目次
• 仮設構台撤去後の敷ならし土が土量管理で抜けやすい理由
• 撤去前後の基準面をそろえて数量の境界を明確にする
• 構台基礎や支持部材の撤去範囲を敷ならし範囲と分ける
• 敷ならし厚さと施工面積を区画ごとに拾う
• 流用土、搬入土、発生土の収支を分けて管理する
• 写真、測量、搬入出記録を同じ区画番号で残す
• 仮設構台撤去後の土量を日々の管理に組み込む方法
• まとめ
仮設構台撤去後の敷ならし土が土量管理で抜けやすい理由
現場で土量管理を行うときは、本体工事の掘削量や盛土量が中心になりやすく、仮設構台の撤去後に必要となる敷ならし土は集計から抜けやすい項目です。仮設構台は施工中の通路、重機の作業床、資材の搬入路、架設作業の足場などとして使われます。 供用中は構台下や支持部周辺の地盤を確認しにくいため、撤去後に初めて局部的なくぼみ、基礎撤去跡、支持部材周辺の乱れ、取付部の段差などが明らかになることがあります。
敷ならし土は、見た目には薄く広げるだけの施工に見えます。しかし、構台の平面範囲が広い場合や、撤去後地盤の高低差が大きい場合は、わずかな平均厚さの違いでも数量に影響します。さらに、深い撤去跡の埋戻しと表面の敷ならしを一つにまとめると、どの施工にどれだけの土を使ったのか分からなくなり、二重計上や拾い漏れの原因になります。
土の出所も区別が必要です。構台周辺で発生した土を再利用する場合、場内仮置き土を流用する場合、現場外から材料を搬入する場合では、記録すべき内容が異なります。完成面の体積、運搬時の見かけ体積、締固め前後の体積は同じ意味ではありません。状態の異なる数量をそのまま比較すると、実際には問題がなくても収支が合わないように見えます。
また、仮設構台撤去後の復旧が契約上の計上対象になるか、 どの項目で整理するかは、設計図書、数量計算書、特記仕様書、施工条件、設計変更や協議の結果によって異なります。現場で必要となった土を測っただけで、直ちに精算数量として認められるとは限りません。施工前または数量が確定できる段階で、対象範囲、復旧面、材料区分、計測方法、記録方法を現場の指示系統に沿って確認しておくことが重要です。
仮設構台撤去後の敷ならし土を正確に拾うには、撤去前の情報、撤去直後の現況、局部埋戻し後の面、敷ならし完了面を時系列でつなげます。単に完成面と撤去後地盤の高低差を求めるだけでは、基礎撤去跡の埋戻し、砕石撤去後の補充、路盤材、表面整形土などが混在するおそれがあります。ここでは、現場で土量管理を行う際に確認したい五つの点を整理します。
1. 撤去前後の基準面をそろえて数量の境界を明確にする
最初に明確にしたいのは、どの面からどの面までを敷ならし土として算出するかです。仮設構台の撤去後は、構台設置前の地盤へ戻す場合、造成計画面へ仕上げる場合、仮設道路や作業ヤードの引渡し面へ整える場 合、次工程に必要な作業面へ復旧する場合があります。復旧の目的が違えば完成面も変わるため、担当者の判断だけで基準高を決めると数量根拠がぶれます。
基準面を決める際は、構台設置前の現況測量、仮設計画図、施工計画書、造成計画図、周辺構造物の出来形、撤去後の復旧指示などを照合します。構台設置前の地盤高が残っていても、その後に周辺の本体工事が進み、排水計画や計画高が変わっている場合は、元の地盤へ戻すだけでは適切な復旧にならないことがあります。どの面を採用するかは、契約図書と現場条件を踏まえて確認します。
数量算出の起点は、原則として敷ならしに着手する直前の地盤が分かる状態にそろえると整理しやすくなります。ただし、基礎撤去跡の深部埋戻しを別項目で管理する場合は、深部埋戻し後の面を敷ならしの起点とします。支持材や基礎材を撤去した直後、がれきや異物を除去した後、不適な乱れ土を除去した後では地盤形状が異なるため、測量時点を写真と記録で明示します。
