top of page

点群と写真測量、どっちを選ぶべき?費用・精度を比較!

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均6分15秒で読めます
AR Civil Engineering

建設業・測量業界では、近年 3次元点群データ の活用が急速に進んでいます。ドローンやレーザースキャナー、写真測量(フォトグラメトリ)などによって現場を丸ごとデジタル化し、従来の2次元図面では得られなかった詳細な情報を取得できるようになりました。では、「点群測量」と「写真測量」のどちらを導入すべきか?本記事では両者の違いや精度・費用の比較、作業効率や適した用途の違いについて解説します。現場の状況や目的に応じた最適な選択をサポートする内容ですので、ぜひ参考にしてください。


点群測量と写真測量の違いとは

まず、点群測量写真測量 の基本的な違いを整理します。両者はいずれも対象物の3Dデータを取得する手法ですが、その原理や得られる情報に違いがあります。


点群測量(レーザー測量) – 主にレーザースキャナー(LiDAR)を用いて対象物までの距離を直接測定し、無数の点の集合体(点群データ)として形状を記録する方法です。レーザーを照射し、返ってくる光の時間差から距離を算出することで高精度な座標点を大量に取得します。特徴として、光が届く範囲であれば物体の凹凸や陰になった裏側まで測定でき、複雑な構造物や地形も面的にとらえられる利点があります。一方で取得できるのは形状(幾何)情報が中心で、点群自体には基本的に色情報が含まれない点も特徴です(※一部のレーザースキャナーはオプションで写真撮影しカラー点群化も可能)。また、専用機材が高価である点も後述するデメリットです。

写真測量(フォトグラメトリ) – 空中写真や地上写真から3次元モデルを再構築する技術です。ドローン搭載の高解像度カメラや一眼レフ・スマホ等で対象物を様々な角度から多数撮影し、ソフトウェア上で特徴点の照合や三角測量計算によって点群データや3Dモデルを生成します。メリットとして、カラーテクスチャ付き のモデルが得られるため現実に近いビジュアルで記録でき、専用のレーザー機器がなくてもカメラさえあれば導入しやすい(比較的低コスト)という点があります。一方、光学的手法ゆえの弱点 もあります。写真に写らない部分(物体の影になった裏側など)は再現が難しく、また被写体の色や天候・照明にも影響を受けやすいです。例えば真っ白で特徴のない壁面、水面やガラスのように反射・透過する対象、濃い影になった部分などは写真測量では誤差が大きくなったり形状を捉えきれない場合があります。さらに後処理の計算負荷が大きい点(多数の写真を解析するため時間・PC性能を要する)も写真測量の留意点です。


要するに、レーザー点群測量は「能動的な距離計測」で精密な形状データを短時間で取得でき、写真測量は「受動的な画像解析」で手軽にカラー付きの3Dデータを生成できるという違いがあります。それぞれ長所短所があり、現場で得たい情報や条件によって適性が異なります。「カラー情報まで含めて記録したい」「初期コストを抑えたい」場合は写真測量が適していますが、「より高精度な立体形状を詳細に捉えたい」「複雑地形でも確実に測りたい」場合はレーザーによる点群測量が適しています。次章から精度や費用面の具体的な比較を見ていきましょう。


精度比較:どちらが高精度?

測定精度 は測量手法を選ぶ上で重要なポイントです。一般的に、点群(レーザー)測量の方が精度と再現性に優れるとされています。高性能な地上型レーザースキャナーであればミリ単位の精度で測定できますし、ドローン搭載型のレーザーでも数cm程度の誤差に収まる高精度データを取得可能です。一方、写真測量の精度は中程度とされ、手法や条件によっては誤差が数cm~10cm程度となる場合があります。特に高さ方向の精度は、撮影角度やGPS測位精度の影響を受けやすく誤差が大きくなりがちです。ただし近年の写真測量ソフトやRTK-GNSSの併用により精度は大幅に向上しており、適切に標定点(地上基準点)を配置すれば数cm以内の精度で測量成果を得ることも十分可能です。


精度面の比較で押さえておきたいポイントは以下です:


点群(レーザー)測量の精度: 1点ごとの測定精度が非常に高いのが特長です。例えばトータルステーション(TS)のような光波測距機を用いた場合、1点あたりミリオーダーの誤差で角度・距離を計測できます。レーザースキャナーも同様に高精度ですが、一度に面として大量の点を取るため、点群全体として見ると局所的なノイズが含まれることもあります。しかし再現性(同じ対象を繰り返し測っても同様の結果が得られる安定性)に優れるため、ひずみの少ない精密な3Dモデル構築に適しています。またレーザーは対象までの距離を直接測るため、写真測量のようにスケールが狂うリスクが低く、特に縦方向の寸法精度で優位です。

写真測量の精度: 前述の通り条件により差が出やすいものの、近年は高性能なカメラとソフトウェアによりかなり改善しています。例えばPix4D社の検証では、iPhoneで撮影しRTK補正を付加した写真測量で実物3.180mの構造物幅を計測したところ、わずか誤差0.004m(4mm)という高い精度を達成しています。一方で同じ対象をiPhone内蔵のLiDARスキャナで点群化した場合、点のばらつきにより測定する点の選び方で結果が数cm単位まで変動し、外側の点を基準に測ると誤差約0.047m(4.7cm)にもなったとの報告があります。この比較から、写真測量でも条件が良ければレーザーに匹敵する高精度を実現可能である一方、条件が悪いと10cm程度の誤差が生じうることがわかります。また写真測量は対象物に特徴点がないと精度が出ない弱点があります。模様や形状の乏しい単調な面では誤対応が起きやすく精度低下につながります。

環境や対象による精度への影響: 屋外の広範囲地形を測る場合、写真測量では遠方ほど解像度が落ちたり大気の影響を受けるため、非常に広い範囲を一度に撮影すると相対精度が下がる傾向があります。レーザー測量でも距離が伸びればレーザー光の減衰などで若干精度は落ちますが、ドローンを低空で飛ばす・地上スキャナを適宜移動することで対応可能です。構造物の計測では、写真測量は建物や橋梁の細部形状(エッジなど)の再現性でレーザーに劣る場合があります。一方レーザーは機器にもよりますが数百万点以上の非常に高密度な点群取得が可能で、エッジや細部までシャープに捉えられます。屋内測定では、写真測量は光源確保やGPS無しでの位置合わせが課題となりやすく、対してレーザースキャナは暗所でも自身で光を発し計測できるため有利です。総じて「確実に高い精度が求められる場面ではレーザー点群が有利」ですが、写真測量も工夫次第で実用十分な精度が得られるケースが多くあります。後述するように両者を組み合わせて精度と利便性を両立するアプローチも登場しています。


費用比較:導入コスト・機材価格・運用コスト

続いて費用面の比較です。初期導入コストから運用にかかる費用、外部委託した場合の相場まで見てみましょう。


初期導入コスト: 専用機材を購入する場合、レーザー点群測量の方が圧倒的に高額になります。一般的な3Dレーザースキャナー本体の価格は軽く数百万円~千万円以上に達し、例えばFARO社製の地上型レーザースキャナではモデルにより500万~1000万円前後もの価格帯との情報もあります。これに対し、写真測量に必要な機材はカメラとドローンが中心で、例えばDJI製ドローン+解析ソフトのセットで70万円程度から導入できるとの事例があります。実際、ある専門サイトの試算では「ドローン写真測量導入:約70万円、ドローンレーザー測量導入:約400万円」とされており、初期投資額には大きな開きがあります。既に高性能カメラやドローンを保有している場合はソフトウェア費用のみで始められる点も写真測量の強みです。

機材の運用コスト: レーザースキャナーは精密機器ゆえに維持管理コストも考慮が必要です。定期的な校正・メンテナンス、ソフトウェアライセンス料、機器保険など、運用中にも費用がかかります。また機材を扱うオペレーターの教育も必要で、社内技術者を育成するには時間とコストがかかります。写真測量の場合、ドローンのメンテナンスや消耗品(バッテリー等)の費用、解析用PCの用意などはありますが、レーザーほど特殊な機器ではないため比較的平易です。ソフトウェアもPix4DやMetashapeなど商用のものは高価ですが、無料・安価なサービスも増えておりコストを抑えやすくなっています。

