでも、操作性、安全性、医療機器の配置、清掃性に影響する可能性があります。
設計図にはベッドヘッドユニットの取付高さが示されていても、現場では仕上げ床の高さ、壁下地の位置、天井高さ、設備配管、ベッドの実際の寸法など、複数の条件を考慮しなければなりません。平面図や展開図を個別に見ているだけでは、ユニットとベッド、点滴スタンド、床頭台、カーテン、医療機器の関係を直感的に把握しにくいことがあります。
そこで役立つのが、図面AR重ね合わせによる現場確認です。図面や設計モデルの情報を実際の壁面に重ねて表示することで、完成後の位置関係を施工前にイメージしやすくなります。壁下地だけ が見えている段階でも、ユニットの外形、中心位置、取付高さ、周辺設備との距離を現場空間の中で確認できます。
ただし、図面AR重ね合わせは、設計図書や実測作業に代わるものではありません。表示位置は端末の姿勢、基準点の設定、周囲の環境、重ね合わせ方法などによって変動する場合があります。AR画面だけを見て取付位置を確定するのではなく、承認図、施工図、展開図、設備図、現場実測値と照合しながら使うことが重要です。
ベッドヘッドユニットの高さ確認では、単に図面に記載された数値を壁へ表示するだけでは不十分です。どの高さを基準にしているのか、患者や医療従事者が使いやすい位置か、周辺設備と干渉しないか、壁へ確実に固定できるかまで確認して、初めて施工判断に活用できます。
図面AR重ね合わせを始める前に準備する情報
現場で図面AR重ね合わせを行う前に、使用する図面が最新 であることを確認します。病院工事では、建築、電気、給排水、空調、医療ガス、通信、医療機器、家具などの図面が個別に更新されることがあります。古い展開図や調整前の施工図を重ねてしまうと、AR表示が正確であっても、確認の前提となる設計情報が誤っている可能性があります。
最初に確認したいのは、ベッドヘッドユニットの承認図や製作図です。ユニット全体の外形寸法だけでなく、取付基準線、壁固定部、機器取付部、電源や配管の接続位置、点検に必要な範囲を把握します。図面に記載された高さが、ユニット下端、上端、中心、取付金物、コンセント中心などのどこを示しているかも明確にしなければなりません。
次に、病室の建築図と設備図をそろえます。平面図だけでは高さ方向を確認できないため、展開図、断面図、天井伏図、壁下地図も必要です。床頭台や収納家具が設置される場合は家具図を、カーテンや吊り設備がある場合は関連する取付図も確認します。医療機器の配置計画が決まっている場合は、機器の寸法やケーブル接続方向も確認対象になります。
仕上げ床レベルの情報も欠かせません。躯体床面や床下地の状態で確認する場合、完成時の床仕上げ面との高さ差を補正する必要があります。二重床、床シート、床材、床見切りなどの構成によって、工事途中の床面と完成床面が一致しないことがあります。図面AR重ね合わせの基準を現在の床面に設定すると、完成時の高さとずれるおそれがあります。
AR表示を安定させるための基準位置も準備します。通り芯、壁芯、柱面、出入口の開口、床に示された基準墨、壁の基準線など、図面と現場の双方で確認できる位置を選びます。基準点が一つだけでは回転方向のずれを見逃しやすいため、可能であれば離れた複数の位置を使って方向と縮尺を確認します。
病室が複数ある場合は、同じタイプの部屋でも左右反転、個室、多床室、感染対策用病室などの違いに注意が必要です。似た室名や同じ階の部屋であっても、ベッドの向き、入口の位置、設備構成が異なる場合があります。ARに読み込む図面と、確認対象の室番号、ベッド番号、壁面方向を現場で照合してから作業を始めます。
確認点1 基準高さと仕上げ床レベルを合わせる
第一の確認点は、ベッドヘッドユニットの高さを測る基準と、現場の仕上げ床レベルを一致させることです。高さ寸法が正しく記載されていても、基準にする床面を誤れば、ユニット全体が上下にずれてしまいます。
