建設現場で土量管理を行うとき、仮設道路の路盤下から発生するすき取り土は、発生場所や状態が変わりやすく、一括管理では数量差の原因を追いにくい土です。表土、軟弱な部分、既設地盤の一部、伐開除根に伴う根や木片が混じった土、降雨で高含水となった土などが近接した範囲から発生することがあります。さらに、掘削前の地山土量、掘削・積込み後のほぐし土量、仮置き後の実測量、盛土や埋戻しで締め固めた後の土量は、同じ土でも状態と数値の意味が異なります。
国土交通省の施工パッケージ型積算基準でも、土量は「地山の土量」「ほぐした土量」「締固め後の土量」の3状態に区分され、相互に比較するときは土質に応じた土量変化率を用いる考え方が示されています。したがって、車両台数、測量値、仮置き量、完成盛土量を同じ状態の数量として単純合算しないことが重要です。([国土交通省][1])
区分が曖昧なまま日報や搬出記録だけを積み上げると、図面数量と実績の差を説明できない、再利用候補土と搬出候補土が混ざる、仮置き場の実測残量と帳簿残量が合わない、出来高や原価の確認に時間がかかるといった問題が起こりやすくなります。精度を上げるには、測量回数だけを増やすのではなく、どの土を、どの状態の数量で、どこへ移動したかを一貫して追える運用が必要です。
本記事では、仮設道路路盤下のすき取り土を実務上分けるための4点を解説します。工事担当者、施工管理担当者、測量担当者、品質管理担当者、原価管理担当者が共通の基準で扱えるよう、発生場所、土質と含水状態、再利用可否と行き先、測定時点と数量根拠の順に整理します。なお、実際の判定は設計図書、共通・特記仕様書、施工計画、発注者との協議、適用法令および自治体条例を優先してください。
目次
• 現場で土量管理が難しくなる理由
• 仮設道路路盤下のすき取り土を分ける目的
• 1点目 発生場所と施工目的で区分する
• 2点目 土質と含水状態で区分する
• 3点目 再利用可否と行き先で区分する
• 4点目 測定時点と数量根拠をそろえる
• 実務で使える土量管理の進め方
• よくある失敗と防止策
• まとめ
現場で土量管理が難しくなる理由
現場で土量管理が難しくなる大きな理由の一つは、土が均一な材料ではなく、掘削、積込み、運搬、仮置き、敷均し、締固めの各段階で体積と施工性が変わることです。図面上のすき取り厚が一定でも、実際の地盤には凹凸があり、有機物の混入深さ、軟弱層の厚さ、湧水や降雨の影響も場所によって異なります。施工前地盤と計画掘削面から求めた数量、施工前後の実測差から求めた数量、運搬車両の実績から推定した数量は、算定条件が異なるため一致しない場合があります。
たとえば、地山状態で算定した土は、掘削するとほぐれ、運搬時の見掛け体積が増えることがあります。仮置き中には自重、排水、乾燥、降雨、積替えなどによって形状や密度が変わり、再利用先で締め固めると別の体積になります。どの状態を記録した数量かを明記しなければ、差が施工量の変化によるものか、換算条件によるものか判断できません。
仮設道路は、施工中の動線、重機配置、待避所、旋回部、排水処理、工程変更に応じて実施工範囲が変わることもあります。軟弱箇所だけ追加ですき取る、降雨後に乱れた部分を再整形・追加除去する、既設接続部を拡幅するといった変更が生じた場合、変更範囲を数量計算書や出来形資料に反映しなければ、最終集計で計画との差が大きく見えます。
管理対象の境界が曖昧になりやすい点にも注意が必要です。仮設道路のすき取り土、構造物掘削土、排水溝掘削土、法面整形土、表土、木くずや廃材が同じ場所に混在すると、後から数量と法的な取扱いを分けることが難しくなります。通常の土砂と、木くず・廃材等の建設廃棄物、建設汚泥、汚染土壌は同じ扱いではありません。環境省の指針でも、土砂と建設廃棄物は区別され、建設混合廃棄物を含む廃棄物は排出事業者の責任で適正に処理する考え方が示されています。([環境省][2])

