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配電設備の高圧ケーブル水トリー劣化を疑う7つの兆候

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

• 高圧ケーブルの水トリー劣化を理解する

• 兆候1 絶縁抵抗値が継続的に低下している

• 兆候2 漏れ電流や誘電特性の診断値が悪化している

• 兆候3 雨天や浸水後に測定値や警報が変化する

• 兆候4 短時間の地絡警報や間欠的な異常が発生する

• 兆候5 外被や端末・接続部に水の影響を疑う痕跡がある

• 兆候6 相間差や区間差が徐々に拡大している

• 兆候7 使用年数だけでは説明しにくい悪化が見られる

• 7つの兆候を確認した後の対応手順

• 水トリー診断で避けたい判断ミス

• 配電設備の記録を更新判断につなげる方法

• まとめ


高圧ケーブルの水トリー劣化を理解する

配電設備の高圧ケーブルは、受電点から受変電設備、構内変電設備、負荷側の高圧機器まで電力を送る重要な設備です。外観が正常に見えていても絶縁体内部で劣化が進むことがあり、その代表的な現象の一つが水トリーです。水トリーは、架橋ポリエチレンを絶縁体に用いるCVケーブルなどで、水分と電界が存在する条件の下、材料内部の微小な不均一部などを起点として樹枝状に進展する劣化現象として知られています。


水トリーという名称から、ケーブル内部に目で見える水路ができるように受け取られがちですが、実際には絶縁体内に形成される微細な樹枝状の劣化領域です。水トリーが存在しても直ちに絶縁破壊するとは限りません。一方、劣化が進展して絶縁体を橋絡する状態に近づく、または橋絡した場合には、絶縁性能が低下し、地絡事故や停電へつながるおそれがあります。高経年の6.6キロボルト級CVケーブルを対象とした研究でも、橋絡水トリーを含む試料で絶縁性能や各種診断信号が調べられ、診断法の適用可能性が検討されています。


実務上の難しさは、水トリーを通常の外観点検だけで直接確認することが難しい点です。ケーブル外被に目立った傷がなく、端末部に変色や放電痕が見られなくても、地中区間の絶縁体内部で劣化が進んでいる可能性があります。そのため、配電設備の保守では、敷設環境、浸水履歴、絶縁診断値の推移、相ごとの差、地絡警報の履歴などを組み合わせて評価する必要があります。


使用年数が短いという理由だけで安全と判断することもできません。経済産業省は、水の影響がある敷設環境に設置された比較的新しい高圧引込みケーブルでも絶縁破壊事象が発生しているとして、更新推奨時期に満たない設備についても点検と早期対応を求めています。したがって、本記事で取り上げる7つの兆候は、水トリーを断定するための条件ではありません。追加診断、運転継続の可否、更新時期を検討するための手掛かりとして扱うことが重要です。


兆候1 絶縁抵抗値が継続的に低下している

最初に確認したい兆候は、絶縁抵抗値の継続的な低下です。高圧ケーブルの絶縁抵抗測定は、停電点検時に行われる基本的な確認方法の一つですが、単年度の測定値だけで水トリーの有無を判定することはできません。重要なのは、同じケーブル区間について、できる限り同等の測定条件で取得した値を時系列で比較することです。


前年まで安定していた絶縁抵抗値が複数回の点検で低下傾向を示す場合や、同一回線の他相と比べて特定相だけ低い状態が続く場合は、追加確認の対象になります。ただし、絶縁抵抗値は、ケーブル長、絶縁体温度、周囲の湿度、測定電圧、印加時間、測定前後の充放電状態、端末表面の汚損、接続された機器の影響などによって変化します。条件が異なる値を単純に並べると、実際には劣化していない設備を劣化と判断したり、反対に劣化傾向を見落としたりするおそれがあります。


点検記録には、測定値だけでなく、対象区間、切り離した機器、測定電圧、印加時間、気温、天候、直前の運転状態、測定器の識別情報を残します。端末部の表面漏れが疑われる場合は、所定の安全手順の下で清掃前後の測定結果を比較し、端末表面の影響とケーブル区間の影響を切り分けます。測定後は、残留電荷を考慮し、保安規程や作業手順に従って放電、検電、接地などの処置を確実に行う必要があります。