図面では通常、仕上げ床面からユニットの下端、中心、上端などまでの寸法が示されます。しかし、施工途中の現場では床仕上げが未施工であり、コンクリート面や床下地が露出していることがあります。この状態で現在の床面を高さゼロとしてAR表示を合わせると、完成後の床仕上げ厚さに相当する分だけ位置が変わります。
まず、建築図や仕上表から床の構成を確認し、現場に示された基準レベルとの関係を整理します。床面に基準墨がある場合は、その墨が仕上げ床基準なのか、躯体基準なのかを確認します。判断できない場合は、現場管理者や建築担当者と照合し、基準の意味を統一しておく必要があります。
図面AR重ね合わせでは、仕上げ床面に相当する仮想の水平面を設定し、その面からユニットの取付高さを表示します。AR画面上でユニットの外形が適切に見えても、実際のスケールや高さが合っているかを確かめるため、レーザーによる高さ確認や巻尺による実測を併用します。
特に注意したいのは、廊下と病室で床仕上げが異なる場合や、病室内に床勾配がある場合です。入口付近の床を基準にして奥側の壁を確認すると、床面の条件によっては高さの見え方が変わることがあります。ベッドヘッドユニット直下における完成床レベルを基準として判断することが大切です。
ユニットの高さを確認する際は、一つの寸法だけでなく、下端、上端、主要な操作部の中心高さをそれぞれ確認します。外形の下端が図面どおりでも、ユニット内部の機器配置が変更されている場合があります。呼出しボタン、照明操作部、電源、医療ガス接続部などの中心位置を承認図と照合すると、完成後の使い勝手をより具体的に検討できます。
また、壁の見切り材や幅木との納まりも確認します。ユニット下端が幅木や保護材に近い場合、取付金物や配線の取り回しに影響する可能性があります。ARで外形を表示した状態で、仕上げ材の範囲を重ねて確認すれば、図面上では気づきにくい上下方向の納まりを見つけやすくなります。
確認点2 ベッドと患者の位置から操作性を確認する
第二の確認点は、ベッドの実際の配置を想定し、患者や医療従事者にとって操作しやすい高さになっているかを確認することです。設計寸法だけを見て判断するのではなく、ベッドの高さ、頭部の位置、背上げ時の姿勢、床頭台の位置などを現場空間の中で確認します。
病室用ベッドは、看護や処置のために高さが変わることがあります。背上げ機能を使用したときは、患者の上半身や頭部の位置も変化します。そのため、ベッドを最も低くした状態だけでユニットとの関係を確認すると、実際の使用時に操作部が見えにくくなったり、手が届きにくくなったりする可能性があります。
図面AR重ね合わせでは、ベッドの外形や基準位置も同時に表示すると判断しやすくなります。ベッド中心線、頭側端部、壁からの離れ、マットレス上面の想定高さを現場に重ね、患者の頭部や肩の位置をイメージします。実物のベッドが搬入されている場合は、所定位置に仮置きして確認する方法が有効です。
呼出し設備や照明操作部については、患者が横になった状態や上体を起こした状態で操作できるかを確認します。ただし、患者の身体条件や治療内容は一定ではありません。ARによる確認だけで利用可能性を断定せず、病院側の運用条件、設計基準、ユニバーサルデザイン上の検討結果と照合することが必要です。
看護職員が使用する機器接続部についても、立った状態での操作性を確認します。接続部が低すぎると、確認や着脱の際にかがむ動作が増える場合があります。一方で、高すぎる位置に設置すると、チューブやコードの取り回しが長くなり、ベッド周辺が煩雑になる可能性がありま す。
ユニットの表示灯や機器状態を確認する部分が、患者の頭部や枕、医療機器に隠れないかも確認します。平面図ではベッドと壁の離れを確認できても、枕や背上げ部の高さまでは直感的に把握しにくいものです。AR表示を患者目線、看護職員目線、入口側からの目線など複数の方向から見ることで、死角になりやすい位置を発見できます。
ベッドの位置は、施工図どおりに設置されるとは限りません。清掃、処置、移乗、機器配置などのために、一時的に前後左右へ動かされることがあります。通常位置だけでなく、想定される移動範囲も考慮し、ユニットや接続機器に無理な力がかからない配置になっているか確認します。
