目次
• はじめに
• 200m級LiDAR点群技術とは?
• 従来技術とその課題
• 独自手法が実現する高品質データ
• 200m級LiDARの主な活用シーン
• 現場にもたらすメリット
• LRTKによる簡易測量
• FAQ
はじめに
建設や土木の現場で、LiDARを用いた3次元の点群データ計測は、精密な現況把握やデジタル化に欠かせない技術となっています。近年、この点群計測技術において「200m級」と呼ばれる長距離計測が可能なLiDARが登場し、従来困難だった大規模対象の計測に新たな地平を拓きつつあります。従来はレーザーの受光感度等の制約からLiDARの有効距離はせいぜい数十~100m程度でしたが、最新技術ではその約2倍となる200m先でも安定して計測できるようになりました。200mという遠距離からでも高密度・高精度なデ ータを取得できることは、測量・計測の現場にどのようなインパクトをもたらすのでしょうか。本記事では、200m級LiDAR点群技術が実現する新境地と、その背後にある独自の手法によって生み出される高品質データについて解説します。
200m級LiDAR点群技術とは?
まず、200m級LiDAR点群技術とは何かを整理しましょう。これは、レーザー光を用いて対象までの距離を測定し点群データを生成するLiDARシステムの中でも、約200m先の対象物まで測定可能なクラスの技術を指します。通常、一般的なモバイル端末に搭載されたLiDAR(例えばスマートフォンのLiDAR)は数メートル程度、地上型3Dレーザースキャナーでも数十メートルから100m前後の測定範囲が一般的でした。それに対し、200m級のLiDARは200m前後という非常に長い距離までレーザーを到達させ、遠方の構造物や地形の細部まで3次元で捉えることができます。
200m級LiDAR点群技術が注目される背景には、広範囲の現場を一度に計測したいニーズや、高所・遠方にある対象物を地上から安全に測りたいニーズがあります。例えば、大規模な橋梁やダムといった構造物、急峻な斜面の地形、上空の送電線などは、離れた位置から高精度に計測できれば、測量作業の効率と安全性が飛躍的に向上します。200m級の計測能力は、こうした場面で従来以上に高品質なデータ取得を可能にするものとして期待されています。
従来技術とその課題
従来、広い範囲や大型構造物の点群データを取得するには、いくつかの手法に頼る必要がありました。代表的な方法の一つは、地上型の3Dレーザースキャナーを用い、対象物の周囲で三脚を立てて複数地点からスキャンするやり方です。しかしこの手法では、計測範囲が限られるため多数の設置替えが必要となり、現場での測定に時間がかかる上、取得した点群同士を繋ぎ合わせる後処理も必要でした。また、各スキャンデータを整合させるために位置合わせ用のターゲット(マーカー)の設置と、それらの位置を別途測量機で測定するといった準備作業が不可欠で、大規模測量では手間と人手を要しました。
他のアプローチとしては、ドローンを用いて上空から写真測量やレーザースキャンを行う方法もあります。ドローン測量は広範囲を効率的にカバーできますが、上空からでは構造物の裏側や樹木に隠れた部分の取得が難しい場合があります。また、飛行許可の問題や天候制約、市街地での飛行禁止などドローンが使用できない場面も多々あります。さらに、写真測量の場合は後処理で高性能なPCによる膨大な計算が必要になるなど、リアルタイム性に欠ける側面もありました。
いずれの方法でも、得られた点群データを地理座標に載せる作業(グローバル座標系への変換)には専門的なノウハウと手間がかかりました。複数のデータソースを統合する際には、各々の座標系を合わせ込む調整が必要であり、これが現場でのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の障壁にもなっていたのです。従来技術の課題をまとめると、以下のようになります。
• 複数地点からのスキャンが必要になり、現場計測と後処理に 時間がかかる
• グローバル座標に合わせるためのマーカー設置や基準点測量など事前準備が煩雑
• 大型機材や専門知識が必要で、限られた技術者に依存しがち
• ドローンでは死角になる箇所や飛行制限エリアが存在し、カバーできない範囲がある
独自手法が実現する高品質データ
こうした課題を解決し、200m級LiDAR点群技術のポテンシャルを最大限に引き出すために登場したのが、GNSS-RTKとLiDARを融合した独自手法による計測システムです。この手法では、高精度測位が可能なRTK-GNSS受信機と、高性能なレーザースキャナーを一体化したハンディタイプのデバイスを用いることで、現場で歩きながら広範囲をスキャンしてもリアルタイムに高精度の位置情報を取得できます。
さらに、機器内のIMU(慣性計測装置)などによってスキャナーの姿勢変化を捉え、GNSSデータと組み合わせるセンサーフュージョン技術により、移動中も安定した自己位置推定を実現しています。歩行しながらのスキャンでも高い精度を維持できるのは、こうした複数センサーのデータ統合による効果です。
