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地震後の送電線点検で優先確認したい7つの箇所

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

地震後の送電線点検では、停電の有無だけでなく、設備に残った変形、緩み、沈下、接触リスク、周辺地盤の変化を早期に把握することが重要です。送電線は広い範囲に連続して設置されているため、一見すると異常がない区間でも、鉄塔基礎、碍子、電線、支持金具、周辺斜面などに変化が生じている場合があります。特に地震直後は余震、土砂崩れ、倒木、道路寸断、電気的危険なども考慮しながら、優先順位を決めて点検する必要があります。


目次

地震後の送電線点検でまず確認すべき基本姿勢

箇所1 鉄塔本体の傾き・変形・部材損傷

箇所2 鉄塔基礎と周辺地盤の沈下・亀裂

箇所3 電線のたるみ・断線・素線切れ

箇所4 碍子装置と支持金具のずれ・破損

箇所5 ジャンパ線と接続部の異常

箇所6 架線下と周辺樹木・構造物の接近

箇所7 巡視路・斜面・保守作業環境の安全性

地震後点検を記録と次回対策につなげる考え方


地震後の送電線点検でまず確認すべき基本姿勢

地震後の送電線点検では、通常巡視と同じ感覚で現場に入るのではなく、まず広域的な被害状況を把握したうえで、重要度の高い区間から確認する姿勢が欠かせません。送電線は電力供給を支える重要設備であり、異常を見落とすと停電の長期化や二次被害につながるおそれがあります。一方で、点検員が危険な場所へ無理に立ち入ると、余震、落石、地割れ、倒木、電気的危険などのリスクを受ける可能性があります。そのため、早く見ることと安全に見ることの両立が重要です。


地震直後は、運用情報、保護装置の動作状況、停電範囲、震度分布、地形条件、過去に被害を受けた区間などを組み合わせて、優先点検区間を整理します。山間部、河川横断部、斜面地、軟弱地盤、盛土や切土に近い鉄塔、道路や重要施設に近接する区間は、地震の影響を受けやすい可能性があります。すべてを一度に詳しく見るのではなく、まずは重大な異常の有無を確認し、その後に詳細点検や復旧計画へ進める流れが現実的です。


点検時には、目視確認だけで判断を完結させないことも大切です。鉄塔の傾きや電線のたるみは、離れた位置から見ると分かりにくい場合があります。地上からの確認、複数方向からの観察、過去写真との比較、記録値との照合を行うことで、地震前との違いを見つけやすくなります。特に軽微な変形やボルトの緩み、金具のずれ、基礎周辺のひび割れは、通電状態にすぐ影響しない場合でも、その後の風雨や余震で悪化することがあります。


また、地震後点検では、異常を見つけることだけでなく、異常が確認されなかった範囲を明確に残すことも重要です。どの鉄塔を、いつ、誰が、どの位置から確認し、何を異常なしと判断したのかを記録しておくと、後続の点検や復旧判断に役立ちます。写真の撮影方向、鉄塔番号、確認対象、周辺状況をそろえて記録すれば、後日見返したときにも状況を追いやすくなります。地震後は情報が錯綜しやすいため、記録の粒度を最初に決めておくことが、点検品質の安定につながります。


箇所1 鉄塔本体の傾き・変形・部材損傷

地震後の送電線点検で最初に優先したい箇所の一つが、鉄塔本体です。鉄塔は送電線を支える中心設備であり、傾きや変形が生じると、電線張力、碍子装置、ジャンパ線、隣接径間の状態にも影響します。外観上は大きな損傷が見えなくても、主柱材、斜材、水平材、接合部に変形や座屈が生じている場合があります。特に強い揺れを受けた地域では、鉄塔全体の姿勢を複数方向から確認し、地震前と比べて違和感がないかを丁寧に見る必要があります。


鉄塔の傾きは、正面から見ただけでは判断しにくいことがあります。山間部や斜面地では、地形そのものが傾いているため、目視だけで垂直性を判断すると誤認につながる場合があります。離れた位置から全体を確認し、可能であれば複数の視点から鉄塔の姿勢、腕金の水平感、隣接鉄塔との並びを比較します。鉄塔番号や過去の点検写真がある場合は、同じ方向から撮影した画像と見比べることで、変化を把握しやすくなります。


部材損傷では、曲がり、ねじれ、座屈、亀裂、変色、塗装剥離、接合部の開きなどに注意します。地震の揺れによって部材に力が加わると、局所的に変形が出ることがあります。鉄塔全体が倒壊していなくても、一部の部材が変形していれば、構造上の余裕が低下している可能性があります。特に主柱材や腕金まわり、電線荷重を受ける部位は、見落としを避けたい箇所です。


