目次
• 配電設備で問題となる二重接地とは
• 二重接地を接地系統図から確認する重要性
• 接地系統図を照 合する前に準備する資料
• ステップ1 接地方式と照合範囲を明確にする
• ステップ2 接地線の目的と種別を分類する
• ステップ3 接地系統図上で正規の接地点を追跡する
• ステップ4 現場の接地線と接続状態を確認する
• ステップ5 電源切替時と補助回路の接地経路を確認する
• ステップ6 差異を是正して接地系統図を更新する
• 二重接地を見落としやすい配電設備の確認箇所
• 接地系統図照合で注意したい測定上の落とし穴
• 二重接地を再発させ ない維持管理の進め方
• まとめ
配電設備で問題となる二重接地とは
配電設備における二重接地とは、設計上想定していない複数の経路で、同じ回路や導体が接地系統へ接続されている状態を指す場合があります。代表的なのは、接地する位置が限定されている中性線と保護接地系統が、主接地点以外の盤や機器でも接続されている状態です。また、計装回路のシールド線が両端で接地され、意図しない循環電流の経路を形成するケースもあります。 ただし、接地線が複数存在すること自体が、直ちに不適切な二重接地を意味するわけではありません。配電設備では、感電防止、等電位化、雷保護、サージ対策、機能接地などの目的に応じて、複数の接地極やボンディング導体を設けることがあります。接地網として相互接続する設計や、広い設備内で複数箇所を等電位化する設計もあります。 問題となるのは、本来一箇所だけで接続する計画だった導体が複数箇所で接地されている場合や、保護接地と機能接地が意図せず混在している場合です。接地方式、電源構成、機器仕様、適用基準によって正しい接続は異なるため、接地点の数だけで良否を判断することはできません。 意図しない二重接地があると、通常は流れない経路へ電流が分流する可能性があります。中性線に流れる電流の一部が保護導体、金属管、ケーブルラック、盤の筐体間接続などを通ると、接触部の電位差や電磁的な影響が生じることがあります。計装設備では、シールド線を通る電流によって信号にノイズが重なり、測定値が不安定になる場合もあります。 さらに、漏電監視装置、保護リレー、絶縁監視装置などが想定外の電流を検出し、警報や動作の原因になる可能性があります。ただし、これらの症状は絶縁劣化、配線間違い、負荷の高調波、機器故障などでも起こります。警報が出たという理由だけで二重接地と断定せず、接地系統図と現場の両方を照合して原因を切り分けることが重要です。
二重接地を接地系統図から確認する重要性
配電設備の接地状態を現場だけで判断しようとすると、接地線がどこへつながっているのかを見失いやすくなります。盤内では一本に見える接地線でも、別の盤、接地端子箱、接地母線、建築物の鉄骨、ケーブルラックなどを経由し、ほかの接地点へつながっていることがあります。 特に、長年使用されている配電設備では、増設や更新のたびに接地線が追加されている場合があります。新設時の接地系統図は正しくても、その後の機器交換や仮設配線が反映されていなければ、現場の状態と図面が一致しません。古い接地線を残したまま新しい接地線を追加すると、意図しない並列経路が形成される可能性があります。 接地系統図を利用すると、接地極、接地母線、盤、変圧器、電源装置、負荷設備の関係を全体として確認できます。どの導体をどの地点で接地する設計なのか、どの接続が保護目的で、どの接続が機能目的なのかを整理しやすくなります。 一方、接地系統図だけを見ても、現場の接続がそのとおりであるとは限りません。図面に記載された線が現場に存在しないこともあれば、図面にない渡り線やボンディング線が追加されていることもあります。そのため、図面確認と現場確認は一方だけで完結させず、往復しなが ら照合する必要があります。 接地系統図照合の目的は、単に図面の線を数えることではありません。正規の接地経路を明確にし、想定外の並列経路がないかを確認し、保護機能や設備運用に影響する差異を特定することが目的です。
接地系統図を照合する前に準備する資料
