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点群を“試して”分かった!小さな現場でも大きな効果が出る理由

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AR Civil Engineering

はじめに – **点群**で現場が変わる?

近年、建設業界では点群と呼ばれる3次元データへの注目が高まっています。点群データとは、ドローンによる写真測量や地上レーザースキャナーなど3次元測量によって得られた、空間上の無数の点(ポイント)の集まりから構成されるデータのことです。それぞれの点は位置(X,Y,Z座標)や色などの情報を持ち、これらが集まることで地形や構造物の形状を精密に表現できます。いわば「現場を丸ごとコピーしたデジタルデータ」と言えるでしょう。


例えば、ある小規模な土木現場で試験的に点群計測を行ったところ、わずか30分程度で現場全体の3Dスキャンが完了し、その場で盛土量の算出までできたという報告があります。従来ドローン写真測量ではデータ処理に5時間以上を要していた工程が省略され、現場で即座に計測結果を活用できたのです。このように「試してみたら大きな効果があった!」という事例が増えており、小さな現場でも点群技術の恩恵を実感する声が広がっています。本記事では、点群とは何か、なぜ必要とされているのか、試行導入で得られた効果、導入ステップ、懸念事項とその解消策、そして手軽に試せる製品例まで、初心者にも分かりやすく解説します。現場の生産性と品質を大きく向上させるカギとなる点群技術、その理由に迫ります。


点群とは何か?初心者向けにやさしく解説

点群(点群データ)とは、一言でいうと「多数の点の集合で構成された3Dデータ」です。例えば地形や構造物の表面を、微細な点をペンキでマーキングしていくことを想像してください。その点の集まりをデジタル化したものが点群です。各点には正確な3次元座標(位置)が付与されており、必要に応じて色や強度(反射強度)などの情報も含まれます。こうした点の集まりを解析すると、以下のような特徴があります:


現場の形状をそのまま再現: 点群は現場をありのまま3次元で記録するため、地形の起伏や構造物の細部まで忠実に再現できます。例えば木や配管の複雑な形状も、従来の手測量では難しかった細部まで含めてデータ化可能です。

膨大な情報量: 数百万~数億点にも及ぶ点群データには膨大な位置情報が含まれます。一度に広範囲を測量し、後から任意の位置の距離・面積・体積をパソコン上で計測できます。人力では取りきれない細かな部分も含め、「取りこぼしのない測量」が実現します。

取得方法はいろいろ: 点群は専門の3Dレーザースキャナーで取得する方法が代表的ですが、近年はドローンで空撮した写真からソフトウェアで点群化(フォトグラメトリ)する方法や、スマートフォン・タブレットのLiDARスキャナー機能で手軽に取得する方法も登場しています。それぞれ精度や手間は異なりますが、用途や規模に応じた方法を選べるのも点群の利点です。


つまり点群とは、「現場のあらゆる地点の座標データを集めた宝庫」と言えます。これを使えばPC上で仮想的に現場に戻り、好きな箇所の寸法を測ったりシミュレーションしたりすることが可能になるのです。


なぜ今、点群が現場に必要になっているのか?

背景には大きく二つの要因があります。一つは業界全体の課題やニーズ、もう一つは技術の進歩です。


業界背景:生産性向上と働き手不足への対応

日本の建設業界では、熟練技術者の高齢化や若手不足による将来的な労働力不足が懸念されています。そこで国土交通省は2016年頃から「i-Construction」と呼ばれる取り組みを推進し、ICT(情報化技術)を活用して建設現場の生産性を2025年度までに2割向上させる目標を掲げました。この中で、3次元測量データである点群の活用は正確な出来形管理や効率的な施工計画に欠かせないものと位置付けられています。実際、ドローンや3Dレーザースキャナーで取得する点群データは、出来形管理要領にも盛り込まれ、設計3Dモデルとの照合や数量算出などに活用され始めています。「現場を立体的に可視化」して設計段階での土量算出精度を高めたり、施工後の維持管理に役立てたりすることが可能になりつつあるのです。


さらに、点群による3Dデータ活用は国の後押しもあり、今後は電子納品や検査において3D成果を提出するケースも増える見通しです。言い換えれば、「これからの現場管理に点群データは必須」という流れができてきています。大手だけでなく中小の建設会社や現場でも、点群を使いこなすことが競争力品質確保の面で重要になっているのです。