絶縁抵抗値が低下していても、その原因が水トリーとは限りません。端末部の汚損や湿潤、接続部の不具合、施工時の損傷、外被の異常、接続された機器の絶縁低下なども候補になります。そのため、絶縁抵抗の低下は結論ではなく、専門的な絶縁診断や区間分割へ進むための入口として扱うのが適切です。


特に注意したいのは、値の大小だけでなく、低下傾向の変化です。長期間ほぼ一定だった値が短期間で下がり始めた場合は、浸水、排水条件の悪化、端末部の劣化、周辺工事による外力など、新しい要因が加わった可能性があります。過去の工事記録、豪雨履歴、ハンドホールの水位記録と照合し、電気的な変化と現場条件の変化が同じ時期に起きていないかを確認します。


兆候2 漏れ電流や誘電特性の診断値が悪化している

二つ目の兆候は、漏れ電流や誘電特性に関する診断値の悪化です。水トリー劣化した絶縁体では、健全な絶縁体と異なる電流応答が現れる場合があります。そのため、直流漏れ電流法、低周波重畳法、交流重畳法、誘電正接、残留電荷や残留電圧を利用する方法など、さまざまな診断法が研究、実用化されてきました。適用できる方法は、ケーブルの電圧階級、構造、外部半導電層の方式、敷設条件、停電の可否、接続機器の構成によって異なります。


6.6キロボルト級CVケーブルに関する研究では、低周波損失電流の電圧特性が、健全試料、熱劣化試料、水トリー劣化試料で異なることが報告されています。また、橋絡水トリーを有する高経年ケーブルに複数の診断法を適用し、判定基準との関係を検証した研究もあります。これらは、絶縁抵抗値だけでは捉えにくい内部劣化について、電圧に対する電流応答や損失成分を調べることが有効になり得ることを示しています。


実務では、診断値が基準を超えたかどうかだけでなく、前回値からの変化、電圧を変えたときの応答、相ごとの差、同じ敷設条件の他区間との差を確認します。測定値が不安定な場合は、接触不良、測定回路へのノイズ混入、端末部の湿潤、接地状態、接続機器の影響なども疑い、測定系を点検してから再評価します。


活線診断には、停電を伴わず傾向を確認できる利点がありますが、負荷電流、高調波、接地方式、周辺機器の影響を受ける場合があります。水トリーに関連する信号は負荷電流に対して微小であるため、診断方式によっては信号分離やノイズ対策が重要になります。したがって、活線診断の数値をそのまま残存寿命へ置き換えるのではなく、測定原理、適用範囲、判定基準、誤差要因を確認したうえで評価します。


停止診断についても、試験電圧や印加方法を現場の思い込みだけで決めてはいけません。対象ケーブルの構造、接続機器、過去の診断結果、メーカー資料、社内基準、保安規程を踏まえ、電気主任技術者や診断の専門技術者と協議して実施します。劣化が進んでいる可能性があるケーブルに不適切な試験を行うと、設備へ不要な電気的負担を与えるおそれがあります。


絶縁抵抗の低下、漏れ電流の増加、誘電特性の悪化、相間差の拡大など、複数の指標が同じ方向へ変化している場合は、対応の優先度を上げます。単一の測定誤差では説明しにくい状態になっているため、追加診断、区間分割、更新計画の前倒しを検討します。


兆候3 雨天や浸水後に測定値や警報が変化する

三つ目の兆候は、雨天、豪雨、融雪、排水不良、ハンドホール浸水などの後に、測定値や警報履歴が変化することです。水トリーは水分の影響と関係するため、ケーブルが水の影響を受ける敷設環境は重要なリスク情報になります。ただし、雨天後に警報が出たという事実だけで、水トリーを原因と断定することはできません。端末表面の湿潤、接続部への浸水、外被損傷部周辺への水分到達、別設備の地絡や漏電なども候補になります。


地中管路やハンドホールについては、定期点検時だけでなく、豪雨や冠水の後に状態を確認できる体制を整えることが望まれます。ハンドホール内の水位、排水設備の動作、排水口の閉塞、管路からの流入、ケーブル引込口の止水状態、接続部の位置、ケーブルや接続部が水没した可能性のある時間を記録します。排水後に短時間で再び水位が上がる場合は、水を抜くだけで終わらせず、流入経路や地下水位の影響まで調べます。