接地系統図の照合では、接地系統図だけでなく、関連する複数の資料を準備します。配電設備の単線結線図、盤内接続図、端子接続図、ケーブル一覧、機器配置図、接地極配置図などを組み合わせることで、図面上の接地線を現場の位置へ対応させやすくなります。 変圧器や非常用電源、無停電電源設備、電源切替設備がある場合は、それぞれの内部接続や接地条件が分かる資料も必要です。電源の運転状態によって中性線と接地系統の関係が変わる設備では、通常運転時の図面だけでは不十分です。停電時、保守時、バイパス運転時などの回路状態も確認します。 改修工事の記録、竣工図、現場変更図、試験成績書、過去の不具合記録も重要です。接地系統に変更が加えられた時期と、その後に発生した警報やノイズの記録を照らし合わせると、原因を絞り込みやすくなります。 図面には改訂番号や作成日が記載されていても、それだけで最新版と判断しないことが大切です。現場保管図、設備管理部門の 保管図、工事会社から提出された完成図などに差異がある場合があります。どの資料を正本として使用するかを決め、照合作業中に見つかった差異を一つの図面へ集約します。 現場確認に使用する測定器についても、測定目的に合わせて準備します。導通確認、電圧確認、クランプ測定、接地抵抗測定などでは、それぞれ測定原理や適用条件が異なります。測定器の表示だけで接続状態を判断せず、どの経路を含んだ測定値なのかを事前に整理しておく必要があります。
ステップ1 接地方式と照合範囲を明確にする
最初のステップは、対象となる配電設備の接地方式と、今回照合する範囲を明確にすることです。照合範囲が曖昧なまま作業を始めると、盤単体では問題がないように見えても、上位設備や隣接設備を含めたときに二重接地となる経路を見落とす可能性があります。 まず、受電点から負荷設備までの電源構成を確認します。受電設備、変圧器、低圧主配電盤、分電盤、制御盤、負荷機器の順に、電源がどのように供給されているかを整理します。複数の変圧器や電源がある場合は、母線連絡、切替回路、並列運転の有無も確認します。 次に、系統上で基準となる接地点を特定します。変圧器の中性点、電源装置の出力側、主接地端子、接地母線など、設計上の接地起点がどこにあるかを図面上で明確にします。ここが不明なまま末端の接続だけを確認しても、二重接地かどうかを判断できません。 接地方式を確認するときは、中性線、保護導体、接地側電線、機器接地線などの呼び方が図面ごとに異なる点にも注意します。同じ記号が異なる意味で使われていたり、異なる記号が同じ導体を示していたりする場合があります。図面の凡例、設計仕様書、盤の端子表示を確認し、用語を統一します。 照合範囲には、電力回路だけでなく、制御電源、計装電源、通信機器、監視設備、雷保護設備も含める必要があります。電力回路の接地が正しくても、制御回路のシールドや通信機器を介して別の接地経路が形成されることがあるためです。 建築物の鉄骨、金属製配管、ケーブルラック、金属製ダクトなどが接地系統へ接続されている場合は、それらも照合対象として扱います。配線図に直接描かれていない金属構造物が、盤や機器をつなぐ導電経路になる可能性があるからです。 この段階では、接地方式の正否を急いで判断するよりも、確認対象の境界を定めることが重要です。上位電源、対象盤、負荷設備、補助回路、金属構造物の範囲を決め、どこまで追跡すれば一つの接地経路を確認できるのかを明確にします。
ステップ2 接地線の目的と種別を分類する
二つ目のステップでは、接地系統図に描かれている導体を目的別に分類します。接地線に見える導体をすべて同じものとして扱うと、必要な接続を誤って二重接地と判断したり、反対に不適切な接続を見逃したりする可能性があります。 配電設備の接地には、感電防止を目的とした保護接地、電源系統の電位を安定させるための系統接地、機器の動作基準を整える機能接地、雷電流やサージ電流を流すための接地、ノイズ対策に用いるシールド接地などがあります。それぞれの導体は目的が異なり、接続位置や接続方法も同じとは限りません。 接地系統図上では、各導体の始点と終点を確認し、何を接地している線なのかを書き込みます。盤の筐体につながる線なのか、中性線につながる線なのか、信号ケーブルのシールドにつながる線なのかを区別します。接地記号が同じでも、接続先の回路をたどると役割が異なることがあります。 