多床室では、隣接するベッドとの関係も重要です。各ベッド用のユニットが同じ高さに並んでいても、柱型、窓、カーテン、収納などの条件によって見え方や使いやすさが異なります。代表的な一床だけを確認して全室へ展開するのではなく、条件の異なる場所を選んでAR確認を行うことが望まれます。
確認点3 医療ガスや電気設備との取り合いを確認する
第三の確認点は、ベッドヘッドユニットに接続される医療ガス、電気、通信、呼出し、照明などの設備との取り合いです。ベッドヘッドユニットは複数の設備を一体的に納めるため、高さの変更が一つの設備だけで完結しないことがあります。
医療ガス配管は、壁内や天井内からユニットへ接続されます。ユニットの高さが変更されると、配管の立下り位置、接続長さ、点検性、他の配管との離れに影響する場合があります。電気配線や通信配線についても、接続箱、配管、ケーブルの曲げや引込み方向を確認しなければなりません。
図面AR重ね合わせでは、ユニット外形だけでなく、壁内の配管やボックス位置を表示すると効果的です。壁が仕上がる前であれば、配管端部やボックスがユニットの接続範囲内に収まっているかを視覚的に確認できます。接続位置が外形内 に入っていても、内部の仕切りや取付金物と重なることがあるため、承認図の内部構成と合わせて判断します。
電源や通信のボックス位置は、ユニットの取付高さに合わせて先行施工されることがあります。ユニットの承認が遅れた場合や製作図が更新された場合、先行して設置したボックスと最新の接続位置が合わなくなる可能性があります。AR表示に使用するデータは、建築施工図だけでなく、最終承認されたユニット図面に基づく必要があります。
照明がユニットに組み込まれている場合は、患者の目線との関係も確認します。照明の位置や角度によっては、患者が横になったときにまぶしさを感じる可能性があります。また、読書や処置に必要な範囲へ光が届くかどうかは、高さだけでなく照明の向きやベッド位置にも左右されます。ARで照明器具の位置を確認しながら、必要に応じて照明計画や病院側の運用条件と照合します。
医療機器の電源コードや通信ケーブルが、患者の頭部周辺を横切らないかも確認します。接続部の高さ が適切でも、コードの出口方向や床頭台との位置関係によっては、取り回しが複雑になる場合があります。ユニットから機器設置位置までの経路をAR画面上でたどり、清掃やベッド移動を妨げないか検討します。
設備同士の干渉確認では、図面上の中心線だけでなく、施工に必要な作業空間も考慮します。接続作業、試験、点検、交換を行うためには、工具や作業者の手が入る範囲が必要です。完成時に外から見えない部分であっても、施工段階で無理なく接続できるかを確認しておくことで、壁を閉じた後の手戻りを防ぎやすくなります。
さらに、防火区画や遮音性能が求められる壁では、配管や配線の貫通処理にも注意が必要です。ユニットの高さ変更によって新たな貫通が必要になる場合は、壁の要求性能や認定された処理方法に適合するかを関係者と確認します。図面AR重ね合わせは貫通位置の把握には役立ちますが、必要な処理方法の適否まで自動的に判断できるものではありません。
確認点4 壁 下地と取付金物の位置を確認する
第四の確認点は、ベッドヘッドユニットを支持する壁下地と取付金物の位置です。ユニットの見た目の高さが正しくても、固定位置に十分な下地がなければ、安全かつ確実に取り付けることができません。
ベッドヘッドユニットは、外形寸法だけでなく、機器、配線、配管などを含めた重量を壁へ支持させます。使用中に接続部の着脱や清掃が行われるため、固定部には繰り返し力が加わる可能性があります。取付方法や必要な下地は、製作図や施工要領に基づいて確認する必要があります。
図面AR重ね合わせを使うと、ユニットの取付穴や支持金物の位置を、壁下地が見えている段階で重ねて確認できます。軽量下地、補強板、鉄骨下地、コンクリート壁など、壁の構成に応じて固定方法は異なります。AR画面上で固定部が下地から外れていないかを確認し、実際の寸法を測って記録します。
