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12条点検の新常識:AR活用で劣化部位を記録、見落としゼロで安全管理万全

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

12条点検の概要と現場課題

12条点検とは、建築基準法第12条に基づき、不特定多数の人々が利用する一定規模以上の建築物(いわゆる特定建築物)の所有者に義務付けられた定期点検です。病院や学校、百貨店、マンションなどが対象で、建物が安全な状態で使われ続けているかを確認することが目的となります。特に外壁や屋上、避難階段といった建物外周部の劣化は、タイルの剥落事故や屋上防水の漏水事故など人命に関わる重大なリスクを伴うため、12条点検によって早期発見・対処することが求められています。


しかし現場では、定期点検の実施と報告に様々な課題が指摘されています。点検結果を写真や図面にまとめる書類作成の負担が大きく、手作業ゆえの記録ミスも起こりがちです。また、点検員の経験や技量によって指摘漏れや評価のばらつきが生じ、調査精度に差が出てしまう問題もあります。こうした課題から、「見落としゼロで安全管理万全にしたい」というニーズが高まっています。


そこで注目されているのが、AR(拡張現実)技術の活用による新しい点検手法です。スマートフォンやタブレットを用いたARと3Dスキャンの組み合わせにより、劣化部位の記録精度と作業効率を飛躍的に向上させることが可能になりました。この記事では、12条点検の新常識ともいえるAR活用のメリットと具体的な活用シナリオ、そして革新的ソリューションであるLRTKがもたらす点検業務の変革について詳しく解説します。


従来の点検方法とその限界

現在、12条点検の現場では多くの場合、紙の図面と写真を用いたアナログな方法で調査が行われています。点検員は建物の配置図や立面図を持ち歩き、劣化箇所を発見するたびに図面上に手書きで丸印や番号を記入します。同時にデジタルカメラで状況写真を撮影し、後でその番号と写真を照合して記録するという手順です。屋上の防水シートの膨れや外壁タイルのひび割れ、避難階段の錆びなど、発見した不具合はすべて紙台帳と写真で管理し、最終的に定められた報告書フォームにまとめて行政に提出します。


しかし、この従来手法にはいくつもの課題があります。主な問題点を挙げると次の通りです。


記録作業の煩雑さ:点検結果を図面と写真で整理するには多大な手間がかかります。図面へのマーキング、写真への通し番号、報告書への転記など、手作業が多いため人的ミスも生じやすく、作業負荷が非常に大きいのが実情です。

劣化位置の曖昧さ:手書きの印では劣化箇所の位置特定に限界があります。例えば北側外壁でひび割れを見つけても、図面上の丸印だけでは実際のどの部分か正確に伝わらず、写真だけでは範囲や場所の把握が難しい場合があります。結果として修繕担当者が現場で探し回ったり、見落としたりするリスクがあります。

再点検時の不一致:次回の点検で過去の記録と比較しようとしても、前回と今回でマーキングの方法や尺度が異なると、同じ箇所かどうか判別しづらくなります。紙媒体では劣化の進行具合を定量的に追跡することも困難で、経年変化の把握が不十分になりがちです。

点検精度の属人化:打診調査などは調査員の経験や勘に頼る部分が大きく、熟練者と新人では見落としのリスクに差が出ます。また、高所の点検では双眼鏡での目視に頼ることも多く、個人の視力や注意力によって結果が左右される面があります。点検品質が標準化されておらず、誰が点検するかで精度がばらついてしまうのも課題です。


このように、旧来の方法では見落としゼロを実現するには限界があり、点検業務にムラや無駄が生じていました。


LRTKが実現する3Dスキャン・AR記録の革新

こうした課題を解決するソリューションとして登場したのがLRTKです。LRTKはスマートフォン(iPhone)と専用機器を組み合わせて、高精度の測位と3Dスキャン、AR表示を実現する革新的な点検支援システムです。LRTKを使えば、点検作業における「正確な現状把握」と「効率的な記録」が飛躍的に向上します。その主な機能は次のとおりです。


3D点群スキャン:iPhone内蔵のLiDARセンサーやカメラを利用して建物外観を3次元データ化します。高精度な点群をグローバル座標(測地座標)付きで取得でき、建物の形状や劣化箇所を立体的に記録します。

ARによる劣化部位マーキング:3Dスキャンで得たモデルを現実空間に投影し、画面越しに見た建物上で劣化箇所にバーチャルな印を付けられます。LRTKは高精度な測位技術(RTK-GNSS)を備えているため、モデルと実物との位置合わせが自動で行われ、マーキングしたポイントがずれる心配がありません。その場で見つけたひび割れ等にタップ一つでマーカーを配置でき、位置を正確に記録できます。

座標付き写真:点検中に撮影する写真には撮影場所の緯度・経度・高さやカメラの向きといった情報が自動で紐付けられます。これにより、後から写真を見返した際に「どの場所を写したものか」が直感的に分かります。図面と照合したりメモを参照したりしなくても、写真自体が地図上のピンのような役割を果たすため、記録の抜けや取り違えを防げます。