現場の線色や端子の色だけで接地線の種別を決めないことも重要です。増設や改修を繰り返した設備では、統一されていない色の電線が使われている可能性があります。線色は手掛かりにはなりますが、端子表示、導通先、図面記号、接続先機器を合わせて確認します。 シールド線では、シールドと保護接地を混同しないようにします。信号ケーブルのシールドは、接地方法によってノイズ抑制の効果が変わることがあります。片端接地とする設計もあれば、周波数特性や設備構成を考慮して複数箇所を接続する設計もあります。そのため、両端が接地されているという事実だけで誤配線とは判断できません。 一方で、片端接地として設計されたシールド線が、盤内の端子、コネクタの外郭、機器筐体、金属製配管などを通じて反対側でも接地されている場合があります。このような間接的な接続は図面に表れにくいため、接地線の目的を分類した後で、機器の構造も含めて確認する必要があります。 分類結果は接地系統図へ直接書き込むと、後の照合が進めやすくなります。保護接地、系統接地、機能接地、シールド接地、等電位ボンディングなどを区別し、接続目的が不明な線には確認が必要であることを明記します。
ステップ3 接地系統図上で正規の接地点を追跡する
三つ目のステップでは、接地系統図上で正規の接地点を一つずつ追跡します。ここでは、接地線の本数だけを見るのではなく、電気的に同じ導体がどこで接地系統へ接続されているかを確認します。 まず、接地起点から下流へ向かって経路をたどります。変圧器の中性点や主接地端子から始め、主配電盤、分電盤、制御盤、負荷機器まで、接地線と中性線の関係を確認します。途中に端子台や接地母線がある場合は、そこから分岐するすべての経路を追跡します。 図面上で中性線と保護接地系統を接続している箇所には印を付けます。設計上の接続点以外に同様の接続が描かれていないかを確認します。分電盤内で中性線端子台と接地端子台が金属片や渡り線で接続されている場合、上位の接地点と合わせて複数の接続点が形成される可能性があります。 盤の筐体や扉、取付板、ケーブルラックなどの接地についても経路を確認します。これらは保護接地として必要な場合がありますが、中性線や信号共通線が筐体へ接続されていると、保護導体を介して別の接地点へつながる可能性があります。 接地系統図の追跡では、電源側から負荷側へ確認した後、負荷側から電源側へ逆方向にもたどります。逆方向から見ることで、複数の盤を経由して主接地端子へ戻る経路や、別系統へ回り込む経路を見つけやすくなります。 また、接地極が複数ある場合は、それぞれが独立しているのか、地中や地上の導体で相互接続されているのかを確認します。図面上で別々の接地極として描かれていても、建築物の鉄骨や共通接地母線を通じて電気的につながっていることがあります。 図面上の追跡結果は、正規経路、予備経路、用途不明経路に分けて整理します。正規経路は設計根拠が確認できるもの、予備経路は電源切替時など特定条件で有効になるもの、用途不明経路は資料だけでは接続目的を確認できないものです。 用途不明の線を見つけても、その場で不要と判断して削除してはいけません。接地線は安全機能に関係するため、接続目的、設備履歴、機器仕様を確認したうえで扱う必要があります。図面上では疑わしく見える接続でも、保護や等電位化のために必要な場合があります。
ステップ4 現場の接地線と接続状態を確認する
四つ目のステップは、接地系統図で整理した経路を現場で確認する作業です。図面照合だけでは、施工後の変更、端子の緩み、未記載の渡り線、機器内部の接続などを把握できません。盤ごとに接地端子と接続先を確認し、図面との差異を記録します。 現場確認では、作業範囲に応じた安全手順を定めます。充電部の近くで盤内を確認する場合は、接触や短絡の危険があります。停電が必要な作業では、関係者との調整、電源遮断、誤投入防止、無電圧確認などを実施し、定められた作業手順に従います。 特に、接地線を一時的に取り外して導通を調べる作業には注意が必要です。運転中の接地線を安易に外すと、感電防止機能、ノイズ対策、保護装置の動作などに影響する可能性があります。取り外しを伴う確認は、設備の状態と影響を評価し、適切な停電条件のもとで実施します。 