特に注意したいのは、 ユニットの外形中心と取付金物の中心が一致しない場合です。見た目では壁の中央に配置されていても、固定部が片側へ寄っている製品構成や納まりも考えられます。ユニット外形だけをAR表示するのではなく、取付穴、支持レール、配管接続部など施工に必要な線をデータへ含めることが重要です。
下地補強が図面どおりに施工されているかも現場で確認します。壁下地図に補強範囲が示されていても、設備ボックスや配管との干渉により、現場で位置が調整されることがあります。調整内容が図面へ反映されていないと、AR表示と実物の下地が一致しません。壁を閉じる前に、下地位置を実測し、必要に応じて施工図を更新します。
ユニットを複数の支持点で固定する場合は、壁面の平滑性にも注意が必要です。壁下地の不陸や仕上げ厚さの違いによって、取付後にユニットが傾いたり、壁との間に隙間が生じたりする可能性があります。ARでは設計上の平面を表示できますが、壁面の細かな不陸までは把握できないことがあります。定規や測定機器を使って実際の壁面状態を確認します。
壁内に補強や設備を追加する必要がある場合は、隣接する配管や配線との干渉を確認してから施工します。補強材を追加した結果、配線経路が狭くなったり、点検口から接続部へ手が届かなくなったりすることがあります。建築と設備を分けて判断せず、ユニットの取付高さを基準に壁内全体の納まりを検討します。
取付金物の施工後は、金物上端や中心線を現場に表示し、ユニット外形のAR表示と照合します。この段階で高さ、水平、左右位置を確認すれば、ユニット本体を搬入してからの修正を減らせます。固定前には、AR表示だけでなく、墨、実測値、承認図を使って最終確認を行います。
確認点5 カーテンや家具との干渉を確認する
第五の確認点は、病室内に設置されるカーテン、床頭台、収納家具、窓、手すり、保護材、医療機器などとの干渉です。ベッドヘッドユニット単体では適切な高さであっても、周辺要素との組み合わせによって使いにくくなる場合があります。
病室では、ベッド間や入口側に間仕切り用カーテンが設けられることがあります。カーテンの端部、たたみ代、操作ひも、吊り位置がユニットや接続機器へ重ならないか確認します。多床室では、カーテンを開閉した際にユニットの操作部が隠れたり、コードへ引っ掛かったりしないかを見る必要があります。
床頭台や収納家具がユニットの下に配置される場合は、家具の高さとユニット下端の間隔を確認します。図面上で隙間が確保されていても、家具の天板上に機器や備品が置かれると、電源や呼出し設備の操作を妨げることがあります。ARで家具の外形を表示し、扉や引出しを開けた状態まで想定すると、実際の運用に近い確認ができます。
壁面に手すりや保護材が設置される場合も注意が必要です。ユニット下端と保護材上端が近いと、見切りや清掃の納まりが複雑になることがあります。壁の仕上げ材がユニット背面まで連続するのか、ユニット周囲で見切るのかによって施工手順も変わります。AR表示で仕上げ範囲を確認し、施工順序を整理します。
窓や柱型に近いベッドでは、ユニットの高さだけでなく左右位置にも制約が生じます。窓台、カーテンボックス、ブラインド操作部、柱の出幅などがユニットや接続コードへ影響する可能性があります。標準病室の納まりをそのまま展開せず、端部の病室や特殊な壁面を個別に確認することが大切です。
壁掛け型の医療機器やモニターが併設される場合は、機器本体だけでなく、可動アームの動作範囲を確認します。収納時には干渉しなくても、機器を引き出したり向きを変えたりした際に、照明やカーテン、ユニット上端へ接触することがあります。図面AR重ね合わせでは、可動範囲を複数の位置で表示し、通常使用時と収納時の両方を確認します。
清掃性の視点も必要です。ユニットと家具の間隔が狭すぎると、ほこりがたまりやすく、清掃用具が入りにくくなる場合があります。壁面に凹凸や狭い隙間が増えると、日常清掃の負担につながります。病院側の清掃方法や感染対策方針を確認し、施工精度だけでなく維持管理のしやすさも検討します。
