現場で土量管理を行う際、掘削土をふるい分けた後に残る礫混じり土を、原土や細粒側と分けて管理・計上すべきか迷うことがあります。発生土を再利用する工事、場外搬出を伴う工事、盛土材の品質確認が必要な工事では、同じ掘削箇所から生じた材料でも、選別後の性状や用途によって管理区分が変わり得ます。
ただし、礫が混じっていることや、ふるい分けを実施したことだけで、追加の出来高や契約金額が認められるとは限りません。判断の前提となるのは、適用される契約書・設計図書・仕様書、発注機関の基準、当初の施工条件、実際の処理方法、数量の測定方法、受発注者間の書面記録です。
本記事では、「現場で土量管理」と検索している施工管理担当者、工事担当者、積算担当者を想定し、ふるい分け後の礫混じり土を別計上する際に確認したい5つの判断を解説します。ここでいう「礫混じり土」は現場での管理上の呼称であり、必ずしも契約上または土質分類上の正式名称ではありません。
なお、以下は一般的な土量管理の考え方です。個別工事では、最新の契約書、設計図書、共通・特記仕様書、発注者の運用基準および協議結果を優先してください。
目次
• 現場で土量管理を行うときに最初に整理す ること
• ふるい分け後の礫混じり土を別計上する基本原則
• 判断1 設計図書と契約上の数量区分が分かれているか
• 判断2 粒度と性状によって用途や処理方法が変わるか
• 判断3 ふるい分けによる追加工程が実際に発生しているか
• 判断4 仮置きと測量を物理的に分離できているか
• 判断5 発注者との事前協議と書面記録があるか
• 別計上を実務に落とし込む土量管理の手順
• 別計上が認められにくい現場の共通点
• 日報・写真・測量記録で数量根 拠を強くする方法
• まとめ
現場で土量管理を行うときに最初に整理すること
土量管理を始める際は、まず「何の数量を、どの状態で、何の目的のために測るのか」を明確にします。掘削前の地山数量、掘削後のほぐした数量、運搬数量、仮置き数量、締固め後の完成数量は、同じ材料を対象としていても基準状態が異なります。
国土交通省の施工パッケージ型積算基準では、対象となる土工の土量を地山土量で表示し、必要に応じて、ほぐした状態や締固め後の状態へ換算する考え方が示されています。したがって、異なる状態の数量を比較するときは、基準状態と換算条件を明記しなければなりません。([国土交通省][1])
ふるい分けを行う場合は、管理対象がさらに増えます。少なくとも、ふるい 投入前の原土、ふるいを通過した細粒側、ふるい上に残った礫側、除去した異物、再利用量、場外搬出量を区別します。原土量を掘削数量として管理したうえで、細粒側と礫側を再び同じ意味の発生数量として加算すると、同一材料の二重計上になります。
一方で、原土の掘削数量と、選別後材料の配分数量を併記すること自体は、材料収支の確認に役立ちます。重要なのは、各数量の目的を分けることです。掘削出来高を示す数量なのか、材料の行き先を示す内訳なのか、ふるい分けや再運搬の作業量なのかを帳票上で識別します。
別計上の目的も先に決めます。社内の工程・原価管理、出来高確認、設計変更の協議資料、再利用計画、搬出先への実績確認では、必要な証拠と精度が異なります。契約上の精算に用いる可能性がある場合は、測量成果、写真、日報、運搬記録、試験結果、指示・協議記録を第三者が追跡できる形で残します。
また、「礫混じり土」という名称だけでは区分を確定できません。粒径構成、細粒分の付着、含水状 態、異物の有無、再利用先の品質条件、処理方法を確認し、工事ごとの管理区分を定義します。帳票には名称だけでなく、ふるいの目開き、対象区画、利用先または搬出先も記録しておくと、後の確認がしやすくなります。
ふるい分け後の礫混じり土を別計上する基本原則
ふるい分け後の材料を別計上する基本原則は、「契約または施工管理上、他の材料・作業と区別する理由があり、その範囲と数量を独立して確認できること」です。単に礫が多い、扱いにくい、ふるいを通したという事情だけでは、契約上の追加数量を確定する根拠にはなりません。
別計上には、主に二つの意味があります。一つは材料の内訳管理です。細粒側を盛土材に再利用し、礫側を別用途へ回す、または場外へ搬出する場合などが該当します。もう一つは作業量の管理です。ふるい分け、積替え、場内運搬、仮置き、再積込み、場外運搬といった工程を、掘削とは別の作業として把握します。