技術背景:手軽に扱える環境の整備

もう一つの理由は、技術革新によって点群を扱いやすくなったことです。従来、点群データは膨大で高性能なPCや特殊なソフトがなければ処理が難しく、「宝の持ち腐れ」になりがちでした。しかし近年、コンピュータの性能向上やソフトウェアの改良、クラウドサービスの発展により、大規模な点群データでもスムーズに処理・活用できる環境が整ってきました。例えば専用ソフトを使わずとも、ウェブブラウザ上で点群を表示したり計測できるクラウドビューアも登場しています。通信技術の進歩で大容量データをインターネット経由で共有することも容易になりました。


また、計測機器自体の小型・低価格化も見逃せません。以前は数百万円クラスの3Dレーザースキャナーが必要だった点群計測が、今やスマホやタブレット+小型機器で代用できるケースも出てきました。例えば後述するスマホ装着型のRTK-GNSS受信機などはポケットに入るサイズでありながらセンチメートル級測位を実現し、現場で手軽に点群スキャンや墨出しまで行える万能ツールになっています。こうした技術の民主化によって、「点群は難しい・高額」というハードルが徐々に下がり、小さな現場・企業でも導入しやすい状況が整いつつあるのです。


まとめると、業界の必要性と技術環境の両面が追い風となり、今まさに点群データ活用が現場で必要とされています。人手不足を補い生産性を上げる切り札として、そしてデジタル時代の新たな標準として、点群はこれからの施工管理に欠かせない存在となっていくでしょう。


試してみた!点群導入で得られた具体的な効果

実際に現場で点群を試行導入した事例から、どのような効果が得られたのか具体的に見てみましょう。工数短縮や品質向上、記録の充実、安全性確保など、様々なメリットが報告されています。


**工数の大幅短縮と即時活用**

冒頭でも触れたように、ある土工現場ではタブレット(iPad)のLiDAR機能と専用アプリを使い、標定点測量15分+スキャン15分の計30分で現場の点群データ取得が完了しました。従来のUAV写真測量では、現場撮影後にオフィスで写真を点群変換するだけで5時間程度かかっていたため、このプロセスを実質ゼロにできた計算です。加えて、取得直後にタブレット上で体積(盛土量)を算出し、その場で搬出入計画を立案できたことも大きな効果でした。このように点群計測を取り入れることで、「測って結果を得る」までのサイクルが飛躍的に短縮されます。現場で即座に出来形数量がわかれば、追加の材料手配や重機稼働計画をすぐ変更でき、待ち時間やムダを削減できます。まさにリアルタイム施工管理への一歩と言えるでしょう。


**測量精度の向上と品質確保**

点群データの活用により、従来より高精度な計測と品質管理が可能になった例も多く報告されています。例えば国土交通省の検証では、「1回のスキャンが約1分で完了し、その点群データ上で地面高や幅員、延長といった寸法を正確に採寸でき、施工計画に必要なデータの取り漏れが無くなった」ことが確認されています。これは、点群が現場のあらゆるポイントを網羅的に計測しているため、後から「あの箇所の測り忘れ」が起きにくいことを意味します。結果として設計・施工の精度が上がり、手戻りや追加測量の発生を抑えられます。


さらに点群は、各点に座標が付いていることから空間全体を正確に把握できるメリットもあります。で紹介されているように、「現場で行うあらゆる作業に必要なのが位置出しだから、全ての点に座標を持つ点群データには大きな魅力がある。パソコン上で現場を計測できるなんて非常に楽だ」との声もあります。要するに、点群があれば距離や面積、高さといった測定をデータ上で自在に行えるため、確認ミスや測り間違いを減らし品質管理の精度を高められるのです。


**3次元記録による情報共有と活用幅拡大**

点群データは単なる測量結果に留まらず、現場の3D記録として様々な目的に活用できます。例えば施工前後の地形を点群で記録しておけば、出来形検査の証跡として活用できるだけでなく、将来的なメンテナンス計画にも役立ちます。橋梁工事では、点群で橋の形状を取得しつつ、気になるひび割れや錆は写真に収めておけば、両者を座標付きでひも付けて保存することも可能です。後から点群上で写真を確認すれば、どの場所にどんな損傷があったか一目瞭然で、補修計画立案に威力を発揮します。


また点群データは3Dモデル化やVRシミュレーションにも活用可能です。取得した点群をもとに工事の段階的な進捗を可視化すれば、発注者や関係者との情報共有がスムーズになります。実際に「点群データを使った3Dモデルで設計者・施工者・発注者のコミュニケーションが円滑になった」という報告もあります。このように点群は現場のフルコピーですから、記録性という点でも優れ、かつそのデータを多方面に有効活用できるのです。