周辺設備との干渉確認では、完成状態の図面だけを見るのではなく、搬入経路や取付作業の順序も考慮します。大型の家具や機器を先に設置すると、ユニットの接続作業や点検が難しくなることがあります。施工段階ごとの状態をARで確認し、どの設備を先に取り付けるかを関係者間で共有すると、現場作業を進めやすくなります。
図面AR重ね合わせによる現場確認の進め方
病室で図面AR重ね合わせを行う際は、最初に対象室と図面の対応を確認します。室番号、階、方位、ベッド番号、壁面の向きを照合し、左右反転した別タイプの図面を誤って読み込んでいないか確かめます。
次に、現場の基準墨や通り芯を使って位置を合わせます。壁の一部だけを基準にすると、離れた場所でずれが大きくなることがあります。入口、柱、壁端部など複数の特徴点を確認し、平面位置と回転方向を調整します。高さ方向は、仕上げ床基準または現場で共有された高さ 基準線に合わせます。
位置合わせが完了したら、ベッドヘッドユニットの外形を壁面へ表示します。正面から見るだけでなく、左右斜め、ベッド側、入口側など複数の方向から確認します。見る方向を変えたときに表示が大きくずれる場合は、基準設定や端末の位置認識が安定していない可能性があります。
AR表示を使って最初に行うのは、全体位置の確認です。ベッド中心、壁中心、柱型、窓、家具との関係を見ます。その後、ユニット下端、上端、操作部、接続部、固定部などの詳細へ進みます。最初から細かな位置だけを見ていると、ユニット全体が左右や上下へずれていることを見逃しやすくなります。
現場で不整合が見つかった場合は、その場で施工位置を変更せず、どの図面同士に差があるのかを整理します。建築展開図、設備施工図、承認図、壁下地図の更新日や改訂番号を確認し、最新情報を特定します。AR上のずれが図面間の不整合によるものか、位置合わせ誤差によるものか、現場施工のずれによるものかを切り分けま す。
確認が終わった後は、巻尺や測定機器を使って主要寸法を実測します。仕上げ床基準からユニット下端、中心、上端までの寸法、ベッド中心からの左右距離、壁端部からの距離などを記録します。ARで問題がないように見えても、数値による確認を省略しないことが重要です。
同じタイプの病室が多数ある場合は、代表室で確認した後、各室の基準位置と下地条件を確認します。すべての室が完全に同じ条件とは限りません。柱、配管、窓、設備シャフト、壁厚などの違いがあるため、標準室、端部室、左右反転室、特殊用途室を分けて確認する方法が実務的です。
高さ確認で起こりやすい失敗と対策
図面AR重ね合わせで起こりやすい失敗の一つは、床基準の取り違えです。施工途中の床面を完成床とみなして位置を合わせると、仕上げ後に高さが変わります。対策として、現場で使う基準高さを事前に明文 化し、AR表示、墨出し、実測のすべてで同じ基準を使用します。
二つ目は、ユニットの基準点の取り違えです。図面の高さ寸法が下端を示しているのか、中心を示しているのかを確認せずに重ねると、一定量のずれが生じます。承認図に基準点を明示し、ARデータにも同じ基準線や名称を表示しておくと誤認を防ぎやすくなります。
三つ目は、古い図面を使用することです。病院工事では設備調整によって位置が変更されることがあります。ファイル名だけでは最新版を判別しにくいため、改訂番号、発行日、承認状態を確認します。現場で使用できる図面を一つの場所に集約し、更新時の周知方法を決めておくことも重要です。
四つ目は、AR表示の見た目だけで施工可否を判断することです。端末画面では正しく見えても、位置合わせ誤差や表示の揺れが含まれる場合があります。重要な取付位置は実測し、墨や基準線として現場へ残します。特に固定穴、配管接続部、設備ボックスの位置は、数値で確認する必要があります。
五つ目は、ベッドや家具を仮想的に配置せず、ユニット単体だけで確認することです。病室では複数の設備が限られた壁面へ集まります。ユニットだけでは問題がなくても、床頭台、カーテン、医療機器を配置すると操作部が隠れることがあります。可能な範囲で周辺設備の外形も重ねて確認します。