ボルトやナットの緩み、脱落、座金のずれも確認対象です。地震動による振動で接合部に影響が出る場合があるため、見える範囲で締結部の状態を確認します。ただし、地震直後に昇塔点検を行うかどうかは、設備状態、通電状態、天候、余震状況、作業許可、社内手順を踏まえて慎重に判断する必要があります。地上から異常が疑われる場合は、詳細点検の必要性を記録し、関係部署と共有することが望ましいです。


鉄塔本体の確認では、単に「倒れていない」だけで安全と判断しないことが大切です。送電線設備では、わずかな変形が電線間隔や絶縁距離、部材応力に影響する場合があります。地震後は、外観異常の有無、変形箇所、写真、周辺地盤の状態を一体で記録し、必要に応じて詳細調査へつなげます。初動点検では、危険度が高い異常を早く拾い上げる視点が重要です。


箇所2 鉄塔基礎と周辺地盤の沈下・亀裂

鉄塔本体と同じくらい重要なのが、鉄塔基礎と周辺地盤の確認です。地震では地盤が揺さぶられ、沈下、隆起、地割れ、法面崩壊、液状化、排水不良などが発生することがあります。鉄塔の上部に目立った異常がなくても、基礎まわりの地盤が動いていると、時間の経過とともに傾きや部材負担が表面化する可能性があります。特に山地、河川沿い、造成地、盛土部、軟弱地盤に設置された鉄塔では、基礎周辺の変化を優先して確認したいところです。


基礎周辺では、まず地表面の亀裂や段差を確認します。鉄塔脚の近くに新しいひび割れがないか、地面が沈み込んでいないか、雨水がたまりやすい状態になっていないかを見ます。ひび割れが鉄塔脚に向かって伸びている場合や、基礎の周囲に隙間が生じている場合は、地盤が動いた可能性があります。亀裂の幅や長さだけでなく、方向、深さの印象、周囲の沈下状況を記録することで、後続調査の判断材料になります。


基礎コンクリートのひび割れ、欠け、浮き、鉄筋露出、アンカーボルト周辺の異常も見落とせません。地震前から存在していた劣化と、地震後に新たに生じた損傷を区別することは簡単ではありませんが、写真記録や過去点検結果と照合することで判断しやすくなります。新しい割れは色や汚れの付き方が周囲と異なることがあります。ただし、外観だけで安全性を断定するのは避け、異常の疑いがあれば詳細確認に回す姿勢が必要です。


斜面地では、鉄塔の上側と下側で地盤の動きが異なる場合があります。斜面上部の亀裂、斜面下部の押し出し、湧水、落石、樹木の傾きなどは、地盤変状の手がかりになります。地震直後は崩れていなくても、余震や降雨で崩壊が進むことがあります。そのため、鉄塔脚だけを見て終わるのではなく、安全に確認できる範囲で周辺地形の変化にも注意します。安全に接近できない場合は、無理に近づかず、離れた位置から写真と位置情報を残すことが大切です。


基礎と地盤の点検では、時間経過による変化を追える記録が特に有効です。初回点検で亀裂が小さくても、その後に拡大する可能性があります。写真には比較対象となる物差しや目印を入れ、撮影位置をできるだけそろえておくと、再点検時に変化を判断しやすくなります。地震後の送電線点検では、基礎まわりを設備点検と土木的な視点の両方で見ることが重要です。


箇所3 電線のたるみ・断線・素線切れ

地震後の送電線点検では、電線そのものの状態も優先して確認します。地震により鉄塔や地盤が動くと、径間ごとの張力やたるみに変化が出る場合があります。また、倒木、落石、建物の損壊物、飛来物が電線に接触した可能性もあります。電線の異常は停電や事故につながるおそれがあるため、遠方から全体の線形を確認し、必要に応じて詳細な観察へ進めることが重要です。


まず確認したいのは、電線のたるみが通常と比べて大きく変化していないかです。隣接径間と比べて極端に低く見える箇所、左右の相で高さがそろっていない箇所、地上物との離隔が小さく見える箇所は注意が必要です。地震により鉄塔の位置や姿勢が変わると、電線の見え方にも違いが出ます。気温や負荷状況によってたるみは変化するため、見た目だけで断定せず、異常の疑いとして記録し、必要に応じて測定や詳細確認につなげます。


