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“測れない”をなくすスマホ測量|点群で変わる現場の見える化管理術

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AR Civil Engineering

現場で「ここは測れない…」と諦めていた場所も、スマホと点群技術があればもう大丈夫です。 本記事では、土木施工の実務者に向けて、スマートフォン活用の最新測量手法をご紹介します。複雑形状の法面や埋め戻し前の構造物、狭小空間など従来は測りにくかった対象を、スマホ×点群でどう「見える化」し、省人化出来形管理の高度化につなげられるか具体的に解説します。ぜひ「自分の現場でも使えるかも!」という視点で読み進めてみてください。


測れない範囲・対象・タイミングに共通する課題

土木の現場では測量が品質管理や出来形確認の要ですが、「ここはちょっと測れないな…」と感じる場面も多々あります。例えば 複雑な形状 をした岩盤や法面、あるいは大きな構造物の曲面などは、定規や巻尺、トータルステーションでは一部の点しか計測できず、全体の形状把握が困難でした。従来は図面化も難しく、職人の勘に頼った部分もあったでしょう。


また、配管や基礎を埋め戻す前に内部の状況を詳細に測っておきたい場合も課題です。埋め戻し前の限られた時間で寸法を記録しようとしても、人力では間に合わず粗い記録しか残せないことがありました。埋設後に問題が起きた際、「事前にもっと詳細を測っておけば…」と後悔するケースもあります。


さらに、トンネルの狭い坑内や床下の狭小空間、橋梁の裏側など、人が入り込めなかったり測量機器を設置しづらかったりする場所も「測れない」典型例です。無理に測ろうとすれば作業員の安全リスクが高まりますし、従来は測定自体を諦めていた箇所もあったでしょう。


以上のように、「測れない」には共通して アクセスしづらい・形が複雑・時間的制約 といった課題があります。では、それらをどう解決できるのか?ポイントは現場DXの鍵とも言われる点群データの活用です。次章では点群技術の基本と、スマホで扱える理由を見ていきましょう。


点群技術とは何か?スマホで扱える理由(LiDAR・RTK)

点群データとは、レーザースキャナや写真測量によって取得した無数の3次元点の集合体で、現場の地形や構造物をありのままデジタルに記録したものです。各点にはXYZ座標が含まれ、点の密集によって物の形状が再現されます。これにより図面では把握しきれない微細な凹凸まで再現でき、仮想空間上に現場の“デジタルツイン”を構築する基盤となります。点群を解析すれば、体積計算や変位の測定なども自在に行えます。


では、なぜ今スマホで点群計測が可能になっているのでしょうか? 大きな理由は センサー技術と測位技術の進歩 にあります。近年のスマートフォン(特にiPhoneやiPadの上位機種)にはLiDAR(ライダー)という光を用いた測距センサーが搭載され、周囲の形状を短時間で点群化できるようになりました。例えばiPhoneをかざして法面をスキャンすれば、数十万~数百万点の集合からなる3Dデータをその場で取得できます。


しかし、スマホ単体のGPSでは位置精度が数mと粗いため、そのままでは点群の座標も精度不足でした。そこで登場したのが RTK測位 です。RTK(Real Time Kinematic)とは衛星測位に基準局からの補正情報を加えることで、数cmの精度を実現する手法です。日本ではみちびき(準天頂衛星)によるCLAS補強サービスなどもあり、この高精度測位を安価に利用できる環境が整っています。


スマートフォン(写真はiPhone)に取り付ける小型デバイス「LRTK Phone」。アンテナ一体型のRTK-GNSS受信機で、スマホをセンチメートル級測位対応にアップグレードする。専用アプリを起動し、衛星補強信号を受信することで誤差2~3cm程度の高精度な位置座標が取得可能になります。スマホのLiDARで取得した点群一つひとつに、この高精度な位置情報が付与されるため、点群上で距離や体積を計算しても信頼できる精度が担保されます。まさに「スマホが高性能な測量機器に変身」するわけです。


このように スマホ+LiDAR+RTK の組み合わせにより、「複雑形状を高速に3D計測できるセンサー」と「それを既知座標に高精度で位置付けできる測位」が手のひらサイズに収まりました。専用のLRTKアプリを使えば、初心者でもボタン一つで測位・スキャンが行え、取得データは自動で地図座標系に変換されます。専門業者に依頼していた点群計測が自社スタッフのスマホ操作だけでできる時代となり、測量のハードルは大きく下がっています。