**安全性の向上**

従来、測量や出来形確認のために危険な斜面に入ったり高所に登ったりする場面がありました。しかし点群計測なら、離れた安全な位置から非接触でデータ取得が可能です。例えば高所作業車を使わず地上からレーザースキャンすれば、作業員が高所に上るリスクをなくせます。人が立ち入りにくい軟弱地盤や災害直後の現場でも、ドローンや遠隔計測で人が直接行かずに済むため、労働災害のリスク低減につながります。狭所での計測も非接触ゆえ容易で、結果として安全第一を徹底しながらデータ収集・管理が行えるようになります。


以上のように、点群データを試しに導入してみた現場からは、「短時間で広範囲をカバー」「精度が上がりミス減少」「記録として価値大」「安全に測量可能」といった声が多数聞かれます。小さな現場であっても効果は顕著で、「思い切って試してみて良かった」との評価につながっています。


実際に「試す」ために必要なものとは?

メリットが多いとはいえ、「実際に自分の現場で点群を試すには何が必要だろう?」と疑問に思う方もいるでしょう。幸い、最近は特別な大型機材がなくても点群を取得できる手段が増えてきました。小規模な導入であれば、以下のようなものを用意するだけで十分試せます。


スマートフォンまたはタブレット: 近年のiPhoneやiPad(Proモデル等)にはLiDARスキャナーが搭載されており、これを使って数m程度の範囲であれば高密度な点群スキャンが可能です。LiDAR非搭載の機種でも、カメラで複数枚撮影して点群化するアプリがあります。つまり手持ちのスマホ・タブレットが点群計測デバイスになり得るのです。

専用アプリ: 点群取得・処理には専用のアプリやソフトウェアを使用します。スマホ用にはLiDARスキャンアプリや写真測量アプリが各種あり、最近では土木向けに機能特化したものも登場しています。例えばあるアプリではスマホで撮影するだけで地形の点群を取得し、その場で土量計算まで可能です。初心者はまず無料版やトライアル版で操作感を掴むと良いでしょう。

小型GNSS受信機(オプション): より高精度な位置情報を付与した点群を得たい場合、RTK方式に対応した小型GNSS受信機を併用すると効果的です。スマホに取り付けて使える製品があり、これを使うとスマホ単体では数mの誤差が出る位置も数センチの精度で測位できます。例えば日本の準天頂衛星「みちびき」が配信するセンチメータ級補強サービス(CLAS)対応の受信機なら、携帯電波の届かない山間部でも衛星経由で高精度測位が可能です。必須ではありませんが、将来的に本格活用するつもりなら初期段階から導入を検討しても良いでしょう。

PCとネット環境: 取得した点群データを詳細に分析・活用するにはパソコンがあると望ましいです。ただし高性能ワークステーションは必ずしも必要ありません。最近は前述のとおりクラウド上で点群処理・閲覧が可能なサービスもあり、ウェブブラウザで計測や関係者共有ができます。データ量が多い場合はオフィスや自宅のWi-Fiでアップロード・ダウンロードすればOKです。まずは無料クラウドサービスなどを活用してみるのも手です。


以上を揃えれば、明日からでも自分の現場で点群計測を試すことができます。例えば「スマホ+専用アプリ」で試しに資材置き場の土砂量を測ってみるといった小さな一歩から始めてみましょう。最初は完全な精度が出なくても、点群取得・活用の流れを体験することが大切です。そこから得られた気付きが、本格導入への道を開くはずです。


小規模導入から本格運用へ――ステップ・バイ・ステップ

初めて点群を導入する際は、いきなり高価な機器を揃えて全工程に適用…という必要はありません。小さく始めて徐々に広げることが成功のコツです。以下に、現場への点群技術導入ステップの一例を示します。


スモールスタート(試行導入): まずは小規模な現場や作業でテスト的に点群計測を行ってみます。例えば一部の法面の出来形をスマホでスキャンし、従来手法の計測結果と比較するといった具合です。最初の目的は「使ってみる」ことにあります。少人数のチームでトライし、データ取得から処理・活用まで一連の流れを経験しましょう。

効果の検証と社内共有: 試行導入の結果、どの程度の時間短縮や精度向上が得られたかを検証します。可能であれば数値化し、「○○時間の削減」「ミスゼロ達成」など具体的な効果を社内で共有します。現場スタッフの感想や改善点も集めましょう。「点群のおかげで楽になった!」という生の声は、周囲の理解を得る大きな推進力になります。

段階的な適用拡大: 小さな成功体験を踏まえ、点群活用の範囲を広げていきます。次のプロジェクトでは、適用箇所を増やしたり別の用途(例:進捗管理や出来形検査)にも使ってみると良いでしょう。必要に応じて追加の機材導入も検討します。例えば試行段階ではスマホ単体だったが、本格運用に向けRTK-GNSS受信機を追加して精度を上げる、といった具合です。