材料の内訳を分ける必要があっても、その作業費が当初契約に含まれている場合があります。反対に、材料区分が大きく変わらなくても、設計図書に示された条件と現場条件が一致せず、追加作業が必要になった場合は、設計変更の協議対象になり得ます。国土交通省関東地方整備局の設計変更ガイドラインでも、設計図書の条件と実際の現場が一致しない場合などに、必要に応じて設計図書や請負代金、工期を変更する考え方が示されています。
したがって、「礫側が何立方メートル出たか」だけでなく、「その数量を何の項目として扱うのか」を明確にします。選別後材料の内訳なのか、処分数量なのか、追加工程の施工数量なのかによって、根拠資料と計上方法が変わります。
原土の収支も確認します。ふるい分け前の原土に対して、細粒側、礫側、異物、付着分、測定誤差などを整理し、数量のつながりを説明できる状態にします。体積管理では、ふるい分け前後の空隙や締まり具合が変わるため、数値が単純には一致しません。重量を併用する場合も、含水状態や付着土の影響を記録します。
別計上の可能性があると分かったら、施工後にまとめて推定するのではなく、条件判明時から分別管理を始めます。契約上の扱いが未確定でも、原土と選別後材料を混ぜず、測定可能な状態を保つことが重要です。ただし、分別して記録したことと、追加の契約数量として認められることは別問題です。
判断1 設計図書と契約上の数量区分が分かれているか
最初の判断は、設計図書や契約条件で、対象となる材料または作業が別区分として扱われているかどうかです。現場で丁寧に選別していても、契約上の数量区分が一つにまとめられている場合、選別後の礫側を直ちに別の出来高として加算できるとは限りません。
確認する資料は、工事内訳書や数量計算書だけではありません。契約書、図面、共通仕様書、特記仕様書、現場説明書、質問回答書、施工条件明示、発生土の利用・搬出条件、当初施工計画、指示書、協議記録などを横断して確認します。発注機関や工事種別によって文書の名称と 優先順位が異なるため、当該工事の契約関係書類に従います。
たとえば、設計では掘削土を再利用する想定でも、実際には大粒径の礫や異物が多く、予定した利用先の条件を満たせないことがあります。この場合に整理すべきなのは、ふるい分けが当初から施工条件に含まれていたのか、受注者が任意の施工方法として選んだのか、設計時に予見されていなかった現場条件によって必要になったのかという点です。
当初から選別や粒度調整が必要なことが明示され、その費用が既存項目に含まれる契約であれば、作業を実施しただけで追加計上できるとは限りません。一方、設計図書に示された土質・粒度・異物混入などの条件と現地が異なり、追加設備、仮置き、積替え、運搬、処理が必要になった場合は、契約手続に沿って確認・協議する余地があります。
ここで、「掘削土」「発生土」「礫混じり土」といった名称が一致しているかだけで判断してはいけません。名称が同じでも、想定された最大粒径、細粒分、含水状態、施工性、再 利用可否が異なることがあります。現地条件との差を示すには、掘削位置、地層、写真、粒度や性状の確認結果、利用先の要求条件を対応させます。
別計上を協議する場合は、既存項目でどこまで処理する契約なのか、何が当初条件から増えたのか、どの数量をどの方法で確認するのかを整理します。「礫が出たので別計上したい」という説明ではなく、「当初想定との差」「必要となった追加作業」「対象範囲」「測定方法」を一続きで示すことが重要です。
設計図書の表示が不明確な場合や現場条件との差が疑われる場合は、現場だけで契約上の扱いを確定せず、適用される手続に従って書面で確認します。施工継続が必要なときも、独自判断で精算方法を決めるのではなく、暫定的な分別・記録方法と作業範囲を共有します。
判断2 粒度と性状によって用途や処理方法が変わるか
二つ目の判断は、ふるい分け後の礫側が、原土や細粒側と比べて異なる用途、施工方法、品質管理、運搬先または処理先になるかどうかです。見た目の差ではなく、実際の取り扱いが変わるかを確認します。
細粒側を盛土材や埋戻し材として利用し、礫側は利用先の最大粒径などの条件を満たさないため別用途へ回す場合は、材料内訳を分けて管理する合理性があります。反対に、細粒側と礫側を同じ場所で同じ基準により使用できるなら、契約上の材料数量を分ける必要性は低い場合があります。ただし、施工性や材料収支を把握するための社内管理として分けることは有効です。