現場の「見える化」に点群がどう効くか(事例やユースケース)

スマホで手軽に取得できるようになった点群データは、現場の「見える化」に劇的な効果をもたらします。ポイントは ①現況の高精度な可視化、②設計との差異の把握、③情報共有の円滑化 です。


まず①について、点群を使えば現況をそのまま3Dモデル化できるため、複雑な形状や広範囲の地形も一目で把握できます。例えば法面をスマホでスキャンすれば、凹凸や傾斜を色付き点群で可視化でき、平面的な図面では見落とすような微妙な変形も認識できます。従来は2日かかっていた測量がドローン等で0.5日で完了した例もあり、大幅な省力化とスピードアップが実現します。


次に②の設計との差異把握では、点群データと設計3Dモデルを重ね合わせる手法が有効です。例えば出来形検査の場面で、施工中の構造物の点群に設計形状を重ねて表示すれば、「盛りすぎ」「削り足りない」といった箇所を色の違い(ヒートマップ)で直感的に示すことができます。最近ではタブレットの画面越しに現場映像にモデルを重ねるAR(拡張現実)技術も登場し、現地で完成イメージを透かし見ることも可能です。例えば鉄筋コンクリート構造物の施工中に完成モデルをAR表示すれば、出来形(進捗)を一目で把握し、計画との差を即座に確認できます。これにより手戻りの防止や品質確保がしやすくなります。


点群データをクラウド上で表示・計測している例。スマホで取得した道路周辺の点群に高精度座標が付与されているため、遠隔地の上司や発注者もブラウザ上で寸法確認が可能。例えば赤い点で示した区間の距離(約2.873m)や高さ(0.708m差)が即座に計測され、必要に応じて体積算出もその場で行える。点群データはこのように客観的な現場記録として共有でき、離れたオフィスから進捗を確認したり専門家がアドバイスしたりする遠隔支援も容易になります。


最後に③情報共有ですが、スマホ測量で得たデータはそのままクラウドに同期できる仕組みがあります。例えばLRTKクラウドにアップロードすれば、関係者全員がウェブ上で点群や写真を閲覧可能です。これにより「その場で測ってすぐ共有」が実現し、上長への報告や発注者への説明資料作成も格段に効率化します。メールで図面を送るより、3D点群を直接見てもらう方が状況を正確に伝えられるのは言うまでもありません。現場で起こった変化を即座に見える化し、チーム全体で情報を共有できる点群技術は、これからの施工管理に欠かせない武器となるでしょう。


スマホ測量の導入コスト・精度・運用ハードル(現場目線で)

最新技術とはいえ、「現場で本当に使えるの?」「予算や精度は大丈夫?」と不安に思う方もいるかもしれません。この章では、スマホ点群測量の導入コスト、要求精度、運用上のハードルを現場目線で整理します。


まず導入コストですが、従来の3Dレーザースキャナーが数百万円~数千万円するのに比べ、スマホ測量は圧倒的に低コストです。LiDAR搭載のスマートフォン自体は市販の範囲内ですし、LRTKの受信機デバイスも高額な測量機器より「超リーズナブル」と評されています。具体的な価格は仕様やオプションによりますが、1人1台持てる程度のコスト感で、現場の生産性向上に対する投資対効果は大きいでしょう。実際、「1人1台あれば生産性が大幅向上しそうだ」との声も現場から上がっています。加えてサブスクリプション型のプランも用意されており、初期費用を抑えて月額利用することも可能です。これなら小規模な現場や短期プロジェクトでも導入しやすくなっています。


次に精度面です。測位に関しては既に述べた通りRTK技術で水平誤差±1~2cm、鉛直誤差±2~3cm程度が実現できます。これは一般的な現場測量(例えば丁張り設置や出来形検測)に十分耐える精度です。点群そのものの精度は、LiDARの分解能やスキャン手法に依存しますが、近距離であればミリ単位の形状を捉えることも可能です。例えばコンクリートのひび割れ幅を点群で記録するといった応用も考えられており、現にスマホ写真+RTKでひび割れ調査を高精度化した事例もあります。注意点として、雨天や粉塵が多い環境ではレーザーが乱反射して精度低下する可能性があるため、天候条件は選ぶ必要があるでしょう。また、絶対精度を要する計測では、必要に応じて既知点での補正や平均測位機能で精度検証を行うのが望ましいです。