経済産業省の注意喚起では、水の影響がある敷設環境に設置された比較的新しい高圧引込みケーブルでも絶縁破壊事象が発生しているとされています。このため、年数だけでなく、敷設環境に水の影響があるか、どの部分がどの程度の期間水に接した可能性があるかを保全判断に含める必要があります。


雨天との関連を調べるときは、感覚的な記憶ではなく時刻をそろえた記録が役立ちます。降雨の日時、警報発生時刻、零相電圧や零相電流の記録、保護継電器の動作履歴、ハンドホールの水位、絶縁測定の実施時刻を並べると、関連性を検討しやすくなります。雨天時だけ異常が出るのか、雨が止んだ後も続くのかによって、疑う箇所や現象が変わります。


地中区間だけに注目しすぎないことも重要です。屋外端末の防水処理、引込口のシール、ケーブル立上り部、盤への引込部、接続部などから水の影響を受ける場合があります。水分の侵入箇所と電気的な異常が現れる箇所が一致しない可能性もあるため、異常が見つかった周辺だけでなく、ケーブル構造と敷設ルートを踏まえて上流側と下流側を一体で確認します。


兆候4 短時間の地絡警報や間欠的な異常が発生する

四つ目の兆候は、短時間だけ発生して復帰する地絡警報、瞬時的な零相電圧上昇、保護継電器の動作履歴など、間欠的な電気異常です。公表された電気事故情報には、水トリーによる絶縁低下が原因と推定され、間欠地絡となったため地絡方向継電器や地絡継電器が検出できなかった可能性を示す事例があります。ただし、間欠的な地絡が発生したからといって、水トリーが確定するわけではありません。


間欠的な異常は再現しにくく、警報が復帰すると見過ごされやすい傾向があります。一度だけの警報で通常運転へ戻った場合でも、履歴を消去して終わらせず、発生時刻、負荷状態、天候、系統切替、大容量機器の始動、受電電圧の変動、保護継電器の入力記録を可能な範囲で確認します。短時間の地絡は、継電器の検出方式、整定、動作時間、保護範囲によって十分に捕捉できない場合があります。


警報履歴がある場合は、ケーブルだけでなく保護装置側も確認します。零相変流器、零相電圧検出回路、継電器の整定値と動作時間、系統の接地条件、電力供給側との保護協調を点検します。ケーブルを更新しても保護協調が不適切であれば、事故時の影響を十分に抑えられない可能性があります。反対に、継電器の整定だけを変更してケーブルの絶縁劣化を放置することも適切ではありません。原因調査と保護機能の確認を並行して進めます。


警報が繰り返される、発生間隔が短くなる、雨天後に集中する、特定区間を投入したときに再現するなど、複数の条件が重なる場合は緊急度が高まります。運転継続の可否は、設備の重要度、予備回線の有無、負荷停止の影響、診断結果を踏まえて判断し、必要に応じて停電、区間切り離し、代替給電、早期更新を計画します。


兆候5 外被や端末・接続部に水の影響を疑う痕跡がある

五つ目の兆候は、ケーブル外被、端末、接続部、引込口などに、水の影響や機械的損傷を疑う痕跡があることです。水トリーは絶縁体内部の現象であるため、外観異常がないからといって否定はできません。一方、外被の損傷、端末や接続部の止水不良、長期間の水没は、水分の影響を受ける可能性を評価するうえで重要な現場情報です。水分が絶縁体へ到達する経路はケーブル構造や損傷位置によって異なるため、外観だけで内部状態を断定しないことが大切です。


外被では、切り傷、擦れ、局部的な圧潰、ひび割れ、膨れ、変形、引張り跡、支持部との接触傷、施工時の工具痕などを確認します。地中管路へ引き込む際に過大な張力が加わった可能性、曲げ半径が小さい箇所、管路端部で外被が傷ついた可能性も検討します。損傷が見つかった場合は、表面だけを見て補修可否を決めず、損傷の深さ、遮へい層への影響、浸水履歴、周囲の腐食状態を確認します。