用途の判定では、粒径だけでなく、含水状態、細粒分、粘性、コーン指数などの施工性に関する指標、異物、土質材料の分類、利用先の要求性能を確認します。国土交通省の発生土利用基準は、発生土を建設資材として利用する場合、コーン指数と土質材料の工学的分類を指標とし、用途は土質区分を踏まえて個別事例に応じて判断する考え方を示しています。別用途の基準が定められている場合は、その基準が優先されます。([国土交通省][2])
大粒径の材料が多いと、敷均し厚、締固め機械、構造物や埋設物との離隔など、施工方法に影響することがあります。ただし、「大きな石があるから使えない」と一律に判断するのではなく、設計図書や利用箇所ごとの品質条件と照合します。必要に応じて、発注者または品質管理担当者と試験項目や判定方法を確認します。
ふるいの目開きを途中で変更すると、同じ「礫側」という名称でも粒度構成が変わります。目開き、変更日、変更理由、対象区画を記録し、変更前後の数量を分けます。再投入を行った場合も、材料の最終数量と設備への延べ投入量を区別します。
礫の混入割合は、地層、深さ、区画によって変動します。現場全体の平均値だけでは、特定層から多く発生したことを説明しにくいため、掘削区画や地層単位で原土の状態と選別後数量をつなげます。地層境界や代表的な粒径が分かる写真には、撮影位置と対象区画を付けます。
品質試験を行う場合は、試料の代表性にも注意します。採取日、採取位置、対象区画、ふるい条件、試料状態を記録し、一つの試験結果を根拠なく現場全体へ適用しないようにします。土質が変化する現場では、区画や層ごとに確認頻度を見直します。
場外搬出する場合は、受入先の条件、関係法令、契約上の搬出先指定を確認します。現場で「礫側」と呼んでいても、受入先での品目・品質区分が同じとは限りません。現場名称、土質区分、契約上の項目、受入先の区分を混同せず、それぞれの記録を対応させます。
判断3 ふるい分けによる追加工程が実際に発生しているか
三つ目の判断は、ふるい分けによって、当初の施工条件または施工計画と異なる工程が実際に発生しているかどうかです。材料の内訳だけでなく、追加作業の範囲と必要性を確認します。
ふるい分けには、原土の集積、選別場所までの場内運搬、設備への投入、選別、細粒側と礫側の分別、仮置き、再積込み、利用先または搬出先への運搬などが伴います。土の含水状態によっては、付着土の除去、乾燥待ち、再投入、設備清掃が必要になることもあります。
ただし、工程が増えたという事実だけで、契約上の追加費用が確定するわけではありません。受注者の任意の施工方法として選別したのか、設計図書の品質条件を満たすために当初から必要だったのか、現場条件の相違や発注者の指示により追加されたのかを区別します。
追加工程を説明するには、当初計画と実施内容を比較します。当初の機械配置、運搬経路、仮置き計画、処理方法、想定土質に対し、条件判明後に何を変更したのかを記録します。利用先の最大粒径条件など、ふるい分けが必要となった直接の理由も示します。
数量化するときは、原土量をすべての作業量の代用にしないことが大切です。選別設備への投入量、通過量、ふるい上残留量、再投入量、積替え量、運搬量は一致しないことがあります。再投入があると、設備への延べ投入量 は原土量を上回りますが、それを材料の発生量として扱うことはできません。
そのため、材料数量と作業数量を分けて記録します。材料数量では、最終的に細粒側、礫側、異物がどれだけ生じ、どこへ移動したかを管理します。作業数量では、設備稼働時間、投入回数、運搬回数、積替え回数、再投入の有無などを管理します。
工程への影響も具体的に残します。処理能力の低下、設備停止、仮置き場所不足、運搬経路変更、他工種との干渉があった場合は、発生日、対象区画、原因、対応、影響時間を日報へ記載します。「時間がかかった」という結果だけでなく、何が原因でどの工程が変わったかを明らかにします。
追加作業を協議する場合は、実施前の書面確認が基本です。緊急対応などで事前確認が難しい場合でも、契約上の通知・協議手続に沿って速やかに状況を報告し、作業範囲と記録方法を確認します。
判断4 仮置きと測量を物理的に分離できているか
四つ目の判断は、ふるい分け後の礫側を他の材料と混ざらない状態で仮置きし、独立した数量として測定できるかどうかです。区分の合理性があっても、数量を再現できなければ、精算資料としての信頼性は下がります。