断線や素線切れの確認では、電線表面の乱れ、ほつれ、垂れ下がり、変色、異物付着を見ます。完全な断線であれば異常は明確ですが、部分的な素線切れは遠目では見つけにくいことがあります。太陽光の角度、背景の色、距離によって見え方が変わるため、複数方向から観察することが有効です。特に道路、河川、谷、建物、樹木を横断する場所では、外部からの接触や落下物の影響を受けやすい場合があります。


地震後は、電線同士の接近や相間距離の変化にも注意します。鉄塔や碍子装置の角度が変わると、通常とは異なる揺れ方や近接状態が生じる可能性があります。強風時に接近しやすい状態になっていないか、ジャンパ線や腕金まわりとの離隔に違和感がないかを確認します。すぐに異常が発生していなくても、余震や風で状態が悪化する場合があるため、疑わしい箇所は早めに共有する必要があります。


電線に異物が引っかかっている場合も注意が必要です。地震によって屋根材、シート、看板、樹木片などが移動し、電線や支持物に接触することがあります。異物が通電部に近い場合、安易に除去しようとするのは危険です。点検員が直接対応するかどうかは、設備の状態、電気的な危険、作業手順を踏まえて判断しなければなりません。現場では位置、対象相、異物の種類、接触の有無を記録し、指示系統に沿って対応します。


箇所4 碍子装置と支持金具のずれ・破損

碍子装置と支持金具は、送電線を安全に支持し、鉄塔との絶縁を保つ重要な箇所です。地震後には、碍子の割れ、欠け、汚損、金具の変形、ピンの抜け、取付角度のずれなどを確認します。碍子や金具の異常は、すぐに外観へ大きく現れないこともありますが、放置すると絶縁性能や支持性能に影響する可能性があります。特に揺れが大きかった地域や、鉄塔に強い横揺れが加わったと考えられる区間では、優先度を高めて確認したい箇所です。


碍子の確認では、連なりの角度、欠け、ひび、表面の異常、付着物を見ます。地震そのものによる揺れだけでなく、電線や金具の振動、周辺からの飛来物によって損傷する可能性があります。遠方からの目視では細かなひびを判断しにくいため、まずは明らかな欠損や角度の異常を拾い上げ、疑わしい場合は詳細点検の対象にします。碍子の並びが不自然に曲がっている、通常より引っ張られているように見える、隣接相と比較して位置が違う場合は注意が必要です。


支持金具では、アームへの取付部、クランプ、ピン、ボルト、連結部の状態を確認します。地震により電線が大きく揺れた場合、金具に繰り返し力が加わり、ずれや変形が起こることがあります。割ピンや抜け止め部品の異常は、小さな部品であっても設備全体の信頼性に関わります。地上から確認できる範囲に限界はありますが、写真を拡大して確認できるよう、できるだけ対象が判別できる角度で記録することが望ましいです。


碍子装置の異常は、鉄塔本体や電線の異常と連動していることがあります。鉄塔がわずかに傾いた場合、碍子装置の角度が変わり、電線の荷重のかかり方も変化します。地盤沈下により鉄塔脚の高さ関係が変わると、支持点の位置が変わる可能性もあります。そのため、碍子だけを単独で見るのではなく、鉄塔の姿勢、電線のたるみ、隣接径間の状態と合わせて判断します。


また、地震後に雨、塩分、粉じん、火山灰などの影響が重なる地域では、碍子表面の汚損にも注意します。地震で周辺環境が乱れた後、表面に汚れが付着すると、気象条件によっては絶縁面の状態が悪化することがあります。すぐに重大異常と判断できない場合でも、汚損や破損の可能性がある箇所は記録し、必要に応じて清掃や交換などの対応判断につなげます。


箇所5 ジャンパ線と接続部の異常

ジャンパ線と接続部は、地震後の送電線点検で見落としたくない箇所です。ジャンパ線は鉄塔まわりで電気的な接続を保つ部分であり、形状、たるみ、支持状態、接続部の緩みなどが重要になります。地震の揺れで鉄塔や電線が大きく動くと、ジャンパ線にも通常と異なる揺れや変位が加わることがあります。通常時と比べて位置が変わっていないか、通電部と鉄塔部材の離隔が不足していないかを確認する必要があります。


ジャンパ線の確認では、まず全体の形状に不自然な変化がないかを見ます。極端に垂れ下がっている、片側に寄っている、ねじれている、支持金具から外れかけている、周辺部材に近づいているといった状態は注意が必要です。ジャンパ線は鉄塔まわりに配置されるため、背景に鉄塔部材が重なり、異常が見えにくいことがあります。複数の角度から観察し、通常のたるみと異常なたるみを見分ける意識が大切です。