外注費用の相場: 機材を自社購入せず測量を外注する場合の費用感も、レーザーと写真測量で差があります。ある記事では写真測量なら1件あたり約100万円、レーザー測量なら約300万円がひとつの目安と紹介されています。もちろん現場規模や内容によって変動しますが、おおむねレーザー点群は写真測量の2~3倍の外注費と見ておくと良いでしょう。特に測量範囲が広かったり高精度が要求される案件では、対応できる業者も限られるためレーザー測量は高額になる傾向があります。一方、写真測量は比較的多くの業者が対応可能で競争原理も働きやすく、広い面積でもコスト増が緩やかです。ただし外注は回数を重ねるほど累計費用が増えるため、頻繁に行う場合は機材を購入して内製化した方が安上がりになるケースもあります。


以上をまとめると、初期費用は写真測量が格段に安く導入ハードルが低いです。レーザースキャナーは高額ですが、一度導入すれば大規模案件での効率化によりトータルコストを抑えるメリットも期待できます。写真測量は機材こそ安価なものの、人件費や処理時間を含めた総合コストでは現場条件次第で差が縮まることもあります。精度とコストのバランスを考え、必要十分な手法を選ぶことが重要と言えるでしょう。


作業時間・人員・処理の手間比較

次に作業効率(時間・人員)データ処理の手間について比較します。どちらの手法も、従来の人力中心の測量(TSやレベル等)に比べれば大幅な効率化が可能ですが、それぞれ現場での流れが異なります。


フィールドでの測定作業時間: 一般に、広い範囲を測る場合は写真測量(ドローン)が最も速く、次いでレーザースキャナー、従来のTSが最も時間を要すると言われます。実際の比較例では、数ヘクタール規模の造成地測量でTSだと約3日かかる作業が地上型レーザースキャナなら約2日、ドローン写真測量なら半日程度で完了したという報告があります。さらにレーザースキャナー搭載ドローンによる測量では、従来法に対し6分の1の時間で広範囲のデータ取得を終え、全体作業時間を半分以下に短縮できたケースもあります。このように大面積では写真測量やレーザーの効果が顕著ですが、小規模な対象であれば写真撮影・スキャンどちらも短時間で済むため差は小さくなります。むしろ狭い現場では、ドローン離発着の準備時間などを考えると手持ちカメラでの撮影や地上レーザースキャンの方がスピーディなこともあります。

必要な人員: 従来のTS測量は2人1組での作業が基本でしたが、写真測量・点群測量はいずれも少人数(場合によっては1人)で実施可能です。ドローン写真測量は操縦者ひとりでも自動航行で撮影できますし(法律上は補助者が必要な場合もありますが)、地上レーザースキャナも1人で機材を運んで順次スキャンして回れます。人件費削減のメリットは特にレーザースキャナで顕著で、効率化による日程短縮と相まってトータルコスト低減に大きく寄与します。ただし後述の後処理で、写真測量の場合はデータ整理やパソコン計算を担当する要員が別途必要になることがあります。

データ処理の手間・時間: 写真測量は現場よりもオフィスでの処理時間が長い傾向があります。撮影した大量の画像データを専用ソフトで解析し点群やオルソ画像を生成するのに、場合によっては数時間~数日を要します。高性能PCやクラウドサービスの活用で高速化は進んでいますが、それでも即時に成果を確認するのは難しいでしょう。一方、レーザー点群は取得した時点で3D点群がその場で得られる利点があります。特にモバイル型のLiDARスキャナや最近の機種では、タブレット画面上にリアルタイムで点群が表示され即座に欠測箇所をチェックできるものもあります。地上型レーザースキャナでも、現場で逐次スキャンデータを確認しながら進められます。ただし点群同士の位置合わせ(レジストレーション)や不要点の除去など、後処理は必要です。複数ステーションで取得した点群を一つに統合する作業は、自動化が進んだとはいえオペレーターの調整が欠かせません。またデータ量も桁違いに大きいため(写真測量より点群データは大容量になりやすい)、保存・管理の手間やPCストレージ容量も考慮する必要があります。


以上のように、現場計測は写真測量・レーザーともに迅速化できる一方、処理工程では写真測量に時間がかかりレーザーはデータ扱いの負荷が高いという違いがあります。人員面ではどちらも少人数で済みますが、高度な専門知識が必要なのはレーザー機器の方でしょう。写真測量はカメラ操作とソフトの基礎を習得すれば比較的誰でも扱いやすいのに対し、レーザースキャナは機器固有の操作・原理理解や点群処理スキルが求められます。この点も踏まえ、自社の人材状況やスキルに合った手法を選ぶと良いでしょう。