端末部では、雨水の流れ跡、シール材の剥離や硬化、ひび割れ、結露痕、緑青やさび、白色の析出物、絶縁物表面の汚損、トラッキング痕、異常な変色などを確認します。接続部がハンドホール内にある場合は、水没履歴と接続部の高さを照合します。水没時間が不明な場合でも、内壁の水位痕、堆積物、腐食の位置から過去の水位を推定できることがあります。


端末部の外観異常とケーブル中央部の水トリーを直結させることはできません。端末表面の湿潤や汚損だけで絶縁抵抗が低下する場合もあれば、外観は正常でも地中区間の絶縁体内部で劣化している場合もあります。外観点検は原因を確定する作業ではなく、電気診断の結果を解釈し、調査区間を絞るための情報として位置づけます。


外被健全性の確認、端末清掃前後の測定、接続部ごとの区間分割診断などを組み合わせると、異常位置を絞り込みやすくなります。区間分割のために接続を外す作業は、停電範囲、誤送電防止、検電、接地、復旧確認を明確にし、所定の作業体制と安全手順に従って実施します。


兆候6 相間差や区間差が徐々に拡大している

六つ目の兆候は、三相間の測定値の差や、同一系統内の区間ごとの差が徐々に拡大していることです。同じ時期に敷設されたケーブルでも、各相の配置、曲げ、端末処理、接続部、周囲温度、水分条件などが完全に同じとは限りません。そのため、特定相または特定区間の劣化が先行する場合があります。


相間差を確認するときは、単純に最も低い値だけを見るのではなく、過去の差がどのように変化したかを確認します。以前から一定の差があり、その後も変化していない場合と、最近になって差が広がった場合では意味が異なります。絶縁抵抗、漏れ電流、誘電特性、活線診断信号など、複数の項目で同じ相が悪化している場合は、優先的な調査対象になります。


区間差については、受電点から受変電設備までの引込区間、屋外管路区間、建物内立上り区間、盤間連絡区間などに分けて考えます。全長の一部だけが水の影響を強く受けている場合、全長を一括して測定した値では局部的な異常が目立たない可能性があります。接続部や開閉器を利用して区間を分けて診断できれば、問題箇所を絞り込みやすくなります。


相や区間を比較する際には、ケーブル長の違いを考慮する必要があります。長いケーブルは静電容量や漏れ電流が大きくなりやすいため、絶対値だけで比較すると誤解が生じます。測定方法によっては長さや温度などを考慮した評価が必要になるため、診断装置の仕様、適用基準、専門技術者の判断に従います。接続機器が異なる区間同士を比較する場合は、ケーブル以外の影響が含まれていないかも確認します。


水トリーに関連する微小信号を接続部などの複数地点で比較し、劣化区間の推定につなげる研究も行われています。現場で同じ方式をそのまま適用できるとは限りませんが、異常をケーブル全体の問題として一括処理せず、相別、区間別、接続部別に分解して考えることは、診断計画や更新範囲を具体化するうえで有効です。


兆候7 使用年数だけでは説明しにくい悪化が見られる

七つ目の兆候は、使用年数だけでは説明しにくい診断値の悪化や事故履歴が見られることです。高圧ケーブルの更新計画では、製造年や使用年数が重要な情報になりますが、年数だけで残存寿命を決めることはできません。水分の影響、ケーブル構造、施工品質、運転条件、温度履歴、外力、端末や接続部の状態によって、劣化の進み方は変わります。


特に、水の影響がある地中敷設区間では、更新推奨時期に満たない設備でも絶縁破壊が起きる可能性を考慮する必要があります。公的な注意喚起が比較的新しい高圧引込みケーブルも対象としていることから、年数が浅いという理由だけで、測定値の低下傾向や警報履歴への対応を先送りする判断は避けます。


劣化の進み方を評価するには、年次点検の数値だけでなく、敷設から現在までの履歴を再構成します。敷設工事記録、ケーブルの型式と構造、ルート図、接続部位置、過去の掘削工事、浸水や冠水、停電事故、絶縁診断、端末改修、保護継電器の動作などを一つの時系列にまとめます。製造年が同じでも、途中で排水条件が変わったり、道路工事で管路に外力が加わったりしていれば、劣化条件は同じではありません。