接続部では、端子、クランプ、圧縮部、ボルト締結部、支持部材の外観を確認します。地震による振動で緩みやずれが生じる可能性があり、接触不良や発熱につながるおそれがあります。目視だけで内部状態まで判断することはできませんが、変色、焦げ跡、異常な汚れ、金具の傾き、部材のずれがあれば、詳細確認の対象になります。特に地震前から経年劣化や腐食が進んでいた箇所では、揺れをきっかけに状態が悪化する場合があります。


ジャンパ線まわりでは、絶縁距離の確認も欠かせません。地震で鉄塔が傾く、碍子装置の角度が変わる、電線のたるみが変化するなどの影響により、ジャンパ線と鉄塔部材、他相、周辺金具との距離が変わる可能性があります。離隔が十分かどうかを現場で即断しにくい場合は、写真と位置関係を記録し、設計条件や管理基準に照らして確認します。見た目で危険と感じる接近がある場合は、早急に共有することが重要です。


また、地震後はジャンパ線付近に異物が掛かっていないかも確認します。樹木の枝、建材、シート、鳥害対策部材のずれなどが周辺にあると、風で揺れた際に接触する可能性があります。通電部に近い異物の除去は危険を伴うため、現場判断で不用意に触れないことが基本です。異常箇所を見つけたら、鉄塔番号、相、方向、異物の種類、接触の有無、周囲の安全状況を記録し、指示系統に沿って対応します。


箇所6 架線下と周辺樹木・構造物の接近

地震後の送電線点検では、送電線設備そのものだけでなく、架線下や周辺環境の変化も優先して確認します。地震により樹木が傾いたり、斜面から土砂や岩が移動したり、建物や工作物が損傷して送電線に近づいたりすることがあります。送電線が正常に見えても、周辺物が接近していれば、風や余震で接触するリスクがあります。特に山林、住宅地、道路沿い、工事現場、河川付近では、周辺環境の変化を丁寧に見ることが大切です。


樹木では、倒木、傾斜木、折れ枝、根元の浮き、斜面ごとの滑りを確認します。地震直後には倒れていなくても、根が傷んだ木や斜面上で傾いた木は、その後の雨や風で倒れる場合があります。送電線に届く可能性がある高さの木、電線方向へ傾いている木、地割れの近くに立つ木は、優先的に記録します。架線下の樹木管理は普段から行われていても、地震によって条件が急に変わることがあるため、通常巡視とは違う視点が必要です。


構造物では、建物、倉庫、看板、足場、仮設物、農業用設備、通信設備、道路施設などが送電線に接近していないかを確認します。地震で建物の一部が傾いたり、屋根材や外装材が落下しかけたりすると、強風時に飛散して電線へ接触するおそれがあります。周辺で復旧工事や重機作業が始まる場合には、作業範囲が送電線に近づく可能性もあります。点検時点で異常がなくても、今後の作業によってリスクが増える場所は情報共有しておくことが望ましいです。


架線下では、地上高や離隔に影響しそうな変化も確認します。地震による地盤隆起、土砂堆積、道路面の変状、仮置き資材の移動などによって、電線との距離が変わる場合があります。特に大型車両が通行する道路、重機が入る現場、避難や復旧活動で人の出入りが増える場所では、送電線との位置関係を明確にしておく必要があります。感電や接触事故を避けるため、危険な接近が疑われる場合は、速やかに関係者へ注意喚起します。


周辺環境の点検では、写真記録の撮り方も重要です。電線と樹木、構造物、地形の位置関係が分かるように、近景と遠景を組み合わせて撮影します。近景だけでは危険度が伝わりにくく、遠景だけでは対象物が分かりにくいことがあります。鉄塔番号、径間、対象物の方向、接近している相や高さの印象を記録することで、後続の伐採、撤去、詳細確認の判断がしやすくなります。


箇所7 巡視路・斜面・保守作業環境の安全性

地震後の送電線点検では、設備の異常を確認する前に、点検員が安全に現場へ入れるかを確認することが欠かせません。巡視路、林道、橋、階段、法面、鉄塔周辺の足場が損傷していると、点検そのものが危険になります。地震直後は、道路の亀裂、路肩崩壊、落石、倒木、土砂流入、橋梁の損傷などが発生している場合があります。目的地へ早く到達することを優先しすぎると、二次災害に巻き込まれるおそれがあります。


巡視路では、地割れ、段差、陥没、ぬかるみ、倒木、落石の有無を確認します。普段通い慣れた道でも、地震後には状態が大きく変わっている可能性があります。特に夜間や降雨時は足元の異常を見落としやすく、無理な移動は避けるべきです。車両で接近する場合も、路肩の崩れや橋の損傷に注意し、通行可否を慎重に判断します。安全に近づけない場合は、別ルートの検討や遠方からの確認に切り替える判断も必要です。