目視確認では、接地端子台、中性線端子台、盤の筐体、扉のボンディング線、取付板、ケーブル引込部を確認します。中性線端子台と接地端子台の間に渡り線がないか、端子台が金属製の取付部を介して筐体と導通していないか、使用していない旧配線が残っていないかを調べます。 ケーブルの両端も確認します。片側の盤で接地されているシールド線が、反対側の機器コネクタや金属製グランドを介して筐体へ接続されていることがあります。図面ではシールドの片端だけが接地されていても、機器の構造によって実際には両端接地となる場合があります。 導通確認では、測定対象以外の並列経路が存在する可能性を考慮します。二点間の抵抗値が低いことは、その二点が直接一本の線で接続されていることを必ずしも意味しません。ケーブルラック、金属管、筐体、ほかの接地線を回り込んで導通している場合があります。 クランプ形の測定器を使って接地線に流れる電流を確認する方法もあります。通常は流れないと考えられる保護導体に継続的な電流が確認された場合、並列経路や漏れ電流の存在を検討する手掛かりになります。ただし、ノイズフィルター、サージ保護部品、機器の静電容量などによる電流もあるため、測定値だけで二重接地と断定することはできません。 現場で見つかった差異は、盤名、端子番号、ケーブル番号、接続先、確認日時とともに記録します。接地線の全体経路が分かる写真と、端子表示が読める近接写真を分けて残すと、後から図面へ反映しやすくなります。
ステップ5 電源切替時と補助回路の接地経路を確認する
五つ目のステップでは、通常運転時だけでなく、電源切替時や補助回路を含めた接地経路を確認します。配電設備の二重接地は、通常状態では現れず、非常用電源への切替、保守用バイパス、母線連絡などの操作によって発生することがあります。 複数電源を切り替える設備では、相線だけを切り替えるのか、中性線も含めて切り替えるのかを確認します。切替方式によっては、使用していない電源側の中性点接地が残り、運転中の電源側接地と並列になる可能性があります。反対に、切替状態によって必要な基準接地点が失われる構成にも注意が必要です。 非常用発電設備や独立した電源装置がある場合は、それぞれの中性点接地と建物側の接地系統との関係を確認します。機器単体の図面では適切に見えても、建物全体の接地系統へ組み込んだときに接地点が重複する場合があります。 無停電電源設備では、通常運転、蓄電運転、バイパス運転、保守運転によって内部の電気的な経路が変わることがあります。出力側の中性線や接地端子がどの状態で電源側と接続されるのかを確認し、各運転モードの接地経路を接地系統図へ反映します。 制御電源用の変圧器も見落としやすい箇所です。二次側の一端を接地する設計では、別の制御盤でも同じ回路が接地されていないかを確認します。複数の盤へ同じ制御電源を供給している場合、盤ごとに接地を追加すると、制御回路を通じて複数の接地点が形成される可能性があります。 信号回路では、信号共通線、シールド線、機器筐体、通信線の接地関係を確認します。信号共通線が複数の機器で筐体へ接続されていると、通信ケーブルや計装ケーブルを通じて接地電流が流れる場合があります。 サージ保護部品やノイズフィルターを含む機器では、正常な構成でも接地側へ一定の電流が流れることがあります。測定結果を評価するときは、接地経路だけでなく、回路内の部品構成も確認する必要があります。 切替状態の確認では、すべての運転モードを実際に動作させられるとは限りません。運用への影響が大きい場合は、回路図、切替器の接点構成、機器内部図を用いて状態ごとの経路を机上で整理し、可能な範囲を現場試験で確認します。
ステップ6 差異を是正して接地系統図を更新する
