top of page

送電線点検で建設機械との接触リスクを防ぐ5確認

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均7分15秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

送電線点検では、電線や鉄塔そのものの劣化、樹木との離隔、碍子や金具の状態だけでなく、周辺で行われる工事との関係を把握することが重要です。特に建設機械は、ブーム、アーム、クレーン、杭打ち機、ダンプ荷台、仮設足場などが高く、広く、予想外の方向へ動くため、送電線との接触や接近リスクを見落とすと重大事故につながるおそれがあります。点検の目的を「異常を見つけること」だけに限定せず、「接触が起きそうな条件を事前に減らすこと」まで広げて考えることで、巡視や現地確認の価値は大きく高まります。


目次

送電線点検で建設機械リスクを見る重要性

確認1 施工範囲と送電線の位置関係を現地で照合する

確認2 建設機械の可動範囲と最大高さを把握する

確認3 離隔、誘導、立入制限を現場で運用できる形にする

確認4 作業変化と一時的な危険条件を点検記録に残す

確認5 関係者間の情報共有と是正判断を早くする

送電線点検の接触リスク管理を継続的に改善する

まとめ


送電線点検で建設機械リスクを見る重要性

送電線点検というと、鉄塔、電線、架空地線、碍子、金具、基礎、接地設備、周辺樹木などを確認する業務を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし実務では、送電線そのものの状態だけでなく、送電線の近くで何が行われているかを把握することも同じくらい重要です。特に道路工事、造成工事、建築工事、河川工事、伐採作業、資材置場の整備などが送電線付近で行われる場合、建設機械が送電線へ接近する可能性があります。


接触リスクが厄介なのは、危険が常に目に見える形で固定されているわけではない点です。鉄塔や電線の位置は変わらなくても、建設機械の種類、作業姿勢、地盤高さ、仮設道路、資材の置き方、オペレーターの視界、誘導員の配置、当日の作業手順によって危険度は大きく変わります。前回の巡視では問題がなかった場所でも、数日後に大型機械が入り、盛土によって地面の高さが上がり、作業半径が送電線側へ広がれば、状況はまったく別物になります。


また、送電線への危険は、実際に電線へ触れる場合だけではありません。高電圧の送電線では、物理的な接触に至らなくても、近づきすぎること自体が危険になる場合があります。さらに、建設機械のブームや吊り荷だけでなく、長尺資材、測量用のポール、仮設材、足場部材、ダンプの荷台、作業員が持つ工具なども、条件によっては接近リスクの対象になります。現場で「機械が電線に触れていないから大丈夫」と判断してしまうと、見落としが生まれます。


そのため、送電線点検では、設備の状態確認に加えて、周辺工事の有無、作業内容、建設機械の動き、作業範囲の変化、関係者への注意喚起の状況を確認することが大切です。点検担当者は、送電線を守る視点と、工事関係者の安全を守る視点の両方を持つ必要があります。送電線の近くで作業する側は、必ずしも電力設備や離隔管理に詳しいとは限りません。だからこそ、点検時に危険の芽を早く見つけ、現場で共有し、必要な対策につなげることが求められます。


建設機械との接触リスクを防ぐには、単に「注意してください」と伝えるだけでは不十分です。送電線の位置、機械の可動範囲、作業員の動線、仮設物の配置、作業日程、天候、夜間作業の有無などを具体的に確認し、現場で実行できる対策へ落とし込む必要があります。この記事では、送電線点検で建設機械との接触リスクを防ぐために押さえたい5つの確認を、実務担当者向けに整理します。


確認1 施工範囲と送電線の位置関係を現地で照合する

最初に確認すべきことは、施工範囲と送電線の位置関係です。図面や工事計画書だけで判断するのではなく、現地で実際の位置を照合することが重要です。送電線は空中にあり、地上の道路、造成面、建物、仮囲い、資材置場との距離感がつかみにくい場合があります。平面図上では十分に離れているように見えても、斜面、盛土、仮設道路、作業ヤードの変更によって、実際の作業位置が送電線に近づいていることがあります。