標準化と運用体制の整備: 点群活用に手応えを感じたら、社内での運用体制を整備します。具体的にはマニュアルや手順書の作成、担当者の明確化、データ管理ルール(ファイル命名や保存場所の統一)などです。現場の新しい“当たり前”として根付かせるために、上長や他部門への説明も行いましょう。場合によっては社内勉強会や外部講師を招いた研修でスキル底上げを図るのも有効です。

全面展開・ブラッシュアップ: 最終的には複数現場・多数の社員が点群を使いこなせる状態を目指します。1人1台スマホを測量機に変えるような体制が実現すれば理想的です。運用しながらも定期的に振り返りを行い、課題改善や新技術の取り入れを続けます。例えばクラウドサービスを導入してデータ共有を円滑化したり、より高性能な機器が出れば試してみたりとアップデートを怠らないことが大切です。


以上のステップを踏むことで、「小さな一歩」が「会社全体の飛躍」につながっていきます。一足飛びに成果を求めず、漸進的にスケールアップしていくことで、無理なく点群技術を自社の強みにできるでしょう。


よくある不安とその解消策

新しい技術を導入する際には不安もつきものです。点群活用について現場の方々が抱きがちな懸念と、その解決策・考え方を整理してみます。


💰コストが高いのでは? 【不安】 「高額な3Dレーザースキャナーやソフトを買う余裕がない。小規模工事では投資に見合わないのでは」 【解消】 昔ながらのレーザースキャナーは確かに高価でしたが、今はスマホ+小型デバイス+アプリで始められる時代です。例えばスマホ装着型のRTK-GNSS受信機「LRTK Phone」の価格は、従来の測量機器に比べて格段にリーズナブルで、個人が購入できる範囲に収まっています。高機能な無料ソフトやクラウドサービスもあるため、初期投資を最小限に抑えて効果検証が可能です。効果が見えれば、その後の投資も決して無駄にはなりません。まずは安価な手段で小さく試し、費用対効果を見極めることが大切です。

🤖操作が難しそう 【不安】 「ITが苦手なのでうまく使いこなせるか心配。専門知識がないと扱えないのでは?」 【解消】 最近の点群計測ツールやアプリはユーザーフレンドリーに作られており、直感的な操作で使えるものが増えています。例えばスマホの点群スキャンアプリでは画面の指示に従って端末を動かすだけで誰でもスキャン可能です。また、先述のLRTKのように「専門知識がなくても誰でも座標付き点群スキャンができる」仕組みも登場しています。最初は戸惑うかもしれませんが、触っているうちに慣れるものです。若手社員と協力して操作習得するのも良いでしょう。現場で役立つツールであれば、皆すすんで覚えてくれるはずです。

📊データが重くて扱えないのでは? 【不安】 「点群データは容量が大きいと聞くし、高性能PCがないと無理では?」 【解消】 データ量は確かに大きくなりがちですが、扱い方次第です。範囲を限定すればスマホでも数十MB程度のデータになりますし、クラウドを活用してウェブ上で点群を確認・共有すれば手元のPCに高スペックは不要です。不要な部分を削減するフィルタリングやダウンサンプリング(間引き)といった処理も可能です。要は「重さを意識させない仕組み」が既に出てきています。心配な場合は、一度試しに小さな点群データを扱ってみて感覚を掴んでみましょう。

⚖️精度や信頼性は大丈夫? 【不安】 「簡易な機材で測って本当に正確なのか。従来の測量結果とズレが出ないか心配。」 【解消】 結論から言えば、使い方さえ適切なら高い精度を確保できます。例えばRTK-GNSSを併用したスマホ計測では、単点測位で±1~2cm程度、データ平均化すれば1cmを切る精度も実証されています。またドローン写真測量でも標定点をしっかり入れれば従来測量と同等の精度が得られることが確認されています。肝心なのは機器の校正や基準点チェックなどを怠らないことです。最初は念のため従来手法と併用し、結果を突き合わせて精度を検証すると安心でしょう。「データの信頼性を自分の目で確かめる」ことで不安は解消されていきます。

👥社内に浸透するか? 【不安】 「自分は良さを感じても、上司や同僚が受け入れてくれるか疑問。現場のやり方を変えるのは抵抗があるのでは。」 【解消】 新技術の導入には周囲の理解と協力が不可欠です。まずは小さな成功事例を社内で発信しましょう。「○○現場で点群を試したら作業時間が半減した」といった具体的な成果は、誰にとっても魅力的に映るはずです。実務者の間で静かなブームを呼んでいるLRTK Phoneのように、「1人1台あれば生産性が大幅向上しそうだ」という口コミが広がればしめたものです。また経営層にはコスト削減や品質向上のデータを提示し、現場からは「安全に作業できる」「若手にもアピールになる」など多角的なメリットを共有しましょう。最終的には「やってみたら便利だった」という経験が一番の説得力になります。地道に実績を積み重ね、点群活用が社内で当たり前になるよう働きかけていきましょう。