仮置き場所では、原土、細粒側、礫側、異物を明確に区分します。区画表示、管理番号、投入先、対象掘削区画を統一し、機械走行や追加投入で境界が失われないようにします。仮置き場所を移す場合は、移動前の数量と移動先を記録します。
測定方法には、掘削前後の地形差、仮置き山の測量、車両の積載記録、計量設備の重量記録などがあります。どの方法でも、測定対象の状態、対象期間、底面、境界、使用機器、算定条件を明確にします。複数方法を組み合わせる場合は、主たる数量根拠と照合用記録を区別します。
仮置き山を体積測量する場合は、底面の把握が重要です。凹凸のある地盤や既存土の上に積むと、基盤面の推定誤差が大きくなります。可能であれば、仮置き前に基盤面を測量し、追加投入前後で形状を記録します。
測量時期もそろえます。選別直後の緩い状態、降雨後、機械走行後、長期仮置き後では体積が変化します。細粒側と礫側は空隙や含水状態が異なるため、同じ換算係数を根拠なく一律に適用しません。換算が必要な場合は、適用する契約基準または現場試験の根拠を記録します。
車両台数による管理は、日々の進捗把握には便利ですが、一台当たりの体積を固定すると積載のばらつきが反映されません。正式な数量根拠に用いる場合は、対象車両、荷台寸法、積載状態、実測方法、写真、計量記録などを組み合わせ、換算条件を明確にします。
重量管理では、含水状態、付着土、表面水の影響を考慮します。重量から体積へ換算する場合は、使用した単位体積重量がどの材料 ・含水状態を対象にした値かを記録します。便宜的な固定値を説明なしに適用しないことが大切です。
測量数量、運搬数量、設備記録、材料収支は相互に照合します。完全一致を前提にするのではなく、差の原因を説明できるようにします。差が大きい場合は、二重計上、記録漏れ、状態の違い、測量範囲、再投入の扱いを点検します。
物理的分離と基盤面の記録は、施工後に再現しにくい情報です。別計上の可能性が判明した時点で、仮置き区画、測量時期、立会いの要否、写真の撮り方を決め、材料を混ぜる前に管理を始めます。
判断5 発注者との事前協議と書面記録があるか
五つ目の判断は、ふるい分け後の材料区分、作業範囲、測定方法について、発注者・監督職員等との確認が行われ、適用される契約手続に沿った書面記録があるかどうかです。公共工事と民間工事、発注機関ごとに手続や文書名は異なるため、当該契約の定めを優先します。
現場では、口頭で「分けておいてください」「数量を測ってください」と伝えられることがあります。しかし、口頭だけでは、分別の目的、精算対象、測定方法、対象範囲、立会い条件が不明確になりやすいため、指示・協議・承諾など所定の書面へ反映させます。
国土交通省関東地方整備局の設計変更ガイドラインでは、契約変更前に作業を行わせる場合の指示を書面で行う運用が示されています。これは全国すべての工事に同一形式で適用されるという意味ではありませんが、事前に変更内容と手続を明確にする重要性を確認できます。
協議では、まず現地状況を示します。どの掘削範囲で、どのような粒径・性状・異物が確認され、設計図書や当初想定と何が異なるのかを、写真、位置図、試験結果などで説明します。次に、そのまま施工した場合の品質、利用、運搬、受入れ上の問題を整理します。
そのうえで、処理方法を共有します。ふるいの条件、選別場所、仮置き区分、細粒側と礫側の行き先、異物の扱い、再投入の扱い、測量方法、写真記録、報告頻度を確認します。別計上を協議する場合は、材料内訳として管理するのか、追加作業の施工数量として扱うのかも区別します。
特に重要なのが、数量の測定時点と立会いです。仮置き山を搬出した後では、現物を確認できません。一定量ごと、搬出前、月末など、測定時点を決めます。立会いが必要な場合は、工程に支障が出ないように早めに連絡します。
協議記録には、決定事項だけでなく保留事項も残します。ふるい分けを先行する一方で契約上の扱いは継続協議とする場合は、先行作業の範囲、暫定の記録方法、精算を確約するものではないことなど、双方の認識を明確にします。
現場条件や処理方法が変わったときは、当初の協議を自動的に拡張しません。礫の割合が大き く変わった、目開きを変更した、仮置き場所や搬出先を変えた、対象区画が増えた場合は、変更内容を再度確認します。
