道路反射鏡の更新や移設では、支柱や鏡面だけでなく、地中のコンクリート基礎を撤去するための掘削が必要になることがあります。このとき現場担当者が迷いやすいのが、基礎周囲から発生した土を、場外搬出量や契約上の「処分量」にどこまで含めるかという判断です。
最初に押さえたいのは、一般的な 土砂である建設発生土と、撤去したコンクリート塊では、法令上の位置付けや必要書類が異なることです。国土交通省は、建設工事から場外へ搬出される通常の土砂を「建設発生土」とし、廃棄物処理法上の廃棄物には該当しないと整理しています。一方、工作物の除去に伴って生じたコンクリート破片は、一般に産業廃棄物の「がれき類」に当たります。したがって、土砂の場外搬出量とコンクリート塊の処理量を同じ区分や書類で管理することは避けなければなりません。([国土交通省][1])
結論として、道路反射鏡基礎の撤去に伴って土が発生しても、その全量を自動的に処分量へ計上できるわけではありません。設計図書と契約条件、実際の掘削範囲、現場内利用の可否、材料の分別状況、搬出先と受領記録、数量変更の手続きを順に確認し、契約上採用する数量を整理する必要があります。
現場で土量管理を行う実務担当者にとって重要なのは、「掘削した量」「発生した量」「再利用した量」「積み込んだ量」「搬出先が受領した量」「出来高として採用する量」を同じ数字として扱わないことです。本記事では、道路反射鏡基礎撤去土を処分量へ入れる前に確認したい4項目を軸に、数量算定、分別、写真管理、搬出記録、出来高整理までを実務の流れに沿って解説します。
目次
• 道路反射鏡基礎の撤去土で判断が分かれる理由
• 確認1 設計図書と契約条件に処分対象が含まれているか
• 確認2 実際の掘削土と再利用土を分けて把握できているか
• 確認3 搬出先と受入記録から処分実績を説明できるか
• 確認4 設計数量と実測数量の差を根拠付きで整理できるか
• コンクリート基礎と周辺土を同じ処分量にしない考え方
• 道路反射鏡基礎撤去土の数量を算定する実務手順
• 写真と記録で土量管理の信頼性を高める方法
• 現場で起こりやすい計上ミスと防止策
• 土量管理を標準化するための確認フロー
• まとめ
道路反射鏡基礎の撤去土で判断が分かれる理由
道路反射鏡の基礎撤去は小規模に見えますが、土量管理では複数の数量が同時に発生します。基礎を露出させるための地山掘削量、掘削後のほぐし土量、撤去したコンクリート基礎の量、基礎撤去後の埋戻し量、現場内で再利用する土量、場外へ搬出する余剰土量は、それぞれ意味が異なります。
例えば、基礎周囲を1.0立方メートル掘削しても、1.0立方メートルすべてが場外搬出 量になるとは限りません。掘削土の一部を撤去後の穴へ戻す場合、場外へ出る量はその分だけ減ります。反対に、設計図書で良質土や粒状材料による埋戻しが指定され、掘削土を再利用しない場合は、場外搬出量が増える可能性があります。
また、掘削前の地山体積と、掘削してほぐれた状態の体積、締め固めた後の体積は一致しません。車両の荷台で見た体積を、そのまま設計上の地山数量として扱うと、数量基準がずれるおそれがあります。受領書の参考様式でも、土質区分とともに、地山量、締固め量、ほぐし土量などの状態を明記する考え方が示されています。
重量で受入管理をする搬出先もありますが、体積から重量への換算は土質や含水状態で変わります。一般的な参考値や経験値だけで一律に換算せず、設計図書、受入先の計量方法、発注者との協議で採用した方法を優先します。
さらに、現場で「撤去土」と呼ばれているものに、コンクリート片、舗装片、路盤材、金属片、建設汚泥に該当し得る泥状物、異物混じり土などが 含まれていることがあります。通常の建設発生土と建設廃棄物が混ざった状態では、搬出先や必要書類を一律に決められません。材料の性状と行き先を分け、場外搬出の対象となる土砂だけを集計することが、現場で土量管理を始める前提です。
確認1 設計図書と契約条件に処分対象が含まれているか
最初に確認するのは、道路反射鏡基礎の撤去に伴う土砂が、設計図書や契約条件でどのように扱われているかです。実際に場外へ搬出した事実があっても、契約上の対象範囲、単位、精算方法、変更手続きを確認しないまま数量へ加えると、出来高として採用されないことがあります。
確認対象は、工事数量総括表、設計内訳、特記仕様書、共通仕様書、施工条件、図面、現場説明事項、質疑回答書、協議書、指示書、変更契約資料などです。道路反射鏡の撤去が一式計上なのか、基礎コンクリート撤去、掘削、埋戻し、建設発生土の運搬・受入れ、産業廃棄物処理が個別に計上されているのかによって、管理方法は変わります。
「一式」であっても、場外搬出費や処理費を含む契約なのか、条件変更時に別途協議する契約なのかは工事ごとに異なります。記事や過去工事の運用だけで判断せず、当該工事の契約図書を優先してください。
設計図面に基礎寸法が示されている場合、その寸法は事前数量を算定する資料になります。ただし、既設構造物では図面と現物が一致しないことがあります。過去の施工で増し打ちされている、根巻き形状が不整形である、標準図と異なる基礎が使われているなどの差異が見つかったときは、設計値だけで数量を確定せず、確認可能な段階で寸法と写真を残します。