従来は必須だったターゲット設置や、計測後の点群合成・位置合わせ作業は、この統合デバイスによって大幅に簡略化されます。レーザースキャンで得られる点群には、測定と同時にセンチメートル級の精度でグローバル座標が付与されるためです。つまり、計測したその場で取得点群が既に世界測地系などの絶対座標系で位置づけられている状態になります。別々に取得した複数の点群データ同士も、共通の座標基盤上で自動的に重ね合わさるので、後から手動で位置を合わせる必要がありません。
独自手法の強みはそれだけではありません。例えば、遠距離用に開発されたこのLiDARスキャナーは、200m先にある送電線のような細い対象物でも見逃さず点群化で きる高精度・高解像度を備えています。従来のモバイル型LiDARでは難しかったきわめて細いワイヤーや鉄塔の先端部分なども、しっかりとレーザーで捉えて3次元データ化できるため、インフラ点検用途でも威力を発揮します。また、取得中の点群をその場でタブレット画面などにリアルタイム表示しながら漏れをチェックできるため、計測漏れによる取り直しを防ぎ、確実に必要な範囲をカバーできます。
このように、GNSS測位とLiDAR計測の融合によって実現する点群データは、広範囲かつ高密度でありながら、全体が正確に地球座標に結び付けられた高品質データとなります。従来手法と比べて空間精度・計測効率ともに飛躍的に向上した点群取得が可能になったのです。
200m級LiDARの主な活用シーン
では、200m級LiDAR点群技術によって具体的にどのような現場活用が可能になるのか、その代表的なシーンを見てみましょう。
• 大型インフラ構造物の計測: 橋梁、高架橋、ダム、鉄塔など、従来は複数地点からのスキャンが必要だった大規模構造物も、遠方から一度に計測可能です。高所作業車や仮設足場を使わずに、安全な位置から全体を3D計測できます。
• 広範囲の地形測量: 数ヘクタール規模の敷地や造成地の地形も、約1時間程度で広域をカバーできます。上空からのドローン測量が難しい市街地や、電波環境が複雑な場所でも、地上から確実に測量可能です。
• 急斜面や崖地の調査: 離れた位置から崖や斜面を詳細に点群化できるため、土砂災害の危険箇所の調査や法面の変状監視に役立ちます。危険な場所に人が立ち入らずにデータ収集が行え、安全性向上にもつながります。
• 上空設備・配線の点検: 地上からでは観測が難しかった送電線・通信ケーブルなどの高さのある細長い設備も、200m級LiDARなら地表から一度に取得可能です。設備点検や維持管理において、短時間で現況を3Dデータ化できます。
• 定期計測・モニタリング: 同じエリアを定期的にスキャンして比較することで、工事の進捗管理や地形変化のモニタリングが容易になります。取得データはすべて共通座標上にあるため、時系列変化を高い精度で把握可能です。
現場にもたらすメリット
上記のような活用シーンを通じて、200m級LiDAR点群技術が現場にもたらすメリットは多岐にわたります。ここでは主な利点を整理してみます。
• 測量時間の大幅短縮: 一度に広い範囲を計測でき、機器の移動や再設置回数も減るため、従来より短時間で現場計測が完了します。準備や後処理作業の簡略化も相まって、プロジェクト全体のリードタイム圧縮に貢献します。
• コスト・人員の削 減: 重量級の機材や多数のスタッフを要した測量作業が効率化され、省人化が可能になります。専門技術者でなくとも扱えるシステムであるため、教育コストも低減できます。
• データ精度と信頼性の向上: GNSS-RTKによる位置精度と高性能LiDARの計測精度により、得られる点群データの精度は非常に高くなります。正確な絶対座標付きのデータは後続の設計・施工プロセスにおいて信頼できる土台となり、手戻りや誤差によるトラブルを減らします。
• 安全性の向上: 遠隔から危険個所を計測できるため、作業員が危険域に立ち入る必要が少なくなり、安全面のリスク低減につながります。また、短時間で作業を終えられることで、交通規制や現場占有時間を短縮し周囲への影響も減らせます。
• 計測環境への適応性: レーザー光を用いたLiDAR計測は夜間や薄暗い環境でも精度を維持できます。写真測量と異なり光条件に左右されにくく、多少の雨天や粉塵下でも安定してデータ取得が可能です。
• データ統合の容易さ: 最初から統一座標系でデータを取得できるため、他の測量データや設計データ(BIM/CIM等)との重ね合わせがスムーズです。複数のセンサーで取得したデータでも簡単に統合でき、現場全体を俯瞰したデジタルツイン構築が容易になります。
• 即時フィードバックと品質管理: 現場で点群データを確認しながら取得できるため、取得漏れや誤計測にその場で気づき対処できます。これにより、再測量の手間を防ぎつつ、常に高品質な成果物を担保できます。
LRTKによる簡易測量
このように、200m級LiDAR点群技術は測量の新たな可能性を切り開いていますが、実際に現場でそれを活用するには信頼できるソリューションが必要です。そこで注目されるのが、これら独自技術をパッケージ化したLRTKシリーズによる簡易測量です。LRTK(エルアールティーケー)は、GNSS-RTKによる精密測位と各種計測デバイスを組み合わせ、誰でも簡単に高精度の3Dデータ取得が行えるよう設計されたソリューションです。