書面があっても、記録方法に従っていなければ数量根拠は弱くなります。協議で決めた区画、測定方法、立会い、報告頻度と、実際の日報・写真・測量成果を対応させることが必要です。
別計上を実務に落とし込む土量管理の手順
ふるい分け後の礫混じり土を別管理する可能性がある場合は、現場確認から数量確定までの流れを統一します。
最初に、掘削前の対象範囲を設定します。施工区画、測点、深さ、地層、掘削予定数量を確認し、図面上で管理番号を付けます。区画が大きすぎると、礫の多い層と少ない層が混在し、発生原因を追跡しにくくなります。
掘削開始後は、原土の状態を記録します。掘削面の全景、礫や異物が分かる近景、地層境界、位置が分かる周辺状況を撮影します。粒径を示す必要がある場合は、スケールなど寸法を確認できる基準物を写します。
次に、契約条件と当初計画との差を確認します。ふるい分けが既契約の施工条件か、任意の施工方法か、現場条件の相違や指示による追加作業かを整理し、必要な通知・協議を行います。この段階で、契約上の扱いが未確定でも分別管理を開始します。
ふるい分け条件はできるだけ固定します。対象原土、目開き、投入方法、再投入、異物除去を定め、条件を変更した場合は変更時点で数量を区切ります。設備への延べ投入量と最終材料数量は別欄で管理します。
選別後は、細粒側、礫側、異物を所定の場所に仮置きします。各仮置き区画に管理番号を付け、どの掘削区画から発生したかを記録します。複数区画の材料を合流させる場合は、合流前の数量または内 訳を確認します。
数量は、事前に確認した方法で測定します。仮置き測量では基盤面と堆積面、車両記録では車両・積込区分・搬出先・回数、重量記録では材料区分・計測時刻・含水状態を対応させます。
集計時は、原土量、細粒側数量、礫側数量、異物数量、再利用数量、搬出数量を一つの収支として確認します。基準状態が異なる数量を単純に足し引きせず、換算条件を明示します。差が大きい場合は、再投入、付着分、測定時期、混入、記録漏れを確認します。
日々の記録では、掘削区画、選別条件、仮置き場所、測量、利用先・搬出先を同じ管理番号でつなげます。月末にまとめて復元するのではなく、施工当日または記憶が明確なうちに記録を完成させます。
最終的な数量確認では、設計図書、指示・協議記録、測量成果、写真、日報、運搬記録、試験結果、材料収支を同じ対象範囲で照合します。選別後数量を追加出来高として扱えるかは、記録の有無だけでなく、契約上の項目と正式な協議結果によって判断されます。
別計上が認められにくい現場の共通点
別計上が認められにくい典型は、施工後に初めて申し出るケースです。礫側を搬出し、細粒側を利用し、仮置き場所も撤去した後では、数量や状態を第三者が確認できません。写真があっても、位置、対象期間、底面、測定条件が不明なら数量の再現性は低くなります。
原土、細粒側、礫側が混在している場合も、数量区分の信頼性が下がります。区画を分けず、機械走行で材料を押し混ぜていると、後から境界を推定するしかありません。推定値は社内の概算には使えても、契約上の精算根拠として採用されない可能性があります。
名称だけを根拠にすることも避けます。「礫混じり 土」「選別土」「石分」という呼称があっても、粒径、細粒分、目開き、用途が定義されていなければ、同じ材料区分であることを説明できません。
数量の二重計上も問題です。原土全量を掘削出来高として計上し、さらに細粒側と礫側を同じ意味の土量として加算すると、同一材料を重ねて数えることになります。材料内訳と追加作業量を分け、どの契約項目に対応する数量かを明示します。
測定方法が期間中に混在している現場も注意が必要です。前半は車両台数、後半は仮置き測量、一部は目測という状態では、全体数量の一貫性を説明しにくくなります。方法を変更した場合は、変更日で数量を区切り、各方法の算定条件と精度を記録します。
写真の枚数が多くても、対象が分からなければ根拠になりません。近景だけで位置が不明、全景だけで粒径が不明、日付や管理番号がない、同じ山を複数方向から撮影して別数量のように整理しているといった状態を避けます。
当初計画との差を説明できない場合も、追加工程の根拠は弱くなります。ふるい分けが必要だったとしても、もともと契約に含まれる作業か、施工者の任意選択か、現場条件の相違で追加されたものかを示せなければ、契約上の判断ができません。
