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センチ級精度の3Dスキャンで図面との整合性を高める方法

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万能の測量機LRTKの説明

建設・土木の現場において、設計図面や施工図面と出来上がった構造物がきちんと一致しているかを確実に確認することは、品質管理上非常に重要です。しかし、従来の測量手法や2次元図面だけに頼った管理では、細かな計測誤差から施工物が設計とずれてしまうリスクがあります。幸い、近年はセンチメートル級の高精度測位技術と3Dスキャン(点群計測)の組み合わせによって、現場で図面との整合性を飛躍的に高めることが可能となっています。本記事では、施工管理者・設計者・測量士・現場代理人・経営者といったプロフェッショナルの皆様に向けて、RTKやネットワークRTK、CLASなどの最新技術を活用し、センチ級精度の3Dスキャンで設計図面・施工図面との合致を確保する実践的方法を解説します。


従来測量の課題: 計測誤差がもたらす設計と施工のズレ

従来の測量ではトータルステーションやレベル、巻尺などを用いて人力で寸法を確認し、2Dの図面と見比べながら施工管理を行うのが一般的でした。しかし、人が行う計測にはどうしても誤差や読み違いが発生しがちです。例えば、基礎の位置出しで基準点にわずかな誤差があると、それが積み重なって柱や壁の位置が設計図とずれてしまうことがあります。鉄骨建方の現場では、アンカーボルトの設置位置に数センチのズレが生じれば、柱脚のボルト穴と合わず部材の据付不良を招く恐れがあります。道路工事でも、測量時の高低差の読み違いによって設計通りの勾配にならず、水たまりが発生してしまうような施工ミスにつながるケースがあります。


このように、従来手法による計測誤差は施工品質に直接影響し、手戻り工事や補修対応といったコスト増大の原因にもなり得ます。原因の多くは、測点が限られた単発的な計測であったり、図面上の数字と現地の実物を照合する作業に職人的な勘が必要だったりする点です。そこで近年注目されているのが、現場を丸ごとデジタル計測して出来形(施工後の形状)を詳細に記録し、設計データと比較できる3Dスキャン技術です。


RTK・ネットワークRTK・CLASによるセンチメートル級測位

3Dスキャンで取得した点群データを設計図と突き合わせてチェックするには、測量座標の高い精度が欠かせません。そこで鍵となるのがセンチメートル級測位を実現するRTK技術です。RTK(リアルタイムキネマティック)測位とは、基地局(基準点)と移動局(測位対象)の2点で受信したGNSS衛星信号をリアルタイムに比較し、誤差要因を補正することで、従来数メートルあった測位誤差を数センチ以下まで縮小する手法です。専用のGNSS受信機と無線通信を組み合わせることで、動的な現場でもセンチ単位の位置特定が可能となります。


さらに、広いエリアで手軽にRTKを利用できるようにしたのがネットワーク型RTKです。これは各地に設置された複数の基準局ネットワーク(民間のGNSS基準局サービスや国土地理院の電子基準点網など)が提供する補正情報を、インターネット経由で取得して測位に反映する方式です。現場に自前の基地局を置かなくても、Ntripと呼ばれる通信プロトコルで配信される補正データをスマホや測量機器で受信すれば、高精度測位が行えます。ネットワークRTKの代表的な方式には、仮想基準点を生成するVRS(バーチャル基準点)法などがあり、広範囲で均質な測位精度を確保できる利点があります。


日本独自の高精度測位サービスとしては、準天頂衛星みちびきによるCLAS(センチメータ級測位補強サービス)が挙げられます。CLAS対応の受信機を用いれば、衛星から配信される補正信号を受け取るだけでリアルタイムにcm級精度が得られます。山間部や通信圏外の現場でもインターネットに頼らず測位できるため、ネットワークRTKと併用して利用範囲を補完しています。


これらRTKやCLASの技術により、測位精度が飛躍的に向上しました。従来のGPS内蔵スマホではせいぜい数mの誤差でしたが、外付けのRTK-GNSS受信機や補正情報の活用によって、現場でも絶対精度で数センチの測量座標を取得できます。高精度な座標が得られれば、点群データと設計図面との照合も高い信頼性で行うことが可能です。


高精度3Dスキャンで設計図面との整合性を確保する方法

センチ級測位で正確な座標を得た上で、現場の形状を3Dスキャンによって詳細に記録すれば、設計データとの比較検証が格段に容易になります。3Dスキャンによる点群データは、対象物の形状を無数の測点で覆い尽くした精密なデジタルコピーです。図面では把握しづらい立体的なズレや微妙な変化も点群ならミリ単位で捉えられます。


例えばコンクリート打設後の構造物をスキャンすれば、設計モデルと表面形状を重ね合わせて偏差を色分布図で可視化するといった解析も可能です。これにより、施工精度のばらつきや部材間の干渉を早期に検知できます。


出来形と設計図の整合性チェックを行う一般的な手順は次の通りです。


計測準備: スキャン対象の範囲と比較に用いる設計データ(CAD図面やBIMモデル)の座標系を統一します。必要に応じて現場に既知点を設置し、RTK-GNSSで基準点の座標を取得しておきます。

現地スキャン: レーザースキャナーや写真測量(ドローン含む)、あるいはスマホ搭載LiDARなどで対象物の点群データを取得します。RTKによる測位と併用することで、得られた点群に測地系座標を付与できます。

データ統合: パソコン上の点群処理ソフトやクラウドサービスにて、取得した点群データと設計側の3Dデータを重ね合わせます。RTKで地理座標が合っていれば余計な位置合わせ作業はほとんど不要ですが、必要に応じて基準点や特徴点によるフィッティング(位置補正)を行います。