実務での使い分け方(小規模現場・地形測量・出来形管理・狭所・高精度用途)

ここまで述べた特徴を踏まえて、どのような現場・用途ではどちらを選ぶべきか、代表的なケースごとに整理します。


小規模な現場やポイント測量(例:小さな造成地、戸建て1軒の敷地測量、設備の設置位置出しなど) → 写真測量でもレーザー点群でも対応可能です。範囲が狭い場合、写真枚数も少なくて済むため後処理も負担になりにくく、ドローンを飛ばすまでもなく地上からカメラ撮影で間に合うでしょう。精度重視であれば地上レーザースキャナを据えて短時間で精密に測る方法もあります。ただし小規模だと従来のTSで十分というケースも多く、コスト面では無理に3D化しない方が安い可能性もあります。3次元データとして残す必要性が高いかどうかで判断すると良いでしょう。

大規模な地形測量(例:山林造成、土木工事の現況測量、広域の地形図作成) → 写真測量の活用が有力です。数ヘクタール以上の広範囲をカバーするにはドローン空撮による写真測量がもっとも効率的で、短時間で高密度な地形データを取得できます。開けた地形であれば写真測量の精度(数cm程度)でも十分な場合が多く、コスト面でも有利です。一方、森林など植生が繁茂するエリアでは写真測量だと樹下の地面が捉えられないため、ドローンLiDAR(レーザー)が有効です。レーザーなら葉の隙間を通って地表面の点群を取得できるため、森林測量ではLiDARが不可欠とされています。総じて、広域の地形把握にはまず写真測量を検討し、必要に応じレーザー併用や地上測量補完で精度を確保するのが現実的です。

出来形管理・数量計測(例:土工事の盛土・掘削の体積算出、出来形の寸法チェック、竣工図作成) → 写真測量と点群測量を用途で使い分けます。例えば、盛土の数量計測や造成地の出来形確認では、ドローン写真測量で得た点群から土量計算や断面図作成を行うのが一般的です。写真測量は広範囲の地形変化を短時間で把握できるため、工事前後の形状比較や出来高算定に適しています。実際に空撮点群データを用いて盛土体積を自動算出し、効率的に出来形管理を行うソリューションも実用化されています。一方、構造物の出来形(寸法や形状の検査)ではレーザー点群の精度と信頼性が求められることもあります。トンネルや橋梁の出来形測定では、地上レーザースキャンや移動体搭載LiDARでミリ精度の点群を取得し、設計モデルとの誤差をチェックするといった手法が用いられています。要は、広域の出来形=写真測量、精密な出来形=レーザー測量といった使い分けが有効です。

狭所・屋内・複雑構造の計測(例:建物室内、プラント設備、トンネル内部、橋の下部など) → 地上レーザー or モバイルスキャナが適しています。狭い空間ではドローンが飛ばせず写真測量は困難な場合も多いですが、三脚据付型や手持ち型のレーザースキャナなら人が入れる所であれば計測可能です。最近はタブレットやリュックサック型のモバイルマッピングシステムもあり、複雑に入り組んだプラント配管内部なども短時間でスキャンできます。写真測量で狭所を測るには高感度カメラと照明を駆使し、多数の角度から撮影して後処理する必要があり手間がかかります。屋内空間や暗所、入り組んだ構造物の計測はレーザー点群の独壇場と言えるでしょう。ただし最近はスマホを使った簡易スキャンでも、狭所の形状把握程度ならできるケースが増えています(後述)。

最高精度・高精細な記録が必要な用途(例:文化財の精密記録、変位計測、構造物のひび割れ検出など) → レーザー点群+高解像度写真の併用が理想です。レーザースキャナで形状を高精度に記録しつつ、写真で表面の詳細(テクスチャや損傷箇所)を撮影して、両者を統合することで精密かつ多情報な3D記録が得られます。写真測量単独でも高解像度画像を用いればサブミリの微細な凹凸まで再現可能ですが、現実には光の加減で誤差が出ることもあり、重要な計測ではレーザー機器が用いられる傾向があります。例えばコンクリート構造物のひび割れ幅を面的に測る場合、レーザースキャン点群から変位を把握し、写真から抽出したクラック位置と突き合わせる手法もあります。高精度が最優先のケースではレーザー測量を軸に検討すると良いでしょう。