比較的新しいケーブルで異常が見られた場合は、測定誤差の可能性を確認すると同時に、施工時の曲げや引張り、管路内の滞水、外被損傷、端末処理、接続部の防水状態などを調べます。同じ時期に施工した複数回線で似た傾向が出ている場合は、共通の敷設環境や施工条件が影響している可能性があります。一回線だけ悪化している場合は、その回線固有のルート条件や損傷履歴を重点的に調べます。


高経年設備についても、年数だけで一律に危険と判断するのではなく、診断値と環境条件を組み合わせます。高経年の撤去ケーブルを調べた研究では、試料ごとに絶縁性能や水トリーの状態に差が確認されています。使用年数は重要な指標ですが、単独で現在の絶縁状態を表すものではありません。


7つの兆候を確認した後の対応手順

7つの兆候のいずれかが確認されたら、最初に記録の確かさを確認します。測定条件、対象区間、計器、天候、負荷状態、切り離し範囲が明確でなければ、前回値との比較ができません。再測定が可能な場合は、安全を確保したうえで条件をそろえ、再現性を確認します。ただし、地絡警報が繰り返されている場合や、絶縁値が急激に低下している場合は、確認だけを目的として安易な再充電や投入を繰り返してはいけません。


次に、緊急度を評価します。単一の軽微な外観異常だけで電気診断値が安定している場合は、補修と監視頻度の見直しで対応できることがあります。一方、絶縁抵抗の急低下、複数診断値の悪化、雨天後の警報、間欠地絡、浸水履歴が重なっている場合は、運転継続のリスクを慎重に評価し、停電診断や更新を優先します。


停止可能な設備では、対象区間を切り離し、外観点検、絶縁抵抗測定、外被健全性確認、適用可能な専門診断を行います。停止が難しい設備では、予備回線や仮設電源の準備、負荷移行手順、操業への影響を整理したうえで診断日程を設定します。重要負荷が接続されている場合は、ケーブル故障そのものだけでなく、突然の停電が人身安全、製品品質、事業継続へ与える影響も評価します。


診断結果で劣化の兆候が確認された場合は、更新推奨時期だけを根拠に先送りせず、更新計画を具体化します。経済産業省の注意喚起でも、劣化の兆候が確認された場合は、更新推奨時期に満たなくても速やかな更新を求めています。更新計画には、ケーブル本体だけでなく、端末、接続部、管路の排水と止水、保護装置の確認、工事中の代替給電、復旧試験まで含めます。


故障区間を交換した後は、原因となった環境条件を残さないことが重要です。浸水したハンドホールの水を抜くだけで、管路からの流入や止水不良を放置すれば、新設ケーブルも同じ水分条件に置かれます。更新工事では、ルートの排水条件、ケーブル支持、曲げ半径、引込部のシール、接続部の配置を見直し、再発防止につなげます。


水トリー診断で避けたい判断ミス

水トリー診断で避けたい一つ目の判断ミスは、単一の測定値だけで健全または不良を決めることです。絶縁抵抗が高いから問題ない、漏れ電流が一度低かったから問題ないという判断では、内部劣化や間欠的な異常を見逃す可能性があります。反対に、一度だけ低い値が出た場合に、測定条件や端末汚損を確認せず、水トリーと断定することも適切ではありません。


二つ目は、使用年数だけで更新順位を決めることです。古い設備を優先する考え方は保全計画の一要素ですが、水の影響が大きい比較的新しいケーブルが先に劣化する可能性もあります。年数、敷設環境、診断値の推移、事故時の影響を組み合わせて優先順位を決めます。


三つ目は、ハンドホールの水を抜いただけで対策が完了したと考えることです。排水後に水位が下がっても、ケーブルや接続部が水の影響を受けた履歴は残ります。流入経路、外被損傷、接続部の水没、絶縁診断の結果まで確認し、必要に応じて止水改善や更新を検討します。