運用上のハードルについては、かなり低く抑えられていると言えます。まず機器重量は約125gと軽量でポケットに収まるサイズです。現場を移動しながら片手で操作でき、バッテリーも一日作業に耐える8時間駆動。アプリのインターフェースも直感的で、測位開始からデータ保存までワンタップで完結します。むしろ従来の測量機より扱いやすいくらいで、「誰でも簡単に操作できる」と評されています。強いて挙げれば、LiDAR搭載のスマホが必要な点でしょう。iPhoneで言えばPro系モデル(12 Pro以降)、iPadならProモデルが該当します。Android端末でも利用できますが、LiDAR非搭載機種では写真測量モードになるなど一部機能に制限があります。とはいえスマホ自体は汎用品なので、測量専用機のように「その機械が現場に1台しかなく他の人は使えない」という状況はありません。操作トレーニングも短時間で済むため、新人でも扱いやすく、属人化しにくいのもメリットです。


スマホ×LRTKで“測れない”が“測れる”になる現場とは

それでは、スマホ測量によって実際に「測れなかった」が「測れる」に変わった現場の一例をイメージしてみましょう。


ケース:狭小トンネル内の出来形計測 ある下水道工事では、直径数メートルの狭いトンネル内部の出来形測定に頭を悩ませていました。従来は人が入って巻尺で測れる一部の箇所しか確認できず、全周の形状や断面を正確に把握するのは困難でした。そこで現場担当者はiPhoneにLRTKデバイスを装着し、トンネル内を歩きながらぐるりとスキャンしてみました。すると、トンネル内壁の点群データが短時間で取得でき、直径や断面形状を隙間なく計測できたのです。狭隘な空間でも機器が小型なので取り回しが良く、三脚を据える必要もありません。後日、その点群をもとに出来形図を作成したところ、手計測では見逃していた微妙な膨らみや収縮も捉えられており、発注者からも「現場を丸ごと記録できていて安心だ」と評価されました。作業員は1名で済み、所要時間も大幅短縮。人が入れない・測れなかった空間を見事に攻略できたのです。


ケース:埋設前の構造物の形状確認 別の現場では、ボックスカルバートを設置して埋め戻す直前に、出来形管理として形状を点群計測しました。これまでは設置後すぐ埋戻しを行うため詳細計測は諦めていましたが、スマホ測量なら短時間で完了するため施工サイクルを乱しません。iPhoneのLiDARスキャンでカルバート周辺の地形と構造物露出部を記録し、LRTKで位置情報を付与してクラウド共有したところ、オフィスに居ながらにして監督員が点群をチェックすることができました。「もし将来周辺で地盤沈下が起きても、この点群データと比較すれば埋設物の状況を評価できる」と好評で、埋め戻し前の限られたチャンスを活かした計測として社内展開されることになりました。


このようにスマホ×LRTKによる点群計測は、従来は難しかった場面で威力を発揮します。複雑な鋼構造物の溶接部を360°死角なく計測したり、法面崩壊箇所を遠巻きにスキャンして安全に土量を算出したり、使い方次第で「測れない」を「測れる」に変えるシーンは数多く存在します。まさに現場の可能性を広げるテクノロジーと言えるでしょう。


まとめ:スマホ測量で「測れない現場」をゼロに

測れないをなくすスマホ測量」と題して、課題とソリューションを見てきました。スマホと点群技術を活用すれば、これまで諦めていた測定が可能になり、現場の見える化・省人化・出来形管理の高度化が実現できます。難しい専門知識がなくても扱えるため、現場DXの一歩目としても最適です。


特にLefixea社の LRTK Phone は、スマホを高精度測量機に変える強力なツールです。ポケットサイズで持ち運べ、ボタン一つで測位・点群スキャン・写真計測・杭打ち誘導など多彩な機能を提供してくれます。現場従事者に寄り添った設計で、「自分でも扱える」という安心感が得られるでしょう。


「測れない場所なんてもう無い」。そんな未来がすぐそこまで来ています。ぜひスマホ測量を味方につけて、あなたの現場でも新たなチャレンジを始めてみませんか。詳細な製品情報については、LRTK提供元であるレフィクシア社の公式ページも参照してみてください。現場の可能性を広げるスマホ点群測量を活用し、“測れない”ゼロの安全でスマートな施工管理を目指しましょう!


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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