以上のように、現場の規模・対象物の性質・要求精度によって最適解は変わります。どちらか一方ではなく併用も視野に入れることで、欠点を補完し合うことも可能です。実際、多くの先進事例でレーザースキャナとドローン写真測量を組み合わせ、高精度かつ効率的なデジタルツイン構築が図られています。


スマホやLRTKなど最新の低コスト計測手法

近年、新たな選択肢としてスマートフォンを使った3D計測技術が注目されています。最新のiPhoneやiPad ProにはLiDARセンサー(赤外線レーザーによる測距)が内蔵されており、これを利用して周囲をスキャンするだけで数メートル範囲の点群データを取得可能です。さらにスマホにRTK-GNSS受信機を組み合わせることで、測位誤差数cm程度の高精度な位置情報まで付与できます。例えば、LRTK Phone(株式会社Lefixeaが開発するスマホ装着型GNSS受信機)をiPhoneに取り付ければ、従来は専用機器と複数人が必要だった3D測量がスマホ1台・1人だけで完結します。実際に、小規模な橋梁点検で作業員が橋桁下にiPhoneをかざし、内蔵LiDARで橋脚や桁の点群データを取得するといった使い方がすでに実用化されています。この際スマホにネットワーク型RTK受信機(LRTK Phoneなど)を装着することで測位精度を高め、取得点群にセンチメートル級の座標を付与できるため、精度管理も問題ありません。


スマホ計測の魅力は何と言っても手軽さと低コストにあります。一般に高精度3Dレーザースキャナの導入には莫大な初期投資が必要でしたが、スマホ測量であれば手持ちのスマートフォンに後付けのGNSS受信機を用意するだけで済みます。その初期費用はiPhone/iPad本体と高精度GNSS機器を合わせても約20万円程度~と試算されており、従来の測量機器に比べ桁違いに安価です。既にLiDAR対応のスマホを持っている場合はGNSS受信機の分だけで済み、一人一台配備しても予算負担になりにくい価格帯とされています。例えば先述の LRTK Phone は公表価格非公開ですが、「1人1台持てる超リーズナブルな価格」と謳われており、現場作業員全員に持たせて好きな時に計測させるといった運用も現実的です。


もちろんスマホ計測にも留意点はあります。スマホ内蔵LiDARの有効距離は5m程度とされ、広範囲の取得には端末を持って歩き回る必要があります。高い建造物は上部まで捉えきれないなどスケール面の制約もあります。また測量用途で使うにはある程度の操作訓練や誤差特性の理解も必要です。しかし現場で誰でも簡単に使え、必要な時にすぐ測れるツールであることは大きな利点です。小まめに測って逐次確認する運用がしやすく、測量のハードルを下げることで現場のDXを促進します。


総じて、スマホ+簡易GNSSというアプローチは「中小規模現場で即戦力となる測量ソリューション」として十分実用的なレベルに達しています。今後ますます性能が向上すれば、従来の写真測量・レーザー測量と併せて低コストな第3の選択肢として定着していくでしょう。


まとめ:点群と写真測量は目的に応じて使い分けよう

最後に、本記事のポイントをまとめます。


点群測量(レーザー)と写真測量は、一長一短の関係にあります。レーザー点群は高精度で複雑地形にも強く、重要構造物の詳細計測に適していますが、機材コストが高くデータ量も大きいです。写真測量は手軽で低コストに広範囲をカバーでき、カラー情報も取得できますが、光条件に左右され精度面で劣る場合があります。どちらが優れているかは利用目的と現場条件によって異なるため、「屋外の広範囲地形には写真測量」「精密さが要求される部分はレーザー測量」といった形で補完的に使い分けるのが理想です。最近ではスマホを活用したLRTKのような低コスト3D測量も登場し、状況に応じ柔軟に計測手法を選択できる時代となりました。


結論:「点群と写真測量、どっちを選ぶべきか?」という問いに対しては、現場のニーズに合わせて両者を上手に使い分けるべきというのが答えです。コスト重視でまず導入するなら写真測量から始め、徐々にレーザー機器を検討するのも良いでしょう。逆に高精度が絶対条件のプロジェクトでは迷わずレーザーを選び、必要に応じ写真データで補強する方法が考えられます。自社の業務内容や予算、要求精度に照らし、本記事の比較ポイントを参考に最適なソリューションを検討してみてください。現場に適した3D計測技術の導入が、皆様の業務効率化と品質向上に繋がることを願っています。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page