例えば、ハンディタイプの3Dスキャナー「LRTK LiDAR」は、200m級のレーザースキャン性能とRTKによる測位を一体化したデバイスで、複雑な操作なしに高品質な点群を取得できます。難しいマーカー設置や煩雑な後処理を意識することなく、機器を向けて歩くだけで測量が完結するため、従来は専門家に任せていた作業も現場の担当者自身でこなすことが可能です。また、スマートフォンを利用した手軽な計測デバイス「LRTK Phone」や、ドローンや360度カメラと連携したクラウドサービスなど、LRTKシリーズは多彩なツールで現場DXを支援します。さらに、現場で取得した点群データや写真はクラウド上に自動アップロードされ、一元的に管理・処理されます。高性能PCがなくてもWebブラウザからデータを閲覧したり解析できるため、オフィスと現場間で即時に情報共有でき、作業のフィードバックも迅速です。
LRTKによる簡易測量がもたらす最大の価値は、測量というプロセス自体のハードルを下げた点にあります。高価な機材や高度な専門知識がなくても、現場の誰もが必要なデータを必要なときに取得できる環境が整えば、業務フローは大きく変わります。リアルタイムに共有できる精密な点群データや写真情報を基盤に、関係者間 でのコミュニケーションや意思決定がスムーズになり、ひいては工事全体の効率化と品質向上につながっていくでしょう。200m級LiDAR点群技術とLRTKシリーズの融合により、測量はまさに新時代の「簡易測量」へと進化を遂げつつあります。このような革新的技術の普及は、今後ますます現場のDXを加速させていくでしょう。
FAQ
Q: 200m級LiDAR点群技術とはどのようなものですか? A: 約200m先までレーザー計測が可能な高性能LiDARを用いて、高精度な3D点群データを取得する技術です。広範囲や遠方の対象物でも詳細に点群化できるため、大規模測量やインフラ点検に適しています。
Q: 従来のレーザースキャナーと比べて何が違いますか? A: 最大の違いは計測範囲とワークフローです。200m級LiDARは測定可能距離が飛躍的に長く、さらにGNSS-RTKによる位置情報を同時取得することで、マー カー設置や後処理での位置合わせが不要です。結果として短時間で高精度の成果を得られます。
Q: 専門的なスキルがなくても扱えますか? A: はい。リアルタイムで点群を見ながらスキャンできるため、どなたでも直感的に操作できます。機器をかざして歩くだけで測量が完了し、難しい設定や複雑なデータ処理を意識する必要はありません。
Q: マーカーや基準点を用意する必要はありますか? A: 必要ありません。GNSS-RTK内蔵型のシステムでは、取得する点群に自動的に絶対座標が付与されます。そのため従来必要だったターゲットの設置や基準点測量を省略できます。
Q: データの精度はどの程度確保されていますか? A: GNSS-RTKにより得られる位置精度は数センチ程度 で、LiDARそのものの距離計測精度も高いため、点群全体として非常に高い精度が確保されています。実用上は、従来の地上レーザースキャナーと同等かそれ以上の精度で計測結果を得ることが可能です。
Q: 細い電線のような対象も捉えられますか? A: はい、200m級LiDARは高感度なレーザーセンサーを備えており、遠距離にある細い電線やアンテナなども点群として捉えることができます。これにより、従来は見落とされがちだった小径の対象物もしっかりと記録できます。
Q: ドローンが飛ばせない場所での測量には対応できますか? A: 対応できます。地上から計測を行うため、飛行禁止エリアや屋内空間でも問題ありません。都市部の狭い空間や障害物の多い環境でも、地上設置型の利点を活かして必要なデータを取得できます。また、ドローンで取得したデータとの統合も容易なので、状況に応じて使い分けが可能です。
Q: 広いエリアを本当に短時間で測れるのでしょうか? A: はい、測定範囲の広さと計測速度の向上により、従来より格段に短時間での広域測量が実現しています。例えば数ヘクタールの敷地であれば約1時間程度で点群データを取得できた事例もあります。もちろん現場の状況によりますが、従来法に比べ大幅な効率化が報告されています。
Q: 写真測量など他の計測手法と比べた場合の利点は何ですか? A: LiDAR計測は対象物の形状を直接レーザーで取得するため、暗所や夜間でも利用可能で、テクスチャ(模様)のない対象でも正確に捉えられる利点があります。また、GNSS連携による絶対座標取得が可能な点も大きな違いです。写真測量では高精度化のために地上制御点の設置や時間のかかる画像処理が必要ですが、LiDARではその場で高精度点群が得られ、処理時間も短縮できます。一方で写真測量はカラー画像によるリアルな記録が得意という利点もあるため、用途に応じて併用することで相互補完が可能です。
Q: 最新の技術を導入するにはどうしたらいいですか? A: 200m級LiDAR点群技術を手軽に導入するには、LRTKシリーズのような統合ソリューションを活用するのが近道です。専用のハードウェアとクラウドサービスがセットになっており、初めての方でもスムーズに運用を開始できます。まずは専門メーカーや提供元に問い合わせ、デモや導入相談をしてみると良いでしょう。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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