六つ目のステップでは、図面と現場の差異を評価し、必要な是正を行ったうえで接地系統図を更新します。差異を見つけることが照合作業の終点ではありません。正しい状態を図面と現場の両方に反映し、次回の工事や点検で再利用できる状態にすることが重要です。 差異は、設備安全への影響、保護装置への影響、信号品質への影響、運転継続への影響などを考慮して優先順位を付けます。中性線と保護接地系統が意図せず接続されている疑いがある場合や、接地線の断線が疑われる場合は、早めの詳細確認が必要です。 是正方法は、不要な渡り線を取り外すことだけではありません。端子台の絶縁方法を変更する、接地線の接続先を変更する、シールドの処理方法を見直す、電源切替方式を再検討するなど、原因に応じた対応が必要です。 接地線を外せば二重接地が解消するように見えても、その線が保護接地や等電位化に必要な可能性があります。是正前には、対象導体の役割と、取り外した場合の影響を確認します。保護機能に関係する変更は、設備の設計条件や適用基準を踏まえ、電気設備の管理責任者や専門技術者の判断のもとで進めます。 是正後は、目視確認だけでなく、必要な測定や動作確認を実施します。接地経路が設計どおりになったか、保護装置や監視装置に異常がないか、計装信号の変動が改善したかなどを確認します。是正によって別の接地経路が失われていないかも確認が必要です。 接地系統図の更新では、変更した線だけでなく、確認済みの接地点、端子番号、ケーブル番号、接地極との関係も反映します。現場で確認できなかった範囲を、確認済みであるかのように描かないことも大切です。未確認箇所は明確に区別し、追加調査の対象として残します。 図面には改訂日、改訂内容、確認者、承認者を記録します。現場に配置する図面と設備管理部門で保管する図面が異ならないよう、更新後の配布先も管理します。紙の図面だけでなく、電子データや点検台帳も同時に更新すると、古い情報が再利用されるリスクを抑えられます。
二重接地を見落としやすい配電設備の確認箇所
配電設備の二重接地は、主接地端子の周辺だけを確認しても見つからないことがあります。盤内の端子台、機器内部、ケーブルの反対側、金属構造物などを通る間接的な経路に注意が必要です。 分電盤では、中性線端子台と接地端子台の取付状態を確認します。端子台を交換した際に絶縁部品が省略されていたり、仮設した渡り線が残っていたりすると、上位盤とは別の接地点が形成される場合があります。 制御盤では、制御変圧器の二次側接地、信号共通線、盤内電源装置の出力接地を確認します。複数の制御盤にまたがる回路では、各盤で同じ共通線を接地していないかを追跡します。 盤の扉や取付板に設けるボンディング線は、保護接地として必要な場合があります。一方、扉に取り付けた表示器や操作機器の信号共通線が外郭へ接続されると、意図しない経路が形成される可能性があります。扉のボンディング線そのものを問題視するのではなく、信号回路との関係を確認することが重要です。 金属製の電線管やケーブルラックも、盤間をつなぐ導電経路になります。接地線を外した状態でも盤間に導通がある場合は、金属管、支持金物、建築物の鉄骨などを経由している可能性があります。 屋外設備では、接地極の増設履歴に注意します。設備増設時に新しい接地極を設けたものの、既存接地極との接続関係が図面へ反映されていない場合があります。地中の接地線は目視できないため、施工記録、埋設位置、引込位置を照合することが重要です。 仮設設備や試験用配線も確認対象です。試運転時に追加した接地線、測定器用の接地線、仮設電源の接地線が撤去されずに残ると、正式な接地系統と並列になる場合があります。工事完了時には、仮設線の撤去確認を記録として残します。
接地系統図照合で注意したい測定上の落とし穴
接地系統図の照合では測定器が有効ですが、測定値の意味を誤解すると、正しい接地経路を不良と判断する可能性があります。測定方法ごとの限界を理解し、図面確認、目視確認、測定結果を組み合わせて評価することが必要です。 導通測定で低い抵抗値が得られた場合、その二点が接続されていることは分かっても、経路を一意に特定できるとは限りません。複数の接地線、金属管、筐体、鉄骨などが並列に接続されていると、想定していない回り込み経路でも低い値が表示されます。 接地抵抗の測定結果も、接地極単体の性能をそのまま示すとは限りません。共通接地網やほかの接地極につながった状態で測定すると、並列に接続された経路を含む値になる場合があります。何を切り離し、どの範囲を測定した値なのかを記録する必要があります。 クランプ測定で接地線に電流が確認されても、その原因は一つではありません。中性線電流の分流、機器の漏れ電流、ノイズフィルターを介した電流、誘導による電流などが考えられます。