撤去後地盤を構台 全体の一枚の面として扱うと、局部的なくぼみが平均化されることがあります。構台中央部、取付部、端部、基礎周辺、重機の旋回部、仮設排水周辺など、地盤状態が変わる位置で区画を分けます。区画ごとに測点や断面を設定すれば、薄く広い不足と深く狭い不足を分けて把握できます。
完成面は水平とは限りません。縦断勾配、横断勾配、排水勾配、法肩や法尻の取り合いがある場所で、一つの標高だけを基準にすると必要厚さを正しく表せません。完成面を計画面として設定し、測点ごとに撤去後地盤との差を求めます。勾配変化点や段差部、すり付け端部では測点を追加し、数量に影響する形状を記録します。
測点の数は多ければよいわけではありません。平坦な部分を細かく測っても数量精度への効果が小さい一方、端部や局部沈下を測り落とすと誤差が大きくなります。地形が変わる位置、材料区分が変わる位置、施工方法が変わる位置を優先して測ることが実務的です。同じ測点を施工前後で再測できるよう、基準点、座標、区画境界、撮影方向を残します。
復旧面や計測方法に確認が必要な場合は、敷ならし後ではなく、撤去前または撤去直後に整理します。施工後は起点となる地盤が見えなくなり、数量を再現しにくくなります。平面図、代表断面、現況測量、写真を組み合わせ、どの範囲をどの面まで復旧するのかを共有しておくと、施工量と契約上の数量を区別して説明しやすくなります。
このように、最初に行うべきことは面積計算ではなく、数量の起点と終点の定義です。構台設置前の参考面、撤去後または局部埋戻し後の起点面、完成面を区別し、各面を記録した時点を明確にすることで、後の計算や協議がぶれにくくなります。
2. 構台基礎や支持部材の撤去範囲を敷ならし範囲と分ける
仮設構台の撤去後には、表面の不陸だけでなく、基礎、受台、アンカー、支持部材などを撤去した跡が残ることがあります。深い撤去跡を埋める土と、広い範囲の表面を均す土を同じ数量にまとめると、施工内容と数量根拠が分かりにくくなります。現場で土量管理を行う際は、深部の埋戻しと表層の敷ならしを区分します。
撤去跡の形状は構台形式や撤去方法によって異なります。独立基礎や受台を撤去した箇所では局部的な掘削穴が残ることがあり、地表付近の砕石や調整材を撤去した箇所では浅い不足が広く発生することがあります。杭や支持部材を引き抜いた周辺では、空隙や地盤の緩みが生じる可能性がありますが、実際の状態は土質、地下水、引抜き方法などで変わるため、外観だけで埋戻し範囲を決めず、施工計画と現地確認に基づいて整理します。
局部的な深い穴は、可能な範囲で上面寸法、底面寸法、深さ、形状変化を測り、局部埋戻し数量として算出します。穴底が傾斜している場合や、撤去時に周辺が崩れて上部が広がった場合は、単純な直方体より、複数断面や平均断面積を用いた計算の方が形状を反映しやすくなります。形状が複雑で面的な測量を使う場合も、測定時点と対象範囲をそろえることが前提です。
一方、局部埋戻し後に残る小さな凹凸や、広い範囲の不足は敷ならしとして扱います。局部埋戻しは敷ならし着手面まで、敷ならしはそ の面から完成面までと区切れば、同じ部分の二重計上を防げます。深部埋戻しの完了面を測量または写真で残さず、そのまま全面敷ならしを行うと、後から境界を説明しにくくなります。
撤去作業で周辺地盤が乱れた場合は、必要に応じて不適な部分を除去してから復旧します。ただし、どの範囲を除去するか、再利用できるか、どの材料で埋め戻すかは、土質、構造物への影響、仕様、施工計画などにより異なります。見た目だけで一律に判断せず、必要な確認を経て決めます。除去した土は発生土として記録し、補充した土とは別に集計します。