寸法計測・エリア算出:取得した3Dデータ上で、劣化箇所の寸法測定や面積計算をその場で行えます。例えばひび割れの長さや、錆びた部分の広がり具合をアプリ上ですぐ測定できるため、劣化の程度を定量的に把握できます。

クラウド連携:点検データはクラウド上に保存・共有でき、オフィスに戻ってからパソコンで詳細を確認したり、関係者とデータを共有したりするのも容易です。専門的なソフトをインストールしていない相手でもウェブブラウザ経由で3Dモデルや写真を閲覧できるため、情報共有のハードルが下がります。


これらの機能によって、従来の点検手法で問題となっていた記録作業の煩雑さ位置情報の曖昧さが一挙に解消されます。現場での記録業務は大幅に効率化され、得られたデータは極めて正確かつ体系的です。例えば、図面や手書きメモに頼らずとも劣化箇所を空間上で把握できるため、誰が点検しても同じ情報を共有でき、属人的なばらつきを抑えることができます。LRTKは12条点検にデジタルの力を導入し、まさに点検作業の新常識となり得る革新的ツールと言えるでしょう。


具体的な点検シナリオにおけるAR活用例

屋上防水の浮き

大規模建物の屋上は、経年劣化によって防水シートの浮き(膨れ)や破れが発生しやすい箇所です。従来は広い屋上全体をくまなく歩き回りながら目視で異常を探し、発見した膨れにチョークで印を付けて写真に収める、といった方法が一般的でした。これでは見落としがないか不安が残りますが、ARを用いた点検ならその心配は大幅に軽減されます。


まずLRTKで屋上全体をスキャンして3Dモデルを取得すれば、屋上面の全域がデータとして記録されます。点検員はARモードで屋上を見渡しながら、防水層の膨れや亀裂をその場でマーカー付けしていきます。例えば直径30cmほどの膨れを見つけたら、スマホ画面越しに該当箇所をタップしてマーカー設置と写真撮影を実行します。するとその膨れは3Dモデル上に正確な位置で記録され、写真には座標情報が残ります。同様に全ての異常箇所を記録すれば、屋上のどこに何箇所劣化があるかが一目瞭然です。


AR活用の利点は、広い屋上でも自分がどの範囲を点検済みかを直感的に把握できる点にもあります。デジタルな3Dモデル上にマーカーが可視化されるため、点検漏れの箇所がないか一目で確認できるのです。さらにLRTKならその場で各膨れの大きさを計測することも可能です。膨れの直径や面積を数値化して記録しておけば、後日の補修計画立案にも役立ちます。次回の点検時には前回マーカーを付けた箇所と照らし合わせ、新たな膨れが増えていないか、既存の膨れが拡大していないかを容易に比較できます。見落としゼロの精密な屋上点検を実現するうえで、ARと3Dデータは強力な武器となります。


外壁タイルの浮き

タイル貼りの外壁では、経年によってタイルやモルタルの付着力が低下し、下地から浮いてしまうケースがあります。この浮きタイルを放置すると、最悪の場合タイル片が剥落して落下事故を引き起こしかねません。そのため全面打診や赤外線サーモグラフィー調査等で浮き箇所を特定し、補修が必要になります。従来は、異常が見られた外壁タイル付近にチョークで印を付けたりテープを貼ったりしながら位置を特定し、写真と図面で記録していました。しかしこの方法では、「〇〇号室の窓右上から数枚目のタイルが浮いている」といった曖昧な表現に頼らざるを得ず、後から正確な場所を特定するのが難しいという問題がありました。


AR点検を活用すれば、外壁の高所であっても浮きの発生箇所を正確に記録できます。 LRTKで建物外観の3Dモデルを作成し、足場や高所作業車で近接調査を行いながら浮きタイルを発見するたび、その場でスマートフォンに表示された外壁モデル上にマーカーを配置します。こうしてマッピングされた浮き箇所は、全て3次元座標データとして保存されます。例えば10階建てビルの北面外壁にある1枚の浮きタイルも、建物モデル上ではピンポイントで登録されるため、補修担当者が現場で迷うことなく該当箇所を見つけ出せます。従来は図面とにらめっこしながら「おそらくこの辺だろう」と探す必要がありましたが、ARによる視覚的なガイドで場所の取り違えや見落としを防止できます。


また、記録精度が上がることで、浮き箇所の経過観察も容易になります。前回点検時にマークしたタイルの位置をARで重ね合わせながら再点検すれば、同じ箇所の状態変化を的確に追跡できます。「前回浮いていたタイルがさらに浮き上がっている」「新たな浮きが周囲に発生している」といった情報も見逃さず、データに基づいて修繕の優先度を判断できるでしょう。LRTKは、これまで属人的になりがちだった外壁調査に客観的な「座標」という物差しを与え、確実で安全な点検に貢献します。


避難階段の錆

ビルの外付け避難階段(非常階段)は、常に風雨にさらされるため錆びが発生しやすい構造物です。定期点検では階段の手すりや踏板、ボルト接合部に腐食がないか確認しますが、錆びの進行具合を詳細に記録するのは簡単ではありません。従来のやり方では、目視で「中間階の踊り場付近に錆びあり」とメモしたり、写真に写る範囲で錆び部分をなんとなく把握する程度に留まり、次回点検時に同じ箇所を特定するにも一苦労というケースがありました。