手軽に試せる製品紹介:**LRTK Phone**で始める高精度点群スキャン

 *iPhoneに装着したLRTK Phone。スマートフォンがセンチメートル級の高精度測位デバイスに変身する。ポケットに収まる手軽さだ。*


最後に、初心者でも手軽に点群計測を試せる製品の例として「LRTK Phone」をご紹介します。LRTK Phoneは東京工業大学発のスタートアップ企業・レフィクシア社が開発した、スマートフォン取り付け型の超小型RTK-GNSS受信機です。これをiPhoneやiPadに装着し専用アプリを使うことで、スマホがそのまま高精度の万能測量機に早変わりします。重量125g・薄さ13mmというポケットサイズながら、センチメートル級の測位精度を実現しており、1人1台いつでも持ち歩いて必要な時にすぐ測量や点群スキャンに使える手軽さが魅力です。価格も従来の測量機器に比べ非常にリーズナブルで、まさに「小規模な現場でも導入しやすい」ソリューションと言えるでしょう。


LRTK Phoneを使えば、これまで述べてきた点群活用のメリットをオールインワンで享受できます。同製品ならではの特徴をいくつか挙げてみます。


簡単・高速な点群スキャン: LiDAR搭載のiPhone/iPadとLRTKを組み合わせれば、高精度座標付きの3D点群を手軽にスキャンできます。自己位置を常にcm精度で把握しているため、歩行しながらのスキャンでも点群が歪まず安定した計測が可能です。取得後すぐに任意の2点間距離や体積を測定でき、そのまま盛土量計算も現場で完結します。重たいレーザースキャナーやノートPCを持ち運ぶ必要もなく、まさに「誰でもどこでも簡単に点群取得」を実現します。

クラウドでデータ共有・活用: LRTKアプリで取得した点群データはワンタップでLRTKクラウドにアップロード可能です。クラウド上の専用ビューアを使えば、普通のPCのブラウザでソフトをインストールすることなく点群を表示し、距離・面積・体積の計測まで行えます。また点群データ上に位置合わせされた写真も自動表示されるため、例えば点群で取得した構造物の表面に対し、その場で撮影したひび割れ写真を重ねて記録するといった高機能な使い方も可能です。データは必要に応じダウンロードしてCADソフト等に取り込むこともでき、従来の業務フローにもスムーズに接続できます。

多用途への対応: LRTK Phoneは点群計測だけでなく、墨出しや位置誘導、ARによる埋設物可視化など土木施工で役立つ幅広い機能を備えています。例えば、クラウド上に登録した設計上のポイントに現地で誘導する「座標誘導」機能を使えば、検査箇所をピンポイントで作業員に案内でき、位置出し作業の効率化につながります。将来的なAR活用も視野に入れ、現実空間に3Dモデルを重ねて確認するなど、最先端の施工管理を誰もが実践できるプラットフォームとなっています。


このようにLRTK Phoneは、「まずは自分で点群を試してみたい」という方にうってつけのソリューションです。小型スマホアクセサリ感覚で導入でき、大掛かりな準備も必要ありません。実際にLRTKを導入した現場からは「ポケットから取り出してすぐ測れる手軽さが良い」「若手でも遊び感覚でどんどん使いこなしている」と好評で、現場実務者の間で静かなブームとなっています。小規模な現場でも導入しやすいLRTKのようなツールをうまく取り入れることで、大手に負けない生産性と品質を実現できるでしょう。


おわりに

点群データの活用は、一見ハードルが高そうに思えるかもしれません。しかし、実際に“試して”みると小さな現場でも驚くほど大きな効果が得られることがお分かりいただけたかと思います。今やスマホ一つで始められる時代、従来の常識にとらわれず一歩踏み出すことで、測量・施工管理のスタイルが大きく変わります。


生産性向上や安全性確保がこれまで以上に求められる中、点群技術は現場の強力な味方です。ぜひ本記事を参考に、まずは身近なところから点群計測を試してみてください。その先に、これまで見えなかった効率化の道や新たな価値がきっと開けてくるはずです。現場の未来は、私たちの手で掴むことができます。点群という新しいツールを味方につけて、小さな現場から大きな変革を起こしていきましょう!


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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