送電線の位置関係を確認するときは、鉄塔の位置だけでなく、電線がどの方向へ通っているか、たるみによって高さがどう変わるか、径間の中央部がどこにあるか、工事用道路や作業ヤードがどの範囲まで広がるかを見ます。鉄塔付近だけを見て安全と判断してしまうと、鉄塔と鉄塔の間で電線が低く見える場所や、地形が高くなっている場所を見落とすことがあります。送電線点検では、点ではなく線として設備を捉えることが大切です。


工事の施工範囲は、当初計画と現場実態がずれることもあります。例えば、仮設道路が計画より送電線側に寄った、残土置場が追加された、資材搬入の都合でクレーンの据付位置が変わった、作業ヤードが狭くなり機械が送電線側へ旋回するようになった、ということは現場では珍しくありません。点検時には、掲示された施工範囲だけでなく、実際に重機が走っている跡、敷鉄板の配置、仮囲いの開口部、搬入路、資材の置き場を見ることで、作業がどこまで広がっているかを把握します。


また、施工範囲と送電線の位置関係は、時間の経過とともに変わります。造成工事では地盤面が上がったり下がったりします。掘削工事では、掘削底にいる機械よりも、搬出入や仮置きに使う機械の方が送電線に近づく場合があります。建築工事では、基礎工事、鉄骨建方、外装工事、設備工事の各段階で使用する機械や作業高さが変わります。送電線点検では、現在の状態だけでなく、次の工程で危険が増える可能性も見ておく必要があります。


現地照合で大切なのは、あいまいな距離感を残さないことです。「近いように見える」「多分問題ない」という印象だけでは、関係者に危険度を伝えにくくなります。可能であれば、確認した位置を写真、位置情報、メモ、図示などで残し、どの場所で、どの方向に、どのような建設機械が接近し得るのかを説明できるようにします。送電線と施工範囲の関係を具体的に残しておけば、後日の協議や是正依頼、巡視計画の見直しにも活用できます。


さらに、送電線の近くで作業する場合は、現場の作業員が送電線の存在をどれだけ認識しているかも確認します。送電線は見上げれば分かると思われがちですが、オペレーターは足元の掘削面、誘導員、吊り荷、周囲の作業員、搬入車両など多くの情報を同時に見ています。仮囲い、樹木、建物、地形によって電線が見えにくいこともあります。特に朝夕の逆光、雨天、夜間照明、山間部の樹林帯では、電線の視認性が落ちます。点検時には、現場の主な視点から送電線が見えているか、注意標識や目印が機能しているかも確認しておくとよいでしょう。


確認2 建設機械の可動範囲と最大高さを把握する

次に確認すべきことは、建設機械の可動範囲と最大高さです。送電線との接触リスクは、機械の現在位置だけでは判断できません。建設機械は、走行し、旋回し、ブームやアームを伸ばし、吊り荷を上げ下げし、作業姿勢によって到達範囲が変化します。そのため、点検時にたまたま安全な姿勢で停止している機械を見て「問題なし」と判断すると、実際の作業中に危険側へ動く可能性を見落とします。


確認すべき対象は、クレーンのように明らかに高く伸びる機械だけではありません。バックホウ、杭打ち機、高所作業車、コンクリート打設用の機械、基礎工事用の機械、ダンプ、トラック、資材搬入車両、長尺物を扱う作業車なども対象になります。ダンプの荷台を上げたとき、トラックに積んだ長尺材を荷下ろしするとき、足場材を人力で立てかけるときなど、通常走行時とは異なる姿勢で高さが増える場面があります。送電線点検では、機械名だけでなく、どの作業でどこまで上がるのかを確認する視点が必要です。


建設機械の可動範囲を把握するには、機械の据付位置、旋回半径、作業半径、吊り荷の振れ、アームの到達範囲、アウトリガーの配置、走行ルートを見ます。クレーン作業では、吊り荷そのものが送電線に近づくことがあります。風の影響で吊り荷が振れる場合、オペレーターが意図した位置より外側へ動く可能性もあります。バックホウでは、旋回時にアームやバケットが上空側へ出ることがあります。杭打ち機などでは、機械の組立や解体時に高い部材を扱うため、通常作業とは別のリスクが生じます。


最大高さを確認するときは、地盤面の高さも忘れてはいけません。送電線の地上高が十分にあるように見えても、盛土や仮設ステージ、橋梁上、法面上、堤防上などから作業する場合、機械の基準面が高くなります。逆に掘削底では低く見えても、掘削端部や搬出入路で機械が上がる場合があります。送電線点検では、機械の高さと地盤の高さを組み合わせて考えることが大切です。