四つ目は、警報が復帰したことを設備の健全性確認とみなすことです。公表事故には、水トリーに起因すると推定される間欠地絡を保護継電器が検出できなかった可能性を示す事例があります。復帰後こそ、警報記録、波形、天候、系統状態を保存し、再発前に調査を進める必要があります。


五つ目は、異なる条件の測定値をそのまま比較することです。測定電圧、温度、ケーブル長、接続機器、測定時間が違えば、数値の意味も変わります。点検帳票を統一し、比較可能なデータを蓄積することが、早期発見の精度を高めます。


六つ目は、診断結果を設備担当者だけで抱え込むことです。高圧ケーブルの更新は、停電計画、予算、操業、施設管理、防災、工事安全など複数部門に関係します。要注意の結果が出た時点で関係者へ共有し、故障前に代替給電や更新工程を調整できるようにします。


配電設備の記録を更新判断につなげる方法

水トリーを早期に疑うためには、測定値を保存するだけでなく、場所と時間に結び付けて記録することが重要です。高圧ケーブルの台帳には、起点と終点、ケーブル長、敷設年、構造、線路名称、相別情報、接続部、端末部、ハンドホール、管路、予備回線、保護装置を登録します。そのうえで、点検値、浸水写真、警報履歴、補修履歴を同じ設備番号で関連付けます。


図面と現場が一致していない場合は、更新判断や事故対応が遅れます。ハンドホールの位置が不明、接続部の位置が記録されていない、複数回線の識別が曖昧といった状態では、異常区間の切り離しや工事範囲の設定に時間がかかります。屋外でGNSS測位が利用できる場所では、ハンドホール、ケーブル立上り、引込位置、盤の位置を座標付きで記録すると、現場確認を効率化しやすくなります。


浸水記録では、水があったかどうかだけでなく、水位、接続部との高さ関係、排水前後の時刻、再流入の有無、堆積物、腐食、外被の状態を残します。写真は可能な範囲で同じ方向と距離から撮影し、過去との比較ができるようにします。豪雨後の臨時点検についても、通常点検と切り離された記録にせず、同じ設備履歴へ追加します。


測定データは、最新値だけを表示するのではなく、推移が分かる形で管理します。絶縁抵抗、漏れ電流、診断判定、相間差、警報回数を時系列で並べ、急な変化を見つけやすくします。測定条件が異なる場合は注記し、単純比較を避けます。更新済みの区間についても旧データを削除せず、交換前後の状態と工事内容を残すことで、同じルートの再発防止に活用できます。


LRTK Phoneを活用すれば、屋外のハンドホールや引込位置などを高精度な座標と写真で記録し、配電設備の点検履歴を位置情報と関連付けやすくなります。ただし、地下、建物内、周囲を構造物に囲まれた場所など、GNSS衛星からの信号を十分に受信しにくい環境では、地上の基準点、図面寸法、設備番号、地上からのオフセット計測などを併用し、直接測位した位置と推定した位置を区別して管理する必要があります。


まとめ

高圧ケーブルの水トリーは、通常の外観点検だけでは判断しにくく、明確な症状が現れないまま絶縁性能が低下する場合があります。だからこそ、絶縁抵抗の継続的な低下、漏れ電流や誘電特性の悪化、雨天や浸水との関連、間欠的な地絡警報、外被や端末・接続部の異常、相間差や区間差の拡大、使用年数だけでは説明しにくい悪化という7つの兆候を組み合わせて確認することが重要です。


一つの兆候だけで水トリーと断定せず、測定条件をそろえた時系列比較、敷設環境の確認、区間分割、専門診断を通じて評価します。複数の兆候が重なった場合や地絡警報が繰り返される場合は、次回点検まで先送りせず、電気主任技術者を中心とした保安体制の下で、運転継続の可否、停電診断、更新時期、代替給電を検討します。


配電設備の事故を防ぐには、劣化したケーブルを交換するだけでなく、浸水、止水不良、外被損傷、保護協調、記録不足といった周辺要因まで改善する必要があります。現場位置、写真、浸水履歴、診断値を一体で残し、更新判断に使える設備台帳を整備することが、早期発見と再発防止につながります。屋外の配電設備情報を座標付きで蓄積し、点検から更新計画まで一貫して管理する方法の一つとして、LRTK Phoneの活用を検討してください。


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