LRTKによるAR点検を用いれば、複雑な避難階段の構造でも錆びの発生個所を漏れなく把握できます。 階段全体を3Dスキャンしておくことで、踏板の裏側や手すりの接合部といった死角になりやすい箇所も含めて立体的な記録を残せます。そして確認したい部位をAR表示でズームしながら、錆びの見られる部分に次々とマーカーを付与していきます。例えば「3階と4階の間の梯子状の手すり接合部に進行した錆びあり」「2階踊り場の床板裏に塗膜剥離あり」といった具合に、階段モデル上に細かな劣化情報をプロットできるのです。


このアプローチにより、点検者が変わっても全く同じ位置の不具合を共有できます。次回の点検時には、前回マークした箇所をARで表示させながら、その錆びが拡大していないか、適切に補修されたかをチェック可能です。もし補修済みであればマーカーを削除するといった管理もでき、建物のメンテナンス履歴を階段の電子モデル上で蓄積していけます。報告書作成時にも、紙の図面に「階段西側」と曖昧に記す代わりに、3Dモデル上の表示をキャプチャした画像に矢印や注釈を付けるなど、より分かりやすい資料を作成できるでしょう。ARと点群データの活用によって、複雑な避難階段の点検も効率的かつ確実に行えるようになります。


点検記録の電子カルテ化:報告書作成と時系列比較

デジタル技術を用いた12条点検は、単に現場作業を効率化するだけでなく、建物ごとの点検記録を「電子カルテ化」する大きなメリットがあります。紙の報告書では個々の点検結果をファイル保管するだけでしたが、LRTKを使えば建物ごとにデータベース上で過去から現在までの点検履歴を蓄積していくことができます。まさに病院で患者の診察履歴を電子カルテで管理するように、建物にもデジタルなカルテを持たせるイメージです。


この電子カルテによって、時系列での比較や分析が容易になります。例えば、同じ外壁のひび割れ箇所について3年前の写真と今年の写真をLRTK上で切り替えて表示し、亀裂が拡大しているか否かを一目で判断できる機能があります。座標と紐付いた写真だからこそ、全く同じアングル・同じ位置の経年変化を正確に追えるのです。点検データを蓄積するほど、劣化傾向の分析や補修時期の予測といった高度な判断も可能となり、単発の点検を越えて予防保全につなげることができます。


報告書作成も飛躍的に簡素化されます。従来は撮影した写真を台帳に貼り付け、文章で場所や状況を説明していましたが、LRTKなら点検項目ごとにマーカー付き写真や3Dモデルのキャプチャをそのまま活用できます。煩雑な図面への追記作業が不要となり、報告書には説得力のあるビジュアル資料を盛り込めます。また、デジタルデータは社内やクライアントとの共有もワンクリックで行えるため、報告内容の伝達ミスも減少します。行政提出用の定期報告書への転記作業も、将来的にはシステムから自動出力されるようになっていくでしょう。


このように12条点検を電子カルテ化することで、建物の安全管理が継続的かつ体系的になります。点検の度にデータがアップデートされるため、その建物の「健康状態」を長期にわたって把握でき、的確なメンテナンス計画の立案に役立ちます。建物所有者にとっても、過去の点検結果がデジタル管理されていれば資産価値の評価や保険手続きの際の資料として活用できるなど、副次的なメリットも生まれます。


結び:12条点検の未来とLRTK導入のすすめ

テクノロジーの進歩に伴い、12条点検の手法は今まさに大きな転換期を迎えています。国土交通省もドローンやセンサーを用いた調査を正式に認め始めており、点検業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)は今後さらに加速するでしょう。その中で、ARを活用した点検手法は見落としゼロ・安全管理万全という理想を実現する鍵として注目されています。


今回紹介したLRTKは、そうした次世代点検を支えるプラットフォームです。スマートフォンと専用デバイスによる手軽さでありながら、測量級の精度で3Dスキャンと位置情報記録を行える点が大きな強みです。高度なGNSS測位に基づくLRTKのデータは地図座標と連動しているため、点検結果を建物全体の管理情報や図面データと統合することも容易です。また、簡易測量機能を備えているため、点検ついでに敷地や構造物の正確な寸法・変位を測定するといった応用も可能で、取得した点群データは将来的にBIMや維持管理システムとの連携にも役立ちます。こうした幅広い親和性により、LRTKを導入すれば12条点検のみならず建築物の維持管理全般でDX効果を発揮できるでしょう。


安全・安心な建物運用のためには、古い手法に固執せず新技術を積極的に取り入れていくことが重要です。AR活用による12条点検の新常識は、すでに始まっています。読者のみなさんも、この機会にLRTKを活用した点検手法を検討してみてはいかがでしょうか。最新テクノロジーを味方につけて、建物の安全管理を次のレベルへ引き上げる時です。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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