また、建設機械の動きは、予定された作業だけでなく、段取り替えや待避、方向転換、整備、燃料補給、清掃、搬入出でも発生します。作業計画書では安全な位置に据え付ける予定でも、現場内で一時的に送電線側へ移動することがあります。点検時には、作業中の機械だけでなく、待機場所、退避場所、車両の転回場所、資材の仮置き場所も確認します。事故は本作業中だけでなく、準備や片付けの時間にも起こり得ます。


可動範囲の確認では、現場管理者やオペレーターへの聞き取りも有効です。ただし、聞き取りだけに頼るのではなく、現地の配置と照合する必要があります。「ここまでは旋回しない予定です」という説明があっても、現場の作業スペースが狭い、誘導員の立ち位置が悪い、資材が増えて通路が変わった、という条件があれば、予定どおりに動けない可能性があります。送電線点検では、計画上の安全と現場での運用可能性を分けて見ることが重要です。


さらに、建設機械が複数台ある場合は、機械同士の干渉も確認します。別の機械や車両を避けるために、オペレーターが送電線側へ旋回することがあります。誘導員が一台の機械に注意を向けている間に、別の車両が危険なルートを通ることもあります。複数業者が同じ現場で作業する場合、各社の作業範囲が重なり、誰が送電線リスクを管理するのか曖昧になることがあります。点検担当者は、機械単体ではなく、現場全体の動線としてリスクを捉えることが求められます。


確認3 離隔、誘導、立入制限を現場で運用できる形にする

送電線と建設機械の接触リスクを防ぐには、必要な離隔を確保することが基本です。ただし、離隔は机上で決めるだけでは意味がありません。現場の作業員が理解し、日々の作業の中で守れる形にする必要があります。送電線点検では、離隔の考え方が現場に伝わっているか、誘導や立入制限が形だけになっていないかを確認します。


危険な現場では、送電線に近づかないための境界が不明確なことが多いです。作業員は「このあたりから危ない」と聞いていても、実際にどこまで機械を入れてよいのか、どの方向へ旋回してよいのか、どの高さまで荷を上げてよいのかが分からないことがあります。特に広い造成地や資材置場では、地面に明確な目印がないと、日によって機械の位置が少しずつ送電線側へ寄っていきます。点検時には、現場で境界が見える形になっているかを確認することが重要です。


立入制限を設ける場合は、単にカラーコーンやロープを置くだけでは不十分な場合があります。強風で動く、車両に踏まれる、夜間に見えにくい、資材搬入で一時的に外される、作業員が近道として通ってしまう、といったことが起こります。点検では、立入制限の表示が現在も有効か、現場の動線に合っているか、作業員が守っているかを確認します。形式上の区画があっても、実際に機械が越えているなら対策として機能していません。


誘導員の配置も重要です。建設機械のオペレーターは、足元や作業対象物に集中しているため、上空の送電線を常に確認し続けることは難しい場合があります。誘導員が送電線側のリスクを見ていれば安全性は高まりますが、誘導員の立ち位置が悪い、合図が統一されていない、別の作業に気を取られている、オペレーターから見えない位置にいる、という状態では効果が下がります。送電線点検では、誘導員が配置されているかだけでなく、送電線と機械の両方を見通せる場所にいるかを確認します。


また、現場でよく起こる問題として、送電線リスクが朝礼や書類では共有されていても、途中から入場した作業員や臨時の運転手に伝わっていないことがあります。短時間だけ資材を搬入する車両、別業者の作業員、応援のオペレーター、初めて現場に入る人ほど、周辺の送電線に気づきにくいものです。点検時には、入場時教育、作業前確認、当日の危険予知活動などで、送電線への接近注意が具体的に扱われているかを見ることが大切です。


離隔管理では、空間を三次元で考える必要があります。地上の境界だけでなく、上空の危険範囲をどう認識させるかがポイントです。地面に線を引いても、ブームや吊り荷はその線を越えて動くことがあります。機械の本体が安全な位置にあっても、アームや荷が送電線側へ出れば危険です。したがって、点検時には「機械本体がここまで入らなければよい」という考え方だけでなく、「可動部や吊り荷を含めてどこまで接近するか」を確認する必要があります。