協議記録と現場運用が一致していないケースもあります。搬出前に測量すると確認したのに搬出後の台数で推定している、指定した仮置き区画と異なる場所に積んでいる、目開きを無断で変更している場合は、合意した方法による数量とは説明しにくくなります。
日報・写真・測量記録で数量根拠を強くする方法
数量根拠を強くするには、一つの資料に頼らず、日報、写真、測量成果、運搬記録、試験結果、指示・協議記録を同じ管理単位で結び付けます。
日報には、「ふるい分け実施」だけでなく、対象区画、作業時間、原土の状態、ふるい条件、仮置き区画、設備稼働時間、再投入、概算数量、利用・搬出状況を記載します。停止や処理能力低下があった場合は、原因と影響時間を残します。
写真は、施工前、掘削中、原土確認、選別状況、選別後材料、仮置き完了、測量時、搬出時の流れが分かるように撮影します。定点写真を併用すると、仮置き量や施工範囲の変化を比較しやすくなります。写真番号を日報や測量記録に記載します。
測量記録には、測量日、測量範囲、基準点、基盤面、対象材料の状態、使用機器、算定方法を残します。仮置き山の境界が分かる写真や平面図も保存し、複数の山が近接する場合は管理番号を付けます。
運搬記録では、積込場所、材料区分、運搬先、車両、回数、計測値を記録します。細粒側と礫側を同じ車両で運ぶ場合でも、積込みごとに区分します。場内利用と場外搬出が混在する場合も、行き先を分けます。
材料収支は、日単位、区画単位、月単位で確認します。日単位では記録漏れ、区画単位では地層との関係、月単位では出来高・利用量・搬出量との整合を確認できます。差異を見つけたら、記憶が新しいうちに原因を確認します。
体積換算を行う場合は、地山、ほぐし、仮置き、締固めのどの状態を基準にしたかを帳票へ明記します。換算係数の出典または試験根拠を残し、異なる状態の数量を説明なく合算しません。
異常値も記録します。降雨後の重量増加、仮置き山の沈下、ふるい条件の変更、再投入の増加、異物の集中は、数量差を説明する情報です。数値を整えるために除外するのではなく、除外・補正が必要なら理由と方法を明記します。
提出資料は、最初に対象範囲と計上の考え方を示し、次に当初条件との差、必要となった作業、数量算定、材料収 支、写真、日報、指示・協議記録を対応させます。資料を大量に並べるより、「なぜ分けたか」「何を測ったか」「どの契約項目と関係するか」が追える構成にします。
まとめ
現場で土量管理を行う際、ふるい分け後の礫混じり土を別計上するかどうかは、礫が含まれていることだけでは決まりません。設計図書と契約上の区分、選別後の用途・処理方法、追加工程、物理的な分離と測定、受発注者間の書面確認という5つの観点を組み合わせます。
一つ目は、契約書、設計図書、仕様書、施工条件明示などで、材料と作業がどのように扱われているかを確認することです。当初条件に含まれる作業か、現場条件の相違などにより追加された作業かを整理します。
二つ目は、選別後材料の用途、品質基準、施工方法、利用先、搬出先が変わるかを確認することです。現場名称や見た目ではなく、工事ごとの基準と 測定結果に基づいて区分します。
三つ目は、ふるい分け、積替え、場内運搬、仮置き、再積込みなどの工程が、なぜ、どの範囲で追加されたかを確認することです。材料の最終数量と設備への延べ投入量を混同しません。
四つ目は、原土、細粒側、礫側、異物を物理的に分け、独立した数量として測定できる状態をつくることです。基盤面、測定時期、含水状態、換算条件を記録し、複数の資料で照合します。
五つ目は、処理方法と測定方法を事前に確認し、契約手続に沿って書面へ残すことです。口頭の依頼だけで精算対象を判断せず、対象範囲、作業項目、測定時点、立会い、保留事項を明確にします。
別計上の可能性がある場合は、契約上の結論が出るまで記録を待つのではなく、条件判明時から分別、写真、測量、日報を始めます。ただし、記録を分けたこと自体が追加出来高の確約になるわけではありません。
材料を混ぜた後、搬出した後、施工完了後では、正確な数量を再現できないことがあります。土量管理は数量計算だけではなく、施工前の区画設定、現場での分別、測定、記録、契約手続を一体で行う業務です。公開前・施工前の確認では、個別工事に適用される最新の契約書類と発注者の運用基準を必ず確認してください。
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