造成工事や道路工事、河川工事、宅地開発などでは、伐採や除根、表土のすき取りに伴い、根株、細根、枝葉、腐植質を含む表土などが土砂と混在した材料が発生することがあります。こうした伐根混じり土を通常の掘削土と区別せずに扱うと、場内で再利用する土量、場外へ搬出する土量、根株類を選別した数量の関係が分からなくなり、土量管理にずれが生じるおそれがあります。
特に注意したいのは、見た目では一つの土山に見えても、その中に土砂と根株類が混在し、材料の状態や利用可能性が均一ではないことです。掘削直後に区分せず、そのまま積込み、仮置き、運搬を進めると、後から発生場所や数量を復元することが難しくなります。運搬台数だけを記録しても、土砂主体の積載なのか、根株を多く含む見掛けの積載なのかを判別できず、設計数量との比較にも注意が必要です。
現場で土量管理を安定させるためには、伐根混じり土を一括して残土として扱うのではなく、発生場所、混在状態、処理工程、最終的な行き先を関連付けて記録します。また、地山、掘削後のほぐした状態、仮置き状態、締め固めた状態など、どの状態の体積を記録しているのかを明確にすることも重要です。本記事では、伐根混じり土を別計上するための4つのルールを、日々の施工管理に取り入れやすい形で解説します。
目次
• 現場で土量管理をするときに伐根混じり土を分ける理由
• ルール1 発生位置と作業区分を基準に数量を分ける
• ルール2 土砂と根株類の混在状態を記録する
• ルール3 仮置きから搬出まで数量を連続して管理する
• ルール4 設計数量との差異を施工記録で説明する
• 伐根混じり土の計測方法を現場条件に合わせて選ぶ
• 別計上を形骸化させない日々の管理方法
• 伐根混じり土の土量管理で起こりやすい失敗
• 土量管理の記録を工事全体の改善につなげる
• まとめ
現場で土量管理をするときに伐根混じり土を分ける理由
伐根混じり土を分ける第一の理由は、通常の掘削土とは見掛けの体積や材料の均一性が異なるためです。根株や枝葉を含む材料は、土砂だけの材料に比べて空隙が生じやすく、積み込んだときの見掛けの体積が大きくなる場合があります。同じ荷台を使用しても、土砂主体の場合と大きな根株を含む場合とでは、積載された土砂分の量が一致するとは限りません。
根株がかさばることで荷台の上部まで材料が達していても、土砂分が少ない場合があります。反対に、細根や腐植質を多く含む湿った材料では、見掛けの体積や重量だけから再利用可能な土砂量を判断できないことがあります。そのため、運搬車両の台数に一律の換算値を掛けるだけでは、発生量や搬出量との間に差が生じる可能性があります。
第二の理由は、利用先に応じて求められる材料条件が異なるためです。通常の掘削土であっても、土質、含水状態、有機物や異物の有無、締固め特性などを確認し、設計図書で定める要求品質を満たさなければ、予定した盛土や埋戻しに利用できるとは限りません。根株、枝葉などを多く含む土については、有機物の分解や空隙の残存が沈下などにつながるおそれがあるため、利用場所や品質基準に応じた確認が必要です。
どこまで選別すれば利用できるか、どの用途に使用できるかは、工事ごとの設計図書、施工計画、品質管理基準、発注者との協議内容などによって異なります。根株を取り除いたという理由だけで、あらゆる盛土や埋戻しに使用できると判断しないことが重要です。
第三の理由は、選別、積替え、仮置き、運搬などの追加工程が発生しやすいためです。伐根混じり土を混合状態で仮置きし、その後に土砂と根株類を分ける場合には、選別前の数量と選別後の各数量を区別して記録する必要があります。
ただし、選別前後では空隙や土山の締まり方が変化するため、選別前の見掛け体積と、選別後の土砂および根株類の見掛け体積の合計が完全に 一致するとは限りません。数量を比較するときは、それぞれが地山量、ほぐし土量、仮置き状態の体積、重量のいずれであるかをそろえます。
第四の理由は、設計数量との差異を説明する必要があるためです。設計段階では、伐採面積、想定するすき取り厚、樹木の本数などを基に数量が設定されることがあります。しかし、実際の発生量は、樹木の密度、根の広がり、地形、土質、過去の土地利用などによって変わる可能性があります。
現地で想定以上の根株や腐植質を含む層が確認された場合には、その位置や状態を施工中に記録しておかなければ、数量差の原因を後から示すことが難しくなります。一方、現場で数量を分けて記録したことだけをもって、契約上の追加計上や設計変更が認められるとは限りません。認定方法や協議手順は、設計図書や契約条件に従って確認する必要があります。
現場で土量管理を行う実務担当者は、掘削した材料の総量だけでなく、何が含まれ、どの工程を通り、最終的にどこへ移動したのかを把握しま す。伐根混じり土の別計上は、数量を細かく見せるためだけの作業ではありません。再利用量、搬出量、選別量、仮置き残量を整理し、工程や材料計画、関係者との協議に利用するための管理です。
ルール1 発生位置と作業区分を基準に数量を分ける
伐根混じり土を別計上する最初のルールは、発生位置と作業区分を明確にすることです。数量の記録を始める前に、どの範囲から発生した材料なのかを区別できるようにします。