現場で運用できる対策にするためには、禁止事項だけでなく、どうすれば安全に作業できるかを明確にすることも大切です。例えば、機械の据付位置を送電線から離す、旋回方向を制限する、吊り荷の移動経路を変える、長尺材の保管向きを変える、資材搬入ルートを調整する、作業時間を分ける、送電線付近では小型機械や人力作業に切り替える、といった選択肢があります。点検担当者は、現場の作業を止めることだけを目的にするのではなく、接触リスクを下げながら作業を継続できる条件を関係者と共有する姿勢が必要です。


確認4 作業変化と一時的な危険条件を点検記録に残す

送電線点検で建設機械との接触リスクを見る場合、記録の残し方も重要です。設備の損傷や異常であれば、写真を撮って位置を記録することが比較的分かりやすいですが、建設機械リスクは「その時点の作業状況」に左右されます。点検時に危険が見えたとしても、数時間後には機械が移動しているかもしれません。逆に、点検時には問題がなくても、翌日に大型機械が入る場合もあります。そのため、作業変化と一時的な危険条件を記録に残すことが大切です。


記録すべき内容は、送電線との位置関係、建設機械の種類、作業内容、機械の向き、可動範囲、作業ヤードの範囲、立入制限の状況、誘導員の有無、注意喚起の状況、現場で聞き取った今後の工程などです。特に、どの場所でどの機械がどの方向へ動くと危険なのかを残しておくと、後から見た人にも状況が伝わりやすくなります。写真だけを残しても、撮影方向や危険の意図が分からなければ、記録として十分ではありません。


写真記録では、送電線、建設機械、地上の目印、周囲の地形や仮設物が同時に分かるように撮影することが望ましいです。ズームした写真だけでは距離感が伝わらず、広角写真だけでは危険箇所が分かりにくい場合があります。全景、機械の配置、送電線の方向、危険箇所の近景を組み合わせると、状況を説明しやすくなります。撮影位置や撮影方向も記録できれば、後日同じ場所を再確認しやすくなります。


一時的な危険条件として見落としやすいのは、天候と時間帯です。強風時には吊り荷や長尺材が振れやすくなります。雨天時には視界が悪くなり、足場や地盤の状態も変わります。霧や雪、夕方の薄暗さ、夜間照明の影、逆光などで送電線が見えにくくなることもあります。送電線点検では、設備の状態だけでなく、作業時に視認性が低下する条件を記録しておくと、現場への注意喚起に役立ちます。


また、工程の変わり目はリスクが高まりやすい時期です。造成が完了して次の工種に移るとき、基礎工事から建方へ移るとき、資材搬入が集中するとき、仮設物を撤去するとき、大型機械を搬入または搬出するときは、通常と異なる動きが発生します。点検時に現場管理者から工程予定を聞き取れる場合は、いつ、どの機械が、どの場所で作業する予定なのかを記録しておくとよいでしょう。今は安全でも、次工程で危険が増えるなら、早めの調整が必要です。


点検記録は、後から責任を追及するためだけのものではありません。現場の安全対策を継続するための情報共有資料です。担当者が交代した場合、別の巡視員が確認する場合、工事関係者と協議する場合、社内で判断を仰ぐ場合に、記録が具体的であれば対応が早くなります。逆に、「現場注意」「重機あり」だけの記録では、どこが危険で何をすべきかが分かりません。送電線点検では、次の行動につながる記録を意識することが重要です。


さらに、是正後の確認も記録に残す必要があります。危険を指摘した後、立入制限が設置された、機械の据付位置が変更された、誘導員が追加された、作業手順が変更された、資材置場が移された、といった改善が行われた場合、その結果を残します。指摘だけで終わると、リスクが実際に下がったかどうかが分かりません。点検記録は、発見、共有、対策、確認の流れを残してこそ、接触リスク防止に役立ちます。


確認5 関係者間の情報共有と是正判断を早くする

送電線と建設機械の接触リスクは、点検担当者だけで解決できるものではありません。送電設備を管理する側、工事を発注する側、施工する側、現場管理者、オペレーター、誘導員、資材搬入業者など、多くの関係者が関わります。そのため、リスクを見つけたときに、誰へ、どの情報を、どの速さで共有するかが重要になります。