発生土を現場内で利用する前提か、指定場所へ搬出する前提か、受注者が搬出先を確保する条件かも重要です。現場内利用が想定されている土を、受注者側の施工上の都合だけで場外へ搬出した場合、その費用や数量が当然に変更対象になるとは限りません。逆に、土質や含水状態、異物混入などから設計上必要な品質を満たさず、発注者と協議して埋戻し材を置き換える場合は、場外搬出量と搬入材料の扱いを併せて整理します。
建設発生土の搬出に関しては、資源有効利用促進法に基づく再生資源利用促進計画や、搬出先の確認、受領書、最終搬出先の確認が必要となる対象工事があります。制度の対象は工事規模などで決まるため、小規模な基礎撤去を含むすべての工事に同じ法定書類が必要と断定することはできません。対象外であっても、公共工事の仕様書、自治体の土砂条例、発注者の運用、搬出先の受入条件により記録を求められることがあります。([国土交通省][2])
設計図書に記載がない、または数量の扱いが曖昧な場合は、現場独自の判断で加算せず、数量が確認できる段階で書面協議を行います。「どの材料を対象にするか」「地山・ほぐし・重量のどの状態で測るか」「どの資料を数量根拠とするか」「変更契約の対象となるか」を明確にすると、完成時の説明が安定します。
確認2 実際の掘削土と再利用土を分けて把握できているか
二つ目の確認は、 発生した土砂のうち、実際に場外搬出の対象となる部分を分けて把握できているかです。道路反射鏡基礎の撤去では、掘削土を一時的に仮置きし、基礎撤去後に同じ穴へ戻すことがあります。この場合、掘削量と場外搬出量は一致しません。
現場で土量管理をするときは、掘削開始前の地盤、実際の掘削範囲、撤去基礎の形状、埋戻しに使った土、追加した埋戻し材、搬出した余剰土の関係を順番に整理します。基本的には、発生した掘削土から現場内利用分を区分し、土以外の材料を除いたうえで、実際に場外へ搬出した土量を把握します。
ただし、単純な差し引きだけで数量を確定できない場合があります。掘削中のこぼれや清掃回収土、基礎への付着土、雨水による含水状態の変化、仮置き中の締まり、積込み時のほぐれなどがあるためです。計算値と受領数量に差が出たときは、どちらかへ無理に合わせず、数量状態と差の理由を記録します。
再利用の可否は、土の見た目だけで決めません。設計図書で求める材料品質、締固め条件、 粒径、含水状態、異物の有無、施工幅、復旧する舗装や路肩への影響を確認します。基礎周辺は作業幅が狭く、締固め機械を使いにくいことがあります。過度に湿った土やコンクリート片が多く混じった土を安易に戻すと、締固め不足や沈下の原因になり得ます。
舗装部や路肩部では、表層・基層の舗装材、路盤材、路床土、基礎周囲の埋戻し土が層状になっている場合があります。これらを掘削時に混ぜると、再利用先と搬出区分の判断が難しくなります。撤去前に舗装材や路盤材を可能な範囲で分け、土砂と混合させない施工手順にすると、数量管理と品質管理の両方が行いやすくなります。
基礎へ付着した土も注意が必要です。付着土を含む基礎を産業廃棄物として搬出し、その全重量をコンクリート塊の処理量として記録したうえで、同じ付着土を土量にも加えると二重計上になります。付着土を現場で分けて土砂として搬出するのか、受入先が異物付きコンクリートとして受け入れるのかを事前に確認し、分別状況が分かる写真を残します。
過去の埋戻し材、廃材片、油臭や薬品臭のある土、通常と異なる色の土、泥状で自立しない掘削物などが見つかった場合は、通常の建設発生土としてそのまま搬出しません。作業計画と安全を確認したうえで、発注者、搬出先、必要に応じて所管行政機関へ確認し、土壌汚染対策法、自治体条例、廃棄物処理法などの該当性を個別に判断します。
処分量へ入れる前には、「掘削した全量」ではなく、「契約上の対象であり、現場内利用せず、材料区分と数量状態を確認したうえで、適正な搬出先へ実際に搬出した量」になっているかを確認します。
確認3 搬出先と受入記録から処分実績を説明できるか
三つ目の確認は、場外へ運んだ土砂が、どこへ、どの区分で、どれだけ受け入れられたかを資料で説明できることです。現場内の計算だけで数量を確定すると、実際の搬出量や搬出先の記録と一致しない場合があります。
まず、搬出先が受け入れられる材料と条件を確認します。通常の建設発生土、改良土、泥状物、異物混じり土、コンクリート塊では、搬出先や受入基準が異なることがあります。道路反射鏡基礎の撤去では土砂とコンクリートが近接して発生するため、積込み時の分別が不十分だと受入拒否や区分変更につながる可能性があります。
次に、受入記録の単位を確認します。体積、重量、車両台数のどれで管理されるかにより、現場側の記録方法が変わります。設計数量が立方メートルで、受入先が重量計量の場合は、契約図書や事前協議で採用した換算方法が必要です。現場担当者が任意の密度を設定して換算することは避けます。
車両の荷台容量を、そのまま実積載量とみなすのも適切ではありません。積載状態、荷姿、含水状態、車両の最大積載量などで実際の数量は変わります。車両番号、搬出日時、積載物、施工箇所、積載状況、受入日時、受入数量を対応させると、運搬回数と数量の整合を確認しやすくなります。