現場全体の伐根混じり土を一つの数量としてまとめると、数量が増減した場所や原因を後から確認しにくくなります。例えば、平坦部と法面部、林地と旧宅地、道路予定地と調整池予定地では、樹木の密度や根の張り方、表土の状態が異なることがあります。発生場所を区画ごとに分けておけば、設計数量と実績数量の差がどの範囲で生じたのかを追跡しやすくなります。
区画の分け方は、施工 区域、測点、工区、ブロック、伐採範囲、造成段階など、現場ですでに使っている管理単位に合わせると運用しやすくなります。土量管理専用の複雑な区画を新たに設けるより、施工計画図や測量記録と共通の名称を使ったほうが、写真、日報、運搬記録との照合が容易です。
発生位置だけでなく、作業区分も分けます。伐採、除根、表土すき取り、床掘り、整地などを連続して施工すると、どの作業によって発生した材料なのかが曖昧になりやすいためです。特に、表土すき取り土と、根株を除去するために局所的に掘削した土を同じ土山に置くと、設計上の数量区分と現場の記録が対応しなくなる可能性があります。
作業区分を明確にするには、施工前に伐根混じり土の扱いを作業員や重機オペレーターへ共有します。掘削後に管理担当者が分類しようとしても、すでに複数の材料が混ざっていれば、元の状態を復元することは困難です。どの範囲の材料をどの仮置き場所へ運ぶのか、根株を発生場所で分けるのか、混合状態で一時保管するのかを、作業開始前に決めておきます。
数量を区分する際には、施工前の地盤面と施工後の地盤面も記録します。伐根によって局所的に深い穴が生じた場合、一定のすき取り厚だけで計算すると、実際の掘削範囲を捉えられないことがあります。根の張り方によっては、想定より深い位置まで掘削しなければ根株を除去できない場合もあります。
一方で、伐根後の穴に周囲の土が崩れ込んだり、整地のために別の場所から土を移動したりすると、施工前後の地盤差だけでは、伐根混じり土として移動した数量を整理しにくい場合があります。その場合は、作業途中の地盤、仮置き土の数量、埋戻しに使用した土の移動記録などで補足します。
施工前後の差分から求めた地山状態の数量と、仮置き場で計測したほぐし状態の数量を直接比較する場合には、体積状態の違いに注意が必要です。工事で定められた土量変化の考え方がある場合はそれに従い、伐根や有機物の混在によって一般的な換算条件を適用しにくい場合は、関係者と算定方法を確認します。
発生位置を記録するときは、写真だけに頼らないことも大切です。写真は現場の状態を伝えるうえで有効ですが、撮影方向や対象範囲が分からなければ数量資料として利用しにくくなります。区画名、測点、撮影日、撮影方向、作業内容を写真と関連付けることで、数量記録を確認しやすくなります。
ルール1の目的は、伐根混じり土が発生した原因と場所を特定できる状態にすることです。数量が計測されていても、どこから発生したか分からなければ、設計数量との比較や追加作業の説明には利用しにくくなります。発生位置と作業区分を最初に固定することで、その後の計測、仮置き、運搬、協議を一つの流れとして管理できます。
ルール2 土砂と根株類の混在状態を記録する
二つ目のルールは、土砂と根株類の混在状態を記録することです。伐根混じり土は、すべてが同じ性状ではありません。大きな根株が中心の材料、細根が多い表土、枝葉が混じった土、腐植質を多く含む表土など、発生場所や作業方法によって内容が変わります。
混在状態を確認せず、すべてを同じ換算方法で数量化すると、土砂分と根株類の双方に誤差が生じる可能性があります。大きな根株が多い材料は空隙が増えやすく、土山や荷台の外形から求めた体積に対して、土砂分が少なくなる場合があります。細根や腐植質を含む材料は、外見が土砂に近くても、使用場所によっては選別や材料確認が必要です。
現場での分類は、過度に細かくする必要はありません。重要なのは、施工や取扱いの違いを反映でき、担当者が変わっても同じ基準で比較できることです。例えば、根株主体、土砂主体で根が点在、細根や腐植質を含む表土など、仮置き方法や選別方法の違いに結び付く区分を設けます。
区分の名称と判断の目安は現場内で統一します。根株の本数だけで区分するのか、土砂との混在程度を記録するのか、利用予定の有無を加えるのかを決め、日報や仮置き表示にも同じ名称を使用します。
混在状態は、可能な範囲で発生直後に確認します。仮置き中に重機で押したり、積み替えたり、雨を受けたりすると、外観、含水状態、体積が変化します。また、大きな根株だけを先に取り除いた場合には、当初の混合状態が分からなくなります。施工時点で写真を撮影し、区画名と数量記録に関連付けておけば、選別前後の違いを確認できます。
土砂と根株類の割合を記録する場合は、目視だけで厳密な体積比や重量比を断定しないことが重要です。根株の形状は不規則で、根の間や表面に土砂が付着しているため、目視だけで正確に分けることは困難です。現場では混在状態を示す目安として記録し、契約数量や出来高数量の算定方法については、設計図書や協議内容に合わせます。
より詳しく把握する必要がある場合は、代表的な材料を一定量選別し、選別前の状態と、選別後の土砂、根株類の状態を比較する方法があります。こうした確認は、仮置き面積や選別工程を検討する参考になります。