危険な状況を見つけた場合、まず必要なのは、現場で即時に伝えるべき内容と、組織として判断すべき内容を分けることです。明らかに送電線へ接近している、機械が危険範囲で作業している、立入制限が破られている、作業員が送電線を認識していない、といった場合は、現場での注意喚起や作業停止を含む迅速な対応が必要になることがあります。一方で、今後の工程でリスクが高まる、施工範囲が送電線側へ広がる予定がある、対策方法を協議する必要がある、といった場合は、関係者間で調整して対策を決める必要があります。


情報共有で重要なのは、抽象的な表現を避けることです。「危ないかもしれません」だけでは、現場は何を直せばよいか分かりません。「送電線下のこの範囲で、ブームを送電線側へ旋回すると接近する可能性があります」「この搬入ルートでは荷台を上げる位置が送電線に近くなります」「次工程で長尺材を扱う場合、現在の資材置場では危険側に作業が広がります」のように、場所、機械、動き、起こり得る事象を具体的に伝えることが大切です。


関係者間の連絡体制も確認しておく必要があります。点検担当者が現場でリスクを見つけても、誰に連絡すればよいか分からない、現場責任者が不在、発注者と施工者の窓口が分からない、社内判断に時間がかかる、という状態では対応が遅れます。送電線付近で工事が行われる場合は、事前に連絡先、緊急時の対応手順、協議窓口を整理しておくことが望ましいです。点検時には、現場掲示や入場管理から責任者を確認できるかも見ておくとよいでしょう。


是正判断を早くするには、危険度に応じた対応の目安を持つことも重要です。すべての気になる状況を同じ緊急度で扱うと、現場が混乱します。逆に、明らかな接近リスクを通常の報告フローに乗せるだけでは、対応が間に合わない場合があります。現場で即時対応が必要な状態、当日中に是正したい状態、次工程前に協議すべき状態、継続監視でよい状態を整理しておくと、点検担当者も判断しやすくなります。


情報共有では、工事側にとっての作業事情も理解することが大切です。現場には工程、搬入時間、作業スペース、人員、機械手配などの制約があります。送電線側から一方的に注意を伝えるだけでは、実行できない対策になることがあります。例えば、機械を遠ざけるには作業ヤードの組み替えが必要かもしれません。吊り荷経路を変えるには資材置場の変更が必要かもしれません。作業時間を分けるには工程調整が必要かもしれません。安全上必要な条件を明確にしつつ、現場で実行可能な形に落とし込むことが、実効性のある対策につながります。


また、送電線点検の結果を社内だけに閉じず、必要に応じて工事関係者へ分かりやすく共有することも大切です。写真に簡単な説明を付ける、位置を示した記録を残す、危険な動きと避けるべき動きを文章化する、次回確認日を決めるなど、共有の方法を工夫すれば、現場全体で同じ認識を持ちやすくなります。特に複数の協力会社が出入りする現場では、口頭連絡だけでは情報が抜け落ちます。記録として残し、関係者が見返せる状態にすることが重要です。


送電線点検の接触リスク管理を継続的に改善する

建設機械との接触リスクを防ぐ取り組みは、一度確認すれば終わりではありません。送電線付近の工事は日々変化します。作業場所、機械、工程、仮設物、人員、搬入車両、天候が変わるため、継続的な点検と見直しが必要です。特に長期工事では、初期段階では安全に管理されていても、工程が進むにつれて対策が形骸化することがあります。送電線点検では、過去の確認結果を前提にしすぎず、現場が今どうなっているかを見る姿勢が重要です。


継続的な改善の第一歩は、リスクが高い場所を把握し、巡視頻度や確認項目に反映することです。送電線の高さが低く見える場所、施工ヤードが近い場所、道路や搬入路が交差する場所、資材置場が近い場所、地盤高さが変わる場所、工事の工程が頻繁に変わる場所は、注意すべきポイントになります。毎回同じルートをただ巡視するのではなく、工事の進み具合に合わせて重点確認箇所を変えることで、見落としを減らせます。


次に、過去の指摘やヒヤリとした事例を活用します。送電線点検で見つかった小さな接近、立入制限の乱れ、誘導不足、資材の仮置き、視認性の低下などは、重大事故の手前にある兆候です。こうした情報を蓄積し、似た現場で事前に注意することで、再発を防ぎやすくなります。単発の指摘として処理するのではなく、「なぜその状態になったのか」「どの工程で起きやすいのか」「次はどこで起こり得るのか」を考えることが大切です。