六つ目は、代表室の結果を無条件で全室へ適用することです。同じ病室タイプでも、施工誤差や壁内設備の違いがあります。代表室では詳細確認を行い、他の室でも基準高さ、左右位置、下地、接続部など重要項目を確認する運用が必要です。
七つ目は、AR確認を施工直前に行うことです。壁が仕上がった後に問題が見つかると、下地や配管の修正が大きな手戻りになります。壁下地施工時、設備配管施工時、壁仕上げ前、ユニット取付前など、工程の節目で段階的に確認すると修正しやすくなります。
確認結果を記録して関係者へ共有する方法
図面AR重ね合わせの効果を高めるには、現場で見た結果を記録し、関係者が同じ判断根拠を確認できる状態にすることが重要です。口頭だけで共有すると、どの壁面のどの高さを指しているのかが曖昧になりやすく、修正内容が正しく伝わらない可能性があります。
記録には、確認日、建物名、階、室番号、ベッド番号、壁面方向、使用図面の改訂情報を含めます。さらに、仕上げ床からの高さ、壁端部からの距離、ベッド中心との関係、確認した下地位置などを数値で残します。
AR画面の記録を残す場合は、ユニット外形と現場の基準線が同時に見える構図にします。拡大しすぎると室内のどの場所か分からなくなるため、室番号や入口、柱、窓など位置を特定できる要素も含めます。詳細部については、全景とは別に接続部や固定部が分かる記録を残します。
不整合がある場合は、画面上の見え方だけでなく、設計値、現場実測値、差の大きさ、想定される原因を記載します。たとえば、仕上げ床基準からの設計高さと現場のボックス中心高さを並べて示すと、修正の必要性を判断しやすくなります。
修正方針を記録するときは、誰が、どの図面を、どの時点で更新するかを明確にします。現場で下地を修正しても、施工図や承認図へ反映されなければ、後続工程で古い位置へ戻される可能性があります。図面更新、現場修正、再確認までを一連の作業として管理します。
病院側の担当者や設計者と確認する場合は、技術図面だけでなく、完成後の使用状況が分かる形で説明します。患者が横になったときの位置、看護職員が操作するときの姿勢、機器や家具を置いた状態などをARで示すことで、高さ変更による影響を共有しやすくなります。
再確認時には、前回の記録と同じ基準点、同じ図面、同じ確認項目を使います。修正後の見た目だけを確認するのではな く、実測値が承認された位置に収まっているかを確認します。記録方法を統一することで、複数の担当者が作業しても判断のばらつきを抑えられます。
まとめ
病室のベッドヘッドユニットは、患者の療養環境と医療従事者の作業環境に直結する設備です。取付高さを確認するときは、図面に記載された一つの寸法だけでなく、仕上げ床基準、ベッドと患者の位置、医療ガスや電気設備、壁下地、家具やカーテンとの関係を総合的に確認する必要があります。
図面AR重ね合わせを活用すると、完成後のユニット位置を現場空間の中で確認できるため、平面図や展開図だけでは見つけにくい干渉や使いにくさを施工前に発見しやすくなります。特に、壁を閉じる前に配管、ボックス、補強下地とユニットを重ねて確認することで、大きな手戻りの予防につながります。
一方で、AR表示には位置合わせや端末認識による 誤差が含まれる場合があります。AR画面だけで取付位置を確定せず、最新の承認図、施工図、現場の基準墨、実測値と照合することが欠かせません。確認結果は室番号や図面改訂情報とともに記録し、建築、設備、病院側の関係者が同じ情報を共有できる状態にします。
現場で図面AR重ね合わせを継続的に活用するには、図面データの準備から位置合わせ、記録、共有までを無理なく行える環境が重要です。スマートフォンを使った現場確認や図面重ね合わせの方法を具体的に検討するときは、次の情報収集先としてPhoneのページを確認すると、施工前確認を日常業務へ取り入れるための検討を進めやすくなります。
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