斜面では、落石、崩壊、亀裂、湧水、樹木の傾きに注意します。地震で緩んだ斜面は、余震や雨によって後から崩れることがあります。鉄塔が斜面上や斜面下にある場合、点検中に上方から落石が来る危険や、足元が滑る危険があります。斜面の真下に長時間とどまらない、危険な亀裂へ近づかない、複数人で位置を確認しながら行動するなど、現場の安全管理を徹底する必要があります。


保守作業環境としては、作業スペース、資機材の搬入経路、通信手段、退避経路も確認します。地震後は通信が不安定になったり、通常の集合場所や駐車場所が使えなくなったりする場合があります。点検で異常を見つけても、連絡が取れない、資機材が運べない、退避できない状態では、対応が遅れる可能性があります。現場に入る前に、連絡方法、作業範囲、緊急時の退避先を確認しておくことが大切です。


また、地震後は周辺住民や復旧関係者が送電線付近に立ち入ることもあります。点検員は設備異常だけでなく、人の動きにも注意を払い、危険な接近や不適切な作業が起きないよう関係者と情報共有する必要があります。送電線点検は設備を守る作業であると同時に、周辺の安全を確保する作業でもあります。巡視路や作業環境の確認を軽視せず、安全に点検できる条件を整えることが、確実な復旧判断につながります。


地震後点検を記録と次回対策につなげる考え方

地震後の送電線点検は、異常箇所を見つけて終わりではありません。点検結果を整理し、復旧判断、再点検計画、設備補強、巡視ルート見直し、関係者への情報共有につなげることで、次の災害対応力を高めることができます。地震直後は現場対応が優先されるため記録が後回しになりがちですが、記録が不足していると、後から判断根拠を確認できなくなります。どの設備を確認したのか、どの異常を優先したのか、どの箇所を継続監視にしたのかを明確に残すことが重要です。


記録では、鉄塔番号、径間、確認日時、確認者、天候、通電状況、確認方法、異常の有無、写真番号、対応要否をそろえます。異常がある場合は、単に「損傷あり」と書くのではなく、損傷の位置、範囲、方向、周辺状況、危険度の印象を具体的に残します。異常がない場合も、確認した対象を明記することで、後続チームが重複確認や見落としを判断しやすくなります。写真は同じ鉄塔でも全景、対象部、周辺地盤、接近物を分けて撮ると、状況を共有しやすくなります。


地震後点検では、初動点検、詳細点検、復旧後点検を分けて考えることも有効です。初動点検では、停電や事故につながる重大異常の有無を早く把握します。詳細点検では、基礎、部材、金具、碍子、電線、周辺地盤をより細かく確認します。復旧後点検では、仮復旧箇所や一時対応箇所が安定しているかを確認します。このように段階を分けることで、限られた人員と時間の中でも優先順位をつけやすくなります。


また、地震後の記録は、今後の予防保全にも活用できます。被害が出やすかった地形、亀裂が発生した基礎周辺、倒木が多かった径間、アクセスに時間がかかった巡視路などを整理すれば、平常時の点検計画や伐採計画、資機材配置の改善につながります。過去の地震で異常がなかった区間でも、地盤条件や周辺環境が変われば次回も安全とは限りません。点検結果を継続的に見直すことで、送電線設備の信頼性を高めることができます。


地震後の送電線点検で優先確認したい箇所は、鉄塔本体、鉄塔基礎と周辺地盤、電線、碍子装置と支持金具、ジャンパ線と接続部、架線下と周辺樹木・構造物、巡視路と作業環境の七つです。これらを個別に見るだけでなく、互いの関係を意識して確認することで、見落としを減らしやすくなります。たとえば、基礎周辺の沈下は鉄塔の傾きや電線たるみに影響し、電線たるみの変化はジャンパ線や離隔の問題につながる場合があります。送電線点検では、一つの異常を単独で処理せず、設備全体の連続性を踏まえて判断することが大切です。


地震後の現場では、早期復旧への要請が高まる一方で、安全確認を省略することはできません。点検員の安全を確保しながら、優先順位を決め、記録を残し、関係者と共有する流れを整えることが、安定した対応につながります。送電線点検の体制や地震後の初動確認リストを見直す際は、現場条件、設備構成、社内基準、関係機関との連絡体制に合わせて、実際に使える確認項目へ落とし込むことが重要です。


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