点検担当者の視点をそろえることも改善につながります。担当者によって、設備異常には詳しいが建設機械の動きには詳しくない、あるいは工事現場は見慣れているが送電線の離隔リスクには不慣れ、という差が出ることがあります。確認項目、記録の取り方、写真の撮り方、危険と判断する目安、関係者への伝え方を共有しておくと、点検品質が安定します。属人的な経験だけに頼るのではなく、誰が見てもリスクを判断しやすい仕組みにすることが重要です。


現場の見える化も有効です。送電線の位置、鉄塔番号、施工範囲、危険な接近箇所、資材置場、重機の動線、立入制限の範囲などを記録として整理できれば、関係者間で認識を合わせやすくなります。紙の図面や口頭説明だけでは、現場の最新状況を共有しきれない場合があります。位置情報付きの写真や現地メモを活用し、いつ、どこで、何を確認したかを残すことで、点検結果を次の行動につなげやすくなります。


また、送電線点検では、異常が起きた後の対応だけでなく、工事が始まる前の段階から関与できると効果的です。事前協議の段階で施工範囲、機械の種類、搬入ルート、仮設計画、工程を確認できれば、危険な配置を避けやすくなります。工事開始後に現場を大きく変更するより、計画段階で安全な作業ヤードや機械配置を検討する方が、現場の負担も小さくなります。点検担当者が事前情報を得られる仕組みを作ることは、接触リスク低減に直結します。


継続的な改善で忘れてはいけないのは、現場の実態に合わせて対策を更新することです。最初に決めた立入制限や誘導方法が、工程の進行後も最適とは限りません。仮設道路が変われば、機械の動きも変わります。資材置場が増えれば、旋回スペースが狭くなります。作業高さが変われば、送電線への接近条件も変わります。点検のたびに「前回の対策は今も機能しているか」を確認することで、対策の形骸化を防げます。


まとめ

送電線点検で建設機械との接触リスクを防ぐには、送電設備だけを見るのではなく、周辺工事の動きまで含めて現場を立体的に把握することが重要です。施工範囲と送電線の位置関係を現地で照合し、建設機械の可動範囲と最大高さを確認し、離隔や誘導、立入制限が実際に運用できる状態になっているかを見る必要があります。さらに、作業変化や一時的な危険条件を記録し、関係者間で早く共有して是正につなげることが、事故防止に直結します。


接触リスクは、必ずしも目立つ形で現れるとは限りません。点検時には安全に見えた現場でも、翌日の工程変更、大型機械の搬入、資材置場の移動、天候悪化、夜間作業によって危険度が高まることがあります。だからこそ、送電線点検では「今見えている状態」だけでなく、「次に起こり得る動き」を想像する視点が欠かせません。建設機械の本体だけでなく、ブーム、アーム、吊り荷、長尺材、仮設材、ダンプ荷台など、上空へ伸びるものを幅広く対象にすることが大切です。


実務では、危険を見つける力と同じくらい、伝える力も求められます。どの場所で、どの機械が、どの方向へ動くと、どのような接近リスクがあるのかを具体的に伝えられれば、現場管理者やオペレーターも対策を取りやすくなります。点検記録に写真、位置、作業内容、今後の工程、是正状況を残しておけば、担当者交代や関係者協議の場面でも情報が途切れにくくなります。


送電線点検は、設備の異常を探すだけの業務ではありません。周辺で行われる工事や建設機械の動きを把握し、接触リスクを事前に下げる安全管理の入口でもあります。現場の変化を早くつかみ、関係者と同じ認識を持ち、記録をもとに継続的に改善することで、送電線と建設機械の接触事故を未然に防ぎやすくなります。


こうした点検をより確実に進めるには、現場で確認した位置や写真をその場で記録し、後から共有しやすい形に残すことが役立ちます。送電線、建設機械、施工範囲、危険箇所の関係を現地で分かりやすく残せれば、判断と共有の速度が上がります。日々変化する工事現場で、送電線点検の精度と伝達力を高めたい場合は、現場記録を支える選択肢としてPhoneの活用へつなげて検討できます。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page