構台下や取付部に使われていた材料がすべて土砂とは限りません。砕石、路盤材、敷板下の調整材、仮設排水材、保護材などが混在している場合は、撤去後に土で復旧する範囲と、同種の粒状材などで復旧する範囲を分けます。土以外の材料を敷ならし土へ含めると、土量の意味が曖昧になります。材料区分は、設計図書や復旧条件に合わせて管理します。
深部埋戻しでは、材料の適否、施工層、締 固め方法、含水状態などの管理が必要になる場合があります。具体的な層厚や締固め条件は、対象工事の仕様、施工計画、試験結果、施工条件に従います。一律の数値を記事上で決めることはできません。数量管理では、どの状態の厚さを記録したかをそろえ、敷き広げ時と締固め後の厚さを混在させないことが重要です。
図面上では、局部埋戻し区画と表層敷ならし区画を分けます。たとえば、局部埋戻しをA系統、表層敷ならしをB系統とし、写真、測量、日報、材料記録にも同じ番号を使います。施工目的の異なる土を区分することで、使用量の説明がしやすくなり、流用土と搬入土の配分も追跡しやすくなります。
仮設構台撤去後の復旧は、現場では一連の作業として進むことがあります。しかし、土量管理では、撤去材の除去、不適土の除去、局部埋戻し、表層敷ならし、仕上げ整形を区別して考える必要があります。すべてを別の精算項目にするという意味ではなく、少なくとも数量根拠の内部記録では段階を分けておくことが重要です。
3. 敷ならし厚さと施工面積を区画ごとに拾う
敷ならし土の体積は、施工面積と厚さを基に算出できます。ただし、仮設構台撤去後の地盤は均一ではないため、全体に一つの平均厚さを当てはめると実際の形状を十分に反映できないことがあります。現場で土量管理を安定させるには、地盤状態や完成面の条件に応じて区画を分け、それぞれの面積と高さ差を求めます。
区画分けの基準として使いやすいのは、構台の構造区分、撤去方法、地盤の高低差、施工順序、使用材料、完成面の勾配です。構台中央部が比較的平坦でも、取付部では周辺地盤とのすり付けが必要になり、厚さが連続的に変化します。重機の進入部や旋回部にはわだちや掘れが残りやすく、仮設排水周辺には溝状の不足が生じることがあります。数量差に影響する場所を別区画にすることで、平均値の偏りを抑えられます。
施工面積は、仮設計画図に描かれた構台平面をそのまま採用せず、実際の復旧対象を確認します。構台の外側で地盤を乱した範囲、取付道路や仮設ヤードを撤去した範囲、周辺へのすり付け範囲が含 まれる場合は、構台平面より広くなることがあります。反対に、構台下で本体構造物が完成している部分、舗装や路盤材で復旧する部分、残置する施設の範囲は、敷ならし土の面積から除く必要があります。
厚さは、撤去後または局部埋戻し後の起点面と完成面との差から求めます。完成面が傾斜している場合は、測点ごとに計画面との差を求め、面積に応じて体積へ換算します。平面格子、三角網、平均断面法など、どの方法を使うかは、現場の形状、必要精度、利用できる測量データに応じて選びます。重要なのは、計測範囲、基準座標、標高基準、不要物の除去状態を前後でそろえることです。
平均厚さを使う場合は、その算出方法を残します。最大値と最小値の中間を機械的に採用すると、測点配置や面積の偏りを反映できません。平坦な区画では複数点の高さ差から平均を求め、端部やすり付け部では断面を分けるなど、地形に合った方法を選びます。測点が一方へ偏っていないか、局部的なくぼみを別計上すべきかも確認します。