偏差の検出: 点群と設計形状を比較し、差異を分析します。要所の寸法を計測して図面値と照合したり、ソフト上で点群と設計モデルの距離を演算して色分け表示することで、どの部分が設計からどの程度ずれているかを把握します。

許容範囲の判断: 検出されたズレが許容誤差の範囲内か判断します。問題箇所が見つかった場合は、施工誤差なのか設計変更が反映されていないのか原因を分析し、是正措置を検討します。

現場へのフィードバック: チェック結果を施工チームと共有し、必要なら現場での手直しや次工程での補正を行います。また、3D点群は出来形図書や検査報告のエビデンスとしても活用できます。


以上のような手順により、点群データを活用した出来形検証プロセスを構築できます。ポイントは、従来は測れなかった面全体のズレを3次元で把握できることです。これにより、微小な不整合も見逃さずに発見でき、手戻りを最小限に抑えることが可能になります。


特に設計段階の3Dモデル(BIM)を用いる場合には、計画段階から施工まで一貫してデータ比較ができ、品質管理の高度化に繋がります。


スマホ+RTKによる手軽な点群計測: LRTKの活用例

3Dスキャンと聞くと高度なレーザースキャナーやドローンが必要という印象を持つかもしれませんが、近年ではスマートフォンとRTK測位を組み合わせた手軽な点群計測ソリューションも登場しています。その代表例がLRTKです。LRTKはレフィクシア社が提供するGNSS-RTK対応の測量デバイスシリーズで、スマホをセンチメートル級精度の測量機器に変身させる点が大きな特徴です。


例えば「LRTK Phone」はiPhoneに装着できる小型のRTK-GNSS受信機で、Bluetooth接続によりスマホと連携します。ネットワークRTKの補正情報をリアルタイムに受信し、スマホ内蔵GPSでは実現できないcm級の測位を可能にします。さらにiPhoneのLiDARスキャナ(Proモデル搭載)やカメラによる写真計測機能と組み合わせることで、現場の3D点群を手軽に取得できます。従来は数メートルの誤差を含んでいたスマホの3Dスキャンも、RTKでジオリファレンス(測位参照)することで測定基準のずれを抑え、精度の高いグローバル座標付き点群が得られます。


LRTKを用いることで、以下のような現場業務が効率化します。


出来形管理の高度化: スマホで取得した点群をその場で体積計算や断面形状の把握に利用できます。盛土量の算出や法面勾配の測定も、点群から自動的に行えるため、従来手作業だった計算が短時間で完了します。

リアルタイムな整合性チェック: AR技術と高精度測位を組み合わせて、スマホ画面上に設計3Dモデルを実物大で投影できます。図面上の設計モデルが現地の構造物とずれていないか、スマホ越しのAR表示で直感的に確認可能です。位置合わせもRTKによる正確な座標に基づくため、モデルが現場映像にピタリと重なり合います。

杭打ちや据付作業のナビゲーション: 設計図に記された杭位置や構造物配置を、スマホの画面と音声案内で誘導することもできます。LRTKの高精度GNSSにより、指定座標までのズレ量がセンチ単位で表示されるため、機器据付やマーキング作業も一人で的確に行えます。

測位データの即時共有: LRTKアプリで取得した座標データや点群はクラウド経由で社内共有できます。現場代理人が測った位置情報を即座に本社の設計者と共有し、その場で判断を仰ぐといったスピーディな連携が可能です。


このように、LRTKを活用すればスマホ一つで計測から整合チェックまでを現場内で完結でき、測量専門スタッフが不在の現場でも精度管理を徹底できます。重たい機材を持ち運んだり、紙の図面をにらみながらメジャーを当てる作業は大幅に削減され、限られた人数でも効率良く品質確認が行えるでしょう。


LRTK導入で実現する高精度測量ワークフロー

最後に、LRTKを導入した場合の現場測量ワークフローを簡単にご紹介します。複雑な設定は不要で、次のような手順で誰でも扱うことができます。


準備: スマートフォンにLRTKデバイス(RTK受信機)を装着し、専用アプリを起動します。補正情報サービス(ネットワーク型RTKのNtripやCLAS信号)に接続し、測位を開始します。数十秒程度でRTKの固定解(Fix解)が得られ、センチ級測位が可能な状態になります。

計測: アプリの指示に従い、測りたいポイントや範囲をスキャンします。点群スキャンモードではスマホをかざして歩くだけで周囲の3D点群を取得できます。単点測位モードでは任意の位置の座標を記録したり、写真に高精度な位置タグを付与することもできます。

整合性チェック: 必要に応じて設計図面やBIMモデルのデータをアプリに取り込み、取得した点群や測点と重ねて表示します。ARモードを使えば、スマホ画面に映る現実の景色に設計上のモデルを合成し、位置のズレがないかその場で確認できます。点群データもカラーリング表示で設計との差異をチェックできるため、重大なズレがあれば即座に発見できます。

データ共有と記録: 測定結果はクラウド上に保存され、オフィスのPCからも閲覧可能です。現場でチェックした内容をそのまま社内の報告資料に活用したり、出来形図書として出力することも容易です。測量の専門知識がないスタッフでも直感的に操作できるため、属人化を防ぎチーム全体でデータを共有できます。


LRTKの導入によって、これまで職人技に頼っていた測量・出来形管理がデジタル化され、精度と効率が飛躍的に向上します。国土交通省が推進する*i-Construction*(ICT施工)にも合致した手法であり、現場DX(デジタルトランスフォーメーション)の有力な選択肢と言えるでしょう。


3Dスキャンセンチ級測位を組み合わせた高精度な検証は、今や施工管理の新たなスタンダードになりつつあります。是非この機会にLRTKを活用し、図面と現場の整合性確保による施工品質向上を実現してみてください。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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