時間帯や負荷状態によって値が変化する場合は、配電設備の運転記録と合わせて分析します。 電圧測定では、基準とする点によって表示値が変わります。盤の筐体、接地端子、中性線、建築物の鉄骨など、測定点の関係を明確にしてから測定します。わずかな電位差があるという理由だけで接地不良と判断せず、負荷電流、導体の長さ、接続状態などを考慮します。 測定器のレンジ、分解能、測定周波数帯にも注意が必要です。低周波の循環電流を確認したいのか、高周波ノイズの影響を確認したいのかによって、適した測定方法は異なります。目的に合わない測定器では、問題となる成分を捉えられないことがあります。 測定結果には、盤名、測定点、運転状態、負荷状態、切替状態、測定日時を添えます。数値だけを記録すると、後から同じ条件で比較できません。二重接地の調査では、接地線を流れる電流がどの運転条件で増減するかが重要な手掛かりになります。
二重接地を再発させない維持管理の進め方
二重接地を一度是正しても、設備増設や機器更新のたびに接地系統図を更新しなければ再発する可能性があります。配電設備の接地管理は、定期点検だけでなく、変更管理の仕組みとして運用することが重要です。 増設工事の設計段階では、新しい機器の接地条件を既存の接地系統図へ重ねて確認します。機器単体の推奨配線をそのまま適用すると、既存設備の接地点と重複する場合があります。電源側から負荷側までの接地経路を確認し、接続位置を決めます。 工事中に図面と異なる施工が必要になった場合は、現場判断だけで接地線を追加せず、変更理由と接続先を記録します。完成時には現場変更を竣工図へ反映し、仮設接地線や試験用配線が残っていないことを確認します。 定期点検では、すべての接地線を毎回追跡するのではなく、変更のあった設備を重点的に確認する方法が有効です。変圧器、電源切替設備、制御電源、通信設備、計装機器などを更新した際は、接地系統図照合を点検項目へ追加します。 警報やノイズが発生した場合は、症状だけでなく、直前に行われた工事や運転変更を確認します。盤の増設、ケーブル更新、電源切替試験、接地極の補修などが行われていれば、接地経路が変化していないかを調べます。 現場写真を接地系統図と関連付けて管理すると、端子の接続状態や接地線の引込位置を確認しやすくなります。盤名や設備番号だけでなく、屋外接地極、接地線の立上がり位置、ケーブル経路などの位置情報を記録すると、地中や広い構内にまたがる接地系統を追跡しやすくなります。 記録は、作業者しか理解できない表現を避け、端子番号やケーブル番号を使って残します。「右側の接地線」「奥の端子」といった記録では、盤の改造後に位置関係が変わると追跡できません。図面、写真、設備番号、位置情報を組み合わせることが、接地管理の継続性につながります。
まとめ
配電設備の二重接地を防ぐには、接地線の本数だけを確認するのではなく、導体の目的と電気的な接続経路を把握することが重要です。複数の接地極やボンディング線があるからといって、直ちに不適切な二重接地とは限りません。設計上必要な接続と、意図せず形成された並列経路を区別する必要があります。 接地系統図照合では、最初に接地方式と調査範囲を明確にし、接地線を目的別に分類します。そのうえで正規の接地点を図面上で追跡し、現場の端子、配線、機器内部の接続状態と照合します。通常運転時だけでなく、非常用電源への切替時、バイパス運転時、補助回路や信号回路を含めて確認することが欠かせません。 差異を見つけた場合は、接地線を安易に取り外すのではなく、その線が担っている保護機能や設備への影響を評価します。是正後には必要な測定と動作確認を行い、現場の状態を接地系統図、点検記録、写真へ反映します。 接地系統の管理精度を高めるには、盤内の接続記録に加え、屋外接地極や接地線の引込位置を位置情報付きで残すことも有効です。配電設備の現場写真、設備位置、点検結果を一元的に整理し、接地系統図との照合を効率化したい場合は、LRTK Phoneの活用をご検討ください。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、
こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

